吉田:つい先日相当量の汚染水が海に流れた事に関しての
東京電力サイドの幹部発言なんですが、
「排水溝のところで獲れた魚を、1年間食べ続けても健康に影響がない」というふうに言ったんですが、
小出:東京電力の人には是非ともみんな食べて欲しいと思います
吉田:言った人は少なくてもね、
一年間食べ続けても健康であるところを国民に証明して欲しいと僕は思いますね。
小出:「直ちに・・ない」ということは、「将来的には・・ある」という言葉の裏返し。
被ばくというのは「どんなに微量な物でも危険がある」というのが現代の学問の到達点ですので、
放射能を食べるような事をすれば、もちろん健康に被害があるのです。
それが、直ちには見えないで、やがて癌、白血病になって出てくるだろうという、そういう話しです。
文化放送・吉田照美ソコダイジナトコ 2011年12月13日
週刊エンター「原発のウソ、そしてホントの話」
京都大学原子炉実験所 小出裕章助教
放送内容、続きを読む
に完全文字起こし
吉田:
今朝は電話で生放送にご出演です。
小出先生お早うございます
小出:おはようございます
吉田:研究室の方へは何時頃今日行かれるんですか?
小出:8時ごろに行きます
吉田:
あわただしいなかすみません。
今回も原発論争そして本当のところを教えていただきたいんですけれども、
小出先生のお話しが、「恐いんだけども本当のことが聞きたい」というふうにお便りも沢山いただいていまして、
まず、原子力安全保安員なんですが、
原子炉の安定を維持する対策が取られているというふうに判断して、
冷温停止状態の実現を柱とする行程表のステップ2というものの
達成の前提条件が出揃ったことになるというふうにしているんですけれども、
この状況を小出先生はどのように捉えていらっしゃるんでしょうか
小出:
まず、「冷温停止」という言葉がいまだに使われているという事、
その事にまず、政府、東京電力の姿勢の悪さというのが現れていると私は思います。
「冷温停止」というのは私達が使う専門用語ですけれども、
原子炉というのは圧力容器という圧力がまの中に水をはって、
その中に原子炉の炉心と呼ばれているものを水浸けにして冷やすという、
そういう構造物なんですね。
運転中はもちろん200何十度になっていますので、
蒸気がどんどん出てきてそれでタービンを回す訳ですけれど、
原子炉を冷やそうと思えばそういう状態で水の温度を100度以下にすると、
そうすれば沸騰することはないし、ま、何とか冷えてくれるだろうと。
それを「冷温停止」と呼ぶんですね。
しかし、東京電力はもうすでに炉心自身がメルトダウンしてしまっていると認めている訳ですし、
圧力容器の底が抜けてしまって炉心自体がそこに抜けてしまっていると認めているのですから、
もう、「冷温停止」もへったくれもないんですね。
ですから、圧力がまの温度が100度を下回る云々かんぬんって、
もともと何の意味もないことを言っているのですね。
ただし、今回の事故が起きて発電所が全所停電をして、
東京電力あるいは生き物の側がですね、
放射能と戦う武器を全て奪われたという事で今回の事故が進行したのですが、
事故から1週間、10日して電源が回復していますので、
東京電力の側、あるいは生き物の側というのはですね、
放射能と戦うための武器自身は手に入れているのですね。
ただそれまでに、戦場があまりにも荒れ果ててしまっていて、
武器は手にしたけれどもまともに戦えないという状態で今日まで来ているわけです。
吉田:
なるほど、
これ、ま、3月の事故から月日がたつと「収まったのかなぁ~」というふうにですね、
大きいテレビや大きい新聞が報道している感があるので、勘違いされている方も多いようなので、
今の東京電力第一原発の状況というのは、
3月の事故からどうなんですか?やっぱり変わっている部分は若干はあるんですか?
