主催:脱原発信州ネットワーク・松本 @花時計公園
40秒〜
ただ、covid-19についての緊急事態宣言等は出されたり取り消されたりしてきました。
でも、ここに集まってくださっている方々はご存知だろうと思いますが、
11年前に発生した福島の事故の緊急事態宣言は11年経った今も解除できないまま、まだ続いています。
大変な放射能が放出されて、大変な人々が今だに苦しみ続けているという状態が続いています。
広島原爆に換算すれば、168発分、というような膨大な死の灰が吹き出してきました。
たくさんの人たちが強制的に避難をさせられました。
「避難」という言葉、今私は軽々しく使いましたけれども、わかって頂けるでしょうか?
ある日突然、手荷物だけを持って「バスに乗って逃げろ」と言われるのです。
逃げた先は体育館のような建物で、床にダンボールを敷いたりしながら過ごす、ということになりました。
あまりの辛さで、死んでいく人がたくさん出たわけですし、
自ら命を絶つという人も後を絶たないという状態が続いています。
原発関連死と呼ばれる死もすでに2000人を超えるというようなことが続いています。
でも、死んだのは人間だけではありません。
皆さんも、犬とか猫とか飼われている方もいらっしゃると思います。
でも、あの事故の時には、犬も猫も全部置いていてt逃げるしかありませんでした。
福島では酪農家、畜産家が沢山いて、牛や馬を飼っていました。
でもそれらの牛や馬も捨てて逃げるしかなかったのです。
逃げた後に「なんとか助けに行こう」と思っても、
立ち入り禁止で助けに行くこともできない。
ようやくに行った時には餓死していた、というようなことが沢山起こりました。
先ほど皆さんが歌ってくださいましたけれども、
「なんにもいらねぇ、あの日を戻してくれ」という、そういう人たちが沢山生まれてしまったのです。
つい数日前に最高裁が被害者たちが訴えた裁判に対して判決を出しました。
「東京電力に責任がある」という判決でした。
何を言っているのか、と私は思いました。
当たり前のことじゃないか、と。
東京電力どころじゃない、最悪なやつは国だ。
と、私は思いましたけれども、まだその国の犯罪すらもが断罪されていないという状態です。
賠償金は14億円だそうです。
それで、なにか、「訴えた被害者の方が勝訴した」というように報道などもなされていますが、
冗談ではない、と思います。
原告は3600人です。
一人一人にすれば40万円にしかならないんです。
生活を根こそぎ破壊されて、故郷を奪われて、「あの日に戻してくれ」と言う人たちに40万円のお金って、一体なんなんでしょうか。
驚くような国だと、私は思います。
福島原発事故、東電の賠償確定 最高裁、避難集団訴訟で初
2022年03月04日 17:25
最高裁判所
東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟のうち福島、群馬、千葉の3件で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は東電の上告を退ける決定をした。裁判官4人全員一致の結論。2日付。二審判決のうち約3600人に総額約13億9千万円の支払いを命じた部分が確定した。全国で約30件起こされた同種の集団訴訟で東電の賠償責任が確定するのは初めて。
一方、第2小法廷は3件の訴訟について、国と住民側双方の意見を聞く上告審弁論を4月にそれぞれ開くと決めた。二審判決で国の責任を巡り結論が分かれており、最高裁は判決で今年夏にも統一判断を示す見通し。
自由なラジオ #11「小出裕章ライトアップジャーナル」
京都大学実験所のウラン
マコ:
今日伺いたいことなんですけど、ワシントンで4月に開かれた核安全保障サミットで、安倍総理は京都大学原子炉実験所の学生訓練用の原子炉、京大臨界集合体実験装置で使用してきた高濃縮ウランを全量撤去する方針を明らかにしました。
小出:
はい。
私がいた京都大学原子炉実験所には、KURつまり京都大学原子炉という、いわゆる原子炉と、もう一つ臨界実験装置という本当におもちゃのような小型の原子炉があったのです。
で、KURという原子炉の方は1964年から動き始めましたし、臨界実験装置という本当に小さな原子炉の方は75年から動き始めてきたのです。
それぞれいわゆる研究用に、全国の大学の研究者が使う、あるいは学生の教育に使うということでやってきたのですが、その燃料というものが93%高濃縮ウランというものを使っていました。
マコ:ほぉー。
小出:
この番組をお聴きのリスナーの皆さんは多分ご存知だと思いますが、ウランというものには二種類あるのです。
核分裂を起こす能力を持っているウランと核分裂をする能力を持っていないウランというのが二つありまして、核分裂をする能力を持っているウランは質量数が235、能力を持っていないものは質量数238というウランなのですが。
天然のウランを掘ってくると、核分裂をする能力を持っているウランが0.7%しかないのです。
ですから全体のウランのうちのわずか140分の1、あるいは150分の1しか核分裂する能力がない。
つまり「燃えない」ということなのです。
で、もともとウランというのは「原爆をなんとか作れないか」ということで利用されたわけですけれども、全体の中で0.7%しか燃えないという、そんなウランだったら原爆はできなかったのです。
マコ:そうですよね。
小出:
火をつけるためには燃えるウランを集めてこなければいけないということで、その操作を「濃縮」と私たちは読んでいるのですが、その操作がものすごく大変だったのです。
でも米国は原爆を作りたいということで、必死の努力をした挙句に原爆を作り上げたわけですね。
要するに燃えるウランをとにかく集めるという作業をやって原爆を作りました。
通常私たちの常識でいうと、原爆を作るためには、燃えるウランの濃度が90%を超えていないといけないというのが私たちの常識なのです。
それでうちの原子炉、臨界装置というもので使っていたものが93%高濃縮ウランというもので、つまりもうすぐに原爆が作れちゃうという、そういう材料を使ってきたのです。
マコ:ほぉ〜〜〜、はい。
小出:
それで、米国という国も「そういうウランを他国に渡しておくというのはやはりまずい」ということにある時点で気がつきまして、
もともと米国がうちの原子炉も作って、燃料と一緒に提供してくれたわけですけれども、「やはり日本という国に高濃縮のウランを渡しておくことはもうやめよう」ということで、原子炉用の高濃縮ウランはとうの昔にもう日本に来れなくなったのです。
それでうちの原子炉実験所の原子炉は、確か2000年ごろだったと思いますが、要するに燃料がなくなってしまって止まってしまったんです、原子炉そのものが。
マコ:ヘェ〜、
小出:
それで原子炉の方は「燃料がなくて止まっているのでは困る」ということで、20%濃縮ウランでも動くように若干の改造をしまして、ようやくまた再稼動させたということだったのです。
そしたら福島の事故が起きまして、もう一度審査をやりかえない限りは動かしてはならないということでまた止まっていたわけですが、そちらの方は一応はクリアをしたと、いうことになったわけです。
ただ臨界実験装置の方は、ずーっとまだ93%高濃縮ウランというのを使い続けていたのです。
そちらの方はやはり米国が「この際だから返せ」ということで、多分今度の合意になったのだと思いますし、
京都大学としては93%でなくても、たとえば20%の濃縮ウランにして臨界実験装置も動かすという、そういう選択をしたのだと思います。
京都大学実験所のウランはテロに狙われる?
マコ:
なるほど。
なんかすごく、その実験装置の歴史がよくわかりました。
ありがとうございます。
あと、小出先生に伺いたいんですけど、京大の高濃縮ウラン93%でも20%でも。
そのウランはテロリストとかに狙われる危険というのはあるんでしょうか?
小出:
皆さんがテロリストという人をどういう風にイメージしているのか、私にはよくわかりません。
私自身は、テロリストと名付けられるような人たちが原爆を作ってそれを使用するという風には、私は思っていないのです。
ただし、米国であるとか、日本であるとか、いわゆる国家として原爆、米国などは実際に持っているわけですし、実際にも使ったわけですけれども、そういう国の方から見ると、テロリストというものが原爆を持ったら大変だということを恐れるということはもちろんあるわけで、テロリストに原爆材料を取られないように何としても管理をしなければいけないということでずーーっとやってきているわけです。
米国だったら原子力発電所は軍隊が守っているという、そういう状態になっているわけですが、日本の場合にはこれまでのところ原子力発電所が自衛隊が守るということはないわけですし、京都大学原子炉実験所の原子炉を自衛隊が守るということも、実際にはまだないのですね。
でも、米国の側からすれば、とにかく「もっと厳しく管理をしなければいけない」と、日本に言ってきたわけですし、日本も着々と、テロリストというものは危ないからというそういう理由で、原子力発電所であるとか京都大学原子炉実験所の警備というものをどんどんどんどん強化してきたのです。
マコ:ほーー。
小出:
京都大学といえば大学ですから、本当だったら一般市民だって自由に大学構内に入れる都いうのが本来のあり方だと私は思うのですけれども、京都大学実験所はもう、構内に普通の人が立ち入ることがものすごく難しい。
所員であっても、正門を入るときに身分証明書を見せない限りは構内に入れないという、それほど厳しい警備にどんどんなってきたのです。
マコ:なるほどね。
小出:
私としては大学という組織がそのようなことになるのは私は反対ですし、原爆材料がある、そしてそれをテロリストが狙っているという、その理由で大学の自由というものを拘束してくるということに反対ですので、もう、高濃縮ウランなんてむしろ持たない方がいいんではないかと、私自身は思ってきました。
マコ:
わぁ〜ほんとだ、おっしゃるとおりですね。
私も本当に大学は自由なところであってほしいし、あと、アメリカが原爆を落とすのはテロではないけど、なんか、「非政府組織であればテロです」っていうのは…、そういう考え方ですよね、本当に。
小出:はい、大変おかしなレッテルの貼り方だと私は思います。
伊勢志摩サミットで作業を中断した福一
マコ:
本当だ、おっしゃる通りだと思います。
でも、小出先生、この間伊勢志摩でサミットがあった時に、福島第一原発はその期間中作業を停止したんですね。
で、それについて色々と取材をして調べていたんですけど、
日本の核セキュリティというのは、もともととても甘いということを原発事故前から指摘されていたということを知りまして、それで今福島第一原発では毎日7000人程度作業員の方が作業されていますけれど、とても身分証明が甘いといいますか、という問題が今も続いていることを取材で知って驚いたんですね。
昨年原子力規制庁で核セキュリティに関する検討会があったんですけど、もうちょっと作業員の方が作業の際の身元調査をするべきだみたいな提言があったんですけど、まだ反映されていない時期にサミットがあったので、ま、ちょっと警戒したのかな?と思ったんですけど。
あのね、小出先生、私作業員の方に「どのような身元調査があったか」というのを調査して驚いたんですよ。
自己申告で「あなたは反社会的組織に属していますか?」はい・いいえ。
「あなたはテロリスト、過激派に属していますか?」はい・いいえ。
ですよ、これ。
「はい」に丸する人いないよね。
さすがにそれ私、なんか怖いな、と思って。
それは驚きました。
小出:
ただ、国家の方から見ると、原爆材料をテロリストに渡してはいけないと強く思っているわけだし、それを一方では口実にしながら人々の管理をしていく、管理の強化をしていくというふうに、もうずーーっとそうやってになってきているわけですから、ま、やるでしょうし、人々の方から見れば、なるべく国家の規制を逃れるような方法をやはり考えておかなければならないと、私は思います。
マコ:仰る通りですね。
その身元調査に最近付け加わっているのが、
「あなたは政治に関して批判的な信条を持っていますか?」はい・いいえ。
付け加わったんですね。
だから、本当になんていうか、国策に反対すると、もうテロリスト扱いとほぼ同じなんだな、というふうに、その身元調査を見て思いました。
小出:そうですね、どんどんどんどん網が厳しくなっているとおもいます。
マコ:なるほど、ありがとうございました。
小出:こちらこそありがとうございました。
マコ:
今日は小出裕章先生と電話が繋がっています。
先日は松本のイベントに来てくださってありがとうございました。
松本子ども留学の。
小出:
こちらこそ、わざわざ来てくださってありがとうございました。
お会いできて嬉しかったです。
マコ:
私たちもです。
でも、京都大学の小出先生が本当に松本に引っ越されたんだなと思って、
小出:
私はもともと暑いのが大嫌いなので、できるだけ涼しいところで生活したかったのですが、私を雇ってくれたのが京都大学原子炉実験所しかなかったものですから、ずーーっと大阪府泉南郡熊取町という暑いところで生活をしていました。
でも、京都大学との雇用関係が切れれば、あとはもう自由に生きられるはずだと思いまして、涼しところを探しました。
そして私はもともと東京生まれの東京育ちなんですけれども、東京というような巨大な街はもう真っ平御免だと思いましたし、新幹線が通るような街もなんかみんなミニ東京みたいなつまらない街になってしまうので、新幹線も通らない地方の小さな都会に行きたいなと思っていました。
そして山があって温泉があってどこかいいところがないかなと思って探したら松本だったのです。
そして最後の理由というのは、松本市の市長を菅谷昭さんという方がやってくれていました。
彼はもともと信州大学の医学部のお医者さんだったのですが、チェルノブイリ原子力発電所の事故が起きたときにすぐに現地に飛んで行きまして、子供達の甲状腺治療に当たったという方でした。
もともと菅谷さんと私は知り合いでしたし、菅谷さんが市長をやってくださっているならそこに行きたいなと。
そして何よりもの理由は、菅谷さんを市長に選ぶという市民がいるわけですから、私も松本市民の一人になりたいと、そんな思いで松本市にやってきました。
マコ:なるほど〜
ケン:素敵ですね。
マコ:ね。菅谷市長はこの間でもう4選されましたものね。
小出:
そうですね。
私はこちらに来てから菅谷さんと何回かお会いしましたけれども、もう一期やってくださいとはどうしても私からはお願いできなかったのですけれども、
菅谷さんもずいぶん悩まれたと思いますが、最後にやはりもう一期自分でやろうと思ってくださったので、私はホッとして、ありがたいことだと思っております。
マコ:
なるほど〜。
私たちも原発事故の取材で菅谷市長を取材に行きましたもんね。
ケン:そうですね。
マコ:
それでこの間小出先生とお会いした松本子ども留学というイベントも、福島の原発事故のあと福島の子供達を松本で小学生、中学生まで預かろうというプロジェクトで。
福島から松本に避難された方々が立ち上げたものなんですよね。
で、その「留学」という言葉が、「避難」とか「保養」という言葉が使えないからこその「留学」ということで。
私は松本に行ってびっくりしたんですけど、他の地域で原発事故とかのトークイベントをすると、なかなか場所が借りられないと。
で、公のね、市立とかの、県立とかという場所が借り難くなっていて、申込書には原発とか被曝という言葉を入れずに申し込むということを聞いていたんですけど、
松本はもう、菅谷市長からとても原発事故とか汚染を気にしていらっしゃるので、皆さん堂々としの場所が借りられて当たり前だよとか、びっくりしましたもんね。
ケン:そうですね、ちょっと他にはないですよね、他の地域ではね。
マコ:
その松本に小出先生が引っ越されたというのが、本当に私は納得して、素晴らしいなと思いました。
で、小出先生に最近の福島第一原発のことを伺いたいんですけど、
陸側遮水凍土壁というのが3月31日にスイッチONして凍らせ始めました。
ちょうど私たち記者会見に行きましたね。
なんか「スイッチON中」という動画を見せられて、なんだこりゃと思いながら見ていたんですけど、
本当は去年の3月に完了する計画だった凍土壁ですけど、ま、やっと始まったということで。
なんでこんなに遅れたんでしょうか?
小出:
いくつか理由があると思いますけれども、
まず原子力規制委員会自身がこの凍土壁という計画に否定的だったのです。
だった、というよりは今も多分否定的だと思うのですが、
何か皆さん、凍土壁ができれば汚染水問題が解決するかのようにマスコミが入ってきているわけですけれども、
もちろんそんなことはないわけですし、
原子力規制委員会自身も、「凍土壁なんかできたって汚染水問題は解決しない。むしろ悪化する方に行くかもしれない」っていう危惧を持っていて、東京電力に対してなかなか許可を出さなかったということが一つあったと思います。
もう一つというか、一番根本的な理由は、要するに凍土壁ということがとてつもなく難しい、というか、大変な作業で、なかなかできなかったということだと思います。
マコ:なるほど〜。
ケン:規模がデカイですもんね。
マコ:
そうですね、あの範囲で凍らすのは世界で初めて、ということを何度も。
世界で初のプロジェクトって・
小出:
言ってみれば桁違いのものを作ろうとしているわけで、これまで作ったものとは。
まず、私は「できないだろう」と思っています。
マコ:
あー、なるほど。
私たちが現場の方に取材しても、凍土壁を作っている作業員の方が、凍結管を埋め込む方々が「無理じゃないか」っていうことをよくお話しされていましたもんね。
ケン:そうですね。
小出:
あぁ、そうですか。
多分現場をよく知っておられる方は「難しだろうな」ぐらいなことはきっと思っているはずだと私は思ってきました。
マコ:
はい、もうおっしゃる通りです。
でもそれを国のお金でやっているので、凍土壁を作っても、そして撤去するときも、どちらにしろお金が出るので、まぁやるんだろうな、と。
「自分たちだけが被曝してしまって損だね」っていう話をよくされているもんね。
ケン:はい。
小出:
そうですね、本当に作業に当たっている方々は被曝されながらやっているわけですし、
私は何れにしても多分出来ないと思っているわけですが、
作業員の方々んお被曝、努力というものが徒労に終わってしまう可能性が高いわけで、こんなことはもともとやってはいけないことだと思います。
ケン:
そうですよね。
だってその作業をするだけで被曝を受けるわけですもんね。
小出:もちろんです。
マコ:
もう、本当そうだよね。
で、この間鹿島建設さんが、他の記者さんが「一番被曝したのは誰ですか?」って「どれくらいですか?」っておっしゃったときに、まぁだいたいみんな年40mSv以下で管理していて、最高でもいても38mSv/年ぐらいです。みたいなことをおっしゃったじゃないですか、ね、ケンちゃん。
でも記者会見で最高40mSvで管理しているのに、それを超えた人が出てしまった。
「42mSv/年の人がいます」みたいなことを発表したにもかかわらずそういうことをしたので、
なんか、自分からは都合の悪いことは言わない、っていう感じでしたよね。
ケン:そうでしたね。
マコ:
今私が取材したところ、凍土壁の作業をされた方で一番被曝された方は、2年で66mSvの被曝だったんですよ。
っていうことを鹿島さんに突きつけたら、
「すみません、おっしゃる通りです。すみません、あの、それを自分から言わなくて、」みたいなことをおっしゃるんですけど、本当に被曝されている方の話とか都合の悪いことは、自分からは記者会見でもおっしゃらないので、情報が全然出てこないですよね。
ケン:記者会見の意味を成していないですね。
マコ:
小出先生、で、この凍土壁の汚染水対策というのは、今後6年をめどということですけど、
これは無事に進んでいくと思われますか?
小出:全く思いません。
マコさんやケンさんがよくご存知のように、この凍土壁は深さ30mまでの土を長さ1.5kmにわたって凍らせようとする、そういう計画なのです。
しかし、地下水というのは、一定のスピードでどこでも流れているわけではなくて、ほとんど流れていないところもあるし、猛烈なスピードで流れているところもあるわけですから、実験室でやるように土が凍るなんていうことはないわけですし、おそらく、全体が凍るなんていうことは私はないと思っています。
その上にその凍土壁を維持するためには四六時中冷媒というマイナス30度の液体を流し続けなければいけないですし、
電気が途絶えたら終わり。
パイプが壊れても終わり。
パイプが詰まっても終わり、というものですから、
長い間維持できるなんていうことは到底ありえないと私は思いますので、遠くないうちに「やはりこれはダメだった」と言い出すだろうと思っています。
マコ:わぁ〜、でもそんな、凍らし続けるなんていうことはお金もずいぶん使いますよね。
小出:多分年間数10億円ということになると思います。
マコ:
なるほど、で、汚染水対策は、陸側遮水壁は私はもうこれは無理じゃないかと思うんですけど、
あのー、これが無理であれば、あとどういう策が残っているんでしょうか?
小出:
汚染水対策でやるべきことは二つあります。
一つはこれまで溶け落ちた炉心に向かって水を入れ続けてきているんですけれども、冷却のためですね。
でもそれをまずやめるということが必要だと思います。
私はもう何年も前から提案していますけれども、
水を入れてしまいますと汚染水がどんどんどんどん増えてきてしまって、以前破綻するというところに追い込まれますので、
水での冷却を諦めるということをまずやらなければいけない。
場合によっては金属で冷却する。
場合によっては空冷の可能性も探ってみるべきだと、思います。
それからもう一つは地下の遮水壁ですけれども、私は凍土壁はできないと思いますので、やはり初めからコンクリート鉄、あるいは、場合によっては粘土ということもあるかもしれませんけれども、そういう物理的な物体で水を止めるということをやはりやるしかなくなると思っています。
マコ:なるほど、わかりました。
小出先生、ありがとうございます。
小出:こちらこそありがとうございます。
マコ:また、今後もずーっとよろしくお願いします。
小出:はい、よろしくお願いします。
自由なラジオ Light Up!【公式】
http://jiyunaradio.jp/
<福島第一原発>凍土壁・凍らない壁から汚染水が海へ〜大竹まことゴールデンラジオ5/26(文字起こし)
【特別企画】小出裕章さんに聴く~被ばくと避難~
2015年4月25日 UPLAN
【ふくしま集団疎開裁判の会・特別企画】
社団法人日本外国特派員協会にて収録
https://youtu.be/3N0AleLL6DU?t=34s
被ばくの影響
質問者1:
まず、フクシマの原発事故なんですが、子供たち、特に健康面だけではなくて精神面にも、
たくさんの人に影響を及ぼしたと思うんですけれども、
中でも子供たちへの影響が多いと聞いていますが、どのような問題が考えられますか?
小出:
まずは、”子供”という生き物ですけれども、「放射線の感受性がとても高い」のです。
ごくごく平均的な、ま、たくさんの人々を、年寄りから子供まで集めてきて、
それぞれの放射線の危険度を平均化していって、
”平均的な危険度”というものをもし計算することができるとすると、
赤ん坊などは、その平均的な危険度の4倍も5倍も被曝の危険度が大きいという、そういう生き物なのです。
ですから、今福島原子力発電所の事故の後、
汚染地帯に子供も含めて捨てられてしまっているわけですけれども、
これから、被曝による影響というものが、様々な形で現れてくると思いますが、
その多くは子供達に現れてくるだろうと思います。
そして、そういう環境で人々が生活しているわけですから、
例えば、子供を持っている母親などは、
「自分の子供を被曝させないように」と、多分細心の注意を払っているだろうと思います。
そうなるとどうするか、というと、
「泥んこ遊びはしてはいけない」
「雑草に触れてはいけない」
「花が咲いていてもそれをとってはいけない」
というように、多分子供達を育てざるを得なくなっていると思います。
そうなれば、子供達からみれば、
単に被曝によって健康被害を受けるということだけではなくて、
子供らしく成長していくという、そのこと自身を奪われてしまうという、
今、「精神的な」とおっしゃったと思いますけれども、
そういうことも抱えながら、子供達が生きざるを得ないという状態になっていると思います。
質問者1:
「被曝」についてですが、福島の子供の甲状腺癌による病状が拡大しつつあるということを聞いたんですが、その現状について少し教えていただけますか?
小出:
人間が、放射線というものを発見したのは1895年です。
ドイツのレントゲンという物理学者が、実験中に不思議な光というものが出ていることに気がついて、
正体不明の光だということで「X線」という名前をつけた。
それが初めてだった、のです。
その頃は「放射線」というものが何だかもわからなかったわけで、
たくさんの学者や研究者が「その不思議な光、X線って一体なんなんだ?」ということで調べ始めるわけですし、
その他にも様々な放射線というものがあることにも気がつく訳です。
しかし、「放射線がどれだけ危険か」ということを彼らは知らなかった。
そのためにたくさん二歩と他人が死んでしまったり、
あるいは健康の被害を受けるという歴史をずーっと続けてきたのです。
そういうことを世界中の学者も研究者もだんだん気がついてきて、
放射線というものに被曝してしまうと、「様々な被害を受けるのだろう」ということがわかってきた。
そして、一番決定的な証拠というのは、
広島・長崎の原爆被爆者、の被害によって私たちの目の前に知らされたものなのです。
たくさん被曝をしてしまえば、もちろん死んでしまう訳ですし、
髪の毛も抜けてしまう、
火傷をする、吐き気をもよおす。
下痢をしてしまうというような、
被ばく直後からたくさんの被害が出るということが、すぐにわかりました。
では、そういうすぐに現れる被害だけで済むのか?ということで、
また研究が始まりました。
米国という国がABCCという研究所を広島と長崎に作りまして、
その研究所に、被爆者を、10万人近い被ばく者を集める訳です。
そして被ばくをしていなかった人たちも集めまして、
健康調査を1950年から始めました。
そして長い間、被ばく者と被ばくをしていない人たちの間にどんな健康被害の差が出るだろうか?
ということの調査を続けたのです。
その調査というのは、被ばく者、あるいは非被ばく者というのをABCCの研究所に呼び寄せて調査をするのですが、決して治療はしません。
治療をしてしまえば、データにならないのですね。
治療をしないでほったらかしにしておけばどうなるか?ということを彼らは知りたいのですから、
健康の診断はするのだけれども、治療は一切しないという調査をずーっと続けたのです。
で、その結果何がわかってきたか?というと、
被ばくというものは直後に影響が現れなくても、いずれ白血病が出てくる、ということが始めにわかりました。
その次には白血病だけではなくて、その他のガンも増えている、ということがわかりました。
さらに長く調査を続けていけばいくだけ、爆心地から離れて、被ばく量が少なかった人たちの中にも癌や白血病が増えてきているということがわかってきたのです。
最近になっては、癌や白血病だけではない、循環器系の病気であるとか、様々な病気が、やはり被ばく者の中に多いということがわかってきているのです。
でも、まだまだ分からないことというのはたくさんあるのです。
これからまだまだ被ばく者という人の調査を続ける訳で、でも、何れにしても何十年か経てば、被爆者の方々も亡くなってしまって、結局調査もあるところで行き詰まってしまうということになるのですが、
私自身は、どんな病気も生じるだろうと思っています。
私はもともと物理的なものを専門にしてきた人間ですけれども、
放射線が持っているエネルギーというのは、生き物が自分の体を維持するための化学結合。
ケミカルな結合を支えているエネルギーに比べれば、10万倍も100万倍も高いという、そういうエネルギーを持っていますので、
放射線に被ばくをするということは、生命体にとってありとあらゆる被害を受けるだろうと思っています。
現在福島県では、子供達の間に甲状腺癌というのが出ているわけで、
出て当然だろうと、私は思います。
ただ、因果関係というものを確定するまでには、まだまだ長い間の調査をしなければいけないと思います。
それに対しては国の方は「今出ている甲状腺癌は被ばくとの因果関係はない」というようなことを言っているわけですけれども、あまりにもサイエンスからかけ離れた主張だと思います。
何よりも必要なのは、きちっとした調査をするということだと、私は思います。
質問者1:
原発事故後から今日まで被害を受けた方々の、特に子供達に対する調査もですけれど、
医療サポートだとか、その重要性とか必要性、あと問題点について少し教えてください。
小出:
まず、何よりも必要なことは、
本当であれば、子供達を汚染地帯から避難させる、移住させるということなのです。
「被ばくをしてしまえば、もちろん体に傷がつく」というのは今聞いていただいた通りなのであって、
本当であれば子供たち、せめて子供達は逃がさなければいけないということをやるべきだと、私は思います。
残念ながらこのデタラメな国はそれをやらないで、子供も含めて汚染地帯に捨ててしまっているわけです。
そうなれば、仕方がない。
やはり調査をして、子供たちにどんな被害が出るのか?そしてどうやればそれをサポートできるのか?
ということを考えるしかないと思います。
1年間に20ミリシーベルトまでは帰還させる
質問者1:
事故直後から現在まで、放射能汚染はどれくらいひどいと思いますか?
私達も少し、わかりにくくて、そこがちょっとわからないんですけど。
小出:
日本というのは法治国家と言われてきたのですね。
国民が法律をもし破るようなことをすれば、国家が処罰すると言ってきた。
悪い奴がいれば刑務所に入れちゃうから、街には悪い奴はいない。
安全で安心な国なんだと、日本の国が私達にそういうふうに言い続けてきたわけです。
それならば法律を決めた国家が、自分の決めた法律を守るのは最低限の義務だ、と私は思います。
そして、日本の国家が作った法律、被ばくに関する法律はたくさんあったのです。
例えば、普通の皆さんは1年間に1mSv以上の被ばくをしてはいけないし、させてもいけないという法律がありました。
それから、私自身は先ほどもちょっと聞いていただきましたが、
京都大学原子炉実験所という特殊な職場で、原子炉や放射能を相手に仕事を続けてきた人間なのです。
放射線業務従事者という、法律的なレッテルを貼られた人間です。
その私が放射性物質、放射能を取り扱って仕事をする、実験をしようと思えば、こういう、例えば普通の場所ではできないのです。
私がそういう仕事をしようと思うときは、放射線管理区域という中に入って、その場所でしか仕事ができない、という場所なのです。
そういう場所には普通の皆さんはまず、入ることすらができない場所です。
私のような放射線業務従事者であっても、その場所に入ったら最後水すら飲んではいけない。
食べ物も食べてはいけない。
トイレもありませんから排泄もできない、という、そういう場所が放射線の管理区域なのです。
私は仕事柄仕方がないので、そういう場所で仕事をしてきました。
そして、放射線管理区域の中で仕事を終えて、外にもちろん出てくるわけですけれども、簡単には出られないのです。
放射線管理区域の入り口にあるドアはいつも閉まっています。
そのドアを開けるためには、まず私自身の体が汚れていないかどうかということを測定しない限り、ドアは開かないのです。
なぜなら、私の体が汚れていて、管理区域の外にでてしまえば、普通のみなさんが生活をしているわけで、普通の皆さんをまた被ばくさせてしまう。
そんなことはいけないことなので、体が汚れていないかをきちっと測定しない限りはドアは開かないということになっているのです。
では、その時の基準というのはどのくらいの汚れなのか?というと、
1平方メートルあたり4万ベクレル、というのが基準です。
ですから、私の実験着が1平方メートルあたり4万ベクレルを超えた放射能で汚れていれば、ドアが開かないのです。
ですから私はそこで実験着を脱いで、放射線管理区域の中で、放射能で汚れたゴミとして、私の実験着を捨てる以外ないと、そういう場所なのです。
持ち込んだ実験道具が汚れていれば、もちろんそれも捨てるしかないという。
それが放射線管理区域の基準だったし、日本の法律がそう定めていたのです。
しかし、福島第一発電所の事故以降、広大な地域が放射能で淀れてしまって、
放射線管理区域の基準以上に汚れている地域は、おそらく面積にして1万4000平方Kmあります。
福島を中心とした東北地方、あるいは関東地方の一部というような地域が、それだけ汚れてしまっているのです。
ところが日本の国は、もうどうしようもない。
1平方メートルあたり60万ベクレルというような、猛烈な汚染地帯はさすがに人々は住めないので、強制避難させるということにしたのですけれども、
それ以外のところは、現在は原子力緊急事態だ、ということで、もう人々をそこに捨てる。
「逃げたい奴は勝手に逃げろ」ということをやってしまったわけです。
今は「一度逃げた人々も帰還しろ」と言っているわけですけれども、
その帰還の基準というのは、「1年間に20ミリシーベルトという被ばくまでは帰還しろ」と、日本の国が言っています。
その数字は一体なんなのか?というと、
私のような放射線業務従事者に対して、初めて許された被ばく量が1年間に20ミリシーベルトです。
それは、私のような特殊な人間が、仕事をすることによって給料をもらう。
それと引き換えに、「ここまでは我慢しろ」と言って決められた基準あのであって、
普通の人々にそんな基準を押しつけるというのは、到底許してはいけないことですし、
特に、被ばくに感受性の高い子供達にそんな基準を許すということは、私はありえないほどの暴挙だと思います。
子供達をとにかく逃す
質問者1:
そんな中、福島の方々の避難の必要性とか重要性とか、少しお話しされましたけれども、
そういう中で生活している子供達の避難する権利だとか、生きる権利、人権についてはどう思われますか?
小出:
私、実は「人権」という言葉が嫌いなのですけれども、
でも、子供達を被ばくから守るということは、大人たちの最低限の義務だと私は思っています。
なぜかといえば、原子力の旗を振ってきた人、
電力会社であるとか、国であるとか、そういう人たちには猛烈に重たい責任があるわけで、
私は「彼らは犯罪者だ」、と呼んでいますし、「彼らを処罰したい」と思っています。
重大な責任のある人は、まず刑務所に入れなければいけないと思っています。
そして私にしても長い間原子力の場で生きてきました。
原子力の旗は決して降りませんでしたけれども、原子力の場で生きてきた人間として、普通の皆さんに比べれば重たい責任があるだろうと思います。
でも、普通の皆さんは何のでき人もなかったのか?といえば、私はそうではないと思います。
原子力の暴走をここまで許してしまった。
世界一の地震国に58基もの原子力発電所を建てさせるまで、漫然とそれを許してきたということに対して、すべての日本人には責任があるだろうと、私には責任があるだろうと思っています。
しかし、子供に関する限りは、一切の責任もない。
原子力の暴走を許した責任もないし、
福島原子力発電所の事故を引き起こしたことに関しても、子供には責任はないわけです。
おまけに先ほどから聞いてきていただいたように、子供というのは放射線に大変敏感なわけです。
何としても子供達を被ばくから守るということを今、日本の大人たちはやらなければいけないと思っています。
ただ、残念ながらさっきも聞いていただきましたが、
この日本という国は、本当であれば、法律を守るのであれば、人々をそこに立ち入らせてはいけない。
私のような人間が入っても、水すら飲んではいけない都いう、そういう場所に子供も含めて捨ててしまっているのです。
そうなれば、なんとか子供達の被ばくを少なくさせなければいけないと、私は思いますので、
今日この会を開いてくださっている皆さん、疎開裁判をしてくださっている皆さんたちが求めているように、子供達をとにかく逃すと、どんな形であっても逃すというようなことを、大人の責任としてやるべきだと思います。
ひとりひとりが自分の現場で差別に抵抗して戦う
質問者1:
それと少し関係しているんですが、事故後4年経って、このような状況の中で、私たち、学生も含めて大人だったりとかは、どのようにこの原発事故後の状況に対して向き合っていけばいいですか?
小出:とても難しいご質問だと思います。
質問者1:私たち学生にもできることがあったら、ということで。
小出:
そうですか。
もちろんあるだろうと思います。
福島第一原子力発電所の事故、そのことに責任のある人たちというのは、私は、日本の国家の中枢を支えてきた人たちだと思いますし、電力会社、原子力産業の人たちだと思います。
そういう人たちを、先ほども言いましたが、「処罰したい」と、私は心底思っていますが、
残念ながら彼らは、誰一人として責任を取っていないし、処罰もされていないのです。
「大変不思議なことだな」と、思いはしますけれども、
でも「この日本という国は、どうもそういう国なんだな」と、思うようになりました。
というのは、昔というか、何十年か前といったほうがいいのかもしれませんが、
日本というこの国は戦争をしていたのですね。
日本には現人神(あらひとがみ)である天皇陛下がいて、
「神の国だから決して戦争には負けない」と言って戦争を始めて、
そして大本営というものを作って、マスコミも含めてみんなが戦争に突き進んでいった。
結局戦争に負けたわけですけれども、ほとんど誰も責任を取らない。
で、戦後の歴史が始まっているわけです。
一般の人たちは「大本営発表に騙されたんだ」と。
「悪かったのは軍部で、自分たちは騙されただけだ」ということで、
それまでは「鬼畜米兵」だと言っていたものが、いっぺんに「民主主義だ」と言い出して、コロリと変わってしまって、本当に何を自分たちがやったのか?という反省をしなかったと私は思います。
戦争中でも、確かに誰も戦争を止められなかったけれども、戦争に反対した人たちはいたのです。
そういう人たちは軍部につかまって、特高警察に捕まって殺されていったわけですし、
そうでない人というのは、ごく普通の日本人が「非国民」というレッテルを押して、一族郎党抹殺していったという、そういう歴史を辿ってきたわけです。
そういうごく普通の日本人達が、戦争が終わってしまったら「ただ騙されただけだ」と、「自分たちは悪くはなかった」と言って逃れてしまったんだと思います。
そして福島第一原子力発電所。
今、こんな悲劇を起こした責任のある人たちは、誰も責任を取らない。
そして一般の人たちも「なんか騙されたんだな」というぐらいに気がついている人たちはいるかもしれませんが、
それでも、本気で原子力を止めようとしている人たちが多いとは、私には見えないのです。
残念ながら日本で原子力発電を許してきた、というか、58基の原子力発電所の全てに認可を与えたのは、自由民主党という政権です。
そして今でも選挙をすれば自由民主党が、ま、選挙制度の問題もあるけれども、それでも政権の政党になってしまうということになっていて、一般の国民にもまだまだ福島第一原子力発電所に対しての責任の取り方がわかっていないと私は思います。
そして、「じゃあ何ができるのか」ということですけれども、人々というのは多様な存在ですね。
私自身は、ある時に原子力に夢を持ってしまって、この場に足を踏み込んだ人間ですので、
そういう場に足を踏み込んだ人間として、私にできること、私にしかできないこと、というのがあると思いますので、それを今までもやってきたつもりですし、これからもやりたいと思っています。
ただし、原子力の問題というのは、単に原子力の安全性、機械としての工学的な安全性という問題ではないのです。
先ほどから聞いていただいたように、責任がある人間が、責任を取らずに逃げ延びてしまうというような、そのような不当な行為をやはり許してはいけないということだと思いますし、
そういうことは、私は一言で言うと「差別」と呼んでいるんですけれども、
そういう問題というのは、原子力の場だけではなくて、どこにでも存在しています。
誰かさんが学生であれば、学生であるという、その存在している場にも不当な差別というのはたくさんあると思いますので、ひとりひとりの方が自分の現場で差別に抵抗して戦うということをやってくださるのであれば、私が今戦っている原子力の問題と必ず繋がってくるだろうと思います。
ひとりひとりの人間がそうしながら、きちっと自分の責任を果たすのだという社会ができれば、原子力なんて簡単に止まるはずだと私は思いますし、子供達の被曝を防ぐことだって、簡単にできるだろうと思います。
定年退職
質問者1:
その中で小出先生が今までされてきた活動と、あとこれからどんな活動をする予定があるのか教えてください。
小出:
私は京都大学原子炉実験所というところにいて、原子力のことを研究するというのは私の仕事だったわけですから、私はひたすらその研究を今日までしてきました。
ただし私は原子力を進めるための研究はしなかったつもりです。
原子力なんていうものをやってしまうと、どんな被害が出てくるのか?
どんな危険を人間が抱えなければいけないか?
ということに関して、私が原子力の現場でできる研究というのをこれまでやってきたのです。
それは、原子力発電所が今枠的にどんな危険を抱えていて、もし事故になればこんなことになるだろうということを調べることも、私の研究のテーマでしたし、
そのためには原子炉実験所という特殊な職場にある様々な測定器を駆使して、その仕事に当たるということをやってきました。
ただし、先ほど聞いていただいたように、私は3月末で京都大学を退職しましたので、それまで使えた膨大な研究機器というものをもう使うことができない、という立場になっています。
それに私は定年退職となったわけです。
ま、定年退職というのは、単に雇用関係が切れるというだけのことであって、社会的な制度ですから、
私という個性を持った生き物にとっては、たいして大きな意味はもちろんないのです、定年退職ということに関しては。
ただいま聞いていただいたように、それまで使っていた膨大な機器が使えなくなったということは、一つありますし、
もう一つは、生き物として私も必ず年老いていく。
そしていつか死ぬというのは避けられないことなのであって、定年ということを機に、私も生き物としての自覚を新ためて持たなければいけないと思っていますので、
これまでも私は、自分しかやらない、自分にしかできないという仕事だけに自分の力を傾けてきたつもりなのですが、
これを機に、自分にしかできないという仕事を、より厳選しながら、生き物としていずれ死ぬということを自覚しながら、少しずつ退いていこうと思っています。
https://youtu.be/3N0AleLL6DU?t=26m53s

甲状腺癌と被ばくとの因果関係
質問者2:
今までおっしゃったことについて、質問を3点あります。
まずは、わからなかったことなんですが、
さっき先生が、「被ばくでどんな病気が出てもおかしくない」っておっしゃったとおもいますが、
それだと結構長い時間にわたって病気が出て、そこにどうやって甲状腺に関係しているかわかるんですか?その病気が。
小出:甲状腺癌が被ばくとの因果関係があるかないか、ということがどうやったらわかるか?ということですか?
質問者2:そうです。
小出:
まずは原爆被爆者で白血病や癌が増えている。
あるいは循環器系の病気が増えているということがわかってきた、ということは、
疫学という学問の調査結果なのです。
それはどうやって調べるかというと、
被ばくをした人と、被ばくをしなかった人たちというのを、同じような年齢集団で作って、
それを長い間調べていくことで、こちらの集団とこちらの集団で健康被害に差があるかないかということを調べて、ようやくにしてわかるという、そういう学問の世界なのですが、
福島の甲状腺癌に関しても、被ばくした子供たちを被ばくの度合いによって、分類をしていく。
そして一方に被ばくをしなかった子供たちというのをまた調査集団として作って、
それを長い間調査していって、「被ばくをしている子供達の方に甲状腺癌が多い」ということを見つけるというやり方が疫学というやり方です。
それは私はやらなければいけないと思っていますが、大変時間のかかる調査ですし、私たちが交絡因子(こうらくいんし)と呼んでいる、非常に人間という生き物はいろんな危険にさらされているわけで、放射線の被ばくだけではないわけですね。
そういう他の危険をどうやって切り落としていって、被ばくの影響だけ見つけ出すのかというのがなかなか難しい分野でして、これから長い年月たくさんの子供たちを調査しない限りは、因果関係の立証は難しいだろうと、私は思います。
そして国の方は、それをやりたくない。のです。
国の方は自分たちの責任ということを認めたくないわけですから、なるべくならごまかしてしまおうと思っているわけで、調査自身をやりたくないと思っているだろうと思います。
なんとか調査をきちっとやらせるような方向でいきたいと思っています。
それから、他にも多分手段はあるだろうと思っているのですが、
ま、今は私にはよくわかりません。
癌というものも、ある種の遺伝子が関係しているということがわかっていて、放射線によって遺伝子が傷ついて、それによって癌が発症するということも、少しずつはわかってきているわけですし、
これからは、甲状腺癌というものが、被ばくによって生じる甲状腺癌と、そうではない甲状腺癌というものを遺伝子の分析によって区別することができるというようなことが、これからの学問の進歩でできるようになるかもしれません。
そうなれば、今福島の子供達、たくさんの子供たちが甲状腺癌になっているわけですけれども、
その因果関係をもっと明確に言えるようになるだろうと期待しています。
因果関係を確定するためにも調査は必要
質問者2:
二つ目の質問は、先生が今おっしゃったことに関連していると思いますが、
こういうリサーチとか研究以外に、国にはどういう政策が必要だと思いますか?
福祉でも医療サポートでも、どういう、被ばく関連の政策が必要だと思いますか?
小出:政策ですか?
一番いいのは先ほどから何度も聞いていただいているように、被ばくさせないことです。
まずは。
逃がさなければいけないのです。
被ばくをさせてしまった後は、きちっと調査をするということ。
それは因果関係を確定するためにも調査というのは必要ですし、私の場合にはさきほどABCCの例をひいて、
「ABCCは疫学的な因果関係を証明しようとして治療は一切しなかった」
ということを聞いていただいたわけですけれども、
私はそんなことは到底許せないと思いますので、「調査をしながら確実に治療もする」ということをやらなければいけないと思います。
それによって疫学的な研究の信頼性というのが失われるかもしれませんけれども、そんなことを言っている場合ではないと思いますので、きっちりと調査をしながら治療もして、なおかつ疫学的なデータを得られるようにするべきだと思いますし、そのための組織、そのための資金というものをきちんと国家の方で手当てをするべきだと思います。
謝罪
質問者:
最後なんですけど、質問より、先生から原発事故で被ばくを受けた子供たちとか被ばく者とかにも、みんなに向けてメッセージを送って欲しいんですが。
小出:
すみません。
そういうふうにみなさんにメッセージを送れるような立場に私はないと自分で思っています。
先ほども聞いていただきましたように、私は原子力の旗は決して振りませんでしたけれども、
それでも原子力の場にずーっといた人間として、今回の事故についても重たい責任を持っている一人だと思いますので、私から被害を一方的に押し付けられている子供達、あるいは今汚染地帯で苦しんでいる大人の人々に対して、そういう立場の私から何かメッセージを届けるという立場には私はないと思います。
もし届けるメッセージがあるとすれば、「大変申し訳ないことになってしまった」ということで謝罪をしたいと思います。
日本ではサイエンスに携わっている人は権力に弱い
質問者1:
世界的な観点からということで、海外の科学的な、サイエンスの研究としてのアプローチと、日本のアプローチ。
放射能に対してですが、それが違うのか?という質問が一つと、
二つ目は、日本で今起きていることが、日本はちゃんと世界に伝えられているのかどうか?
小出:
はい。
1番目のことですけれども、
サイエンスという手法は世界共通です。
日本であろうと外国であろうと一緒であって、とにかく真実を知りたい。
今までわからなかったことに対して真実を知りたいというのがサイエンスの目的ですし、
そのための手法は一律であるべきだと思います。
ただ残念ながら、この日本という国では、サイエンスに携わっている人間が、権力に弱いです。
ですから、国家が原子力を進めようとしているときに、その国家が進める原子力に抵抗しようというサイエンティスト、学者がほとんどいないという、そういう状態になってしまっているという。
それが多分外国との違いだろうと思います。
二つ目の日本での出来事が外国に対してきちんと発信されているか?といわれれば、もちろんされています。
私がこの場に来た、外国特派員協会に来た理由もその一つだろうと思います。
先ほども聞いていただきましたけれども、かつての戦争の時、日本では大本営発表という発表しか無かった無かったのです。
日本は絶対に戦争に勝てると言ってきたわけですし、教育の現場でも教室に天皇陛下の御真影を飾って、校庭には奉安殿というのがあって、ま…、戦争にみんなを駆り立てた。
誰も本当のことを言えなかったという、そういう時代がずっとあったわけですし、
福島原子力発電所の事故以降もすーっとそうです。
きちっとした事故の状況、情報を日本の国家は報道しませんでした。
学者に対しても箝口令を敷きました。
個人的に考えていること。
集めたデータを発表してはいけないということで、
私のいる京都大学原子炉実験所でもそういう指示がきましたし、
全国の大学にもみんな行ったと思いますし、
大学どころか、他の研究機関にはもう、初めから発表する機会すらがないという、そういう状態できたと思います。
私はたまたま京都大学という、日本の中では、多分1番2番を争うほど自由な校風の大学にいましたし、
そのうちの原子炉実験所という、遠隔地と呼ばれている、統制のきかない職場にいた、ということもあって、
私自身は国からの指示を、ま、受けずに。
受けてもはねのけることができるという立場で発言を続けてきましたが、
その私にしても貴重な発言の場であった”たねまきジャーナル”というラジオ報道の番組を番組ごと潰されてしまうというようなことにもなりました。
そういう意味では、日本というこの国は、きちっとした情報は国内に対しても、また国外に対しても、発信されていなかったし、これからもされないと私は思います。
国際的なサイエンスの連帯
37:12
質問者3:
これからの、例えば日本の政府とかジャーナリズムであるとか、そういうのがきちんと機能していないと。
外国に正しいことを伝えていない。
それから日本の市民運動が、外国の、例えば国際社会とか、一般の市民の方になかなか知られていないとか、
そういうことが多分あって出てくると思うんですけれども、
あと、海外の科学者の方との連携。
それを市民が中心になって日本の科学者の方と外国の科学者を連携させて、
とにかく国際社会の連携を市民を中心にやっていくのが重要かなと僕は思うのですが、
そのアイディアというか可能性というか、そういうのはどう思われますか?
たとえば、小出先生が外国の科学者の方と連携を。
この放射能の被曝のことを科学的に共同で何かをやっていくという、
それを市民が一緒に協力して、日本の市民と外国の市民が一緒に協力してそれをオーガナイズ(organize:計画する)していくというやり方がすごく好きなんです。
やりたいな、っていうふうに思うんですが、それについては?
小出:
多分やり方は色々だろうと思います。
たとえばいまおっしゃった活動というのは、たとえば日本では市民科学者国際会議という国際会議をずっと続けてきていて、私自身もその国際会議で話をしてきましたし、
他の市民グループの人たちも、たとえば世界の被ばく者問題を、核被ばく者問題を取り扱おうという人たちが、ずっと活動を続けているし、
その人たちも今年の10月11月に大きな、国際的な科学者の集まりを市民レベルで実現させようとしています。
この間私はそのプレ企画で話に行きましたし、貴重なやり方だろうと思います。
でも日本というこの国では、なかなかそういう活動って育ってこなかったし、
私自身も、実はそうですけれども、外国語というのが実はものすごい苦手で、
そういうつながりというものを自分で作っていこうという余力が今のところは無かった。
私に関しては無かったのです。
でも今、若い人たちが、外国語が堪能な若い人たちがたくさん育ってきてくださっているのですから、
そういう人たちが中心になって、いわゆるサイエンスの国際的な連帯のサポートをするという活動は、大切なことだろうと思います。
日本のマスメディア
質問者4:
40年ぐらい活動をされてきたわけですけど、日本のマスコミ、マスメディア。
あるいはジャーナリズムというものの、核に対する取り組みっていうものには変化があったんでしょうか?
それともすっと変わらずに来ているんでしょうか?
小出:全然変わりません。
質問者4:全然変わらない。
小出:はい。
質問者4:
で、今のマスコミの現状というのは、そういう意味ではどういうふうにご覧になっていますか?
小出:
マスコミ総体としては全くダメですね、日本のマスコミは。
でもマスコミの中にも、もちろんどの、
NHKにしても、中にはやっぱりきちんとものを考える人たちがもちろんいるわけですし、
多分読売新聞だって、産経新聞だって、その中にはきちっとものを考えてくれる人はいるだろうと思います。
ただ全体としてはどんどんどんどん悪い方向に、今マスコミ全体が落ちていっていると思いますし、
それはまぁ、安倍さんを筆頭とする自民党が情報をどんどん統制していくということをやっているわけですから、
「これからますます悪くなっていくんだろうな」と私は思っています。
<福島原発事故>今も緊急事態宣言は解除されていない〜「もし、私が安倍さんであれば、まず真っ先にやることは子供たちを汚染地帯から避難させるということです」小出裕章氏4/25日本外国特派員協会(全部文字起こし)
チェルノブイリ原発事故から29年、次世代の子に影響か 5/4News23(文字起こし)
FCCJchannel 日本外国特派員協会 2015年4月25日

福島第一原子力発電所の事故からすでに4年が経ってしまいました。
日本政府、あるいは東京電力の発表される報道というものは、非常に限られたものだし、
誤りに満ちたものだと私は思ってきました。
今日は、福島の現状がどうなっているか?ということをかいつまんで聞いていただこうと思います。
ご存知だと思いますが、これが事故を起こした福島第一原子力発電所の写真です。
一番右にあるのが1号機、次が2号機、次が3号機です。

1号機、2号機3号機は2011年3月11日に運転中でした。
そして地震と津波に襲われて原子炉の「炉心」と私たちが呼んでいる部分が溶け落ちてしまいましたし、
その過程で、水素という爆発性の気体が噴き出してきて、爆発して、原子炉建屋が吹き飛んでしまった、という時の写真です。
一番左にあるのが4号機ですが、これは2011年3月11日に運転していませんでした。
すべての燃料も、炉心にはありませんでした。
そのため炉心が溶けるということは「なかった」のですが、
なぜかこの原子炉建屋でも水素爆発が起きまして、このように建屋が吹き飛んでしまいました。
4号機の燃料は炉心から取り出されて、使用済み燃料プールというプールの底に移されていたのですが、
そのプールは、今この写真で写っている原子炉建屋の、全て壁が抜けてしまった4階という階に埋め込まれていました。
たくさんの放射性物質が原子炉の運転によって生み出されてきているのですが、
その中で私が一番人類にとって危険を加えるだろうと思っているのは、セシウム137という放射性物質です。
この4号機の半分壊れた原子炉建屋の中に、使用済み燃料プールが宙づりになっているのですが、
そのプールの底には広島原爆に換算すると、約1万4000万発分のセシウム137が含まれていました。
それがプールの底で発熱を続けているわけで、プールの水が干上がってしまって、燃料が溶けるようなことになれば、「東京すら放棄するしかない」と当時の原子力委員会の近藤駿介委員長が報告書を出しました。
記者のみなさんはご記憶かもしれませんが、当日から数日間にわたって、
自衛隊のヘリコプターが福島第一原子力発電所に飛んで行って、上空から水を落としたことがありましたし、
東京消防庁は放水車で現場に駆けつけたこともありましたが、
それらはこの4号機の使用済み燃料プールの中に、なんとかして水を補給しなければ東京が壊滅するという、そのためでした。
そうしながらすでに4年が経ってしまいましたが、これもみなさんご記憶かもしれませんが、
2011年という事故が起きた年には、民主党という政権が政党を握っていました。
12月になって当時の野田首相という方が「事故収束宣言」というのを出しました。
私はその時にも「冗談を言わないでください」と思いました。
事故からずでに4年経っていますが、残念ながら事故は全く収束できないままです。
先ほど聞いていただいたように、運転していなかった4号機の場合には、使用済み燃料プールに、広島原爆に換算すれば1万4000発分ものセシウム137が眠ったままだったのです。
危機がずーっと続いていて、一刻も早くそれをなんとかしなければいけない状態でした。
そして、その危機に関しては東京電力も国も十分に知っていて、
一刻も早く危機を除去しようと努めてきました。
そして2013年の11月から、使用済み燃料プールの底の燃料を運び出す作業をようやくに始めて、
2014年、昨年の11月に使用済み燃料プールから燃料を取り出して、
少し危険が少ないであろう、隣の共用プールというところに移動を終えました。
このことに関しましては、私は本当にホッとしました。
この作業が曲がりなりにも終わったということで、東京を放棄しなければいけないという自体は、たぶん避けられただろうと私は思います。
しかし、それで危機が去ったわけではありません。
先ほど聞いていただいたように
2011年3月11日に運転していた1号機から3号機は、原子炉が溶け落ちてしまったわけですが、
その溶け落ちた炉心が、今現在どこに、どのような状態で存在しているか、誰もわかりません。
なぜなら、4年経った今でも現場に行くことができないからです。
人間が行けば即死します。
そのため、ロボットを行かせようとしているのですが、ロボットも放射線というものに関しては大変弱いので、送り込んだロボットはみんな戻ってこられないという状態ににっています。
4年経っても現場に行くようなことができないという事故は、原子力発電所以外には決して起きないという、そういう過酷な事故です。
仕方がないので、これ以上炉心を溶かすことはできないというので、ひたすら4年間水を注入し続けています。
しかしそんなことをすれば、送り込んだ水が放射能で汚れた汚染水になってしまうということは避けようがありません。
今現在も毎日300トンから400トンというような放射能汚染水が増加しています。
それをなんとか環境に出さな(いようにしな)ければいけないということで、労働者が福島第一原子力発電所の現場で苦闘しています。
その労働者たちはもちろん東京電力の社員ではありません。
下請け孫請け、そのまた下請け、孫請け。
8次、9次、10次というような、多重な下請け関係の中で、
労働者が賃金を受け取る時には最低賃金にも満たないというような労働者が現場で苦闘しています。
皆さんもご存知だろうと思いますが、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、
60万人とも80万人とも言われる軍人、退役軍人、労働者、一部は囚人と呼ばれるような人たちが、
事故の収束作業に狩り集められました。
この日本でそれだけ大量の労働者を確保できるか?といえば、多分出来ないだろうと思いますし、
今現在もすでに外国人労働者が大量に福島に連れてこられています。
今現在、日本というこの国は自民党という政党が政権を取っていて、安倍さんという人が首相をやっていますが、
安倍さんは「何よりも経済最優先だ」ということで、オリンピックを誘致しようとしています。
そのために「福島第一原子力発電所はアンダーコントロールだ」と彼は言ったわけですが、
残念ながらいまだに苦闘は続いていますし、
これから労働者がどんどん被曝をしながら、何年も何十年も戦わなければいけないという、
そういう状態になってしまっています。
労働者の苦闘によって、これから環境に放出する放射性物質の量をなんとか少なくしなければいけないと私は思いますけれども、残念ながらすでに大量の放射性物質が環境に放出されてしまいました。
今この瞬間も福島県を中心にした汚染地帯で、人々が被曝をし続けているわけですが、
その状況はこれから何年も、何十年も、あるいは何百年も続かざるを得ないという状況になっています。

これが福島第一原子力発電所の上空からの写真です。
1号機、2号機、3号機、4号機が、北から南に並んでいます。
そのほか、5号機と6号機がもう少し北に2基あったのですが、
この2基は、本当に幸いなことに、非常用発電機の1機が生き延びたために、原子炉の炉心が溶け落ちるということは防がれました。
そして1から4の、この部分の炉心が溶けたり、あるいは使用済み燃料プールが危機に陥ったりしたわけです。
そして大量の放射性物質が噴き出してきて、あちこちにお汚染を広げている。
そして、水をかけ続けているので、放射能汚染水が増加しているわけですが、
それを東京電力はとにかくタンクを作って溜め込もうとしてきました。
それがここに、一群のタンク群としてどんどんどんどん膨れ上がってきているという状態です。
今現在50万トンを超える放射能汚染水がこの中に溜まっています。
何れにしても福島第一原子力発電所の敷地には限りがありますので、
タンクの増設も無限にできるわけではありませんし、
あまり遠くない将来、「東京電力は放射能汚染水を海に流す」という、そういうことになるだろうと私は思っています。
そしてこういうタンクは、ほとんどが応急タンクです。
きちっとしたタンクを作ろうとすれば、労働者がどんどん被曝をしてしまいますので、
応急タンクしか建設できないという状態できていますし、
あちこちで漏れが進んでいます。
その上、壊れてしまった原子炉建屋、タービン建屋などにも汚染水がたまって、
そこからどんどん、日常的に放射能汚染水が敷地の中に漏れてきてしまって、
今現在福島第一原子力発電所の敷地全体が、放射能の沼のような状態になってしまっています。
東京電力は福島第一発電所の中の敷地の中にある井戸水を分析していましたが、
去年の10月に撮った井戸水の分析結果を東京電力が公表しました。
その結果、「セシウム134が1リットル当たり6万1000ベクレル入っていた」と公表しました。
セシウム137が1リットル当たり19万ベクレル。
全ベータと私たちが呼んでいる放射性物質は、1リットル当たり780万ベクレルあったということです。
日本の法律で環境に放出が許されているような、これらの放射性物質の濃度は、
セシウム134の場合は、1リットル当たり60ベクレル。
6万1000ベクレルに比べれば1000倍というような、そういう濃度のものが井戸水にありました。
セシウム137の場合の環境に放出してもいい濃度は1リットル当たり90ベクレルですから、
この場合には2000倍以上というようなものが、もう井戸水の中にあふれてきてしまっているというような状態です。
さらにこの全ベータと呼んでいるものの正体は私はストロンチウム90だと思っていますが、
ストロンチウム90の環境に放出していい濃度は1リットル当たり30ベクレルでしかありません。
ですから、何十万倍というような猛烈な放射能を含んだ汚染水が敷地の中にあって、それが井戸としてくみ上げられているという状態です。
こういう危機がこれからずーーっと続いていくし、
その危機を少しでもなんとか乗り切るために労働者が被曝を続けるということになるわけです。
その上もっと困難な課題が残っています。
それは、溶け落ちてしまった炉心をこれから一体どうするか?ということです。
東京電力と国は、その溶け落ちた炉心をいつの時点かで外につまみ出して、安全に保管するという工程表を書いています。
これが東京電力が示した工程表のスライドで、日本語で大変申し訳ないのですが簡単に説明させていただきます。

東京電力の説明によると、
「溶け落ちた炉心は原子炉圧力容器の底に一部が残り、そして格納容器の床の上に饅頭のように堆積している」
と彼らは主張しています。
今現在は格納容器という、放射能を閉じ込める最後の防壁として設計されたこの容器もすでに破壊されてしまっていて、いくら水を入れても中に水が溜まらないという状態になっています。
東京電力はいつの時点かで圧力容器の底に残っている燃料と格納容器の底に落ちた燃料を上方向に取り出そうとしています。
しかしこの状態で圧力容器の蓋を開けてしまうと、大量の放射線が下から上方向に飛び出してきてしまって、全く作業ができません。
そのため東京電力は、
「今は壊れてしまっている格納容器をまず補修して、格納容器全体に水が張れるようにする」と言っています。
その上で上の方から機器を下に挿入していって、圧力容器の中にある燃料、あるいは格納容器の中に饅頭のように溜まっていた燃料を上につかみ出す、というのが東京電力と国の計画です。
しかし、「こんな作業は決してできない」と私は思います。
何よりもまずは、穴の空いた格納容器をきちっと調べることが困難を極めていますし、
「どこに穴が空いているか」ということがわかっても、それを補修することすらできないだろうと思います。
仮にその補修ができて、水が格納容器の中に蓄えられるようになったとしても、
実は、溶け落ちた燃料は格納容器の床の上に饅頭のように堆積しているということは決してないと私は思います。
事故は非常に過酷な状態でドラスティック(drastic)に進行したわけで、
溶け落ちた燃料は、もうそこらじゅうに、格納容器の中に散らばってしまっている。
あるいは既に格納容器の床を突き抜ける。
あるいは横方向を突き破ってそこらじゅうに散らばっていると私は思いますので、
この絵にあるように、上方向から機器を入れて掴み出せる燃料の量などというものは知れていると思います。
そのことは原子力の専門家であればみんなわかるはずだと私は思いますし、
最近になって福島県の新聞がこのような記事を出しました。

今聞いていただいたように、
溶け落ちた燃料が圧力容器の真下の格納容器の床の饅頭のように溜まっているようなことはなくて、
「もうそこらじゅうに散乱してしまっている」と、国の方の研究者も認めているという、そういう情報です。
結局、溶け落ちた燃料を取り出すことはできないと私は思いますし、
チェルノブイリ原子力発電所でやったように
「石棺」というもので封じ込めるしかないと思います。
しかし、1号機、2号機、3号機にも4号機と同じように使用済み燃料プールがあって、
そのプールの中に、未だに使用済みの燃料が沈んだままです。
それをなんとかして掴み出さない限りは、石棺を作ることすらができません。
1号機2号機3号機の使用済み燃料プールの底から、燃料を少しでも危険の少ない場所に移すまでに、
何年かかるのか?私にもわかりませんし、東京電力も国も、ほとんど分かっていないだろうと思います。
その石棺を作る作業に作手するわけで、一体石棺というものが何年後にできるのか、それすらがわかりませんし、たぶん私は死んでしまっているのではないかと私は思います。
仮に石棺ができたとしても、皆さんがご存知の通り、
チェルノブイリ原子力発電所では、29年経った今、はじめ作った石棺がボロボロになって、第二石棺というものを作ろうという作業が進んでいます。
チェルノブイリで壊れた原子炉はたった1基ですけれども、
福島第一原子力発電所では少なくても1号機2号機3号機という3つの原子炉が溶け落ちてしまっているわけで、
これから何十年、あるいは何百年という期間に渡って、放射能を閉じ込めるという作業をしなければいけません。
これがこれから戦いを続けなければいけない課題ですけれども、
「すでに放出されてしまった放射性物質にどうやって向き合うか」という課題も現に存在しています。
福島第一原子力発電所の事故でどれだけの放射性物質が環境に放出されたか?ということに関しては、
日本国政府がIAEA国際原子力機関に報告書を出していますので、その数字を今から見ていただこうと思います。
私が見ていただくのは、
先ほど聞いていただいたセシウム137という放射性物質がどれだけ放出されたかというデータです。

左の下にいま黄色い四角を書きましたが、これは1945年8月6日に日本に落とされた広島原爆が、どれだけのセシウム137を大気中に放出したか、というデータです。
黄色の四角の大きさでそれを表しています。
数字はテラベクレルという単位で示した放射能の量です。
福島第一原子力発電所の場合には
「1号機だけで広島原爆の6発分から7発分のセシウム137を大気中に放出した」
と日本国政府が言っています。
一番大量に放射性物質を吹き出したのは2号機だと国と東京電力が言っています。
3号機もやはり吹き出させて、
当日運転中だった1号機2号機3号機を合わせると、
「広島原爆が放出したセシウム137の168発分を環境にばらまいた」と、日本国政府が言っているのです。
そしてこれは待機中にばらまいたセシウムだけであって、
先ほど聞いていただいたように、今現在も放射能汚染水としてどんどん海へ流しているという、事故が進行しているわけです。
つまり、福島第一原子力発電所の事故というのは、
広島原爆の何100発分というような放射性物質を環境にまき散らし、
今現在も撒き散らし続けている事故だということです。
大気中に吹き出してきた放射性物質はどうなるか?といえば風に乗って流れるだけです。
結局どんな腑に放射性物質が汚染を広げていったか?というと、
これはフランスの研究機関のデータですけど、こんな風に汚染を広げたと考えられています。

ここが日本で、赤いところが一番汚染の強いところで、その周りに黄色いところが東北地方関東地方にありますが、少し汚染の少ないところ。
それから青いところがありますが、ここが汚染のもっと少ないところです。
汚染の程度は右に書いてありますが、赤が一番汚染が強い。
黄色が汚染が少ない。
だんだん汚染が少なくなってくるに従って青くなるという色分けをしてあります。
もちろん日本の東北地方関東地方は猛烈に汚れているわけですけれども、
日本というこの国は北半球温帯という地域に属していて、上空では偏西風という強ーい西風が吹いています。
そのため福島から吹き出してきた放射性物質は偏西風に乗って太平洋の方向に流れていって、
北アメリカ大陸の西海岸を強く汚染しています。
一つの事故がその現場だけではなくて地球全体に及ぶような汚染を引き起こす。
というようなものも、やはり原子力発電所以外には起きないはずだと思います。
ともあれ日本国内は強い汚染を受けました。
上空では偏西風が吹いていたとしても、
地上では南風の日もある、北風の日もある、東風の日もあるわけですから、
東北地方を中心として、このような汚染が生じたと日本国政府が地図を公表しています。

赤、黄、緑と色分けしたこの地域が猛烈な汚染を受けた地域で、
今現在も10万人を越える人達が故郷を追われて流浪化してしまっています。
そのほかにも汚染はもちろん生じていて、青く塗ったところ、あるいはくすんだ緑で塗ったところというのがあちこちにありますが、こういうところは一番汚染が少ないところでも1平方メートルあたり3万ベクレルを超える放射能で汚れています。
日本には放射能に関する法律がたくさんありまして、
放射能を取り扱う場所は、放射線管理区域という地域に指定して、その中で厳密に取り扱えということになってきました。
その放射線管理区域から何か物を持ち出す時には、1平方メートルあたり4万ベクレルを超えているようなものはどんなものでも持ち出してはいけないというのが日本の法律でした。
放射線管理区域というのは普通のみなさんが立ち入ることすら禁じられる場所ですし、
私のような職業的な労働者であっても、中に入ったら最後水すらが飲めないという、そういう場所です。
放射線管理区域の外側には、1平方メートルあたり4万ベクレルを超えて汚れているようなものはどんなものでも存在してはいけないというのがこれまでの法律だったのですが、
この青いところは1平方メートルあたり6万ベクレルをすでに超えてしまっていますし、
くすんだ緑のところも3万ベクレルから6万ベクレルという汚染を受けているのです。
日本が法律を守るというのなら、およそ1万4000平方キロメートルに及ぶ場所を放射線管理区域にしなければいけないほどに汚れていると、日本国政府自身が地図に示しているのです。
しかし日本国政府は原子力緊急事態宣言を出して、
「今は緊急事態だから法律を守らなくてもいい」ということにして、
人々をこの汚染地に捨ててしまったのです。
今、「放射性セシウムが大気中に放出されたのは広島原爆の168発分ぐらいだと日本国政府が言っている」
と私が言いました。
その量が1万5000テラベクレルという放射能の単位です。
その大部分が偏西風に乗って太平洋の方へ流れていきました。
そして一部分が、日本の東北地方関東地方に降り注いだわけですが、
その量は約2400テラベクレルです。
今私は放射能の単位でセシウム137の量をみなさんに聞いていただいたのですが、
このセシウム137を重量にする、重さで測ったらどのくらいになると思われるでしょうか?
福島第一原子力発電所が撒き散らしたセシウム137は、全量でも、4.7kgしかありません。
日本の東北地方関東地方を中心に、広大な地域を放射線管理区域にしなければいけないほど汚染したセシウム137の重量は、わずか750gです。