今おっしゃったことに重なりますけど
小出:
ええ、武器を手にしたという事で大きく変わったんですけれども、
それでも戦場が荒れ果てているので、敵の本丸に攻め込むことすらできないで、
一進一退を続けているわけですし、
敵の内部がどうなっているかということすら知ることも出来ないとう、そういう戦いなのですね、これは。
吉田:
東京電力は福島第一原発1号機2号機3号機のメルトダウンを認めていますが、
最悪の場合としていですね、「1号機は溶けた炉心がコンクリートを溶かして格納容器まで30センチ余りに」
なんて言う事を発表してましたけど、
これは・・小出先生今笑ってらっしゃいますけど、これは・・どういうことなんでしょう。
小出:
はい、
そんな東京電力の計算結果をですね、マスコミが一斉に何かまことしやかに流すという、
その事が私は異常だと思うんですね。
これは単に計算をしているだけなのであって、
計算というのは入力条件を変えてしまえば、結果はもう、どんなことでも出てきてしまうというものなのです。
どんな状況にあるかが分からない時にいくら計算したって、正確かどうかも分からないのに、
なにか、60何センチが壊れて30何センチが、まだ残っているとかですね、
もう、あまりにも馬鹿げたことを言っていると私は思います。
吉田:
これ、2号機3号機に関しては、今どういうような状況だっていうのも、
これはやっぱり、本当のところはわからないわけですね
小出:
わからないのです。
要するに見に行くことも出来ないですし、
こんな事態が起きるとも思っていませんでしたから、測定器自身も配置していませんし、
何とか使えるような測定器も、無新号をどんどん送ってくるわけで、
どうなっているのかが分からないまま現在に至っています。
吉田:
要するに誰も確認できる状況にはない訳ですよね。いまはもう、
小出:
そうです。残念ながら相手が放射能ですので、見にもいけないというそういう状態なのですね。
吉田:
これだけど、格納容器から流れ出てですね、もしこれ、地面に到達しているとしたら、
これ、どういう状況になってるんですか?
小出:
地面の中には地下水が流れていますので、もし溶けた炉心が地下水に接触してしまえば、
もう、汚染が地下水に乗って広がっていくという事が避けられなくなってしまいます。
ですから、そうなるまえに、地下水と溶けた炉心が接触しないように、
わたしは地下に防壁を張り巡らせなければいけないという事を、もう5月から言っているのですが、
吉田:
そうですよね、その話しは再三伺って、
ま、東京電力も一瞬はその地下ダムに関しての話しというのは、
一瞬出たもののその後一向に出て来ないというのは、
要するにお金がもったいないからその話しは出てこないんですか?
小出:
それが一つだと思いますし、
地下にバリアを張ろう思うと、大変な被ばく環境で大がかりな作業をしなければいけないので、
作業員の被ばくという事をどうするかという大変な問題があるのだろうと思います
吉田:
これ、2号機は爆発していないというふうにされているんですけれども、
その、高濃度の放射線が出ていることで、ま、考え得ることというと、どんなことが考えられるんですか?
小出:
わたしは爆発したんだと思います
東京電力は爆発をどうしても認めたくない、
吉田:
認めたくないんですよね、これが
小出:
何故かというと爆発が起きたという事は、
地下にあるサプレッションチェンバー、圧力抑制室というところで起きているのですけれども、
そこで爆発がする。とすれば、地震によってその部分の損傷が生じたという事を考えない以外には説明できないのです。
東京電力は今回の事故の原因を全て津波に押し付けて
吉田:津波に持って行きたいだけなんですよね
小出:
そうなんです。
ですから、何としても「爆発はなかった」と言い張りたいのだと私は思います。
吉田:
そこを、確実に死守したいのですね
小出:そうですね。
吉田:
それからこれは3月の事故以来なんですけれども、
小出先生は一貫してですね、原子炉とか炉心を冷やすために使った水。
それも強い放射能を帯びた汚染水の処理のためにですね、
ま、さっき言った「地下ダムを作れ」というお話し、
それから「大型タンカーに溜めて、地下水などに漏れないように」とおっしゃってましたけど、
これ、原発の施設に溜まる汚染水、溜まり続けて9か月というのは
これ、周りにどれだけの影響があるんですかね。
小出:
えー、溜まり続けてと今吉田さんはおっしゃったけれども、
ま、もちろん溜まり続けたのですけれども、
一方で漏れ続けてきた
吉田:漏れ続けてもいたと、
小出:
ようするに、建屋の地下であるとか、コンクリート製のトレンチピットというところに
10何万トンも溜まっていたわけで、コンクリートの水路あるいはコンクリートの地下ですから、
どんどん割れ目から地下に浸み出して行ってきた、今現在も染み出しているという、そういう状況なのですね。
だから、最後は私は海へ流れだすというふうに思っていますけれども、
何とかそんなふうに、どんどん流れていくのを放置するのではなくて、
漏れないような構造物に移さなければいけない。
それには今は、すぐに使える手段はタンカーしかないというのがわたしの提案だったんですが、
それも3月にしたままで、何の手当ても見つかっていないという
吉田:
そうですよね、これね、
これだけど、結局声を上げ続けてもダメですかね、これ。
地下ダムに関しても、結局大きなメディアは全くそれに関して声を上げようと全然していないですよね。
小出:
そうですね。
吉田さんが取り上げてくれる位で。
吉田:
これは何でなんですかね、メディアの方も。
それは、いいたくないんですかね?メディアも。
小出:
さぁ、、
これまでの原子力の歴史を見ると、原子力の旗を振ってきたのは政府と電力会社、巨大原子力産業。
それにメディアが含まれて、取り込まれていた、訳ですから、
今現在も、メディアとしては原子力を進めてきた仲間の一端にまだいるのかな?とわたしは思いますが。
吉田:
ただね、だって結局それは、メディアにいる人も国民である筈だし、
同じように等しく被害を受けるわけじゃないですか、
小出:
そうです
メディアにいる人達の子どもだって孫だって、これからこの、
吉田:そこが本当に僕は理解に苦しむところなんですけれど、
小出:そうおもいます。
吉田:ねぇ。
で、海の汚染についてなんですが、東京電力福島第一原発からはですね、
相当量の汚染水が海に流れた訳ですけれども、
それで、つい先日の発言なんですが、
東京電力サイドの幹部ですけれども、
そんな、・・「排水溝のところで獲れた魚を、1年間食べ続けても健康に影響がない」というふうに言ったんですが、
あれは、どういう事なんですか?
小出:(笑)
えーっと、もともと今回の事故が起きた時にですね、
枝野さんがたびたび「直ちには被害が出る被ばく量ではない」ということをいってきたわけですけれど、
吉田:巧妙なことばですね
小出:
はい。
枝野さんの言った「直ちに・・ない」ということは、「将来的には・・ある」という言葉の裏返しなんですね。
被ばくというのは「どんなに微量な物でも危険がある」というのが現代の学問の到達点ですので、
放射能を食べるような事をすれば、もちろん健康に被害があるのです。
それが、直ちには見えないで、やがて癌、白血病になって出てくるだろうという、そういう話しです。
吉田:ええ、ええ、
小出:東京電力の人には是非ともみんな食べて欲しいと思います
吉田:
いや、本当にそう思いますよね。
言った人は少なくてもね、一年間食べ続けても健康であるところを国民に証明して欲しいと僕は思いますね。
小出:
自分の子ども自分の孫がいるならそういう方にも食べさられるのかどうかということを
吉田:
にも食べさせていただきたいですよね、ほんとにね。
先日、その赤ちゃんの粉ミルクからセシウムが検出されたんですけれども、
これもやっぱり、予想としてはいろんな食品に出てくることは間違いないわけですよね。
小出:もちろんです。全ての食品に出てきます。
吉田:
そうですよね
これだけど、今も、福島第一原発の方からは放射能は漏れている訳ですよね
小出:漏れています
吉田:これ、実際に検出され亡くなるっていう事は・・・これ、無いわけですよね。
小出:ありません。
吉田:これはもう、僕らにとっては半永久的という考え方で正しいんですか?