放射能は人間の五感で感じられないとよく言われますけれども、当たり前です。
感じられるほどの放射能があれば人間なんて簡単に死んでしまうという、そういう生き物なのです。
そういう汚染の中で今、福島を中心にして、人々が被曝をし続けているわけですが、
なんとか被曝を少しでも少なくしたいと言って、
自分の家の周り、学校の校庭、とかいうところから、土を剥いで集めています。
もちろん田畑の土を全部剥ぎ取るということもできませんし、
山の線を剥ぎ取ることもできないのです。
ごくごく一部の汚染を剥ぎ取って、こういう袋に詰めて積み上げてきています。
何千万袋というような袋が、汚染地帯にこんな形で積み上げられて、
どんどんどんどん、今現在も増えてきてしまっています。

しかしこれは袋ですので、どんどんどんどん破れてきます。
実際にはこのように一度は詰めたつもりでも、中から植物が袋を突き破って外に出てくるということになっていて、

この袋をこれから一体どうやって管理をしていくのか、ということは今の課題になっていますし、
これから何十年も何百年もこういう放射能に向き合わなければいけないという状態になっています。
時間を大幅に消化してしまいましたが、
福島の事故は未だに進行中だということを皆さんにもわかっていただきたいと思います。
終わりにします、ありがとうございました。
質疑応答

https://youtu.be/nCbXX3DURd0?t=1h1m37s
バレーンの大使:もし先生が安倍首相だったらどういう対策を取りますか?この問題に対して。
小出:
対策はたくさんやらなければいけないことがありますが、
まずは汚染水というものの増加を防がなければいけないし、その環境への漏れというものを防がなければいけません。
そのためにやるべきことは、私は二つだと思っています。
まずは、これまではひたすら水を注入することで、溶け落ちた炉心をこれ以上溶かさないということをやっていたのですが、水での冷却ということを諦める。
私の場合は金属というのを候補としてあげていますし、場合によっては空冷も可能だと思っていますので、それをまずやるべきだと思っています。
次には、すでに敷地の中が放射能の沼のようになってしまっていると私は先ほど聞いていただきましたが、
その沼のような水が環境に出ていくことを防がなければいけませんので、
原子炉建屋周辺に、地下にダムを張り巡らせるということをやらなければいけないと私は思って、
2011年5月からその主張を続けています。
そのことは国も東京電力も最近になってようやく気がついてきて地下にダムを作る。
ただし、そのダムは凍土壁という土を凍らせて作るんだということを公表しています。
しかしその凍土壁というのは深さが30m、長さは1.4kmというような凍った壁を作らなければいけないわけで、そんなものは決してできないと私は思います。
やはりコンクリートと鋼鉄の遮水壁、ダムを作らなければいけないと思いますし、早急にそういうような形で対策を講じていくべきだと思います。
ご質問に対して今はあまりにもテクニカルなお答えになったかもしれませんので、もう少し基本的なことをこれからお答えしたいと思います。
事故は残念ながら起きてしまいました。
そしてその日に原子力緊急事態宣言というのが出されて、
4年以上経った今も緊急事態宣言は解除されていないのです。
だからこそ、日本の法律では許されないような場所に「人々を捨てる」というようなことも今現在行われているのです。
日本の国家にとって一番大切なことは、自分が出した原子力緊急事態宣言というものを撤回できるように最大限の努力をするということだと私は思いますし、
オリンピックなどと浮かれている場合では今はないのだと思います。
ご質問では「私が安倍さんだったら」という過程でご質問をいただきましたが、
もし、私が安倍さんであれば、まず真っ先にやることは「子供たちを汚染地帯から避難させる」ということです。
やらなければならないことは山ほどあって、全てお答えすることはできないと思いますので、
まずこれでよければ次のご質問に移りたいと思います。
1:07:47
フリー藤田:
フリーのジャーナリストの藤田裕行と申します。
サリーという科学者の団体がありまして、
例えばオックスフォード大学のウェード・アリソン先生、「放射能と理性」という本を出されていますけれども、そういった科学者の知見を聞きますと、
年100mSv程度の低線量放射線は健康に害を及ぼすどころか、むしろガンが減るとか健康にいいとか、
そういうことを言われているんですね。
その観点に立つとですね、もちろん除染も必要ないし、
子供達は学校の校庭で外で元気よく遊んだらいいし、汚染水も全然ためる必要がないと。
「どんどん、すぐ全部海に流したらいい」と
放射線が、今すごい放射線量が空気中に出たといってもですね、「放射線は低線量で全然健康に問題はない」と。
「癌にもならない」というようなことになるんですが、
そういう、ま、結構そういう人が増えているんですよ、今。
その辺はどう思ってらっしゃるんですか?
小出:
あまりにも愚かな主張だと思います。
人類が放射線を発見したのは1895年で、それ以降たくさんの放射線被曝と健康への影響が積み重ねられてきました。
その結果、現在の学問の到達点としては、
「被曝というものはどんなに低いものであっても必ず健康に影響がある」
というのが現在の学問の定説なのです。
だからこそ、この地球上でほとんどすべての国に「放射線の被曝に関する法律の規制がある」という、そういうことになっているわけです。
日本の場合も、「被曝には危険が伴うから、一般の方々は1年間位1mSvしか被曝をしてはいけない」という法律があるわけだし、私のような放射線業務従事者という労働者であっても、「1年間位20mSv以上の被曝はしてはいけない」ということを法律で定めているわけです。
それが全く間違いで「被曝は健康にいいんだ」というのであれば、法律でそういう制限を撤廃するというのがまずはじめにやるべきことだと私は思いますし、世界中の国々がそういう法律を決めている以上は、法律の定めによって国をきちんと運営するというのが、国の責任だと私は思います。
【特別企画】小出裕章さんに聴く~被ばくと避難~
「子供達を被ばくから守るということは、大人たちの最低限の義務」
4/25ふくしま集団疎開裁判の会(文字起こし)
ーおまけー 藤田裕行さん


南京虐殺否定を無断加筆 ベストセラーの翻訳者
2014/05/08 19:00 【共同通信】
共同通信の取材に答える英国人の著者ヘンリー・ストークス氏=7日、東京都千代田区
米ニューヨーク・タイムズ紙の元東京支局長が、ベストセラーの自著「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社新書)で、日本軍による「『南京大虐殺』はなかった」と主張した部分は、著者に無断で翻訳者が書き加えていたことが8日明らかになった。
英国人の著者ヘンリー・ストークス氏は共同通信に「後から付け加えられた。修正する必要がある」と述べた。翻訳者の藤田裕行氏は加筆を認め「2人の間で解釈に違いがあると思う。誤解が生じたとすれば私に責任がある」と語った。
同書はストークス氏が、第2次大戦はアジア諸国を欧米の植民地支配から解放する戦争だったと主張する内容。「歴史の事実として『南京大虐殺』は、なかった。それは、中華民国政府が捏造したプロパガンダだった」と記述している。
だがストークス氏は「そうは言えない。(この文章は)私のものでない」と言明。「大虐殺」より「事件」という表現が的確とした上で「非常に恐ろしい事件が起きたかと問われればイエスだ」と述べた。
藤田氏は「『南京大虐殺』とかぎ括弧付きで表記したのは、30万人が殺害され2万人がレイプされたという、いわゆる『大虐殺』はなかったという趣旨だ」と説明した。
だが同書中にその説明はなく、ストークス氏は「わけの分からない釈明だ」と批判した。
同書は昨年12月に発売、約10万部が売れた。ストークス氏単独の著書という体裁だが、大部分は同氏とのインタビューを基に藤田氏が日本語で書き下ろしたという。藤田氏は、日本の戦争責任を否定する立場。ストークス氏に同書の詳細な内容を説明しておらず、日本語を十分に読めないストークス氏は、取材を受けるまで問題の部分を承知していなかった。
関係者によると、インタビューの録音テープを文書化したスタッフの1人は、南京大虐殺や従軍慰安婦に関するストークス氏の発言が「文脈と異なる形で引用され故意に無視された」として辞職した。(共同=ベン・ドゥーリー、木村一浩)
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(台湾の地震と関係ある?日本海側の地域の放射線量がまとめて上昇中!北海道も!!)
と思って調べていたら、小出先生が今年の3月、石垣島で台湾の原発について講演をしている動画を見つけました。
台湾についての部分を文字起こししました。
「原発事故から学ぶ〜万一の台湾原発事故にどう備えるか〜」
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏講演会
2015年3月21日(土) 石垣市民会館中ホール
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h5m10s

では、石垣市の皆さんにどんなものがあるのかということですけれども、
この町は、いわゆる日本という中ではかなり離れたところにあって、
福島の原子力発電所からも一番遠い町です。
幸いに福島の事故の汚染は受けなかったのですけれども、近くに台湾があります。
台湾には今、4つの場所に発電所が建てられようとしていて、
第1第2第3は経ってすでに運転していて、
第4という発電所が、今巨大な原子力発電所なんですが、それが建てられようとしていて、
運転がされるのか、されないのか、ということで、今台湾の中で大変な問題になってしまっている原子力発電所があります。
それを契約したのは米国のGEという原発メーカーですけれども、
実際にやっているのは日立と東芝という、日本の原子力メーカーが作っています。
これも台湾の地図です。

第1がここですね(上の一番左)第2がその隣、
第3が一番南の端。
で、第4が今ここに作っているところです。

第4原発。
米国のGEが落札してものですが、日本にしかない特殊な原子炉で、
日立と東芝が原子炉容器を作り、三菱がタービンを作るという、
いわゆる「日の丸原発」です。
世界に類を見ない原子力発電所を今日本が台湾に押し付けようとしている、そういう状態になっています。
どこに?っていうと、さっき地図で見ていただいた場所ですけれども、
あの場所はどういう場所だったか?というと、
1892年に日本が台湾に押しかけて行って日本軍が台湾に上陸したんですが、
上陸した地点が第4原発を建てようとしているところで、

これ(右の四角い建物)が第4原発で、ここ(正面)に記念碑がありますが、
これは抗日記念碑です。
日本が台湾に上陸してきて侵略を始めたその場所に、台湾の人たちが日本に抵抗するという記念碑を建てている。
その場所に第4原発が建てられようとしています。
ちょっと話が脱線しますが、
福島第一原子力発電所の事故は地震によって引き起こされました。
地震というのはマグニチュードという単位で測られるということは皆さんご存知だろうと思います。

今ここに3から10まで数字を書いていますが、これがマグニチュードです。
いったいマグニチュードってなんなのか?というと、
地震が起きた時に地下でエネルギーが放出されるわけですけれども、
その放出されたエネルギーを、ある数式に代用して弾きだしたのがマグニチュードという値になります。
左の軸に0.0001、0,001・・・100000と書いてありますが、
これは、地震が起きた時に放出されるエネルギーの量を左の軸に書いてあります。
1段上がるごとに10倍ずつ増えていくという、ちょっと特別な表示ですけれども、
対数方眼紙と私たちが呼んでいるものです。
ではこの数字の単位はなんなのか?というと、
私は、広島の原爆が炸裂して、広島の街を一瞬にして壊滅させた時のエネルギーを単位にしてこの軸をとりました。
1のところが広島原爆が放出した、ということで表しています。
では、マグニチュードとエネルギーの関係はどうなっているか?というと、
こういう直線(水色)で表すことができます。

これはどう読むか?というと、マグニチュード6の地震というのは、ずーっと上がっていってここにぶつかる。
この横軸の数字を見ると1という数字のところに行っているのがわかっていただけると思います。
本当は1じゃなくて、もうちょっとだけ小さいんですけれども、まぁ1だと思ってください。
つまり、「マグニチュード6という地震が起きた時は地下で広島原爆が一発爆発した」と思っていただければいいと思います。
そのくらいの地震がマグニチュード6です。
そして、マグニチュードとエネルギーの換算式というのが、ちょっとへんてこりんな換算式でできていまして、

マグニチュードが6から8まで2上がると、放出するエネルギーが1000倍大きいと。
そういう換算の仕方をしています。
つまりマグニチュード8という地震が起きた時には、
広島原爆1000発分のエネルギーが地下から放出されるという、そういう地震になるということです。
私が住んでいる関西では1995年に阪神淡路大震災と呼ばれるような大きな地震が起きて、
神戸を中心として6500人ほどの人たちが死にました。
それはマグニチュード7.3という地震だったんですが、
広島原爆が放出するエネルギーと比べると82発分でした。
1995年1月17日の朝早く、淡路島から神戸・西宮にかけて、
広島原爆が82発連続して爆発していった。
そのために神戸という人工的な街が崩壊してしまったというのがこの地震でした。

でももっと大きな地震もあります。
例えば関東大震災というのはマグニチュード7.9でしたし、
十勝沖地震というのはマグニチュード8でした。
今言った広島原爆約1000発分の地震というのが関東大震災であったり、十勝沖地震であったりしたわけです。
そして2004年にはスマトラ沖地震というのが起こりました。
スマトラで地震が起きて、インド洋を津波が渡って行って、アフリカまで到達したという巨大地震でした。
20万人近い人々が命を落とした地震でした。
そして2011年、東北地方太平洋地震が起きたのですが、これはどちらもマグニチュード9でした。
こういう地震は広島原爆に換算すれば、約3万発分です。
そんなエネルギーが放出されるという、
そういうことが自然の現象として起きるのです。
人間が願うわけではありません。
こんな地震を願った人間なんか、誰一人いないはずですけれども、
でも地震というのはそうやって襲ってくるというものなのです。
もっと巨大な地震も実はありました。

1960年にチリ地震というのが起きました。
マグニチュード9.5でした。
この場合には、広島原爆20万発分というような巨大なエネルギーが放出されて、
この時にはチリから太平洋を渡って、日本にまで津波が押し寄せて、
東北地方の三陸沿岸が壊滅したということが起こりました。
地震というのはそういうものなのです。
これからも度々地震は起きるだろうと言われていて、
東海地震、東南海地震、南海地震という地震は、
多分近い将来に、マグニチュード8〜9で。

つまり広島原爆何千発・何万発というような地震がこれからの西日本でどんどん起きていくだろうと言われている。
そういうところにこの日本という国はあるわけです。

これが東北地方太平洋沖地震での津波です。
もうどうにもならずに集落が壊滅していくということになりました。
石垣島でも明和という時代でしたか、津波が襲ったということで、
津波の高さで30何メートル、盛り上がった高さで10何メートルという津波が襲ってきたということが記録されているそうですけど、
もう人間技ではないんです。
人間がどんなに頑張っても防ぐことができないようなことが時には起きてしまうというのが、地震であったり津波であったりするわけです。

これが世界地図ですけれども、
地震がどこで起きたかということを赤いマークで書いてあります。
この地球という星では地震は起きるわけですね。
皆さんも地震は、それなりには慣れ親しんでいると思いますけれども、
でも、地球という星の中では地震がどこででも起きるわけではありません。
地震が起きるところはチリのあたりから太平洋側をずーっと北上してきて、
アリューシャン列島を渡って日本のあたりからずーっとニュージーランドに至る、太平洋を取り巻くこの一帯。
そして中国から地中海に抜けていくこの一帯。
それぐらいしか、ほとんどこの地球では地震が起きないわけで、
皆さんにヨーロッパのお知り合いとかがいるとすれば、聞いてください。
地震って知ってるか。
ヨーロッパってほとんど地震がないんですね。
だから大地が揺れるなんていうことは、ほとんどのヨーロッパ人は知りません。
そして黒い丸印があちこちに打ってありますが、
これは原子力発電所が建っている場所です。
一番原子力発電所があるのは米国ですが、約100基を超える原子力発電所を作りました。
でも、みんな、ほとんどは東部にあります。
つまり、地震が起きないところに原子力発電所を建てる。
そしてヨーロッパというところもカントリア(?)大地という非常に安定した大地にあるので、
ヨーロッパも150基近い原子力発電所を建てることができました。
世界で原子力を牽引してきた米国もヨーロッパも、地震がなかったから原子力発電所を建てることができた。
しかし日本は、ここです。
台湾もこの辺ですね。
石垣島もこの辺にあるはずですけど、
世界一の地震地帯になってしまっています。
そこに58基の原子力発電所を建てたわけで、
日本地図がもう見えないくらいに作ってしまったということになりました。
もし、台湾の第4原発、日の丸原発で事故が起きた時にどんな被害が出るか?ということを計算してみました。
計算は、もともとは米国の原子力規制委員会というところが示してくれた、
「原子炉安全性研究」という膨大な研究があって、
その中で「原子力発電所ではこんな事故が起きるだろう」ということをいくつか想定して計算しているんですが、
その米国の規制委員会が考えたかなり大きな事故タイプの一部はBWR2型という形なんですが、
もしそんな事故が起きた時にどんなになるか?

この事故は福島第一原子力発電所の事故よりもさらに大きな事故なんですが、
そんな事故が起きたらどんなになるか?ということを計算してみました。
ごく普通の気象条件を考えて計算してみたところ、
台湾で一番最悪な場合、台北がごく近くにあるんですが、
台北方向に風が流れて行った時には、3万人もの人が急性で死んでしまうし、
のちに癌で死ぬ人が700万人。
台湾の人口の3分の1もの人が癌で死ぬという、
そんな事故すらが起きるという計算結果が出てきました。

ここに第4原発があって、台北がここにあるんですけれども、
偏西風ではない、むしろ逆に東側への風が吹いていて、台北の方にもし風が行けば、
今聞いていただいたように3万人近い人たちが急性で死んでしまうというような結果になりました。
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h18m24s
これが台湾の地図です。
これが石垣島です。

第4原発がここにあります。
台北(たいぺい)がここにある。

ここに石垣島があります。
先ほど私は一番初めに、
「原子力発電所から250kmの円を描くと、日本国中、道東と沖縄を除けば全部隠れてしまう」
と、皆さんに聞いていただいたわけですけれども、

皆さんはそれを聞いて安心したかもしれませんが、
第4原発から250kmに石垣島がすっぽりと入ります。
それくらいの距離です。

ここに一枚地図を載せました。

これは東北地方関東地方の地図で、色が塗ってあるところが、
先ほどの日本国政府が作ったのとはちょっと違う地図なんですけれども、基本的に同じだと思ってください。
色の塗ってあるところが基本的に放射線管理区域にしなければいけない汚染地帯ということで。
縮尺は石垣島や台湾の縮尺と合わせてあります。

ちょっと透かしてみて、見にくいかもしれませんが、
福島第一原子力発電所の事故による放射線管理区域の汚染地帯の広さというのは、
ほとんど台湾全土に及ぶという広さになっています。
そしてもし、これをちょっと回転させて、石垣島の方に放射能が流れてくるようにすれば、

やはり石垣島だって、福島程度の事故が起きても放射線管理区域にしなければいけないように飲み込まれてしまう。
でも福島程度の事故だって、先ほど聞いていただいたように、さらに巨大な、もし事故が起きた時に、
沖縄県に住む方々がどれほどの被害を受けるか?というのを一覧表にしたのがこれです。

石垣市が一番上にあります。
この辺の市街地の名前が載っているはずです。
で、事故が起きて放射能が噴き出してきて、石垣市まで、例えばどのくらいの時間で到達するのか?というと、
多分240kmぐらい離れているんですけど、1日と4時間経つと放射能が石垣市に流れてきてしまうという。
そして、1週間後にもう全員いなくなる。あるいはひと月後に全員避難、あるいは5年後までは避難できないという3種類の例で考えて、どのくらいの被曝になるのか?ということが書いてありますし、
これぐらいの被曝になると、何人の人たちが癌で死んでいくかというのが次のになります。
石垣市で急性で人が死ぬということはありません。
ですから台湾の原子力発電所で事故が起きても、急性で皆さんが死んでいくということはない、はずだと思います。
でもそこにとどまってしまって被曝をするとすると、
やがて死んでしまうガンの死者が何人か?というような推計をしているわけです。
1週間後にみんなが逃げられるとすれば2000人ぐらいの被害で済むし、
ひと月間、ひと月まで逃げられなければ3000人ぐらい。
5年間逃げられないとすれば1万数千人の人の人たちが、やがて被ばくによってガンで命を落としていくだろうと、そういう計算になりました。
こういうことが起きるのをもちろん私は願いませんし、
でも事故というのは時に起きてしまうかもしれませんし、
世界一の地震帯のある、日本あるいは台湾というところで、場合によってはこういう事故が起きるかもしれないということを、やはりみなさんも覚悟していただかなければいけないだろうと思います。
当初、私に頂いたタイトルは、「万が一の台湾事故にどう備えるか?」というタイトルだったんですけど、
私はどう備えるのかと考えても備え方がわかりませんでした。
もし事故が起きてしまえば「もうどうしようもない」と。
「やはり、原発を動かさないということが唯一のやり方なんだろうな」と私は思いまして、
今日のタイトルをちょっとだけ変えさせていただきました。
1:23:50〜https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h23m50s

質問:台湾の第4原発阻止の活動をしている組織と手を繋ぐにはどうすればいいですか?
小出:
台湾の中でもたくさんのグループが原子力発電所に反対して活動しています。
反対している政党もありますし、弁護士のグループもありますし、のグループもあります。
私自身も台湾に呼んでいただいて、台湾で講演をしたこともありますし、
ご紹介いたしますので、後ほどお渡しできると思います。
質問:台湾で事故が起こった場合の想定で使われた数字は先生のお考えになったものですか?
小出:
この事故のは私が想定したのではなくて、
米国の原子力規制委員会という政府の組織があって、
その規制委員会が、「原子力発電所ではこんなタイプの事故が起こるだろう」ということをたくさんリストにして、
「こういう事故が起きた時にはこういう結果になります」という、
そういうシミュレーションのより方を公表してくれている。
そのうちの一つの事故が「もし第4原発で起きたとしたら」ということで、
米国の原子力規制委員会がやったシミュレーションの仕方を私がやった結果です。
1:30:14
質問:
福島原発では大部分が海洋の方に流れましたが、台湾原発事故が起きた場合、東側の石垣は相当汚染されますか?

小出:
福島第一原子力発電所の場合は偏西風に乗って、吹き出してきた放射性物質がほとんどは太平洋に流れていってくれた。
だから大地が汚れた分は少なかったんだということを聞いていただいたんですが、
もし、この第4原発で事故が起きて、偏西風に乗って流れてくるとすれば、
石垣に向かって流れてくるということになるわけですから、
福島第一原子力発電所で、日本の大地。
福島第一原子力発電所から見れば、いわゆる内側にある大地が汚れた以上に、多分石垣は汚れるということになると思います。
1:41:42
質問:
放射性物質による抵抗力の低下は考えすぎなのでしょうか?
医療関係者は研究が進んでいないのでしょうか?
小出:
放射線というのを人類が発見したのは1895年なんです。
ドイツのレントゲンという物理学者がいて、その人が実験中に
テレビのブラウン管のような装置を使って実験していたんですけど、
その実験中になんか不思議な光が存在するというのを見つけて、
不思議だということでX線という名前をつけたわけです。
ですから、皆さんがレントゲン撮影と呼ぶものもあるだろうし、X線撮影と呼んでもいるでしょうが、
それができたんです。
その頃は要するに放射線というものがなんだかわからなかった時代なんですけれども、
その放射線の正体を突き止めようとして、たくさんの人たちが研究をしたのです。
皆さんはキューリー夫妻ってご存知だと思いますけど、
キューリー夫妻たちもそうです。
猛烈に優秀な学者たちが、ともかく放射線というものの正体を知りたいというので研究を始めた時代があったのですけれども、
いかに猛烈に優秀な学者であっても、正体を知らないまま研究をしていたわけです。
そのためにキューリー夫妻の旦那はピエールというんですけれども、
ピエールは被曝をして体がボロボロになってある日ふらふらと道路に倒れるように出て行って、馬車にはねられて死んでしまうんです。
で、マリーの方、キューリー夫人と呼ばれているマリーの方は白血病になって死んでしまうんです。
そのほかにもたくさんの被爆者たちが被曝をしたことによって死んでしまうという、そういう時代もその当時あったのです。
そして、「大量に被曝をしてしまうと人間は死んでしまう」ということはその頃からだんだんわかってきた。
キューリー夫人でもなんでも、放射性物質を実験着のポケットの中に入れていたので、
ポケットの周りの皮膚が火傷をしたりしているわけです。
ですから、「たくさん被曝をすると火傷をしてしまう」ということも当時からわかっていたわけです。
一番たくさんの、被害のデータが得られたのは何か?といえば、広島長崎の原爆被爆者です。
もちろん死んでしまう。
たくさん被曝をすれば死んでしまうということもわかったし、
火傷をしてしまうということも分かったし、
髪の毛が抜けてしまうということも分かった。
吐き気がする、下痢になるということもその時からわかっていたわけです。
それを私たちは急性障害と呼んでいるんですけれども、
被曝をしてすぐに目に見えるように出てくる病気がいろいろなものがあるというのは原爆被爆者の例でわかったわけです。
ただし原爆の被爆者というのは、いわゆる戦争中なわけですし、
きちっとした調査ができない。
ほんとうにすぐ目で見えるようなものが、こういうものがあるということがわかったわけです。
それ以降、じゃあどうなったか?というと、
仮にその時に生き延びた人間には無害なのか。
「被ばくは無害なのか」ということを知りたい、ということで
日本にABCCというリストを作って被爆者を集めて調べる調査を始めたのです。
約10万人の被爆者を抱え込んで、
「毎年自分の研究所に検診に来い」と呼んだわけです。
そのABCCは検診はするんです。
こいつの病気はこうなっている。
どういう病気になった。
都いうようなことを検診はするんですけど、絶対に治療はしない。
それで被爆者と同じような人たちと同じぐらいの数を集めて、
こっちのひとも検診に呼んで調べていったわけです。
で、絶対に治療はしない。
で、被爆者の方にどういう病気が出てきたか、
被曝をしていない人たちの方にどういう病気が出てきたか、
ということを、何万人も比べながら調べる、調査をするということをやったわけです。
それで調査を始めてから何年か経つと、
被爆者のグループの方に白血病が多いということが決まっていく、わかりました。
次は、がんが多いということがだんだんわかってくるわけです。
でもそれは、治療をしてしまうとダメなんですよね。
治療をしたら要するに治ってしまったりするわけですから、一切の治療はしない。
ただただ調査だけするという。
そういうことをやり続けて、白血病が多い、癌が多い、ということがだんだんわかってくる。
それの調査をどんどんどんどん長いことやればやるだけ、
被ばくの量が少なかった人でも白血病や癌が多いということがわかってきた。
またどんどん長い時間が経つと、もっと被ばくが少ない人でも白血病や癌が多いということがわかってくるという、
そういう調査をすでに70年やっているわけです。
何万人もの人たちを何十年も調査をすることによって、
初めてどういう病気が出てくるのかということがわかってくるという、
そういう調査をやってきながらここまできているわけです。
最近になってでも、被ばく者の中には白血病や癌だけではない、他の病気。
心臓系の疾患なども段々多くなってきているという、ことがわかってきているのです。
でもそれが分かるまでに、今聞いていただいたように、
ものすごい長い時間をかけて、ようやくにしてわかってきたということなのです。
それが科学というものなわけですし、
一切治療をしてはいけないという、大変非情な、そういう調査をしなければわからないということでここまで来ているのです。
私自身は、被ばくというものは、どんな病気でも、多分起こりうるだろうと、思っています。
ただそれが本当に被ばくとの関係があるかということを、いわゆる科学的に立証しようと思うと、
ものすごい膨大な数の人たちをものすごい長い期間調べないことには物が言えないという、
それが科学という、非常に非情な世界なのです。
ですから科学で被ばくによってこれが出るということが言えないのです。
でも私は、今聞いていただいたように、被曝というのはあらゆる病気を引き起こすだろうと思っていますし、
特に答える部分がはものすごく生き物には多いので、仮に今までの科学で、「こんなことは起きないよ」と。
「起きることが証明できなかったよ」というようなものでも、
ある病気に関してはある人に現れるというようなことは、多分あるんだろうと私は思います。
でも申し訳ありませんが、それを科学的に証明しろと言われてしまうと、
私にもできないし、多分今の科学の段階ではできないことなんだと思います。
すみません、お答えには全くならないんですけれども、科学というのはそういうものだと思っていただくしかないです。
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森:
アメリカ政府のDepartment of Energyが出している放射性検査についての関連でご質問させていただきたいと思います。
放射線汚染の地図というのは、実データで出しているものはほとんどなく、
アメリカ政府のデータは結構貴重かなと思っているんですけど、
先生がご覧になって、放射性ヨウ素の汚染地図のデータをご覧になっての感想をお聞かせいただけますでしょうか?
小出:
まずはデータが少ないっていうことですね。
もちろんDOEのデータというのは、森さんがおっしゃったように大変貴重なものです。
日本の政府、あるいは研究機関が福島第一原子力発電所の事故にはほとんどが対応できない。
後手後手になってしまって、事故直後の放射能測定に関しては、
ほとんど何もできないままデータがなかったわけですが、
それに比べれば、さすがに米国のDOEというのは、事故直後から活動を始めてデータを取ったということで、貴重なデータだと思います。
それでもやはり、データが足りなすぎるというのが、…事実です。
Department of Energy
アメリカ合衆国エネルギー省(United States Department of Energy、略称:DOE)は、
アメリカ合衆国のエネルギー保障と核安全保障を担当する官庁である。
その役割は核兵器の製造と管理、原子力技術の開発、エネルギー源の安定確保、
及びこれらに関連した先端技術の開発と多岐にわたる。
森:
甲状腺癌を引き起こす素だと言われているんですけれども、
放射性ヨウ素自体で気をつけなければいけない県というのはどの辺りまでなのか?
小出:
ヨウ素というのは皆さんご承知だと思いますが、
揮発性の高い元素でして、原子力発電所の事故が起きれば、
希ガスと言っている完全にガス状の放射性物質は、もう、ほとんど全部出てきてしまうんですが、
それに次いで大量に出てきた放射性核種です。
で、その次に大量に出てくるのがセシウムと、皆さんもよく聞かれる放射性核種なんですが、
このセシウムよりも、むしろヨウ素の方が大量に環境に出てきたものです。
そしてセシウムに関しては、これは今日までに大量のデータが出てきていますし、
どの程度の範囲まで汚染が広がっているということも、「ほば確定的にわかる」という状態になっています。
ヨウ素の方は、そのセシウムに比べれば、おそらく一桁大量に出たはずなのですが、
一番長い放射性核種のヨウ素、ヨウ素131というのですが、
それでも半減期が8日。
8日経つと半分になってしまう。
また、8日経つとそのまた半分になってしまう、という寿命が短い放射性核種なので、
測定に手間取っているうちにどんどん消えてしまってしまって、
実態がつかめないという状態になっているのです。
ただし、今聞いていただいたように「セシウムに比べて約10倍出た」と思われますので、
セシウムに比べても広範な範囲が、放射性ヨウ素によって汚されたと言っていいだろうと思います。
セシウムに関しては、うーん…そうですね、一言でいうのがとても難しいけれども、
例えば福島第一原子力発電所から、40km、50km離れている所、
方向で言うと北西の方向ですけれども、
福島県の飯舘村と呼ばれている村があった、所までは猛烈な汚染になっていて、
今現在も強制避難区域で飯館村も全村離村になってしまっているわけです。
40km、50km離れている所です。
ではそれでセシウムの汚染が収まったかと言えばもちろんそうではなくて、
福島県の中通り、そして栃木県の北半分、群馬県の北半分、
あるいは茨城県の南部北部、宮城県の南部北部、千葉県の北部、東京と埼玉県の一部というところまでが、
日本の法令を守るのであれば「放射線管理区域にしなければいけない」というほどの汚染を受けたのです。
ですから当然、ヨウ素に関しても事故直後には、
今聞いていただいたように「広範囲の区域で放射線管理区域にしなければならない程の汚染を受けたはずだ」
と思います
日本全体の放射性ヨウ素の汚染マップ ホワイトフード
情報ソース
*USDepartmentofEnergy
http://energy.gov/downloads/us-doennsa-response-2011-fukushima-incident-data-and-documentation
県別の放射性ヨウ素の検出値
東京都
・港区 7,637Bq/kg(2011年3月30日)
・千代田区 5,154Bq/kg(2011年3月30日)
・西多摩郡 1,109Bq/kg(2011年3月30日)
神奈川県 (2011年3月30日ベースで考える)
・横浜市 2,789Bq/kg(2011年3月28日)
・横須賀市B 879Bq/kg(2011年4月10日)
・逗子市 811Bq/kg(2011年3月28日)
・横須賀市A 762Bq/kg(2011年4月6日) 2倍で8日前その2倍で16日前 3.048
・相模原市 220Bq/kg(2011年4月7日) 上と同じでほぼ2倍2倍で計算 880
・三浦市 127Bq/kg(2011年4月7日)
・小田原市A 104Bq/kg(2011年4月7日)
・小田原市B 86Bq/kg(2011年4月7日)
・平塚市 72Bq/kg(2011年4月7日)
千葉県 3月30日
2011年4月7日 香取市 370Bq/kg 1,480
2011年4月7日 野田市 346Bq/kg
2011年4月7日 成田市 263Bq/kg
2011年4月11日 旭市 137Bq/kg
2011年4月7日 山武市 132Bq/kg
2011年4月7日 千葉市 131Bq/kg
2011年4月7日 木更津市 87Bq/kg
2011年4月7日 館山市A 87Bq/kg
2011年4月7日 睦沢市 43Bq/kg
2011年4月7日 館山市B 15Bq/kg
宮城県 3月30日
2011年7月4日 宮城県白石市福岡深谷 1,121Bq/kg 9,183,232
2011年7月4日 宮城県柴田郡柴田町大字入間田 898Bq/kg 7,356,416
2011年5月4日 宮城県名取市下増田 861Bq/kg
2011年7月4日 宮城県伊具郡丸森町金山 806Bq/kg
2011年7月4日 宮城県栗原市一迫真坂 427Bq/kg 3,497,984
2011年7月4日 宮城県黒川郡大和町落合桧和田 358Bq/kg
2011年7月4日 宮城県柴田郡川崎町大字支倉 345Bq/kg
2011年7月4日 宮城県仙台市泉区福岡 252Bq/kg 2,064,384
2011年7月4日 宮城県登米市迫町北方 248Bq/kg
2011年7月4日 宮城県遠田郡美里町牛飼 234Bq/kg
2011年7月4日 宮城県大崎市古川宮沢2 34Bq/kg 278,528
2011年7月4日 宮城県登米市南方町新亀代 220Bq/kg
2011年7月4日 宮城県大崎市鳴子温泉 159Bq/kg
2011年7月4日 宮城県栗原市志波姫新上戸 157Bq/kg 1,286,144
2011年7月4日 宮城県加美郡色麻町王城寺 157Bq/kg
※ピンクの文字と数字は私が書きました
港区の数字がとても大きいと思った。
よく見たら、採取した日付が違う。
ヨウ素131は半減期が8日しかないので、どんどん数字は小さくなる。
7月4日だと、3月30日から99日目になる。
8日で割ると13回半減期を迎えていることになる。
2×2×‥‥13回=8,192倍になる。
でも、3月30日では、爆発してからすでに2回の半減期が過ぎているし、
その後もずーっとで続けていたから、ちっとも正確じゃないけど、
半減期を考慮した数字も計算してみた。
森:
続きましてアメリカ政府のデータで、
ストロンチウムとプルトニウムのデータがあるわけなんですけれども、
福島第一原発事故の影響なのか?
あるいは大気圏内核実験の影響なのか?
どのような見解おを持ちでしょうか?
小出:
ストロンチウム90という放射性物質は、人体に対して大変毒性の高い放射性物質です。
プルトニウムはさらに毒性の高い放射性物質です。
でも、
でも、というかまずですね、
「人類がこれまでに一番被ばくを受けた」という原因は、
福島第一原子力発電所の事故でもない。
チェルノブイリ原子力発電所の事故でもない。
1950年代から60年代にかけて、長い時間にわたって行われた
「大気圏内核実験」というものがばら撒いた放射性物質から被曝を、最大に受けているのです。
考えていただければわかると思いますが、
大気圏内核実験というのは、空中で原爆、水爆を爆発させるわけですから、
「一切遮るものがないまま核分裂生成物が空気中にばらまかれてしまう」ということになるわけです。
ですから、その放射性物質が揮発性であろうが、揮発性がないものであろうが、水に溶けやすかろうが溶けにくかろうが、とにかく全部が出てきてしまうという、そういう汚染の仕方をするのです。
そして人類が大気圏内核実験で受けた汚染のうち、最大の被曝原因というのがストロンチウム90なのです。
ですから大変重要な放射線核種なのですが、
福島第一原子力発電所の事故の後は、
希ガスは
…、全量出た。
ヨウ素も、大量に出た。
そしてセシウムもかなり大量に出たわけですけれども、
ストロンチウム90という放射性物質は揮発性が少ないが故に大気中には出てこなかったのです。
「セシウムに比べると、多分1000分の1ぐらい」だっただろうと思います。
そしてプルトニウムという放射性物質は、さらに揮発性が少ないので、
「ストロンチウムに比べてもさらに1000分の1ぐらいしか出なかった」と、私は思っています。
ですから先ほど聞いていただいたように、
セシウムに関する限りは東北地方関東地方の膨大な地域が、放射線管理区域にしなければいけないほどの汚染を受けてしまったわけですが、
ストロンチウムに関しては、
ほとんど、敷地の中、あるいは、近傍は多分問題だと思いますけれども、
広範囲の汚染というのは多分無かっただろうと思いますし、
ましてやプルトニウムに関しては、広範囲の汚染は福島第一原子力発電所の事故では生じなかったと思っているのです。
そして、森さんが丹念にDOEのデータをまとめて、地図に示してくださったわけですけれども、
少なくてもプルトニウムに関しては、おそらく、日本の数カ所で測定をしているわけですけれども、
それは「大気圏内核実験による影響だろう」と思います。
ストロンチウムも、ほとんどは多分、
ほとんどというか大気圏内による汚染が、日本中というか、世界中に全部に存在しているわけですし、
今回のDOEのデータを見ると、ほとんどは大気圏内核実験の残りというか、その影響だと思います。
ただし、森さんが作ってくれた地図を見ると、
「福島を中心にして何か汚染が高い」のが棒グラフになっているのですが、
高いように、私には見えますし、
ま、それも言ってみれば当然のこと。
ストロンチウム90も事故によって噴き出してきているわけですから、
福島近辺が、大気圏内核実験の汚染の上に上乗せされて見えるようになっているということだと思います。
森:
先生はいつも陸上はストロンチムよりはセシウムというふう以後説明されてて、
ただ、海に流ているものに関しては、セシウムとストロンチムも調べた方が良いかもしれないというご見解をお持ちだと思うんですけれども、
小出:
そうです。
今聞いて頂いたように、ストロンチムという放射性物質は、セシウムに比べると揮発性が少ないので、
大気中に飛び出してきたという量と比べる限りは少なかった。
たぶん1,000分の1ぐらいで済んだわけですけども、
ストロンチムという放射性物質は水に溶けやすいのです。
セシウムも溶けやすいのですけれども、ストロンチムも水に溶けやすい。
そして、原子炉の炉心の中には、ほとんど同量存在しているという、そういうものなのです。
ですから原子炉がすでに溶け落ちてしまって、
その落ちた炉心に、4年間為す術がないまま水をかけて冷やそうとしてきたわけですが、
それが全て放射能の汚染水になっています。
その放射能汚染水の中には「セシウムとストロンチムはほとんど同量の汚染で存在していたはず」だと思います。
ただし、セシウムという放射性物質は、
水に溶けやすいけれども、一部の粘土鉱物に大変選択的に吸着しやすいという性質を持っていまして、
東京電力などは、たとえばゼオライトという粘土鉱物に通すことによって、
セシウムを汚染水の中から捕捉している、捕まえているわけです。
ですから汚染水の中のセシウムは、かなりの部分が除去されています。
しかしストロンチムに関しては、ほとんど今のところ何もやっていないという状態のわけで、
放射能汚染水の中には「セシウムはかなり減っているけどもストロンチムは大量に存在している」
という状態になっているわけです。
その汚染水が毎日のように海に向かって流れ出て行っているわけですから、
海の汚染ということに関する限りは、
今度は陸の汚染とは逆にセシウムではなくストロンチムを注目しなければならいと思います。
森:食べ物に関しては魚の骨とかそういうものに気をつけなければいけないんですか?
小出:
えーっとですね、セシウムという放射性物質が今問題になっているのですけれども、
セシウムというのはアルカリ金属元素類という、そういう一群の元素類に属しているのです。
アルカリ金属という元素の属はですね、属にはカリ、カリウムという元素もあるのですが、
カリというのは人間にとっては絶対に必要な元素でして、
人間の体全部、筋肉組織には全てカリが存在しているという状態なのです。
ですからセシウムをもし人間が摂取するようなことになると、カリと同じような挙動を取りますので、
全身の筋肉組織に分布して全身をくまなく被曝させるという形で被曝をさせるということになるのです。
ストロンチウムは、今度はアルカリ土類金属という、また別の元素類に属していまして、
その中にはカルシウムという元素が属しています。
皆さんカルシウムってご存知だと思いますけど、要するに骨に蓄積するという、そういう元素なのです。
ですから、ストロンチウムを摂取してしまうと、カルシウムと同じような挙動を取りますので、
骨に溜まっていってしまうということになるのです。
ですから魚にしても、ストロンチウムに汚れた海で生きているとすれば、
そのストロンチウムを体の中に取り込んで、骨に中心的に溜まっていくということになります。
ですから、例えば大きな魚を獲ったとして、
「骨は食べない、身だけ食べる」ということにすれば、ストロンチウムの被曝はかなり防ぐことができるわけです。
でも小魚のようなもので、もう丸ごと食べてしまうということになれば、
ストロンチウムをそのまま人間が食べてしまうということになります。

13:24〜https://youtu.be/nS-9xX-u3uE?t=13m24s
森:
モニタリングポストのデータを使ったホワイトフードの空間線量の地図で、
月平均と比較して高くなると色がつくようになっているんですけれども、
どういったケースで月平均より高くなるケースが想定されますでしょうか?
小出:
多分、自然とか環境というのは様々な要因が絡んでいるわけで、
空気中の放射線量というのも、常に変動しています。
例えば、大地というのは、天然の放射性物質がいろいろ入っています。
ウランであるとかトリウムというものも入っているわけですけれども、
そういう大地からは、日常的に放射性物質が、ま、空気中にも染み出している、のです。
特に問題なのは、ラドンというような、完全に気体の放射性物質なんですが、
それが染み出しているんですね。
例えば夜なんかだと、大気が安定しているので、染み出してきたラドンが地表付近に存在しているのです。
昼間になると日射が走ったりして大気がかき回されますと、
染み出してきたラドンが全部に、上空も含めて全部に拡散していく。
つまり「薄まっていく」ということになりますので、
地表付近のラドンをずーっと測定していると、
朝方は高いけれども、日中になると低くなっていって、
また朝方、夜になると高くなるという、こうやって変動しているというのです。
そんなこともありますし、森さんが福島周辺に特に気をつけて測定しているときに変動があるか?というのは、
かなりのものが、私は多分「雪」だと思います。
雪によって、一部は大気中に漂っている放射性物質が落ちてくる、地面を汚すということはあるし、
逆に今度雪というのは、地面からの放射線を遮る遮蔽材になるということになっていますので、
雪が降るかどうかでかなり上がったり下がったりしてしまって、
月平均から外れるというデータは出てくるということはあり得ると思います。
そしてもう一つというのは、森さんがもちろん心配しているように、
福島第一原子力発電所からは今でも放射性物質が噴き出してきているわけですし、
それが風に乗ってあちこちに流れて行っているわけで、
風がどっちの方向に流れているか?ということで、
その場所に置いてある放射線測定器の値が上がったり下がったりすることになっているというわけです。
ですから、かなり多様な要因が絡まっていますので、
その要因をできる限り分離して測定するのを考えるというか、
この日は雪が降っていたのか?とか、
高い値は朝出ていたのか?日中に出ているのか?とか、
そういうことを注意しながら、ま、考えるしかないと思います。
ただいまの空間線量
ホワイトフード
サービス内容
国が全国に設置されたモニタリング・ポストで観測された放射能の空間線量の過去30日間の平均を著しく超える場合に、放射能速報メールを送る仕組みをつくりました。
原子力規制庁が福島県および全国に設置している3,931箇所のモニタリングポストの空間線量数値が、過去30日平均の空間線量と比較して、数値があがった場合、下記のように色分けして表示しております。
10分更新になっております。
赤: 30日平均の2倍の空間線量
黄: 30日平均の1.5倍〜2倍未満の空間線量
橙: 30日平均の1.25倍〜1.5倍未満の空間線量
青: 30日平均で1.5倍未満の空間線量
森:
先生は3月末でご退官予定だと思うんですけれども、
ご退官された後はどのようにお過ごしされる予定でしょうか?

小出:
はい、え…、「仙人になります」と、言っています。
この間も2月27日に、この原子炉実験所の中の私の研究グループがずっとセミナーを続けてきて、
私が定年で退職する前にもう一度喋れと言われまして、しゃべりました。
その会場でも私が話し終えてから質問の時に、「退職したらどうするのか?」という質問が出てきて、
私はその時も「仙人になります」と言って答えました。
定年というのは単なる社会的な制度に過ぎないわけですけれども、
でも一方で、生き物は年老いていくし、いずれ死ぬということも避けられないわけです。
もちろん私も、いずれはどんどん年老いて、いつか死ぬわけであって、
定年というものも「それをきちんと考えておけよ」という一里塚なんだろうなと思いますので、
定年を機に私は少しずつ退いていこうと思っていますし、
これまでもそうでしたが、私しかやらない、私しかできないような活動は担おうとは思いますけれども、
できる限りこれからは退いていく。
ま、仙人になっていくというつもりでいます。
森:
ホワイトフードとのおつきあいがこれで5年目に入ってきたんですけれども、
今までずっと無償で嘱託をなさってきたわけですけれども、
ホワイトフードへの応援メッセージとしてはどのようなものがいただけるでしょうか?

小出:
ありがたく思っています。
残念ながら福島第一原子力発電所の事故は、事実として起きてしまって、
私には時間を元に戻す力がありませんので、
この汚れた世界に生きるしか、もうないのです。
そうなれば何ができるか?といえば、
私はこんな事故を防げなかった大人の責任として、
「せめて子どもの被曝だけは少なくしたい」と思い続けてきましたし、
そのためには、食べ物がどれだけ汚れているということを、知らない限りは手の打ちようがないという状態になっているわけです。
そういう状態で、森さんがホワイトフードという会社を立ち上げて、
多分森さんにとっても難しかっただろうと思いますけれども、
放射能の測定というようなことを始められて、今日まで続けてきてくださって、
どの食べ物がどれだけ汚れているということをかなり厳密に測定して多くの人に知らせるということをやってくださっているわけですから、
私から見ると大変ありがたいと思っています。
森:
ありがとうございます。
最後に、ホワイトフードの動画をご覧になっているのは小さいお子さんをお持ちのお母さんが多いんですけれども、
最後にお母さんがたに対してアドバイスをいただけますか。

小出:
今聞いていただいた通りです。
残念ながらもう事故は起きてしまったし、あらゆるものが放射能で汚れています。
その事実から逃れることができないのですから、
あとはその事実の中で、子供たちをどうやって放射能の汚染から守れるのか?っということしか、私たちの選択は残されていないのです。
子供というのは、毎日見ていても面白いほどに成長していく生き物なのであって、
それだけ細胞分裂を活発にやっているわけです。
そうなると、放射線で傷を受けた細胞がどんどん細胞分裂で拡大していくということになりますので、
「被曝に大変敏感」です。
平均的な人間、ま、30歳ぐらいの人に比べても、
赤ん坊は4倍も5倍も被曝に敏感ですし、
私のような年寄りから比べれば、何十倍、あるいは何百倍というほど被曝に敏感なのです。
ですから、一律に被曝の限度を決めるなんていうこと自身が、まずは本当は間違えているのであって、
子供に関しては、何としても被曝を少しでも少なくするということをやるべきだと思います。
それができるのは、もちろん親というか、大人になるわけですから、
それぞれの方が注意を払って、子供を被ばくから守る。
自分の子供だけ、というのではなくて、
むしろ地域全体、あるいは国全体、あるいは世界全体の子供を被ばくから守る、というように、
私は考えて欲しいと思います。
そこまで行くのは、大変なことですけれども、
でも、一歩一歩行くしかないわけですから、
ホワイトフードが出しているデータを見ながら、
せめて、まずは自分の周りにいる子供たちを、
そしてそれの次には地域の子供達、学校であるとか保育所の単位で子供たちを守っていくというような運動を広げて欲しいと思います。
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書き出しました↓
石棺で覆い封印を
福島民友 2015年1月1日
京都大原子炉実験所助教 小出裕章氏
福島の原発事故は人類がこれまで一度も経験したことがないほど過酷な事故だ。
政府や東京電力が計画するような溶融燃料(燃料デブリ)取り出しは全くできないと思う。
大変残念で悲しいことだが、諦めたほうがいい。
チェルノブイリ原発のように、原子炉建屋全体を「石棺」と呼ばれるような構造物で覆い、
放射性物質が外部に出るのを防ぐ対策を急ぐべきだ。
炉心が2800度超の高温で溶けるなど事故は非常に動的な状態で進展した。
溶け落ちた炉心が圧力容器の真下に静かにたまっていることはあり得ない。
そこら中に飛び散り、圧力容器の真下から周囲に流れ出て広がっているはずで、
仮に格納容器を冠水できても、上から覗いて見えるのは半分もないと思う。
全部は取り出せない。
冠水せずに解体する代替の方法も猛烈な被曝を伴うためやるべきではなく、
あらかじめ全体を封印する方策のほうがいいだろうと思う。
事故収束の指揮を執る人たちは、事故が今も継続中で、
環境への影響を減らす対策を早急に実行するべきだという危機感が欠如している。
事故そのものも、住民避難も、汚染水問題も、楽観的で都合の良い見通しの下で対策をとって失敗し、
対応が後手後手になる繰り返し。
その姿勢を改めるところから始めるべきだ。
事故が起きた責任をまだ誰も取っていない。
廃炉についても政府、東京電力など関係機関が失敗しても誰も責任を取らなくていいという体制でやっていることが問題だ。
◇こいで・ひろあき
1949年東京生まれ。
74年、京都大学原子炉実験所入所。
原発の危険性を訴える活動に長年携わる。
「小出先生に教えてもらっちゃおう!」
小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
K子さん(世界を股にかける写真家)
I 子さん(某大学美人教授)
きーこ(ただの人)
K子:
トリチウムの放出された全体量が微々たるものだし、
原子力発電所なんかから出るトリチウムの量は本当に2gだとかそんなもんだから、
心配する必要は全然ないっていう
小出:
通常の原子力発電所から放出されているトリチウムはもちろん少ないです。
なぜかといえば、通常の原子力発電所ではトリチウムは燃料棒の中に閉じ込められているからです。
ウランが核分裂するときに、普通はウランの粒は二つに分かれるのですけれども、
時々三つに分かれるという、そういう核分裂の仕方があって、
その時にトリチウムができるのですが、
それは燃料棒の中にペレットという形でウランが瀬戸物に焼き固められている。
それが核分裂をして、トリチウムができるわけですけれども、
基本的にはそれは燃料棒の中に閉じ込められているので、
原子力発電所というその機械から環境に出てくるのは少ないのです。
でも、今日本では六ヶ所村の再処理工場というのをつくってますけれども、
再処理工場というのは、ウランが核分裂してできた核分裂生成物、
それからウランが中性子を吸ってできたプルトニウム
そして核分裂をしない燃え残りのウランというものが、
ペレットの中に三者渾然一体となって含まれているわけですけれども、
再処理というのは、
その三者渾然一体となっているもののなかからプルトニウムだけを取り出そうという作業ですから、
燃料棒の中にペレットが入っていたらまず作業ができないし、
ペレットという瀬戸物の塊があったらプルトニウムを掴み出すなんてことはできないから、
まずは燃料棒をブチブチにちょん切るわけですよね。
ちょん切った途端に気体状の放射性物質は噴き出してくるわけだし、
ペレットという瀬戸物を今度は、
みなさん考えて欲しいけれども、瀬戸物を、お茶碗でもいいお皿でもいいけど、溶かすことができるか?と。
きーこ:溶けないですよね
小出:普通は溶けない
K子:何千年も残ってますよね。
小出:土に埋めたって土に溶けないし、
K子:出てきますもんね。
小出:
どうするか?というと、猛烈な濃度の硝酸を加熱して、その中に瀬戸物をほっぽり込んで、
ドロドロに溶かすというのをやるわけです。
あとは油を加えたり落下したりしながら
きーこ:そこで実験している人は大丈夫なんですか?
小出:え?実験というか作業
きーこ:作業している人は
K子:被曝していますよね。
小出:
もちろん被曝もしますし、
建物全体はいわゆる無人というか、人はとにかく近づくことができない。
きーこ:近づかないでやっているんですね。
小出:
何mものコンクリートの壁の向こう側で、要するに無人で作業が流れていって、
ところどころに窓っていうか、鉛ガラスの窓があって、
中を見ながらやるわけですけれども、
猛烈に危険なことをやる。
で、その作業では今聞いていただいたように、
ウランと、燃え残りのウランと、新しくできたプルトニウムと、核分裂生成物を分けるわけで、
ウランはこっち、プルトニウムはこっち、核分裂生成物はこっち、というふうに分けていくんですけど、
きーこ:見えないのにどうして
小出:え?
きーこ:見えないんですよね。
K子:どうやって分けるか?って
きーこ:どうやって分けるんですか?
小出:
えーっと、硝酸で溶かしたところに油を入れるんですけれども、
ものには水に溶けやすいものと油に溶けやすいものがあるんですね。
その溶けやすい溶けにくいというのを使って、ウランとプルトニウムを油の方にまずは行かせ、
それをまた、別のところで、酸化状態というのを変えると、
一度油の方へ行ったのが水の方に戻ってくるというような、
化学的な操作は様々な操作をやらなければいけないんですけど、そうやって分けていくんです。
ただし、核分裂生成物の一種にトリチウムがあるけれども、
それは硝酸を加えて溶かした時に水にもうなっているわけですね。
で、作業をしていくけれども、最後にその水はどうしようもないから、全部海へ流す。
ということになっている。
だから再処理工場から出てくるトリチウムは膨大です。
I 子:1日で原発1年分の
小出:通常私なんかは希ガスで比べていて、
I 子:ガスの量で比べている。流すのはまたプラスで流す
小出:はい、トリチウムなんていうのはそんな比じゃないくらい膨大に流しています。
きーこ:なんか東電の記者会見で定期点検の時が一番トリチウムが流れているって、
小出:もちろん原子力発電所でもそう。
きーこ:それのもう何倍
小出:
もう何万倍、どれくらいだろう?ちょっと今数字でお答えしにくいけれども、
すべて、全部が出ちゃうんです。
きーこ:全部が出ちゃうんじゃ、今福島原発から出ているトリチウムと同じなんですか?
小出:膨大です。
きーこ:同じことですよね、
小出:そうです。
きーこ:溶けていようが、
小出:全部が出ちゃうんです。
つづく
ーーー
「硝酸」についてとても気になりましたので、
再度小出先生に教えていただきました。
2014年12月21日
きーこ:硝酸をグツグツに煮てバラバラにするって、
小出:そうです。
きーこ:
硝酸を沸騰させて溶かして、それってすごく危険じゃないかな?って思ったんですけど、
それもそのまま海へ流しちゃうんですか?
小出:硝酸はもちろん流さないです。
きーこ:あ、流さないんですか。
小出:
はい。
ですから、硝酸で溶かして、それから溶媒というのに混ぜて、
油の方と、硝酸の方に有機溶液に残る奴を分離していくんですけれども、
最後は硝酸も回収します。
それでウランはウラン、プルトニウムはプルトニウム、
きーこ:すごい!そういうことができるんですね。
小出:できます。
きーこ:あーよかった、それも流すのかと思った。
小出:
全部はもちろん、
化学操作というのは100あったものを100回収するということは基本的にはできない。
だから、100の硝酸の99を回収する、あるいは99.9を回収するということはできるけれども、
残りのものはやはり海へ流すものもあります。
でもかなり少ないと思います、それは。
きーこ:
よかった。
それから、東海村にも再処理工場がありますよね、
小出:あります。
きーこ:そこはやっぱり、どこかトンネル(配管のことです><;)で遠まで流しているんですか?
小出:
えーっと、排水溝は沖合に出したと思います。
ただしすごく小さいのです、東海村の再処理工場は。
六ヶ所の再処理工場は
「1年間に800トンの使用済み燃料を処理します」というのが六ヶ所ですけれども、
東海村は一番初めに計画した時に210トンという計画でしたし、
実際にはその2割しか仕事ができなかった、
1年間にせいぜい40トンぐらい。
200と計画していたけれども2割にもならなかったということで、
40トンぐらいの処理しかできなかった。
だから六ヶ所の再処理工場が計画しているのに比べれば、
20分の1とかそのぐらいしかできなかったので、
沖合に出す長さも、六ヶ所は確か3kmで44mの海底だったと思うのですが、
東海村はそんなに遠くまで出していなかったと思います。
きーこ:はい、ありがとうございました。
ーーー
参考
再処理工場
再処理
現在各国で採用されている核燃料の再処理方法はピューレックス(PUREX)法と呼ばれるもので、大まかに言えば、酸に溶かした燃料棒からウランとプルトニウムをリン酸トリブチル(TBP)にて抽出・分離する方法である。
最初に使用済み燃料を燃料棒の状態のまま細かく切断し6規定の濃硝酸に溶かす(水相)。
酸に溶けない燃料被覆管(ハルと呼ばれる)と不溶残渣(モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、ジルコニウム等)を取りだした水相の硝酸濃度を3規定に調整し、ドデカンにリン酸トリブチル(TBP)30%を溶かした有機溶媒(油相)とミキサー・セトラー (mixer-settler)型抽出槽やパルスカラム(pulse column)型抽出塔で混合・接触させると、硝酸とイオン対を生成したウラン及びプルトニウムがTBPに抽出され、油相に移動する。
次に油相を還元剤(硫酸 ヒドロキシルアミン等)を含む別の水相と接触させると、プルトニウムだけが水相に移動する。
燃料被覆管は低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)として、不溶残渣と各種放射性物質の混合体である硝酸系廃液は、蒸発缶等で濃縮した後、高レベル放射性廃棄物として処分される。
なお、プルトニウムは容易に核兵器に転用可能なため、それのみを所有することは核拡散防止条約で禁止されている。
そのためプルトニウムとウランと混ぜた溶液を作り、これをマイクロ波で脱硝酸して酸化物MOXとして保管している。
ウランについても流動床で脱硝して酸化物(回収ウラン)として保管している。
国際化学物質安全性カード 硝酸
化学的危険性:
加温すると分解し、窒素酸化物を生じる。強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質(テルペンチン、炭、アルコールなど)と激しく反応する。塩基性物質と激しく反応し、可燃性で爆発性のガス(水素[ICSC番号 0001])を生成しながら金属を腐食する。有機物と激しく反応する。
火災
不燃性だが、他の物質の燃焼を助長する。火災時に刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。加熱すると、破裂の危険を伴う圧力上昇が起こる。
引火性物質との接触禁止。可燃物や有機化学物質との接触禁止。
周辺の火災時:泡消火薬剤は不可。
爆発
多くの一般有機化合物と接触すると、火災や爆発の危険性がある。
身体への暴露
あらゆる接触を避ける!
吸入
灼熱感、咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛。
症状は遅れて現われることがある。
皮膚
重度の皮膚熱傷、痛み、皮膚黄変。
眼
発赤、痛み。熱傷。
経口摂取
咽頭痛、腹痛、咽喉や胸部の灼熱感、ショック/虚脱、嘔吐。
作業中は飲食、喫煙をしない。
吐かせない。 コップ1、2杯の水を飲ませる。 安静。医療機関に連絡する。
漏洩物処理
・個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣。
・危険区域から立ち退く!
・専門家に相談する!
・換気。
・漏れた液を密閉式の容器に集める。
・残留分を炭酸ナトリウムで注意深く中和し、次に多量の水で洗い流す。
・おがくず他可燃性吸収剤に吸収させてはならない。
ヒドロキシルアミン(hydroxylamine)
ヒドロキシルアミンは爆発性の化合物であるが、その危険性の度合いについては完全にはわかっていない。1999年以来、ヒドロキシルアミンを扱う工場での死者を伴う事故が何度か起こっている。鉄(II), (III) イオンによって 50 % ヒドロキシルアミン溶液の分解が加速されることが知られている。ヒドロキシルアミンとその誘導体は塩の形で安全に取り扱うことができる。
加熱すると爆発の危険がある。呼吸器、皮膚、目、そして他の粘膜を刺激する。皮膚から吸収される可能性があり、飲み込んだ場合も有害であり、変異誘発物質である可能性がある。
東海再処理施設
2014年9月
●東海再処理施設 廃止の方針
2014年4月
●<東海再処理施設稼働>
国の規制基準に適合していないけど、急ぐので特別認める「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化」
4/21原子力規制委員会更田委員取材動画&文字起こし
●東海村にあるプルトニウム溶液と高放射性廃液の「潜在的危険」は
水素爆発と10の何乗ギガベクレル単位になる放射性物質の飛散だ!!
●1.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~規制庁からの説明~12/2(内容書き出し)
●2.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~日本原子力研究開発機構からの説明~12/2
(内容書き出し)
●<東海村再処理工場の危険>
「使用済み燃料を液体にしてしまった。液体が沸騰してしまうという事は簡単に起きてしまいます」
小出裕章氏(文字起こし)
独占「小出先生に教えてもらっちゃおう!」
小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
K子さん(世界を股にかける写真家)
I 子さん(某大学美人教授)
きーこ(ただの人)
I 子:再処理工場で原発の1年分が1日で出るっていうのはガスの分で、
小出:
例えば原子力発電所の運転中にどういう放射性物質が出ているかというと、
希ガスというのが一部出て行く。
それから、トリチウムも一部出て行く。
で、他の放射性物質は、昔はかなり出ていた時代もあったんですけれども、
今は廃液処理というのもかなり厳密にやるようになっていて、
ほとんど出てない、データを見る限りは出てない。
I 子:伊方のデータ?
小出:
はい、そうです。伊方のデータなどを見ると出てないんですよ。
再処理工場では、じゃあどれだけ出るか?というと、
六ヶ所再処理工場が安全審査を受けるときの申請書があって、
希ガスだったらこれだけ出します。
トリチウムだったらこれだけ出します。
他の放射性物質は、コバルトはこれだけとか、セシウムはこれだけとかリストがある訳ですけれども、
それで比較していくと、例えばセシウムとかコバルトなんていうのは、
原子力発電所の方は今ほとんど出さないわけですから、再処理工場は倍率で言えば猛烈な倍率になってしまう。
I 子:オーダーで言うと100、千、万
小出:
ええ、まあ、実際の再処理工場がどうだという事がわからないし、
原子力発電所が今出していないというのも、実際には「検出限界以下」だと言っているわけですから、
あんまり数字の比較そのものができないわけですね。
でも希ガスに関しては、今でも原子力発電所から、
「それぞれの原子力発電所でこれだけ出しました」っていう数値としてのデータがある。
それで、六ヶ所の再処理工場も希ガスに関しては一切補足ができないので、
必ず出すということが分かっている。
きーこ:なんか高ーい煙突なんですよね。
小出:そうです、120mの高い
きーこ:ということは近所に住んでいる人は平気だけども、ちょっと遠くに、
小出:そうです。
だから比較がしやすいので、私は希ガスで比較して、
原子力発電所が1年で出すものを1日ごとに出すというように言っているんです。
トリチウムも、多分、そんなオーダーですよね。
原子力発電所ではほとんど閉じ込めているけど、でも閉じ込めきれないのを流しています。
原子力発電所が認めているし、六ヶ所再処理工場はトリチウムも全量放出すると。
手がないんですもの。必ず出すということが分かっているので比較がしやすい。
多分希ガスとあまり変わらない、原子力発電所の1年分が再処理工場では毎日という、
そういう量だと思います。もっと多いかもしれないけど。
きーこ:上からも下からもっていうこと…
K子:ほんと深刻ですよ。
I 子:海の遠いところに流しますっていうのもそれは量はもうわからない?
小出:
それはですね、原子力発電所もそうだし、私の原子炉実験所もそうですけれども、
原子力施設というのは濃度規制があるんですよ、今は。
環境に放射性物質を流す時には、これこれこれ以下の濃度にしなさい、と書いてあるんですけれども、
原子力発電所は簡単なんです、その濃度規制を守るのが。
なぜかというと、原子力発電所は温排水という膨大な冷却水を流している。
例えば100万kwの原子力発電所なら、1秒間に70トンという海水を流しているわけです。
1秒間に70トンを超えるような川は日本には30も無いというぐらい巨大な川ができるわけです。
ですから、どんな放射性物質もその巨大な川に流してしまえば、完璧にクリアできる。
きーこ:うすまっちゃうんですか、
小出:
「薄まった」という理由で。
だから、原子力発電所はその濃度規制を全く軽々とクリアするわけですけれども、
再処理工場の場合には冷却水が必要ないわけだから、
薄める水がないんですよ。
薄める水がない上に、量としては原子力発電所の何百倍何千倍あるいはもっと、の量をだすわけですから、
どうなるか?というと、再処理工場に関しては濃度規制を撤廃してしまった。
K子:おぉーー!
小出:笑
きーこ:いい加減〜
小出:
その代わり、沿岸で出したらまずいだろうということで、
沿岸から4kmまで、海底にパイプを這わせて、
深さ40mだったかな、海底からバーーッて噴き出させる
K子:うっわ〜〜っ
きーこ:噴き出すなんて、
I 子:そんなの北海道の湾とかあっちの方に向かっていくんじゃないですかね。
小出:
そうなれば、海は広いな大きいなで薄まるからいいですよという、そういう規制の仕方です。
ですから、再処理工場はトリチウムもそうだけれども、
濃度規制なんて初めから全然守れないという状態になっている。
K子:もう全部、汚染する核物質が出ちゃうということですよね。
小出:
そうです。
だから「トリチウムは全量捨てる」と言っているわけです、再処理工場も。
I 子:じゃもう、セラフィールドはそれをガンガンやっちゃっているわけなんですね、イギリスの。
小出:
イギリスの、
そうです、セラフィールド、ウィンズケールというところももちろんやっているし、
フランスのラ・アーグもやっているし、
世界中再処理工場はすべて、トリチウムに関しては全量放出。
I 子:今、再処理工場はイギリスとフランスとどこ?
小出:
イギリス、フランス、軍事用で言えば、もちろん米国にもロシアにも中国にもありますけど、
商業用でやっているのは、基本的にはフランスですよね。
イギリスのセラフィールドはほとんど動いてないですから。
K子:ただ、そこの環境がものすごく悪くなって、病気の人が多いとかっていう話ですよね。
小出:
再処理工場の周り?
そうです。
I 子:因果関係がああだこうだ言ってるけどね、
小出:
子供の白血病が多いということはイギリス政府もちゃんと認めているんですよね。
ただその白血病が多いのが「被曝のせいではない」という、イギリス政府の主張で、
だから今、福島で甲状腺癌が多いというのはみんなが認めるけれども、
「でもそれは被ばくの影響ではない」というのが日本政府の言い分
I 子:「ない」なんて科学的に証明できないですよね。
小出:
できないです。
だから今は全く証明も何もできない。
だから彼らも、言い方がすごい汚いというかね、
「ない」ないと、あたかもないかのように言いながら、
「なさそうだ」ぐらいのことしか言えない。
本当は言えない。
今までの知見で言うと、どうもなさそうだという、そんなところですよね。
でもこれから調べてみないと本当はいけないことだと。
I 子:
「ない」というのを証明するのは難しいじゃないですか。
「見つからない」というのは言う方も巧妙だけど、
聞く方も「ああ、じゃあないのか」って認めちゃうのっていけないですよね。
K子:それはなんか安心したいから、耳に聞こえのいい方を選んじゃうっていう傾向がありますよね。
つづく
ーー
六ヶ所村再処理工場から出ている海底の配管って、どっちの方向に出ているのか?
知りたくなりました。
海洋放出管
日本原燃の核燃料の六ヶ所再処理工場から処理中に発生するトリチウムやヨウ素129等の放射性廃棄物を海洋放出する放出管の位置です。Xマークが付いたブイが四隅に浮いてます。この中心の海底40mほどに放出口があるそうな。。。。
六ヶ所村再処理工場との位置関係を見てみましょう。Yahoo地図
地図で

写真で


もうちょっと広域に

少し離れて見るだけで、4kmなんて全然遠くじゃないってことがよくわかる。
すぐ近くに出しちゃう…
六ヶ所再処理工場2012年のパンフレットより

特徴
当基地は、貯蔵基地と中継ポンプ場および太平洋沖合 3km にある一点係留ブイの 3 つの施設で構成されていて、これらの施設は、全長 12km(4km の海底配管と 8km の陸上移送配管)のパイプラインで結ばれています。
ついでに活断層

六ヶ所再処理工場より
高い煙突からビューッ!