小出:
そうですね。ただまぁ、どの段階で劇的に減らすことが出来るという事はあると思いますし、
今壊れてしまっている建屋に、いわゆるチェルノブイリの時の石棺という、石の棺を作ったわけですが、
そのような構造物を作り上げることが出来れば、
かなり、外に出てくる放射能を減らすことが出来ると思いますが、
その石棺を作るまでには、まずは、プールの中にある使用済み燃料を救出しなければいけませんので、
そのために何年もの時間がかかると思います。
だから、戦いはこれからまだまだ続きます。
吉田:
そういうことなんですね、
あと伺いたいのは、僕時々ツイッターなんかで見ている武田邦彦教授がですね、
「今、世界中に震度6以上で持ちこたえられる原発はない」というふうにおっしゃっているんですが、
そのあたりは小出先生はどういうふうにお考えなんでしょうか
小出:
震度6なのか震度5なのかあるいは震度7なのか、わたしはよく分かりませんけれども、
でも、原発というのは大変複雑な機械なんですね。
やっていることは単にお湯を沸かしているだけなんですけれども、
そのために超大な配管がのたうちまわっている訳ですし、沢山のポンプがありますし、
そういうものはすべて機械ですので、
どうしてもその、人間があらかじめ考えた事態だけではない、偶発的な事態に巻き込まれる、
地震によって考えもしなかった揺れに見舞われるというのはあるわけですから、
常に壊れる可能性を抱えているということだけは覚悟しておかなければいけないとおもいます。
吉田:
あと、今後必ずあると思われる、溶けた炉心をですね、
地面の下から取りだすという作業、これ、世界で人類初めての作業という事になると思うんですが、
これが待っていると思うんですが、これはどういう作業になるんですか?
小出:
多分出来ないと思います。
こんなことには人類は向き合ったことがないのでこれから知恵を出し合う事になると思いますけれども、
とてつもない、
吉田:そこにずーっとあり続けさせるしか、今のところ方法はないってことですか?
小出:
はい、わたしとしては、全体の被ばくという事を考えるとですね、
それを取りだそうとすれば膨大な被ばくをしてしまうという事になるとおもいますし、
いまの状態で、とにかく表に出ないように地上には石棺、地下には防壁をはり巡らせるという形で
現場に封じ込めるという事が、多分、出来る最善のことだと思います。
吉田:
それしか、今小出先生の考えるところで言うと、そこしかもうないわけですね。
やりようは。
小出:はい。そうです。
吉田:
はー、わかりました。
あと、先生最後にですね、先生ご自身が今最も気になっていることというと、
この原発に関してはどういうことなんでしょう
小出:
もう敷地の中はしょうがない、東京電力に頑張ってもらうしかないのですけれども、
今現在、福島県を中心として、沢山の人達がモーレツな汚染地帯に取り残されて、そこで生活している訳ですし、
その中には子どもたちもいるのですね。
子ども達にはこんな事故を引き起こした責任はないのですし、
何としても彼らの被ばくを少なくしなければいけない。
本当はそれが一番やらなければならないことだと思うのですが、
日本の政府も東京電力もそんなこと知らん顔しているという、
その事が私は一番気になります。
吉田:
ほんとうですね。
とにかく子どもたち、それから、お腹に赤ちゃんがいる女性とか、
そういう事に対する思いというのが全く感じられないですよね。
小出:はい、おっしゃる通りです
吉田:わかりました、お時間まいりまして、ありがとうございました。
小出:ありがとうございました。
東京電力サイドの幹部発言なんですが、
「排水溝のところで獲れた魚を、1年間食べ続けても健康に影響がない」というふうに言ったんですが、
小出:東京電力の人には是非ともみんな食べて欲しいと思います
吉田:言った人は少なくてもね、
一年間食べ続けても健康であるところを国民に証明して欲しいと僕は思いますね。
小出:「直ちに・・ない」ということは、「将来的には・・ある」という言葉の裏返し。
被ばくというのは「どんなに微量な物でも危険がある」というのが現代の学問の到達点ですので、
放射能を食べるような事をすれば、もちろん健康に被害があるのです。
それが、直ちには見えないで、やがて癌、白血病になって出てくるだろうという、そういう話しです。
文化放送・吉田照美ソコダイジナトコ 2011年12月13日
週刊エンター「原発のウソ、そしてホントの話」
京都大学原子炉実験所 小出裕章助教
放送内容、続きを読む

吉田:
今朝は電話で生放送にご出演です。
小出先生お早うございます
小出:おはようございます
吉田:研究室の方へは何時頃今日行かれるんですか?
小出:8時ごろに行きます
吉田:
あわただしいなかすみません。
今回も原発論争そして本当のところを教えていただきたいんですけれども、
小出先生のお話しが、「恐いんだけども本当のことが聞きたい」というふうにお便りも沢山いただいていまして、
まず、原子力安全保安員なんですが、
原子炉の安定を維持する対策が取られているというふうに判断して、
冷温停止状態の実現を柱とする行程表のステップ2というものの
達成の前提条件が出揃ったことになるというふうにしているんですけれども、
この状況を小出先生はどのように捉えていらっしゃるんでしょうか
小出:
まず、「冷温停止」という言葉がいまだに使われているという事、
その事にまず、政府、東京電力の姿勢の悪さというのが現れていると私は思います。
「冷温停止」というのは私達が使う専門用語ですけれども、
原子炉というのは圧力容器という圧力がまの中に水をはって、
その中に原子炉の炉心と呼ばれているものを水浸けにして冷やすという、
そういう構造物なんですね。
運転中はもちろん200何十度になっていますので、
蒸気がどんどん出てきてそれでタービンを回す訳ですけれど、
原子炉を冷やそうと思えばそういう状態で水の温度を100度以下にすると、
そうすれば沸騰することはないし、ま、何とか冷えてくれるだろうと。
それを「冷温停止」と呼ぶんですね。
しかし、東京電力はもうすでに炉心自身がメルトダウンしてしまっていると認めている訳ですし、
圧力容器の底が抜けてしまって炉心自体がそこに抜けてしまっていると認めているのですから、
もう、「冷温停止」もへったくれもないんですね。
ですから、圧力がまの温度が100度を下回る云々かんぬんって、
もともと何の意味もないことを言っているのですね。
ただし、今回の事故が起きて発電所が全所停電をして、
東京電力あるいは生き物の側がですね、
放射能と戦う武器を全て奪われたという事で今回の事故が進行したのですが、
事故から1週間、10日して電源が回復していますので、
東京電力の側、あるいは生き物の側というのはですね、
放射能と戦うための武器自身は手に入れているのですね。
ただそれまでに、戦場があまりにも荒れ果ててしまっていて、
武器は手にしたけれどもまともに戦えないという状態で今日まで来ているわけです。
吉田:
なるほど、
これ、ま、3月の事故から月日がたつと「収まったのかなぁ~」というふうにですね、
大きいテレビや大きい新聞が報道している感があるので、勘違いされている方も多いようなので、
今の東京電力第一原発の状況というのは、
3月の事故からどうなんですか?やっぱり変わっている部分は若干はあるんですか?