海底の配管からバーッ!

独占「小出先生に教えてもらっちゃおう!」
・セシウムを吸着したものはもう何百度という温度になっている
・地球をトリチウムでベタベタに汚す核融合
小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
K子さん(世界を股にかける写真家)
I 子さん(某大学美人教授)
きーこ(ただの人)
セシウムを吸着したものはもう何百度という温度になっている
小出
福島の原発で、今海へ出て行っているのは、捕まえきれなかった放射性物質ですよね。
セシウムなんかは今必死で捕まえて、
ゼオライトとか、いろんなものに吸着させて、それを敷地の中でとってあるわけです。
きーこ:あれも怖いですよね。
小出:それがだから、ものすごく怖い。
きーこ:吸着したものが。
小出:
そうです。だからその吸着したものがどこかに置いてあるわけですけれども、
その物体そのものはもう何百度という温度になっている。
きーこ:えぇーー!温度も高くなるんですか?
小出:
そうです。
ようするに放射性物質というのは発熱体ですから、どんどんどんどん温度が上がってくる。
だから原子炉が溶けちゃったわけですよね。
I 子:今崩壊しているんですか?その吸着した
小出:もちろんです。ですからゼオライトにセシウムをくっつけてそれを今保管しているんですね。
きーこ:どういうところに保管しているんですか?
小出:
多分、いやどこだか知りませんけれど、
保管する建屋があって、その中に吸着させたものをだーっと並べているんだと思います。
きーこ:また、人が近寄れない場所
K子:死んじゃう
小出:もちろん近づけません
きーこ:ええぇーーー!!
I 子:そんな、発熱して崩壊していくものをどんな材質で作るんですか?
小出:
容器ですか?
容器はどっちにしても鉄でしょうね、ステンレスかもしれないけれども、
その中に入れていると思います。
I 子:一応密閉はされている?
小出:ま、一応は。
ただ、今は福島第一原子力発電所の敷地の中はもう、放射能の沼のような状態になっているので、
アルプスだって、もちろん動かない。
なぜならば、ちゃんと装置を組み立てることもできないんですよね。
みんな被曝しながらやっているわけだし、
装置と装置の間を例えば繋ぐにしても、普通だったらきちんとした配管で繋ぐわけだけれども、
そんな工事をしていたら被曝してしまうということで、ホースで繋いだりするわけですよね。
そうすれば漏れてしまうわけだし、なかなかまともに動かないことになっている。
でも、アルプスが動けば今度はストロンチウムという放射性物質を捕まえることになるけれども、
それも発熱していますから、捕まえたものが今度は猛烈な発熱体となって、
それをどこかにまた保管しなければいけない。
ですから、セシウムはセシウムの方で捕まえて保管する。
ストロンチウムはストロンチウムで捕まえて保管するということを、
まぁ、やろうとしているし、やるべきなんですけれども、
トリチウムに関しては打つ手がありません。
「全量結局は出す」と。
K子:
だから「トリチウムが出るのは本当に少ない量だから、健康への被害は心配する必要はない」
っていう人がいるんですけど、
小出:だから少なくないのです。
K子:ね、だから放射線も出てるし、体の80%近くは水ですから、どこへでも行っちゃうわけですよね。
小出:そうです。
K子:そうすると、もう健康を守るということは全くできなくなる。
小出:
ま、何度も先ほどから言っていますけれども、水の惑星というこの星で、命がみんな生きているわけで、
その水が汚れてしまえば、もう避けることができなくなってしまうんですね。
相手がセシウムだストロンチウムだというならね、
なんとかそれを浄化して被曝しないようにしようという手立てができるわけですけど、
トリチウムだけは何の手立てもできない。
きーこ:何でそんなもの作っちゃったんだろう
地球をトリチウムでベタベタに汚す核融合
K子:核融合施設もトリチウムがいっぱい出る?
小出:核融合なんてやったらもう、大変。
K子:ね、大変ですよね。
小出:
はい。
核融合はトリチウムそのものが燃料ですので、
そして水素というのはほとんど捕まえていくことが難しいんですよね。
小さい原子核ですので金属でも素通りして外へ漏れていくというものですので、
核融合なんていうものをもしやり始めたら、
この地球がトリチウムでベタベタに汚れてしまう。
つづく
なんとなんと!このブログを見ていてくださる方からお誘いいただいて、
京都大学原子炉実験所の小出裕章先生にお会いすることができました。
そこで、独占「小出先生に教えてもらっちゃおう!」ということで、録音をさせていただきました。
とても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。
小出先生、そして素晴らしい皆様、本当にありがとうございました。
この、”ミニ講座”に参加してくださった方は、
小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
K子さん(世界を股にかける写真家)
I 子さん(某大学美人教授)
きーこ(ただの人)です。
音声が聞きにくいかもしれませんので、もちろん、文字起こししました。
(これから小出しにして連載しまーす♪)
ーーー
2014年12月13日土曜日
独占「小出先生に教えてもらっちゃおう!」
・日本全国の地下水にはトリチウムが入っている。
・トリチウムは崩壊してヘリウムになる→水ではなくなる
・たったの750gの放射性セシウムで東北関東地方の広大な土地が放射線管理区域になった
日本全国の地下水にはトリチウムが入っている。
きーこ:
日本の地下水からもトリチウムが出ているという研究論文みたいなものを、ネットで見たんですけど、
それは本当ですか?
小出:本当です。
きーこ:
あら………絶句。
その、今出ているのは大気圏核実験の…
小出:
そうですね、えーっとですね難しいんですが、
トリチウムというのは、3重水素という別名が付いている水素です。
「天然にはない」というのが普通の言い方なんです。
天然にあるのは普通の水素と、2倍重たい水素重水素というのが天然にはある。
ほとんどが普通の水素で、重水素は0.015%ぐらいしかないのです。
え、3倍重たい水素がトリチウムなのですが、
それは基本的には「天然には無い」と言われているのですが、ゼロではないのです。
なぜかというと、地球の大気があるわけで、そこに宇宙から宇宙線という放射線が飛び込んでくると、
大気中の窒素と宇宙線が反応して、トリチウムが自然に生まれているのです。
大変微量で、測定することはほとんど困難なぐらいなのですけれども、
天然にトリチウムがあるのです。
ですからもう、そこらじゅうの水、
トリチウムは水素ですから、環境に出て来ると必ず水になってしまうので、
地球上の水の中には、本当に微量のトリチウムがもう昔から、実はあったという状態なのです。
その次に問題になったのは、大気圏内核実験というのを1950年代から60年代にかけて、
米国、ロシア、ソ連ですね、が、たくさんやったことがあって、
その時にトリチウムを大量にばら撒いた。
天然に存在しているものの多分100倍ぐらいにはなると思いますけれども、ばら撒いたのです。
そのために地球上また全部がトリチウムで汚れてしまったということになりました。
ただしトリチウムの半減期は12年ですので、
大気圏核実験をやっていた頃から見ると、もう50年経っているわけですから、
半減期の12年24、34、48と、ま、ほぼ半減期の4回分が過ぎているので、
2分の1、4分の1、8分の1、16分の1ぐらいに減ってきていてくれているわけです。
ですから天然に存在していたものの、
多分今は数倍というぐらいのトリチウムが大気圏核実験由来のトリチウムとして地球上どこにでもある。
ですから地下水ももちろん汚れているし、
川の水も汚れているという、そういうことなのです。
ただ、そのレベルのトリチウムは通常の測定手段では測ることができないので、
同位体濃縮という非常に特殊な操作をして、トリチウムだけを集めてきて測定をするということをやらないと、
通常の状態のトリチウムは測ることができません、地球環境では。
ただし、今は福島の事故が起きて、また膨大なトリチウムを敷地の中で放射能汚染水として抱えているし、
それをまた、今流している、海へ、もう成す術なく流しているのです。
さらに毎日400トンずつ放射能汚染水が溜まっていってタンクに溜めているわけです。
そのタンクに溜めた水の中からこれまではセシウムはなんとか除去しようとしてきてきた。
でも他の放射性物質は除去できないままタンクに溜まっていて、
それをアルプスという装置を使って綺麗にしようという計画になっているのですが、
アルプス自身がほとんどまともに動かないまま、現時点ではままなのです。
でも仮にアルプスが、性能通り、期待通りに動いたとしても、トリチウムだけは捕れないのです。
なぜかというと「水」なんですね。
ですから水の中から放射性物質を捕まえて、
水をなんとか綺麗にしようということをやっているわけですけれども、
トリチウムは水そのものですから、どんな作業をしてもトリチウムは捕れない。
結局は今タンクに溜まっている水をいつかの時点で海へ放出せざるを得ないのですけれども、
トリチウムだけは、なんの手も打てないまま海へ流すということになってしまいます。
きーこ:すごい量のトリチウムが、
小出:そうです。
きーこ:海に行っちゃいっていうことですよね。
小出:そうです。まぁ、あのー、
きーこ:そんなことしたら、大丈夫ですか?、って聞いちゃいけないんですけど(笑)
小出:本当はやってはいけないけれども、
トリチウムは崩壊してヘリウムになる→水ではなくなる
きーこ:どういう、生態系とかに異常が出たり、
小出:
トリチウムというのは非常に弱いベータ線しか出さないのです。
アルファ線も出さない、ガンマ線も出さない。
ベータ線しか出さないけれども、そのベータ線のエネルギーも、
一番高いベータ線でも18.6キロエレクトロンボルトという、そういうベータ線なんですけれども、
セシウムとかストロンチウムは何百キロエレクトロンボルト、
あるいは何ミリオンと言うような何ミリオンエレクトロンボルトというようなベータ線を出します。
それに比べればトリチウムのベータ線はものすごくエネルギーが低いので、
「影響はそれなりに低い」と言われているのですが、
ただ、この地球という星は水の惑星というように、水が全ての命を支えている星なわけで、
その水そのものが放射能になってしまうわけですから、
影響は多分、いわゆる放射線というものの影響だけではなくて、
体の中に例えばトリチウムが入ってきてそれが崩壊していくと
今度は、ヘリウムという原子核に変わってしまうんですけど、
もともと水だったものが、要するに水で無くなってしまったりするわけです。
DNAの中にもし含まれているとすれば、その化学分子自身が変わってしまうという、
きーこ:水じゃなくなっちゃう
小出:
そうです。
そういうことがあるので、影響は今まで考えていたよりも、私は深刻だろうと思います。
きーこ:細胞なんか水ですよね。
小出:
ほとんど水だし、人間の体はいわゆるタンパク質でもなんでも、
水素というのは決定的に重要な原子としてその分子の中に取り込まれているわけですから、
それが崩壊するごとに水素で無くなってしまう。
きーこ:
ヘリウムって、あの変な声が出るやつですよね?
ガスを吸うと、
小出:ハハハッ、そうですか
きーこ:
そうですよね、なんか
K子さん・I 子さん:◯×△◇〜〜
きーこ:そういうのが、じゃあ、体の中の水がそういう変なのになっちゃったらどうなっちゃう?
たったの750gの放射性セシウムで
東北関東地方の広大な土地が放射線管理区域になった
小出:
ま、そうなんですけど、
「放射能というのは五感に感じられない」と普通は言われるように、
ものすごい微量なんですよね。
ですから、これはきーこさんにも確か聞いてもらったと思うけれど、
福島第一原子力発電所から放出されたセシウム137というの1.5×10の16乗ベクレルという、
放射能でいうと全然みなさんピンとこないだろうと思いますけれども、
それが今全世界にばら撒かれて、
日本だけじゃなくて北米大陸だって汚している。
アラスカだってアリューシャン列島だってみんな汚しているんですけれど、
そうやって汚したセシウム137を重さでいうと4.7kgしかならないんですね。
私は手で持てるぐらいにしかならないし、
…4.7だったかな?多分そうだったと思います。
そのうちごく僅かだけが日本の大地に降った、ほぼ16%なんですけれども、
それを重さにすると750gにしかならないんです。
きーこ:それがね、なんかちょっと、肉の塊
小出:たったそれだけのものが
きーこ:1kgの塩の袋より少ないわけですよね
小出:
そうです
それがだから日本の東北地方関東地方の広大なところに、
そうしたら山も何も全部が放射線管理区域にしないといけないというぐらいに汚れてしまうという、
そういうものなんです、放射能というのは。
だから、私の体の中にトリチウムが入って、それがヘリウムになったとしても、
そんなものは要するに重さとか、匂いとか、声を変えるために吸い込むとか、
そんなものに比べればもう何にも意味がないというぐらいのものでしかない。
きーこ:じゃあ、生きている間にどうにかなるっていうよりも、将来の子孫?
小出:そうです。
決定的なのは水の惑星である星をトリチウムで汚してしまえば、
全部がその影響を受けて引きずっていくことになるだろうなということです。
ーーつづく
「1兆1000億ベクレルのセシウムというものは、 一般の皆さんが1年間にこれ以上取り込んではいけないという量に比べるなら、 多分1000万人分位の量になる」10/12小出裕章さん講演×映画「ママの約束」(文字起こし)の続き
志葉:
そうなってくると、いかに汚染水を海へ流出させないかということがかなり重要になってくると思うんですが、
そこのところ、先日増山監督が
服部洋一前衆議院議員や他のメンバーが福一の現場に行きまして視察をやったんですね。
凍土壁のことも視察に行ったんですけれども、
そこのところの説明を
遮水壁・凍土壁

増山:
今日お越しいただいている服部良一先生に見せていただいたんですけれども、
凍土壁を今東電はつくっていて、
地下30mまでパイプを落としてパイプに冷却剤を入れて地下を凍らせて、
阿武隈山脈から毎日流れてくる地下水をストップさせるという計画なんだそうですが、
それを実際に見てみたら、
このくらいのパイプなんですよ、このくらいの(直径20cmぐらい?)パイプがあるんです。
私は凍土壁ってもっと大きな、少なくても感じからいって2mぐらいの直径のものが広がっていて、
世界最先端のようなものを考えていたんですけれども、
服部さんに見せていただいた映像だと、本当に近所の公園にあるみたいな、
すごくパイプも小さくて、「本当にこれで汚染水がブロックできるのかな?」
ということをすごく疑問に思ったんですけれども、
小出さんは東電が計画している遮水壁、凍土壁の計画というのは成功すると思いますか?
小出:
思いません。
放射能汚染水の話でも聞いていただきましたけれども、
溶けてしまった原子炉がどこにあるかわからないのです、今。
だからひたすら水をかけていくわけですけれども、
さっき聞いていただいたようにそれが汚染水になって溢れてくるという、仕方のないことなんですね。
そのほか地下水が流れ込んできていますので、
それがまた汚染水になってしまっているという、
もうどうにもならない事態なのです。
わたしは、2011年の3月に事故が起きたわけですけれども、5月の段階で
「地下に遮水壁を巡らさなければいけない」と発言しました。
溶けた炉心と地下水が接触するようなことになれば、
もう汚染の拡散を止めることができなくなるので、
それが接触しないように、原子炉建屋周辺に深い遮水壁を張り巡らせる必要があると5月に発言したのです。
政治家の人にも何人にも伝えました。
そして「やる」と言ってくれたんですけれども、
6月に東京電力の株主総会が予定されていて、
遮水壁をつくろうとすると1000億円のお金がかかってしまう。
そんなことを言ったら株主総会が乗り越えられない。と言って、
東京電力はその案を取らなかったのです。
結局遮水壁はできないまま、ズルズルズルズルと日が延びてきて、
ようやく1年ぐらい前になって、「やっぱり作らなければダメだ」と言って、
国と東京電力が「やる」と言った訳ですけれども、そのつくると言った遮水壁がいま麗奈さんが言った
凍土壁といっているやつで、
パイプを打ち込んでそのパイプの周りの土を凍らせて、
凍らせた壁で地下水を遮断するという案を出しているのです。
しかし、凍土壁というのは
例えばトンネルなんかを掘ろうとしてそこが地下水が噴き出してくるようだと工事ができないので、
「その場所だけ凍らせる」というためにこれまでやってきた技術なんです。
確かにその実績はあるんですけれども、
今福島第一原子力発電所で作ろうとしている凍土壁は、
いま麗奈さんが言ったように深さ30mまで、そして長さは1.4kmというところの壁をつくろうという。
・・・出来ないと思います、私は。
どこか一箇所が破れればそこから水が入ってきてしまうわけですから、
何の意味もないということになってしまいますので、
凍土壁はできないと思います。
ただし、ゼネコンは喜ぶわけです。
とにかくやってみればお金が入ってくる。
やってみて失敗すればまた次のでお金が儲かる。
ですから今は凍土壁というのをやろうとしている。
たぶんそれが出来ないで、きちんとした遮水壁をつくらざるを得なくなってしまうと
私は思いますけれども、
もう、あまりにも遅すぎた。
3年半の間にどんどん放射能の汚染水が海へ流れていっているわけですし、
これからも本当の遮水壁ができるまでは何年もの歳月がかかってしまいますので、
また汚染水が流れていってしまうと思います。
でもやらなければいけません。
やるためにも労働者が被曝を繰り返しながらやるという、そういう作業になってしまいます。
志葉:
本当に、小出さんが最初に言ってた頃につくっていれば
だいぶ汚染を減らせたんじゃないかと思うんですけれども
服部前衆議院議員に聞いた話なんですが、
凍土壁も凍るところと凍らないところがあって、
凍るところは水圧があんまり強くない。
で、凍らないところは水圧が強いところだ。
つまり、水圧が強いということはそこからジャージャー流れているわけですから、
そこが凍らなかったら何の意味もないのに、というようなことをね、
麗奈さんはこの前インタビューしてるんですけど、見れるんですよね、その動画。
増山:
はい。日本海賊TVというんですけど、ustreamのチャンネルがあるんですけど、
そこで毎週金曜日に私はレギュラー番組をもたせていただきまして、
いまアーカイブが最新の映像で出ています。
ぜひお家に帰ってから、もしくはスマホでチェックしていただいて、
「増山麗奈の地球は一つ」という番組の第3回目に映像がありますので、ぜひみなさんご覧ください。
びっくりすると思います。
志葉:
駆け足で申し訳ないんですけれども、
やはり小出先生がおっしゃっているように、もう自民党政権は本当にひどいですね。
なんか、まるで福島第一原発の事故がなかったかのようなんですけど、
小出先生から見られて、日本の原発は問題だらけですけれども、
特に今このことを、例えば私はメディア関係者ですけれども、記事に書いてもらいたいとか、
こういうことはとにかく一般の人々に伝えたいとか、
いろいろあるんでしょうけれども、あえて言うとすれば何かありますか?
小出:
今日私は原子力発電なんて決してやってはならないということを話しをさせていただいたわけで、
心底そう思います。
「原子力発電なんて決してやってはならない」と思うし、
今、ありがたいことにはこの電気は完全にNuclear Freeですね。
原子力発電は一基も動いていない。
それでも電気の供給に何の支障もないという、そういう状態が今あるわけですから、
それを私は続けたいと思っているのです。
残念ながら、今志葉さんも言ってくださったけれど、
自民党政権というのは福島の事故をなかったことにしてしまおうとしている訳で、
今止まっている原子力発電所もともかく動かそうとしているわけですね。
その一番乗りが九州電力の川内原子力発電所に、今なろうとしているわけですが、
わたしは1基でも動かし始めてしまうなら次々とまたやられてしまうという危惧をしていますので、
とにかく今戦うべきは「川内原子力発電所を決して動かさせない」ということだと思います。
そのためにジャーナリストの方も力を貸していただければありがたいですし、
自民党という、このどうにもならない悪党の集団をですね、
できれば刑務所に、安倍さんを筆頭にして刑務所に入れたいと思っていますし、
彼らの思うようにはさせないということを皆さんにも力を貸して欲しいと思っています。
志葉:
安倍首相は「絶対安全が確保されない限り原発は動かさない」というようなことを言っているわけなんですけど、
その一方で、今年の7月に九州に行った時には地元の経済界の人間に
「川内はなんとかするから」というようなことを言っててちぐはぐなんですが、
増山監督は今日小出さんにあって、映画を作って、この間取材なんかもあって、
改めて、小出先生がおっしゃったように原発なんて、そんなものはっていう感じだろうけど、
とりあえずあなたの言葉で言ってください。
増山:
小出先生がおっしゃるように、仙台原発の再稼動に私も絶対に反対なんですけれども、
一つ懸念しているのが、そういうことを訴える、報道しているジャーナリストたちへの圧力が強まっていることなんですね。
今、報道ステーションで川内原発についての原子力委員会の記者会見の編集の方法がちょっと恣意的だったということで、古舘さんが謝り、その後テレ朝の社長さんが謝り、
それでも「放送倫理に問う」みたいな形でまだ問題視されているんですよ。
で、報道ステーションは先日志葉さんの友人でもあった岩路ディレクターが亡くなったということがありまして、
あれも背景はわかりませんけれども、除染の問題を、福島の問題をずっと追求しているジャーナリストが亡くなったということがありまして、「なんだか真実を発表しにくい世の中になっているな」という危機感をとても感じています。
私自身もこの映画をこんな形にまとめるにあたって、雑誌や新聞の中ではカットされてしまう部分があって、
でもそういうところが一番大事じゃないかなと思って、
訴えるところがもしメディアでなかったら、自分でindependentで作ろうという思いで、映画という形にしたんですけれども、まだまだ発信力不足でありますので、みなさんのお力を借りながら、こういうことをどんどん発信し続けたいと思っています。
誰かが、メディアが報道してくれると思ったら、もう間に合わないと思います。
市民の人たちもどこに真実があるのかということを小出先生のレクチャーを聞きながら、
専門家の方のご意見も聞きながら、絶対追求してやるっていうか、
今原発を止め続けている、原発ゼロをキープさせ続けている力は、
なんだかんだ言っても市民の力だと私は思っています。
3年経って忘れてしまいそうになることもあるかもしれませんが、
今こそ踏ん張りどきかなという気がしていまして、
秘密保護法も通させない。
みなさん力を合わせて活動していけたらいいなと思います。
志葉:
秘密保護法だけじゃないんですね。
先ほど話した報道ステーションに対する圧力。
で、また、朝日新聞に対する圧力。
露骨に政権を批判するようなメディアに対して徹底的に攻撃をするのが安倍政権のやり口なんですよね。
で、秘密保護法が施行されたら、それを悪用するのは火を見るよりも明らかなので、
お互いにみんなで守ろうとか、市民側の方もこれから結束していく必要が、以前にも増して出てきているんじゃないかなと思うわけです。
あと、小出先生、映画をご覧になられてどうでしたか?
子供達は割ともうわかっているという感じがしましたよね、原発に関して。
小出:
みんなわかっているでしょ、原子力発電所が安全だなんて思っている大人はまず、私はいないと思います。
子供ももちろんそうだろうと思います。
ただ大人の方は要するに「経済が大切だ」と刷り込まれて、
「金だ金だ」になってしまっているのだと思いますが、
つい先日5月21日に福井地方裁判所で、大飯原子力発電所の差し止め裁判の判決が出ました。
私は日本の裁判には絶望していて、
原子力に関する限り裁判所がちゃんと国と戦うなんていうことはあり得ないと思っていたのですが、
大飯原子力発電所の差し止め裁判の判決は誠に素晴らしいものでした。
「一番大切なのは金じゃない」と、「命なんだ」と。
「国民が豊かに自分の生活を送れるようにすることこそが大切なのである」ということを明言してくれましたし、
子供は生まれた時からそう感じてくれているんだと思いますが、
年をとってだんだん社会に入っていくと、
いつの間にか「金の方が大切だ」と思ってしまう大人が増えてくるということだろうと思いますが、
大人にも目を覚まして欲しいと。
ここまで来てなぜ目が覚めないのか、と私は思います。
志葉:
本当に、大人こそ目を覚まさないといけないということでしたね、増山監督。
増山:
今日は小出先生、志葉さんに来ていただいて、お話を聞かせていたいて本当にありがとうございました。
ーおわりー
<福島第一原発視察最新状況>
4号機使用済み核燃料・汚染水対策・凍土壁・今後について/服部良一×増山麗奈(文字起こし)
Broadcast live streaming video on Ustream
小出裕章
志葉玲
増山麗奈

45分ごろから文字起こし
志葉:
皆さんご存知の通り、安倍政権が昨年の9月にオリンピックに絡めて「アンダーコントロール」という、
つまり「福島の事故現場は収束作業がうまくいっている」と、
「放射線は外へ出ていない」というような事を言っているわけなんですけれども、
それから1年余り立って、今度は新たに大臣になった小渕さんが
「おおむねコントロールされている」というような形で踏襲しているんですが、
ただ今年の話で、「3号機の瓦礫撤去で1兆1000ベクレルぐらい放出した」と。
ちょっと、兆ベクレル。
さっきの500万ベクレルでも十分、めちゃくちゃすごいんですが、
1兆1000ベクレルぐらいっていうと、ちょっと想像がつかないんですけど。
これはどういうことなんでしょうか?
小出:
皆さん全然想像がつかないと思いますけれども、
事故の直後に放出されたセシウムは
先程、広島原爆の168発分だと日本政府が言っているのを聞いていただきました。
その量に比べると1兆1000ベクレルというのは1万分の1にも満たない。
ですから、事故全体から言えば少ないのですけれども、
でもその1兆1000億ベクレルのセシウムというものは、
一般の皆さんが1年間にこれ以上取り込んではいけないという量に比べるなら、
多分1000万人分位の量になる。
志葉:1000万人ですか。
小出:
そうです。
それを今単に3号機の使用済み燃料プールの瓦礫をとにかくどけるためという作業のために、
1000万人のを出しちゃったと。
とにかくもう本当に収拾のつかないほどの事故、汚染が生じてしまったし、
「いまでもある」というそういう状態になっています。
志葉:3号機の瓦礫をどけるだけですよね。
小出:そうです。
志葉:それで出ちゃったと、
小出:そうです。
志葉:
で、先程申し上げたように、2号機と1号機がまだ残っているわけですよね。
あちらも似たようなことをしなければならない?
小出:
やらなければいけないのです。
特に2号機は先程聞いていただいたように内部では最大の破壊を受けていますので、
まだ、全く手付かずで、近寄ることもできないという状態になっているわけで、
これから2号機の撤去作業もやらなければなりませんが、
どれだけの放射性物質が噴き出してくるか、
今の段階では予想もできません。
志葉:
かなりゾッとしますね。
あの、兆ベクレルの単位で言いますと、
今年5月までの10ヶ月間で2兆ベクレルぐらい海に、
セシウムやストロンチウムやらが流出したという話もしていますが、
これも、そんなに出ちゃっていいものなんですか?
小出:
もちろんいけないのですね。
それも兆ベクレルもが出たと言っているわけで、
それの主成分は、実はセシウムではないのです。
ストロンチウム90という名前の放射性物質がむしろセシウムよりも多かったと言われています。
そしてストロンチウム90というのはセシウムに比べても毒性の高い放射性物質で、
それが1兆4600億ベクレルなんかが出た、と言っているわけで、
やはりそれも普通の皆さんが1年間にこれ以上とってはならないという放射能の量に換算すれば、
何千万人分にもなるというものがどうにもならないで海へ流れていっているというものなのです。
志葉:
いまセシウムの検査は色々やっていますけれども、
ストロンチウムの検査っていうのは基本的にあんまりその、少なくても
一般の自治体などで検査していませんよね。
小出:ええ、出来ないのです。
志葉:できない。
小出:
放射能ですから、放射線を出すのですけれども、
セシウムという放射性物質はベータ線とガンマ線を出すという、そういう放射性物質です。
で、ガンマ線を測定するというのはかなり容易にできるので、
もちろん私もできるし、色々な自治体もやっているし、
市民グループもやっているのですが、
ストロンチウム90という放射性物質はガンマ線は一切出さないのです。
ベータ線しか出しません。
その測定をしようとすると大変手間がかかるということで、実際はあまりやっていないし、
もちろん市民グループでもほとんどできないという状態のまま、ほとんどデータが出てきていないのです。
ただし、これまでの状態で言えば、まだそれでもよかったと私は思っていて、
なぜかというと、大気中に吹き出してきた放射性物質の量。
それを比較していくと、
大気中に出てきたストロンチウム90はセシウム137の1000分の1位しかないのです。
ですから、総量が圧倒的に少ないので、
大気中に出てきて大地を汚した放射能を問題にする限りは、
セシウムをとにかく注意すればいいと私は思ってきました。
しかし、ストロンチウムという放射性物質は水に溶けやすいのです。
セシウムも水に溶けやすい。
つまり、放射能汚染水の中ではセシウムもあればストロンチウムもあるのです。
セシウムに関しては、汚染水をなんとか浄化しようとして今一部を捕まえているのですけれども、
ストロンチウム90はほとんど捕まえることができないで汚染水の中に残っているのです。
ですから今、海へ向かって流れ込んでいるという汚染水は、
むしろセシウムではなくてストロンチウム90の方が多いし、
これから海の、海産物の汚染が次々と広がっていくわけですけれども、
そういうものの汚染を考えるときには、セシウムだけを考えていてはダメで、
ストロンチウム90もきちっと考えて測定しなければいけないと私は思います。
今聞いていただいたように大変手間がかかるので、
なかなかデータはこれからも出てこないだろうと思います。
ーーつづく↓
「凍土壁はできないと思います」10/12小出裕章さん講演×映画「ママの約束」(文字起こし)
<海へ出てます!毎日80億ベクレル>
「ストロンチウム90が50億ベクレル、セシウム137が20億ベクレル、トリチウムが10億ベクレル。
はい、あのぉ~、一日当たりになります」8/25東京電力記者会見文字起こし
014/08/10 に公開
8月10日宮城県女川町での「女川から未来を考えるつどい」に参加した、
京都大学の小出裕章さんより、放射性指定廃棄物最終処分場建設に反対する
宮城県加美町のみなさんへメッセージをいただきました。
併せて、小出さんの指定廃棄物処分に対するお考えも述べて頂きました。
こんにちは、京都大学の小出です。
加美町の皆さんにメッセージをという事で、しばらく話をさせていただきます。
指定廃棄物という、
皆さんはもういろいろとご存知の、放射能のゴミが加美町にも押し付けられるという事で、
大変不条理な事だと、私は思います。
その放射能のゴミというものはいったいどこから来たのか?といえば、
もともと東京電力福島第一原子力発電所の原子炉の中にあったものです。
れっきとした東京電力の所有物であった訳で、
それが、嘘をついた東京電力のおかげで、
皆さんが住んでいる住んでいる場所等にばら撒かれてしまいました。
それを今皆さんが、せっせと集めて指定廃棄物という形になろうとしているのですけれども、
もともと東京電力がばら撒いた、東京電力の所有物ですから、
皆さんがそのゴミを引き受けるなんていう事は、決してやってはいけない事です。
で、東京電力のものは東京電力に返す。
という事が一番いい事なのであって、
私自身は、もとからあった場所
「東京電力福島第一原子力発電所に返す」というのが物の道理だと思います。
ただし、残念ながら福島第一原子力発電所の敷地のなかでは、
今たくさんの労働者たちが放射能を相手に戦っている戦場です。
その戦場に新たに放射能のゴミを返すという事は、出来ないだろうと思います。
…、私の一番正直な気持ちを言ってよければ、
私は東京電力の本社ビルにそれを返したいと思っています。
でも、それを言うと皆さん
「何をとぼけたことを言っている」と受け取られて相手にしていただけませんので、
私は次の策というのを持っています。
それは東京電力福島第二原子力発電所の広大な敷地がありますので、
そこに返すべきだと思います。
東京電力は、「福島第二原子力発電所を再稼働させる」というようなことを言っている訳ですけれども、
冗談を言わないでほしい、と私は思います。
自分の所有物たるゴミをたくさんの人々の上にばら撒いて、
たくさんの苦悩を与えながら、
自分だけは無傷で助かって再稼働をするなんていう事は、到底許すべき事ではないと覆いますので、
福島第二原子力発電所を放射能のゴミ捨て場にするという事が私はいいと思いますし、
もちろん再稼働はさせないという事がいいと思います。
そして、それでも「足りない」というのであれば、
私は東京電力柏崎刈羽原子力発電所、というのが新潟県にあります。
世界最大の原子力発電所です、
新潟県の方には多分おこられると思いますけれども、
私は責任を果たす、きちっと責任を取らせるためには
福島第二原子力発電所の敷地で足りないというのであれば、
柏崎刈羽原子力発電所の敷地も核のゴミ捨て場にするという方策がいいと思います。
加美町も含めて、普通の方々がこのゴミを引き受けるという事は、
決してしないでいただきたいと思います。
以上です、よろしくお願いします。
電力9社株主総会 株主から怒りの声
2014年6月26日 NHKニュース9(文字起こし)
株主からは怒りの声が。
その原因は各社の業績
原発の運転再開が出来ない中、火力発電の燃料費負担が増えて経営を圧迫。
今年3月期の決算では原発を保有する9社のうち6社が赤字。
そのうち5社は3期連続の赤字で無配が続いています。

画像:NHKニュース9 2014年6月26日放送より
ニュース9の報道の仕方がものすごく変で、間違っていると私は思うけれど、
NHKのナレーションの内容よりも、この電力会社の図を見た時のインパクトがとても大きかった。
なんでなんだろう?
東京電力が赤字で他の電力会社が黒字ならば理解できるけど、
東京電力がダントツの黒字で、東北電力と北陸電力以外はみんな赤字。大赤字!!
総括原価方式で電力会社って赤字にはならない仕組みじゃなかったっけ?
なんで、赤字なんだろう?
不思議に思って検索してたら、下記のYoutubeに遭遇しました。
小出裕章さんにきく。(9)
- 「なぜ電力会社は総括原価方式なのに赤字になるのか?」- 2014.04.28
ぽぽんぷぐにゃん:
電力会社はまだ原発なんてやる気になっていると思いますか?
小出裕章先生:
やる気になっている理由は二つあると思うんですけれども、
どんなに失敗しても責任を取らなくていいという事が今回。
ぽぽんぷぐにゃん:なるほど
イコマレイコ:証明されちゃいましたよね。
小出裕章先生:
そうです。
東電はちゃんと生き伸びているわけで、いられると。
それからもうひとつは今止めたら不良債権になる、原発が。
ぽぽんぷぐにゃん:そうなんですよね。
小出裕章先生:
これが資産だったものが一気に不良債権になるので、もう会社がつぶれますから。
やり続けないと。
ぽぽんぷぐにゃん:
それをちょっと小出さんの口から聞きたかったのは、
やっぱり関西電力でも、総括原価方式で、
それで「絶対損しない仕組みで電力会社というのは電気料金を決めている」っていう事になっているんですけれども、
関西電力とか、積立金を崩したり赤字になったりとか、
それがどう解釈したらいいのかっていうのを説明してもらえますか?ちょっとだけ。
なんで、損しないはずなのに、
小出裕章先生:
だから、潰れないですよ、結局は。
だからもし、いま原発を全部やめるとこれまでの資産が全部不良債権になるわけで、
関西電力の資産がたとえばゼロになる、あるいはマイナスになるという事はあるでしょう、
でも別に会社はつぶれないです。
ぽぽんぷぐにゃん:
原発を動かしておかないと利益が出ないというか、黒字にならないっていうか、
そういう仕組みってどうもならないの?
小出裕章先生:
まぁ、原発をやればやるだけ儲かるという電気事業法の仕組みがあった。
原発建てれば1基4000億円5000億円、それが資産として計上される。
そうすると電気事業法で、資産の何%分の利益を得ていいと電気事業法に書いてある。
それに見合うように電気代を決めればいいと書いてあるから、
電力会社はやりたくてやりたくて、原発ばっかりダーーーッとつくってきて、
膨大な資産を持って膨大な利益を懐に入れるという、そういうやり方だったんですよね。
今度でも、その資産が無くなっちゃう。
だからもう、利益を取れなくなるわけですよね。
だから、電力会社の経営者としてはそうなる前にやっぱり資産として認めさせて利潤が欲しいと思うでしょう。
だから原発止めようという動機は全然働かない、彼等は。
でも仮にそれをゼロにしたところで、資産が無くなってしまう。
あるいは不良債権になってマイナスになるっていう事があるかもしれないけれども、
でも電気事業法は今でもあるわけだし、利益を取っていいと書いてある訳ですから、
電力会社が倒産することはないですよ。
ぽぽんぷぐにゃん:今のままでも全然困らない
小出裕章先生:
私はもう倒産させた方がいいと思いますけれどもね、
東電なんてもちろん倒産させなければいけないし、
関電だって「原発止めたら倒産する」って言うなら倒産させて一から出直させるという方がずっと健全だと思います。
ぽぽんぷぐにゃん:
電力会社がなんやかんや言っている横で、
2016年に電力自由化ということを実行して、
ガス会社とかオリックスまでが火力発電にどんどん参入しているんですよね。
そういうなんか、原発というのは下火になっていくのかな?って。
小出裕章先生:
必ずなります。
新規立地はもう多分ないでしょ、いずれにしても。
今やろうとしている大間と上関がどうなるかであって、
それ以上に日本で原発をつくれるところと言ったらもうないですよね。
ぽぽんぷぐにゃん:
そうですよね。
だから僕なんかはやっぱり大間は絶対、上関もそうなんですけど、止められないかなというのが。
いま函館市の市長さんが頑張っていますけど
小出裕章先生:ありがたいですね。
ぽぽんぷぐにゃん:
いつ止めれるかですよね、原発の問題というのは。
もうみんなやる気は無くなっているんですよね、電力会社も
小出裕章先生:
まァ、新規立地はないでしょうね。
再稼働はだけどやる気満々でしょ。
ぽぽんぷぐにゃん:
みんな節電して、原発がなくても全然いけるようになって、
電力会社はそれでもなんか「余力があんまりない」というぐらいしかないっていうね、
でも関西電力は「今年は無理だ」みたいな。
「原発再稼働はちょっと厳しい」みたいな。
「それでも乗り切れますよ」と言ってみたりね、
小出裕章先生:
そりゃ乗りきれますよ(笑)
電力不足なんて絶対に起きないです。
ぽぽんぷぐにゃん:
そんなんいうたら、原発動かすきっかけっていうのがね、無くなってくるような気がするんですけど。
小出裕章先生:
だって、あの規制委員会が安全性を確認する訳ですから、
動かしちゃいけないっていう、じゃあどうしていけないのかという話になるじゃないですか。
ぽぽんぷぐにゃん:どう思いますか?明るいと思いますか、暗いと思いますか、この先というのは。
小出裕章先生:誰にとってですか?
ぽぽんぷぐにゃん:原発の将来っていうかね、
小出裕章先生:
原発の将来は暗いですよ。
ウランもそんな長くない、どっちにしてももう終わりですよ。
ウランがないんだしね。
米国だってヨーロッパだって、「原発やろう」なんていう国はないでしょ。
フランスだって「縮小する」って言っていますよね。
ぽぽんぷぐにゃん:そういうところではちょっと小出さんも嬉しいっていうところがあるんですかね?
小出裕章先生:
嬉しいというか、そんなものはもう、個人の喜びとかそういう事とは関係なく、
歴史の必然として原子力は終わるんです。
イコマレイコ:それまでにだから、事故がね。
小出裕章先生:
そうです、だから私はとにかく、
私が生きている間に大きな事故にならなければいいと思っていたし、
なる前に原子力を止めなきゃいけないと思っていたけれども、もう起きちゃったわけですよね、私の場合は。
だからもうどうしていいかわからない。
まぁ、もうひとつ起こさないためになんとかしなきゃいけないとは思うけれども、せいぜいその
イコマレイコ:
使用済み燃料なんかがある限り分からないですよね、何が起こるか。
ルーマニアにもすごく古い原発が、あれはもう止まってますけど、あのー、どうなるかわからないですよね。
あるんだからそこに、燃料が。
小出裕章先生:運転してなければね、
イコマレイコ:大丈夫ですか
小出裕章先生:
大丈夫っていうことはないけれど、
運転していなければ、危険はずいぶんちいちゃいですよね。
イコマレイコ:そうか、「止めちゃう」っていう事が大事なんですね。
小出裕章先生
止めたからといって危険が無くなるわけではないけれども、
でも止めなきゃいけない。
電気料金の驚異の”からくり”「総括原価方式」←これは知っておくべきですね。
「電気料金を決めている総括原価方式について」2011・7・21
(そもそも総研内容書き出し)
<東京電力がなぜ黒字なのか?>
販売量は1%減なのに収入は10%増!
損害賠償交付金は2700億円支払わず温存!人件費は前年度よりも101億円増!
ーーー
東電がなぜ黒字なのか?
それは、銀行からお金を貸してもらうためだとすると、
じゃあ、九電や関電はなんであんなに沢山の赤字なのか?
電気事業法によって利益を得ていいという電気事業法があるにもかかわらず、
わざわざ赤字決算したという事は、わざと赤字にしたとしか思えない。
「赤字だ赤字だ!火力発電を使っているから燃料費で赤字だ!」と猛アピールをして、
「原発稼働しなきゃ大変だ」というポーズをとっているように思える。
電気が沢山あったって、わざと計画停電する位の事をするような電力会社だから、
原発再稼働のためなら赤字決算するくらいは簡単にやるだろう。
そんな事を思った。
しかしNHKも株主が怒る理由が
「原発の運転再開が出来ない中、火力発電の燃料費負担が増えて経営を圧迫。無配」
と、全国放送、しかも夜9時のニュースで大きな声でいうなんて・・><。
NHK自身も電力会社の株主だから、配当金が欲しいのね、きっと。
だから、国民よ騙されるな!
-放射能と向き合い、子どもたちの未来を創る-
「未来のために今できること」
セシウム137汚染の世界への拡がり
文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/nQSTlM_9RiA?t=28m43s
大気中に放出されて放射性物質はどうなると思いますか?
皆さん分かって頂けると思うけれども、外に出てくれば風に乗って流れる。
そしてこの日本という国は北半球温帯という地域にあって、偏西風という風が常に吹いています。
西風が上空に吹いています。
そうすると、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は、
「偏西風に乗って東へ流れた」というのが本当の事なんです。
どうなったか?というとこうなるんです。

(↓クリックすると大きく見る事が出来ます)

これが日本です。
福島原子力発電所で真っ赤になった部分があって、
その外側に黄色いところ、それから青いところがありますが、
青いところの方は汚染が少ないところ。
黄色になって赤になってくるとだんだん汚染が高くなってくるっていうものですけれども、
もちろん日本の東北地方関東地方は強い汚染を受けました。
しかし、ここから放出された放射能は偏西風に乗ってずーーっと太平洋を汚染して行って、
米国カナダの西海岸に落ちてしまったのです。
事故が起きた直後に私は沢山の方から相談を受けました。
「もう日本は怖いから海外に逃げようと思う」という相談でした。
しかし、日本でも北海道とか九州に住んでいた人達が、仮に米国の西海岸に逃げてしまえば、
余計被ばくをしてしまう。
そういう汚染の仕方なのです。
原子力発電所というものがたった一回でも事故を起こせば、
そこだけにとどまるのではなくて、全地球に汚染が及んでしまうと、
そういう汚染の仕方をするという事が分かって頂けると思います。
それでも原子力発電所の周辺はもちろん濃密な汚染を受けました。
日本政府が公表した汚染地図がこれです。

福島第一原子力発電所はここにあります。
周辺に点線で二つの円が書いてありますが、内側が20kmで外側が30km。
皆さんは十分御承知だと思いますが、
20kmの範囲は政府が「逃げなさい」と指示を出して、バスを差し向けて、
住民をバスに乗せて避難所に送ったのが20kmです。
30kmの範囲の住民に対しては、「家の中に閉じこもっていなさい」と。
「逃げたい人は自力で逃げはさいよ」というふうな指示を出したのが30kmです。
政府が出したのはそれだけです。
しかし、今聞いていただいたように放射能が外に飛び出してきてしまえば、
その放射能が同心円的に周辺に汚染を広げる道理はないんです。
偏って流れる訳だけです。
当初北風が吹いていたので放射能の雲は南に流れて行って、
福島県の浜通り一帯を汚染しました。
県境を越えて茨城県の北部を汚染して、一時期放射能の雲が太平洋に抜け、
そしてまた、茨城県の南部へ戻ってきまして、茨城県の南部霞ヶ浦の一帯を汚染して、
そして千葉県の北部を汚染して、東京の下町の一部を汚染しています。
ある時には南東の風が吹いていて、放射能の雲は北西に流れていきました。
赤、黄、緑と色が塗ってあるところを分かって頂けると思いますが、この部分が猛烈に汚染を受けたところです。
先程1000平方km、琵琶湖の1.5倍と聞いていただきましたが、
ここが現在無人地帯になっているところです。
なぜこんなことになったか?と言えば、放射能の雲が流れてきた時にここで雪と雨が降ったんです。
先程西川さんの報告にもありましたけれども、
那須に来た時にも那須で雨が降った、だからこの辺が汚れたという解説でしたが、これもそうです。
流れてきた時に雨が降って猛烈な汚染を受けてしまいました。
猛烈な汚染は20kmでもとどまらない。30kmでもとどまらない。
40km、50km離れた彼方でも猛烈な汚染になってしまいました。
ここは福島県の飯舘村という村がありました。
みなさんよくご存じだと思います。
「原子力発電所からは何の恩恵も受けない、自分たちの村は自分たちでつくる」と言って、
長い間苦闘を続けてきて、「日本一美しい山村」と自他共に認める美しい村をつくりました。
しかしそこに放射能が降ってきて、全村離村になってしまいました。
猛烈な汚染をしたところの外側にももちろん汚染地帯はずーっと広がっています。
青い色を塗ったところ、くすんだ緑のところなどが、猛烈なかなりな汚染地帯ですけれど、
ずーっと広がっています。
数字を少し聞いていただこうと思います。
福島県の中通りを縦断して青い帯がありますし、それは栃木県の北部に繋がっている。
そして、群馬県にも繋がっていますが、
この青い帯は内側に薄い青があります。
外側が濃い青になっています。
薄い色の青のところは1平方メートル当たり、よろしいでしょうか、1m四方ですね。
1m四方にセシウムが10万ベクレルから30万ベクレル降り積もったと日本政府が言っている地域がこの薄い青。
濃い青色の方は、6万ベクレルから10万ベクレル、セシウムが降り積もっていると日本政府が言っています。
このくすんだ緑のところは1平方メートル当たり3万ベクレルから6万ベクレルセシウムが降ったよというところです。
この数字を言ってピンとこられた方もいらっしゃると思いますが、
「まだ数字の意味が分からない」という方もいらっしゃると思いますので、
比較の例を聞いていただきます。
私は京都大学原子炉実験所というところで、毎日原子炉や放射能を相手に仕事をしています。
ただし放射能を取り扱おうとするのは特殊な場所でしか取り扱う事は出来ません。
そこは放射線管理区域と呼ぶ場所です。
皆さんは入ることすら禁じられている。
「特別に手続きをしないと普通のみなさんは足を踏み入れる事が出来ない」という場所が放射線管理区域です。
私は仕事がらその場所に入ります。
しかし私が放射線管理区域に足を踏み入れた途端に、
私は水を飲むことを禁じられます。
食べ物を食べることも禁じられます。
そこで寝る事なんてもってのほかです。
「放射能を扱うという特別な仕事のためだけに入っていい」と。
「終わったらさっさと出てこいよ」というのが放射線管理区域です。
しかし、放射線管理区域からは簡単には外に出られないんです。
放射線管理区域の出口には必ず扉が閉まっている。
その扉を開けるためには一つの手続きをしなくてはいけません。
私が放射線管理区域の中で仕事をした。
という事は、私の身体が汚れているかもしれない、放射能で。
私の着ていた実験着が汚れているかもしれない。
放射能を取り扱った手が汚れているかもしれない。
そんな汚れたまま管理区域の外側に出てしまえば、普通のみなさんを被ばくさせてしまうから、
汚れがないかどうかの検査をしない限りはドアが開かないということになっています。
では、ドアが開く基準はいくつか?というと、
1平方メートル当たり4万ベクレルです。
もし私の実験着が1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて汚れていれば、
私は実験着をそこで脱いで放射能のゴミとして捨てるしかないんです。
私の手が1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて汚れていれば、ドアが開かないから私は出られない。
管理区域の中の流しで必死に洗い、水で洗って取れなければお湯で洗う。
お湯で洗って取れなければ石鹸を付けて洗う。
石鹸を付けても落ちないのなら、
薬品で手の皮が少しぐらい溶けてもいいから落とさないとドアが開かない。
つまり、放射線管理区域の外側には、1平方メートル当たり4万ベクレルを超える様な汚染物は、
どんな物でも持ち出してはいけないし、存在していてはいけないというのがこれまでの日本の法律だったんです。
私はその法律を何とか守ろうとしてずーーっとやってきました。
しかし今や、見て下さい。
このくすんだ緑のところですら、3万ベクレルから6万ベクレル汚れている。
青いところは6万ベクレルを超えているんです。
それも、私の手が汚れているとか、実験着が汚れているとかいうんじゃない。
大地全部が汚れている。
那須塩原はここです。
皆さんにこんな地図を見せるのは大変心苦しいけれども、
「那須塩原は放射線管理区域にしなければいけない」というほどの汚染を受けたのです。
本当の事を言えば、福島県の東半分を中心にして、
宮城県と茨城県の南部・北部・さらに栃木県の北半分、群馬県の北半分、
千葉県の北部、岩手県の一部、新潟県の一部、埼玉県や東京都の一部というところを
放射線の管理区域にしなければならないというほどの汚染が生じたんです。
39:27 http://youtu.be/nQSTlM_9RiA?t=39m27s
一体どこの県がどれだけ汚染したか?という事を
私の知人の沢野さんという方が事細かに計算して教えてくれました。
それがここに書いた数字です。(右側)

福島県を筆頭として、その2番目には栃木県ですが、沢山の放射性物質が降り積もりました。
先程日本政府が広島原爆168発分放出したと言ったものが、この大きな4角で書いたものがその量ですが、
噴き出してきたもののほとんどは太平洋に流れて行きました。
それぞれの県に降り積もったのはこれだけです。
福島県がまず一番多い。
それから栃木県、群馬県、さらに茨城県、宮城県、岩手県とずーーっと、続いていきます。
放出した放射能の全体から言えば、1割か2割です、日本の本土に降ってきたのは。
残りのほとんどのものは偏西風に乗って太平洋に飛んでいって、
遠くカナダの方まで汚染を広げたという事になりました。
これが先程地図で見ていただいた、東北地方関東地方の広大な地域にばら撒かれました。
いま皆さんの地域でも除染という事をやっているかもしれません。
表土を剥いだりして、それをフレコンバックというバックに入れて
どこかに積み上げているという事をやっている訳です。
栃木県でも群馬県でも、もちろん福島県でも。
そこいら中に膨大なフレコンバックの山が今できてしまっています。
でも、その中に含まれているセシウム137という放射能の量は一体どの位だとみなさんは思うでしょうか?
放出された放射能の量は先程もちょっと聞いていただきましたが、
日本政府がIAEAに報告した値で 1.5×10の16乗ベクレル。
で、これが広島原爆168発分なのですけれども、みなさんピンとはこないと思います。
でも10の16乗というのは、10を16回掛けていくという事を示しています。
10倍100倍1000倍1万倍というふうに、
16回掛けるという気の遠くなるような数字という事は分かって頂けると思います。
そのうち、陸地に降下したセシウム137の放射能の量は、約1割か2割にすぎません。
2.4×10の15乗ベクレル(沢野伸浩さん(星陵女子短期大学)の評価)

いずれにしてもこの陸地に降下したものも10の15乗ですから、
10を15回掛けるというほどの膨大な数字だという事はみなさんにも分かって頂けると思いますが、
一体こういう数字に表れてくるセシウム137というものの
放射性物質の重さはどれほどのものだとみなさんは思われるでしょうか?
日本政府がまき散らしたと言っているこの全体の量でも、4.7kgです。
東北地方、関東地方に降り積もったセシウム137の量だけでいうなら、
750gです。
たったそれだけのもの、
片手で簡単に持てるようなものが福島の原子力発電所から噴き出してきて、
東北地方関東地方にダーーーッってばら撒かれた。
そしたら、人々が住めないような土地が広大に広まってしまって、
いまその表土を剥いで次々とフレコンバックの山をつくっているという、そういう事になっている。
その正体がこれだった。
想像もできないほどの僅かな量です。
もちろん五感なんかでは決して感じられません。
私は後からもう一度聞いてもらいますが、
「放射能が目で見えればいいな」と思い続けています。
そうすれば皆さんは危険を感じられる。
大小の違いはあると思うけれども、たったこれだけが東北地方関東地方にばら撒かれてこのような状態になっている。
目にも見えなければ五感で感じつことも出来ません。
そういうものを今私たちは相手にして戦っているのです。
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-放射能と向き合い、子どもたちの未来を創る-
「未来のために今できること」
【講演】京都大学原子炉実験所・小出裕章助教
【日時】2014年4月19日(土)13:00開場 13:30開演
【場所】那須塩原市 黒磯文化会館大ホール
【主催】第3回311 「つながる、つたえる、そして未来へ」実行委員会
【後援自治体】那須町 ・ 那須塩原市 ・ 大田原市 ・ 矢板市 ・ 塩谷町
【協賛】アジア学院・よつ葉生協
0:38~

那須塩原というこの場所に、こんなに沢山の方がおいで下さって、大変ありがたく思います。
先程、西川さんも言って下さったように、
この那須塩原は、福島県の南部に比べてもむしろ汚れているという様なところです。
そういうところで生きていかざるを得ないという状況にみなさんが追い込まれている訳で、
おそらく沢山の不安を抱えながら、毎日の生活を送られているのだと思います。
申し訳ありませんけれども、私自身はあまり皆さんに明るい話題を提供できる自信がありません。
でも、事故から3年経ってしまった今、そしてこれからどんな事に気を付けるべきなのか?
という事を聞いていただこうと思います。
早速話を始めます。
http://youtu.be/nQSTlM_9RiA?t=49m6s
先程地図を見ていただきましたが、
栃木県の汚染地図はこれです。

北部を中心にして汚染しています。
那須塩原はここですから。(□の部分)
1平方あたり6万ベクレルから10万ベクレルという様な汚染地帯が中心部にあって、
その周辺に3万ベクレルから6万ベクレルという汚染地帯が広がっています。
4万ベクレルを超えるようなところは放射線の管理区域なんです。
みなさんの住んでいる那須塩原は本当は放射線管理区域です
私の様な人間しか入ってはいけない。
私が入ったって、水を飲んではいけないという様な場所が、今この場所なんです。
こんなことを私はみなさんに言いたくない。
これは日本政府が作っている地図です。
「ただし」ですけれども、
汚染は少しずつ減ってきています。
那須塩原は今見ていただいたように1平方メートル当たり、セシウム134と137を合わせると、
約6万ベクレルに汚れていました、2011年3月の段階で。

しかし、放射性物質というのはそれぞれ寿命を持っていて、
少しずつ減って行って、
セシウム134という放射性物質は2年経つと半分に減ってくれる。
137の方は30年の寿命があって、30年経たなければ半分に減りません。
寿命が長いやつですけれども、それでも少しずつ減っていきます。
どんなふうに減るか?というと、セシウム134の方はかなり素早く減って行ってくれて、
10年も経つとなくなってしまうという位のスピードで減っていきます。
セシウム137の方はなかなか減らないで、
30年経ってようやく半分になるというぐらいというように考えられています。
でも10年以降はほとんどセシウム137だけを気を付ければいいという事は分かって頂けると思います。
そして、1平方メートル当たり6万ベクレルで汚れていた、たとえば那須塩原市。
これは、「環境」というものですね。
地球の「環境」というもののなかに那須塩原市もあるわけで、
「環境」は移動しています。
高い汚染地帯から低い汚染地帯に、ま、基本的には汚染は流れて行くわけです。

たとえば、Reactor safety Study という米国の有名な研究がありまして、
その研究の中では、地表に降り積もったセシウムの63%は、6割以上は半減期0.61年。
つまり、半年後とぐらいで半分に減って行くという、かなり速く消えてくれるだろうという推定をしています。
のこり37%は半減期93年ですから、もうこれは諦めなさいという事ですけれども、
こういうふうに減るだろうというデータが一つだけ与えられていました。
私はどれだけこの評価が正しいのか分からないのですが、
もしこの評価が本当だとすると、
セシウム134、青いのはこんなスピードでなくなっていくし、
「長く汚染が続くだろう」と言ったセシウム137も当初急激に減ってくれて、
あとなかなか減らないという状態が続くという、そういう計算結果になりました。
そして、こういうセシウム134,137が地面を汚染していて、皆さんを被ばくさせる訳ですね。
先程から、住民の方々が空間ガンマ線量と言っているのですが、
1時間当たり何マイクロシーベルトというのを調べてきて下さったというデータを報告して下さったけれども、
それは地面に降り積もっているセシウムから地上50cm、1mというところに放射線が飛びだしてくる訳ですが、
飛び出してくる放射線の強さがセシウム134と137で違います。

セシウム134のガンマ線はセシウム137のガンマ線に比べて約3倍強いんです。
地面を汚染していたセシウム134と137は事故当初はほとんど1対1だったんですけれども、
でも134の方が3倍もガンマ線が強いので、被曝のほとんどはセシウム134でした。
それが急激に減って行ってくれるので、ま、どんどん減ってくるだろうというのが今の計算です。
当初は約7割がセシウム134からの被ばく量でした。
でも10年以上はほとんどセシウム137だけになってしまいます。
そして今聞いていただいたように、セシウムは環境中で移動しているので、
その効果も含めて計算するとどうなるか?というと、こんなになります。

セシウム137の方もかなり急激に当初減ってくれて、後ずーっと尾を引いているというようになる。
事故当初1時間当たり0.25マイクログレイ、
これはシーベルトとみなさんが使う単位に呼び変えていただいてもかまいませんが、
この位あったものが、事故から3年経った現在は多分0,05ぐらいのところまで減っているはずだ。
というのがこの計算結果です。
それにはもともと0.05マイクロシーベルト1/h 位の放射線がありますので、
それとほとんど同量ぐらいが降り積もって現在でもこの那須塩原にある。
そして、人々が被ばくをしているという状態になっています。
今後はもう減らないという事が続くだろうと私は思います。
当初(表が間違えています)0.26マイクログレイあったものが3年後には0.05にまで減ると。
現在は自然から受ける空間ガンマ線とほとんど同じ程度にまでなっているというのが私の計算結果でした。
そしてこれからずーっとこの土地に住み続けるとどうなるか?というと、
こういうふうに被ばく量が上がっていきます。

セシウム134の方はほとんど数年で被ばくが無くなってしまいまして、ずーっと後は変わりません。
しかしセシウム137の方はずーっと上がって行って、
30年経ったころの合計で約7ミリグレイの被ばくを
皆さんは地面からだけの被ばくでするという計算結果になります。
そしてこの7ミリグレイの半分は、最初の5年間に受けます。
すでに3年経ってしまいました。
当初の5年というのが猛烈な被ばくの期間で、
本当ならこの期間に逃げなければいけなかったのです。
残りの25年で残りの半分が上乗せされますけれども、
本当なら事故直後のいま、この3年の間私はみなさんに逃げていて欲しかったと思います。
2014年3月9日 扇町公園
http://youtu.be/l_h2zIQJ2mY?t=38s~

皆さんご承知のようにこの日本という国は数十年前まで戦争をしていました。
アジアの沢山の人々に大悪を加え、そして日本の国民も沢山の苦難を負いながら戦争を進めました。
結局日本は負けました。
でも「国破れて山河あり」という言葉がある様に
国家などが戦争に負けても、大地はありました。
「大地があればそこで人々は生きられる」という事なのですけれども、
3年前に起きた福島第一原子直発電所の事故で、
今現在1000平方kmという地域。
琵琶湖が1.5個も入ってしまう地域が無人になってしまいました。
「土地自身を無くしてしまう」という事が現在進行しています。
その周辺にも、およそ1万4000平方kmにもおよぶ広大な地域が
本来であれば放射線管理区域にしなければいけないほどの汚染を受けています。
「本当であればそこも無人にして、土地を失っても仕方がない」というほどのひどいことが現在起きています。

しかし、先日政権に返り咲いた自民党は、
「今止まっている原子力発電所を再稼働させる」
「新たな原子力発電所も作る」そして
「原子力発電所を海外に輸出する」という様な事まで言っています。
そのために彼等のやっている事は「福島をなかった事にする」ということです。
「忘れさせてしまおう」という事を彼等は作戦を練りながらやってきています。
それに対抗するのはただ一つだと私は思います。
「忘れない」という事です。
私たちは決して忘れない。
福島の事を忘れないという事が彼等と戦う一つの方策だろうと思います。