今おっしゃったことに重なりますけど
小出:
ええ、武器を手にしたという事で大きく変わったんですけれども、
それでも戦場が荒れ果てているので、敵の本丸に攻め込むことすらできないで、
一進一退を続けているわけですし、
敵の内部がどうなっているかということすら知ることも出来ないとう、そういう戦いなのですね、これは。
吉田:
東京電力は福島第一原発1号機2号機3号機のメルトダウンを認めていますが、
最悪の場合としていですね、「1号機は溶けた炉心がコンクリートを溶かして格納容器まで30センチ余りに」
なんて言う事を発表してましたけど、
これは・・小出先生今笑ってらっしゃいますけど、これは・・どういうことなんでしょう。
小出:
はい、
そんな東京電力の計算結果をですね、マスコミが一斉に何かまことしやかに流すという、
その事が私は異常だと思うんですね。
これは単に計算をしているだけなのであって、
計算というのは入力条件を変えてしまえば、結果はもう、どんなことでも出てきてしまうというものなのです。
どんな状況にあるかが分からない時にいくら計算したって、正確かどうかも分からないのに、
なにか、60何センチが壊れて30何センチが、まだ残っているとかですね、
もう、あまりにも馬鹿げたことを言っていると私は思います。
吉田:
これ、2号機3号機に関しては、今どういうような状況だっていうのも、
これはやっぱり、本当のところはわからないわけですね
小出:
わからないのです。
要するに見に行くことも出来ないですし、
こんな事態が起きるとも思っていませんでしたから、測定器自身も配置していませんし、
何とか使えるような測定器も、無新号をどんどん送ってくるわけで、
どうなっているのかが分からないまま現在に至っています。
吉田:
要するに誰も確認できる状況にはない訳ですよね。いまはもう、
小出:
そうです。残念ながら相手が放射能ですので、見にもいけないというそういう状態なのですね。
吉田:
これだけど、格納容器から流れ出てですね、もしこれ、地面に到達しているとしたら、
これ、どういう状況になってるんですか?
小出:
地面の中には地下水が流れていますので、もし溶けた炉心が地下水に接触してしまえば、
もう、汚染が地下水に乗って広がっていくという事が避けられなくなってしまいます。
ですから、そうなるまえに、地下水と溶けた炉心が接触しないように、
わたしは地下に防壁を張り巡らせなければいけないという事を、もう5月から言っているのですが、
吉田:
そうですよね、その話しは再三伺って、
ま、東京電力も一瞬はその地下ダムに関しての話しというのは、
一瞬出たもののその後一向に出て来ないというのは、
要するにお金がもったいないからその話しは出てこないんですか?
小出:
それが一つだと思いますし、
地下にバリアを張ろう思うと、大変な被ばく環境で大がかりな作業をしなければいけないので、
作業員の被ばくという事をどうするかという大変な問題があるのだろうと思います
吉田:
これ、2号機は爆発していないというふうにされているんですけれども、
その、高濃度の放射線が出ていることで、ま、考え得ることというと、どんなことが考えられるんですか?
小出:
わたしは爆発したんだと思います
東京電力は爆発をどうしても認めたくない、
吉田:
認めたくないんですよね、これが
小出:
何故かというと爆発が起きたという事は、
地下にあるサプレッションチェンバー、圧力抑制室というところで起きているのですけれども、
そこで爆発がする。とすれば、地震によってその部分の損傷が生じたという事を考えない以外には説明できないのです。
東京電力は今回の事故の原因を全て津波に押し付けて
吉田:津波に持って行きたいだけなんですよね
小出:
そうなんです。
ですから、何としても「爆発はなかった」と言い張りたいのだと私は思います。
吉田:
そこを、確実に死守したいのですね
小出:そうですね。
吉田:
それからこれは3月の事故以来なんですけれども、
小出先生は一貫してですね、原子炉とか炉心を冷やすために使った水。
それも強い放射能を帯びた汚染水の処理のためにですね、
ま、さっき言った「地下ダムを作れ」というお話し、
それから「大型タンカーに溜めて、地下水などに漏れないように」とおっしゃってましたけど、
これ、原発の施設に溜まる汚染水、溜まり続けて9か月というのは
これ、周りにどれだけの影響があるんですかね。
小出:
えー、溜まり続けてと今吉田さんはおっしゃったけれども、
ま、もちろん溜まり続けたのですけれども、
一方で漏れ続けてきた
吉田:漏れ続けてもいたと、
小出:
ようするに、建屋の地下であるとか、コンクリート製のトレンチピットというところに
10何万トンも溜まっていたわけで、コンクリートの水路あるいはコンクリートの地下ですから、
どんどん割れ目から地下に浸み出して行ってきた、今現在も染み出しているという、そういう状況なのですね。
だから、最後は私は海へ流れだすというふうに思っていますけれども、
何とかそんなふうに、どんどん流れていくのを放置するのではなくて、
漏れないような構造物に移さなければいけない。
それには今は、すぐに使える手段はタンカーしかないというのがわたしの提案だったんですが、
それも3月にしたままで、何の手当ても見つかっていないという
吉田:
そうですよね、これね、
これだけど、結局声を上げ続けてもダメですかね、これ。
地下ダムに関しても、結局大きなメディアは全くそれに関して声を上げようと全然していないですよね。
小出:
そうですね。
吉田さんが取り上げてくれる位で。
吉田:
これは何でなんですかね、メディアの方も。
それは、いいたくないんですかね?メディアも。
小出:
さぁ、、
これまでの原子力の歴史を見ると、原子力の旗を振ってきたのは政府と電力会社、巨大原子力産業。
それにメディアが含まれて、取り込まれていた、訳ですから、
今現在も、メディアとしては原子力を進めてきた仲間の一端にまだいるのかな?とわたしは思いますが。
吉田:
ただね、だって結局それは、メディアにいる人も国民である筈だし、
同じように等しく被害を受けるわけじゃないですか、
小出:
そうです
メディアにいる人達の子どもだって孫だって、これからこの、
吉田:そこが本当に僕は理解に苦しむところなんですけれど、
小出:そうおもいます。
吉田:ねぇ。
で、海の汚染についてなんですが、東京電力福島第一原発からはですね、
相当量の汚染水が海に流れた訳ですけれども、
それで、つい先日の発言なんですが、
東京電力サイドの幹部ですけれども、
そんな、・・「排水溝のところで獲れた魚を、1年間食べ続けても健康に影響がない」というふうに言ったんですが、
あれは、どういう事なんですか?
小出:(笑)
えーっと、もともと今回の事故が起きた時にですね、
枝野さんがたびたび「直ちには被害が出る被ばく量ではない」ということをいってきたわけですけれど、
吉田:巧妙なことばですね
小出:
はい。
枝野さんの言った「直ちに・・ない」ということは、「将来的には・・ある」という言葉の裏返しなんですね。
被ばくというのは「どんなに微量な物でも危険がある」というのが現代の学問の到達点ですので、
放射能を食べるような事をすれば、もちろん健康に被害があるのです。
それが、直ちには見えないで、やがて癌、白血病になって出てくるだろうという、そういう話しです。
吉田:ええ、ええ、
小出:東京電力の人には是非ともみんな食べて欲しいと思います
吉田:
いや、本当にそう思いますよね。
言った人は少なくてもね、一年間食べ続けても健康であるところを国民に証明して欲しいと僕は思いますね。
小出:
自分の子ども自分の孫がいるならそういう方にも食べさられるのかどうかということを
吉田:
にも食べさせていただきたいですよね、ほんとにね。
先日、その赤ちゃんの粉ミルクからセシウムが検出されたんですけれども、
これもやっぱり、予想としてはいろんな食品に出てくることは間違いないわけですよね。
小出:もちろんです。全ての食品に出てきます。
吉田:
そうですよね
これだけど、今も、福島第一原発の方からは放射能は漏れている訳ですよね
小出:漏れています
吉田:これ、実際に検出され亡くなるっていう事は・・・これ、無いわけですよね。
小出:ありません。
吉田:これはもう、僕らにとっては半永久的という考え方で正しいんですか?