今、自民党政権はオリンピックというような事を押しだして、
福島の事故が収束したかのように言っています。
オリンピックに反対すると非国民であるかのような、
そのような論調も生まれているように見えます。
しかし、福島の人達を苦難のどん底に落としながら「なにがオリンピックなんだろう?」と私は思います。
こんな国であるなら、私は喜んで非国民になって戦いたいと思います。
私自身は決して福島の事を忘れないでいきたいと思いますし、
これだけ沢山のみなさんが福島を忘れないでいて下さるという事を力にして、また生きていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
「福島第一原発事故~31ヵ月目の真実~」
2013年10月20日(日) 19:00~ 阿佐ヶ谷ロフトA
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)、
山本太郎(参議院議員)、
おしどり
今西憲之
(音声)
今西:
小出先生、相変わらずですね、福島第一原発は落ち着きのないところがずーっと続いているんですけれども、
ま、とりわけ汚染水ですね、大きなところなんですけれども、
やっぱりこう、小出先生ごらんになっていてですね、
どうですか?
とてもじゃないですけど収束やブロックされている状況ではないと思うのですが。
小出:そんな事を私が言わなければけないんですか・・
今西:アハハ・・是非言って下さい。
小出:
もちろんブロックなんかされていません。
2011年3月11日に事故が起きてから何も解決できない。
炉心が溶け落ちてしまって、それがどこにあるかすらわからないので、
「ただひたすら水を入れて冷やすしかない」という事を2年半以上やってきてしまっている訳です。
水を入れてしまえばもちろん汚染水になるという事は当たり前のことなのであって、
それが次々と増えてきてしまって、
もう、どうにもならない所に今追い詰められてしまったというのが現状です。
今西:
それでま、そもそもなんですが、
水を入れるとそれだけ汚染水が増えるわけですよね。
そうするといつまでも水ばっかり使うておってええんですか?というですね、
ことになってきている訳なんですけれども、
その辺で先生いろいろアイディアをですね、出されておるという事なんですけれども、
それについてちょっと一言いただければと思うんですが。
小出:
はい。
原子力というものをやってしまうと核分裂生成物という死の灰が大量にできてしまう。
それをいつか何とかしなければいけない。
福島の様な事故が起きようと起きまいと
「なんとかしなければいけない」という課題は、昔からあったわけです。
「どうしようか」としていたかというと、
日本の国の場合にはとにかく深い穴を掘って、地面に埋めてしまおうとしていました。
その時に、「じゃあどこに埋めるか」という時に、
技術的にどういうところを狙うかというところで、
一番重要なファクターは「その場所に水が無い」と、
地下水が侵入してこないというところを選んで埋めようということにしたのです。
つまり、死の灰というものは水と接触させてはいけない。
なんとか水と遮断しようというのがこれまでの原則だったのです。
しかし今はそうではないのです。
そこに死の灰の塊があって、
それをとにかく冷やし続けなければいけないということに、2011年3月11日になったわけです。
物を冷やすのに一番効果的な物質が水だった。
だから水を入れようとしてきたのです。
私自身も事故が起きた当時には「なんとか水を入れてくれ」と頼んできました。
きれいな水を入れて欲しいけれども、それが無いなら海水でもいい。
海水も使えないなら泥水でもいいから入れて、とにかく炉心を冷やしてくれと、私は発言をしてきました。
それほど、炉心を冷やすために水というものは当時は効果的だったと私は思います。
で、かなりの長い間私は水しかないと思い続けてきたし、
増えてくる汚染水を、とにかく汚染水をなんとか処理をして食い止めようという事を考えて、
わたしはいくつかの提案をこれまでもしてきました。
たとえば汚染水をタンクに入れようとしてもそんなものは間に合わないから、
巨大タンカーを連れてきてとにかく一度移そうとか、
汚染水が地下水と混じらないように遮水壁をつくろうとか、様々な提案はしてきたのですけれども、
国や東京電力は一切採用してくれないまま、この事態になってきているのです。
しかし一番根本的な事を言うならば、
初めに聞いていただいたように、「死の灰の塊に水を接触させてはいけない」という事に、
やはり立ち返えらなければいけないと私は思うようになりました。
水が一番本当は冷却にはいいのですけれども、
それでも「水は使ってはいけないのだ」と思うようになりました。
今は「水の替わりに金属を使ってなんとか冷やせないだろうか」という事を考えようと思っています。
ただし今直面している問題は人類が初めて遭遇している、とてつもない事故です。
どうすればうまく収束できるかという事を経験的に知ることはできません。
とにかく知恵を集めてやってみるという事をこれからやらなければいけないのですが、
残念ながら日本の国、あるいは東京電力にはそういう姿勢が全く、
これまでもなかったし、どうも今もなさそうだと、それが一番の問題だろうと思います。
今西:
それでね、小出先生、この間、ま、東京電力の方の人間とちょっと一杯やっている時にですね、
まァまァ現状はどうなっていますか?という話をしました、原子炉の中ですね、という事を言うと、
1号機は大体水が2m位溜まっていると。
2号機はま、60cm位から70cmだと。
これが水が4mになれば、水は放射能を遮断する効果がありますので、
ロボットを使ってなんとか燃料を取り出したり、メルトダウンしたですね、
という様な話をしてたんですよね。
けど、3号機に至ってはね、「3号機はどないでっか?どれ位水がありますか?」
「全くわかりません」というような話だったんですね。
あのー、要するに「ある程度水がたまれば、ロボットを使ってメルトダウンした燃料を取り出す」という、
この案というのは問題ないんでしょうか?
小出:出来ないと思います。
今西:と、いいますと?
小出:
いま、東京電力や国は溶け落ちた炉心というものが
圧力容器と呼んでいる「圧力釜の真下に饅頭のように固まっている」
というのが国や東京電力のイメージなのです。
で、それをとにかくその饅頭ごと取り除けばいいという事を言っている訳ですけれども、
多分違うと思います。
溶け落ちた炉心は私たちがスンリーとかスラッジと呼ぶような状態の物質があるのですけれど、
要するに泥水のようなものですね。に、なって、私は多分落ちたと思っていますので、
もうそこいら中に流れて、あちこちに散らばってしまっている。
壁にへばりついてしまっていたりするという、そういう状態だと私は思います。
そうなると、塊をドサッとどけるという訳ではない訳ですから、
基本的にはもう「どうしようもない」と、
「どうしようもない」ものをたとえば頑張ってやって、50%だけ、たとえば集めたとしても、
結局50%は取れないままそこに残ってしまう訳でまた別の対処をしなければいけない。
50%をかき集めるために多分大量の被ばくを、
ロボットを使うにしても大量の被ばくをしてしまうとおもいますので、
もう初めから諦める。
全部を別の方法で閉じ込める。
私が思っているのは石棺という、
チェルノブイリでつくった石棺をやはりつくるしかないだろうと、思っています。
「福島第一原発事故~31ヵ月目の真実~」
(文字起こしブログ)
●<秘密保全法阻止>
小出「太郎さんが別に離婚しようと、子どもをつくろうと、 そんなことは太郎さんのプライベートなこと」
●鮫川村焼却施設「私文書偽造」と爆発の”事象”10/20(文字起こし)
●「死の灰というものは水と接触させてはいけない。しかし今はそうではないのです」
小出裕章氏10/20(一部文字起こし)
●私たちは舐められている。 「どうせこんなことを言ってもみんな分からないだろう」
10/20(文字起こし)
能力は無い
岩上:
安倍さんはIOC総会でですね、「完全にコントロールしている」と、
「港湾内に全部収まっている」
収まっているわけないんですけどね、一日で44%海水が交換される訳ですから。
ま、どんな嘘でもつけるという事だと思うんですけれども、
あの非常に短いスピーチの中にですね、ぎっしりと幕の内弁当のようにウソが
多種多様なですね、それこそ核種がギュッとあるように多様なウソが詰まっていたと思いますけど、
分けても小出先生が許せない、もしくはですね
それはあなた7年後に本当にオリンピックをやるっていう事を考えたら大変なことになるよ、と
危機感を持たれたといいますかね、というようなものはありますでしょうか?
小出:
だってもともと・・・福島第一原子力発電所に「安全だ」とお墨付きを与えたのは自民党政権ですよ。
そのお墨付きを与えた原子炉が爆発して、何十万人もの人が今苦難のどん底にいるんですよね。
「じゃあ誰が責任を取るべきなのか」と言ったら
自民党のトップである安倍さんが責任を取らなければいけないはずだと私は思うし、
彼はまずは真っ先に刑務所に入れたいと私は思っています。
その彼が、福島の人達、どん底に落とした人たちを横目に置いておきながら、
「僕は完全にコントロールしている」
「もういい加減にしてくれ」と、それだけでも思うし、
「東京電力なんかに任せておいてはダメだから政府が責任を持ってやります」とか、安倍さんが言ったんですね。
「政府が責任を持ってやる」って一体誰のお金を使ってやるのか?と、私は聞きたくなる。
もちろん国民のお金な訳だし、
どん底に突き落とされた福島の人達の金でもあるわけですね。
それを使って安倍さんが、
私からみると犯罪者である安倍さんがやると。
お前なんかに偉そうに言って欲しくない。って、むしろ思いましたね。
まずはちゃんと責任を取るべきだと思うし、
岩上:
政府が正面切って、前面に出てやるという事は、
それは国費を投入するという意味と、
ま、いろいろな、実際にその現場に口を出してくるという事だと思うんですけれども、
政府にそんな統治の能力とか解決の能力
小出:能力はないですけれども
岩上:無い
小出:はい
岩上:無い!?
小出:はい
岩上:はぁ~~~・・・
小出:
まずは、「無い」けれども、でも東電に任せておいてはダメだ。
というか、東電って会社じゃないですか。
東電なんか何十回倒産してもあがないきれない位の被害が出ているわけで、
東電に任せて出来る筈がまずはない。
ですから本当のことを言うなら、まずは東電をはっきりと倒産させる。
「もう東電はダメだ」と言って倒産させたうえで、
仕方がないから国がやる。
要するに国民の血税を使ってもやるしかないという事を、まずは表明しなければいけない。
もう、膨大な金がかかります。
わたしは日本の国家が倒産する程の金がかかると思っていますけれども、
でもやらざるを得ないのであって、
きっちりと一つ一つ責任を明らかにして、東電を倒産させる。
そしてもう、しょうがないから国が全てを請け負ってというか
金を全て負担してやるという事をしなければいけない。
でも、やるという事にしても、
「いま進行中の事故を本当に収束するだけの能力が国にあるのか?」と問われてしまうと、
初めにお答えしたように多分「無い」
柏崎刈羽原発
岩上:ハァ・・・
こういう最中にですね、再稼働の手続きがどんどん進んで行っています。
とりわけ東電が熱心なのは柏崎刈羽で、最大級で。
そして何が何でもこれに抵抗する泉田さんを陥落させるべく、ま、「攻め立てた」と言っていいでしょう。
そういう状態にありました。
泉田さんは大変に立派な論陣を張って、
「安全性が確立されないという事では申請は受け付けない」ということでしたけれども、
この間廣瀬社長との二回目の対談によって、少し態度を軟化させました。
この様子。
東電の廣瀬さんの言い分は先ほどのシンポジウムで行った某ナントカ氏と同じでしてね、
ま、経済性一点張りですよね。
自分たちが赤字に転落すると、だからやるんだと。
これはどのようにご覧になっていますか?
柏崎刈羽は安全にできると思いますか?
小出:出来る道理がないです。
岩上:道理がない。
小出:はい。
岩上:ウーん・・・
小出:
いまだに福島の事故の原因すらが確定していないのですね。
原因が確定できなければ対策のとりようがない。
当り前のことですし、
もともと柏崎刈羽は猛烈な地震であちこちやられてしまった。
2007年だったでしょうかね、
あれだってもともとは安全なはずだったのにやられてしまったということになっているし、
どんな原子力発電所だって、「完璧に安全だ」なんて、そんなのがある筈がない訳ですね、機械ですから。
ここまできたのなら、わたしは、柏崎刈羽も含めて全て原子力発電所は停止するべきだと思いますけれども、
ま、廣瀬さんではないけれども
「今停止すると東電が倒産してしまう」とかね、そういう話になってしまう訳ですよね。
「もう、結構だ」と。
東電はどんどん倒産してくれて構わないわけだし、
一切の原子力を振り出しに戻して電力を再建するしかないと、私は思います。
岩上:
なるほど。
泉田さんの姿勢についてはどのようにご覧になりますか?
小出:
泉田さんは頑張ったわけで、
だから、ま、「どこまで頑張ってくれるかな」と、思ってはいましたけれども、
でも、たぶん無理だと思います。
岩上:ほぉーー。
小出:
ようするに、まぁ、政治の世界の人なわけですし、
日本というこの国が原子力を進めると決めて、経済界もなにもそれに乗って、ここまで来てしまったわけで、
先ほどの池田さんの話ではないけれども、
「今止めたら電気代が上がってしまうよ」とか、
そういう事を考えている人たちが政治と経済の場所でずーーっと動かしてきたわけですから、
泉田さんの支持基盤の中にももちろんそれがあるだろうし、
柏崎刈羽原子力発電所をつくって、さまざまに潤ってきた人達、組織というのは、
新潟県内に沢山ある筈なのであって、
泉田さんという一人の知事がとことん抵抗するという事はたぶん無理だと私は思います。
電気代が上がる?
岩上:
なるほど。
電気代が上がるという話が、これが当たり前のように今していますけれど、
これちょっと「あれ?」と思っているんですが、
確か前、僕とのお話しの中でね、「電気代は言うほど上がらないんじゃないの」と
電気代は上がるかもしれないけれども、その事による経済コストと、
原発によるコストとでは比べ物にならない程原発がコストが高くなるし、
そもそも電気代はそんなに上がりますか?って言うのが疑問だっていう話がありましたよね。
ちょっとここも。
小出:
原則的な事を言うのなら、これまでだって、原子力の発電単価が一番高かった。
ですから、原子力なんてやってしまったが為に高い電気代をみんなが払わされてきたわけですから、
一刻も早く止めるのが原則的にいいのです。
で、もしこれから続けてしまうのであれば、
岩上:オイルショックのようなイメージが強いのでしょうけれども、
小出:だからみなさん、
岩上:実際にはもっと下がるだろうと、
小出:
短期的には多分、化石燃料を買わなければいけないとかね、
そういうお金はもちろん必要になるわけですから、電気代がなにがしかは上がるかもしれないと思います。
でも「そんなことが一体何なんだ」と私は思うのですね。
やればやるだけ原子力は、やればやるだけ損をしてしまう訳だし、
廃炉の費用だって、本当にいくらかかるか分からない。
生み出してしまった核分裂生成物のゴミの始末なんて言ったら、
もう気が遠くなるほどの作業になってしまう訳で、
やればやるほど、もう、未来の世代に付けを残していくという事になるわけですから、
目先の事に惑わされないで止めるべきだと思います。
4号機
岩上:
もう、1,2点。
先程聞き忘れたんですけれども、福一のやはり気にかかるもう一つの点というのは4号機ですよね、
使用済み核燃料プールの。
この取り出し作業が始まると言いますけれども、これも前から、
もし途中でなにかがあったら、破損があったら大変なことになるんじゃないかと、
このように警告されていました。
その点と、それから今出てきた鉛とかスズとか、というものを使えないか?と。
で、山田先生は初めは考えていなかったみたいなんですけど、
私と話している最中に、たとえば使用済み核燃料というのが膨大に溜まっているんだよっていう話から、
「あれ?使用済み核燃料も鉛付けに出来ないんですか?」って言ったら
「耐えられさえすればできなくもないなぁ・・・」っていうふうにおっしゃってて、
ま、乱暴な措置だけど、やってやれない話でもないのかな、って、究極のところ。
などというふにおっしゃっていました。
ま、これを使う使わないっていうのはひとまず置いておいて、
4号機の問題はどうでしょうか?
見通しは、「安全に」なんとかなりますか?
小出:
さっきも
福島第一原子力発電所から大気中に放出したセシウムという放射能の話をちょっと聞いていただいたんですが、
日本政府の公表値によると、広島原爆の168発分なんです、それは、セシウムは。
大気中にすでに放出したやつですね。
4号機の使用済み燃料プールの中には、
使用済み燃料が今はまだ眠っている訳ですけれども、
その中には広島原爆の14000発分ある。
岩上:ね・・・・、もう、それは何回聞いてもため息が出る・・・
小出:
これまでに放出した分の約100倍がまだ、いまはプールの底にあるんですね。
で、毎日のように余震もあって、
プールはもう爆発で宙吊りのような状態になっているわけで、
そのプールが崩壊するようなことになれば、大変なことになるだろうなと私は思っていますので、
とにかく、一刻も早く今プールの底にある使用済み核燃料を
少しでも危険の少ない場所に移すべきだと思ってきましたし、
東京電力もそう思ってきたのですね。
ですからそのために、移すためのクレーンを設置しようとして、
そのクレーンを設置するための巨大な建屋をまず建ててきたわけですね。
多分もう、クレーンも設置するでしょうけれども、
今年の11月かあるいは12月になれば、
今プールの底に沈んでいる使用済み燃料を吊りだす作業が始められると言っているんですね。
ですから私はそれをなんとか始めて欲しいと思っていますけれども、
使用済み燃料プールの中には1331体の使用済みになった燃料があるんです。
それを単に水中から吊りだしたら、周りにいる人がバタバタ死んでしまいますので、
巨大なキャスクというのをプールの底に沈めて、
そのキャスクを、多分20体位は入ると思うのですが、
使用済み燃料を入れて、蓋をして、
岩上:蓋
小出:クレーンでつり上げてですね。
岩上:水と一緒にですよね
小出:
もちろん。
水底にまず容器を沈めて、水浸しの容器の中に使用済み燃料を入れて、蓋をして、
水が入った状態で吊りだすわけですね。
で、重さは100トンを超えていますので、巨大なクレーンがないといけないわけで、
そのクレーンを今設置している訳です。
で・・・
それが上手くできるか?という事がまず心配ですね。
もう、使用済み燃料プール自身が破損しているし、
その上にいろんながれきが落っこっているんですね。
そうすると、使用済み燃料も、多分なにがしかは損傷しているだろうし、
それをきちんとキャスクの中に入れるという事自身が困難かもしれない。
岩上:ロボットかなんかを使うんですかね?
小出:
使用済み燃料の交換機というのがもともとあるわけですし、
それはもう、爆発で吹き飛んで無いので、今は。
ですから新しい使用済み燃料交換機をつくって、たぶん今それを準備しているんだと。
岩上:なんだかのアームでそういうものを取り除きながら、
小出:もちろんです。
岩上:入れるんですよね。
小出:
そうです。
アームを落として、ちょっとつり上げて、横にずらしてキャスクを中に入れて、
それを1332体、こうやってやるわけですね。
岩上:すごいですよね。
小出:
途中で、だから吊り落としたりすれば、
使用済み燃料がまた、破損したりする。
そうなるとまた、放射能が噴き出してきてしまいますので、
岩上:破損した時に、だから核分裂が起きるという訳ではない
小出:
多分それはないと、私は思っています。
怖いのは放射能がどれだけ外に出てきてしまうか?と。
岩上:そうするとまた被ばく故、作業がそこに近づいて出来ないと、
小出:
労働者が被ばくをしてしまうし、作業がしばらく出来ないという事になると思います。
ですから、本当にその1331体分をきちっとやれるかどうかが不安だし、
一体どれだけの時間がかかってしまうのかな?ということも不安なのです。
でも、少なくても私はやるべきだと思っています。
それで4号機に関してはこれまで準備もしてきたし、
4号機というのは比較的、その、私たちがオペレーションフロアと呼んでいるところの汚染が少ないので、
やってほしいと思っています。
でも、使用済み燃料プールは4号機だけにあるのではなくて、
1号機も2号機も3号機もあるのですね。
そちらの方はオペレーションフロアという使用済み燃料プールがある階、
フロアの汚染が猛烈にひどいので、
いまだにその階に人が行くこともできないのですね。
ですから遠隔操作でがれきを撤去したりしているわけですけれども、
実際にいつになったら使用済み燃料を吊りだす作業が始められるか、
それも私にはわかりません。
ですから今、岩上さんがおっしゃってくれたように、
もうそれを諦めて、使用済み燃料プールごと鉛で固めてしまえとか、
そういう案は・・・ん・・・私はあんまりやりたくないけれど、
取らざるを得なくなるかもしれないですね。
岩上:「やりたくない」というのはどういうことですか?
小出:不安じゃないですか。
岩上:不安?
小出:
そこに鉛を入れたとしてもね、
それは山田さんも多分不安だったかもしれないけど、
プールが崩れたらまた困ってしまう訳だし、
岩上:あー・・・、その、建物ごと鉛にするのはダメですか?
小出:全体を鉛で覆うというのは、それこそ膨大すぎて、出来ないんじゃないですかね。
岩上:んー。
小出:プールだけでも鉛をのせたら、多分床が持たないと私は思いますね。
岩上:荷重がねぇ・・・
小出:やっぱりどこかもっと安定している場所に移す方が、私としてはいいと思いますけれども、
岩上:
特に1,2,3は破壊されていないから4号機のように。
本来なら出来る筈なのに汚染がひどいためによれないと。
でも、これは見通しがないんですね。
小出:今のところは見通しはないです。
岩上:だから、ずーーーーっと経ってからやりだすというのが、このままだと一応考えられる一番最善の手?
小出:
ですからまず4号機をやろうとしているわけですね。
それがだから上手くいけるかどうかも分からないわけだし、
東電としてもまず4号機をやってみようと思っていると思います。
それが上手く出来れば、1号機2号機3号機と、やっていこうとするんですけれども、
それが終わるまでにはたぶん10年という時間がかかるでしょうし、
最後は私は石棺だと思っている訳ですけれども、
石棺をつくれるようになるまでにも、要するにそういう時間がまず必要なんです。
岩上:
石棺をたとえば「今からやってしまえ」という乱暴な人もいますけれど、
「鉛やセメントを流し込んで上から全部固めてしまえ」と、
ところが、実際にはそれは出来ないんですね?
小出:
4号機は使用済み燃料プールからきちっと使用済み燃料を取り出すことができるのであれば、
4号機には石棺は必要ないかもしれません。
岩上:いらない。
小出:
4号機は。
でも、1号機2号機3号機は炉心自身が溶けてしまっているので、
国や東電は、さっきも聞いていただいたように、「溶けた奴をつかみだす」と言っている訳ですけれども、
わたしは「できない」と思っているので、
1号機2号機3号機はいずれにしても石棺しかないと思っています。
ただし、その工事に取り掛かるまでには、
まずは使用済み燃料プールの底にあるやつを取り出さないと。
封じ込めてしまったら終わりですから、
まずは使用済み燃料プールの底にある使用済み燃料を取り出す。
それが終わってからでないと、石棺の工事に取り掛かれないという、こういう状態なんです。
岩上:なるほど、その石棺が出来る時には鉛やスズで固める必要はないんですか?
小出:
えー・・・・・・・・、わかりませんけど、
何がしか遮蔽材を、その溶け落ちた炉心の周辺につくるという事は必要かもしれませんけれども、
それをやろうとするとまた被ばくをしてしまいますので、
そんなことはもうなんにもやらないまま、チェルノブイリでやったように
とにかく巨大な容器をつくってしまうというのは、一番いいかもしれない。
岩上:そうですか。
小出:
わかりません、それは。
しばらく様子を見ながら考えるしかないと思うし。
岩上:
集まっているという場合は上から鉛やスズでね、コーティングできるかもしれないけれど、
飛び散っていた場合は、先ほど言ってたように、どこから入れるかという難題はありますけど、
入れたものが上手く上に乗っかってコーティングしてくれるか?って言う保証がない。
小出:
そうです。だから私は金属で冷やすべきだと言っていますけれども、
それはうまくいくかどうかという事は不安なのです。
確信が持てない。
それは一カ所にまとまっては多分ないと私は思っていて、
あっちこっちに飛び散っちゃっているので、
全てのところに金属をまんべんなくいきわたらせるというのは、
多分難しいだろうと私は考えているから、なのですが、
でもそれは、
岩上:
なるほど。
飛び散っていた場合の手はあるんですか?
小出:
でも、いずれにしても上から落ちて飛び散っているわけですから、
上から金属を落とせば金属も飛び散るかもしれない。
だから、どういう状態になるのか分からないんですけれども、
やってみる価値はあると思っていますし、
うまくいくかどうかというのは、放射性物質がどれだけ出てくるかという事を測定しておけば、
何がしかの情報は把握できるはずだと思いますので、
岩上:研究価値はあるという事ですね。
小出:分からない・・・はい。
岩上:間違いなく。
小出:やってみる価値はあるとおもいます。
軍事国家化・若狭湾演習
岩上:
最後に一つだけ。
安倍政権になってですね、そしてオリンピックをやる。
で「コントロールできています」。
ウソばっかりですよね。
ウソばっかりのこの安倍政権がいま何に一番全力をあげているか?
沢山ありますよね、一つとは言いません。
「消費税の増税もやる」と言いました。
そしてだけれども全力を最もあげているのはですね、この国の軍事国家化です。
それはもうご存じのとおりです。
秘密保護法もやります。
解釈改憲によって集団的安全保障の交渉に米軍との一体化。
米国がたとえばシリアで今回、単独行動で自衛でもない戦争をやろうとした。
それに日本は追随していちゃったかもしれない。
それはテロや戦争へのリスク。
自分たちが攻撃されるリスクが高まりますけれども、それに応戦しようとしている。
国防軍をつくろうとしている。
日本版NSCをつくろうとしている。
これらはみんな一体です
多くの人が軍事国家化という事と秘密保護法、共謀罪
こうしたことがですね、全く別なことのように思っている人たちが多いんですけれど、
全く一体ですよね。
小出:そうです
岩上:
先生はご存じだと思いますけれども、
治安の強化。
情報がでなくなる。
そして情報にアクセスしようとする人間は厳罰で10年ということです。
コンなような状態の中、日本が軍事国家化を進めようとしているのですけれども、
京都に、ここに近い京都に、もともとの京大は京都にあります。
すぐ北にレーダー基地をつくるという事で今反対運動もあります。
ところがそもそもアメリカの戦略では日本を戦場とするわけですね。
そして、アメリカの「統合エアシーバトル」を落とし込んだ日本の海上自衛隊看護学校の論文とか、
それに基づいたヤマザクラという演習。
これはその演習に基づいて行くとですね、若狭湾が最も敵の最大の上陸地点であり、
そこに迎え撃ってですね、日本とアメリカ軍が、
仮想敵とされているのは、中国と北朝鮮軍ですけど、
これと、海と陸と空で砲撃と弾頭と爆撃の雨嵐の戦いを繰り広げて上陸をふせぎ、
もし入りこまれたら今度は陸上でさらに戦闘を続けるということでですね、
大活劇スペクタルをやる予定なんですよ。
大活劇スペクタルをやる予定地に、ズラーッと原発が並んでいる事をその論文の中では一回も触れられていない。
そしてこの演習は行われています。
行われたのは何と311の後です。
2011年の後です。
先生、あの、若狭湾の福井と京都は目と鼻の先です。
これ、どのようにお考えになりますか?
小出:
あまりにもバカげたシナリオですよね。
戦争になったらまずは原発がやられるのは当たり前だろうと私は思うし、
原発の存在を考えない戦争シナリオなんていうのは書くだけ無意味だと思います。
岩上:
それを本気で、しかし、全力でですね、この国は、本当にこの国のかたち、
戦後憲法をいじるとかいう事はやって来なかったんですけれど、
本当に憲法をいじり、本当に解釈改憲で変えてしまう。
本当に米軍と一体化してしまい、
そして本当に、物言えない報道や取材にすら制約をするというですね、法案の準備も、今まっしぐらにしている。
敵基地攻撃論まで用意している。
北朝鮮敵基地攻撃論としたらそれは相手は撃ってきますよね。
眼と鼻の先の海外線に撃ってきますよね。
えー、現実化しつつあるんですけど、
原発のことを論じている人も戦争の事に目を向けなかったりとか、
戦争の事に気が付いている人は原発の事に気がつかなかったりとか、
なんか別番組でやっているような状態が続いて入るんですね、この日本は。
でもこれは別番組じゃなく、同じ空間でやっていることだと思うんです。
これを以前僕は「原発×戦争で考えなきゃいけないんだ」というふうに言っているんですけれども
なかなか同時に耳を聞いてくれないんですよ。
どうしたもんでしょう?
小出:
むしろ私が聞きたいです、岩上さんにね。
むしろ岩上さんに聞くというよりは、「政治に携わっている人は真面目に考えてくれよ」と、
私は思いますね。
まァ、軍事に関わっている人はいるんでしょうけども、
軍事に関わっている人がどうして原発の存在を許せるか?
それが私にとっては不思議です、まず。
岩上:
どうしても戦争をしなければいけない。
どうしても敵からの攻撃があるかもしれない。
国防を固めなければいけない。
だとしたら「全力で原発片付けろよ」と言うしかないですよね。
小出:
原発を持ったまま戦争は出来ませんよね。
当り前だと私は思うし、軍事の専門家なら当然皆さん知っているはずだと思いますけれども、
でも今岩上さんがおっしゃったようにヤマザクラではシナリオを書いても原発は無い。
岩上:無い。
小出:あまりにも愚かさですよね、
岩上:
で、この後には最悪のシナリオ。
米中間が最も破壊ゲームというのが最大化した場合はにはですね、戦場は日本列島ですから。
アメリカは退避します。
日本はミサイルの山。
そうなったらアメリカが奪還に行くというシナリオです。
そのために国費を膨大に投入して、国防費を強化し、
そうしたシナリオにそった国防体制。
自衛隊から国防軍に格上げすることも、
そしてそういう国防軍がですね、これまでの法を超えて、
活動し行動し武力行動ができるような法編成も行うと言う訳ですよ。
小出:
私が岩上さんに講釈する必要は全然ないと思うけれども、
日本というこの国は米国の属国なんですよ、いまだに。
岩上:ね、この話をしましたね、以前に、本当に。
小出:
だからまあ、そうなっているのであって、
その事を本当は政治の人だってちゃんと認識しなければいけないのですけれども、
でも、米国の属国から抜け出そうとする政治家は抹殺されていくという、そういう歴史だったし、
まあ、鳩山さんも何がしかやろうとしたけれども抹殺された。
小沢さんだって抹殺された。となっているわけで、
本当はもっと多くの人がこの日本という国と米国という国の関係に関して、
きっちりと考えなければいけないと思います。
岩上:これは政治家や官僚任せではもうダメなんじゃないですか?
小出:
(笑)ダメでしょうね。
「じゃあどうしたらいいのか?」と問われると、
本当はだから、国民が賢くなればいいんですけれど、
岩上:でもそれはメディアが、あっち側のメディアしかなくなっているんですよ。
小出:ですから米国の属国のまま政治も経済もマスコミも全部が動いているわけで、
岩上:
マスコミの制約に、
いろんなところで発言を封じられてきた経験がおありの小出さんだとわかると思うんですけど、
それが今一番ひどくなり、秘密保護法以降は本当に刑事罰が
小出:ものが言えなくなるわけですよね。
岩上:ですよね。
小出:そうです。
岩上:どうしましょうか。
小出:ま、岩上さんがまだいるから(笑)
岩上:いやいや(笑)ぼくも・・・
小出:
岩上さんが葬り去られるか、私が葬り去られるか、
まぁ、しょうがないんじゃないですか。
岩上:ヤマザクラの演習を、こう、出して話したら、刑事罰10年かもしれないですよ。
小出:
かもしれないですね。
何を言ったってやられるかも。
むこうがやる気になれば、何でもやれるわけですし、
岩上:
昨日総理会見があったんですけれど、
昨日の総理会見で手をあげて指されたら、ヤマザクラについて質問して、
「総理それでお聞きしますけれど、私10年になるんですかね?」って
質問しようかと、本気で思ってたんですよね。
当たりませんけれど・・・w
当たったら聞きますから。予告しますから。
「私10年ですか?」って。
その前に官邸から締め出されるでしょうね。
小出:そうですね。
岩上:
でもこれ、本当に大変なところに来ましたね。
つまり、この後。
これまでは何とか原発の情報が出ていましたけれど、もう出ないんじゃないですか?
小出:
秘密保護法がもし本当に成立してしまうと、
原子力の情報というのは、これまでも出なかったけれども、ますます出なくなるんでしょうね。
岩上:
ますます出なくなる。
アメリカとの間で二人三脚でやっていることがこれからも拡大してきちゃうでしょうし、
世界に売り付けていくことも含めて。
これからますます全部秘密秘密になって、それはもう本当に出さない。
強い影が出来てしまう。
リークも無くなりますよね。
小出:
リークしたらだって、10年になってしまう訳ですから、
簡単にはリークもできなくなるでしょうね。
ま、今までだって、リークなんかできなかったし、これからはますます出来なくなっていくでしょうね。
岩上:なんか、これで締めたいんですけど、一言、希望の一言を何か
小出:
福島の苦難のどん底に落とされた人たちだって、
今でもくじけずに戦おうとしている人たちがいらっしゃすわけですし、
全国でそれを支えようとしている人たちだって入るわけですから、希望がないわけではないと思います。
岩上:こうした法案を通してから後で何とかしようと思うのはまずいですね。
小出:そうですね。
岩上:ね。
なんとか、あの、秋の国会に出るそうですから、
今の国会の構成状況から言うと、これを阻止するのは大変難しいと思いますけれども、
でも、少しでも声をあげて、
これをたとえば、理由を付けるとか制約を付けるとか、より危険で無いものにするとか、
しなくてはいけないというふうに思ってはおります。
という事で、先生本当にありがとうございました。
小出:ありがとうございました。
岩上:
小出先生にお話を伺いました。
みなさん長時間ありがとうございました。
ーーおわりーー
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岩上:
「薄めて流せ」と、そして「トリチウムは何の問題もないんだ」と、
こういうプロパガンダがですね、本当に言う人がいますよね、実際ね。
えっと、この間中継に入らせてもらえなかったんですけど、
あの人、推進派というか対談をおやりになりましたよね。
池田信夫さん。
ああいう方はかなり乱暴なこともおっしゃるようですけど、
小出:
えっと、池田さんのはですね、結局経済なんですよ、彼の立脚というのは。
それで彼が一番商工会議所の論争の中で言ったことは、
これからはもう原子力発電所を新しく建てることはできないだろうと池田さんも認めた。
でも、すでにあるやつをこのまま動かさないで不良債権にしてしまうと
「電気代が4割上がります」とか言ったんです。
そして、青年会議所というのはいわゆる経営者の人たちがいるわけで、
自分の工場を持ったりしているわけですね。
そういう人たちがやっぱり今電気代が4割上がったらやっぱり駄目だと、
そういうふうに多分判断されたんだと思います。
私は、実はそんなことではなくて、
今がどうのこうのではない。
「これをやればやるだけ損をしていくんだ」というふうに私は言ったわけですけれども、
でも商工会議所の人からみれば「今、4割上がったらもう駄目だ」という、そういう判断何だと思います。
ですからそういう議論はあるし、池田さんの議論はそういう議論です。
岩上:多くの人達は対して人も死んでないしね、チェルノブイリだって
小出:
そうです、池田さんはそれも言いました。
「原子力が怖い怖いというけれども、放射能で死んだ奴なんかいないじゃないか」と、
「むしろ石炭の方が怖いんだから原子力いいじゃないか」と、池田さんは言ったのです。
でも、わたしは「それは、被ばくが危険ということの本質を見誤っている」と言って、
被ばくの影響に関しては急性障害と晩発性の障害というのがあって、
急性障害は見えなくても晩発性の障害というのは必ずあるんだと、
それはもう、大量にこれから出てくるはずだと、私はそう言いましたけれども、
でも、いかんせん見えない、すぐには。
そうなると、池田さんのような議論はもちろん出来るわけだし、
経営して言える人たちからみると、「まあ、今は見えないんだから」という事になるんだろうと思います。
岩上:うーん
小出:
でも私は、放射能というのは必ず害があるし、
長い期間に渡ってじわじわじわじわ出てくるだろうと思っています。
岩上:
なるほど。
で、トリチウムの話に戻しますとトリチウムはとにかく取り出す方法が全くない。
小出:ありません。
岩上:
そして先程のストロンチウムに関してもこれも希釈するのは難しいと、
希釈というか、薄めるのが難しい。
で、薄めると言いますか、レベルを下げるのが難しいと、
でも彼らが考えているのは、「じゃあ、濃度が高いなら水で薄めて出せばいいんじゃないか」
「トリチウムを水で薄めて出せばいいじゃないか」と、
つまり水割と同じ扱いで出したらいいんじゃないかと、考えているのはこれだけですよね。
小出:
そうです、最後はそれしかないんです。
ですからそれが何時の時点で発動されるかというだけですね。
岩上:
そうなったときにどんな影響が出ますか?
ま、あんなふうにためていること自体、そうすると労力の無駄なんですよ。
だから、こんなことはやめちゃって、そこそこ取れるものは取って、セシウムは取ったと。
「だからもう他はしょうがないじゃない」って言って、
「だったらどんどん、お金の無駄だからさ、流そうよ」って流した結果、
「ほら、海に戻したら海で希釈されるでしょ」って、それを進めている推進派の学者は
「何の問題もない。海へ捨てればいいんだ」とこんなことを言っている論者がいっぱいいますから、
だからその彼らの言い分に従ってやった場合、どんなことが起きてしまうでしょうか?
小出:
たとえば、ですけれども、
人間が放射性物質をばら撒いたというのは、福島の事故が初めてではないのです。
その前にはチェルノブイリ原子力発電所の事故があって、
福島の事故よりはむしろ多くばら撒いていた、だろうと思います。
それよりもっと前には、大気圏内核実験というのがあって、
1950年代から60年代に空中でボンッ!と原爆や水爆を爆発させるわけですから、
放射性物質を全部そこで、公共にばら撒いたという事をやったんですね。
その大気圏内核実験でばらまいた放射性物質の量というのは、
福島の原子力発電所でこれまでに、これまでにばら撒いた量に比べると、
何十倍も多いのです。
「だから福島の事故なんが大したことない」
「どうせ汚れてたんだから気にすることない」というようなそういう考え方なんですね。
岩上:役人も言いますもんね、はい。
小出:
でもそれ自身が私は正しくないと思っていて、
大気圏内核実験で放射能をばら撒いたが為に、
沢山の人達がそれによって犠牲に、もうすでになっているはずだと。
ただしそれが見えないという放射線障害の特異性の故に見えない。
福島の物をばら撒けば、またそれで被害が出るという事は、私は確信しているわけですね。
ですから出来る限り出さないようにしなければいけないと思っているのです。
じゃあ今、汚染水の中に溜まっているストロンチウム、なんかが溜まっている訳ですけれども、
それがどの位の量なのかというと、
多分、核実験でばら撒いたストロンチウムより多いと思います。
岩上:
そうですか。
出たものはアレですけれども、貯蔵量というか溜まっているのは…・どのくらいの量になるんですか?
小出:
えーっとですね、セシウムという放射性物質で比べると、
大気圏内核実験でばら撒いたのは、日本政府の公表値の約60倍ばらまいているんですね、
セシウムが、大気圏内核実験で。
岩上:公表値というのは、日本政府が何を?
小出:IAEAに報告を出して、事故直後から大気中に放出したセシウム137の
岩上:福島に関してですね。
小出:福島です。
岩上:で核実験はそれの60倍。
小出:
はい。
要するに大気圏内核実験は空気中にばら撒いたんですね。
ですからそれと、福島の原発が空気中にばら撒いたセシウムを比べると
約60倍大気圏内核実験の方が多いんです。
で、セシウムの量とストロンチウム90の量はほとんど一緒なんです、核分裂した時に出来る。
ですから、ストロンチウム90も大気圏内核実験で大量にばら撒いている訳ですけれども、
いま、・・・
ストロンチウムは大気中にはほとんど出なかった、福島の事故の場合には、出なかったんですけれども、
その分汚染水にみんなあるんですね。
それは、福島の事故から大気中にばら撒いたと日本政府が言っている量の
たぶん10倍以上、もっとあると思います。
何十倍かあると思います。
つまり、ストロンチウムだけを問題にする限りは、
大気圏内核実験でばらまいたストロンチウムと、
今福島の敷地の汚染水の中にあるストロンチウムと、
同じか、むしろ福島の方が多いだろうと私は思っている
それをでも、じゃあ、海へ流したって、
「これまで大気圏内核実験でストロンチウムを撒いたのと同じぐらいなんだからいいだろう」と、
そういう事を言う人がいるだろうと私は思います。
でも、「今までだって害だったんだし、それと同じ害だからいいだろう」
という議論は私は正しくないと思うし、やってはいけないだろうと思いますけれども、
でも「打つ手が本当にあるのかな?」と考えると、難しいと思います。
つづくーー
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岩上:
汚染水の流出の問題は、とりあえず今、この鉛あるいはスズを使った冷却というのも、
一つ光明としてね、見えてきているのかもしれませんが、
それ以外にいろんな懸念があると思います。
それが実現するのかどうかというのはもちろんまだ未知数ですし、
それだけではない、それが実現する間にもね、様々なリスクがある。
地下水をどうするんだ?と、
遮水壁はどうするんだ?
それは有効に機能するのか?
それから、タンクの増設は、これはどうするんだ?と。
さっきの先生の話を聞いて、ちょっとがっかりしちゃったんですけど、
パッキンじゃなくて、今度はちゃんと溶接型を持ってくるのかなと思ったんですけど、
「そこで作業できないんだったら溶接型は持ってこれないじゃないか」と思いましたし、
それから、地下水に接触しているのかしていないのか?
「しているだろう」とずっと言ってきましたけれども、
接触してたら、もうちょっと汚染は大変なことになっちゃうんじゃないだろうか?
いくつかのこの、福島第一原発の汚染関係でも、
ま、メインの話は今の話だとしても他にね、気になることがいっぱいあります。
何が問題だと思いますか?
なにがいけないですか?
何をどうしなくちゃいけないと思いますか?
小出:
汚染水の問題というのは、なんか最近になって皆さん「大変だ」と思われたようですけれども、
まずそれが間違えているのですね。
汚染水というのは2011年3月11日から「汚染水」というのがあったし、
その時点から、もう環境にどんどん流れていたのであって、
「何で今更そんな事に騒ぐのかな」と私はむしろ思っています。
これからも、どんどん、どんどん、漏れてくる訳だし、
東京電力がつくったタンクだって、これからもまた漏れてくる。
「もうどうしようもない」という、そういう状態になっているのですね。
で、今岩上さんはちょっと、遮水壁のことも言って下さったけれども、
私は2011年の5月の段階で
「とにかく、汚染している現場と地下水との接触を断たなければいけない」と言って、
その段階で遮水壁の提案をしたのですけれども、
最近、かつての民主党の政権だったころの馬渕さんっていう人が内情を暴露して下さいましたけれども、
東京電力も遮水壁を検討した。
そしたら1000億円かかってしまうという事になって、
6月の株主総会を乗り切ることができなくなるからと言って、
遮水壁をやらないことにしてしまったというのです。
で、今になって「凍土壁でつくる」とかいう事を言っているのですけれども、
あまりにも遅い。
もう2年間放置してきてしまって、どうしようもない状況に追い込まれているんですね。
でもまぁ、「遮水壁をつくる」という事はもちろん私は必要だと思いますので、
やるべきだと思います。
岩上:これは必要ですね?
小出:
やるべきだと思います。
ただし、さっきから何度も聞いていただいているように、
どんな事でもやろうとすると被ばくをしてしまいます。
ですから、本当は私はちゃんとした遮水壁をつくってもらいたいと思うけれども、
それをやろうと
岩上:「ちゃんとした」というのは?
小出:
鋼鉄とコンクリートによる遮水壁を作るべきだと思いますけれども、
それをやろうとするとまた被ばくをしてしまうので、
「それよりは凍土壁の方が被ばくが少ないし、早く出来る」と言うなら、それをやってもいいと思います。
ただし凍土壁は長くもたないと思います。
岩上:あー、どれぐらいなんですか?
小出:
要するに経験もないんですね、それも。
ですから、トンネル工事の時に一日分だけ凍らせながら堀り進むという事で使っていた技術ですけれども、
一時的に凍らせるのは出来るだろうけれども、
今の遮水壁というのは、
何百mあるいは1kmというような壁を何年もこれから維持しなければいけないという事で、
多分出来ないだろうと思います。
岩上:これは凍らせるためには電気を使う訳ですよね。
小出:そうです。電気が切れたら終わりです。
岩上:
電気が切れたら終わりで、フリーザーと同じですよね、冷蔵庫の冷凍庫と。
電気がいる、その電気の消耗も莫大じゃないですか?
小出:多分莫大だと思います。どれだけかは分かりませんけれども、
岩上:未だ試算が出ていない?まだそういう声は
小出:
多分出ているんだと思いますけれども、私が知らないだけです。
でも、いずれにしても莫大だと。
岩上:莫大ですよね。
小出:
そして、なんか停電があったらそれで終わってしまう訳ですから、
やはり賢明な方策ではないと思います。
いずれにしても、ちゃんとした遮水壁をつくるしかない。
で、つくったところで、ま、つくる・・・、凍土壁についても完成まで2年と言っているわけで、
きちっとした遮水壁をつくろうと思ったら何年かかるかわからない。
それまでは汚染水がまたどんどん出てくるわけだし、
それのタンクをこれからも増設しようとしたって、敷地には限りがありますのでいつか破たんする。
「海へ流す」という事になるだろうと思います。
岩上:
ウーン・・・海に流すというのはもう、
「大した量じゃないからいいんじゃない化」というような事を言っている人間もいるわけですよね。
規制委員会によると、我々も取材をし続けていますけれど、
そこでの言い分は
「もう余計なコストをかけてもしょうがないから、もうやるんですよ」と海へ捨てることを前提としていますね。
小出:
結局そうなると思います。
で、いまはまあ、これまではセシウムという放射性物質を捕まえるという事で
ゼオライトという粘土鉱物にくっつけて、
汚染水の中からセシウムだけを除去しているんですね。
でもそれはセシウムを消したんではなくて、ゼオライトという粘土鉱物にくっつけただけなのですから、
その粘土鉱物の山というか、それが敷地の中にダーーーーーッと溜まってきてしまっているわけですね。
それも大変「どうするか?」
それから汚染水の中にはセシウム以外の放射性部室がまだ沢山入っているわけで、
そのうちから、ストロンチウムという放射性物質を除こうとして、
今アルプスという装置をつくろうとしたのですけれども、
それもやってみたけれども、あっちこっちで漏れてしまったり、
岩上:あれはなぜアルプスはあんなに沢山故障するんですか?
小出:
それは先程から聞いていただいているように、現場が悪すぎるのです。
何をやるにしても被ばくをしてしまう。
ですから、ゆっくりと、しっかりした装置をつくるという、その事がもう許されないんです。
岩上:外部でつくって搬入ではダメですか?
小出:
それを組み立てたりするわけだから、
パイプで結ぶとかそんな事もやらなければならない。
でもそれを一つ一つ溶接出来なければ、バンドで止めたりしているわけですよね。
岩上:あーーーー、
小出:それで、ちゃんとした鋼板、鋼管で結べないところは、フレキシブルなホースで結んだりしているわけだし、
岩上:ちゃちなホースばっかりですからねぇ~、現場に行っても本当に見ますけれども、
小出:はい。
しかもあちこちで漏れてしまって、あるいは鋼板の管理が悪いんですかね、
その・・・腐食してしまって穴が開くとかですねというような事で上手くいかない。
この間は、なんか工事をした時のゴムを中に置き忘れたという事でパイプが詰まってしまう。
岩上:
これはずっとね、彼らがケチだからだろう、見通しが甘いからだと、
その様な批判が多かったんです。
でもそうではなくて、本格的な鋼管を持ってくるとか、
あまりにも本当に脆弱な貧弱なパイプですよ。
そうではなくて鋼管を敷いて溶接をして完全にしっかりとした設備を、
彼等としても実はしたい。
で、お金をケチっているばかりじゃない、ケチっている部分もあるだろうけど、
でもその最後は、「できない」。
小出:
そうです。
それをやろうとすると、被ばくがどんどんどんどん累積してしまうという、
そういう現場なのです。
岩上:じゃあ、アルプスもトーシロ(素人)とか、それだけが問題なのではない
小出:
そうです。
で仮に、アルプスというものが完璧に上手く出来たとしても、
いま汚染水の中に入っているストロンチウムを
日本の法令で海へ流してもいいという濃度まで綺麗にできるか?と問われると、
多分それも私は「出来ない」と思います。
たとえば一時期タンクから漏れた廃液の中に、
1リットル当たり8000万ベクレルのベータ線放出核種があると東京電力が発表したんですけれど、
多分、その主成分は私はストロンチウム90だと思っています。
そして日本の法令に従って海へ流せる濃度というのは1リットル当たり30ベクレルなんです。
岩上:ウーん・・・
小出:
片方が30で、片方が80000000(8000万)なわけですから、
300万倍も汚染が高いという、そういう猛烈な汚染水なのです。
それを、今ある汚染水を環境に流せるまできれいにしようと思えば、
逆に300万分の1の汚染にしなければいけないというんですけど、多分出来ないと思います。
こういう、私が今いる京都大学原子炉実験所でも放射線の廃液が出てくるけど、
ゆっくり出来ますよ、被ばくだってそんなのを気にしないで
ゆっくり慎重にいろんな事をやりながらできるけれども、
さっきから聞いていただいているように、福島のところでゆっくり作業をしようとすれば、
被ばくが次々とまた積み重なってしまいますので、
本当に応急でつくった装置で、そして被ばくに悩まされながら作業をしなければいけないということで、
たぶん300万分の1以下にするという事は出来ないと思います。
仮に出来たとして、
仮に出来たとしても、トリチウムという放射性物質に関しては、一切無力です。
岩上:無力・・・・・・・
小出:
はい。
なんの手も打てません。
結局トリチウムに関しては「薄めて流せ」というと思います。
ーーつづく
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岩上:
で、問題はその集めたアイディアをですね、
どのような形で東電、政府に届けていくかっていう事なんですけど、
山田さんはですね、この自分のアイディアを書き、
全政党の党首、一部の議員、そして東電、全部に手紙を書いたと。
「全く無視された」と。
「川田龍平さんだけが返事をくれた」と。
「あとはみんな返事もない」と。
小出:
多分そうだろうし、
山田さんがそうだという以上に、
私の意見などはむしろ国や東電は「意地でも聞かないぞ」と思っているわけですから(笑)
岩上:ウ―――ん、「意地でも」ですか
小出:多分
岩上:
でも、先生の話を聞きに来る政治家とかね、というのも、以前より増えたんじゃないですか?
たとえば小沢一郎さんとお会いしましたよね。
小出:はい。
岩上:お会いした印象とかがどうだったのかとかもお聞きしたいんですけど、
小出:
小沢さんはわざわざね、こんなところまで来て下さったわけで、
私の意見を聞いて下さって、
私との対談の後に同行記者団の方々を集めて、
その場で「生活の党は原発に反対だ」と言ってハッキリと表明して下さったので、
ありがたいことだと思いますし、
私のところに来て下さる政治家の方は、もちろん原発をやめさせようとしてくださるけれども、
でも、自民党なんかはもちろん来ないわけですし、
今はとにかくひたすら自民党が力を持っているわけで、
今の政治の力学で言えば、「どうにもならない」と思います。
岩上:小泉さんが「脱原発」を言いだしていますけれど、いかがご覧になっていますか?
小出:
うーん、まあ、個人的な好き嫌いを言わせていただくと、私は小泉さんは嫌いです、はい。
でも、いま彼が言っていることは正しいです。
「原子力は止めなきゃいけない」と彼は言っているわけだし、
今日の新聞だったかな、昨日だったかな・・私なんかもよく言われてきたけれども、
「原発をゼロにするなんて言うのは無責任だ」と言って、すぐ、ま、批判がくるわけですけれども、
それに対して小泉さんは、
「そんな事を言うなら始末が出来ないゴミを生み出す方がはるかに無責任だ」と切り返したというけれども、
その通りなんですね。
自分で始末も出来ないような事をずーーっとやり続けてきた、その事が無責任なのであって、
本当だったらもうとっくの昔に原発なんて止めていなければいけなかったはずなんですね。
それを止めないままずるずるずるずるこんなに沢山つくってしまって、
「もう抜けられないからどう仕様もありません」という事を言っているわけですね。
「そんな事を政治が言っていいのか」とむしろ私なんかは思ってしまいます。
ーーつづく
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小出裕章氏インタビュー 岩上安身さん
岩上:
おなじみになりました、小出裕章先生にお話を伺いたいと思います。
小出先生お久しぶりです。
小出:お久しぶりですこんにちは。

岩上:
汚染水の事が起こったときに真っ先に駆けつけなきゃと思いながらも、
あれやこれやとちょっとバタバタしてて、
そうこうしているうちに、もう小出さんはいたるところで取材を受けていらっしゃいますから、
もう第一人者。
メジャーメディアもなんか僕がここに始めてくる頃に比べてはですね、
「メジャーメディアが小出さんを取り上げない」なんていう話をしてたんですけれども、
そんなこと全然ないですよね。
小出:ないです。
岩上:
あらゆるメディアがね、小出さんに取りすがっているというような形で、コメント等、
かなりの新聞雑誌にお出になられているとは思います。
だから重ねての話も多いかと思いますけれども、改めて伺いたいと思います。
というのは、ここに来る前に、これまで小出さんと話したことを振り返ってみました。
実は、私は初めて連絡をして、そして「この日が良いよ」という事で来れたのが、
2011年4月10日だったと思うんですね。
4月10日だったと思うんです、確か。
非常に4月の初めで、要するに事故から1カ月後っていうところでした。
もうちょっと早くから連絡してたんですが、なかなかあわただしくてね、
先生も大忙殺されていましたので、
小出:はい。
岩上:
取材をとる時間がないという事だったんですけれども、
それでもかなり早い時に来て「炉心はどうなっているんだ?」といったお話をさせていただいた時に、
すでに、二人の間で汚染水の話をしているんですね。
小出:はい、そうですね。
岩上:
水の冷却。
でも僕は「水は上から入れているのに何でそれの水位が減っていくんだ?」と、
素人だけど、それは穴があいていて地下に潜っていくしか理由がないと思うんですけど、いかが?
って言ったら、「その通りです」とおっしゃって、
だから「地下水に漏れていっているだろう」と。
「かけてもかけても流れていく」という事で話をしながら、
それでもあの当時は「第一優先が冷やす事なんだ」と、
小出:そうです。
岩上:
「とにかく冷やせ」と。
それで、「汚染水の問題はこれから重大な問題になってくるから、この汚染水をタンカーで持って行く」と
「柏崎刈羽へ持って行くという事で考えてもらいたい」
この柏崎刈羽の話はここで聞いて東電に直接ぶつけましたけれど、
「できません」と。
それは自治体が受け入れないし、その他の事があったんだと思いますね。
そのように言って、結局はタンクを作ってきて、その挙句にタンクの穴が開くと。
また漏水が見つかりましたね。
20万ベクレル。
※東電福島第一20万ベクレル海へ流出
「原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則」に該当。他 この数日内の事故
いや・・・、これを続けていったら、
30年とか、これかかるわけでしょ?全部終わるまでに。
300基600基という数をですね、30年続けていたら何千基になるんだ?って。
ちょっとですね・・・大変なことになっちゃったんじゃないか?という事がひとつ。
それから、ちょっと先走りして言いますけれども、
「これは水以外で冷やすしかないのではないか?」ということで、
鉛を使ってですね、冷やした方がいいと。
こういう事を2011年6月に発表していた山田先生と山田廣成さん、立命館大学の先生ですけれども、
その先生が当時間違いなく6月に発表しているんですけど、何の注目もされなくて、
大変恐縮ですけれども、私どもも最近まで気がつかなくて、
ここまで来て、やっぱり汚染水の漏えいまできたからこそ、
本当にこの「水で冷やし続けるのは無理だな」と考えたからこそ、
この鉛の事をね、真剣に聞く必要があると思って、先日山田先生のところに行って、
長時間そのメカニズムに関してお話を伺いました。
山田先生は直接小出先生にもお電話をして、「このアイディアを聞いてほしい」というんでお話をしたと
小出:はい、ご連絡を頂きました。
岩上:
と聞きました。
ま、そんなことも含めて、
現状の汚染水の状況、
これを管理している東電、政府のやり方、
そして、かつていくつか、水棺というものやいろいろな方法について先生はお考えになりました、と。
「どうもこれが行き詰理ではないか」と考えていらっしゃるという、
このあたりについてまずはお話し願いたいと思います。
小出:
はい。
事故の当時にさかのぼっていくつか聞いていただきますけれども、
2011年3月11日に地震と津波に襲われて、
福島第一原子力発電所の1号機から3号機までの炉心は全て溶け落ちてしまったのですね。
溶け落ちてしまえば大量の放射性物質が
空気中、あるいは液体の方に出ていってしまうという事は避けられなかったわけで、
すでにもう、残念ながら大量の放射性物質が出てしまいました。
でも、それ以上出さないように何とかしようと思えば、
やはり溶かさない、ひたすら冷却をするという事しかなかったわけですし、
物を冷やすという時に、一番効果的な物質は水です。
水以上にいいものはもう、何もありません。
ですから私は事故直後には、「とにかく水を入れてくれ」と、
ま、水がなければ海水でもいいし、
海水が上手く使えないと言うなら、もう泥水でもいいからとにかく水を入れてくれと私は言っていたのです。
そのまま、ま、今日まできている訳ですけれども、
でも、溶けた炉心を冷やそうとして水をかければ、
その水が今度は汚染水になるという事は当たり前な事なのであって、
やればやるだけ汚染水が増えてしまう。
当然なんですね。
それを、当然なことを2年半やり続けてきて、
2011年の3月の段階でも既に10万トンもの汚染水が敷地内に溜まっていて、
私はすぐに「これでは破たんする」と思いましたので、
岩上さんもおっしゃって下さったけれども、「タンカーでとにかく運び出すべきだ」と、
コンクリートの構造物なんかでは到底水を蓄えることはできないので、
「タンカーが良い」と。
「タンクなんか作っているんでは間に合わない」と、
私はそういう提案をしたんですが、それも入れてもらえないまま
東電の方は「とにかくタンクをつくる」という事でやってきている訳ですけれども、
でもそのタンクも、きちんとしたタンクをつくる状況にはありません。
鋼板を溶接して、漏れないようにしながら、…というような作業は、
もうあの現場ではできません。
猛烈な被ばく環境ですので、そんなゆっくりしたことはできない。
鋼板を持ってきて、パッキンを挟んでボルトで止めるというようなタンクしか作れなかったわけですね。
すでにそうやって数100基のタンクを作ったわけですけれども、
岩上:
これは・・・作れ・・なかったと今おっしゃいましたけれども、
「コストの面で出来るだけ安くしたくて溶接型のタンクにした」というのとはまたちょっと違うんですか?
小出:
えっと、コストもあるんでしょうけれども、
私はむしろ、「作業が出来ない」しっかりとした作業が。
要するに被ばく環境で、全ての作業が被ばくを伴う。
岩上:あーー、つまり、溶接をするとなると、現場で溶接をしなきゃ
小出:もちろんです。現場で溶接しなきゃないわけですから。
岩上:しかもそれは時間がかかる
小出:
そうです。時間がかかります。
鋼板を持ってきてボルトで締めるだけならば、時間はそれほどかからないけれども、
鋼板をちゃんと溶接しようと思えば大変な時間がかかってしまう。
それをやれば被ばくがどんどん蓄積をしてしまうということで、
「たぶんそれだろう」と私は思いますけれども、簡易型のタンクを作ったわけですね。
でもそんなものは漏れるのが今度は当たり前なわけであって、
次から次へと漏れてしまっている。
「これからもどんどん漏れていくだろう」と思います。
ですから、まぁ、物を冷やすには水をかけるのが良いのだけれども、
かけ続けてきたが為に、また今度はどうにもならない所に追い詰められてしまっているわけですね。
で、立命館の山田さんの話も今、岩上さんがして下さったけれども、
私は事故直後にヨーロッパの研究者の方から、
「金属で冷やせ」というアイディアを教えてもらったことがあるのです。
ただしその当時は、私自身が「崩壊熱も高いし、金属では無理だ」と、
「とにかく水しかない」と思い込んでいたので、
そのアイディアもリジェクトして、「とにかく水」と、私自身も言ってきたのです。
ただここまで来てしまうと、
岩上:
先生、このね、今おっしゃった「崩壊熱が高い」と。
この当時は「崩壊熱が高いから金属を使うのは無理だ」というのには、
そこそこ根拠が、おそらくおありだと思うんです。
どの程度の、当時は崩壊熱と考えられ、
そしてどういう金属を使うと、まぁ、溶けるのが良いのかもしれませんけど、
問題は沸点っていうんでしょうかね、気体化してしまうと、
たとえば鉛も気体化してしまうと非常に危険ですよね?
小出:もちろんです。
岩上:
だからそういう事があって、
いろいろとお考えがあった上でこの時は却下っておっしゃったと思うんですけれど、
実際には、当初はどんな状況だったんですか?
小出:
福島第一原子力発電所の1号機は46万Kw。
2,3,4は78万Kw位だったと思います。
で、事故で運転を停止したわけですけれども、
停止した直後で言うなら、
1号機の場合には、1万Kw位の崩壊熱がありました。
ですから、各家庭のみなさんの電気ストーブとか、電熱器とかをお使いだとすれば
それが1万個常に発熱を続けるという、そういう発熱があったんですね。
そういう発熱だとすると、1分経つと家庭で使っているふろ桶の水が全部蒸発してしまうという、
そんなぐらいの発熱。
ん・・・、事故直後はもっと多いと思います。
で、1日経つと、ほとんど10分の1に減るんです。

その頃で多分家庭用の風呂の水が1分ごとに蒸発してしまうという、まだそんな強烈な発熱なのです。
ですからそんな発熱を金属で冷却できるってあり得ないので、
水を入れるしかないと私は思っていました。
ただ、崩壊熱は今聞いていただいたように、
1日経つと10分の1に減るし、1年経つとまたその10分の1ぐらいになってくれる、
つまり事故直後から1年経てば100分の1まで減ってくる訳ですね。
今は2年半たっていますので、ほとんど数100分の1に減ってくれている。
そういう状態になっているのであれば水でなくても、
金属をとにかく溶けた炉心のところに届かせる。
そうすると、私が考えているのは、
鉛であるとか、スズであるとか、ビスマスというような、融点が低い金属を考えているのですが、
そういう金属を、もし炉心があるところに届かせることができれば、溶けると思います。
もともと100トンぐらいの炉心だった訳ですけれども、それに金属を加えていって、
体型がたとえば200トンになる、300トンになるというふうに、どんどん大きくなっていく。
で、発熱自身は崩壊熱で、基本的には減っていってくれるわけですから、
発熱量が決まっている時に、体型がどんどん大きくなっていくと、
あるところで必ずバランスするところがくると、私は思っているのです。
発熱ですから、除熱しない限りはもちろん温度が上がっちゃうわけですけれども、
格納容器の表面から放熱する。
原子炉建屋の表面から放熱するという、
必ずそういう物理現象は起きるわけですから、
「ここまでくれば出来るだろう」と私は思います、水じゃなくても。
岩上:なるほど。
小出:はい。
岩上:
いくつかのですね、鉛を使った方法。
山田さんがおっしゃっているのとほぼ同様の事をお考えだとして、
小出:ちょっと違うんですけど、私は。
岩上:あ、ちょっと違いますか
小出:はい
岩上:
だけど、挿入の方法がですね、冷却水のところから、水と共に細かい鉛の粒粒を入れる。
そうすると、水によって燃料の近くに届くと。
そして沈んでいくと。
沈んでいくと水と遮断されるために、この燃料は熱を持ちますね。
そうすると自然に、これは融点が低いから溶けだすと。
溶けることによって燃料をコーティングする。
コーティングしていって、外界と遮断するので、放射性物質が出なくなると、
ま、ざっくりいうとこういうような話で、
結果、それが熱を持つことで、今空冷とおっしゃった、ラジエーターの機能を果たすだろうと、
格納容器や何かが。
というところも、ほぼおんなじように思えたんですが、
違いがあるとしたらどこなんでしょう?
小出:
炉心というものはもともとウランを焼き固めたセトモノだったんです。
ウランを焼き固めたそのセトモノは2800度を超えないと溶けないのですけれども、
実際には溶けてしまったと言っているんですね。
溶けてしまって、圧力容器という鋼鉄製の圧力がまの底にまず落ちた。
しかし鋼鉄というのは1400度1500度で溶けてしまいますので、
簡単に圧力がまの底が抜けて、さらに下に落ちたわけですね。
じゃあ、その下というのはどこか?と言うと、
放射能を閉じ込める最後の防壁として設計されていた
原子炉格納容器、という容器の底に落ちた筈なんですね。
ただ、原子炉格納容器というのは、基本的には鋼鉄製で、
厚さが3cmしかない鋼鉄製なのです。
ですから、溶け落ちた炉心がもし原子炉格納容器の更迭に接触してしまうと、
それも簡単に穴があいてしまう訳ですね。
そこで、じゃあ、東京電力や国はなんて言っているか?って言うと、
「圧力容器からドボッ!と落ちてきた溶けた炉心は、格納容器の床に落ちる」と。
「その部分には床がコンクリートで1m分床張りしてあるんだ」と。
で、コンクリートの上に落ちて、コンクリートを破壊しながら少しずつ下にめり込んで行ったと。
しかし、「1mのコンクリートのうち、やられたのは70cmだけで、30cm分はまだ残っている」
というのが国と東京電力の主張なんです。
岩上:チャイナシンドロームの一歩手前というね、
小出:そうですね。まだ格納容器の底が抜けていないというのが、
岩上:でもそれは計算上そうなっているんで、なにも事実を観測された訳ではないんですね?
小出:
もちろんです。
ですから、私はそれを聞いた時に、もう一瞬噴出しましたけど、
「あなた達見てきたんですか?」と、聞きたくなったわけですね。
格納容器に入れる道理もないし、原子炉建屋にすら入れないという、そういう状況な訳ですから、
本当はどうなっているのか分からないのです。
ただ、今聞いていただいたように、国や東京電力が書いている絵だとすると、
上からドボッ!と落ちてきたものが、そこに饅頭のようにある・・・んですよ。
山田さんも多分そういうイメージ。
ですからそこに鉛を入れることができれば、饅頭の上に降り積もって饅頭をコーティングするという、
山田さんのイメージは多分そうだと思いますが、
岩上:
格納容器に穴があいて、地面が落っこって、コンクリートを破っている、
ということの想定はもちろんしていて、
それでも水をかけていると、鉛の粒粒は格納容器の穴も落ちて、そしてそのコンクリ―トのところにね、
もう食いこんでしまっているところにも落ちていき、
最終的にそれを溶かして、
その内側の下釜までうまく回り込んでコーティングできるかどうかまでは分からないけど、
少なくても外界とは遮蔽するだろうと
小出:山田さんはそういうイメージなんですね。
岩上:そうです。
小出:
ですから、山田さんは国や東電の言っているように、
「格納容器がまだ健全だ」というふうには思ってないかもしれない。
格納容器が抜けているかもしれないけれども、
でも要するに塊としてあるというイメージなんです。
私は違うんです。
多分ドドッっと落ちているし、膨大な水をジャージャーとかけてきて
格納容器の間は蒸気が充満して雨のようにザーザーと流れているという、
猛烈な、その、動的な環境なんです。
岩上:動的環境か。
小出:ですからスタティックに、なんか静かにそこにあるなんていう事ではなくて、
岩上:すごい灼熱で、
小出:はい
岩上:上記でモヤモヤで
小出:そうです。
岩上:
茹だっていて、ザーザー上からまた雨が降る。
ジャングルの中みたいになっている、
小出:そんなになっているわけですね。
岩上:なるほどー。
小出:
だからその溶け落ちたのが
どこか1カ所に塊になっているというふうには私は思わないで、
岩上:流動している?
小出:
落ちる時に多分かなり細かく、
要するに溶けるわけですから、液体になるわけですね。
それで細かく分散して、私たちスラッジ―とかスラリーとか呼ぶ物質があるんですけれども、
要するに泥水みたいなものですね。
そういう形で落ちている筈なので、
多分炉心と言っているものが、塊というか、もうそこいら中に分散してしまっていて、
壁にへばり付いているようなものもあるかもしれない、そういう形かもと私は思っているのです。
そうなると、山田さんが言っているように水と一緒に入れて、
本当に、あちこちに分散してしまっている炉心に全て上手く届かすことができるか?と問われてしまうと、
私は自信がないんです、実は。
岩上:
はっはぁ~・・・なるほど。
これはそうか、イメージの違いですね。
小出:
ただし、私が言っているのが正しいか、
あるいは東電や国が描いているのが正しいのか、
分からないのです。
岩上:
あのー、山田さんのお考えの前提になっているのは、
一応東電がイメージしているものがベースにしていると言った方がいいですね。
小出:そうです。
岩上:
じゃあ、非常に動的な環境であり、バラバラに散乱し、
その散乱したものがまた、要するに動的環境ですから、水流にいろんな形で動かされ、
「まだ動いている」という?
小出:たぶん今でも動いていると私は思っている。
岩上:そんなものをこれから小出さんは、鉛もしくは金属でどのように冷却し、鎮めることができると?
小出:わからないのです。ですから、ま、
岩上:
難しいんだ。はぁ。
どうやって、じゃあ入れるんですか?
まず山田さんの冷却装置から入れるのは同じなんですか?
小出:
それは一番簡単なやり方だと思いますし、
それを本当に入れられるかどうかという事を、
金属の専門家と流体力学の専門家が集まって、まずは検討しなければいけないと思いますね。
原子力発電所というのは結構複雑な構造になっていますし、
たとえば水を入れると言ったって、ポンプで送っているわけですね。
ポンプというのはそれぞれ、水を送るためのポンプというものもあるわけだし、
ま、泥水用のポンプというものもありますし、
他の金属を入れるためのポンプというものもあるわけですし、
今はただ、水を入れるためのポンプで水を入れているわけですね。
岩上:なるほど。
小出:
その水の中に、…ま、私はスズの方がいいと思っているんですけれど、今は。
いずれにしてもその金属をですね、細かい粉体にして流そうというアイディアが今山田さんが言っているし、
私もそれが一番いいと思うけれど、
本当に、でもそれでポンプで送れるか?
配管だって、多分ウネウネしているわけで、配管のあちこちに溜まってしまうかもしれないし
岩上:
詰まっちゃう。
配管が詰まっちゃうと大変ですね。
小出:今度はどう仕様もなくなるんですね。
岩上:水でも冷やせなっちゃいますからね。
小出:
ですから、どの位の粉体の金属が良いのか?
そしてどの位の流量の水があればそれを送ることができるのか?という、
かなりシビアな検討を重ねなければいけない。
岩上:
ちょっと今それは、非常に配管のつまりは怖いと思いました。
いまマンションの下水の配管が詰まってですね、溢れかえるという事、
小出:ありますね。
岩上:
もうすごい、ウンチがですね溢れかえっちゃったって、非常に痛いことになってて、
そこから先どこの詰まりなのか?って簡単にね、
2階から1階にただの配管を調べるのにエライ事だったんですよ。
だから、万が一あれほど複雑で巨大なプラントの中で、何かしら詰まらせたら大変ですよね。
手の打ち様がないっていうか・・・、
小出:
べつにウンチならいいですよ。
私別にウンチの中に手を入れてもいいけれども、
原子力発電所の場合は放射能で、手を入れたら死んじゃうという、そういうものを相手にしている訳ですよね。
岩上:んーーーー。
小出:
ほとんどその作業自身が、どんな作業をしても被ばくをしてしまうわけだし、
場合によっては作業が出来ないような場所があるわけで、
特に炉心に水を入れる、金属を入れるというような事をやろうとすると、
猛烈な被ばくの場所に踏み込まざるを得なくなる、ということも多分ある。。
岩上:「多分ある」という事は、…ポンプで送る時は安全じゃないですか?
小出:
えっと、今のポンプ、今の配管を何にも手を入れないで、
水を流していたのと同じように金属が流せるのならそれでいいけれども、
多分そんなことはない。
岩上:多分そんなことはない。
小出:はい。
岩上:な、なにをしなくちゃいけないんですか?
小出:
要するに山田さんにしても「やってみよう」って言っているわけですね。
ですから私も「やってみよう」と思っているし、
今のままの形でやれるとすれば、
どういう金属をどれだけの粒型の粉にして、
ポンプの流量をどうやって制御すれば、途中で詰まらずにいけるか、ということを
沢山の専門家が集まって、まず検討する。
そして「やれる」となった時に初めてやる事になると思うのですけれども、
でも、うまくいかない可能性もあります。
「やってみたけれども詰まっちゃった」という事が起きるかもしれないと私は思う。
そうなるともう、そのポンプ、その配管は諦めて、
また別の配管なりを設置しなければいけなくなるかもしれない。
そうなると・・・大変だと思います。
岩上:非常に近くに行って工事をしなくちゃいけないという事ですよね。
小出:
そうです、
ですから今まで金属を炉心に入れるなんていう事は原子力発電所は考えてもいなかったわけだし、
そのためのポンプもなければ、そのための配管もないんですね。
今あるやつで何とかそれが出来ないかという事を考えなければいけないわけで、
岩上:
これがむしろ難しいとなれば、
「炉心の蓋を開けて中に入れる」みたいなことはできないんですか?
小出:
もともと、一時期水棺という話があってですね、
格納容器全体を水で満たすことができるならば、
下に落ちた炉心からの放射線を水が遮ってくれるから、上から作業ができるという
そういう、原子炉を冷やすこともできるし後で溶け落ちた奴を取り出すこともできると、いうことで、
東京電力や国は今後何十年か後にやはり水棺という状態を作って、
溶け落ちた炉心を外に掴み出したいと言っているんですね。
岩上:やっぱりそれは燃料がもったいないから
小出:
えーっと、燃料がもったいないというよりは、
そこに置いておいたらやっぱり、チェルノブイリみたいに、石棺という事でやったんですけれども、
チェルノブイリも27年経って、初めにつくった石棺がボロボロなんですね。
いま第二石棺というのをつくっていますけれど、
どうせそれもボロボロになる。
そこに溶け落ちたものをとにかく置いておく限りは、
もう、何十年でも何百年でも石棺をつくり続けるしかない、という、そういう事になっているわけで、
それを何とか避けようと思うならば、
溶け落ちたものをどこかに取り出すしかないのですね。
国や東京電力はそれをやると言っているわけですけれども、
まずはその水を張らなければいけない。
私はその水を張ることもできないと思っているわけです。
それでもし水が張れないとなると、
岩上:水が張れないのは穴があいているからですよね、格納容器に。
小出:
そうです。
格納容器にはもう穴があいてしまっているので水浸しにする事が出来ないのです。
水浸しにする事が出来ない状態で、今岩上さんが言ったように、原子炉格納容器のふたを開けてしまいますと、
猛烈な放射線がその・・飛び出してくることになって、
下を覗くなんて言う事を、
人間が行ったらもうその人間が死んでしまうという事になりますので、
今のままだと、「蓋を開ける」という事がまず出来ない。
蓋を開ける事が出来ればそこからね、金属をどんどん放りこむという事は出来るけれども、
岩上:そうですね
小出:今の状況では出来ない。
岩上:
そうするとルートが…、
配管ルートも危ない。
蓋は開けられない。
他になんかあるんですか?送りこむルート。
小出:・・・ようするにないんですよ。
岩上:ないんですか。
小出:
ないというか、何度も言いますけれども、
この事故は人類が初めて遭遇した事故であって、
原子炉の中に金属を流し込むなんていう事は想定もしていなかったわけで、
そういうようなポンプもなければ配管も設置されていないのですね。
ですからその与えられた状態の中で、「何とか金属を入れられないか」という事を、
山田さんも考えているだろうし、私も考えていますし、
いろんな専門家の知恵を合わせてそれをやってみるべきだと思っているのですけれども、
本当にうまくいくかどうかの確信が私にはないのです。
岩上:なるほど。
小出:
じゃあ、それが出来なかったときにどうするか?ということですけれども、
蓋は開けられないと思います。
そうなれば、パイプをやはり何がしかの形で
格納容器の中に引き込むという作業をしなければいけないと思いますけれども、
それは大変です。
被ばくを覚悟でそれは次にやらなければならない。
岩上:
蓋をあけられないのはもう、公理のようなもので、変えられない、絶対に
それに対して、まだ、既存の配管を上手く使って何とかすることを研究すること、
小出:まずそれを考えた方が良い
岩上:
そして、もしかしたら新設のパイプを付けて、格納容器に、格納容器じゃないですね、
圧力容器に入れなくちゃいけないんですね、そもそも。
小出:
本当は圧力容器に入れられると、
もともとそこにあった炉心が圧力容器の底に落ちているんですから、
圧力容器の中に入れることができれば、炉心が落ちたのと同じ経路で下に落ちるわけですから、
ま、やり方としては一番いいだろうと思います。
岩上:そこに接続させる穴でもあけてやると、
小出:
そうです、ただ圧力容器に穴をあけるという事は多分出来ませんから、
すでに圧力容器には様々な配管が接続されていますので、
その配管の一部を上手く使えるような入り方というものを考えて送りこむと。
岩上:なるほど。
これはね、流体力学の専門家だけじゃなくて、そういう本当に工学のね、
あるいは現場の技術者の知恵の結集、
やってやれない事はもしかしたらないかもしれないという事ですね。
小出:
ですから、東電の、東電のというか福島第一原子力発電所を実際に運転していた人たち。
どこにどんなポンプがどんな配管を通して入っているかという事を
十分知っている人たちの知恵がなければできない。
岩上:なるほど、現場の人達の知恵が必要ですね。
小出:はい。
岩上:
鉛ではなくスズが良いんじゃないかと。
これは山田先生もですね、鉛を一応考えていて、
遮蔽性もあるし重鎮静しやすいとかいろんな利点があると。
ただ、有毒なのがもちろんある。
だから他の金属で対応することも考え得ると。
スズとかアルミニウムとか、あるいは合金とか、という事はおっしゃっていたんですけど、
「とりあえず鉛」とおっしゃっているんですが、
小出さんは「スズの方がいいんじゃないか」と、
スズは何が利点がありますか?
小出:
えっとですね、要するに溶けやすい方がいいんですね、まず。
ですから融点が低いのが良いし、
逆に今度は沸点は高い方がいい。
蒸発してしまったら困るので、
そういう事を考えると、鉛よりはスズの方が融点が低いし、沸点は遥かに高い。
岩上:ああ、遥かに高い。どのくらい高いんですか?
小出:
鉛よりは。
鉛は1700℃位だったと思います。スズは2000数百度、だとおもいます。
岩上:
ああ、そうなんだ。
有毒性という点ではどう?