小出:
そうですね。ただまぁ、どの段階で劇的に減らすことが出来るという事はあると思いますし、
今壊れてしまっている建屋に、いわゆるチェルノブイリの時の石棺という、石の棺を作ったわけですが、
そのような構造物を作り上げることが出来れば、
かなり、外に出てくる放射能を減らすことが出来ると思いますが、
その石棺を作るまでには、まずは、プールの中にある使用済み燃料を救出しなければいけませんので、
そのために何年もの時間がかかると思います。
だから、戦いはこれからまだまだ続きます。
吉田:
そういうことなんですね、
あと伺いたいのは、僕時々ツイッターなんかで見ている武田邦彦教授がですね、
「今、世界中に震度6以上で持ちこたえられる原発はない」というふうにおっしゃっているんですが、
そのあたりは小出先生はどういうふうにお考えなんでしょうか
小出:
震度6なのか震度5なのかあるいは震度7なのか、わたしはよく分かりませんけれども、
でも、原発というのは大変複雑な機械なんですね。
やっていることは単にお湯を沸かしているだけなんですけれども、
そのために超大な配管がのたうちまわっている訳ですし、沢山のポンプがありますし、
そういうものはすべて機械ですので、
どうしてもその、人間があらかじめ考えた事態だけではない、偶発的な事態に巻き込まれる、
地震によって考えもしなかった揺れに見舞われるというのはあるわけですから、
常に壊れる可能性を抱えているということだけは覚悟しておかなければいけないとおもいます。
吉田:
あと、今後必ずあると思われる、溶けた炉心をですね、
地面の下から取りだすという作業、これ、世界で人類初めての作業という事になると思うんですが、
これが待っていると思うんですが、これはどういう作業になるんですか?
小出:
多分出来ないと思います。
こんなことには人類は向き合ったことがないのでこれから知恵を出し合う事になると思いますけれども、
とてつもない、
吉田:そこにずーっとあり続けさせるしか、今のところ方法はないってことですか?
小出:
はい、わたしとしては、全体の被ばくという事を考えるとですね、
それを取りだそうとすれば膨大な被ばくをしてしまうという事になるとおもいますし、
いまの状態で、とにかく表に出ないように地上には石棺、地下には防壁をはり巡らせるという形で
現場に封じ込めるという事が、多分、出来る最善のことだと思います。
吉田:
それしか、今小出先生の考えるところで言うと、そこしかもうないわけですね。
やりようは。
小出:はい。そうです。
吉田:
はー、わかりました。
あと、先生最後にですね、先生ご自身が今最も気になっていることというと、
この原発に関してはどういうことなんでしょう
小出:
もう敷地の中はしょうがない、東京電力に頑張ってもらうしかないのですけれども、
今現在、福島県を中心として、沢山の人達がモーレツな汚染地帯に取り残されて、そこで生活している訳ですし、
その中には子どもたちもいるのですね。
子ども達にはこんな事故を引き起こした責任はないのですし、
何としても彼らの被ばくを少なくしなければいけない。
本当はそれが一番やらなければならないことだと思うのですが、
日本の政府も東京電力もそんなこと知らん顔しているという、
その事が私は一番気になります。
吉田:
ほんとうですね。
とにかく子どもたち、それから、お腹に赤ちゃんがいる女性とか、
そういう事に対する思いというのが全く感じられないですよね。
小出:はい、おっしゃる通りです
吉田:わかりました、お時間まいりまして、ありがとうございました。
小出:ありがとうございました。
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コメント
文化放送毎日聞いています。ソコトコも家事をしながら聞いていますが、今日は聞き逃してしまいました。きーこちゃんいつもながらありがとう!明日は櫻井さんですね。
うな | 2011.12.13 14:47 | 編集
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| 2011.12.13 22:12 | 編集
これ、ご自分で起こされたんですか?
すごいです!!みんなに広めます。
すごいです!!みんなに広めます。
かおり | 2011.12.13 22:59 | 編集