小出:
毒性と言ったらもう毒ですよ、みんな。
スズも鉛もビスマスも、もちろん有毒ですから、本当はやってはいけないんです。
本当はやってはいけないけれど、そんなことは言ってはいられないんです、今は。
岩上:
ここに正造さんがいらっしゃるんですけれどね、
小出先生にとっての最も尊敬する方は足尾銅山の大変、塩害銅害で苦しんだ公害に苦しんだですね、
そうした田中正造さんがね、こういう金属鉱山のね、
猛毒で苦しんだい人を助けたいと思って本当に紛争したその事跡を追って訪ねて佐野まで行かれたりですとかね、
大変尊敬されているんですけれども、まさかそのねぇ・・・、金属を使う事になるとは。

小出:ええ。皮肉なものですけれども。
岩上:皮肉なものですね。
小出:
えっと、スズの融点は232℃です。沸点は2275℃です。
で、鉛の方はですね、融点が327℃、沸点が1750℃ですから、
スズの方が融点が低いし沸点が高いので、
どちらかと言えば私はスズの方が良いのかなと思いますけれども、
でも・・・まぁ山田さんが言っているように放射線の遮蔽性能でいえば鉛の方がいいし、
慎重にみなさんの知恵を集めて選ぶべきだと思います。
岩上:なるほど。
今度、両者が話をするという機械があったら、それはそれで是非お聞きしたいですね。
小出:はい。
岩上:またそれ以外の専門家ともお話しあいにこれからなってくると思いますけど、
小出:
さまざまなアイディアを私のところに寄せて下さる専門家の方がいらっしゃるから、
また岩上さんにもお伝えできることがあるかもしれません。
岩上:ぜひ、
ーーーつづく
小出裕章助教に原発事故の危険性を聞く~岩上安身記者
2011年4月1日
5/9小出先生のインタビュー(岩上安身氏)
2011年5月9日
「水で冷やすというやり方はそろそろ諦めるしかない」と私は思うようになりました。
小出裕章氏8/23報道するラジオ「福島第一原発事故 汚染水の問題は」(文字起こし)
第2部「水冷やめて空冷に」9/11そもそも総研(内容書き出し)
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お母さん方の、率直な質問がとてもいいです。
普段とちょっと違う質疑応答、文字起こししました。
長いけど、一度にUPしちゃいます。
20130706
小出裕章さん講演会質疑応答 座間麦っ子畑保育園
麦っ子畑保育園の講演なので、子どもに関する質問から先にやらせていただきます。
家で食材測れますか?
質問:
家でも野菜などのベクレルを測る方法はありませんか?
たとえば、見た目でわかるやり方はありますか?

小出:
申し訳ありませんが、ありません。
皆さんもちろん「知りたい」と思うし、
多くの方々が測定器を購入したりして測ろう、測ろうとしてきたし、
今でも測って下さっている方々もいらっしゃるわけですけれども、
私が言うと傲慢に聞こえて申し訳ないと思うけれども、
「放射能を測定するという事は、大変難しい事です」本当は。
「普通の方々が簡単に放射能を測定できるというふうにむしろ思わないでください」
と私はお願いしたいです。
そしてみなさんが、何がしか放射線測定器というのを買って、
今でもお使いの方もいらっしゃると思いますけれども、
そういう測定器で食べ物の汚染が測定できるという事は基本的にありません。
やはりきちっとしたところで測って貰わないといけないという、そういうものです。
私はついこの間福島県の南相馬という汚染地帯に行ってきました。
人々はごく普通に生活をしています。
でもそこの場所は、私が先程聞いていただいたような基準で言うと、
「放射線の管理区域」にしなければいけない場所なのです。
その場所で普通にみんな生活をしていて、子どもたちもそこで生きているんです。
私はその南相馬に行って、ご飯も食べたし、夜になってみんなと一緒に酒も飲みました。
「でも本当はここでは水すら飲んではいけないところなんだ」と、私は知っていながらそうしたわけです。
その時私が思ったのは、「放射能が目に見えればいいのにな」と思いました。
「みんながすぐにわかるならば、こんな悲惨な事実そのものにもっと人々が気付いてくれる」
と思いましたけれども、残念ながら出来ないのです。
放射能が目に見えたり、においを感じたりするほど放射能が周りにあれば、
人間は簡単に死んでしまうんです。
大変微量なものが今、微量というか、放射能からすれば微量なものが汚している訳ですけれども、
今日何度も聞いていただいたように、
人間の体温が1000分の何度上がるというだけでもう死んでしまうという、
そういうものを相手にしているわけで、
目に見えるなんていう事は決してありませんし、簡単に測定できることもないと思って下さい。
給食の測定方法 雨
質問:
給食の事で、大変恥ずかしい話なんですが、
座間市は給食を小学校も保育園も一切測定をしないで食べさせている市なんですが、
これは海老名市からなんですけれども、
1週間分の食事をゲルマで測定していますが、
ベクれている食材があっても薄まってしまうと思うのですがいかがでしょうか?
不検出であれば問題ないでしょうか?
ということと、
座間市、や海老名市など、雨に今でも気を付けた方がいいでしょうか?
小出:
食品はですから、今聞いていただいたように、測ることが大変難しいのです。
それを測ることができるとすれば、やはり行政しかないだろうと思いますので、
学校給食に関しては、事細かく測定させるように行政に働きかけるという作業が必要だと思います。
それもいっしょくたにして測るのではなくて、
お米ならお米、肉なら肉、野菜ならきゅうり、トマト…個別に測って、
そしてどれがどんな風に汚れているかという情報を蓄積していきながら
子供たちを未来にわたって守っていくという、そういう測定の仕方が必要だと思います。
それから、雨の事。
(ー:座間市や海老名市この辺で)
えーっとですね・・・・・・
今は大丈夫、あ、「大丈夫」という言葉は使ってはいけない。
ごめんなさい訂正します。
放射能、あるいは被ばくという事に関しては、「大丈夫」という言葉は使わないでください。
「安心」という言葉も「安全」という言葉も使ってはいけません。
今日聞いていただいたようにどんなに微量な被ばくでも危険は必ずありますので、
「安心」でも「安全」でも「大丈夫」でもありません。
ですから、雨に濡れない方がいいと言えば、濡れない方がいいと思います。
ただし、雨って、私大好きだし、
子どもだったらきっと雨の中でだって遊びたいと思うのですね。
それを禁じてしまったら、きっと子供としてちゃんと育たないと私は思うし、
雨の中で遊ぶ、泥んこになって遊ぶという事を私はむしろ積極的にやってほしいと思います。
そして事故から2年以上経ったいまの段階では、
空気、少なくてもこの座間の空気というのであれば、殆ど汚れていない。
福島の事故で福島から飛んできているような放射能では汚れていないと言っていいですので、
雨に関しても…それを避けようとすることは、私としてはしたくないと思います。
魚 土や肥料
質問:
お魚が好きですけれども、原発事故後食べられなくなりました。
水揚げされた場所は魚が住んでいた場所とは違いますが、どうしたらいいでしょうか?
それから
プランターの土とかが心配なのですが、家で野菜をつくって、それの基準、
土や肥料の基準とかはどうなっていますか?
小出:
魚は私も大変心配です。
今ご質問の方もきちっと書いて下さっていましたけれど、
魚の産地というのは水揚げした場所なんですね。
たとえば福島県沖で魚をとっても、
それを北海道に持って行ってしまえば、北海道産の魚になるわけだし、
九州の港で水揚げされれば九州産になってしまう訳で、
「いま魚がどれだけ汚れているか」という事に関しては、
情報がかなり少ないと私は思います。
ですから、産地で選ぶということもかなり危険を伴っていますので、
――-注意をしなければいけない。
ということぐらいしか私からはアドバイスをする事ができません。
「必ずここで獲れた」と分かっているような魚がもしあるならそういうものを選んで、
出来る限り福島から離れているという物を選んでいただきたいと思います。
それから、プランターとかの、いわゆる土ですね。
売っている土があるわけですけれども、
それも今はかなり汚れているものも出回っていると思います。
それから、芝生なんかもそうです。
芝生というのはついこの間私は知ったんですけれども、
つくばが芝生の生産の8割ぐらいを占めているそうなんですけれども、
つくばはかなり、さっきの地図でもありましたけれども汚れていますので、
たとえば座間市のとこかの園芸店で芝生を買ってきたりすると、
その芝生はかなり汚れていると思います。
プランターに入れる土にしても、
「どこから来ている土か」という事で、やはり汚れているものもあると思いますので、
―――すみませんが、やはり注意をして下さいという事しか、
私からはアドバイス出来る事がありませんし、
もし可能であれば、行政にきちっと測らせるという、そういう要求もしていただきたいと思います。
http://youtu.be/U0P2NxU0wug?t=8m45s
海水浴
質問:
夏休みに子どもを海水浴に連れていきたいと思いますが、
どこまで西に行けば大きな影響を受けないで住みますか?
小出:
今日私は福島の事故の話を聞いていただいたわけですが、
人間がこの地球を放射能で汚したというのは福島の事故が初めてではありません。
最悪なのは、大気圏内核実験という事を
1950年代60年代に米国と旧ソ連を中心として、大量に行ったのです。
原爆や水爆を空で爆発させるわけですから、
出来た核分裂生成物はそのまま空にぶちまけられたということが、
50年代60年代に大量に行われていまして、
今日私は福島第一原子力発電所から大気中に放り出された放射能は
広島原爆の168発分だと皆さんに聞いていただきましたけれども、
と、日本政府が言っていると聞いていただいたのですけれども、
それに比べれば、大気圏内核実験がばら撒いたのは何十倍も多いです。
ほぼ100倍多いです。
つまり、そういう放射能が全地球を汚していたんです。
この座間だって汚していた。
日本中、九州から北海道まで全部汚していた。
それだけではなくて、全世界を汚していたのです。
だから太平洋も汚していた。
みなさんがこれまで何気なく行っていた太平洋だって、海だって、
大気圏内核実験でみんな汚されていたんです。
で・・・・・・空から降ってきた量をごく簡単に言ってしまうと、
大気圏内核実験で降ってきたのは1平方メートル当たり5000ベクレルです。
よろしいですか。
1m四方のところに50年代から60年代の何十年間かに渡って、じわじわじわじわ降ってきて、
合計すると1平方mあたり5000ベクレル位もう降っていたんです。
この座間にも降っていたし、そこらの海にも降っていたんです。
それで、チェルノブイリ原子力発電所というところの事故が1986年にありましたけれども、
それによってソ連国内とか、ヨーロッパが膨大に汚れました。
1平方mあたり5000なんていうのでは済まないで、
何万、何十万というふうにチェルノブイリの事故でソ連とヨーロッパが汚れたのです。
その時に、じゃあ日本はどれだけだったか?というと、
1平方mあたり100ベクレルで済んだんです、基本的に言うと。
地域によって違うんですけれども、大体100ベクレルで済んだ。
ですから、日本というこの国は大気圏核実験で5000ぐらい降っていた上に、
チェルノブイリ原子力発電所に事故で、100ぐらいが上乗せされrた、
でも、その上乗せでも大変な食べ物があちこちで汚れて
お茶が出荷停止になったという事はその時に起きたわけです。
そして今、福島の事故ですね。
その福島の事故では先程聞いていただいたように、
福島の原発の近くでは1平方m当たり、60万を超えている。
何百万という汚染地帯が、1000平方kmもあるという、
そういう状態で汚れてしまった。
だから、大気圏核実験で汚れた5000なんていうのではなくて、
その10倍も100倍も、あるいは1000倍もというような汚染が、
福島原発周辺でダーッと起きているわけですね。
そして放射線の管理区域にしなければいけないというのは、
1平方m当たり4万と私は先程聞いていただいたわけで、
それを超えている地域が東北地方関東地方の広大な地域、
おそらく2万平方km位になるんです。
つまり、大気圏内核実験の10倍というような汚染を東北関東が受けているんですね。
海もだから、東北地方、関東地方の海もそういう汚染を受けたという訳です。
この座間だって、多分1平方mあたりでいえば、何千ぐらいはあるだろうと思います。
ですから、放射線の管理区域に指定しなければいけない程ではないけれども、
でもここだって、大気圏核実験に匹敵する位の汚染を受けたのです。
ですから海へ行けば、大気圏核実験で汚れていた位の、同じか
あるいはそれを超えるぐらいの汚染を太平洋、あるいはこの日本の近海にあるだろうと思います。
だから「じゃあ海水浴は止めるか」という、そういう選択なんですが、
私もさっきも聞いていただいたけれども、「子どもは海で泳がせたい」です。
遊ばない子どもなんて…子どもじゃない…と思うので、
汚染があるのはもう、長い歴史でしょうが…ない。
そして確かに今、汚染を上乗せしてしまった…わけですけれども、
こういう世界の中で生きるしかない…し、
今後どういう形で子どもを育てていくことができるかっていう事をかん…、
やはりみなさんお一人お一人で考えながら選んでいただくしかないと思います。
ただ、海水浴って一日中そこにいるわけじゃ、海水に浸かっている訳じゃない。
ひと月もふた月もずーっと海で生きているわけではないわけですから、
そこの事だけをことさら避けようとする事に意味があるとは私は思いませんし、
だからむしろ子どもは海でも遊ばせた方がいいだろうと私は思います。
歯のレントゲン
質問:
子どもの歯の治療の際にレントゲン撮影の事なんですが、
歯を写すのに、防護エプロンを着ますが意味がありますか?
あるとすれば「被ばくの範囲が口に留まらないで、脳にまで影響するんではないか」
という心配をされております。
で、やむを得ない撮影の際に防御する秘策はありますか?
小出:
え……、要するに私は先程聞いていただいたけれども、無用の被ばくはしない方がいい。
医者はとにかくエックス線を撮りたがります。
でも本当に必要なのかという事は、皆さん医者に確認したほうがいいだろうと思います。
特に子どもの歯の治療というのであれば、
「本当に撮影をしなければ治療が出来ないんですか?」というぐらいのことは
医者に聞いてもらった方がいいと思います。
聞いたうえでちゃんと治療をするにはやはり撮影をした方がいいと医者が言うなら、
やはりそれは受け入れざるを得ないこともあると思いますし、
その場合には「できる限り被ばくの部位を絞る」というんでしょうか、
たとえば胸部エックス線もここだけ(胸)だけ撮影するっていう事が出来るんですね。
それもですね、昔の機械は結構ずさんで胸だけ撮ろうと思っても頭の先から足の先まで被ばくをしてしまう。
つまり、胸だけに放射線を当てるという事がなかなかできない時代があったんですけれども、
今は、撮影をしたい所だけに放射線を局限させるという技術はものすごく進歩してきていますので、
胸なら胸を撮る時には胸から下は被ばくをしない、頭ももちろん被ばくをしないというふうに、
撮影装置を使う事が出来るようになっています。
ですから歯の場合ももちろん出来ますので、
歯の本当に必要な部分だけの撮影を撮るように、
ほかの部位が被ばくをしないように注意をしてもらうように医者に頼むという事だと思います。
ただし医者というのは放射線に対してほとんど知識がありません。
病院でも、病院の医者は放射線に対して知識が無くて、
いわゆるレントゲン技師という人たちがやっているのですが、
そういう人たちにやはり頼むしかないと思います。
歯医者さんの場合にはきちっとしたレントゲン技師がいるところの方がむしろ少ないと思いますので、
なかなか皆さんとしては手段がないと思いますけれども、
出来るのであれば医者とちゃんと相談をして、被ばくを出来る限り局限して、
「必要なものに限ってくれ」という、そういう要求をする事しか、今のところはできないと思います。

鼻血
質問:
鎌倉で保育士をしている人からなんですけれども、
そこの保育園は日常的によく海へ遊びに行っていた保育園なんですが、
事故後海遊びは一切しておりません。山遊びの場合には山道の放射線の、
多分これは空間線量ですけれども、測った上で行っていて、園庭の土も入れ替えています。
そういうところなんですが、時折理由なく鼻血を出す子どもがいます。
放射能の影響が考えられますか?
私たちにできることは様子を見ることぐらいしかできないのでしょうか?
小出:
被ばくの影響という事を私は今日聞いていただきました。
沢山被曝をしてしまうと人間が死んでしまうという事は今日見ていただいた通り、
長い歴史の中でだんだんわかってきたんですね。
で、沢山被曝をしないでどうなるか?という事に関しても、沢山の研究がつづけられてきています。
たとえば一番代表的なのは、広島長崎で原爆に被ばくをした人たちです。
もちろん大量に被ばくをした人は死んでしまったわけですけれども、
死なずに生き延びた人たちで、「ヒバクシャ」というレッテルをはられた人たちがいたのですね。
その人たちを米軍が調査を始めました。
1950年になってからですけれども、
「ヒバクシャ」とレッテルを貼った人々を、「毎年毎年自分の研究所に検査に来い」と、
ほぼ10万人の人達に命令をして、毎年被ばく者を集めました。
そして検査を始めた。
「お前はあの日にどこにいた」
「火の玉を見たのか見なかったのか」
「建物の陰にいたのか、それとも外にいたのか」という事をまず事細かに聞いて、
一人一人がどれだけの被ばくをしたのかという推定をまずしました。
それから健康診断をして、
「こいつは何だか病気だな」と、「おかしいな」という事を事細かに付けていくんですね。
で、検査はするけれども、一切の治療はしません。
とにかく検査をして「じゃあ帰りなさい」「次の年にまた来なさい」と言うんです。
来て調べてまた検査をする。そうすると病気が悪化しているかどうかがまた分かるし、
ある年になって来なくなると「あ、あいつ死んだな」という事が分かる。
そうやって長い間検査を続けてきました。
それで一番初めに分かった事が、被ばく者の中に白血病が多いという事がわかりました。
次にまた、検査を続けていって分かったことは、
白血病だけじゃなくて癌が多いという事がわかりました。
さらにまた、ずーっと調査を続けていくと、
それまで被ばく量が少ないと思っていた人でも、
やはり、癌や白血病が増えているという事が分かってきました。
さらにまた調査を続けていくと、
もっと被ばくが少ないと思っていた人の中にも、やはり癌や白血病が増えてきているという事が分かってきた。
そういう歴史だったのです。
だから今日私が聞いていただいたように、現在の学問の到達点で言えば、
どんなに微量であっても癌とか白血病、
遺伝的な障害というリスクがあるという事がだんだんわかってきたという歴史のです。
しかし最近になってまた分かってきた事があります。
これまでは癌とか白血病が増えてきたという事が分かってきたのですけれども、
最近になって「いやそれだけでは無い」と。
心臓疾患だって多くなっているじゃないか。
他のいろんな病気だって、「被ばく者の方が多い」というデータが、だんだんだんだんわかってきている
被ばくをしてからもう67年、68年になろうとしている。
そういう長い年月をかけてきて、
だんだんだんだん様々な病気が増えてきているという事が分かってきたという、そういう歴史なのです。
それで私自身は、先程聞いていただいたように、
放射線が持っているエネルギーというのは、生命体を維持しているエネルギーから比べると圧倒的に高いので、
どんな事が起きても不思議ではないと思っています。
癌や白血病だけでは無い、あらゆる病気がきっと放射線の被ばくで出るだろうと思います。
ただし、そういう調査というか長い年月をかけて調査をしなければならない中で、
これが確実だというふうに立証はされていないのです。
でも私は出るだろうと思っていますし、
今おっしゃって下さった鼻血というものも、「ひょっとしたらそうかもしれない」と私は思いますが、
残念ながらそれを化学的に証明するだけのデータというものが今はないという、
そういう段階なのです。
それは今後もなかなか科学的なデータとしては揃わないだろうと思います。
ただ、何度も聞いていただきますが、「どんな事でも起こる」と覚悟をしていただいた方がいいし、
注意が出来ることはやはり注意をする。
海、海水浴の場合だって出来れば注意をした方が・・・注意をしろと言ってもできないだろうけれども、
あんまり長い間水につけておかないとか、
山に行く場合には今おっしゃって下さったように汚染を測ってから行くというようなことも必要だと思うし、
少なくとも子どもの被ばくを減らすという意味では、
どんな注意もしないよりはした方がいいと思いますので、
思いつく限りのことをやってほしいと思います。
日光への修学旅行
質問:
いまのこのあたりの小学生というのは、日光に修学旅行に行く学校が多いんです。
1泊2日ぐらいだと思いますが、先生はどう思われますか?
小出:
日光は放射線管理区域にしなければいけない汚染地帯です。
え…、残念ながらそこに人が住んでいるんですね。
子どもだってそこに住んでいるわけです。
そこに住むという事は1年365日そこで生活をしているという事ですし、
何年何十年とそこで生きるという事がそこで生きている人たちなんですね。
修学旅行というのは1日2日いて帰ってきてしまうということな訳ですから、
被ばくの程度で言えば、圧倒的に少ないと私は思います。
要は修学旅行として日光へ行く価値があるかどうかという、そういう事だと思います。
「できる限り被ばくはしない方がいい」と私は先程から言っているわけですから、
喜んで放射線管理区域の中に子どもを連れ込んで行くなんていう事は、本当はやってはいけない事です。
でも、この世界を知っておく。
知っておくべき価値のある場所であるなら、やはり子供を連れていくという選択はあり得ると思います。
ただし、日光という場所がそれに該当するかどうかという事は、
それぞれの判断によるだろうと思いますし、
え・・・、非常にこんなことは言ってはいけないかもしれないけれど、
私自身は日光の東照宮なんていうものを見たいとも思わないし、
あんなところに子どもを連れていく価値は、私はないと思いますので、
あえてこの時期に日光への修学旅行という選択は私であればしません。
でも、こういう判断はかなり個人的な判断だと思いますので、
「それが価値がある」と思われるのであれば、1日2日の被ばくということも、
被ばくというか、放射線の管理区域の中に子どもたちを連れていくという選択は、
完璧にないとは私は思いません。
被ばくの排泄方法
質問:
これはちょっとあの…
先生が被ばくされた分を身体から排泄するために工夫している事があったら教えていただきたい。
小出:
えー、ありません。
被ばくというのには2種類あります。
外部被ばくというのと内部被ばくというのがあって、
たとえばこの大ホールが(笑)いま放射能で汚れているとなると、
私はここにいると被ばくをしてしまう訳ですね。
で、ここから離れれば被ばくをしないで済むというのが外部被ばくです。
ですから、放射能の汚染のあるところに行けば被ばくをするし、
そこかに逃げれば被ばくをしないで済むという事が出来ます。
もうひとつは内部被ばくというのですが、
それは食べ物であるとか空気を通して、放射性物質を身体の中に取り込んでしまうという、
そういう被ばくの仕方があります。
その時は、たとえば今ここの空気が汚れているとして、
私がその空気を吸い込んでしまって、身体にとりこんでしまう。
そうすれば、私はここからどこかへ逃げても放射能そのものが私の身体の中にあるわけですから、
もう被ばくを避けることができなくなるのですね。
それを内部被ばくといいます。
私は放射線管理区域の中で仕事をしていますので、
放射性物質を吸い込んだりして身体の中に取り込む危険はあるわけですけれども、
でも一度取り込んでしまったら、それを排泄するという事は基本的にはできません。
生き物として環境の中で生きているわけで、
いろいろなものを身体の中に取り込みます、そしてもちろん排泄します。
食べ物を食べて毎日ウンコもおしっこもするわけで、
どんどんどんどん排せつをしているわけで、
放射性物質を仮に食べたり吸い込んだりしても、一定のスピードで排せつはしていきますけれども、
でもその排せつのスピードを速めたりするという事は、基本的にはできません。
大量にその放射性物質を取り込んでしまって、
なにがなんでも排泄したいと思う時、いわゆる事故というような時がありますけれども、
そういう時には薬物に頼ります。
薬に頼って、私の身体の中の放射性物質を強制的に何とか出すという事はありますけれども、
強烈な副作用もまた伴いますので、
通常の場合は「できない」と思っていただいた方がいいと思います。
原発を残したいと本当に思ってる?
質問:
政府やマスコミの偉い人にも子どもや孫がいると思いますが、
原子力発電所を残したいと本当に思っているのでしょうか?
小出:
日本の国の人とか、電力会社の人とか、
今でも「原子力をどんどんやる」と言っているわけですね。
もちろんそういう人にも子どもはあるし孫もいるはずです。
私だったら到底認められないし、即刻止めるべきだと、
先程から皆さんに聞いていただいている通りですけれど、
でも「やろう」という人はいます。
私も不思議です。
聞いて下さい、皆さん、そういう人たちに。
「あなたどう思っているのか」という事を。
本当に不思議です、私は。不思議に思います。
京都大学は国立だけど・・・大丈夫?
質問:京都大学は国立ですけれども、先生が政府の意に反することをおっしゃっても問題ありませんか?
小出:
大変なことはなんにもありません。
私は京都大学という大学の教員です。
で、もしわたしが東京大学の教員であれば、もっとずっと前に嫌がらせを受けて辞めさせられていたと思います。
京都大学という大学は、東大への対抗意識ということもあるだろうし、
それぞれの大学の校風というのがあって、
一人一人の教員の独創性をとにかく重んじるという事を長い間歴史にしてきた大学ですので、
私の様な、国家にたてつく教員でも、
「学問的な嘘を言わない限りは良いだろう」というぐらいの度量のある大学だと私は思います。
大変ありがたいことだと、私自身は思っていますし、
これまで、何の圧力も受けた事がありません。
そして仮にもし圧力を受けたとしても、
よく人が私に言うんですけれども、「お前鈍感だな」と。
「だから圧力があっても、ただお前は感じてないだけだ」というようなことを言うんですけれども、
仮に私が圧力だと感じたとしても、
「だから何なんだ」と私はむしろ思うんですね。
今日何度も聞いていただきましたけれど、
私は、かけがえのない私なんです。
一回しか生きられないんです。
他の誰でもなくて私であって、私の命はひとつしかなくて1回しか生きられない。
「それなら私らしく生きなければ損だ」と私は思う。
金なんか儲けたってつまらないし、
偉いポストに就いたってつまらない。
私らしく生きるという事が何よりも大切なわけですから、
それに関しては誰にも譲る気はありませんので、
私はこれまでも自分のやりたいように生きてきましたし、
これからもやりたいように生きていきたいと思っています。
政府主催の公聴会など話しあいは?
質問:
原発の稼働について、政府と専門家のみなさん、教授のみなさんたちが、
公聴会などを通して話し合いを今されているでしょうか?
公聴会みたいなところで、政府の偉い人と先生でなにか話しあいをしているんですか?
小出:
私はですね、「論争は歓迎する」と言っています。
どんな論争でも公平にやってくれる限りはその場所に行くと表明しています。
今日は麦っ子畑保育園にきていますし、
私は福島の事故以降、沢山の方が私に「来い」と声をかけて下さるようになって、
今現在10件のお誘いのうち1件程度しかお受け出来ない状態になっています。
そして私は優先順位を付けています。
1番の優先順位は「敵地」です。
原子力を推進している人たちが私に話をさせるというのなら、どこにでも行くと言っています。
ただしその場合の条件が公平だという事です。
論争させる。
2番目が「現地」ということで、
いまの福島の汚染地帯であるとか、そういうところに読んでくれるのであれば喜んで行くと言っている。
3番目の優先順位が、「若い人」」という事で、
麦っ子畑も、若いと言ってもちっちゃい(笑)ですけれども、
優先順位の高い所に置かせていただいて今日も来ているのですけれども、
何よりも私「論争をすべきだ」と思っていて、
「公平な論争である限りは何処へでも行く」と言っているのですけれども、
政府が主催する公聴会とか、そういう場所には決して行かないと、
これまでは言ってきました。
何故かというとそういう場所というのは、
政府が原子力を進めるためのアリバイ作りなんです。
どんなことをやってもこれをやったから、反対派の意見も言わせたと、
彼等のアリバイ作りにしかならないという事で、私はそういう場には行かないと言ってきました。
ただし、これまで何度かそういう場所に行かざるを得なくなった時がありました。
それは…、政府の方から仕掛けてきて、
住民の方もこれをやらないと抵抗する事が出来ないので、自分たちとしても受けるしかないし、
「お前来て反対の意見を言ってくれ」と、誘われた事が何度かあって、
そういう時には私も行った事が何度かあります。
そしてもちろん私は「原子力なんてやるべきではない」という発言をしてきました。
ただ、そういう場所で私がいくら発言をしても、
やはりそれは政府が原子力を進めるためのアリバイ作りにこれまでは使われてきてしまったという歴史でした。
質問:あの、事故直後に国会で先生が話された、それは?
小出:
はい、行きました。
わたしは・・・・
政治というのがあるんですね、皆さんまた選挙もありますけれども、
政治というものにかなり深く絶望していまして、
「政治にはかかわらない」とずーっと発言をしてきましたし、
政治的な行動に私がかかわることはないと言ってきたのです。
ただ、福島の事故が起きて以降、
たとえば、どこどこの政党が私に入れとか、そういう誘いは山ほど今でもありますけど、
そんなものは一切お断りしています。
ただし、ある時に参議院というところから、
「私に話に来い」というお誘いがありました。
私は本来だったら「そんな所に行くか」と思うのですけれども、
今日も一番初めに聞いていただいたように、「福島の事故を防げなかった」という事に関して、
私はやはりかなり重たい責任が自分にはあると思いましたので、
自分が政治が嫌いだと言って、一切それに関わらないというのはやはり、「できないな」と思いまして、
一度はやはり行かなければいけないと思って、参議院の行政監視委員会という委員会でしたけれども、
その場所に一度だけ行って、これまで原子力を進めてきた政治の責任に関して一言意見を言ってきた、
それだけです。
放射線管理区域の4万ベクレルの中身
質問:
実は今日、中継をさせていただいていますけれども、
中継をご覧になった方からの質問で、電話で質問がきたんでしょうか、
4万ベクレル=4ベクレル/平方cmの汚染とはガンマ線のみでしょうか?
ガンマ線+ベータ線の合算でしょうか?
小出:
はい、私は先程
1平方mあたり4万ベクレルというのが放射線管理区域の基準だと聞いていただいたんですね。
それをご質問の方は換算して、「1平方cm当たりに換算すれば4ベクレルという数字だろう」と、
そうなんです、その通りです。
そして、その数字というのが「ガンマ線とベータ線の合算か?」というのがご質問ですけれども、
簡単に言ってしまうと合算です。
ただし、本当に測っているのは放射線というよりは、放射性物質の量なんです。
これはきちっと説明すると大変に難しいんですけれども、
放射性物質の中には
アルファ線というものを出す放射性物質もあるし、
ベータ線を出す放射性物質もあるし、
ベータ線を出してガンマ線を出す放射性物質もあるのです。
ですから、ベータ線とかガンマ線という放射線で基準を決めているのではなくて、
放射性物質という、その物質の濃度で、1平方cm当たり4ベクレルということを決めているのであって、
その時は、ベータ線を出す放射性物質も、ベータ線もガンマ線も出す放射性物質も、
全部合算で決めています。
アルファ線を出す放射性物質だけは除外で、
その場合にはもうひとけた厳しい基準になります。
焼却場の温水プール
質問:
焼却施設での温水プールは、水の汚染が無ければ入っても大丈夫でしょうか?
ドイツの発表では呼気からの影響が60%と聞きましたがどう思われますか?
小出:
焼却場で温水プールをやっている。
そこのプールで泳ぐ事が危険かどうかという事ですね。
とても難しいご質問ですけれども、…「世界は全部汚れているんです、今」
食べ物だって「1kgあたり100ベクレルなら良い」と言って、全部汚れているものが出回っている。
それを私たちは扱いながらゴミにして、それを焼却場で焼くんですね。
焼却場で焼けば、汚れの一部は煙突から出てくるわけですし、
殆どのものは焼却灰というところに残って、濃縮されて、いくわけです。
でも温水プールというのは、その焼却施設の温水プールというのは、
別にその、焼却灰を混ぜてプールにするわけではないわけですし、
煙突から噴き出してくる放射性物質といっても、私はそれほど多いとは思いませんけれども、
それが温水プールの建屋の中にわざわざ引き込まれているわけでもないですよね。
多分ないはずだと思いますので、
そうであれば、もう地球の環境が全部汚れてしまっているという意味では、私は同じだと思います。
まぁ、できるだけその焼却しているところに近づかない方がいいと言えばそうだとは思いますけれども、
でも・・・、そこも汚れている中でなにがしかの上乗せがあるという、その程度の事だと思いますし、
焼却場のプールだからそのプールの水が汚れているという事は関係ないと思います。
被ばくした人からの被ばく
質問:
東海村の事故で被ばくした人から被ばくをして治療をしたというお話がありましたけれども、
それでは、食品などから内部被ばくをした人から、二次被ばくの危険はありますか?
小出:
あの…、私たちはこの地球に生きているんですね。
それで今日私は、人間がこの地球を放射性物質で汚したという話を聞いていただいたわけですが、
この地球という星にはもともと放射性物質はあるのです。
ウランであるとか、トリウムというものもありますし、
カリウム、窒素、リン酸、カリというのが農業の3大肥料ですけれど、
そのカリの中にも実は放射性物質があるのです。
そういう、何がしか放射性物質がある世界の中で、
生き物がだんだん死滅したり進化しながらここまで来て、
人間も何とか今この環境で生きていて、
この環境に何とか適合しながら今生きているんですね。
で、私なら私の身体の中にも、天然に存在している放射性物質が、もうすでに存在しているんです。
ウランやトリウムという放射性物質も、微量なら私の身体の中にあるし、
カリという放射性物質であれば、結構な量がもう、私の身体の中にあるのです。
えー、私の身体全部で言えば、たぶん4000ベクレルとか5000ベクレルぐらいある。
カリというのがある。
ですから、私の近くにこうやって座っていると、私の身体から出ている放射線で被ばくしている。
逆に言えば私は、皆さんから被ばくをさせられている。
たとえば誰かを抱けば、そのだいた人が近くによるわけですから、その人から被ばくをしてしまう。
という事があるわけです。
で、汚染食品を食べた人がいる。
その人がたとえば近くに来れば、また被ばくをしてしまうというのは、
言っててみれば当たり前の事としてあるわけですけれども、
でも、汚染食品を食べた人が、大量のその・・・・・・、汚染を、身体の中に蓄積しているとすれば、
症状があらわれてくるはずだし、そういう方は多分分かるはず、
いま発電所の中で働いている労働者の方の中には、多分そういう人もいると思いますけれども、
そういう人とごく濃密に接触するという事は、できれば避けた方がいいと思いますけれども、
それ以外のことはもう、ほとんど避けることすらが出来ないという、
そういう世界だと思っていただいた方がいいと思います。
J-PARC日本原子力研究開発機構の放射能漏れ事件
質問:
JCOの事故が最近もありましたが、テレビなどでほとんど報道されていません。
「問題ない」というような空気ですけれども、
実際のところはどういう事故だったのでしょうか?
小出:JCOじゃないですね?
質問:JCOって書いてありますけど。
小出:
JCOの事故は今日聞いていただいた臨界事故というやつで、1999年9月30日です。
最近あった、東海村であった事故というのがありました。
それは日本原子力研究開発機構というところで、加速器というものを使っていて事故を起こしました。
その事故は言ってみれば「大変バカげた事故」です。
なんでそんな放射線、放射能を取り扱う専門の研究機関でありながら、こんな事故を防ぐ事が出来ないのかと、
私からすると本当に唖然とするほどバカげた、初歩的な誤りを積み重ねた事故でした。
でも事故の規模としては遥かに小さくて、
事故の当事者にも放射線の影響が出るという程のものではありませんでしたし、
周辺環境に法令の、法律が決めた以上の放射性物質をばらまいたということもありませんでした。
今日聞いていただいたように、福島第一原子力発電所の事故は、
もう、法令を遥かに超えたものを大量にばらまいて、もう日本国中、世界中を汚染しているわけで、
そういう事故に比べれば、日本原子力研究開発機構でこの間起きた事故は、あまりにも小さいし、
取るに足らないと言っていい程の事故でした。
ただし、専門家と言われているような人間でもあまりにもずさんなことをやるという事は、
しっかりとやはりみなさんも知っておくべきだと思いますし、
ましてや事故を起こした彼等は、
しっかりとこの事故に関して調査をして、責任も取るべきだと私は思います。
J-PARC日本原子力研究開発機構の放射能漏れ事件に関する記事
「茨城東海村大学院生等4名2ミリシーベルトの内部被ばく。
連絡は警報から36時間後。モニタリングポストの異常あり」
日本原子力研究開発機構公表資料&NHKニュース時系列
「安全装置は1日10回ぐらい毎日止まるんです、だから経験から再起動」
5/27モーニングバード書き出し・J-PARC55名の被ばく検査結果資料・東京新聞社説
<保存してるよ!>放射放出事件・東海村J-PARCがネットから消した資料
どんな放射性同位体が飛び出したの? 東海村J-PARC(日本原子力研究開発機構)事故
茨城県の東海村の実験施設の事故について 5/28武田邦彦氏(音声文字起こし)
放射性物質の拡散した方向と種類 J-PARC東海村放射能漏れ事故5/29公表資料より
J-PARC換気扇回しっぱなしで3日間の言い訳
日本の農業を守る
45:09
質問:
これからお子さんを生む方は食べ物を気を付けた方がいいと思うんですけれども、
これは、農作業に従事している、特に茨城とか近いところの方達の事だと思いますが、
その方達の被ばくも問題ではないでしょうか?
農家のさらされている環境はよくありません。
という事で、農家の方々の被ばくについては60禁とすると、それを認めることにはなりませんか?
多分、農業従事者の方が高齢だという事だと思うんですけれども。
小出:
はい、それも大変難しい問題です。
私は今日「子どもをとにかく被爆から守りたい」という話をみなさんに聞いていただいたんですが、
私は実はもうひとつやりたい事があるんです。
それは、「日本の農業を守る」という事をやりたいと言ってきました。
何故かというと、まあ、きちっと聞いていただくと大変ですけれども、
簡単に言いますと、日本というこの国は、まいわゆる
「明治維新というもので近代国家の仲間入りをした」と言われています。
それ以降どうしたかというと、ヨーロッパ、米国を見習って、
西洋文明をとにかく取り入れて工業化しようと、そして大国になろうという
そういう歴史をずっと歩んできたんですね。
そして、そのためにはエネルギーをどんどん使っても良いから、工業を発展させる。
もう農業や漁業はダメだという事で切り捨ててきてしまった。
で、その一番の象徴が私は原子力だと思っているのです。
工業さえ発展させればいいというものの象徴というものが原子力だと思ってきました。
その原子力が今回の様な事故を起こして、膨大な汚染を引き起こしている訳ですけれども、
その汚染があるからと言って、農業を崩壊させるような事に手を貸してしまうと、
この日本という国は立ち直れないと私は思っていますので、
汚染があったとしても日本の農業は潰してはいけない。
なんとしても農業を守らなければいけないと実は思っているのです。
ところが先程聞いていただいたように、
今1000平方kmというところはとにかく汚染がひどすぎて、
もう、人々全部が放り出されているんですね。
農民もなにもみんな追い出されている。
だから農業が崩壊してしまったんです。
少なくても1000平方kmは崩壊した。
そして私は先程から何度も聞いていただいているように、そんな範囲では済まない。
ほぼ2万平方kmという範囲を放射線管理区域にする。
つまり、「無人にしなければいけない」と私は言っているわけで、
「農民もなにもそこから追い出さなければいけない」と私は言っている。
本当であればそうだと私は言っている。
でも、日本の国家がそれをしないで、人々をそこに捨てたわけです。
そうすると捨てられた農民はそこで農業をするしかないのです。
「生きるために農業をする」んです。
農民は汚染地帯で被ばくをしながら食べ物を作っているんです。
そういう農民に関しては、私はやはり支えるしかないと思う。
本当ならば逃げて欲しいけれども、
逃がすことができないで今被ばくをしながら働いている農民は、支えるしかない。
その農民が作っている食べ物は引き受けるしかないと私は思っています。
そのための提案が先程聞いていただいた60禁なんです。
大人が被ばくを受け入れながら農業を守るしかないという提案を私はしてきたのです。
でも子どもには被ばくをさせてはいけないので、
できる限り綺麗な食べ物を回せるような社会的なシステムを作らなければいけないと私は思っています。
では、じゃあ、その農民たちはどうするのか。
農民だって被ばくをしながらじゃないかというような事を言ってしまうとその通りなんです。
防ぐ事が出来ない。
外部被ばくは少なくても防げない。
農地が汚れているから、そこで仕事をする限りは防ぐ事はできません。
放射能の防護服って皆さんご存知かもしれませんけれども、
あれは、体に付着したり、あるいはマスクをして身体の中に取り込まないという、
内部被ばくを防ぐためだけのものであって、
外部被ばくに関する限りは、防護する手段はありません。
その場所から逃げるしかないんです。
鉛のスーツを着るというのはひとつの手段ですけれども、
鉛のスーツなんか着て農作業なんかできるどおりがないのであって、
もう仕方がないのです。
被ばくをするしかない。
だから農民が少しでも被ばくを減らすという事をするとすれば、
できるだけ泥が身体につかないようにして下さいとか、
もし可能であればマスクをして下さいとか、
せいぜいその位の事しか言えません。
それでつくってくれたものは、大人が覚悟を決めて食べましょうというのが私の提案です。
ただし、この私の提案は大変難しいというか、……難しい事を含んでいます。
というのは、私は「農業を守りたい」と言ったわけですけれども、
農業というのは土に根ざしてずーっと長い年月をかけてやるんですね。
今の大人の世代が農業をやるだけではだめで、子どもの世代もそこで育てなければいけないのです。
子どものいない農業というのは潰れる。
でも私は「子どもだけは被ばくさせたくない」って言っている。
という事は、私が言っていることに矛盾がある。
子どもは被ばくしたらダメだけど農業を守れと言ったら出来ない。
その事で私は「農業を守りたい」と言って、ずっと運動を続けてきた人たちと、
先日深刻な論争の場に呼び出されてやってきました。
私を呼び出した人たちは、有機農業というのを長い間やって、
「これからも日本の農業を守っていきたい」と言って、苦闘を続けてきた人たちが私を呼び出したわけで、
その人達は、
「こうなった以上は、子どもも含めて被ばくをさせながらでも守るしかない」と私に議論を挑んできたのです。
私も農業を守りたいけれども、私は「子どもはダメだ」と言いまして、
その方達と物別れになりました。
でも、私の言っている事が矛盾なんです。
私は十分それを承知していますけれども、
でも子どもを被ばくさせる事だけは私は認める事が出来なかったので、そうして帰ってきました。
でも今でも何とか農業を守りたいと思っています。
大変難しい事が、今、私たちの目の前にある。
みなさんも忘れないで、この問題を自分のこととして考えていただきたいと思います。
解決策はありません。
残念ながら私も「こうすればいい」という解決策を皆さんにお伝えできないけれども、
でも困難な事が今でもあるという事だけは忘れないで欲しいと思います。
52:39
それに少し追加して、ここに載せさせていただきたいと思います。
2013年9月22日 BS11 ウイークリーニュースONZE
コントロールできる? 原発汚染水の現実
キャスター:元村有希子・毎日新聞科学環境部編集委員
元村:
原発事故以前から原発について批判的な意見を続けられてきた
京都大学原子炉実験所の小出裕章さんにインタビューしました。
金属で冷やす

小出:
汚染を拡散させないためには地下水と汚染を遮断しなければいけないから、
地下に遮水壁を張り巡らせるべきだという提案をしました。
東京電力もそれを受けて遮水壁を造るためにいくらかかるか?という計算をしたところ、
「1000億円かかってしまう」と。
「そんな多額のお金を払うというと株主総会が乗り越えられなくなる」ということで、
その計画をとらなかった。
今、この事態に立ち至ったのだから、私は水以外の物質ということを考えた方がいいと思うようになりました。
金属で冷やすという方法は考えてみるべきだと、今は真剣にそう思っています。
ただし、…「金属でやれば確実に上手くいく」と言えるかというと、申し訳ありませんが、確信もありません。
それを炉心に届かせるため、溶け落ちてしまって、今どこにあるか分からない炉心に届かせるためには、
どのようにしてそれを送り込めばいいかという、そういう流体工学という専門家も必要だと思いますし、
様々な専門家のアイデアを集めて、事故に向き合うべきだと思います。
少なくとも「水はやめる」ということを早めに決断しないと汚染水問題がどうにもならなくなって、
海へ流すしかないということになってしまうと思います。
アルプスとトリチウム
小出氏は汚染水処理に投入される浄化装置アルプスについても疑問を持っています。
アルプスは特殊な吸着剤でストロンチウムやセシウムなど63種類の放射性物質を取り込み、
「汚染水を浄化する」というのですが・・・
小出:
東京電力もアルプスという名前のストロンチウム除去装置をつくっては…いるのですが、
まだ本格的に稼働もしていません。
もし本格的に稼働して、ストロンチウムを上手く取れたとしても、
でもまだ取れない放射性物質というのもあって、
一番難しいのはトリチウムという放射性物質ですが、
どんな除去装置をつけてもトリチウムは除くことができません。

トリチウムというのは別の名前で言うと三重水素という名前なのですが、名前通り水素なのです。
水素ですので環境に出てきてしまうと水になります。
トリチウム自身は水なんです。
ですからそこに含まれている汚染物質をどんなに取ったとしても
トリチウムは水そのものですから取れない。
トリチウムが出す放射線は大変エネルギーの低いベータ線ですので
放射線の毒性自身はそんなに高くはないのですが、
それでも水で支えられている生き物という世界の中では
トリチウムというのは大変な脅威になるだろうと思います。
石棺
今も1日に400トンもの水が、壊れた原子炉建屋に流れ込んでいるという福島第一原発。
この先どうすれば廃炉にできるのか?
小出氏はチェルノブイリ原発事故でとれた石棺しか、その方法は無いと言います。
小出:
国や東京電力は「溶け落ちてしまった燃料を外につまみ出す」ということを計画に書いてありますけれども
私は多分それはもうできないと思います。
そんなことをしようと思うと大変な被曝になってしまいますし、
やっても「完璧に取り除くということは結局はできない」と思いますので、
むしろそれは諦めて、
「全体をチェルノブイリ原子力発電所でやったように、石棺というような構造物で埋め込むしかないだろう」
と思います。
でもその石棺を造るまでにもまた何年かかるのか、何十年かかるのか、それすらが分かりません。
できた石棺も完璧に上手くできたとしても、今、チェルノブイリでなっているように、
30年も経てば石棺自身がボロボロになってきますので、
またその石棺の上に第二石棺という大きな石棺を造らなければならなくなるという、
そういう延々とした作業が今後、何十年、あるいは何百年という時間をかけてやり続けなければいけない。
それも全てが被曝作業だということですね。
私からみるともうどうすれば、こんなことが成し遂げることができるのか、
一体そのためにどれだけの悲惨なことが起きるのか、もう想像もできないほどのものなのであって、
何か皆さん、福島はもう終わったかのように思っている、
マスコミもなにかそのような宣伝をしているということが、…正気の沙汰とは思えない。
スタジオ

元村:
原発の専門家である小出さんの言葉に、私は茫然とする感じなんですが、
金属で冷やす手法というのは具体的にはどういうアイディアなんですか?

志葉玲:
まずですね、原発事故が起きて、中の核燃料が溶けてそのまんまになっている訳なんですけれども、
まだ熱を持っているんですよ。
原発を停止しても燃料が熱を持っているので、
これを冷やさないと、溶けてですね、放射性物質がさらに拡散してしまうという状況になります。
元村:それが水で冷やす理由ですね。
志葉:
そういうことですね。
だけど水で冷やすと汚染水がいっぱい出てきちゃうじゃないですか。
ですから、低い温度で溶ける金属、たとえば鉛などとか、
そういったものをですね、中に投入していって、で、核燃料の熱で溶ける。
チョコレートで、たとえばピーナッツなんかをくるんだりするように、
どんどんどんどん金属を投入していくことで、核燃料をくるんで行く。
元村:結果的にコーティングすると。
志葉:コーティングするわけですね。
元村:
ああ、なるほど。
そうすると遮蔽できるというアイディアですね。
志葉:
それに、金属の表面から熱が逃げるというような冷却効果も期待できるというふうに、
小出先生はおっしゃっていました。
元村:実際にどこかで実証したりしているんでしょうかね?
志葉:
海外の専門家から話を聞いたというのと、
また国内からもそういった事に関して、小出先生に提言している人がいるというようなことで、
私もこれからもうちょっと調べてみたいと思っています。
元村:
私がちょっと思いますのは、
小出さんのようにね、原発政策に批判的な人たちの意見っていうのは、なかなか中央に届かない。
志葉:はい。
元村:審議会の委員にも任命されない。
志葉:はい。
元村:
そういった事で、
そういう人たちの意見がまず反映されるのか?って言うところから、疑問なんですけど。
志葉:
そうですね、
ですから、小出先生ともお話ししたんですけれども、
やはりですね、国際的な監視団というか、もう日本だけの問題じゃないんですよ。
元村:そうですね。
志葉:技術も含めて、世界の知恵と監視を日本に集めて、
この福島第一原発を何とか収束させないといけないと。
ーーー
第2部「水冷やめて空冷に」9/11そもそも総研(内容書き出し)
立命館大学の山田廣成特任教授
鉛での冷やし方の方法を玉川さんに説明していらっしゃいます。
9月20日の午前中、岩上さんが山田教授にインタビューをしていました。
そこで詳しい説明をしていらっしゃいました。
その時に岩上さんが「小出先生も最近金属で冷やす方法について話していますが」
と言った時、山田教授が「私の方から小出先生に電話をさせていただきました」と答えていらっしゃいました。
用事があったので全部見る事が出来なかったので、
その時のインタビューがIWJのアーカイブで残っていないのがとても残念です。

志葉玲さんが話していらっしゃる、
「国内からもそういった事に関して、小出先生に提言している人がいる」
というのは、きっと山田教授の事だと私は思います。
「水で冷やすというやり方はそろそろ諦めるしかない」と私は思うようになりました。
小出裕章氏8/23報道するラジオ「福島第一原発事故 汚染水の問題は」(文字起こし)
2013年9月1日 日比谷公会堂
ここまでは↓
前半・「そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています」
小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)

小出裕章氏:
これからですが、
福島の問題はもちろんとてつもなく重大な問題です。
しかし、原子力の問題というのは、単に安全か危険かという問題ではありません。
もともと日本が原子力をやろうとした動機は、「核開発」です。
ここに我が国の外交政策大綱という文書があるんですが、その中の一節を紹介したいと思います。
こう書いてある。
核兵器については,
NPTに参加すると否とにかかわらず,当面核兵器は保有しない政策をとるが,
核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともに
これに対する掣肘(せいちゅう)をうけないよう配慮する。
また、核兵器の一般についての政策は、国際政治、経済的な理解特質の計算に基づくものである。
との趣旨を国民に啓発する
すでに1969年にこういう方針を建てて原子力を進めてきたのです。
ある時には外務省の幹部が新聞のインタビューでこんなことを答えています。
(朝日新聞 1992年1月19日)
個人としての見解だた、日本の外交力の裏付けとして、
核武装の選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。
保有能力はもつが、当面政策として持たないという形でいく。
そのためにもプルトニウムの蓄積と、
ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない。
というのです。
まことに見事だと私は思います。
原子力の平和利用だと言いながらプルトニウムはどんどんどんどん蓄積して懐に入れてきました。
すでに日本には45トンの分離されたプルトニウムがありますが、
それで原爆をつくれば4000発作れてしまいます。
そしてつい先日はイプシロンというロケットの打ち上げようとしました。
その前にはH2ロケットは沢山打ち上げているんですね。
それも全てミサイルに転用できるロケット技術を開発できるという事でやってきたのです。
日本国内では、たとえば朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星を打ち上げる、
そのために「ロケットを打ち上げるんだ」と言って、イカオ(ICAO)という国際的な団体に申請しました。
申請した通りにロケットを朝鮮民主主義人民共和国が打ち上げた。
それに対して日本という国は「実質的なミサイルを打ち上げた」というんですね。
「撃墜する場合もある」というような事を言う国でした。
何のことはない、日本は沢山H2ロケットでもなんでも打ち上げている。
「それはじゃあ、実質的なミサイルではないのか?」と、むしろ私は聞きたくなります。
朝鮮民主主義人民共和国が核兵器をつくった作らないということがありますけれども、
私は実はまだ、彼らは作ってないと今でも思っているのですが、
どうせ出来たとしてもするはずです。
それなのに日本はもうすでに4000発もつくれるだけの材料を懐に入れているという、そういう国なのです。
今、世界を支配しているのは国連です。
国連というのは英語で言えばUnited Nationsです。
かつて日本と戦った連合国が今世界を支配している訳です。
日本は戦争で戦った国ですから、国連憲章の中には敵国条項というのがあって
悪い国には特別のやり方、制裁をとっていいという事がいまだに国連憲章の中に残っているのです。
その国連の常任理事国は、米国、ロシア、英国、フランス 中国ですけれども
沢山の連合国があった中で、なんでこの5カ国だけが常任理事国になっているのかと言えば、
核兵器を持っているからです。
核兵器を持つという事は現在の世界を支配するために決定的に重要なファクターになってしまっているという、
そういう世界があります。
そして、その5カ国には核兵器を製造するための中心3技術というのがあります。
ウラン濃縮、原子炉、再処理、という3つの技術ですけれども、
その3つをもちろん持っています。
で、自分は持っているけれども他の国にはそれは持たせないというので、核不拡散条約をつくって、
自分たちだけが独占できるようにする。
そして、さっきもちょっと出ました
IAEAという国際的な原子力マフィアを使って、他の国を監視するという、
そういう体制をずーーっと作ってきました。
しかしそういう体制の中で、
核兵器保有国ではなくて中心3技術の全てを持っている国が世界で1カ国だけあるんです。
どこですか?
日本ですよね。
日本という国は平和利用だという事を言いながら、
実質的な核保有国にすでになったという、非常に特殊な国なのです。
そのためまた日本は、さらなる悪事を働こうとしています。
昨年の6月に原子力基本法というものが改定されました。(2012年6月20日成立)
もともと基本方針にはこう書いてありました。
「原子力利用は平和の目的に限り、安全の確保を旨として、
民主的な運営のもとに実質的にこれを行うものとし、その成果を公開し、
進んで国際協力に資するものとする」と書いてあります。
なんとなく文言は綺麗に読めますけれども、
「平和の目的に限り」なんてあっても
「実質的には核兵器を開発するためにやってきた」というのは今聞いていただいた通りです。
そして去年の6月にこんな文言を付け加えました。
前項の安全の確保については確立された国際的な基準を踏まえ、
国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全、
並びに我が国の安全保障に資することを目的として行うものとする。
「安全保障」という言葉はみなさんよくご存じだと思いますけれど、
「日米安全保障条約」という名前がある通り、軍事的な専門用語です。
つまり日本は原子力をやるにあたって、
「安全保障を目的としてやるんだ」というところにまで、日本の政府は踏み込んできている。
つまり、日本というこの国が核兵器を持つか持たないかという事は、
政策の問題だし、利害得失に基づくものだという事を、国民にちゃんと知らせようという事を
多分やり始めたという事だと思います。
私は原子力にいる人間として、
原子力は徹底的に危険だと思います。
こんなものはやってはいけないと思いますけれども、
私が原子力に反対しているのは単に危険だからではありません。
原子力というのは他者の犠牲の上にしか成り立たないという、そういうものです。
差別に基づかなければできないという、そういうものに私は反対しています。
もともと原子力発電所で働いている労働者の被ばくは、
9割以上は下請け孫請けの労働者が担ってきました。
そこで事故が起きたら大変だという事で、都会を離れて過疎地に押し付けた。
過疎地で事故が起きてしまえば、そこの人達が本当に苦難のどん底に突き落とされて、
そして事故の収束に行くのは
下請け孫請けの労働者たちがまた被ばくをさせられてしまうということになります。
仮に事故が起こらなくても、原子力を使ってしまう限りは、
核分裂生成物という放射性物質を生み出してしまって、
その放射性物質を私たちが無毒化する力を持っていないのです。
100万年にもわたってどこかに隔離をしなければいけない。
そんな事が出来る道理が無いのです。
私が死んでも、皆さんが死んでも、自民党政権なんてなくなっても、
無くならない毒を残していくという事になります。
今私たちが原子力を選択するという事に、何の決定権も持たない子どもたち。
未来の子どもたちが毒物だけを押し付けられるという事になります。
「未来犯罪」とでも呼ぶべきだと私は思います。
その上で今聞いていただいたように、
原子力というのは核です。
核兵器そのものなのです。
皆さんは原子力と核は違うものだと思い込まされてきたかもしれませんが、同じものなのです。
その核を持つ事が世界を支配するための力なのだと、
要するに自民党政権もみんな思っているわけですけれども、力の論理で平和が築ける筈はないのです。
その事に気付かなければいけないと思うし、
私たちは他の人々を犠牲にするという、そういう原子力、
原子力的なものというものを捨てるということが必要なのだと思います。
これはお分かりになりますね。
では、私たちがいる日比谷公会堂です。
私は日比谷公会堂のこの壇上にいます。
そして、53年前、この壇上でなにが起きたかというとこういう事でした。


今見て下さった通りですけれども、
当時社会党の副委員長だった浅沼稲次郎さんが、こういう姿で殺されました。
犯人は防共挺身隊(ぼうきょうていしんたい)の山口二矢(おとや)という、17歳の少年でした。
この事件を受けて、大江さんが小説を書いて、「政治少年死す」という小説でしたけど書いてくれました。
大変困難の多い時代であったと思います。
自由とか平和とかを守るという事は、大変難しい。
自由や平和をつくっていくことも大変難しいことだと思います。
今私はここに、日本国憲法の前文を書こうと思っているのですけれども、
初めの方にこういう事が書いてあります。
政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こる事が無いようにする事を決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言する。
つまり、政府がバカなことをやらないように私たち国民がちゃんとチェックして政府を監視するんだと、
それを決意したというのが日本国憲法なのです。
私たち一人一人がしっかりしなければならない。
そうしなければ自由も平和も作れない。
また戦争になってしまうよという事が憲法前文に書いてある。
そして、こう書いてある。
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。
というのです。
軍事力によってわれらの安全を保障しようというのではないのです。
軍隊では無い、諸国民の公正と信義に信頼して、自分の安全を守ると決意したというのです。
これは大変な事なのです。
簡単なことではない。
とても大変なことを私たち国民が請け負うという事を書いているのです。
そしてこうです
全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
というのです。
日本だけでは無いんです。
世界中全部の国の人々が平和のうちに生存する権利があるということを認める。
一国平和主義でもなんでもないんです。
世界全体を平和にするために自分たちは軍隊を捨てると言っているわけですし、
諸国民の公正と信義に信頼すると言っているんです。
大変素晴らしい憲法だと私は思います。
なんとしてもこれを守るという事も同時に考えています。
かつて戦争がありました。
大本営の発表ばかりで、一般の人々はほとんど真実を聞かされませんでした。
いつも勝っている、戦争で勝っていると聞かされて、
日本は神国だ。
天皇陛下がいるから絶対に戦争は勝てると言われました。
実際の軍隊は殲滅されて無くなっちゃっている時は今度は転戦だと言うことばで報道したわけです。
ほとんどの日本人は戦争は勝てるだろうと思いこまされた。
そして中に反対する人がいると、国家がその人たちを虐殺していくという事をやったわけですし、
それどころか住民自身がそういう人を村八分という形で虐殺して言ったという歴史もあるんです。
そんな歴史が一応は終わったけれども、
その後で、「いや、悪かったのは軍部だ」と。
「俺たちはちゃんとしたところを聞かされなかったからこうなった」
と言い訳をする人は多分沢山いたと思います。
でもそれで本当にいいのか?と私は思います。
福島の事故が起きた今もそうです。
今日この会場を埋め尽くして下さっている人たちにしても、
福島の事故が起きるまでは原子力がこれほどのものだと言う事に気がつかないでこられた方は多いと思います。
もちろん日本の国は安全だと言って、
マスコミ全てが安全だという宣伝を流してきたわけですから、
普通の方々がそう思っても不思議ではないし、
皆さんが騙されたと思っても私は不思議でなありませんけれども、
「騙されたから無罪だ」というんなら、またきっと騙されてしまいます。
騙された事に関しては、騙された責任があるだろうと思っています。
そして未来を私たちは子どもたちから問われるのです。
福島の事故が起きて以降、お前たちはどうやって生きたか?
わたしは必ず問われると思います。
憲法が今危機に存している時に、その憲法を守ろうとしている人たちももちろんいるけれども、
「一人一人はどうやって生きたか」という事を必ず見られ、子どもたちから問われるだろうと思います。
その問いにきちっと答えられるように私は生きたいと思います。
私もそうですし、皆さんもそうですけれども、
たった一度しか生きられません、人生は。
どんなな事を言ったって一度きりです。
みなさんも一度、私も一度。
そのたった一度の人生ですから、歴史と事実をしっかりと見つめて、騙されないようにする。
そして自分のやりたいことの思いに忠実に生きていたいと私は願います。
ありがとうございました、終わります。
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【内容情報】
“テロリズム”とは何か?今、“テロリズム”の季節が始まった六〇年安保から半世紀余りが経つ。
すでに現代史としていかに記述していくのかが問われている。
われわれは、厳しく困難ではあっても“テロリズム”の恐怖に怯えることなく、
真正面から、これに立ち向かっていかなければならない。
作者みずからが焚書し幻の書となっている『政治少年死す』『風流夢譚』も復刻掲載し、
その歴史的意味を解明する。
【目次】
対談 山口二矢と三島由紀夫をめぐって(若松孝二/鈴木邦男)
対談 二つのテロ事件から言論を考える(板坂剛/鈴木邦男)
政治テロのはじまり一九六〇年代
復刻資料(大江健三郎「政治少年死す セヴンティーン第二部」-『文学界』一九六一年二月号
深沢七郎「風流夢譚」-『中央公論』一九六〇年十二月号
深沢七郎「これがおいらの祖國だナ日記」-『群像』一九五九年十月号/各社社告)
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2013年9月1日 日比谷公会堂
00:48~
小出裕章氏:
みなさんこんにちは
みなさんが今日
福島のことを忘れないでこの場所に集まって下さっているという事は大変ありがたいことだと思います。
今日私は、福島を忘れないという事を一つお伝えしたいというか、
みなさんと共有したいと思いますし、
福島の事、それは全てに繋がっているという話をさせていただきたいと思っています。
これはみなさんご存じのとおりの福島原発の写真です。
原子炉が1号機2号機3号機4号機と並んでいましたが、
1号機2号機3号機は運転中に事故に遭遇しまして、全て炉心という部分が溶け落ちてしまいました。
いまその炉心がどこにあるのかもわからない。どうしたらいいのかもわからないという中で、
10次におよぶ下請け孫請けという労働者たちが、今この瞬間も作業に当たっているという状態です。
4号機の方は当日運転はしていませんでした。
それでもこのように爆発して建物が吹き飛んでしまいましたし、
未だに使用済み燃料プールという中に大量の放射性物質を抱えたまま、
何時プールが落ちてしまうかもわからない困難な状況の中にあります。
2011年の暮れに当時首相だった野田さんが、事故の収束宣言なんていうものを出したのですけれども、
残念ながら事故は全く収束していないのです。
今現在も危機は続いています。
運転中だった1号機から3号機、それは溶けた炉心がどこにあるかもわからない。
ただ、ひたすら水を入れ続けて冷やすしかないということを2年半にわたって、今日までやってきました。
しかし、水を入れてしまえば汚染水なんてあふれるのは当たり前なのであって、
マスコミは最近になって「汚染水が大変だ」って言い始めたわけですが、
私としては「なにをいまさら」と思いました。
2011年3月11日から、ずーーっと汚染水は流れ出ていたのです。
これからもそうですし、ずっとこれまでも何とか汚染を食いとどめようとして戦いが続いてきて、
労働者が被ばくをしていってしまうという状態が続いています。
これからも何十年もその作業を続けなければいけない、困難なものです。
そしてすでに大量の放射性物質がまき散らされてしまって、
今日も福島から来て下さっている方がいらっしゃると思いますけれども、
何10万人もの人々が故郷を追われてしまったのです。
生活もコミニティーも生活も全部が破壊されて流浪化してしまうという、
こんなことは戦争が起きても起きないという位の事が今現在も続いている。
そしてこれがまだ何十年も続かざるを得ないという状態になってしまっています。
そして、先ほど見ていただいた4号機ですけれども、
建屋が爆発しまして、
炉心の中にあった使用済み燃料も使用済み燃料プールというところに入れられていたのですが、
そのプールは宙づりのような状態になって、今存在しています。
そして、そのプールの底には、
広島原爆に換算すれば多分1万4000発というぐらいに相当する膨大な放射性物質が、
まだ、宙づりのプールの中に眠っているという状態です。
なんとかそれを、一刻も早く何とかしなければいけないのですが、
いかんせん、なにかをしようと思えば労働者が被ばくをするしかない。
そういう状態の中で、今でも苦闘が続いています。
では今まで一体どれだけの放射性物質が環境に漏れてきたかというと、
今から私が皆さんに見ていただこうと思うのはIAEAが行っている、
国際的な原子力推進団体、原子力マフィアの一つの組織であるIAEAという組織があるんですが、
その組織に日本国政府が報告書を出しました。
その報告書の中に大気中に放出したセシウム137という放射性物質の量が書き込まれています。
どの程度だったかという事をお見せします。
まず左の下に黄色い四角を書きました。
これは広島原爆が大気中にまき散らしたセシウム137の量です。
数字も書き込んでありますが(8.9×10の13乗)
多分皆さんピンとこないと思いますので、数字は無視していただいて結構です。
ただしこの黄色い四角の大きさだと思って下さい。
では、福島の第一原子力発電所から、どれだけのセシウムが噴き出してきたかというと、
1号機だけで広島原爆の6発分から7発分(5.9×10の14乗)噴き出させました。
なんと言っても悪いのは2号機なんです。(1.4×10の16乗)
こんなに噴き出した。
そして3号機もやはり噴出させて、(7.1×10の14乗)
当日運転中だった1号機から3号機を合わせると、
広島原爆の168発分をすでに大気中にばら撒いたと、日本国政府が言っているのです。

しかし私はこの数字は必ず過小評価だと思っています。
何故かと言えばこの事故を引き起こした直接の責任は東京電力という会社にありますが、
その東京電力に「お前のところの原子力発電所は安全だ」
「安全性を確認した」といってお墨付きを与えたのは日本国政府なのであって重大な責任があるし、
私は「責任」という言葉は甘いと思います。
「犯罪」と呼ぶべきことをやったのです。
犯罪者が自分の罪を軽く申告する道理はないのです、出来る限り、
あ・・・ごめんなさい。
「重く申告するど道理はない」ですね。
「できる限り軽く見せたい」と言ってはじき出した数字がこの168発。
多分これの2倍か3倍だと私は思います。
つまり、広島原爆がまき散らした放射性物質の
400倍とか500倍がすでにまき散らしてしまったという事故だったのです。
大変な事故なのです、これは。
そのためにどんな汚染が生じたかという事を日本国政府が地図に示しました。
福島原子力発電所はこの位置にあります。
西側は土地ですし、東側は海です。
そして日本というこの国は北半球温帯というところにありますので、
基本的には偏西風という西風が吹いているのです。
福島原子力発電所から大気中に放出された放射性物質は、
ほとんどが西風に乗って太平洋に流れたのです。
日本というこの国にとってはありがたいことだと思います。
しかし、風ですから、北風の日もあった、南風の日もあった、
という事で、日本の国土もこんなふうに汚れたのですね。
今日はこの汚染を詳しく皆さんに聞いていただく時間はありませんが、
福島第一原子力発電所の北西の方に赤と緑の帯がずーっと延びているのを分かって頂けると思います。
ここが猛烈な汚染地帯です。
民主党が政権をとっていた時代に、
一番初めは
福島第一原子力発電所から3kmの範囲の人たちに、万一のことを考えて避難しろという指示を出しました。
しばらくしたら10kmの人達に対して万が一のことを考えて避難しろと支持を出しました。
その次にまた、半径20kmの人に対して、万が一のことを考えて避難しろという指示を出しました。
そしてバスを差し向けて、住民を避難所に連れていった。
それっきりもう住民は帰れなくなってしまったわけです。
しかし、猛烈な汚染を受けたのは、20kmでもとどまらない、30kmでもとどまらない
なんと、40km、50kmという離れたところまでが猛烈な汚染を受けてしまいました。
この40km、50km離れたところには、福島県の飯舘村という村があります。
原子力発電所からは何の恩恵も受けないで、「自分たちの村は自分たちでつくる」と言って
長い年月苦闘を続けて日本一美しい山村と自他ともに認める程の村を作り上げました。
しかしその村が何の警告も受けないまま猛烈な汚染地帯に巻き込まれて、
住民たちはその汚染地帯の中で被ばくをしてしまって、
数カ月経ってから「お前のところが汚れている」と教えられて、今は全損離村です。
こんなことが起きていい事なんでしょうか?
この赤、黄、緑のところは面積にすると約1000キロ平方メートルあります。
琵琶湖が1.5個入ってしまうという、それほどの広大な土地がすでに無くなってしまったのです。
かつての戦争で日本は負けました。
負けたけれども「国破れて山河あり」だった。
国家なんていうものが負けたって、大地があれば人々は生きられる。
この範囲はもう人々が生きることすらが出来ないという事にされてしまったのです。
戦争が起きたって、こんなひどいことは起きないという事が、今もうすでに発生してしまっています。

そして福島県を中心にして青く塗ったところが
東北地方、関東地方にずっと広がっているのが分かって頂けると思います。
そしてその青の周りにくすんだ緑があります。
福島県で言えば会津の方がそうですし、群馬県の西部、宮城県の南部も北部も
岩手県の一部もあります。
茨城県の南部、千葉県の北部、東京の一部にもありますけれども、
こういう色のところは現在の法律に照らしあわせるのならば、
「放射線の管理区域」にしなければなりません。
普通のみなさんは入れないんです。
私のようなごく特殊な人間だけが立ち入ってもいいと許されるのが放射線管理区域です。
が、その場所に私は立ち入った途端に水すらが飲めなくなる。
というのが放射線管理区域です。
それがこんな広さですでに生じてしまった。ということになりました。
こういう状態を見て、日本の国は一体何をしたでしょうか?
これまで日本は法治国家だと自分のことを呼んできました。
国民がなにか悪いことをすれば、国家がちゃんと処罰すると
「しょっ引いていって処罰するから、日本の国の中には悪いやつはいないから安心しろ」と言ってきました。
それなら、法律をつくった国家が法律を守るのは最低限の義務だと私は思います。
そして国家が被ばくとか放射能について決めた法律だってたくさんあります。
例えば一般の人々。
今日この会場にいらっしゃるほとんどの方々は
1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくはしてはいけないし、させてもいけないという法律があったのです。
そして今、放射線管理区域のことを聞いていただきましたけれども、
放射線管理区域からなにか物を持ちだす時には、
1平方メートル当たり4万ベクレルを超えているような汚染物は、
どんな物でも持ち出してはいけないという法律で決まってたのです。
しかしさっき見ていただいた地図で、
青いところは1平方メートル当たり6万ベクレルを超えてすでに汚れている。
くすんだ緑のところも3万ベクレルを超えて汚れているんです。
それも放射線管理区域の中で汚れた私の実験道具では無い、
私の実験着でもない、
「大地そのものが全部汚れてしまった」と言っているのです。
それを見て日本の国は何をしたか?
私は先程犯罪者だと呼んだわけですけれども、
その犯罪者の日本の国は自分が決めた法律を一切反故にしてしまい、
「1ミリシーベルトなんていう基準はもう守れない、20ミリシーベルトの被ばくまでは我慢しろ」という。
「放射線管理区域の基準は超えているけれども、そこにみんな住め」ということにしてしまいました。
今逃げている人に対しても、「帰還しろ」というようなことを言っているわけです。
あるいは「勝手に逃げるなら国はなんにも知らない」というような事を言っています。
犯罪なんじゃないですか?これは。
ここまできてなぜ罪を裁けないかと、わたしは思いますし、
絶対にこの事故を起こした責任のある人たちを処罰していかなければならないと思います。
先ほどもおっしゃっていたけれども、東京には原発はないんですね。
これは東京電力のパンフレットから取ってきた図ですけれども、
東京電力は東京湾に沢山の火力発電所をつくりました。

当り前ですね。東京湾周辺で沢山の電力を使う訳ですから、電気をそこでつくるのが一番効率がいい。
送電のロスもなにもいらないわけですから、東京湾につくったわけです。
そしてみなさんも東京電力の電気を使っていた方々だと思いますが、
東京電力は、では原子力発電所をどこに作ったかと言えば、
福島第一第二、そして柏崎刈羽という、
これは、東京電力とは何の関係もない地域なんです。
この関東地方のこの部分が東京電力が給電の責任を負っている範囲ですけれども、
それとは全然関係のないところに原子力発電所を建てたんですね。
「万が一でも事故が起きたら大変だ」という事でこんなところに建てた。
そして事故が起きてしまえば、
こういうところの人達が苦難のどん底に突き落とされるという事になってしまっているわけです。
そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています。
日本ではこれまで58基の原子力発電所がつくられてきました。
その全ては自民党政権が「安全性を確認した」と言って建てたのです。
福島第一原子力発電所もそうです。
安全性を確認して建てたのです。
その原子力発電所が事故を起こしているのに、いま自民党政権、安倍さんですけれども、
「安全性を確認して、いま止まっている原発を再稼働させる」と言っているんですね。
真に正気の沙汰ではないと私は思いますし、
安倍さんはさらには「新しい原発をつくる」そして
「海外に原発を輸出する」というようなことまで言っているわけです。
そしてそれをやるためには、
「福島の原発の事故を忘れさせる」という事が彼らにとって必要になっているのだと思います。
マスコミもそれにどうも乗っているようですし、
福島のニュースはどんどん少なくなってきて、
被災者の方々がどれだけ苦しんでいるのかという事についても、
報道はほとんどなされなくなってきているとおもいます。
そうであれば私たちに必要なことは「福島を忘れない」という事だと思いますし、
私もそうしたいと思いますし、
今日この会場にいらっしゃって下さっている方は
その思いでここに集まって来て下さっていると思いますし、
これからも福島を忘れないという事で、是非ともお願いしたいと思います。
つづくーー
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後半・
「原子力というのは核です。 核兵器そのものなのです。力の論理で平和が築ける筈はないのです」
小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)
続きを読む
会場:長野県松本文化会館 中ホール (キッセイ文化ホール)
平成25(2013)年6月09日(日)
主催:小出裕章講演会実行委員会
制作:長野インターネット放送局[NIBC]
Youtube ↓
http://youtu.be/sVbs43g7vkY?t=22m39s
質疑応答3
大町市に在住のやぎさん
大町地域での測定の結果等についての質問です。

4歳の娘を持つ大町市やぎと申します。
大町という所が自然の放射線量が高いためなのか、
新聞に掲載される空間放射線量が信州で連日No1です。
だけれどもこの値が本当に自然由来だけのものと言い切れるのかどうか?
それから、昨年から大町市で保養プログラムを仲間たちと実施しているんですけれども、
子どもたちを迎える土地としてふさわしいのかどうか?
そのような疑問から、土壌の実際の値を把握しようと、
仲間たちと昨年より40検体ほどの土壌を測定しました。
で、お聞きしたいんですけれども、
結果、不検出のものと、数ベクレルから20ベクレル程度検出されたものが半々ほどだったんです。
その中で、昨年秋に測定した標高700メートルほどの、ある林の土壌から、
セシウム134が不検出、こちら下限値が3.68ベクレルでした。
セシウム137が39.81ベクレルという値が出ました。
測定所の方からは、小出先生にご相談いただいて、
比率から考えてチェルノブイリ由来なのではないかと示していただきました。
で、大町市内でこのような値が出た土地というのは他にはまだありません。
大町は高い山に抱かれた内陸部にあるんですけれども、
なぜ、こういう限られた土地でだけ、古い汚染が検出されるのか、どのような理由が考えられますでしょうか?
小出:
えー、これもきちっと、
私自身もきちっと説明する情報を持っていませんけれども、
いくつか聞いていただこうと思います。

地球というものが放射能で汚れたのは、福島第一原子力発電所が初めてではないのです。
もともと1950年代、60年代を中心として、大気圏内核実験という事が、もう、猛烈に行われて、
ボンボン、ボンボン、原爆・水爆を爆発させる。
そうなればどんどんどんどん死の灰を大気中に振りまくという事をずっとやってきたんです。
で、それだけではありません。
原子力を使うという事で、沢山の原子力発電所をつくる。
そして再処理工場というものをつくる。
再処理工場はさっきちょっと聞いていただきましたけれども、
原子力発電所が1年間で放出する放射能を一日ごとに放出するというような、
猛烈に危険な工場ですけれども、
それだって、原爆をつくるためには再処理工場が必要だという事で、
核保有国はみんなそれをつくって、環境に放射能をまき散らしてきたという、
という事をやってきたのです。
その後でチェルノブイリ原子力発電所の事故がありました。
そして福島第一原子力発電所の事故があるということで、
もう人間がこの手で何度も何度も放射能を地球上にばら撒いているという、
そういう歴史をたどってきたのです。
大気中に放出されたセシウム137の量

黄色:1986年の残存量 赤色:2012年の残存量
これまでどれだけの放射能をまき散らしてきたのかというのを、歴史的にちょっと一覧にしたものです。
1950年代の大気圏核実験で、この一番左の帯ぐらいまき散らした。
そして60年代から70年代にかけて、大気圏内核実験でこんなにばらまいた。
そして80年代のチェルノブイリで原子力発電所の事故一回だけでこれだけ。
そして福島の原発で、これは政府の公表値で、私はこれの2倍や3倍だと思っているわけですけれども、
これだけだということですね。
パッと見て分かって頂けると思いますけど、圧倒的なのは大気圏内核実験です。
福島第一原発でまき散らしたセシウム137の量から、
何度も言いますが、政府公表値です、に比べれば、
大気圏内核実験は60倍とかという程の膨大なものをばらまいて、地球上全部を汚しているのです。
松本だってそうですよ、大町だってそうだし、みんな汚しているんです。
その上にチェルノブイリの事故が加わって、福島の事故が加わっている。
現在残っているのはどのくらいか?と言うと、
大気圏内核実験の放射能は、セシウム137,30年で半分に減ってきたという事で、
福島第一原発の約20倍ぐらいが地球の上に残っている。
チェルノブイリも福島原発の3倍ぐらい残っている。
そういう状態の汚染が残っているのです。
大町で測って下さったというやつは、セシウム134というのは不検出だという事で、
もし福島のものだとすると必ずそれが出てくるはずですので、
私は大町で検出された放射性物質は「福島ではない」と思います。
残りの大気圏内核実験か、チェルノブイリの事故の残渣というのでしょうか、
それがずーっと尾を引いて残っているというふうに考える以外にないと思います。
そして、なぜ大町なのか?ということですけれども、
それも大変難しい問題で、
要するに、福島の汚染についても風がどっちへ吹いたか?と、いう事で、
汚染に巻き込まれた所もあるし、巻き込まれなかったところもある。
山があったから助かったのか、なかったからむしろ風が流れてきたのかという所もあるわけですし、
一つ一つの個別の場所で全然違うんですね。
そしてまたそれに個別の場所であっても、
たとえば
セシウムならセシウムを大変吸着しやすくて、そこにとどめて起きやすい土壌というものもあるのです。
流れていってしまいやすい土壌というものもあるし、
たまたま、その大町で取った土壌というものが
セシウムを強く吸着しやすい土壌であった可能性もあると思いますし、
山に囲まれた大町という所にセシウムが沢山降り積りやすかったという、
そういうこともあるのかもしれません。
でも、日本中でもそう、世界中でもそうですけれども、
1kgあたり数ベクレルというセシウムであれば、どこにでもあります。
40というのは少し高いとは私は思いますけれども、特別不思議な値でもないと思います。
自然というのはそういう、高い、低いというのを、あちこちにばらつきを残しながら存在しているものです。
やぎ:
ありがとうございます。
そうしますと、311由来の汚染よりも、残っているのが40ベクレル、
ま、約40ベクレルと高いんですけれども、
そうなると、チェルノブイリ由来だとすれば、含まれている核種もですね、なんか違うのではないか?
という気がしたりするんですけれども。
小出:
もちろん細かく言うと違うのですけれども、
大気中に噴き出してきた放射性物質のうちで、
常用の放射性物質はセシウム137とストロンチウム90しかありません。
「ありません」と言ったらおかしいのですけれども、
沢山、核分裂生成物というのはおよそ200種類に及ぶ集合体だと、私先程聞いていただいたように、
本当は、チェルノブイリから出てきたその組成と、福島から出てきた組成とでは違うのですけれども、
でも、たとえば重要な放射性物質であるとすればヨウ素という放射性物質もありますけれども、
ヨウ素は寿命が長い要素でも8日経つと半分に減ってしまうものですから、
福島原発の事故で放出されたヨウ素ももうありません。
チェルノブイリ原発で放出されたヨウ素もすでにありません。
ですからそんなものは今から考える意味もないものであって、
やはり考えなければならないのはセシウム137とストロンチウム90だと思います。
そして、放出された時に大気中に出てきた量というのは、
実はストロンチウム90は揮発性が低いので、大気中に出てきている量がセシウムよりは少ないのです。
福島の場合にはセシウム137の1000分の1ぐらいしか出てこなかったので、
重要ではあるけれども、今考えなくても良いと私は思います。
「とにかくセシウム137に注意をして下さい」とみなさんにお願いしていますし、
チェルノブイリの影響も、とにかくセシウム137に注意をするということが、
他の放射能に注意をするよりも重要だとおもいます。
やぎ:
わかりました。
もうこれ以上私たち大人が汚染を重ねないように、
脱原発に向けても腹据えてやっていくという事ですね。
先生ありがとうございました。
小出裕章講演会 松本市 2013/6/09(日) 質疑応答部分の文字起こし
動画はここにあります↓
「国の"放射能を忘れさせる作戦"で被害者同士の間で溝が出来てしまうというふうに仕向けられてしまっている」小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
信州大学理学部物理学科大学院生の質問
「物理を勉強しているが放射能はよくない事、この矛盾をどうすればいい?」
小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
"長野県大町市のセシウム137"小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
会場:長野県松本文化会館 中ホール (キッセイ文化ホール)
平成25(2013)年6月09日(日)
主催:小出裕章講演会実行委員会
制作:長野インターネット放送局[NIBC]
Youtube↓
http://youtu.be/sVbs43g7vkY?t=12m59s
質疑応答2
佐藤なおさん。
JCF日本チェルノブイリ連帯基金で行っている、食品をはじめとする放射能の測定をされている
Teamめとばという、信州大学の大学院生。

私たちTeamめとばは信州大学理学部物理学科を中心に
子どもたちの内部被ばくを守ろうと活動しています。
その内容として、市民の依頼測定に答えたり、
松本市の学校給食のスクリーニング検査を行ったり
子どもたちに放射能への関心を高めていただこうと思って、出前講座などを行っています。
質問なんですが、
やっぱり測定室をやっていますと、事故から2年経ちまして、
どうしても市民の方の事故への関心が薄れていっています。
これは依頼測定の検体数から見ても明らかで、どんどん数が減っていっています。
そんななかで、市民の方が放射能に関して正しい知識を持ち続けて関心を持ち続けていくためには、
個人としても私たち市民のチームや一人一人としてはどのような活動ができるのか。
もちろん先生の講演もそういった活動でとても効果があると思うんですが、
私たち一人一人はどういう事が出来るのかという事を少しお話しいただけたらと思います。

小出:
私は今日この場に呼んでいただいたように、原子力の場で生きてきた人間ですから、
みなさんとはちょっと特殊な立場にいるので、
私が出来ることをみなさんの一人お一人が出来ることは違うと思いますし、
私は京都大学原子炉実験所という所に沢山の放射線測定器があるし、
それを自由に使って放射能を測定できるという立場にいますので、
私自身はそういう活動を続けてきたわけですし、
Teamめとばの方々も放射線測定器を使って測定して下さっている。
本当にありがたいと思います。
でも私と同じようにみなさんがやるというのはもちろんできない訳ですし、
それぞれのみなさんが自分のできるという事を、一つ一つ考えてやっていただくしかないと思います。
もう、本当にやってきて下さっているという事、
何度でもお礼を言いたいくらい貴重な事だと思いますし、これからも伝えていただきたいと思います。
で、先ほどから聞いていただいているように、
「日本の国は汚染の事を忘れさせようとしている」そういう作戦に出てきている訳ですから、
少しでもそれを忘れさせないというためには、やはり測定を続けるしかないと思いますし、
それをやれる人はやはり限られているので、
Teamめとばの人達はそれなりに
これを継続的に汚染の検査をしてみなさんに知らせていくというような活動は
絶対に必要だと思いますので、やって頂きたいと思います。
佐藤:
ありがとうございます。
ちょっと技術的な質問になってしまうと思うんですが、
測定室をやっていて、給食の食材の選定をやっていると、
いま、どのような食材が危ないのか?というのは僕らも気になりますし、
市民の方もやっぱり気になると思うんですが、
稲だって、先程の放射能セシウム移行の話などもありますが、
2年経って移行プロセスがどのようになっているのか?という話と、
いま気を付けるべき食材だったり、場所だったりというような、
そういう話をお聞かせ願いたいと思います。

小出:
えー、一概に言うのはとっても難しいと思います。
もちろん汚染そのものが福島の現地からずっと継続的に、高いところもあるし、低いところもあるので、
それぞれの場所で採れるものが高いものもあるし低いものもあるし、
それぞれの地域であっても、水田層の一つ一つでまた汚染具合が違っていたりするのです。
ですから、簡単には言えないし、
出来てくる物でもその土地がどういう土壌で出来ているか?という事で、
作物が吸収するセシウムの量がまた変わってきてしまったりするのです。
ですから、「あそこが必ず危険だ」とか、「ここは大丈夫だ」という事を言うことも難しい。
ひとつひとつを丹念に調べ続けるしかないんだろうと私は思いますが、
例えば一般的に言うなら、
こういうことを言うと迷惑を及ぼす方もいるかもしれないので、不安ですけれども、
たとえばきのこなんていうものは猛烈に放射能備蓄します。
ですからそれは、福島の汚染地帯でなくて、
私は関西に住んでいるけれども、関西のキノコだって、セシウムを測れば明確に測れる。
そういうようなものですので、
あとは野生動物の肉とかですね、山菜であるとか、
そういうものに汚染が高いという事は本当ですし、皆さん注意していただきたいし、
測定するにあたってもそういうものに注意を傾けるというのはそれなりに必要だと思います。
でもそれも一概にはなかなか言えないので、
やはり測り続けるしかないと思います。
すみません、きちっとお答えできないで申し訳ないけれども、そうだとおもいます。
佐藤:
すみません、最後なんですけれども、
これは本当に学生としての個人的な質問になってしまうんですが、
やっぱり原子力発電所は科学技術の英知として登場して、開発されて、
世の中にデビューしたと思っているのですが、
今後もそういった科学技術の進化によって生まれてくる恩恵を受けられるような技術には、
それに付随するような悪影響もあると思うんですが、
これから多分、自分たち理系の学生も科学技術の進歩・貢献というか、
にどうしても付き合っていくと思うんですが、
そういった時に、こういう…原子力発電所のような、不利益をこうむらないためには、
どのような目線で科学技術と付き合っていけばいいのか?
すごいざっくりとした質問になってしまうんですが、
やっぱりどうしても、
勉強していることは物理を勉強しているんですが、
活動としては「放射能はよくない」ことだというような、
なんていうんですか、自分の中でどうしても矛盾するような所が出てきてしまって、
この先どのように付き合っていけばいいのかというような事を。
先生としてはどのように自分の中で折り合いをつけられたのかというような事を、
ちょっと。

小出:
えー、とっても難しいご質問です。
科学に携わろうとして今でも携わっている訳だし、私もそうです。
科学というのは、どうしてそんな事が始まったかと言えば、
「分からないものを知りたいという欲求から始まった」んだと思います。
で・・・、やるんですね。
やってみると、自分が分からなくて知りたいと思った事を知ることができる時があるんですが、
それを知ってしまうと、余計分からないものが多く目の前に現れてくる。
それが科学なんですね。
だから、やってみればやってみるだけますます分からないものが増えていくという、
もともとそういうものなのです。
でも、分からないものを知りたいと思う欲求自身は抑えることはできないと私は思いますし、
(佐藤さんも)たぶんそうだろう、でしょ?
わたしもそうです。
ですから科学をやるという事は多分これからもずっと続いていくと思うんですが、
ただ科学というものをやると、今ちょっとおっしゃって下さったように
本当に困るようなことも沢山そこから、また発生してしまう。
たとえば戦争なんていうときは、
昔の戦はナイフを持ってお互いを刺殺し合うという、そういう戦だった訳ですね。
それは猛烈な心の痛みを伴うわけですよね。
でも、今の戦争なんて違いますよね。
飛行機で行って爆弾バラバラバラと落としてくる。
原爆を落としてだーっと殺してしまう。
いまもっと言ってしまえば、
今米国のどこかでテレビ見ながら、無人戦闘機が飛んで行って、
地球の裏側で人を殺すという事が出来る。
みんなそれは科学が、それを支えてきているわけで、
科学が見つけたものをどうやって実際の現場で使うのかという事を、
しっかりと科学者自身がみながら、
「自分がしなければいけない抵抗はその時にちゃんとやる」という事だと思います。
それはとっても難しい事なんですけれども、
でも科学に携わるという人間であれば、
せめてそれをやることぐらいは責任だと私ま思います。
小出裕章講演会 松本市 2013/6/09(日) 質疑応答部分の文字起こし
動画はここにあります↓
「国の"放射能を忘れさせる作戦"で被害者同士の間で溝が出来てしまうというふうに仕向けられてしまっている」小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
信州大学理学部物理学科大学院生の質問
「物理を勉強しているが放射能はよくない事、この矛盾をどうすればいい?」
小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
"長野県大町市のセシウム137"小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)
会場:長野県松本文化会館 中ホール (キッセイ文化ホール)
平成25(2013)年6月09日(日)
主催:小出裕章講演会実行委員会
制作:長野インターネット放送局[NIBC]
質疑応答
もりながあつこさん。
福島県からの避難者。
「手をつなぐ3・11信州」で、みなさんと共に苦難を共にして活動されている方。

私は長野県の方に避難をして来ております、福島県からの避難者です。
ここにも沢山福島県、そして関東広域から避難してきている家族が沢山来てくれています。
当初私たちがどうしていいか分からなかったときに、
小出先生はじめとする「本当に放射能は危険なんだ」と、
最初にモノ申してくれる人たちが少なかった中で、
先生が一生懸命言って下さった事が本当に私たちの救いでした。
私たちは、支援等が限られてくる中で、特に復興支援という言葉も使われて、
そこにいる人たちの安全性というものは後回しにされているという事が現実の中にあります。
そんな中、今日の先生の講演内容を周りの人々に伝えていただけたら嬉しいなと思います。
質問です。
放射能による健康被害というのが、子どもの甲状腺がん以外に関しては公的にというか
世界的な合意が取られていないというふうに言われてしまって、
でも実際にはかなりの子どもたちに健康被害が出ていると。
体調不良もそうです。
私もそうです。
先生は医療の専門家ではないので医療的にどうのという事ではないんですが、
放射性物質というものは放射線が出るというそれだけの怖さではなくて、
物質そのものが持っている特有の毒性みたいなもの。
金属が持っている毒性みたいなもの。
それプラス放射線とそれ以外の化学物質とが相乗効果を起こして、
体内に入った時につまり内部被曝が起きた時には、単に外部被ばくだけの恐ろしさではなくて、
内部被曝になった時の怖さというのはもっと大きいんじゃないかと私はおもうんですけれども、
そういった事ってどうやって検証していけば、もしくはどうやってみなさんに伝えていけばいいのか。
そのあたりの事に付いてちょっとお聞かせいただけないでしょうか?

小出裕章氏:
いくつかお答えしなければいけないと思いますが、
放射線に被ばくをするとさまざまな被害が出ます。
たとえば原爆被害者の方達は、すぐに死んでしまう人だっていました。
髪の毛が抜け落ちてしまうという人だっていました。
火傷をしてしまうという人だっていました。
吐き気が出る、下痢になる、という人たちも沢山いました。
そういう被ばくをしてすぐに被害が出るという被害の出方を
私たちは「急性障害」と呼んでいます。
ただ、急性障害が収まったから、だからもう、その障害が出なかった人たちは何でもないのか?
という事が実は問題でして、
広島・長崎に落とされた原爆の人達、すぐに死んでしまった人たちは誠にお気の毒でしたけれども、
残ってヒバクシャのレッテルをはられた人達は、今度は実験材料、モルモットにされたのです。
ABCCという米軍の研究施設が広島と長崎に出来て、被爆者の人達を囲い込んで
「自分の研究所に来い」と命令をしたんですね。
それで毎年毎年被ばく者の人達はABCCに検診に行くと。
「あ、こいつはどういう病気になって行く」という事を、検査して登録していく訳ですね。
でもABCCは一切の治療はしない。
検査だけして帰すんです。
それでまた翌年「来い」と言って呼びつける。
そしてその病気がどう進行しているか、あるいは治ったか、
あるいはもう来なくなった、死んじゃったのかという事をずっと調べ続けた。
それで初めの頃に分かった事は、
被ばくをした人の中に「白血病が増えている」という事が分かりました。
それでまたしばらく調査を続けていくと、「がんも増えている」という事が分かりました。
そしてその後もずっと調査を続けていくのですが、その結果分かってきたことは、
被ばく量がどんどんどんどん少ないと思っていた集団でも、
「やっぱり白血病もがんも増えてきている」という事が分かってきたのです。
それが、今日私が聞いていただいたような、現代の学問が長年続けてきた研究結果として、
「どんなに微量な被ばくでも被ばくというのは必ずリスクがある」という結論に結び付いてきているのです。
ただし、今私は白血病だとか癌と言ったわけですけれども、
実は被爆者の研究をずーっと続けてきて、近年になって、
「いや、それだけでは止まらなかった」
「心臓病でもなんでも被ばく者の病気は増えている」
というデータが今になって分かってくるようになりました。
私は当然のことだと思います。
今日聞いていただいたように、放射線のもっているエネルギーというのは
生命が持っている分子結合のエネルギーから比べれば、もう何十万倍も高いという、そういうものですので、
「どんな影響でも出るだろう」と私は思います。
癌以外のことだって多分沢山出る。
ただそれは、ヒバクシャにやったように、
何万人もの人たちを囲い込んで、治療をしないで、何万人もの別の人達と比べていくという、
そういう検査をしないと検出出来ないと、そういう違いの出方です。
私は福島の人達にも、これから沢山の被害が出るだろうと思いますけれども、
その被害をきちっと立証するためには、
きちっとした検査を続ける以外にないと思います。
ただし日本の国はそれをやらないだろう。というのが私の心配です。
やれば必ず癌だけではない、いろいろな被害が出てくるだろうと思います。
そして今、もりながさんがおっしゃって下さったように、
被ばくの危険というのは大変複雑な要因がからんでいます。
たとえば被ばくをすると癌になるという事は分かっています。
肺がんにもなるということも分かっている。
ただし肺がんの事で言うなら、
たばこを吸う人は吸わない人に比べてはるかに高率で癌になっていくという事が分かっている。
たばこを吸う事で肺がんになるという効果もある。
放射線で肺がんになる効果もあるという事で、
両方が重なると、相乗効果で肺がんが増えていくという、そういうデータもあります。
ですから、福島の事故で様々な化学物質が放出されたと私は思いますし、
この化学物質のより暴露される事による被害と、放射線の被ばくによる被害というものが、
相乗効果のようにして表れるという事は、多分あると私は思います。
ただしそれを立証しようと思うと、
大変な調査を長い年月にわたってやらなければならないし、
「立証できた時にはもう手遅れだ」という事になるのだと思います。
でも、「手遅れ」だとしても、きちっとしたデータを取ることは私は必要だと思いますので、
「やった方がいい」とは思うけれども、
「日本の国家がそれをやるというふうには私は思えない」と。
そういう状況です。
もりなが:
という事は私たちはとにかく、これ以上リスクを負わない努力をひたすらするしかないという事ですよね。
私たち実は避難してきて、一番最初に自分たちの出来る事って言ったら、
やっぱり食品を選ぶ事しかないんですね。
先ほど給食の事を言っていただいたんですけど、
給食だけじゃなくて、「じゃあ給食だけ守れててたら守れるか」というと、
私たちは外食する時、外で誰かと一緒に食事をする時も実はとても大変で、
避難をしている人同士だったらお互い分かりあえるんですが、
そうじゃない人たちと一緒に食事をする時に、それを一回一回、
「実は私たちはこれは食べられない、あれは食べられない、これは危険なので避けています」ということを、
説明するのが本当に大変で、
そういう事を含めると、食品を構成しているありとあらゆる原材料から、
それをつくる肥料から、土から、本当に全部考えなければいけない。
そういったことも含めて安全を確保しないと、本当は子どもを守れないという、
多分そういう事じゃないかと思うんですけれども、
その辺はどうでしょうか?

小出:
もちろんおっしゃった通りなんです。
今日本の国は何をやろうとしているかというと、
食べ物に関しては1kgあたり100ベクレルという基準をしいて、
「それを超えたものは市場に出回らせないから安心しなさい」と。
「それを下回っているものは、もともと安全なんだから安心しなさい」
「放射能の事なんか何にも気にするな」という作戦に打って出てきているわけです。
何を彼らが狙っているかというと、
「放射能という事を忘れさせよう」という作戦に出てきているわけですね。
ですからおっしゃったように、こうして
「本当にどうやって子どもを守ろうか」と思っている人たちと、
そうではない人たちの間に今度は溝が出来てしまう。
どっちだって被害者のはずなのに、被害者の間で溝が出来てしまうというふうに、
いま国によって仕向けられてしまっているのです。
私はそんなふうな形は正しくないと思うし、
1kgあたり100ベクレルよりももっと下の汚染だって危険なんです。
1kgあたり99ベクレルは危険です。
1kgあたり90だって50ベクレルだって危険なんです。
日本のお米は福島第一原発の事故が起きるまでは
1kgあたり0.1ベクレルしか汚れていなかった。
100ベクレルを許すなんて言う事は1000倍もの汚染を許すという事になってしまうことであって、
そんな事は到底許せない事なんです、私から見て。
何を本当はすべきか?と言えば、
全ての食べ物について、きちっと汚染を調べて、
これは1kgあたり100、これは90、これは50、これは10、これは1、これは0.1というふうに、
全ての食べ物をきちっと測定してみなさんに知らせる。
知らせた後でそれをどう引き受けるかは一人一人の判断だと、私はそう思います。
わたしは、「大人は被ばくしても良い」とさっきも言ったわけですし、
汚染したものを食べても良いと思いますけれども、
ちゃんと知った上でそれをすべきだし、
ちゃんと知った上でで子どもを守るという事をやらなければいけない。
そのためには国を動かすしかないんです。
一人一人でそれをやろうとしてもどうしても限界があるし、
また溝を作っていってしまうという事にもなると思います。
残念ながら国を動かすほどに私の力は大きくないけれども、
今日これだけの方がいらして下さっているわけだし、
そういう力を集めて、
「国にとにかくちゃんとやらせる」という事をこれからやるべきだと思います。
もりなが:
ありがとうございます。
先生のような考え方で全てのお医者さんや学者さんや行政や技術者や、
ありとあらゆる人たちが自分の場所で同じ事を考えて行動してくれたらいいなと本当に思いました。
ありがとうございました。
続きを読む
皆さんこんにちは。
私はこの敦賀に、「もう何十回来たかな」と思いながら皆さんのところに来ました。
でも、若い人から、歳を取られた方まで、沢山の方が集まって、今日この場所を作って下さった。
非常に特殊な、
私から見ても非常に特殊な、今日の場だと思います。
この集会の準備をするまでにどれだけの努力をみなさんが積み重ねてこられたかと思うと、
大変ありがたく思いますし、
会場が満員になるほどのみなさんがこの場に集まって下さった事を大変うれしく思います。
ありがとうございました。
ー拍手ー
敦賀という町は、もちろん原子力とともに生きてきた町です。
原子力を失った敦賀という町を想像することはなかなか難しいことでもありますし、
原子力発電所を立地されてしまったどこの地域も、多分苦悩しているのだろうと思います。
しかし、私自身はその苦悩を超えて、やはり原子力からは足を洗うべきだと思っています。
その事を今日は聞いていただこうと思います。
早速話を始めます。

これはみなさん分かって頂けると思いますが、地球です。
月からみた地球の写真です。
宇宙という暗黒の広がりがあって、その暗黒に広がりの中に青く輝く星といわれて、
私たちが、今、生きている星があります。
宇宙というのは広大無限で、いったいどこまで繋がっているか、
それすらがよく分かりません。
いま私はプッとボタンを押すと光がつくという道具を持っていますが、
この世界で一番スピードの速いものはこの光だと言われています。
1秒の間に地球を7回半も回ってしまうという速いものだそうですが、
その光が一日経っても宇宙の果てには行かれない。
一年経っても、ひかりは宇宙の果てには届かない。
それどころではない、10年でも100年でも1000年光が走っても宇宙の果てには届かない。
それどころではない。
万年走ってもダメだ。
実は1億年走っても、まだ宇宙の果てには光は届く事が出来ない。
なんと、100億年走っても、実は宇宙の果てには行かれないという、
それほど広大無変なものが宇宙です。
その宇宙の中で、私たちも含めて、いのちというものが根付けている星。
それが地球です。
私たち人間は、どこか他の星に命が根付けていないか?ということを、
長い間探し求めてきましたけれども、未だに命の痕跡を見つけることが出来ない。
この地球という星だけが、広大無変な宇宙の中で命というものが根付ける
大変稀有な星だということがわかっています。
この星は46億年前にできたのだそうです。
初めは火の玉でしたから、いのちはもちろん根付けませんでした。
その火の玉がだんだん冷えてきて、
水というものが出来て海が出来て、大気が出来て、宇宙に飛び交っている放射線が遮られるようになって、
ようやくこの星に命が根付けた。
初めの命は多分大変原始的な命だったと思います。
その命が絶滅して、また次の命があらわれて、
そしてそれが絶滅して、また次の命が現れるということで長い歴史をたどってきました。
その長い命の進化の中で、人類という私たちもこの星に生まれました。
初めはサルかゴリラのようだった生き物が、ある時に直立して歩けるようになりました。
背骨の上に頭を支えるという事が出来るようになって、
重たい頭でも大丈夫だということになった。
そして手が自由に使えるようになったということが、
人間という私たちを特徴づけて、こんな生き物ができました。
こんな生き物が出来たのは、たぶん400万年ぐらい前の事だろうと今は推測されています。

その生き物が長い間自然に溶け込むように生きてきたわけですが、
ある時から道具を使って、他の動物たちを獲って食う事を覚えました。
「狩り」という行為ですね。
約10万年前だそうです
それからまた、長い歴史を経て、次には農耕を覚える。
自分で作物を作って、それで生活を支えるという事を覚えるようになりました。
そうなると集落を作って特定の場所に居着く事が出来るということになった。
これが約1万年前のことだそうです。
そしてまた長い歴史を経て、今日の私たちのように、
大変な贅沢をしながら、沢山のエネルギーを使いながら生活するという人類になりました。
その人類がそれぞれの時代に
どのようなエネルギーを使ってきたのかという事を1枚の図にしたのがこの図です。
0:06:52
産業革命以来エネルギーを使うようになった。
刹那的歴史の時間の長さ
46億年を4600mに置き換えてみると、人類はどこで誕生したのか?
地球誕生 4600m
産業革命は0.2mm
17分ごろ~
種の絶滅
産業革命以降沢山の生物が絶滅に追い込まれていっている。
たった一つの命の人間がエネルギーを沢山使うことによって
他の生き物をどんどん絶滅させていっているというのが現代になっています。
もしこんなことを続けていくのだとすれば、
地球の生態系を支えているバランスというものが必ず崩れると私は思いますし、
その挙句には人類が絶滅するのだろうと思います。
人類は自分の事を霊長類という種類に分類して、人間は万物の霊長だというような事を言っていますが、
他の命を巻き込みながら、自分で自分の首を絞めるというような事をやろうとしている生き物です。
誠に愚かな生き物なんだろうなと私は思うようになりました。
そんな事をしながら人間は、今度は原子力という物にも手をつけてしまいました。
初めは、蒸気機関を動かすために木を切って、水を沸騰させました。
しばらくして石炭という物を見つけた。
しばらくして今度は石油を見つけるというような事をやってきたわけですが、
とにかく何でもいいからエネルギーが欲しいと。
エネルギーさえあれば豊かに生きられるというように思いこんで、
原子力という物にも手を染めてしまうことになりました。
かくいう私もその一人です。
人間が豊かに生きるためにはエネルギーがどうしても必要だと、
化石燃料は枯渇してしまうから原子力だと。
私自身が思いこみました。
19:22
日本で原子力が始まった頃にどんな風に考えられていたかという新聞の報道。
※豊島公会堂ではここで笑いがあったけど、敦賀ではシーンとして聞いています。
22:46
原子力の発電の原理
原子力発電も火力発電も湯沸かし装置
お湯を沸かして沸騰させるだけ。蒸気機関と同じ。
24:30
原子力発電は都会には建てられません。
それはウランを燃やすからです。
ウランを燃やす核分裂させてしまえば核分裂生成物が出来てしまうからです。
とんでもない量です。どれ位の量か?
広島を壊滅させたウランの1000倍の量が必要いなる。
これだけのウランを燃やすと別の問題が出てくる
原子力発電所を1基動かしてしまえば
1000倍を超えた死の灰を原子炉の中に生み出してしまうということになります。
27:40
福島原発事故、今、進行中
4号機の中には広島原爆の5000発分が残っています。
一度燃やしてしまうと核分裂生成物は炉心に蓄積していく。
発熱しているためいついかなる時でも冷やしておかないと溶けてしまうという性質を持っています。
37:31
日本の汚染
ーー
49:44
10万人を超えるような人たちが、自分の住みなれた故郷を奪われて、
今現在流浪化しているというそういう状態になってしまっています。
でも本当の事を言えばそれだけではないのです。
こんなに広大な地域の人達を追いだして、流浪化させなければいけないという、
そういう汚染がすでに生じてしまいました。
これだけの事を起こしながら原子力を推進する人たちの中には
「そんな事言ったって被ばくをして死んだ人はまだいないぞ」というような人がいるようです。
私は大変驚きました。
死んだ人は沢山います。

これも新聞記事の一つですけれども、
これは福島県の原発が立地していた大熊町という町の事を書いています。
その町に双葉病院という大きな病院がありました。
約400人の人が入院生活を送っていた。
原子力発電所から約4kmのところにその病院があったのですが、
原子力発電所が次々と爆発していく。
放射能が噴出してきて、病院で放射線を測ってみると、どんどん上がっていくという状態になった。
警察官すらが「もう逃げるしかない」と言いだした。
病院の関係者は苦悩しました。
自分が毎日面倒を見てきた患者がそこにいるのです。
病気で動けないというような人たちが沢山いる。
「逃げろ」って、どうやって逃げるか?
苦悩の挙句、何とか逃げようとしました。
ベットごと下におろして車に乗せて避難所に連れていく。
でも避難所が満員なんで、また次の避難所へ運ぶというようなこともやりました。
そんな中で何人もの患者が死んでいくということになったわけですが、
連れ出すことすらできない患者は90人も置き去りにされて、
そこで次々と死んでいくということになりました。
これはひとつの病院です。
沢山の病院でこういうことが起きている。
そして津波でやられた町には、沢山の人が取り残されて、
逃げたくても逃げられない状態だった。
でも、避難しなければいけない。
誰も助けにも行かれない。
という中で、次々と沢山の人達が死んでいったということになったのです。
それだけではありません。
たとえばこんな人もいました。

これは、酪農家ですけれども、自分が飼っている牛小屋のベニヤ板に
「原発さえなければ」と、チョークで書いて、この場所で首をつって死にました。
農民は、自分が育てたキャベツ畑で、
放射能に汚染されてしまったキャベツを見ながら、
その場所で首をつった農民もいます。
長い間その土地に生きてきた人たちが、生活を丸ごと奪われる。
そして死んでいかなければいけないというようなことが、
沢山実は起きてきたし、今でも続いているのです。
死んだのは人間だけではありません。

これは牛です。
20kmの範囲の人達は政府の指示によって、
「万一の事を考えて、とにかく手荷物を持って避難しろ」といって迎えのバスに乗って逃げました。
しかし、家畜はみんな置いてきたんです。
この酪農家は「とにかく避難はしたけれども、自分の家畜を置いてきてしまった」と、
そしてこの酪農家にとっては、自分の牛たちは「家族」です。
1頭1頭牛には名前が付いている。
朝起きてその牛の名前を呼びながら、体をさすって、えさを与えて、
一緒に生きてきた牛たちを取り残してきてしまったと。
そして、この酪農家は放射能の防護服を着て、吸い込まないようなマスクをして、
牛にえさをやりに戻ってきました。
でも、全ての酪農家がこういう酪農家ではなかったのです。
沢山の牛が囲われたまま逃げることもできずに次々と倒れていきました。
(倒れた牛の写真)
倒れていったのは牛だけではありません。
馬だって、繋がれたまま、囲われたまま、そこで命を奪われるということが続いていきました。
「囲ったまま殺すわけにはいかない」ということで、ある酪農家、畜産家は牛たちを解き放ちました。

解き放たれた牛たちは、無人になった汚染地帯で今でも生き延びています。
何百頭もの牛たちが、汚染地帯でさまよっているという状態が今続いています。
その牛たちを日本の政府は「全部殺戮する」という指示を出しています。
汚染地帯に住んでいる牛たちは、全て汚染されてしまっている。
そんな牛が外に出てきてしまったら困る。
ということで、こんな牛を「全部殺せ」と政府は言っています。
それに抵抗して、牛たちを何とか守ろうとして、
今牛たちを集めている酪農家、畜産家もいますけれども、
でも、多くの牛たちは、先ずは囲われたまま、
そして解き放たれた牛たちも日本政府の手で殺戮され、
あるいは食べ物を得る事が出来ないで死んでいくという状態になっています。
家畜だけでもありません。
犬も、猫も、いわゆるペット達が、飼い主から見捨てられて
今彷徨っているという状態です。

これはやはり原子力発電所が立地していた福島県の双葉町という町の写真です。
その双葉町にはこんな巨大な看板があります。
なんて書いてあるかというとこうです。
「原子力正しい理解で豊かなくらし」
「原子力発電所が危ない」と言って歩くような奴がいると、私のような人間ですね。
「そんなような奴の言うことは聞くな」と。
日本の国が「原子力発電所は絶対安全だ」と言っている。
東京電力だって「原子力発電所は安全だ」って言っている。
「それを正しく理解してしまえば、後は山ほどお金が来るから豊かな暮らしが出来る」
というのがこの標語の意味です。
失礼ながら敦賀の町にもこういう看板が立っているのではないかと、
私はつい錯覚をしてしまうぐらいですけれども、
原子力発電所の立地を認めた地域というのは、
みんなこうやって、原子力のお金にすがって
「まぁ、事故は起きないだろう」と思いながら今日まで来てしまったのだと思います。
56:59
日本は「法治国家」か?
この事故を前にして、では日本の政府は何をしたのか?という事を聞いていただこうと思います。
日本は法治国家だと言われています。
何か国民が悪い事をすれば、国家がそれを捕まえて処罰すると、
だから日本の国には悪いやつはいないからみんな安心して生活し路というふうに日本の国は言ってきました。
「それなら」、と私は思います。
法律を守るのは国家の最低限の義務だと。
そして、放射能、被曝ということに関して、日本の国家が決めた法律は沢山ありました。
たとえば、「一般の人は1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくをしてはいけないしさせてもいけない」
という法律がありました。。
そして今聞いていただいたように、
「放射線の管理区域から物を持ち出す場合には、
1㎡当たり4万ベクレルを超えて汚れているようなものは、どんな物でも持ち出してはいけない」
という法律があったのです。
しかし残念ながら過去形です。
「もうこんなものは守れない」と、
さっき見ていただいたような猛烈な汚染が生じてしまっていてダメだということに気がついて、
この事故を引き起こした最大の責任がある日本国政府。
というよりはむしろ犯罪者である日本国政府は何をしたかというと、
自分が決めた法律を一切反故にしてしまった。
人々を汚染地帯に捨てる。
「1ミリシーベルト以上の被爆をしたってもう諦めろ」と。
「逃げたい奴は勝手に逃げろ」というようなことにしてしまったのです。
0:58:48
チャップリン殺人狂時代
1:00:44
この事故の本当の被害の大きさというものを考えてみたいと思います。
先ずは土地が失われます。
私はここに「失われる」と書いたのですが、
「土地が失われる」ってどういうことでしょうか?
無くなる訳はないですよね。
ここだって、敦賀の町はちゃんと土地がある。
これが失われるってどういうことだろうな。
この土地を誰か他の人に売ることはできる。
そして他の人はこの土地を使えるようになるわけですね。
みなさんが持っている土地だってそうです。
それを誰かに売れば買った人はその土地を使うが、皆さんは金を懐に入れるということになわけですが、
放射能で汚れた土地だけは誰が所有しても使えないのです。
無くなってしまうのです。
今現在面積にして約1000平方kmです。
琵琶湖の1.5倍です。
今日この会場に関西の方から来られた方もいらっしゃると思います。
琵琶湖のほとりをずっと列車が走ってきますけれども、
琵琶湖は本当に広大です。
その広大な琵琶湖の1.5倍ほどの土地がすでにもう失われてしまって
人々が戻る事が出来ない土地になっています。
そして本当の事を言えば、約2万平方kmという土地が放射線管理区域にしなければいけない
つまり無人にしなければいけないほどの汚染を受けてしまっている。
でもそんな事は到底できないということで、
日本の国家がその土地に人々を捨てたのです。
そうなればその人々はその土地に生きるしかありませんので、
今も汚染地帯で生活しています。
そうすると被ばくをしてしまうと。
大人も子供も今現在も被ばくを受けながら生活をしているということになっています。
そして生活するためには稼がなければいけません。
農民は野菜を作ります。
酪農家は牛乳や乳製品を作ります。
畜産家は肉を作ります。
そうやって生きるしかないのです。
自分が被ばくしながら生活の糧であるものを作っていく事を今現在やっています。
そういうものが今度は流通機構に乗って全国に流れていくということになります。
当然汚染地帯でつくられた野菜も肉も酪農製品も、
この敦賀という町にもきています。
そういうものをみなさんが目にした時に、どういう行動をとるのでしょうか?
「放射能で汚れているだろうな」という食べ物お店で売っている。
多分普通の方は、「それは買わない」ということにすると思います。
そうなるとどうなるか?といえば、
福島県の一次産業が崩壊するんです。
それにつれて沢山の生活が崩壊していくということになります。
猛烈な被害です。
一体どれだけのお金になるのか実は分かりません。
この事故を起こした最大で直接の責任は東京電力にあると、私は先程聞いていただきました。
日本きっての巨大企業で、経済界に君臨して、
政治に金をばらまいて政治を自由に操って、
マスコミに金をばらまいてマスコミを自由に操って、
地域に金を落としていって、地域住民を丸ごと自由に操るというようことをやりながら
巨大になって来た会社です。
その会社が嘘をついてこの事故を起こしたのです。
私は絶対的に東京電力に責任を取らせるべきだと思います。
ー拍手ー
あ、ありがとうございます。
ただ残念ながら日本の国はそうしないと決めたのですね。
東京電力を倒産させてしまうと、東京電力の株価がゼロになる。
そうなると巨大な株主が困ると
ようするに、銀行ですけれども、困るので、東京電力を倒産させない。
そのために国のお金を東京電力に渡して、東京電力を支えるというような事をやっているのです。
しかし国の金っていったい誰の金ですか?
私たちの金です。
私たちの金であるという以上に、
福島県でいま自分の故郷を奪われて流浪化した人、
汚染地帯に取り残されて被ばくを続けている人、
そういう人たちの金です。
その金で東京電力を支えるなんていうことをやっている。
本当にあり得ない事をやっていると思います。
しかし、今回の事故を本当に補償しようと思うなら、
東京電力なんかなんか言倒産しても購いきれません。
本当の事を言えば日本の国家が倒産しても購いきれない。
そんな被害がすでに出てしまっている。
しかし、政治もそれをきちっと言わない。
マスコミもそれを言わない。
みなさんもそうかもしれないけれど、
何となく福島の事故はもう終わったのではないかと、だんだん、だんだん、思いこまされてしまうという、
そういう状態になってしまっています。
1:06:15
変わってしまった世界の中で
私からみると世界は完璧に変わりました。
私は先程聞いていただいたように京都大学原子炉実験所でずーっと仕事をしてきました。
自分の放射線管理区域の中も出来る限り綺麗にして
私自身が被爆をしないように注意をしてきましたし、
管理区域の中から外へ放射性物質を持ちだしてみなさんを被ばくさせないように、
細心の注意を払いながら40年生きてきました。
しかし、事故が起きてしまって、
さっき見ていただいたように人々が普通に生活する場所が放射線管理区域以上に汚れているんです、すでに。
土地も食べ物も、がれきも、下水の汚泥も、
全てが放射性物質と呼ばなければいけないようなものになってしまいました。
今もまだ汚染地帯で生きている人たちがいます。
被ばくをしたくないから、何とか逃げたいと思っていると思います。
自分はともかく、子どもだけは逃がしたいと思っている人も沢山いると思います。
もしそういう人がいるのであれば、
京都大学原子炉実験所で私が管理している放射線管理区域の中に逃げ込んできてくれればいいんです。
そうすれば被ばくをしないで済むという、
私からすると世界が全くひっくり返ってしまった。
3月11日の前は、管理区域の中が放射能で汚れていて、その汚れを外に出さないようにしていた。
今はもう外の方がはるかに汚れてしまっているという、そういう状態になってしまっている。
でも残念ながら私には時間を元に戻すことはできません。
みなさんもそうだと思います。
この汚れた世界で生きるしかないと。
それなら後は、こんな事態を許した大人としてどうやって生きるか?
ということが私たちに問われている事だと思います。
なんとかこれからどうやって生きていけばいいか、
どういう世界を作っていくかということをしっかりと考えるということが私たちの責任だとおもいます。
1:08:31
それを考える上で、原子力というものはいったいどんなものか?ということを少し考えてみたいと思います。
地下に眠る資源はどれだけある?
1:13:45
原子力を止めても停電しない証拠
1:18
関西電力を助けるら目だけに再稼動しました。
1:19:17:
これからどういう世界を作っていけばいいのか?
太陽のエネルギーを上手に使うことがこれからの未来を切りぬける唯一の策だと私は思います。
ただし、ですが、太陽に全て頼ってしまうことは、それもまた危険です。
1:21:34
危い日本の環境
どんな危険があるのか?
1:28:20
地球家族。
申し分かりませんが家の中のものを全部出して写真を撮らせて下さい解いて写真を撮った
1:30:
人工衛星からみた夜の日本
1:33:15
原子力は廃絶できる
仕事が無くなっちゃう、なんとかしてくれという悲鳴のような声が書いてある。
1・34:55
質問
1・35:09
再生不能エネルギーの認識
再生可能エネルギーを活用することは
太陽以外の風力、水力
太陽エネルギーと一言で言いましたが、小さな水力発電
小さな単位で使っていくという方向に移動するべきだと思う
それぞれの場所地域分散型がいいと思う
一番大切な事は省エネ
そこからシフトしていく
質問
1:37:35
福島の原発の現状
シビアアクシデントの原因地震と津波
セシウム、3号機が少ない、核爆発?
1:38:39
事故の原因
日本政府は津波が悪い
地震が引き金だという主張もたくさんある。
私は多分そうだと思うが現場にいけないので確証することが出来ない。
1:41:47
3号機
核爆発の答。
質問
1:43:08
分かっているけど止められない
核抑止力
手放せない政府の事情
(長くて質問になってない)
敦賀に住む者はどのようにしたらいいのか
何が効果的なのか?
1:46:22
答
いまだに止めることが出来ない大きな理由に核兵器を持ちたい欲求があるのは本当だと思います。
核を求めた日本
NHKが放送し始めるという時代になって来た。
1:49:
どうすればいいのか→スミマセンが分かりません。
今日私がここにいる事がとても嬉しい。敦賀という原子力の事を話せない場に立ち会えた事がとても嬉しい。
質問
1:50:15
家の中の物の量を考えた。
使用済み核燃料をどういうふうに管理していくのか?貯蔵していくのか?
1:51:18
使用済み燃料をどうすればいいのかの完全な回答はない
120万発
日本学術会議
モンゴル計画
地下に埋めてはいけないからお守が出来るような貯蔵施設を作ってそこで重りをするというのが最善と思っている。
どこかのもっていって保存しようとしている。
東電は青森県むつ市につくろうとしている。私はそれが反対。それは東京につくれと私は言っている。
東京電力の本社ビルの地下
1:57:00
故郷を歌って終わり
「原発事故で死んでない論」は許されない8/12こちら特報部(書き出し)
エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会
7/16[名古屋会場]中部電力社員の意見全文書き出し(動画あり)
中部電力社員:
昨年の福島事故でもそうだというふうに考えています。
えーー、放射能の直接的な影響で亡くなった方というのは、え、一人もいらっしゃいません。
それが、今後、5年10年経っても、この状況は変わらないというふうに考えています。
”核”を求めた日本ー被爆国の知られざる真実ー(内容全て書き出しました)
続きを読む
東京・豊島公会堂 2012年12月22日(土)より文字起こし
http://youtu.be/On6RIEY5Nfw?t=1h39m53s
日本で原子力に夢をかけたころ、どんなふうに宣伝されていたか?
1954年7月2日という日の新聞の記事(毎日新聞)を一つご覧にいれます。
こうです。
さて、原子力を潜在電力として考えると、まったくとてつもないものである。
しかも石炭などの資源が今後、地球上から次第に少なくなっていくことを思えば、
この、エネルギーのもつ威力は人類生存に不可欠なものといってよいだろう。
こういう期待だったのです。
去年の福島の事故が起きてから、沢山の記者が私のところに取材に来るようになりました。
中には外国からの人達も沢山来てくれています。
そして外国の人達が私に聞く事は、一つ共通した質問があるんですけれども、それは、
「日本は被爆国なのに何で原子力なんてやるんだ?」
「あれだけ苦しめられているのに、何で原子力なんだ?」って聞くんですね。
でも「そうではないんだ」と私は思います。
「被爆国なのに」ではなくて「被爆国だからこそ」期待したんだ私は思います。
広島・長崎のヒバクシャと呼ばれている人達は、
長い間自分たちの苦しみを背負いながら、核兵器に対して反対ということをやってきてくれました。
しかしそのヒバクシャの人達は、原子力に関しては「平和利用だ」といってむしろ期待をかけたんです。
自分たちが受けたこんなひどい被害を「何とか希望に転嫁したい」と思ったのだと思います。
わたしもそうでした。
被爆国である日本だからこそ、原子力を人類の未来のために使わなければいけないと思ったんです。
しかし、初めに聞いていただいたように、原子力の資源であるウランは貧弱で、
化石燃料が無くなる前に無くなってしまうというものでした。
ですから、期待そのものが間違えていたのです。
さらにこの新聞記事の後半をお見せします。こうです。
(中略)電気料は二千分の1になる
ーザワザワー
なったらいいですけどね、
当時は電気代が「値段がつけられないほど安くなる」と言われていました。
でも、そんな事には全然ならないで、
日本はすでに世界一電気代が高い国になってしまいました。
そしてさらにこの新聞記事はこう続きます
(中略)原子力発電には火力発電のように大工場を必要としない、
大煙突も貯炭場もいらない。
また、毎日石炭を運びこみ、たきがらを捨てるための鉄道もトラックもいらない。
密閉式のガスタービンが利用できれば、ボイラーの水すらいらないのである。
もちろん山間へき地を選ぶこともない。
ビルディングの地下室が発電所ということになる。
「やってくれよ」と思いました。
―笑ー
東京電力の地下に原子力発電所を建てたらいいんです。
ー拍手ー
国会議事堂に原子力発電所を建てたらいい。
でも出来なかったんです、そんな事は。
みんな過疎地に押し付けるという事をやってきた。
本当にバカげたことをやって来たと私は思います。
ーーーー
私は豊島公会堂での講演を書き出している途中で、
原発立地の敦賀市でも小出先生が講演をされているのを知り、そちらの動画も拝見しました。
そこで、一番驚いたというか・・・・
「1954年7月2日の毎日新聞の記事の部分」で
東京豊島区と敦賀市とで客席の反応に大きな違いがありました。
ほとんど同じ内容を話されているのに、
東京では、拍手や笑いなどが起こったのに対し、
敦賀市では、咳一つする人も無く、しーーーーんと、小出先生の話を聞かれていました。
両方の地域での客席の反応が大きく違ったこの瞬間に、
電気を使っている大都市の人々と、原発立地自治体の人々との、なんと言ったらいいのか…
原発に対する向き合い方っていうのか、
原発のあり方についての考え方っていうのか、
直接間近に原発がある事の命への脅威と言うのか、
本質的なところに、大きな違いがあるんだとあらためて感じたのです。
私は電気を使っている東京側に住んでいます。
豊島公会堂の講演を先に聞き書き出し始めていましたので、
電気料金が2000分の1になり、ビルの地下でも原子力で発電できるというくだりでは、
客席と一緒に笑いました。
けれど、敦賀市の講演で同じ場所になった時の客席の静けさに私は「ドキッ」としたのです。
リンクをクリックしていただくと、
東京と敦賀市それぞれ新聞記事を読み始めるところから、動画が始まります。
小出先生が話していらっしゃる言葉は違いますが、
是非この部分だけでも聞き比べていただけたらと思います。
ーーーー
東京豊島区 2012年12月22日
http://youtu.be/On6RIEY5Nfw?t=1h39m53s
敦賀市 2013年1月13日
http://youtu.be/Arb5jlUDL0k?t=19m13s
敦賀市での講演内容一部文字起こし
「・・・・電気料は二千分の1になる・・・・・もちろん山間へき地を選ぶこともない。
ビルディングの地下室が発電所ということになる」という、こんな期待でした。
でも実際には原子力発電所は火力発電所に比べて小さくなる道理はありませんでした。
もちろんみなさん、敦賀原子力発電所に行かれた事があると思いますが、
誠に巨大な工場になりました。
美浜もそうです。
高浜だって、大飯だって、本当に巨大なものになってしまった。
そして都会には決して建てられないで、失礼ながら「過疎地」と呼ばれている所に押し付けられていました。
嶺南(れいなん)地方(福井県南部の若狭湾沿岸の地域)には15基もの原子力発電所が建ち並んで、
そこで発生する電気は90何%かが、関西に送られた筈だと思います。
私は大阪に住んでいますが、
大阪には決して原子力発電所を建てる事ができない。
ビルディングの地下室なんかにはもちろんできないという、そういうものだったのです。
誠に誤った考え方で、原子力というものに私たちが手を染めてしまうということになりました。
22:35
多分私は「国会議事堂の地下にでもつくればいいんだ」と言いながらも、
「つくれる筈はない」という思いが必ず心の底にあるから笑えるのだ
2013年1月19日千葉県柏市「東葛から問う」
放射線対策と原発の明日
対談 (独)日本原子力研究開発機構 小林 泰彦 VS 小出裕章
45分ずつ二人が話す。
二人の対談30分間の後質問時間。
真実に迫るための重要な講演になっています。
皆様のお考えと違う内容かもしれませんがそれでも冷静にお聴きいただくようにお願いします。
01:55~小林泰彦 日本原子力開発機構
50:10~小出裕章 京都大学原子炉実験所
1:36:17~対談
2:02:26~会場からの質問
ーー小出先生、千葉県の汚染についての部分書き出しーー

1:24:00
これがみなさんがお住まいの茨城県と千葉県の汚染地図です。
この青い所が1平方mあたり6万から10万ベクレル汚れている。
緑のくすんだところは3万ベクレルから6万ベクレル汚れているという所です。
分かって頂けると思いますがここが柏で、流山、茨城県の守谷がこの辺ですし、
阿見町なんかもひどい汚染地帯になってしまった

つまりこれは放射線の管理区域なんです。
よろしいですか、
普通のみなさんは立ち入ることすら許さないという、そういう場所だったんです。
ここに、私のような人間が仮に入っても、
「水すら飲んではいけない」というほどの汚染をみんな受けている。
そういう状態になっているのです。
これは常総生協という生協の方が、
今日多分来て下さっていると思いますが、
大変な努力をして、汚染の調査を今日まで続けてきました。
その常総生協がこの近くのところで汚染を調べていって、
いったいどういう所でどのくらいの割合のところが4万ベクレルを、
1㎡当たり4万ベクレルを超えて汚れているかという事を調べました。

2000件ぐらいだったと思いますけれども、それぐらいの土を集めてきて順番に測定していくという、
大変な作業だったと思いますけれども、
そうすると、たとえば柏の南部は約6割はもう管理区域です。
柏の北部は7割超えるところが放射線の管理区域で、
流山市なんていう所はもう8割を超える所が放射線の管理区域にしなければいけない
それほどの汚染を受けているという事が、市民の方の手で、すでに測定されているという、
そういう状態になっています。
1:35:28
今私たちに問われているのは、わたしはこうだとおもいます。
「どこまでの危険を私たちが引き受けるか」ということで、その時には
自分に加えられる危害を容認できるか、
あるいは、罪のない人々に謂われのない危害を加えることを見過ごすかは、
誰かに決めてもらうのではなく、一人ひとりが決めるべきこと。
皆さんがお一人お一人考えて、
「どうしたらいいのか」という事をこれから考え、そして実行してほしいと願います。
おわります。
東日本の放射線管理区域~どのように日本が汚れたのか?~小出裕章氏12/22(内容書き出し)
東京の汚染~東村山と水元公園~小出裕章氏12/22(内容書き出し)
ーー<対談> 小林 泰彦 VS 小出裕章ーー

1:37:50~
柏市 柳沢:
小林さんは遺伝子の損傷による発がんリスクに注目していらっしゃいます。
低線量で、出来るだけ余分なリスクは避けるべきであるけれども、
「1ミリシーベルトの基準については倫理的な値である」というふうにおっしゃっております。
「放射能汚染については数ある中の一つの害であって、食品やたばこの害の方が上の場合もある」
というふうにおっしゃっています。
小出さんは、法律に違反する、これは異常な事態であって、
「被害による健康被害それから被害による生活崩壊のどちらを選ぶのか」という深刻な問題に至っている。
というふうにおっしゃっていらっしゃいます。
1:39:05
柳沢:
小林さんのお話しの中で、事前に私たちがお出ししました質問で、
このあたりの放射線レベルについて、
小林さんはこのあたりのレベルについてどうお考えか?という所が
ちょっとお話が無かったような気がするんですが、
よろしいでしょうか?

小林:
じゃあその点は、えーっと、柏市の市のホームページに出ている数字などいろいろ見て考えたんですけれども、
今私自身が、皆さんに「こうしたらいいですよ」っていうつもりで言ってもしょうがないわけで、
自分だったらどうするか?という事で考えると、
私だったら、もう全然気になりません。小さい子もそれでいいと思う。
もし、自分の家族がいてもそれは気にならない。
それは学問上の確信があります。
そして、そうですね、私が配ったスライドの最後のところ、
被ばく線量の測定と公開という所、
これは今非常に市もやられているし、詳しい情報が出ている。
ただしこれから気を付けるべきことは、「どこが何ベクレル汚れている」っていうことよりも、
そうではなくて、「今住んでいる人がどれ位のシーベルトで放射線を受けているのか」
これを基準にし一人一人考えるのがいいと思いますね。
公共施設などは非常に低くなっていますから、全く問題ないと思います。
それから、通学路などで、もしところどころマイクロスポットと呼ばれているような所があったとしても、
そこをまたぎ越す時間、時間にすれば非常に短いので、
それから受ける線量というのは微々たるもの。
それよりも長い時間を過ごす子どもさんの寝室の窓のサンとか、屋根のトイであるとか、
そういう所の掃除の徹底でもう少し下げる事が出来れば、多分そっちの方が有効なのかな?
という気がしています。
柳沢:それに関しまして小出先生のご意見はいかがでしょう?
小出:
私は先程聞いていただいたように、
この柏を含めて広い地域が1平方mあたり4万ベクレルを超えて汚れています。
そういう所に私は「普通の人々が住むという事自体に反対」です。
出来る事ならばみなさん逃げて欲しいと思いますし、
本当であればその法律を作った日本国政府が責任を持って、皆さんをコミュニティーごと、
どこかできちっと生活できるようにするというのが私は必要だと思っています。
いま大地を汚している主犯人はセシウム134と137という放射性物質ですが、
1平方mあたり4万ベクレルのところにいれば、1年間で1ミリシーベルトになると思います。
避けることができません。
それだけでももう、法律が決めている限度を超えて被ばくをしてしまうという事になる訳です。
そして今、小林さんが言って下さったように、
そうではなくて局所的に汚染しているところもあちこちにあります。
そういう所をきちっと調べて、子ども達が接するような場所からはそういう汚染を除くという作業を、
これからもずっと続けなければいけませんけれども、
環境中で放射性物質は移動していますので、
ある場所を綺麗にしたと思ってもまたそこがしばらくしたら汚れてくるという可能性もありますので、
これから長い期間にわたってそういう作業を続けていって、
出来る限り子どもを被ばくから守るという事をしていっていただきたいと思っています。
柳沢:
では質問の2に移らせていただきます。
同じ原子力を学ばれていらっしゃるんですけれども、
お聞きになりましたようにお二人のご意見にはかなり差があるように思うんですけれども、
それに関しましてご意見がありましたら小林さん、いかがでしょうか?
小林:
まぁ、ご意見っていう事ではないんですけれども、
小出さんがお示しになった資料には科学的な間違いが多々ありますしね。
まぁでも、細かいことだと思われるかもしれない。
専門的には私は非常に気になります。
たとえば、ICRPがハムに値切ったという表現は、あれはおかしいですね。
DDREFのことをおっしゃっているんだと思います。
瞬時の被ばくに対して、緩慢な被ばくは2分の1から10分の1ぐらいの影響になるだろうという事は、
さまざまな科学的実験事実です。
そのなかで、一番用心深いところを取って2分の1をとるとか、
DDREFの値をとるというのが国際的な合意だというふうに思っています。

小出:
えーっと学問的な誤りと言われてしまうと私としても言わなきゃいけないのですが、
DDREFという係数がありまして、
低線量で低線量率で被爆をした時には、
高線量、高線量率で被爆をした時の危険度よりもどれだけ少ないかというような事を表す係数です。
それをICRPは「2」という係数を使っていまして、
高線量の時よりも低線量は2分の1になるというような係数を使っているのです。
そして、今それは慎重な過程だとおっしゃったけれども、
先程聞いていただいた、ベイグという米国の委員会では1.5です。
確か小林さんの資料にもあったと思います。
むしろベイグの方がずっと厳しく見ているわけですし、
私は先ほど原爆被爆者たちの実際の疫学データ、人間の物を見ていただきましたけれども、
人間の疫学データはむしろ低線量の方が危険度が大きいということも示しているのです。
ですから簡単にDDREFという係数を使って、低線量のリスクを値切るということは、
私は正しくないと思っています。
小林:
それは値切っているんではなくて、
えーっとじゃあ、先程今おっしゃった原爆被爆者データのところでお聞きしたいと思いますけれども、
低線量ほど1シーベルトあたりの過剰相対リスクが大きくなる。
この時のコントロールは何ですか?
小出:
これはだから、コントロールというか何キロごとの被ばくの基準がありますよね、
何ミリシーベルトから何ミリシーベルト。
そういうものを一番低いものから順番に積み上げていって、高いところまで、先程の図に示した通りです。
小林:これ、なにをコントロールに取るかで、そのデータも出ますよね。
小出:それは3キロエリアの集団だったと思います
小林:
そのコントロールの取り方で、もともと有意差が全然ないようなところ。
どれを1にするとどうなるか?という事にしてもあまり意味が無いと、
小出:
おっしゃるとおりです。
ただし、これは原爆という非常に特殊な集団を取っているのであって、
コントロールがどこまで正しいかというのは、それこそまた議論が起きてしまう、ということなんですね。
小林:
そのとおり。
だから、コントロールの取り方によって、逆に線量が低くなるほど
シーベルトあたりの過剰相対リスクが低くなるという結果も導き出せる。
つまり、どうにでも出せるという意味で、
本当に何が起きているのかという議論をするにはあまりふさわしくないと。
小出:
ですから、疫学というものは今小林さんがおっしゃってくれたけれど、統計学に基づいているわけだし、
どれだけの候補を集めるかという事で違ってしまう訳で、大変難しい学問だと思いますけれども、
やり方によっていろんな結論が出てきてしまうという、まだそういう段階にある訳ですね。
小林:それで私だったらこういう特定の見方だけを出すような扱い方はしないで、
小出:もちろんだからいろんな
小林:
医学データは結論が出せない状態である、
まぁ、ハッキリ言えばゼロから100ミリシーベルトの間は言いたい放題ですね。
何を言ってもいい領域になっている、
しかもゼロと言っても、場所によって人によって違うわけで、
そこでこれ以上本当の事を知りたいと思ったらやはり、
メカニズムの研究で一つずつ解明していくしかないのかなぁと考えて、
そういうふうに今大勢の人が努力していますよという話を今日させていただきました。
(客席:安全だって言えないだろ!)
小出:そうですね、ですから疫学だけでは証明できないという
小林:そうです
小出:
範囲が必ずある訳で、そこでは実験もしなければいけないし、
モデルもつくらなければいけないという事になっている訳です。
ただしそれを全部踏まえた上でデイルにしてもICRPにしても、
低線量でも危険は直線的に存在し続けると考えるのが、科学的に妥当だと言っている。
小林:
そうですよね、それは全てのリスクについてそうですよね。、
絶対に安全という事は誰にも証明できない訳です。
小出:そうですね。
小林:
リスクはある。ただしその大きさをどうやって定量的に調べようか、
把握しようかという所が努力すべきところだと思います。
小出:そうですね。
小林:
普段の生活で感じて、生活の中ではリスクはあまり感じないわけですね。
まぁ、そういう日常バイアスというものがある。
たとえば今日ここに来られるのに歩いて来られた方、車で来られた方いらっしゃると思いますけれども、
縁起悪い事言って申し訳ないけど、
「帰りに交通事故に遭わないだろうか」とか、普通考えないですよね。
しかしそれはゼロではない、リスクは必ずある。
でも本当は皆さん日常生活の中でそういうリスクを何となく感じて
保険に入ろうか、どれぐらいの保険に入っておこうかとか、
あるいは飛行機で行った方がいいかな、列車の方がいいかな、という事を判断しています。
ま、そういう日常的な感覚を、日常的な感覚の中に、同じように、
(会場:ザワザワ)
板倉:会場からの発言は後でお願いいたします。
小林:信用しないと、特別なリスクで考えてしまうとね、比較はしにくくなるんじゃないかなと思います。
柳沢:
えっと、すみません、次の質問をさせていただいてよろしいですか。
環境中に今放射能がいっぱいある状態になっておりますけれども、
これはそんなに気にしなくてもOKと小林さんはおっしゃっているんですが、
そうしますとたとえばレントゲンでは、何回ぐらい浴びてもOKっていうふうに、
小林:いや、それはおかしいですよね、必要以上のレントゲンをしてもしょうがないし、
柳沢:
そうしますと今、この辺では
初めの頃は何日間に一遍ずつレントゲンを浴びているみたいな状況だったと思うんですけれども、
えー、何のメリットもなく放射線を浴びせられている状態ではないかと思うのですが、
小林:そうですね、おっしゃるとおりです。
柳沢:
そうですよね。
では、年間1ミリシーベルトというのは権威ある学者が認めていた世界的な基準だったと思うんですけれども、
これは急に20とか、100とかの数字が出てきているんですけれども、
ちょっと資料の方で分からなかった部分がありまして、
年間どれぐらいまでだと大丈夫、100という数字が小林さんの資料にあったんですが、
それは年間でしょうか?
小林:
あ、私の資料ですね。
これはね、年間ではなくまぁそう長くはない、何年も続く事は考えているわけではなくて、
その事故の直後のひとしきりという考え方です。
別に年間とは決まっていません。
少なくてもある短い期間に100ミリシーベルト以上を浴びると有害疫が出る可能性が強い、
それも証拠がある訳ですね。
そこは絶対に避けたいという事で、
想定避難を含めてだれも100ミリシーベルトを超えないようにという事が、
最初の段階の措置になる、そういう考え方です。
発がんの影響もあるし、発がんリスクの増加も
最新の広島のデータだと、200ミリシーベルトから優位になりますけれども、大体そのぐらいという事です。
柳沢:
では次の質問です。
内部被ばくが軽んじられて無視されてきた歴史が
あると思うんですけれども、それについてでは、小出さん。
小林:お話しした通りで、内部被ばく外部被ばくを、あ、先生の方ですか?どうぞ。
柳沢:小出さんから、
小出:
えーっと、内部被ばくも外部被ばくも同様に危険です。
どちらも安全ではなくてどちらも危険です。
ですから外部被ばくも避けなきゃいけないし、内部被ばくも避けなければいけません。
特に内部被ばくの場合は、
ま、外部被ばくというのは外にある放射性物質から被ばくをするわけですから、
逃げれば被ばくをしないで済むようになる訳ですけれども、
内部被ばくというのは体の中に放射性物質を取り込んでしまう訳ですから、
たとえばこれ(コップに入った水)が汚れているとすると(ごっくん)飲めば、
私の体の中に放射性物質が入ってしまう。
ですから、もう私はどこへ逃げてもそれと一緒に動いてしまう訳ですから、逃げる事が出来なくなります。
ですから、内部被ばくというのは大変コントロールが難しいという意味で、
出来る限り注意をして避けなければいけないと思いますし、
特に子どもに関しては汚れたものを出来る限り与えないという注意を私はして欲しいと思います。
特に学校給食であるとか、子どもが食べるという、そういうものに関しては出来る限り注意して、
汚染の少ないものを回すと、そういう方策を取るべきだと思っています。
柳沢:それに関してご意見がありましたら。
小林:
いや、全く同じ意見ですけれども、ただ、言葉の使い方でちょっとお願いなのは、
「安全か危険か」っていう分け方はよくないですよね。科学的じゃないし。
「汚染」というのも、それは放射線管理区域でその、
きちんとしつけられて作業をしてきたそのしつけの名残で、
「汚染していないところは全く綺麗か?」そうではないですね。
放射線管理での汚染というのは「あるはずの無いものがある」そういう汚染ですから、
放射性物質があるかないかとは関係が無い。
たとえばお水の中にわざと入れた実験用の実験に使っている放射性物質が混じった汚染ですけれども、
じゃあ、地球の大気の中で、宇宙船でつくられているトリチウムが入って、入っているんですけれども、
それは汚染か?と言ったらそれは言わない。
普通にあるものには言わない。
そういう所でなんか、必要以上に神経質になってしまう言葉使いは、
一般の人にお話しするのはどうかなと思います。
小出:
私はむしろ安全と危険を使い分けていないんです。
私は、放射線、放射能というものは全て危険だと言っている。
ただし、それは量によって危険の大きいものから危険の小さいものまで、ずーっと続いているのであって、
「安全はむしろない」と私は言っているのであって
小林:はい、それで結構です。
小出:危険という言葉は私は使っていませんから
小林:程度問題ですね。違いの程度問題。
小出:
そうです、程度の問題なんですけれども、
どんなに低いものでも危険があるという事をまず認めた上で議論をしなければいけないし、
小林:もちろん
小出:はい。
柳沢:
次の質問ですが、科学というものについてちょっとお伺いしたいんですが、
科学というのはなんだというふうに思われるでしょうか?
科学者としてどういうふうにあるべきだと思われるでしょうか?
科学から誘導される利益と人の健康リスクをどのように思われるでしょうか?
それについて小林さんから
小林:
はい、科学には二つの役割があると思います。
一つは、人間の生活を安全に豊かに便利にする科学。物理的な心ですね。
もうひとつは訳の分からない不安、恐ろしい事、理解できない事を減らして、心の平穏と言いますか、
あ、わかった、知らない所が分かった。
「だんだん知っている世界が広がった」という、そういう喜びのもとにですね、
そういう営みで。
で、世の中で、この複雑な世の中で、「物事をどっちにしたらいいだろう?」と決めて、いろいろと迷う時に、
一番多くの人が納得できる物事の決め方が、科学の実験で明らかになって、
「ああこういうだ」と思って決めていく。
そういう事なんだろうと思います。
小出:
それは、その通りだと思います。
ただし、科学というのは要するに、
自然、世界というものが、どういう姿なのかという事の真実を知りたくてやっているんですね。
で、長い間科学をみんな、沢山の人が関わってやってきた訳ですけれども、
「知れば知るだけまた分からないものが広がってくる」という、
そういうのが科学という場所の世界でした。
だから、科学というのは非常に大切なものです。
わたしも科学に携わっている人間としてそう思います。
人々を平和に、そして豊かにするというためにも大変力を持ったものだと思いますけれども、
でも「科学は万能ではない」のです。
必ずいつも「分からないものがある」というのが、むしろ科学の本質になっているわけで、
「全てがもう分かってしまっている」というふうに、科学に携わる人が思ってしまって、
「自分たちの判断が必ず正しい」と思いこむようなやり方は間違いだと、私は思います。
小林:もちろんそうですね、誰も反対しないと思います、科学者ならば。
柳沢:
日経新聞にですね、ある原発が非常に問題、
地下に断層があって、という事が発表されたと。
しかしそれは、新聞の中では
「これは科学的な事実であって、経済的には別なんだ」という書き方がしてあったりして、
なかなか、科学の先生のお二人の前で、科学というのは本当に、あの、今軽んじられているというのか、
別の視点から物事が動いているという事がすごく不思議なような気がしております。
で、今日は放射線の話ということで、小出さんは原発の事をお話しされましたけれども、
皆さんもぜ小林さんにもそこら辺をどのように思っていらっしゃるのか、
あのー、お聞きしたいと思うんですけれども、
やはりダメでしょうか?
今日はダメという事でしょうか?
小林:なんですか?
柳沢:
原子力の今後についてどういうふうに思われるか?ということについては、
お話はいただけないでしょうか?
小林:
ああ、そうですね、
いやぁ、あんまり素人の国会談義をやってもしょうがないですけれども、
原子力発電をどうするか?という事については、私は多分
国のエネルギーをどうするか?っていう事に意見を持っている人や、
電力供給をどうするか?っていう事のテクニカルが分かっている人も一緒に交えて議論をしないと、
多分、私と小出さんだけだと素人談義になって、終わるのかな、と思いますね。
小出:フフッ・・・
柳沢:
ま、本当に今日の講演会は、ここ柏市というのは首都圏の入り口で、
で、電気も、福島の方から来ている電気も使いながら、
それで放射能が下りてきてしまって、ホットスポットになったという、そういう場所なんですよね。
ですから、本当に今日の講演会は、そういうとても、
あの、大きな意味のある講演会だというふうに思っているんですけれども、
では、どうしましょうか。
小林:ひとつ私から小出先生に質問いいですか?
柳沢:はい、どうぞ。
小林:
最後のところのスライドに書いてありました、
「一人一人が決めるべきこと」というのは全くそうだと思うんですけれども、
この地域の子どもたちの健康を守るために、具体的に今どうするのが一番いいと、
小出:
えー、本当の事を言えば、子どもを中心としてこの地域から逃げる事が正いと私は思います。
ただし、さっきもそれも聞いていただいたけれども、
逃げるという事、その事自身が猛烈な苦難を伴ってしまうので、容易なことではありません。
それで今現在人々がこの地域で生きているわけだし、
子どもたちも生きている訳です。
私は何度も言いましたけれども、「子どもだけはとにかく被ばくから守りたい」と言っているわけで、
子どもが集中的に時を過ごす場所、学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、
地域の公園であるとか、あるいは人々が住んでいる、ま、ご自宅でもいいけれども、
子どもたちが泥んこになって遊ぶような場所の土はまずは剥いで欲しいと思っています。
ただ剥いだところで放射性物質が無くなるわけではありませんので、
それを今度はどこにどうするか?というような困難な課題がまた持ちあがってくるという、
でもやって欲しいと私は願っていますし、
それから内部被ばくを避けるためには、学校給食であるとか、
子どもがとにかく食べるものに関しては注意をして、
行政ももちろん一緒になって、子どもたちに放射能汚染の極力少ないものを回すと、
そういう対策をとって欲しいと思います。
小林:
私は少し違いますね、
基本的には良いんですけれども、放射線のリスクの事だけを考えるとそうかもしれないけど、
残念ながら、現実にはもっといろいろ、普段見えていないリスクがあって、
そちらの大きいリスクを忘れてっ目の前の小さな放射線の事だけにとらわれると。
(会場騒然「えーっ」)
小林:
その「えーっ」とおっしゃった方はね、大きい小さいを比べる物差しが、違うんですね。
それは科学的なデータで比べないと、感覚で言っていてもしょうがないと思います。
ま、専門家はそういう事のために助言をする役割があるんだろうと思います。
たとえば、もし自分が住んでいたとしたら、
給食だったら、今の流通しているものの放射性物質の内部被ばくのリスクよりも、
圧倒的に食中毒の事を気を付けてほしい。
(「えーーーーっ」ざわざわ)
小林:
小さいお子さんを持っているお母さんはそうじゃないですか?
あるいは木のお金があれば、通学路で大きな車がビュンビュン通るところを
ひょっとしたら引っ掛かりそうになりながら行く。
柳沢:すみません静かにお聴きください、貴重な時間ですのですみませんが。冷静に。
小林:
いや、結構です。
意見を聞きたい方だけにお話をする事にしますから、押し付けませんから大丈夫です。
ーー会場からの質問ーー
2:02:26
柳沢:えーっとですね、それではそろそろ質問の時間にしてもよろしいでしょうか?
(※質問では無くご意見をおっしゃる方が多かったので、その部分はカットします)
Q:
人権を無視しても科学のメリットを生かされてもいいのか?
科学のメリットのために人権は無視されてもいいのか?
小林:
じゃあ、わたしから。
多分そういう質問にはお答えがずれていると思うんですけれども、
さっき私が伝えたかった事はこの場でこの後どうしたらいいのか?ということで、
汚されてしまってけしからんと、
腹が立つというのは当たり前ですよね。
完全に元通りにして欲しいと思う気持ちは当たり前です。自分だってそう思います。
でもそれが無理な場合に、じゃあどうするのか?っていう時に、
一番自分と子どもにとってベストな方法をさがす。
で、どれがベストなのか?
比べても分かりにくいところを図るための知恵が科学なんだろうと、
そういう事になると思います、今の話しのなかにも。
柳沢:小出さんはいかがでしょうか?
小出:
私からは特にお答えするような事は無いと思いますが、
科学は万能ではないし、科学が間違えることもあるし、
原子力というものをやってきたことも、私は間違いだと思っています。
それによって被ばくというリスクが新たに加えられてしまって、
被ばくというのはメリットは何にも無くて、害悪だけがあるという、そういうものです。
ですから今回の汚染というものは、全く正当化できないという、そういうものが生じている訳で、
今後そういう正当化できない行為をどうすれば防ぐ事が出来るかという事を考えてほしいと。
ま、科学も、そういうふうにきちっと考えて答えを出すべきだと思います。
2:07:40
資料の方にセシウム以外の存在とその危険、影響についてのことがあるんですが、
小出先生の方からはセシウムについての危険のお話はあったんですが、
それ以外の核種の危険度あるいは影響度というものについても非常に関心が高いので、
その辺もお示しいただけたら
小出:
みなさんが心配されている放射性核種はセシウムのほかにストロンチウム90という放射性核種と、
プルトニウムという名前の放射性核種だと思います。
それでよろしいでしょうか?
もしそうだとすると、
大気中に放出されたストロンチウム90の量は、セシウムの多分1000分の1だと私は思います。
そしてプルトニウムはさらにまたそれの1000分の1ぐらいだと思います。
ストロンチウム90はセシウム137に比べて数倍危険度が大きいんですけれども、
放出量が1000分の1ですから、多分、問題にならないと思います。
プルトニウム239とか、他のプルトニウムは生物毒性が大変高いですけれども、
それでも放出量が圧倒的に少なかったので、
私はセシウムに注意をするという事が一番大切なことだと思っています。
ただし、ですけれども、それは大気中に放出された放射性核種だけであって、
先程もちょっと聞いていただきましたけれども、海にも放射性物質が、今現在も流れて言っています。
その時にはセシウムだけを注意していては私はダメだと思います。
何が重要かというとストロンチウム90です。
ストロンチウム90は水溶性がかなり高いので、
多分大気中に出てきた量はセシウムの1000分の1だと私は言ったわけですけれども、
海に流れていっているものは、セシウムとひょっとすると等しいぐらいが流れていっているかもしれません。
ですから今後、海の汚染を調べるという時には、
ストロンチウム90という放射性核種にみなさんも注意をして欲しいと思います。
しかしストロンチウム90を測定するという事は、大変手間がかかるのです。
ですからなかなかデータがそろってこないという状態が今日まで続いていますので、
これからは海の汚染に関してはストロンチウム90に関する測定という事をもっともっと力を入れて、
国も自治体もやるべきだと私は思います。
2:10:38
小林さんの話を聞いているとなんだか夢の中にいるような話です。
日本は地震国…略
原発設置法の法律を変えないといけないと思うんです。それについてなにか。
小出:
もちろん法律を変えるべきだと私は思います。
日本には原子力基本法というのがあって、「平和目的に限る」というような条件がありましたけれども、
「原子力をどんどん進める」というそういう法律だったんですね。
私はその原子力基本法を無くして、皆さんなんていうんでしょう、
「脱原発法」と呼んでいらっしゃるんでしょうか。
そのように、原子力をこれから廃止するという法律をきっちりと定めるべきだと私は思います。
2:12:22
Q:
小林先生にお伺いしたいんですけれども、
小林先生は小さなお孫さんとかもしかしたらいらっしゃいますか?
小林:いや、まだ残念ながら。
Q:
もし、5歳以下のお孫さんがいらっしゃった場合は、
毎日たとえば1ベクレルの食べ物を食べさせても・・与えますか?
小林:
1ベクレルだったら大丈夫ですね、それは。
いま頭の中でパッっと計算しました。
Q:はい、ありがとうございます。
3:13:00
Q:すみません、小林先生は柏市に住めるということですね?
小林:はいもちろん。仕事と住む所があれば家族で住みます。
Q:はい。じゃあ是日近いうちに。
小林:仕事の世話をしていただければ。
2:13:27
Q:
先ほど柏に住むのは全然問題が無いとおっしゃいましたけれども、
それは、いわゆる放射線管理区域というものに相当する地域ですね?
という事は、放射線管理区域という、
そういう区分け自身が無意味だというふうに考えているという事ですか?
小林:
住むかどうかの区分けのための基準ではありませんから、放射線管理区域は。
あれは、全く汚さないのに近い形で、綺麗に管理する。
専門の方だと思いますけれども、そのための基準です。
Q:
でも、その管理区域の中ではいろいろとやってはいけない事があるわけですよね。
でも、住むとなったらそういう事をやるわけですよね。
それでも全然関係ないとお考えですか?
小林:
それは程度の問題ですよね。
その自然の放射線の受けている量に比べて、どれぐらいまで増えたら、まァ平気かなという、
その感覚、その問題です。
2:14:30
Q:
先程小林さんは受ける線量が同じであれば受ける影響も同じであるとおっしゃいましたけれども、
そもそもシーベルトという単位は臓器や組織あたりに平均化した線量をベースにしています。
実際の生体内における放射性物質や線量の濃度を反映したものではありません。
そしてICRPのリスクモデルというのは、放射性核種が体内で均一に分布すると仮定しています。
しかし、ベラルーシのユーリバンダジェフスキーは
死体解剖などから生体内におけるセシウム137の分布が一様ではないと、
いう事を見出しています。
ですからこのようなシーベルトという単位に基づいたICRPのリスクモデルを
健康影響を考えるために使えるのかどうか?これが一点。
それから、先程疫学調査における被ばく対照群の問題がありましたけれども、
このICRPが採用しているのが放影研の研究です。
しかし、その放影研の研究で採用している比較対象群は、いわゆる入市被ばく者であるのか?などの、
いわゆる内部被ばくを受けた方々です。
ですから、放影研の研究というのは、被爆をしていない方を対照群としているのではなく、
被ばくをした方々を対照群としていますので、
この放影研の研究も全くデタラメではないかと思います。これが二点目。
それから、もうひとつ、
国の官僚あるいは学会の中から福島原発事故による健康影響の言及に圧力をかけるような動きがあります。
例のミスター何ミリシーベルト
学会の中で自由な研究をさせないような雰囲気もある事、この事を研究者としてどう思うか、
以上3つお聞きしたいと思います。
小林:
先ず、3点目の事は全く知りません。
私の学会ではそういう事はないし知りません。
2点目については、そのテクニカルなところは放影研の担当というか、
当人ではないのでお答えするのは適切ではないと思います。
最初のところは全くごもっともですね。
体内分布が分からないと見積もりようがない。
それは非常に難しい。
所詮シーベルトなんていうのは目安ですから、
大体の目安で安全にしておこうというような、
たとえばラドンの被ばくで、空気で周りから内部被ばくして同時に血液からまわって、
その途中でアトランダムに固体元素に沈着していく、その分布を正確に見積もるのは非常に難しいですよね。
ですから万能ではないというのはおっしゃる通りです。
以上です。
声:放影研の大久保先生がエビデンスレベルが低いと言っていますけれど、
小林:いや、その話は私は知りません。
声:今インターネットで見られますけど
小林:そうですか、
声:エビデンスレベルが低いんですよ、認めています。それはどうですか?
小林:
いや、それ以上は私はよく知りません。
あの、疫学はにわか勉強なんで勘弁して下さい。
声:エビデンスレベル低いです。
柳沢:
一つわたくしからの質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?
1ミリシーベルトというのが倫理的な基準であるというふうに、小林さんはおっしゃっているんですけれども、
そうしますと、1ミリシーベルト以下を目指している柏市の除染というのはどういう事になるというふうにお考えになりますか?
小林:
倫理的なというのは、もう十分に低いから、適当に止めてもいいよという判断は正しくないだろう。
だから放射線の変動レベル、事実上ゼロとみなしても、変動レベルという意味で、
見なくてもいいという所まで、元通りに近いところまで除染していくっていうのは、
倫理的に求められているという事です。
そうしないと健康に影響が出る恐れが高いからという意味ではない。
そういう意味で倫理的にということです。
柳沢:それに関しては小出さんは?
小出:
わたしですか?
私はもう繰り返して言っていますけれども、
子どもたちに被ばくのしわ寄せをするという事は、私はやるべきではないと思っていますので、
限りなくこれからも子どもたちの被ばくを減らすための作業というのを続けて欲しいと思っています。
柳沢:
今日の講演会は小出さんが
「原子力を研究している方と是非お話しをしたい」という事でいろいろと当たりました。
それで、「原子力文化振興財団」という所があるので、
そこでは講師を派遣しているという事を聞きまして、そこにお願いをしたんですけれども、
そこは、一方的に行くのはやるんですけれども、
「対談はイヤだ」と断られたんですね。
でも、それでも是非是非、今まで税金も使って本当にいろんなコマーシャルもされてきた。
「安全だ、安全だ」という事で、コマーシャルもされてこられた財団ですので、
「こういう緊急事態にはどんどん外に出てきてお話をしていただきたい」という事をお願いして、
「紹介ぐらいはして下さい」ということで、
それで、小林先生が「じゃあいいですよ」って言って来て下さったんですね。
本当にありがたく思っております。
今後もぜひこういう講演会が各地で行われるべきだとみなさん思われませんか?
こんなに税金を使って沢山主催者の人がいて、国民的議論をしなければいけないので、
ぜひ、こういうことが、この会が発端となりまして出来ることを望んでおります。
本当にありがとうございます。
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日時: 2012年12月22日(土)
場所:豊島公会堂
主催:「終焉に向かう原子力」実行委員会
Youtubeはこちら↓
http://youtu.be/On6RIEY5Nfw?t=1h10m36s
1:10:36~
これは東京です。
この、奥多摩の青いところ。
ここは1㎡当たり6万ベクレルから10万ベクレル。
緑のところが3万ベクレルから6万ベクレル。
これも放射線管理区域ですよね。
奥多摩の一部はこんなに汚れている。

そして、東京の下町の方ですね。
ここは1万ベクレルから3万ベクレルと汚れているという事で、もうほとんど…
あ、この辺の出っ張ったところは3万~6万ベクレルですか、そのぐらい汚れている。
今私たちはここですから、比較的、汚染としては綺麗な所にいますし、
東京の中央部は比較的綺麗だということで、
みなさんなんとなく安心しているのではないかと思います。

しかしこれは、「地域全体がどれ位汚れているか?」というものを示している地図であって、
一つの地域の中でも、汚染の低いところもあれば高いところもある。
猛烈に高いところも実はある。
それを私は最近になって調べた事があります。
一つはここです。
葛飾区の水元公園という、綺麗な公園があるところですが、
放射線の管理区域にしなければいけない位の汚染を受けているところです。
もう1カ所は東村山という、まぁ汚染を比較的受けなかったところの中心なところですね。
そういう所で、なにを私が調べたか?と言うと、こういうものです。

「黒い物質」と呼んでいるんですが、これは道路ですね。
道路にある、こういう黒いひび割れのようなもので、
みなさん、分かりませんかね?想像して欲しいんですけれど、
道路でもいいし、駐車場でも良いし、建物の下でも良いし、
そういう所にコンクリートにこんなふうに、
なんか乾燥したものがへばりついているようなところが必ずあるんです、
これを私たちは「黒い物質」と呼んでいます。
たとえば、これはコンクリートの上にずらっとしみのようになっているのですが、
そこに志葉玲さんという私の知人が放射線の測定器を置いてみたら、
ここは、2.2マイクロシーベルト/時という…
2.2ってみなさんピンとくるでしょうか?
私は京都大学原子炉実験所にいるという事は先程聞いていただいたのですが、
私の実験所内のほとんどの場所は0.04、あるいは0.05です。
0.6を超えたら放射線の管理区域にしなければならない。
ここは何のところでもない、普通の人達が生きているところで2.2という事なんです。

そしてここは子どもが指でひっかいた痕です。
何でもない、普通にみなさんが生活している場所にこういう「黒い物質」というものがあって、
子どもたちがそれに触って生きているという、
どれぐらいか?測るとこんなものです。

東京の東村山で取ったものが1kgあたり2万何千ベクレル。
葛飾区の水元公園にいたらば、20万を超えるというような汚染です。
福島県に行ってしまえば、もう何100万というものが、
普通の人々が生きて、子どもたちが遊んでいるという場所にあるんです。
これまでの日本の法律で言えば、
1kgあたり100ベクレルを超えるようなものは、
放射能として何らかの管理が必要だということになっていました。
福島の事故が起きてしまって以降は、そんな事は守っていられないと言って、
1kgあたり8000ベクレルを超えるようなゴミは
指定廃棄物としてどこか1カ所に埋め捨てにしようなんていう事を日本の国は言っている訳ですけれども、
1kgあたり8000どころじゃないんです。
もう、どこに行ってもそれを遥かに超えるようなものが、
みなさんが生活している場所に広がっているという事になっています。
ーーー
東日本の放射線管理区域~どのように日本が汚れたのか?~小出裕章氏12/22(内容書き出し)
いつのまにか塗りかえられていた
「文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果」
埼玉県&千葉県&茨城県&栃木県の汚染地図(文部科学省)
東京都&神奈川県の汚染地図(文部科学省)
南相馬”黒い物質”から高濃度セシウム2/24モーニングバード(番組内容書き出し)
南相馬の”黒い物質”「測定器自身が死んでしまうというほどの猛烈な放射線を発生する物質」
小出裕章氏8/28INsideOUTジャーナリスト志葉玲さんに聞く(内容書き出し)
「東京都の黒い物質マップ」

葛飾区が最高で29万ベクレル。
皇居で、11万ベクレル。
奥多摩の方で、3万ベクレル位。
日時: 2012年12月22日(土)
場所:豊島公会堂
主催:「終焉に向かう原子力」実行委員会
講演内容
■小出裕章氏(00:03:25~)
『原子力を"即刻"終わらせたい』
■広瀬隆氏(2:07:15~)
『IAEA と ICRP 国際原子力マフィアによる被曝強制の歴史と福島県内の深刻な被曝の現実』
より小出裕章氏の講演の中から一部分ご紹介。
24:32~
福島から放出された放射能でどのように日本が汚れたのか?
大気中に放出された放射能でどんなふうに日本が汚れたか?ということを、
これも日本の政府が公開した地図です。
分かって頂けると思いますが、
日本というこの国は北半球の温帯という所に属していて、
その北半球の温帯では偏西風という風が卓越風で吹いている。
つまり、西から東へ基本的には風が吹いているのです。
そして福島原子力発電所はこの位置にあります。
東は全部海なんですね。
ほとんどの風が多分西から吹いていた。
放射能はみんな太平洋の方へまき散らされたという事になった筈だと思います。
でも、もちろん西の方には土地が広がっていた訳で、
そこがどんな風に汚れたか?というのがこの地図です。

原子力発電所を中心に、点線の縁が二つ書いてあります。
内側の点線が20km、外側の点線が30kmです。
今回の事故を受けて日本の政府は一番始め、
半径3kmの人達に非難しなさいと指示を出しました。
「バスを差し向けるから、そのバスに乗って避難所に行きなさい」と言いました。
しばらくしたら、10kmの人達に対して
「万一の事を考えて非難しなさい」という指示を出しました。
バスが迎えに行って避難所に運びました。
しばらくしたら今度は日本の政府は
「万が一のことを考えて20kmの人は非難しなさい」という指示を出しました。
そして指示を受けた住民たちは、迎えに来たバスに乗って避難所に行きました。
それからしばらくして、日本の政府は
「半径30kmの人は自主避難しなさい」という指示を出したんです。
自主避難って、出来ると思いますか?みなさん。
3月11日に巨大な地震があって、津波に襲われて、地域がもうボロボロにされている。
電気すらが来ていない。
お店も閉まっている。
ガソリンスタンドだって閉まっている。
道路はほとんど通れない。
そういう時にバスが迎えに来て避難所に連れて行ってくれるのならば、
まだ、避難できるかもしれないけれど、
「勝手に逃げろ」と言われたって、逃げる手段すらない。
行く場所すらがないとなったと思います
それがこの半径30km、点線の外側位。
しかし、実際に事故が起きてしまえば原子力発電所を中心にして均等に汚染が広がるわけではありません。
要するに風に乗って流れるわけです、汚染は。
「運で決まってしまう」という事になります。
ほとんどの、たぶん放射能は西風、偏西風に乗って太平洋に落ちたんだと私は思いますが、
ある時は北風が吹いていました。
その時には原子力発電所から放出された放射能は、南へ流れて行きました。
福島県の浜通りという一帯を放射能汚染が巻き込みました。
茨城県の県境を超えて茨城県を汚染した。
しかし一時期放射能の雲は海へ出て行きました。
そして茨城県の南部でまた陸に戻ってきて、
霞ヶ浦の周辺を汚し、千葉県の北部を汚し、そして東京の下町を汚しました。
ある時は、南東から風が吹いている時があって、放射能の雲が北西に流れてきました。
赤、黄色、緑と色が塗ってあるところを分かって頂けると思いますが、
モーレツな汚染です。
数字を言って恐縮ですけれども、
1㎡当たり60万ベクレルを超えて汚れている」というのが、この赤黄緑のところです。
分かって頂けると思いますが、半径20kmなんかでは到底止まらない。
30kmだって止まらない。
40km、50km先まで、猛烈な汚染が襲ってしまいました。
何の警告も住民たちは受けないまま、汚染の真っただ中に捨てられてしまうということになりました。
この40km50km離れた黄色緑のところは、福島県の飯館村という村です。
原子力発電所からは何の恩恵も受けない、
ビタ一文の金も貰わない、
自分たちの村は自分たちで良い村にしようとして長い間努力をしてきました。
日本一美しい山村と言われるほどの村にして、誇りを持って生きてきた村ですけれども、
その村が猛烈な放射能に襲われて、全損離村になってしまいました。
ここまで放射能が流れてきた時に風向きが変わりました。
北風が吹いてきて放射能は南へ逃げて行きました。
青い帯になっているのが分かって頂けると思いますが、
ここは福島県の中通りと呼ばれている地域です。
東側には阿武隈山地が並んでいます。
西側には奥羽山脈が並んでいます。
両側を山に挟まれた平坦地です。
大変住みやすいということで、北側から福島市・二本松市・郡山市・白河市というような
福島県内の人口密集地がずらりと並んでいる。
そこを放射能が舐めるように襲っていきました。
栃木県との県境に行きましたけれども、
放射能からすれば県境なんて全く意味がありません。
やすやすと乗り越えて、栃木県の北半分を汚染しました。
さらに群馬県の県境も越えて群馬県の北半分を汚染しました。
さらにまっすぐ行けば長野県だったのですが、
群馬県と長野県の間には高い山が連なっています。
その山を風が超える事が出来なくて、風は今度は山沿いに南下をしました。
群馬県の西の半分をずーっと汚染に巻き込んで、
埼玉県の西部と東京の奥多摩を汚染するという事になりました。
先程、赤黄緑のところは1㎡当たり60万ベクレルの放射能で汚れていると私は聴いていただきました。
そして今、今現在この赤黄緑のところは住民が強制的に避難させられている地域で、
到底人が住めるようなところではないと私は思いますし、
日本の政府も、この赤黄緑のところから人々を追いだしています。
面積で言うと約1000平方キロメートルです。
日本一大きい湖が琵琶湖ですけれども、
琵琶湖が1.5個入ってしまうと言うほど広大な地域が、無人になってしまうという事になりました。
ではその外側の汚染はどんな汚染になるのか?ということですが、
この青い帯のところ、薄い青と濃い青がありますが、
薄い青のほうが汚染が強いところです。
10万ベクレルから30万ベクレル汚れているという所というのがこの薄い青のところ。
そして、濃い青のところは6万ベクレルから10万ベクレル汚れていると日本政府が言っています。
さらにその外側にくすんだ緑のところがあります。
あちこちにありますね。
北の方から言えば、岩手県にも宮城県にもあるし、福島県の安芸の方もそうです
栃木県群馬県にも広範に広がっている地域、茨城県千葉県、あるいは奥多摩という所にもあるんですが、
そこは、3万ベクレルから6万ベクレル汚れているという範囲です。
でもみなさんは、1㎡当たり3万から6万、
あるいは10万という数字を聞いてもピンとこないと思いますので、一つ例を聞いていただこうと思います。
私は京都大学原子炉実験所という所で、原子炉や放射能を相手に仕事をしています。
ただし私は被爆をしたくありません。
出来る限り被ばくをしないように常日頃から気を付けています。
普通仕事は、自分の研究室という所で、放射能が全くない、汚染の無いところで仕事をしています。
それでも仕事がら放射能を使うという事はあるわけで、
そういうときはどうするかというと、放射線管理区域というに入って仕事をします。
みなさんは入ってはいけない場所です。
私のように特殊な人間だけが、
特殊な仕事をする時に限って入って良いというのが放射線管理区域です。
私が放射線管理区域に入った途端に、私は水を飲むことが許されなくなります。
食べ物ももちろん食べられません。
そこで寝てもいけないと、仕事が終わったらさっさと出て来いというのが放射線管理区域ですが、
でも、簡単には出られないのです。
私は仕事を終えてなるべく早く管理区域外に出たいと思いますけれども、
管理区域の出口に行くと、扉が閉まっていて開かない。出られない。
その扉をあけるためには一つの手続きをしなければいけせん。
扉の前に放射線汚染の検査装置が置いてあります。
「その検査装置でお前の身体が汚れていないかどうかを測れ」ということになっている。
しかし私は放射能を使って仕事をしたわけですから、
私の衣服が放射能で汚れているかもしれない。
私の手が放射能で汚れているかもしれない。
汚れたまま管理区域の外側に出てしまえば、普通のみなさんが生活をしているわけで、
普通のみなさんを被曝させてしまう。
それはやってはいけない事だから、ちゃんと測って、
衣服、手、足などが汚れていないかどうかを確認しなければドアが開かないという、
そういう仕組みになっている。
では、その時にドアが開く基準はいくつか?というと、
1㎡当たり4万ベクレルです。
もし私の実験着が1平方mあたり4万ベクレル以上で汚れていれば、
私はその実験着を管理区域の中で脱いで放射能で汚れたゴミとして捨ててこなければいけないのです。
私の手が1平方m当たり4万ベクレルの放射能で汚れていれば、私は出られないのです。
管理区域から。
管理区域の中に流しがありますので、そこで手を洗って、手を綺麗にしろ。
水で洗って落ちなければお湯で洗って落とせ。
お湯で洗って落ちないなら、石鹸を付けて洗って落とせ。
それでも洗って落ちなければもうしょうがないから
手の皮膚が少しぐらい破れても良いから薬品で落とせという、
1平方m当たり4万ベクレルを下回らない限りは、管理区域の中から外へ出られない。
それが基準だったのです。
この青のところは少なくても6万ベクレルを超えて汚れている。
その周りのくすんだ緑のところだって、3万ベクレルから6万ベクレル汚れている。
私の実験着が汚れている、私の手が汚れているという事とは違うのです。
大地がみんな汚れている。
メチャクチャな汚染だと、私は思います。

福島県の東半分、
宮城県の南部と北部、
茨城県の北部と南部
栃木県・群馬県の北半分、
千葉県の北部、
埼玉県・東京都の一部、
あるいは新潟県の一部であるとか、
岩手県の一部。
そんなところまでが放射線の管理区域にしなければいけないというほどの汚染を受けているのです。
何度も言いますが、放射線管理区域というのは、
私のような特殊な人間が特殊な仕事をする時に限って入って良いという場所なのです。
普通の人は入ってはいけないし、子どもなんている事は到底許されないという場所が
こーんなに、広がっている。
ということです。
チャップリン「殺人狂時代」
チャップリンって皆さんご存じだと思います。
大変優れた映画を沢山の押してくれました。
そのチャップリンが、先の戦争が終わった後に「殺人狂時代」という映画を作りました。
戦争で沢山の人が殺されている。
何10万、何100万という人たちが殺されていくという、
そういう時代が過ぎた後、この映画をチャップリンがつくった。
そしてその中で主人公がこう言うんですね。
「One murder makes a villan, millions a hero」
殺人を犯した主人公ですけれども、日本語に訳せば多分こうです。
「一人殺せば悪党、百万人殺せば英雄」だと。
殺人をした人間は犯罪者として処罰される訳ですが、
100万人殺した国家、あるいはそこの人達は英雄になってしまう。という事を告発した映画でした。
でも、今まさにそれがここで起きているのです。
もし私が、私が管理している放射線管理区域の中から放射能を持ちだして、
どなたか一人を被曝させるような事をさせれば、
私は犯罪者として処罰された筈なんです。日本の国家から。
しかし100万人、いや、1000万人ともいえる人々を、
放射線管理区域の中に見捨てて、
いま、この日本という国はあるわけですが、
誰も処罰されません。
東京電力の会長も、社長も、
これまで原子力を進めてきた自民党も、民主党も、
学者で旗を振って来た連中も、
誰一人として処罰されない、という状態になっています。
今日私の後で広瀬隆さんが話しをしてくれますけれども、
広瀬さんは彼らを告発しています。
きちっと処罰をさせる事は私もどうしても必要だと思います。
ーーー
東京の汚染~東村山と水元公園~小出裕章氏12/22(内容書き出し)
いつのまにか塗りかえられていた
「文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果」
埼玉県&千葉県&茨城県&栃木県の汚染地図(文部科学省)
東京都&神奈川県の汚染地図(文部科学省)
2012.12.24 月祝日 会場 東海文化センター
東海村村長 脱原発をめざす首長会議世話人 村上達也
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
湖西市市長 脱原発をめざす首長会議世話人 三上 元
01:10:00~
ドイツの脱原発
司会:
こちらの政治家の首長さんのお二人にお聞きしたいのですが、
ドイツでは南部の方で緑の党が勝利を、去年福島事故の直後に起こされまして、
メルケル政権が震撼しました。
それで、バーデン・ビュルテンベルク州という州ですけれども、
その州の緑の党の勝利を受けてメルケル政権は急遽脱原発に切り変えた。
一方日本はどうか?というと迷走に迷走を続けていますが、
そのドイツと日本を見るというと、どういうふうな違いが…
ドイツでは、なんで脱原発派が主流になれたのか?
日本では依然として脱原発派は、なんかこう、つまはじきされるような部分がある。
そこのところはどうでしょうか?

村上:
本当に、日本とドイツが対照的な対応をしているわけですが、
メルケル政権はまさに5月7日に、2020年までに原発ゼロにするとメルケル政権が決めて、
直ちに止めたのが7基。そしてその後止めたのが1基あって、
17基のうち8基止めたという事ですが、
私は、フライブルクの話しは良くするんですが、
バーデン・ビュルテンベルク州という中にフライブルク、いわゆる環境の都市ですね、
あそこが脱原発の、ベルク州には原発があったわけですが、
それを無くして環境都市になったということです。
その時にドイツにフライブルク市ではドイツ市民にアンケート調査をしたようです。
「原発を止めたら電気料はキロ当たり2倍になるかもしれない。それでもいいか?」
というような問いかけをした。
その結果、最初の段階では10%だったと。
それを何回かその時の経過とともにアンケートを続けて行ったらば、
それが、過半数を占めていったと。
いわゆる、原発と経済と、そういうことで、
日本でも自然エネルギーを導入すれば、
ひと月当たり150円上がりますよとか、負担が増えますよとか、そういう事を言われていますが、
「2倍になってもいいか?」という、そのような問いかけもして、
ドイツ人は「それでもいい」と。「それよりは」という事ですがね。
じつは、私はこれ、最近盛んに言うんですがね、
スモール・イズ・ビューティフル(Small Is Beautiful)という言葉を聞いた事があるでしょう。
これは人間中心の経済学。
1973年にエルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーという人が書いた経済学です。
高度成長、高度成長と成長1点張りの経済に対して、スモール・イズ・ビューティフルという、
環境面から、あるいは持続可能な社会という観点の経済学でありますが、
これは1973年です。
この中にこういう事を書いております。
彼の結論です。
「原子力は救いか、呪いか」ということの章が設けてありまして、
「いわゆる廃棄物処理の解決策がない」ということで、
「その中で原子力に運命を委ねてしまっていいのか」という事です。
「如何に経済がそれで反映するからと言って、安全性を確保する方法も分からず、
何千年も何万年もの間、ありとあらゆる生物にはかり知れぬ危険をもたらすような、
毒性の強い物質を大量にため込んで良いと言うものではない。
これは生命そのものに対する冒とくであり、
その罪はかつて人間が犯したどんな罪よりも数段重い。
運命がそのような罪の上に成り立つと考えるのは、
倫理的にも精神的にも、また経済学的にもバケモノじみている。
それは経済生活を営む上に於いて、人間を全く度外視することを意味する」と、
これは、先程は三上さんの方から「原発をやっていくと経済的にも成り立たないんだ」と言われましたが、
「倫理的にも成り立たない」
こういう世界をドイツは作り上げてきたという事ですので、
倫理委員会がその結論を出したという。
で、その倫理委員会が結論を出したらそれに従うんですね。
日本は規制委員会が「活断層があるところに原発があるのはあり得ない」といいながら、
それに対してすぐにそれをひっくり返すというような事をやりますが、
そのような事を作ってきたという背景が緑の党ですが、
私もこの日本の経済至上主義という社会の中に欠陥があるとすれば、
我々の「日本人の中には緑の党が存在していない」と思っております。
しかし、今回の選挙を見てみて、
実は日本にも7月29日には緑の党が結成されました。
しかしそれが今回の選挙では表に出てきておりませんが、
しかし、日本未来の党で嘉田さんが中途半端だけども出てきた。
そのような政党が次々と、あるいはみどりの風という、民主党を脱党若い女性が多いんですが、
その人たちがみどりの風というものをつくってきた。
ということが、私は、この日本の中にも遅ればせながら、このようなものが、
実はこの前の選挙では出ていたんだと。
これがまた成長をして行くという事でしょう。
当然それに伴っては自然エネルギーを使う、あるいは再生可能エネルギーを使いという、
これでまだまだ日本というのはドイツの足元にも、
要するにくるぶし以下の状態だと思いますので、
これが、そろそろ生まれてくるかなというふうに思っております。
司会:三上さんいかがですか?簡単に。
三上:
簡単に!あの、(笑)
実はね、フランスの人達とこの間、話してきたんですよ。
フランスと日本は似ているんです。
フランスは75%が原発ですから、発電量ね。
日本は29%ぐらいですから、日本以上に原発推進国なんですね。
僕に言わせれば75%も29%も同じように、フランスと日本は原発推進に国をあげてやってきたんです。
それが「事故を見て急に変われるか?」というと、やっぱり変われないんです。
もうひとつドイツは、メルケル政権の前に、すでに一回止めるという事を決めたんですよ。
それをメルケルになって、「もう一回延命しよう」という提案をした。
提案をして11月に通ったばかりの時に、3月にあの事件が起きたから、
もともと世論は原発がイヤだったんですね。
そういう状況があったから、直ちに元に、元に戻しただけなんです、ドイツは。
フランスはですね、右に向かっていたものを左にもっていかなければならない。
日本も同じなんです。右に向かっていたんです。
どんどん原発を推進しようとしてた時に事故が起きた。
しかしフランスは大統領選挙でオランドが勝ってですね、
原発のウェートを劇的に減らしていくという方向にはなったんです。
日本も慎重になるという形にはなった。
でも、やっぱりね車は急に止まれない。
国の方針も急には変われないという事なんですよ。
それがあるから僕は
「日本とフランスはドイツを追いかけようね」という事をフランスの人達とは話し合ったわけでございますが、
ドイツを追いけかなきゃならない。
けど、日本はまだ急には変われない。
そして自民党の政権になってしまうとしたら、極めて危険だと私も思いますので、
我々は出来る限りの事はしようというので、
5つの視点という事を先ほどの私のスピーチの最後に申し上げた訳でございます。
これからもこの集会にですね、必ず参加しないといけません。
そして官邸前のデモにも参加しないといけません。
もし、日比谷の公会堂であるとか、あるいは代々木公園でなにかかるとなったらね、
ワイワイ詰めかけて騒がなければいけません。
新聞にも投書して下さい。
国会議員に電話して下さい。メールして下さい。
何でもいいからできる事をやって下さいよ、そうしないとダメですよ。
とにかく一人でも、
何でも一人でも仲間を増やそうという努力をしていただきたい。
私もやっています。
原子力発電は必ず終わりになる
01:20:20
司会:
小出さん、最後に、この3人の話の最後に、
専門家という事でお話しいただきたいと思いますが、
原子力時代は「終わりにすべきだ」ということと、「終わりになる」という、
そういう観点からひとつお願いします。
小出:
原子力発電は必ず終わりになります。、あたりまえですね。
地球上にあるウランなんて少ないんですから、どうせすぐに無くなってしまいます。
私自身は「化石燃料が無くなってしまうから、未来は原子力だ」と信じて
原子力の場に足を踏み込んだのですけれど、
実際には原子力の燃料であるウランは石油の数分の1、石炭の数10分の1しかないという貧弱な資源です。
ですからいずれにしても、もうすぐ無くなってしまいます。
私たちがなにも、脱原発・反原発と言わなく立って、どうせあと数10年でなくなります。
しかし、その事は私だけが知っているのではなくて、
原子力を進めてきた人たちもみんな知っているのです。
原子力というものが未来のエネルギー源にはならないという事はとっくの昔に分かっている。
そして、事故が起きたら大変なことになるという事もわかっている。
そして先ほど三上さんが金勘定の時に計算して下さったように、
生みだしてしまった核分裂生成物、放射能のゴミというのは、
今後10万年も100万年もどこかに閉じ込め続けなければならないという、
大変な毒物なんだという事も実は分かっていたのです。
そのため、世界はもう、実は原子力から撤退しているのです。
ドイツの事も今言って下さったけれども、
米国という国が原子力をけん引してきたのですが、
その米国で、運転中の原子力発電所、建設中の原子力発電所、計画中の原子力発電所の
3種類を合わせた合計の数が一番多かったのは、1974年です。
もう、今から40年も昔に米国では計画中だったものが次々とキャンセルされるという時代に入りました。
建設されていて9割出来ている原子力発電所も、
「これはもうダメだ」という事で、どんどんキャンセルされて行ったという、
そういう時代が1974年から始まっていたんです。
ヨーロッパもそうです。
ヨーロッパで運転中、建設中、計画中の3種類の原子力発電所の合計件数が一番多かったのは1977年です。
いずれも米国のスリーマイル島という所で事故が起きた1979年よりも前なんです。
そんな時からもう世界、米国とヨーロッパ、世界の原子力をけん引してきた国々は
原子力はもう未来がないという事が分かって、次々ともう撤退してきているのです。
いつまでも気がつかない愚かな国が日本というこの国です。
ま、特に経営者。
金勘定の出来ない経営者です。
未来の世界を構想する事が出来ない政治家という本当に困った人たちがいるのがこの日本という国なのであって、
その国でもみなさんがこうやって集まってきて下さるように、
原子力には夢がないという事を多くの人が気付いてきて下さっているようになってきていますし、
必ずやめさせられると私は思っていますし、
そうさせたいと願います。
01:23:57
客席からの質問
01:24:54
質問:
その中で、多く質問いただいた中で、
今回一番多かった質問は、もちろんこの会場には茨城から来ている方が多いので、
自分の生活の中の内部被ばく、この健康被害がどれ位のものなのかを気になさる質問が非常に多くありました。
たとえば、50代の女性の方。「避難しないで生きていく方法を教えてほしい」
「食べ物を測っているがアルファ・ベータは測っていない、考えなくてもいいんだろうか?」
60代の方「毎日の長期被ばくを受けている場合、どのくらいの日数でどんな変化が生じるんだろうか?」
70代の方「被ばくによる健康被害から、どうしたら守れるんだろうか」
つくば市の方だという事ですけれども、
それから40代の男性の方、土浦からいらっしゃったという事ですけれども、
「子どもの事を考えるとこのまま住んでいていいのか悩みます。
自分で決めるしかないというのが答えなのはわかっていますが、もやもやとした気持ちです」
といったかたちで、こちらの茨城に住むなかでこのままずっと住んでいていいのか?と、
特に子どもの事を考えるとという意見があるのですが、
みなさん分かっている範囲での健康被害などの事を教えていただければと、思います。
被ばくの影響と避難
小出:
事故が起きた直後に枝野さんという人が「直ちには影響がない」というような事を
さんざん言っていたのをみなさんご存じだと思います。
「直ちには影響がない」という言葉は、「いずれ影響がある」と言っている事です。
放射線の被ばくというのは、今日見ていただいたように大量の被ばくをしてしまうと、
大内さんのような形で死んでしまうというようなことにもなりますし、
髪の毛が抜けてしまうだとか、火傷になる、吐き気がするとか、というような、
沢山の被害が出るという事はもう昔から分かっていました。
それを急性障害と私たちは呼んでいますが、
そのような障害が出ないような微量な被ばくであっても、
長い年月が経つと、癌や白血病になって死んでいくということが、
広島長崎の経験者の人達からだんだんだんだん分かってきた事なんです。
今日私はみなさんに対する日本の法律は
1年間に1ミリシーベルト以上被曝してはいけないのが日本の法律です
というふうに聞いていただきましたけれども、
それだって、「安全だから」として決められたのではないのです。
被ばくというのはどんなに微量でも危険ですから、
1年間に1ミリシーベルトという被ばくも危険です。
どのくらい危険かというと、1ミリシーベルトの被ばくをしてしまうと、
ごくごく平均的な人の場合には2500人に1人の人がやがて癌で死ぬという位の危険です。
それぐらいの危険度というものを「我慢できるかどうか」という事で考えた上で、
ま、「1ミリシーベルトぐらいは我慢させよう」と言って決められたわけです。
ところが福島第一原子力発電所の事故のあとは、
1ミリシーベルトという被ばく量を守れない範囲が広大に、すでに生じています。
先ほど見ていただいたように、日本の政府地震が放射線の管理区域にしなければいけないという所が
広大に広がっているという地図をさっき見せているわけです。
そういう所では外部被ばくという、
大地が汚れていたそこから被ばくするだけでも多分1ミリシーベルトを超えてしまうと思います。
土浦もそういう地域に入っていたと思います。
もう一つ問題なのは、内部被ばくというものがあって、
放射性物質を呼吸で取り込む、あるいは食べ物などによってとり込んでしまうという、
そういう形の被ばくの仕方があります。
そしてそれが外部被ばくの上に上乗せされて行ってしまうという事になってしまいます。
私は、正直に言えば、
日本が法治国家だというのであれば、放射線管理区域に指定しなければいけないような地域の人々は、
全員逃げるべきだと思います。
逃げるべきだというよりは、国家が逃がすべきだと思います。
それは一人一人を勝手にどこかに逃がすのではなくて、
コミュニティーごと、村ごと、町ごと、きっちりと新しい町をつくれるような形で、
どこかに移住させるというような事をやるべきだと私は思いますし、
そのために日本の国家が倒産しようともやるべきだと、私は思います。
ところが残念ながらこの国ではそういう判断はしないで、
今、人々を汚染地帯に取り残しているのです。
大変残念な事態になっていますが、
その中で私がやりたい事は、子どもを被ばくから守るという事だと思いますと、
私は先程聞いていただいたわけです。
先程、あまりはっきりと私は物を言いませんでしたけれども、
私は実は今日この会場にきて下さっている大人の方々を守りたいと全然思っていないのです。

大人の人はもう諦めるしかないと私は思っています。
ただし子どもは守らなければいけないので、
子どもをどうやって外部被ばくから守るか、
子どもをどうやって内部被ばくから守るかという事を、
その事だけを私は考えてほしいと思っています。
外部被ばくから守るやり方は簡単です。
要するに、地面を剥げばいいんです。
ただし先ほど三上さんが言ったように、
そんなのは出来っこないんです。全部の地面を剥ぐなんていう事は。
森だってある、山だってある、
畑だって田んぼだって、土を剥いだら田んぼの土も死んでしまうわけですし、
殆どのところはできない。
でも子どもが集中的に時間を過ごす場所だけは、私は土を剥がなければいけないと思っている。
学校の校庭であるとか幼稚園の園庭であるとか、
そういう所の土は必ず剥いで子どもたちの被ばくを減らすべきだと主負っております。
それが外部被ばくの防護方法です。
あ、そうですね、もっと言ってしまうとですね、
それも…う…ん……ものすごく難しいんです。
放射能というのは濃縮する場所もあるし、流れてしまう場所もあって、
この地域全体はそんなに汚染していないと思っていても、
猛烈に濃縮している場所があります。
今私たちはそれを黒い物質と呼んでそれを探していますけれども、
そこらじゅうにあります。
猛烈に放射能の濃度が高い物質があるので、
そういう物質を地域ぐるみで見付けて、子どもたちの場所から引き離すという事をやって欲しいと
願っています。
次に内部被ばくですけれど、
内部被ばくはもう出来る事は子どもには汚染された食べ物を回さないという事です。
その時に一番の障害になっているのは、これもまた日本の国です。
日本の国というのは今基準を決めています。
1kgあたり100ベクレルという基準を決めてそれ以下の食べ物は、
「もうみんな安全だから野放しにする」といっているのです。
でもじゃあ、1kgあたり99ベクレルのものは安全なのか?と言えば、もちろん安全じゃないんです。
90ベクレルのもの、50ベクレルのもの、10ベクレルのもの、1ベクレルのものと、
ずーっとあるのですけれども、
それぞれに危険なのです。
福島第一原子力発電所の事故が起きる前に、
日本のお米は1kgあたり0.1ベクレルしか汚れていなかったのです。
もし、100ベクレルの汚染が何でもないというなら、
1000倍の汚染物を子どもたちに食べさせてしまうという事になってしまうのです。
そのようなやり方は私は正しくないと思います。
危険はみんなあるわけですから、ちゃんと測って、
「このお米は何ベクレルの汚れである」という事をきちっと知らせて、
子どもには極力汚染の少ないお米、あるいは食べ物を回していくという事を私はやりたいと思っています。
という事は何を私が言っているかというと、
食べ物のパイは決まっているわけで、
汚染の少ないものを子どもに回すという事は、
汚染の強いものは大人が引き受けるという覚悟が出来なければいけないのです。
そういう覚悟をみなさんがした上で、もっともっと、今の日本の政府がやっているのではない、
きちっとした汚染の状況を調べて、
それを公表して人々が選べるようにしなければいけないと私は思っています。
学校給食についてもそうですけれども、
子どもについては極力綺麗な食べ物を与えるという、
そういうようなシステムをつくりたいと私は思いますし、
皆さんにもそういうためにお力を貸していただきたいと思います。
そして最後ですけれども、逃げたらいいのか逃げなければいいのかというご質問ですけれども、
え…そういうことを沢山私は聞かれてきました。
どこの場所で聞かれても、「私にはわかりません」ということでしかお答えが出来ないのです。
国家が責任を持って人々を逃がすべきだと、私は思いますけれども、
それを国家がやらない時に、一人一人が本当に逃げられるのか?というと、
逃げた時に引き受けなければいけない生活の崩壊、家庭の崩壊という事の重さを考えてしまうと、
もうそれは一人一人に判断していただく以外に仕方がないと思ってしまいます。
大変苦しい選択をみなさんが背負わされてしまっているわけで、
こんなような選択を迫るような原子力をやはりやめさせるしか無いんだなというふうに、
私はまた意を強く、改めて思うようになっています。
放射性廃棄物の処理
01:34:50
質問:
次に多かった質問が放射性廃棄物の処理の問題に関してです。
どうする事がベターなのか?
茨城の高萩も候補地にあがりましたねということ、
放射性廃棄物の最終処分方法として地層処分が有力視されていますが、
本当にこの方法で大丈夫なんだろうか?
あるいは海に埋めるというのはどうなんだろうか?という具体的なこと。
あるいはすごいですね、
60代女性、「原発のゴミは国会周辺にある公園に保管するのはどうでしょう?」というwのがあります。
この放射性廃棄物の処理について現在の技術あるいは今後の技術によって、
どの程度まで処理という技術が進んでいくんだろうか?現実性が高まるんだろうか?ということについて、
小出先生お願いいたします。
小出:
人間が原子炉というものを動かし始めたのは、1942年です。
米国がマンハッタン計画という原爆製造計画を立ち上げて、
原爆の材料であるプルトニウムという物質をどうやって作れるか?と考えた時に、
原子炉という道具をつくろうと考えて、原子炉を動かし始めました。
その時から、原子炉というものを動かしてしまうと、
核分裂生成物という、いわゆる死の灰ですね。
それが出来てしまうという事は分かっていたし、
これをやり続けると大変なことになるという事も分かっていたのです。
ですから、生み出してしまう核分裂生成物、死の灰を何とか消すことが出来ないかという研究は、
その時から始まっているのです。
すでに70年経っている。
何とか消さなければいけないという研究をずーーっと続けてきたのですけれども、
でも、できない。
というのが現時点なのです。
70年間出来ないという事は、ほぼ出来ないと思うしかないと、殆どの学者は思っていると思います。
そうなればどうすべきなのか?と言えば、
生きている私たちの環境から遠ざけるしかないのです。
私たちの生活環境に出てこないようにするしかない。
じゃあどういう方法があるのか?という事をさまざまにこれまで考えてきたのです。
たとえば、宇宙に捨ててしまおうという案がありました。
ロケットに乗っけて宇宙に飛ばして、宇宙で捨ててくるという案を考えた。
でもこれ、出来ると思いますか?みなさん、
ロケットって時々失敗しておっこってくる。
そうなったらもうどうしようもないわけですから、これはやはり技術的にできないという事になった。
その後、深い海の底に埋めてしまおうとか、南極の氷に埋めてしまおうという案など、
さまざまな案が出てきましたけれども、
どれも、原子力の恩恵を受けた国だけの海ではないし、南極でもないしという事で、
国際条約で全て次々と禁止されてきているんです。
それで今はもう、どうしようもない、地底に埋めるしかないんだという事で、
地層処分というものが日本で唯一、唯一の手段として法律でも決められてしまった、という事になったのです。
そして日本の国は、じゃあどこに埋め捨てにするのか?という事で、
日本中の地方で、過疎で財政に苦しんでいる市町村を回って、
「お前のところに埋めさせてくれたら金やるぞ」と言って、埋め捨て場所を探してきたんです。
20年近くに渡って探してきたけれども、
さすがにこれだけは「うん」という自治体がどこにもないという状態で、
先ほど三上さんが言ってくださったように、
「もうどうしようもないからモンゴルに押し付けよう」という、そういう案まで出てきているわけです。
大変恥ずかしい国だと、私は思いました。
ではどうすればいいのか?と私は問われるのですけれども、
申し訳ないのですけれども、私も分からないのです。
私は「分からないから原子力はやってはいけない」と言ったんです。
自分で始末のつけようも知らないようなゴミを作るという、その事自身が間違えているのだから、
「原子力はまず即刻止めないければいけない」と、私は言ってきました。
そして埋め捨てにするなんていうことだって、
「安全なんて保証できない訳なんだからやってはいけない」と私は言ってきた。
そうして国と喧嘩をずっと私は何十年もやってきたんですけれども、
原子力を進める国、あるいは巨大会社、学者達が、どんどん計画を進めてきたというのが歴史でした。
最近になって9月11日になって、
日本の学者の国会と言われるような学術会議という団体が、初めて提言を出しました。
「今まで日本の政府がやろうとしてきた埋め捨てという事は、安全性が保証できないからやってはいけない」
と言ったんです。
「当り前だ」と私は思いました。
しかし、「当たり前だ」と思った以上に私が思ったのは、
「お前らなんで今まで黙っていたんだ」私は思ったんです。
みんな知っていたはずなのに、偉い学者たちがみんな口をつぐんで、
この問題にかかわらないようにして、国の暴走を許してきたという歴史だったと思います。
「どうしたらいいのか」というご質問で「国会議事堂の周辺に埋めろ」という…私は賛成です(笑)。
原発労働者問題
01:40:35
三上:
私は30年ぐらい前の本でですね、タイトルだけ記憶にあるのが広瀬隆さんの書いた本でですね、
「東京湾に原発を」という本があったんですよ。
安全だったら東京湾につくれと、
そうしたら、送電コストがないじゃないですか、送電ロスがないじゃないですか。という事です。
送電コストはですね1円位あるんですよ。
そして送電ロスは約1割あるんですよ。
そうしたら原子力発電所6円がですね、すぐ7円異常になっちゃうよという位の問題を解決できて、
東京湾につくればいいんですよ、本当に。
だけど「危険」だから、東海村に持ってきたんですよ。
だからお金を毎年東海村に払っているんですよ。
みなさんは「お金で東海村に原発を置いて良い」って言って、
昔の村長。
今の村上さんじゃありませんからね。
昔の昔の人がそういったという事です。
もうひとつ、僕のところの質問にですね、
「原子力発電所で働く人の労働者の問題はどう思いますか?」という質問がきています。
実は私はですね、何万枚もビラをつくってこれを配りました。

その中に1234…7つの反対の理由を書きました。
今、今度このビラを新しく書き換えようと思っていますが、
8番目の理由にですね、労働者の問題をあげたいと思っています。
大雑把な、大雑把な人間だから言うんだけどね、
東電が労働者に5万円1日払いますといった時にですね、
下請けの下請けのまた下請けという人達が働いて、
中にはヤクザを連れてきたりとか、
あるいはどこへ行っても断られるような人たちを連れてくるようななかで、
ピンハネの構造の中で、最後の人は1日1万円でなければ働けないような賃金になっているんですね。
そしてね、かなりずさんなんですよ、これが。
1年間に何日以上働いちゃいけないってなっているんだけど、
そのうまく誤魔化したりなんだりする仕組みがあるから、下請け労働者を雇うなと、
「直接電力会社が雇った人間だけが作業をして、名簿の管理をしっかりしろ」と言ったらね、
5万円が1万円にならないんですよ!

被ばく者をどんどんどんどん今作っているんでしょ、原子力発電所でみなさん今働きますか?
自分でまず働いてみようと言ったら、総理大臣になる人は1日働いてから総理大臣になるとかね、
国会議員もそうすればいいんだよ。
「国会議員になる人は1日原発で働いてみろ」と。
あの過酷な労働は聞いただけでぞっとしますよ。
ぜひみなさんも働いてみて下さい。
01:43:05
原発立地自治体のこれから
質問:
村上村長にもかなりたくさんの東海村から起こしになったみなさんから質問が寄せられていますけれども、
今、パパッと見てみられて、いかがですか?村長。

村上:
まぁ、私の方には案外少ないですね、質問は(笑)、小出先生へのものが多いので、
私に対しての質問の中でですね
「脱原発を実現したい、
しかしこれまで原発産業に依存してきた地域を存続させていくにはどうしたらいいんだ」と、
「なんか必要なものはどういうことが必要なのか?」と、
「廃炉ビジネスだとか、再生可能エネルギーだとか言われているけど、どういうものを考えているのか?」
というものがございます。
一番の悩みは私もそこなんですね。
東海第二原発で働いている人たちがいます。
それから、それにぶら下がって生活している人たちも沢山おります、産業として。
東海第二原発には通常1200名ぐらい働いているようです、
これは下請けまでひっくるめてですけれども、今の下請けまでひっくるめてですが、
ま、全てが東海村の人じゃございませんが、東海村の人はその3分の1ぐらいでありますが、
そして確かに東海村では、依存した産業としてはたとえば、
定期検査の時に作業員の方が沢山やってきます。
その人たちを泊める宿。
それからその人たちを輸送する交通機関。
そしてまた、ま、よそに来て働きますから、みんなで酒を飲もうということになりますよね、
だいたい男の人が多いですから、女の人で原子炉に入っているのを見た事はないんですが、
そうするとやっぱり飲み屋さんとかいろいろあるわけで、
あるいはそういう物品を納入するという、いろんな作業服とか、靴だとかを納入いたしますが、
そういう人たちもいますし、という事で、
これが一番悩みですよ、やはり。
私は原発に依存した社会というものは、存続できないと思っております、明らかに。
今、自民党政権になっても、「じゃあ50基みんな再稼動しますか」なんて、
そんな事はあり得ないと思っております。
出来るはずもないと思っております。
ですから、脱原発、これは日本の世の中の流れが、世界の流れでもあるわけですが、世の中の流れ。
だから原発に依存しない社会を早く作っていかなければならないと思っています。
そのためには、ある程度の覚悟は必要だと思っておるんですね。
先程、電源交付金、原発から4億円、
ま、その他ここは原子力研究機構というのがありまして、
そこから6億円位の電源交付金が入っています。
それから固定資産税は原発から11億円ぐらい入ってきますが、
その事は、ま、財政的にはその事を捨ててやっていくという事は、世の流れだから出来ますが、
じゃあ、「雇用はどうするんだ?」という事になりますが、
この雇用をどうやって生み出していくかという事でございますが、
これはひとつは先ほどから出ていますが、廃炉ビジネスというのがあります。
廃炉ビジネスは、脱原発の流れは止まらないという事から言いますと、
廃炉ビジネスはこれからの産業となりますが、
それがどの位の雇用を生むか?という事で、現実にやっておりますが、東海村でやっておりますが、
どれ位のものがそれに関わる事が出来るか?と、
先程も原電の将来のあり方というもので、政府の方も考えているという事は、その流れでありますが、
それにも期待しますが、しかしこの地域社会としてどうするか?という事については、
いずれにせよ、日本全体は、私は、経済経済経済、経済成長に依存してという事は
やっていける時代ではないと思っておりますが、
しかし東海村は、今までの蓄積されたものがあります。
原子力の科学研究、あるいは科学技術研究と。
これはやはり、原発を閉じていくため、あるいは消していくためにも必要な技術でありますから、
その点では、東海村には施設も人も蓄積があるという事。
そして、それは私は続いていくだろうと思いますし、
もうひとつは、原子力科学研究というのは、
いわゆるエネルギーをつくる分野から別の分野。
まさに先端基礎研究と言われる分野。
東海村では大強度陽子加速器施設という施設がありますが、
J-PARCと言っていますが、それがあります。
これはやはり21世紀型の研究、科学研究分野の先端を行くという事で、
文化的な立ち位置、社会的な価値があるという事で、
この社会的な価値、文化的な価値、経済的な、すごく経済的な価値じゃなくて、
その事を活用した町づくり。
で、J-PARCというのは、なんの金も、実はくれません。
固定資産税もくれませんし、それから電源交付金なんてましてくれません。
でも私は、だからこそ、それは価値のある施設なんだと、
東海村にとっては宝物なんだというふうに、逆説的に思っております。
こんな良いものを抱えた時に、東海村の村民が自らの力で町作りをしていくんだと。
これがない限り私は、いずこの町でも永続した町作りというのは出来やしない。
そういう日本の国家ももたないという、
そういうちょうど転換期にこの原発事故というのは起きたんだというふうに思っているんですね。
だからその覚悟を「みなさんやりましょう」と、
東海村の村民のみなさん、日本人も覚悟して前へ行きましょうというのが願いですー拍手ー
それくらいの力は、私は日本人にはあるだろうと思っております。
もう、すぐに金くれるものにぶら下がっている限りはもう将来はないと思っておりますので、
なかなか適切な答えを出せませんが、そういうふうに思っております。
01:50:00
01:50:28
三上:来年の8月の選挙に村上さんをお願いします。
お三方にクリスマスプレゼント~♪
で、おしまい。
とても温かい雰囲気の脱原発サミットでした。
ありがとうございました(。・∀・ ハ)'`゚チ'`゚チ゚
↓こちらにある第一部の動画も必見です(✪ื‿✪ื)
<前半>「自民党政権・津波対策」脱原発サミットin茨城12/24(動画・内容書き出し)
豆腐の上の原子力発電所・走り出したらもう止められない12/24小出裕章氏in茨城(書き出し)
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2012.12.24 月祝日 会場 東海文化センター
東海村村長 脱原発をめざす首長会議世話人 村上達也
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
湖西市市長 脱原発をめざす首長会議世話人 三上 元
37:44~第二部

司会者:
今回の責任者の一人でございまして上田と申します、よろしくお願いいたします。
去年の12月5日に小出先生にメールをいたしまして、「茨城にきてくれ」という事で、
一年がかりで夢が実現いたしました。
三上さんにはそれに合わせて、村上村長は何をおいても行くという事で、来ていただきまして、
お詫び申し上げなければならないのは今日は村長の話がちょっと短かったんじゃないかと思っております。
また私たちが村長とジョイントしてこのような会を企画したいと思っております。
私たちのスタッフの中で、自由民主党が今回の選挙で非常に大きな議席を占めている
それでその中で脱原発運動はどういうふうにして行ったらいいのか、
自由民主党はどのような原子力政策を打ち出してくるのか、
そういうことをぜひ聞いて欲しいと、そういうふうに言われましたので、
先ずその事をお伺いしたいのですがいかがでしょうか?村上村長から。
村上:
もうすでに自民党がどういうふうにしたいのかは、先程のあいさつの中でも申し上げましたが、
今回の選挙は、脱原発という世論は60%~70%、あるいはもっと80%もあったと思うんですけれども、
しかし、その票が分かれててしまったと、あるいは民主党への失望もあって、
民主党の中にはじつは原発ゼロを目指すロードマップの会というのもありまして、
それには80名ぐらいの国会議員がおったんですね。
そういう点では福島原発事故を踏まえての新しいエネルギー政策、
原子力政策という物を一生懸命探ってきたわけですが、
しかし残念ながら政権内で意見の統一が出来ないで、
今年の9月14日のエネルギーと環境の戦略、革新的エネルギー戦略というものを、
ちっとも革新的じゃありませんでしたが、あれを立てていたんだけども、
9月19日には閣議決定見送りという、あの失望があったと思うんですが、
ま、自民党は明らかに原発推進という事、これは体質的にそうだと思っております。
ですから、その事とこれから我々は対峙していかなければならないと思っております。
しかし、福島原発事故のインパクトはいかに自民党といえども無視はできない。
我々は原発の問題につきましては、あるいは原発事故の事につきましては
相当な知識を持つ国民となっておりますので、
私はおいそれと3年半前に戻るという事は出来ないだろうというふうには見ております。
まさに自民党が目指すものと、我々が脱原発を目指すものは違っているわけだけれども、
しかし我々の方の脱原発の意識というものは崩壊しているとは思っておりません。
今日の会場の雰囲気を見てもそうです。
原発政策は変わるか?と言えば変わるだろうけれども、
元には戻らないだろうと私は思っております。
司会:それでは、つい先日自民党を退けられましたピカピカの市長さん、
三上:
でもね、全部の得票の中の55対45でしたから、
僕を100にするとですね、相手候補は81.5を取っているんですね。
100対81.5です。
だから、それなりに向こうさんはやっぱり票を集めているんですね。
そんな事がありますので油断はできないと思いますが、
今日のブログの話をさっきの私の話しの中でしたと思いますが、
5つの行動を是非していただきたいと思います。
第一はやはり、自民党の中で脱原発派がいます。
その人が今度の選挙で、うちの区がまさにそうですけれども、
全体の58%を取っちゃったんですよ。
第二位は3分の1にも達しなかったんですよ。民主党が。
民主党は3分の1すら取れなかった。
という事はね、ここに自民党支持の人がいるかもしれませんが、
自民党支持で脱原発を訴えますと、圧勝する人が多いという事は
自民党が政策を脱原発に切り替えたらですね、超政権になる可能性があるという事です。
しかし、そういう事を考えないのが自民党なんですよ。
だからね、多分自民党はね、再開をしようというふうに思うし、同時に新設もしよう、だろう。
大間のマグロで有名な、マグロじゃなくて原発で有名にしちゃうんだと。
青森の一番北をですね。
函館の市長がダメだと言っていますけれども、ひょっとするとそういう可能性がある。
浜岡を稼働させたい。
東海村を稼働させたい。
大間の工事を再開したい。
という事を自民党は言いかねません。
その辺をですね、河野太郎あたりを動かして、自民党の中から変える。
連立を組むと言われている公明党は、うちにも議員がいますから、
公明党の議員には「脱原発でしょ、自民党にハッキリ言ってよ」という形で言っています。
農協と漁協もそうですから、農漁協にも僕はよく話をしますが、
町という場所、農地が汚され、海が汚されて、日本で良い訳がありませんから、
コストの件について言うのは経営者に対してです。
けれども、そうでない所へは、人によって変えるんですね。
経営者に対しては「あなた勉強すればわかるでしょ?」って言ってですね、
分からない連中をバカ呼ばわりするんですね。
馬鹿か、勉強嫌いかと言って迫っちゃうわけですね。
まだこれが分からないの?だって保険に入って御覧なさい。
あなたの会社は保険に入っているでしょ、火災保険に入っているでしょ、
何故原子力発電所はその保険に入らないの?変でしょ?
って言えばね、「そうだよな」って、分かってくれるはずなんですね。
だから人によって言い方を変える。
僕はね、元は軍人志望ですからね、
軍事的に見たって、北朝鮮がミサイルを持っているんでしょ?
日本に原発があるんでしょ?
そしたら右翼に対してですね、
「戦争がはじまったら、原発を抱えて戦争なんてできない」と言ってですね、
右翼の方にはそういうんですよ。
だから人によって言い方を変える。
説得していただきたいともいます、以上です。
司会:小出先生どうでしょう?
小出:
はい。
私は、…もうずっと、政治には絶望したし、
政治には一切かかわらないとずっと言い続けてきていますので、
今のこの場で発言する事はあまり正しくないと思いますし、
すでに村上さんと三上さんが基本的な事をお話し下さっています。
やるべきことはもちろんあるわけです。
自民党が大勝するという厳しい状況になっているわけで、
自民党はこれから次々と再稼働させると私は思っています。
場合によっては、新しい原発まで彼らはつくろうとするのではないかと、私は思っていますが、
そのような事は決して許したくないと思いますし、
私自身は原子力発電所というものは、
エネルギーが足りようと足りなかろうと、電気が足りようと足りなかろうと、
即刻やめなければいけないものだと思っています。
「即刻やめる」と言わない候補者には絶対に入れないという事をみなさんがー拍手ー
司会:
小出先生に確認をしたいのでございますけれども、
福島の事故の事につきまして、今、たとえば東海でも浜岡でも、
堤防のかさ上げとか水門の対策をどうするかという事をやっております。
福島の事故はあれは津波が起こしたのであるというのが一つの意見でございますね、
それからもうひとつは地震で配管が破れたという説もありますが、
これは似ているようで全然違いますね。
小出:
今、日本の国、あるいは電力会社がどこで彼らの防御線を引こうかとしているか?といえば、
福島の事故は全て津波が悪かったと、津波さえ来なければ大丈夫だった。
という所で彼らは闘いをしようとしているのですね。
ですから浜岡だったら、高さ18mの防潮堤をつくればいい、
いや、それじゃあちょっと足りなそうだから22mにすればそれでいいんじゃないかという、
そんな事の議論しか彼らはしていないのです。
しかし、福島第一原子力発電所の事故には、
多分地震によることの破壊という事もあっただろうと私は思います。
その事は福島第一原子力発電所の事故の調査をした国会事故調査委員会の結論にもなっています。
そしてもし地震が事故の大きな要因になっていたとするのであれば、
津波だけではなくて、もう日本中地震から逃れられる原子力発電所は無くなってしまうのですから、
ほとんどもう再稼動できないというところに行ってしまうわけです。
ですから、彼らの方では、なんとしてでも地震を無視するということで、彼らはやろうとしています。
ただし、私は津波や地震がもし問題ないという事が出来たとしても、
それでも原子力発電所はダメなんだと思っています。
人類はこれまで原子力を沢山やってきましたけれど、
過去4回炉心が沢山溶けてしまったという事故を経験しました。
一番初めはイギリスのウインズケイルという軍事用の原子炉でした。
二番目は米国のスリーマイル島原子力発電所。
三番目が旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所。
そして四番目が福島第一原子力発電所です。
原子炉が溶け落ちてしまうという事になったのですが、
その4つの原子炉のうち、地震あるいは津波でそうなったというのは福島だけです。
ウインズケイルもスリーマイル島もチェルノブイリも、
地震も津波も何にも関係なくて、原子力発電所という機械の性質で壊れてしまっているのです。
機械というものは必ず壊れるし、
それを動かしている人間というのは必ず間違いを犯すという存在な訳で、
地震が来なくても、津波が来なくても、
場合によっては壊れてしまうと覚悟しなければいけないということを、
きちっと過去の歴史が教えてくれている訳ですから、
「地震・津波の対策が出来たら再稼働」なんて言う事を私は許したくないし、
機械である限りは全てー拍手ーしたいと思います。
司会:三上さんはいかがでしょうか?浜岡の現状を見ながら。
三上:
全くその通りでございまして、石橋克彦先生、地震のですね、
まさに30数年前に、「浜岡が危険だよ」と言われた元祖なんですね。
その時は東大の地震学者の中で若かったから、「若造がそんな事を言っている」という事だったんですが、
私は気象庁に訪問したんですね、市長になってまもなく。
そうしたら、世界でね、地震予知が出来るというように可能性があると思って、
地震予知の機械を何十ヶ所にも置いて地震予知をしようとしているのは、
「駿河湾だけ」なんだそうです。
他の地震学者は全部諦めているんです。
予知なんてできないと。
けれども、「最も地震が起きる確率が高いのがこの浜岡周辺だから」と言って、
予知しようという機械が何十ヶ所にも置いてあってですね、
「出来たら予知したい」って言っているわけですね。
そんな浜岡でですね、
危険極まりないところに原子力発電所の稼働だなんて、全くとんでもないと思いますし、
もう一つですね、今、小出先生は遠慮した形で言ったんでしょうが、
「エネルギーが足りようが足りまいが」と言ったんですけど、
原子力発電所が必要なのは、夏の昼間のピーク時だけなんですよ。
夏だけが2割で良いんですよ。
だから、夏だけ2割節電すれば済む事なんです。
直ちに可能なのは2割るぐらいの節電でもね、それはね、まずね、
夏の昼間だけでも電気料金を2と言わずにですね、5割とか倍ぐらいにあげちゃうんですよ、
そしたらまず、一般市民はかなり使わなくなるでしょう。
これで1割減りますよ。
その次にですね、工場は2週間連休取れと、
日本人はね有給休暇を消化しないんだから、2週間消化すればいいんですよ。
交代で休む。交代で。
そしたら大体2ヶ月で10週間位ある間の2週間づつを、だって、10週間ですから2週間の2でしょ。
工場で1割減って一般市民で1割減ったらそれで十分じゃないですか。
もう原子力発電所は直ちにいらないという形で簡単なんです。
うちの市役所はそれやったんですよ。
ピーク時の1時から3時の一番暑い時に市役所のクーラーを全部止めたんですよ。
暑くて病気になりそうな奴は図書館は止めないから図書館に行けと。
あるいはね、有給休暇を時間で取って良いから、
2時間有給休暇を取って海水浴へ行けというふうにしまして、
市役所を2時間止めたんですよ、クーラー。
直ちに無くしても何の問題もありません。
客席:沖縄には原発はないよー!沖縄には一台もないよ!
三上:
沖縄に無いのはね、
原発がもし沖縄にあったら、あそこはですね、巨大な基地があるわけですから、
北朝鮮や中国ともし何かがあったら、沖縄が狙われてですね、直ちに沖縄が滅ぶから、
米軍の理由でつくらせないんですよ。
そういう事です。
司会:
現在浜岡は停止という事で、民主党政権のもとで止められている訳ですが、
東海第二については政府のお墨付きというか、そういうものがない状況の中で、
村上さん、どういう、ま、政府からの働きかけとか、経済界からの動きとか、
そういうのはどういうふうに感じておられますか?
村上:
働きかけはありません、私のところには。
直接的な圧力もありませんですが、
原電はあの通りに盛んに「津波対策それから地震対策をやっていますよ」という事で、
対外に新聞記者を呼んだりして発表をしておりますし、
まぁ、意欲満々だろうと思いますね。
自民党が勝ったという事で「さぁ大丈夫だ」という事なんでしょうが、
一方では「原電をどうするんだ」という議論も始まっているようであります。
それは敦賀1号機の方はもう40年過ぎているわけですし、
そして2号機の方には「直下に活断層がある」と言う事になってきたという事。
そして、東海第二の方も言われるんですが、
「東海第二は地元の村上村長が反対しているから再稼働は難しい」と。
で、原電は結局3基しかございませんので、
そうしてまた3号機4号機を敦賀でつくろうと考えているわけですが、
これはまた、ま、民主党政権下では3号機、4号機の新設はしないという事で言われていました。
そういう中で今探しているのは、実は日本経済新聞の記事なんですが、12月6日かな、
「経済産業省を中心として、原電の今後のあり方というものについて検討し始めている」
というような記事が載っておりました。
それは原電を中心として原発の廃炉機構というものをつくって、
原電を廃炉ビジネスの中心にしていこうというようなこともいって、
「検討している」というような事が日本経済新聞には出ておりました。
そういうことで、原電の問題についてはいろいろと、今後も紆余曲折があるのかなという事で
探していましたが、今記事がとうとう出てきておりません。
それとやはり今後は各地域地域で覚悟を激化していかなければならないんじゃないかなと、
脱原発をという時に、日本全体に広げるにはですね。
たとえば東海第二は極めて危険だ。
地震の起こる可能性も極めて高い地域だと。
そしてまた、東海第二は異常な立地であると。
先程小出先生からお話がありましたが、100万人も30km圏内に住んでいる。
で、東京から110kmという、
こういう立地条件で、果たして避難なんていう事は考えられないし、損害賠償も出来やしない。
そしてこれは茨城県民の、ここの周辺の人達の、私は責任だと思っていますし、
そして浜岡は、これは静岡県民の責任ですね。
あれもまた、さっきから言われている様に異常な立地でありますし、
それから敦賀だって私は同じだろうと思いますし、
六ヶ所村とか東通りなんていう所も同じだろうと。
いろんなところで、
その地域地域でやむを得ないから日本全体で一気に脱原発というふうにできないとするならば、
私ども立地周辺の、立地地域と言いますか、
その中で、今後の政府方針の転換についてやっていくということになろうかとおもいます。
(さっきから探していた経済新聞の記事)ありましたね、11月28日。日本経済新聞で。
これは「日本原電 発電ゼロ続く 経営も問題に発展の恐れ」で、
経産省は水面下で経営再建策を練っている。
他の電力会社と統合したり、廃炉専門会社にしたりする案が出ている模様だ。
ある電力会社の幹部は「国は日本原電を核に廃炉機構をつくるのである」と
これは日本経済新聞の記事でありました。以上です。
この続きはこちら↓
豆腐の上の原子力発電所・走り出したらもう止められない12/24小出裕章氏in茨城(書き出し)
<後半>脱原発サミットin茨城12/24小出裕章氏・三上元市長・村上達也村長(動画・内容書き出し)
ーーー
東京新聞で記事になりました。
【茨城】
東海村で「サミット」 「脱原発」の灯消えない
東京新聞 2012年12月25日
原発のない社会を目指して市民や有識者らが集う
「脱原発サミットin茨城」が二十四日、東海村の東海文化センターで開かれた。
村上達也村長、京都大原子炉実験所の小出裕章助教、
「脱原発をめざす首長会議」世話人の三上元(はじめ)静岡県湖西市長の三人がパネリストとして出席。
原発に頼ったエネルギー政策の問題点や自民党政権移行後の「脱原発」活動のあり方など、
さまざまな角度から語り合った。 (永山陽平)
市民団体「茨城の環境と人を考える会議」の主催で、
前福島県知事の佐藤栄佐久氏らを招いた十月の開催に続いて二回目。
会場には村内外から約800人が集まり、
小出助教と三上市長の講演に続いてパネルディスカッションが行われた。
原発の危険性を専門家の視点で訴えている小出助教は、
五十基もの原発が建てられた経緯や東京電力福島第一原発事故による汚染状況などを説明。
原発の安全神話が崩れて多くの日本人がだまされたと思ったとしても
「だまされた側にも責任はある」と断じ、
「この事態を起こした大人として、子どもを被ばくから守らなければならない」と強調した。
中部電力浜岡原発から約六十キロの距離にある湖西市で脱原発活動をしている三上市長は
元経営コンサルタントの経験を生かして
「東海村で原発事故が起こると、土地の買い上げなどで76兆円が必要になる」との試算を打ち出し、
「原発はコストが安いと言われているが、廃棄物の処理などで結果的に高くつく」と主張した。
パネルディスカッションで三上市長は、再稼働に前向きな自民党政権下での脱原発活動について
「自民にも河野太郎さんら脱原発の議員がいる。彼らとともに自民を中から変えたい」と具体策を紹介。
村上村長は
「脱原発の国民運動は消えない。
原発に依存しない社会をつくるには覚悟がいるが、
カネをくれるものにぶら下がっているだけでは日本に将来はない」と訴えて締めくくった。
三回目のサミットは来年四月七日に同センターで行われる予定。
ーーーー
第二回脱原発サミットin 茨城 前半
村上村長・小出裕章氏・三上市長(途中まで)の動画
音声のみ
第二回 脱原発サミット in 茨城より
2012年12月24日
司会:
小出さんにお伺いしたいんですけれども、
東海第二原発というのはですね、実は調べてみると、
原子炉自体は非常に強固な岩盤の上につくらなければいけない、そういうふうに決められている。
で、実際に日本原電が出しているような、安全安心パンフレットを見ますと、
「強固な岩盤の上にある」というふうに書いてあるんですが、
ネットなどで調べてみたり、学者の論文等を読んでみたり、政府の発表物を見たりすると、
「東海第二原発は5mのコンクリートの板の上に乗っかっている」と。
「その下に8mのコンクリートをさらに打って、人工岩盤というふうにしている」
で、「さらにその下には泥岩という岩がある」
政府事故調などは「軟質岩盤」と言って、すでに強固な岩盤と言っていないのですが、
こういう原発というのはどういうふうになるとお考えでしょうか?
小出:
今、ちゃんとお話し下さったけれども、東海第二原発だって、全然強固な岩盤じゃないですよね。
でもそんな事を言ったら、日本中強固な岩盤の上に建っている原発なんて無いだろうと私は思います。
浜岡だって、相良層とか言っていますけれども、ボロボロですよね。
あれは手に持ったらバリバリと割れるようなところだし、
東京電力の柏崎刈羽原子力発電所なんていうのは砂丘の上に建てようとした。
「いくらなんでも砂丘の上はまずいだろう」という事で何10mも穴を掘ったけれども、
いくらやってもちゃんとした岩盤が出てこないという事でそこに建ててしまった。
昔から「豆腐の上の原子力発電所」と呼ばれていた。
そこが地震に襲われたらものすごい揺れになって、あちこちボロボロに壊れてしまったというのが、
つい何年か前にあったということで、
この世界中の地震の1割から2割が日本で起きるというそんな国で、
安心して原子力発電所を建てられるような場所はもともとなかったのです。
無いのに、とにかく建てたいという事で、
「用地さえ買収できてしまえばもうどこでもいい」と、
後は地盤が悪ければ「人口岩盤だ」というような事でこれまでやってきてしまった。
という歴史があったと思います。
今、敦賀の日本原電の第二原発という所でも「原子炉の下に活断層がある」と。
実はそれだって、「はじめからわかっていたはずだ」と私は思います。
でもとにかく「そこに建てるしかない」という事で、
審査をする人たちが「これは活断層ではない」と言ってしまえばもうそこに建ってしまうという、
そういう事だったと思いますし、
東海第二原発も適地ではないし、
日本中に原子力発電所の適地はどこにもないんだというふうに思っていただきたいと思っています。
司会:
その事とちょっと関連いたしまして、小出さんにお伺いいたしますが、
私は大学の時代に沢山の大学の学生が入る学生寮におりまして、
原子工学というのをやっている学生とよく話をしたんですけれども、
その人と話して工学上非常に重要なフェールセーフ(Fail Safe)であると、
フェールセーフであるというシステムが生きていないと、そういうものはつくってはいけないのだと、
彼は非常に理想主義的だとそういうふうにおっしゃった。
原子力発電所はいつまでたっても熱がとれない。
永久に冷やし続けないといけない。
そういうのって、フェールセーフって言えるのかな?
人類の創作物としていいのかな?というのは感じるんですが、いかがでしょう。
小出:
原子力発電所の場合にはフェールセーフという言葉は、
要するに「なにか間違えた事をやっても安全なんだ」というフェールセーフという言葉もあるし、
フールプルーフ(fool proof)という言葉もありました。
それはプルーフ、馬鹿ですね、
「運転員が馬鹿な事をやってもきちっと保証できるようにする」と、
それが設計思想になっていると、ずっと彼らは言ってきたわけで、
設計思想としてそうするという事はむしろ当たり前のことであるんですね。
人間は間違えた事をするし、何か具合の悪い事が時に起きるという事は当たり前な事なのであって、
それに対して設計上対処しておくという事は、当然の考え方です。
しかし、それが原子力の場合には成り立たないのです。
みなさん、車で今日ここに来られた方がいらっしゃると思います。
たとえば時速40kmか50kmで走っていて、
走っている途中にタイヤが一つポロリと落ちてしまったといったら、
みなさんはすぐにビックリしてブレーキを踏んで、ある人はエンジンを切るかもしれない。
そうしたら、ま、何10mかは走るかもしれないけれども、そこで時速は0kmになりますね。
必ず止まります。
しかし、原子力発電所というものは、ウランの核分裂を起こさせて熱を発生させるわけですが、
核分裂を起こさせた途端に、核分裂生成物という放射性物質が原子炉の中に溜まってくるのです。
それで放射性物質はそのもの自身が熱を出すというのが基本的な性質です。
今日の原子力発電所は100万kwというのが標準になっていますが、
100万kwの原子力発電所というのは、
電気になるのが100万kwという意味です。
原子炉の内部では300万kw分の発熱をしていて、
わずか3分の1だけが電気になって、
3分の2、つまり大半の200万kw分は使う事が出来ないまま海に捨てているという、
そういうバカげた装置なんです。
その上に、300万kw発熱しているという、
その熱のうち7%はウランが核分裂しているのではなくて、
すでに炉心に溜まってしまった核分裂生成物、そのものが出しているんです。
何か事故が起きてウランの核分裂反応を止めるという事は、かなり比較的容易です。
多分福島の事故の場合も止められたと私は思っています。
しかし、原子炉の中に核分裂生成物が溜まってしまっている限りは、
7%分のエネルギーは止める事が出来ないんです。
発熱は。
つまり、超悪化、もうここで止まらなければいけないと思って
どんなにブレーキを踏んでも、エンジンを切っても車は止まれないんです。
それが町中の人ごみの中であろうと、山の中の崖っぷちであろうと、
タイヤが外れたまま走り続けなければ壊れてしまうというのが、原子力発電所というそういう機械なのです。
どんなフェールセーフも、どんなフールプルーフももう成り立たないという、
初めからそういう基本的な性質を与えた機械です。
ですから、設計思想としてフェールセーフ、フールプルーフという事をやる事は、
私は当然だし、いいことだと思いますけれども、
原子力というのはそれが成り立たない技術であると思っていただきたいと思います。
フェールセーフ(Fail Safe)
故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することをあらかじめ想定し、
起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をしておくという設計思想。
例としては、石油ストーブが転倒すると自動的に消火するよう設計されていることや、
加圧水型原子炉の制御棒の電源が切れると制御棒が自身の重さで炉内に落下して
自動的に炉を停止させるよう設計してあることなどが挙げられる。
フールプルーフ(fool proof)
工業製品や生産設備、ソフトウェアなどで、
利用者が誤った操作をしても危険に晒されることがないよう、設計の段階で安全対策を施しておくこと。
正しい向きにしか入らない電池ボックス、ドアを閉めなければ加熱できない電子レンジ、
ギアがパーキングに入っていないとエンジンが始動しない自動車、などがフールプルーフな設計の例である。
「fool proof」を直訳すれば「愚か者にも耐えられる」だが、
その意味するところは「よくわかっていない人が扱っても安全」。
その思想の根底には「人間はミスするもの」「人間の注意力はあてにならない」という前提がある。
安全設計の基本として重要な概念である。
投稿者: ourplanet 投稿日時: 水, 12/12/2012 - 13:16
協力:城南信用金庫
今、起きているという事は、私から見るとあまりにもひどい事が起きているんですね。
たとえば、猛烈に汚染してしまっているところがあって、人々が追い出されている。
そして帰れないのです、この先何十年も。
そこの土地が無くなってしまったというそういう状態なんですね。
かつて日本は戦争をして負けましたけれども、
国家が戦争で負けても土地があった。
国破れて山河ありだった訳で、人々は生きてこられたわけですが、
放射能で汚染された土地は、失われてしまう。
誰もそこを使う事が出来ないという、そういう土地になってしまっているわけですね。
戦争が起きても生じないような、ひどい被害が今現在生じている。
そしてその周辺に、何百万人もの人々が捨てられて、
今現在も被ばくをしながら生活せざるを得ないという事になってしまっている訳で、
そういう人たちの「苦悩」「重荷」というようなものを、どうやってはかる事ができるのか、
金銭的な事も含めて、はかることができるのか?と考えると、
「もうどうにもならないひどい事がすでに進行している」と思う、私は思うのです。
しかし、本当に不思議なことだと思うのですが、
政治の場、あるいは経済の場にいるという人達は、
それを感じないような人たちばっかりなように思うのですね。
新しい原子力規制庁なんていう所をつくったということになっていますけれども、
私から見ると本当にお笑い草です。
今までの原子力ムラに君臨してきた人たちが、また委員になって、
日本には原子力基本法という法律があって、
「平和利用に限る」という文言はついていますけれども、
「原子力を進める」という法律があるのですね。
そのもとでやはりまた、原子力を進めてしまうという事にならざるを得ないのです。
もう少しまともな人に委員になって欲しいと私は思いましたけれども、
でも、誰がなっても同じです。
この国の基本を変えなければいけないという事に、もっと多くの人に気がついて欲しいと思いますし、
せめてこれまで原子力の旗を振って来た人々は、
自分の責任というものをもっときちっと自覚してほしいと、私は思います。
変わらぬ原子力ムラ
原子力の世界で起きてきた事を見ると、「本当に戦争とそっくりだな」と思います。
一度、私自身もそうでしたが、原子力に夢を持ってしまった事がありました。
殆どの日本人は原子力に夢を抱かされたわけですし、
政治の場にも経済の場にも原始yろくに夢を持ってしまった人は沢山いた筈だとおもいます。
そして、一度原子力に足を踏み込んでしまうと、
「それがいかにひどいものだ」という事が分かっても、
それに異を唱える事ができなくなってしまうという状況だと思います。
先程も聞いていただいたように、
福島の事故という、あまりにも悲惨な事故が起きてしまった今でも、
原子力から足を洗う事が出来ないというような人達は、
政治の場にも経済の場にも沢山いるんですね。
「何でここまで来て気がつかないのか?」と私は思いますけれども、
多分、一度動き出してしまった社会の仕組み、
あるいは巨大な流れというものは、そう簡単には止められない。
それは、日本という国内だけの問題ではなくて、
「世界全体の政治の流れ」という物の中に組み込まれてしまっていて、
ま、日本という国は、私は米国の属国だと思っていますけれども、
米国は日本に原子力を売りつける事で金儲けをしてきた国ですし、
原子力というものはもともと「核」と私たちが呼んでいるものと同じもので、
米国は日本に「核」を一部分力を持たせることで、
中国当の国と対抗させようという思惑もある筈であって、
容易なことではこの流れは変わらないだろうと思います。
残念ながら私の力などは全く非力で、なにを言ってもなにも出来ないままここまで来てしまったわけです。
おそらく今後も私の力などは圧倒的に非力だと思います。
でも唯一希望があるとすれば、
いま、多くの人達が、自分の頭で考えて、自分の足で立って、
自分の意思を表明するという行動をあちこちで起こしれくれるようになってきた。
東京で言えば毎週金曜日の首相官邸前デモというのがまだ続いていますし、
関西でも関西電力に対する抗議行動がある。
そこいらじゅうでそうやって、誰から動員されるのでもない、誰から命令をされるのでもない、
自分の意思で自分の発言を続けるという方々が、今生まれてきて下さっていますので、
そういう力がもっと大きくなっていくのならば、…
本当なのかどうかはわかりませんけれども「原子力を止められる日が来る」と、少しは期待しています。
大飯原発
「原発が全部止まると電気が足りなくなる」と言って、関西電力の大飯3号機4号機を再稼働させました。
二つ合わせて270万kwですけれども、
大飯の原発を再稼働させた途端に関西電力は300万kw分の火力発電所を停止した。
それだってちゃんと電気は足りる。
もう当たり前なんです。
政府の統計データがそれをもうきちっと立証していて、
原子力発電なんて即刻辞めても「電気が足りなくなる」なんていう事は絶対にないのです。
それを電力会社や政府が嘘をついて、国民を脅かして、再稼働を認めさせた。
まぁ、橋下なんていうのは始めから期待もしていませんけれどもw
でも橋下にしたって、大阪市長ですね、今の。
それにしたって「停電するぞ」と脅かされたら屈服して「負けました」とか言ってしまうんですね。
本当に情けない人たちだと思いますけれども、
電気が足りるか足りないかという議論である限りは、もう決着がついています。
原子力はいりません。
では、原子力を止めたら電気代が上がるか?と言えば、
短期的には私は上がるだろうと思います。
なぜなら、すでに建ててしまった原子力発電所を使わないで、火力発電所を使うしかないと、
火力発電所を使おうと思えば燃料がいりますので、燃料代がかかるだろうと思います。
「でもそれがいったい何なんだ」と私は思います。
これまでだって、国や電力会社は「原子力が一番安い」だとか言ってきましたけれども、
それは彼らが都合のいいシナリオを書いて計算しただけの値であって、
先程も聞いていただいたように電力会社の実際の経営データを使って計算すれば、
原子力は元々から一番高かったんです。
ですから、そんなものを選択しなければ日本の電気代はもっともっと安かったし、
中小企業の人達はもっともっと楽に生産活動ができたんです。
それを日本の政治、あるいは電力会社があまりにも愚かな選択をしたがゆえに、
高い電気代にすでになってしまっている。
そして挙句の果てにこの事故を起こして、一体どれだけの負担を負わなければいけないのか。
東京電力なんていくらやったって簡単に倒産します。
結局は今日本の政府が国のお金を注入してなんていう事をやっている訳ですけれども、
みんな私たちのお金です。
中小企業だって、汗水たらして働いたお金をみんな電力会社の不始末のために奪われていっているという、
そういう事になっている。
そして、これも先程聞いていただいたように、
自分で始末のできないゴミをどんどん作りだして、
それを10万年100万年の未来まで、後の世代に押し付けなければならないという、
もう、いったいいくらお金がかかってしまうのか分からない事を、
今たまたま私たちの時代の享楽的な生活を支えるために選択しようとしているのです。
どうしてこんなバカげた選択ができるのか?私にはさっぱりわからないし、
ちょっとぐらい電気代が今短期的に上がりますよという事なら、
もちろん受け入れるべきだと私は思います。
ただ、困る人達はいるわけです。電力会社ですけれども、
すでに持ってしまった原子力発電を即刻廃絶するというのであれば、全てが不良資産になりますので、
電力会社、日本中の電力会社、沖縄電力はいいですけれども、
それ以外の会社は多分倒産すると私は思います。
でも仕方がないのです、それは。
一刻でも早くやった方が、まだ傷が浅いです。
これからやればやるだけ彼らは重荷を背をわなければならないし、
その重荷のツケは結局私たち国民が払うのです。
今は日本中の電力会社を全部倒産させてもいい。
「それだけの負担を今の世代で引き受けるしかないと思う」のがいいと思います。
子どもたちを放射能から守る
一番いいのは逃げる事です。
放射能を相手に戦かったって勝てません。
向こうは・・・・・強いです。
いくらやっても消せない、人間が戦っても。逃げるしかないんです。
ですから本当なら日本の法律があるわけで、
放射線の管理区域にしなければいけないような地域に、人々が住む事自身がいけない事なのですから、
そういう汚染地帯からすべての人が私は逃げて欲しいと思います、子どもも含めて。
でもそれができない現実が今や目の前にありますので、
それならどうやったら子どもたちを被ばくから守れるか?という事を考えなければいけない。
考える事が大人の責任だし、思いついた事を何でもやるべきだと思います。
そして沢山あります。
たとえば子どもにはできる限り汚染の少ない食べ物を与えるという事はやらなければいけないと思います。
でも、今現在日本の国は、それをやろうとしていないんですね。
ある基準を決めて
「基準以上のものは跳ねるから安心しろ」
「基準以下のものは安心しろ」と言ってしまうわけです。
今日本の政府が決めている基準は1kgあたり100ベクレルです。お米でも何でもそうですけれども。
じゃあ99ベクレルのものは安全なのか?90ベクレルのものは安全なのかと言えば、
もちろんそんな事は全然ないのです。
もともと日本のお米なんていうものは、福島の事故が起こるまでは
1kgあたり0.1ベクレルしか汚れていませんでした。
それを100まで許すという事は1000倍許してしまうことになるのですね。
そんな食べ物を私は子どもに与えていいとは思わないし、
何とかそれをやらないで済むようにしたいと、思っています。
ところがいまそれが出来ないのです。
今たとえばここにお米がくる。
このお米が一体1kgあたり、なんベクレル汚れているのか?という事を知ることが出来ないのです。
私は知れます、測ればいい。
私が自分で、測りたければ。
でも私が測れる量なんていうのは知れてる訳だし、
日本中にいる子どもたちを守ろうとしても、私にはそんな力はないんですね。
今多くの地域では、自分たちでそれを測ろうとして、
放射能の測定室をつくってやっている人たちが沢山います。
「ありがたいことだ」と私は思うし、
そういう動きが広がって行って、少しでも子どもの被ばくを少なくできる。
少なくするという事は必要な事だと思います。
でも、私たちが汚染と呼んでいるものは、
もともと東京電力福島第一原子力発電所の原子炉の中にあった放射性物質なんです。
もともと東京電力の所有物だったんです。
それを東京電力が嘘をついてばら撒いて、食べ物でも何でも汚れてしまっているわけです。
本当であれば自分の所有物がどこにどれだけ汚染を広げているかという事は、
東京電力こそがそれを測定して人々に知らせる責任があるのだと私は思います。
メディアと原発
昔、大宅壮一さんという人が、テレビが日本でどんどん広がってきた時代に、
テレビの事を「1億総白痴化の道具だ」と言った事がありました。
私は本当にそうだと思います。
いまの日本人、多分多くの人は、職場でも家でもテレビをつけて、
見たくない時間でもテレビがついていて、
たまたまついている映像がチョット面白くないと、ガチャガチャガチャと、チャンネルを変えてみて、
また少しでも面白いところで見ている。
それもまた面白くないと、またガチャガチャと変えて、テレビを見ていると。
テレビを見るために人生が終わってしまうというような、
そんなような生活をしているんではないかなと、私は思ってしまいます。
それはあくまでも向こうから与えられる情報だけを見ているのであって、
自分が何が大切で、自分にとって大切な情報を自分の力で取って行こうという姿勢が、
次々と奪われて行ってしまった歴史なんだと思います。
そしてそのテレビ、あるいはメディアというのは、
丸ごと飲み込まれていた、もともと国家や経済界に。
東京電力という会社は日本を代表するような巨大な会社でした。
でも、その東京電力が政治家に金をばらまいて政治を牛耳って、
マスコミに金をばらまいてマスコミを牛耳って、
「原子力発電所だけは安全です」という宣伝をずーっと流し続けてきたんですね。
マスコミも全くそれに抵抗できないまま、
スポーンサーの意向のままに情報を流すというマスコミが、
テレビを中心に、新聞もそうだと思いますけれども、ずーっと続いてきてしまった。
それがもう、生活というか、企業のあり方というか、マスコミのあり方というか、
完璧に染み付いてしまったがゆえにそこから抜け出ることが出来ないのだと思います。
たね蒔きジャーナル
毎日放送のたね蒔きジャーナルという番組に、私は去年の3月14日から出してもらえました。
それまで私の意見を拾ってくれるマスコミなんていうのはまずは無わけですけれども、
ようやくに私の意見も、いわゆるマスコミの一部で拾ってもらえるようになって、
私は大変ありがたかったし、毎日放送に感謝しています。
そして、私から見ればありがたい事に、
関西だけではなくて、関東や東北の人達も、
その毎日放送をどうやって聞くのかは私にはわかりませんでしたけれども、ちゃんと聞いてくれる。
そしてそれを何か、インターネットで流してくれる人たちもいて、
世界中で私の発信を受け止めて下さるというような事が起きて、
本当にありがたいことだと、ずっと思い続けてきました。
ですから私はたね蒔きジャーナルに対して、感謝の気持ちしかありません。
本当にこれまで1年半近く場所を提供してもらって、ありがたい事だったと思っています。
しかし、それを「面白くない」と思う人達は必ずある。
もちろん原子力ムラはそう思っただろうと思いますし、
関西で言えば関西電力だって「面白くない」と、思っていたに違いありません。
しかし関西電力が、たとえば関西電力が毎日放送に対して、
「たね蒔きジャーナルを潰せ」と要求したのか?と言えば、
「多分そうではないだろう」と私は思います。
そうではなくて、毎日放送という一つの巨大なメディアとして、
これまでずーっと作ってきてしまった姿勢、というか、会社のあり方と、
そのものが、「自己規制」すると。
国家、あるいは巨大産業の進めていこうとする流れに対して、
「自己規制」をしたのだろうと私は今推測しています。
それが本当かどうかはよく分かりませんが、多分そうだろうと思います。
そして、その事こそ一番危険な事なのです。

自分が本来やるべきことを忘れてしまって、
メディアがメディアのやるべきことを自分から投げ捨てるという事が、一番危険な事だと私は思いますので、
なんとかまた、毎日放送にもたね蒔きジャーナルを復活させて欲しいと思いますし、
毎日放送だけじゃなくて、他のメディアも、
「本当に自分たちの仕事は何なのか」という事をもう一度考え直してほしいと思います。
ーーー
文化放送「吉田照美ソコトコ」も来春3月で終了するという話があります。
西の「たね蒔き」東の「ソコトコ」
なんという事でしょうか
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<前半>「わかりません。 人類が経験した”初めての事”なのです」
小出裕章さんに聞く 12/1愛川欽也パックイン・ニュース(内容書き出し)
via パックイン・ニュース kinkin.tv (20121201)
愛川欽也
ゲスト・小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
山田厚史(ジャーナリスト)
樋口恵子(評論家)
内田 誠(ジャーナリスト)
升味佐江子(弁護士)
横尾和博(社会評論家)
(※音声からの文字起こしですので、お名前が分からない所があります。)
愛川:
小出先生のお話を聞いていると、良くこの頃ね、選挙ももうすぐ始まりますが、
なんか、ちゃんと原子力安全委員会みたいなところが大丈夫って言って、
やるだけの事をやって安全性が確保できたら、「確保できる」って言っちゃうんですからね、
政治家ってひとは。
そしたら、「それは運転してもいいんじゃないか」っていう事を言っていますね。
小出先生から見て、これは福島で、ここはもう完全に使い物にならないけど、
あと51基ぐらい。
今2基しか動いていないんですけれどもね、これも強引に動かしたようですけれども、
これでその他は今止まっているんだけれども、動かしたいらしいんですよ。
そういった時にその人たちが、「まずますの安全性を確認した」という事を言うらしいんですけれど、
こういう話を聞いてて、小出さんが原子力の学者として見てらして、
どう思いますか?
小出:
この福島の原子力発電所も、彼らは「安全性を確認した」と言って動かしたのです。
東京電力は「安全だ」と言ったし、
国も東京電力の主張を調べて「ちゃんと安全性を確認した」と言って許可を出した原子炉が、
今こういう状態になっているのです。
それと、そういう許可を出した人達と同じ人たち。
私は原子力ムラと呼んできましたけれども、
そのムラというものが全く無傷のまま生き延びていまして、
組織はだいぶ名前が変わったりして今は原子力規制庁、原子力規制委員会とかになっていますけれども、
やっている人はみんな一緒なんですね。
その人たちがまた「安全性を確認して動かす」というような事を言っているのですけれども、
「みなさん、ちゃんと事実を見て下さい」と、私はまずはお願いしたいと思います。
ーー:
でも、先程の使用済み燃料の問題なんですけれども、
たとえば4号機というのは今非常に不安定な状況で、
「柱がついて大丈夫だ」って言っているけれども、グラッと来たら分からないですよね。
で、ちょうど3.11の後、年末かなんかにディスクローズされたんですけれども、
あの時に「一番大変なことが起こるようだったら、
首都圏の3~4000万人がみんな避難しなければいけない状況があったんだ」という事が、
12月ごろになって表に出てきたんですけれどもね、
今はもう「そういう状況になるという事は絶対にない」ような安全になっているんですか、これ。
さっき伺ったらもう、ガラガラと使用済み燃料が落っこっちゃったらですね、
そうとうな事が起きるんじゃないかと思うんですけど、その辺はどうなんでしょうか?
小出:
もちろん起きるのです。
ですから去年の事故の直後に原子力を進めてきた人たちも
4号機の使用済み燃料プールが倒壊するような事になったら大変だという事に気がついて、
すぐに評価をしているのですね。
原子力委員会の近藤駿介さんという委員長を中心として評価をして、
もし4号機の使用済み燃料プールが倒壊するような事になれば、
燃料がまたそこで溶けて、膨大な放射性物質が噴出してきて、
東京も含めて、もう避難をせざるをえなくなるという、
そういう報告を彼らが作ったのです。
その状況は今でも全く変わっていませんので、
もしそこにある使用済み燃料プールが、今でも毎日あるような余震で、
次に大きな余震が来て崩れ落ちるようなことになれば、もちろんその可能性はあるのです。
ただし、「運」なのです。
要するに放射能が噴出してしまえばあとは風に乗って流れるだけなのであって、
風が太平洋に向かって流れてくれれは東京は助かるかもしれないし、
北風が吹いていれば東京がやられるという事になります。
ーー:
風に乗って流れていって、
実は原発の恩恵なんか何にも受けてなかった福島県の飯館村なんていう所が、
ほとんど全村帰れないような状況でいますね。
あれ、いったいいつになったら…
本当に「帰れる」と思ってみんな希望を持っていいんでしょうか?
小出:帰れません。
ーー:帰れませんですか。
小出:
今、日本の政府、あるいは原子力をこれまで進めてきた人、
そしてこれからも進めようとしている人達は、
「除染をすれば帰れる」というような事を言って、人々に幻想を持たせているのですが、
飯館村を含めて猛烈な汚染を今しています。
日本は法治国家と言われてきましたが、
その法治国家である日本がもし、自分が作った法律を守ろうとするのであれば、
「放射線の管理区域」という所に指定して、私のようなごくごく特殊な人しか入ってはいけない。
でも私のような特殊な人間が入っても、「水すら飲んではいけない」という、
そういう場所に指定しなければいけない汚染、それの10倍汚染しているんです。
飯館村などは。
到底帰れないと私は思いますし、
大変お気の毒で、私は言うのも辛いですけれども、
やはり「帰れない」という事をしっかりと国として伝えて、
早く飯館村が再建できる、
その場所ではない、残念ながらその場所ではないけれども、
コミュニティーごとどこかに移動して、そこに新たな飯館村をつくるという、
そういう作業を早く始めるべきだと私は思います。
愛川:
このね、そんなに危険な原発がまだあちこちにあって
で、おっしゃったように風の吹くままで、風が太平洋に向かって吹けば大丈夫だっていうような、
偶然の、なんか事を頼りに、
原発をあちこちでこれから動かしていくと、
その今の原子力が、規制委員会がOKとしたならばという事を言っているし、
私たちの頭の中でも「とりあえず俺のところは大丈夫だ」という事を言ってるんですね。
こういう事を言っている人たちに対して、やっぱり、
小出さんは、とんでもない奴だと思いませんか?
小出:
もちろん思います。
どこか町の小さな工場が、たとえば事故を超して毒物をどこかに流したというようなことになれば、
すぐに警察が踏み込んで、そこの人達を逮捕して、刑事罰でも何でも加えると私は思いますけれども、
今はこの福島の事故が起きて、モーレツな放射能が東北地方、関東地方の広大なところに降り注いで、
人々を苦しめている。
それでも誰も処罰されないのですね。
東京電力の会長、社長、これまで原子力を進めてきた原子力委員会、原子力安全委員会、政府の人達、
誰一人として処罰もされないと。
大変私は「不思議なことだ」とそれだけでも思いますし、
その人たちがいまだに原子力の実権を握っていて、
相変わらず「安全性を確認したら動かします」というような事を言っているわけで、
私の常識から言えば到底信じられない事が起きています。
ーー:
ちょっと戻るようで申しわけない、二つお聞きしたいんですけど、
4号機の使用済み燃料プールがもし崩壊した場合ですね、
1号機から3号機というのは今、
注水循環冷却なるもので、溶けたメルトダウンしたものを冷やして
水をまた回収するという事をやっていますよね。
これがいったいどうなるか?っていう事と、
それからもうひとつはさっき石棺というふうにおっしゃいましたけれど、
石棺をつくるという方針ではないですよね、今のところ。
それから地下ダムの問題もあって、
実際抑えるという事がいまの日本政府は正しい方向に向かっているのか?
という事についていかがですか?
小出:
4号機の使用済み燃料プールが倒壊した時に、
実際どういう事が起きるか?という事は、なかなか正確に予測できないのです。
でも本当にその使用済み燃料の中に含まれている放射性物質が全量出てくるような事になれば、
もちろんもう、福島原発の中に、敷地の中に人がとどまることはできませんから、
もう全員が撤退すると。
つまり1号機から3号機で今事故収束というか、
なんとか放射能が出てくる事を食い止めようとしている作業すらをすべて放棄するしかないと思います。
そうなればもう、放射能が出るに任せるという事になってしまうと思います。
それから石棺の事に関しては、
現在政府、あるいは東京電力が描いているやり方というのは、
私は先程「石棺をつくるだろう」と言ったのとはちょっと違うのです。
そのやり方というのは、まずは使用済み燃料プールの中の使用済み燃料は
とにかく安全な場所に移そうというのは、私と一緒です。
多分、そのために10年あるいは20年かかると私は思います。
そのあとで彼らは、「溶け落ちてしまった炉心をまた掴み出したい」と言っているのです。
でも私は多分それはできないと思います。
それをやろうとすると猛烈なまた被ばくになってしまいますし、多分出来ない。
で、出来ない以上は私は石棺をつくるしかないと、思っているわけですし、
いま内田さんがおっしゃって下さったように地下に遮水壁というものを張り巡らせて、
地下水と接触しないような事もやらなければならないと思います。
でも政府の方はそうではなくて、とにかく全部掴み出すというのが政府の計画で、
それをもし、本当にやることになれば20年30年あるいは40年、
もっと長い時間が結局かかっていくだろうと思います。
愛川:
その掴み出して、小出さんは今「どこか安全なところにそれを」って、
その安全なところってどこですか?
小出:
ないんですね、それが。
少なくても、でも、そこの使用済み燃料プール4号機のは、
もう建物地震が崩れようとしているのですから、
まずそこからは出さなくてはいけないということになっているのですね。
手前の右下の方にあるのが共用の使用済み燃料プールという建屋なんですが、
そこにはまだ、建屋自身倒壊していないし、まだ少し健全な形のプールがありますので、
そこに多分、まずは移すことになると思います。
でも、最終的にこれから何十年何百年毒性が消えるまでに100万年という毒物ですので、
本当にどうする事が安全なのか?それすらが分からないということです。
愛川:
よく言うのがね、
日本はこうやって、じゃあ止めてもいいけれど、よその国はどんどん造っているじゃないかと、
そういう事なんだからこっちも造っていないとというような事を言う人達は、
そこに一体安全の根拠はどこへ行っちゃったのかと、僕なんかは見ていると思います。
だけど普通の人は「そういう事なんだよね」で、そこで終わっちゃうんですね。
そういう所で終わっちゃうという事で、小出さんから見て、
やっぱり僕らはメディアから教わるわけですね。
こういうこと言っちゃなんだけど、日本の新聞とテレビとか見ていて、イライラしませんか?
小出:(笑)
愛川:ごめんなさいね。
小出:大変イライラします。
愛川:
あのね、僕もつくづく思うんですよ。
我々の知恵なんて本当にタカが知れているんで、
小出さんにお話を聞いて、もう…ですから1年ぐらいですかね、前に来てもらって、
その時から小出さんは、その前に来た時も大体同じ様な話しを聞かせてもらったんだけど、
つまりこれをどういうふうにして私たちは、これをなくすには、
ま、毎週金曜日には首相官邸の周りをね、大勢の人達が行進をして、意思表示はしているけれども、
最近は新聞には写真も載らなくなっちゃったけれど、
そういうのが実際にしかし本当の怖いんだぞっていうことを、
今まで安全で安くて怖くなくて、プルサーマルなんてもう一回使えるって、
何時までの使える燃料だなんて滅多にないよという事で騙され続けた私たちが、
この…目を覚ますには、
小出さんはそういう仕事をしていらっしゃらないんだけど、
どうしたらいいと思いますかね?
しょっちゅう小出さんにきてもらうしかないかな。
小出:
私はもちろん原子力の専門家として、自分の知り得た事をみなさんにお伝えするというのが
私の仕事だと思っていますので、
今日もこうやって愛川さんに呼んでいただいて大変ありがたい事だと思っています。
ただし、日本の報道全体で言えば、この場所が非常に特殊なのであって、
ジャーナリズム全体はこれまでも国家、あるいは経済界、大きな企業と一体になって、
原子力を進めるという事もやってきたわけですし、
原子力の持っている危険性なんていうものは一切報道しない。
大丈夫なんだ、いいもんだということでしかこなかったので、
私は大変これまでもイライラするというか悲しい思いで来ましたし、
「これからもきっとそうなんだろうな」と、半ば、半分諦めています。
ーー:
だけど確かにね、「運」次第なんですよね。
運が良ければ、本当にうまーく渡っていければ、
何もなくて取り出して20年かけて処理出来るかもわかりませんけれども、
そんな保証はないですよね。
ガラガラガラときて、4号機のところにある使用済み燃料が下に落ちただけで、
もう日本は事実上もう、政治的にもパニックになるのは間違いないでしょうね。
小出:もちろん、そうですね。
ーー:そういうリスクと僕たちがいま隣合わせで生活しているっていう事じゃないですか。
小出:そうです。
いまだにそうであって、事故が収束したわけでも何でもないという事は、
皆さん承知しておいていただかなければいけません。
そして仮に「崩れ落ちなかったのならいいのか?」と言えば、そうではないのです。
崩れ落ちなかったとしても放射能は消えずにそこにある。
どこかに移さなければならないし、
それを10万年100万年これから閉じ込め続けなければいけないというようなものを、
私たちがずーっと原子力を選択することでつくってきてしまったということなのです。
ーー:それは、福島だけじゃなくて、今出ている核のゴミもそうですよね。
小出:そうです。
ーー:
また原発から出たゴミも含めて地層処理としても
何万年も何十万年というリスクを負わなければいけないということ。
小出:
そうです。
これまでは原子力の電気が一番安いとか、これをやらなければ経済が立ち行かないとか言いながら、
50基を超えるような原子力発電所をつくってきてしまったわけですが、
それが今日までに生み出してきた核分裂生成物は、広島原爆がばら撒いた核分裂生成物の120万発分。
愛川:120万発もつくったのか、
小出:
それをこれから10万年、100万年、どこかで閉じ込めなければいけないと、
享楽的な生活を何十年かしたかもしれませんけれども、
子子孫孫ゴミだけを押し付けるという事になる。
愛川:
それでね、これはもう地震でぶっ壊れちゃったんだけども、
そうじゃない奴でも、原子炉というもうつくっちゃったやつはね、
現にもうスタンバイしているわけです。
もう早く動かしたくてうずうずしている人たちがいっぱい居るんですね。
動かしたとして、普通にね、地震も無くて、風もそよがないで、寿命っていうのもあるでしょ?
小出:もちろんあります。
愛川:それはどのくらい?
小出:
40年だと思ってきたんですね。
ただ、要するに人類が経験した事のない機械を今動かしているわけで、
本当に何年持つか?は分からなかった。
とりあえず40年だろうと思ってやってきたわけですが、
たとえば敦賀とか美浜という原子力発電所は、すでにもう、42年経っているわけですね。
機械として動きそうだから、まだこれから10年、20年動かし続けたいという事で、
これまできていたのです。
で、福島の事故が起きて、やはりそれはまずいだろうという事で
「40年を限度にしよう」という案も出てはきていますけれども、
でも特例として、またさらに10年、20年の運転を認めてもいいというような事まで、
もうすでに言われているわけですから、
寿命はもっと長くされてしまう事もあると思います。
愛川:
ただ、原子炉ってのは、その、僕らが便利になっちゃっている車だとか汽車だとかなんだとかは、
事故があって、その事故がって、綺麗に片付いて、犠牲者は出ますけど、
そこで終わるんですね、一応。
コイツばっかりは終わりがないですね、これは。
小出:
そうです。
これはもう事故でたまたまこんな形になってしまっていて、
これから何10年何100年苦闘が続くのか、私にはわかりませんが、
事故を起こさなかったとしても、もう放射能まみれになってしまった原子炉がそこに残ってしまう。
愛川:なにも言えなくなっちゃうね。
ーー:
原子炉の問題って、なんか経済性とかですね、安全保障とかそういう事で語られているんですけど、
倫理的にやっぱり、相当問題な、やっぱり装置ですよね。
小出:
もちろん、安全性に問題があるからこそ原子力発電所だけは東京に建ってなかったんですね。
石原さんが「東京に建てる」とおっしゃっているけれども、
是非建てて欲しいと私は思います。
愛川:
本当ですね、だから私たちはやっぱりもう一回、こんなにね、なんか、
熱しやすく冷めやすい日本人ってよく言われますけど、
この原発だけはね、
とんでもないものをみなさんが作っちゃった。
造っちゃったんで、出来上がっちゃったものを、もう、本当の上手にあれしなかったら、
これ大変ですね、本当にね。
小出:
私たちの世代が、原子力なんていうものをやってしまったわけですから、
私たちの世代でなんとしても引導を渡したいと私は思います。
愛川:
わかりました。
また一つ小出さん出てきて下さいね、今日はどうもありがとうございました。
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via パックイン・ニュース kinkin.tv (20121201)
愛川欽也
ゲスト・小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
山田厚史(ジャーナリスト)
樋口恵子(評論家)
内田 誠(ジャーナリスト)
升味佐江子(弁護士)
横尾和博(社会評論家)
(※音声からの文字起こしですので、お名前が分からない所があります。)
愛川:
ちょうど1年9か月前に福島第一原発の爆発がありました。
この福島の第一原発が、ぶっ壊れたまんま今もあります。
そのなかで、東京電力さんという所が当時の福島と福島第一原発のやりとりの中の、
つまり残っていたVTRですね、それを小出しに少しずつ出していきましたら、
なんと昨日また新たな発見がありまして、
発見というかもう前から決まっていたんだろうけれども、
その時の非常に濃度の高い放射能を海に捨ててたというのを今頃になって出して、
つまり原発というのはこんなふうにして、1年9カ月経ってまだなんかこういう事を教えないでくれていた。
しかも大事なことが、発表されていくという遺産を残して、まだ今日もぼんやりと立っています。
そこがこの番組はずっとやってきたんで、
とうとうやめないでずーーーーっと、
去年の3月11日以降一回も欠かさずこの原発については語ろうじゃないかと言って語ってきました。
原宿でやっているころですね、
朝日ニュースターでやっている頃、小出さんにも出ていただきました。
その小出さんが、小出さんはあちこちでいろんなお話をして講演をやったりして、お忙しいんだろうけれども、
今日羽田に着く飛行機が少し早目だったんでこっちに寄っていただいたんで、
今日はスタジオにきてもらいました。
で、ま、小出さんがもう座っていらっしゃいます。
小出先生よろしくお願いいたします。
小出:よろしくお願いいたします。
愛川:
小出先生とは、今日まさに当時のまんまで、
これは1年9か月前の3月20日。ですから10日ぐらいしか経っていない、
その時の写真をそのまま映しています。
今日は小出さんに学者さんですから、小出さんに原子力の話を絡めて、
これはとっても、この程度で「もう収束した」って言っちゃう人もいるんですね。
僕ら素人が見ても、建物見たって、これは収束には見えない。
収束と同時に何か知らないけれどもだんだん風化してきて、
この後あんまり原発という事に関して何も言わなかった。
だけど実は小出さんに、いろいろお話を聞いてね、
これ、僕はとても収束していると思えるわけがない。
で、安全だったら、普通、ね、
みっともないから壊しますよ、これ。
で必ず次のマンションが建ったりね、あるいは旅館が建ったり、
海水浴場にふわさしいんじゃないかと、
なんか、あちこち壊れながらいるんですけど、最初に小出さんに聞きたい。
これは収束していますか?
小出:していません。
愛川:
僕が言うんだと皆さん信用しないんで、
小出さんがおっしゃるんだから。
みなさん、収束していませんよ。
つまりね、これを最初の話として、
1,2,3,4個あるんですね。
で、メルトダウンという言葉を、僕は生れてこの方知らなかったけれども、3月11日以降知りました。
最初に後藤さんなんかにも来ていただいて、
その頃は後藤さんも気をつけながらね、
「これ、メルトダウンっては今は言えないかもしれないけれど、もしメルトダウンだったら大変だよ」と
おっしゃっていました。
これメルトダウンですよね?
小出:もちろんです。
愛川:
ですからね、こうやって僕らはいろんな事で嘘をつかれながらね、
あるいは本当の事を知らずに、
こんな危ないものを、こうやっているのをね、塀をつくってちょっと隠してみたりね、
こんなもの、ブルーシートかなんかかけて隠しておいていいんですか?これ。
小出:
今、映っているのは左から2号機3号機4号機です。
で、もうひとつ左に1号機があるのですが、
1号機と2号機と3号機は事故の時に運転中でした。
大雑把に言うと、それぞれの原子炉の中に、
広島原爆がばら撒いた放射性物質の約1000発分を抱えた状態で事故に突入しました。
それが結局みんな溶けてしまって、
今そこに映っている建屋の下に溶け落ちてしまっている。
そして、それが今どこにあるか?すらが分からない。
なぜなら近づく事ができないからという。
今愛川さんがこれ全部取っ払ってマンションにしろとかおっしゃったけれども、
そんな事もちろんできない。
猛烈な放射能が、そこに今でもある。
でも、正確な状態でどこにどうやってあるかすらが分からないという、
そんな状態なのです。
愛川:で、で、あるにもかかわらずですね、
小出:はい
愛川:カーテンでも隠したい位なものでしょ?
小出:はい。
愛川:
しかしこれは、あの、ぼくは
広島原爆ドームをね、残そうじゃないかって、アメリカに爆撃された。
そのあと、ちょうどいろいろともっと、昔の話ですけれど、
残すように運動するのが全国で行われたんですよ。
僕らもその募金運動に協力して、あれ残してよかったなって思うんだけど、
あれは残したけど、あそこはもう危険じゃない、完全に。
これはもう冗談じゃないですか?
小出:
これはずーっと手がつけられない状態で、これから何百年という形で、
この上に多分、私は石棺という、過去、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所でやったような、
石の棺というものでこれを覆わなければいけないと思いますけれども、
それが、一度覆ってもボロボロになりますので、
今、チェルノブイリ原子力発電所では、
ボロボロになった石棺の上にさらに大きな石棺をつくろうとしています。
これも多分、10年20年経つと、この上に石棺というお墓ができるんだと思います。
でもそのお墓もボロボロになっていくので、
何十年か経つとその上にまたさらに巨大なお墓で覆うという事が必要になっていく筈です。
もう、愛川さんは生きてられないだろうし、私ももちろん生きてない(笑)ですけれども、
そういう仕事を私たちの子供、孫の世代が、
ずーーーっとこれから引きずっていかなければいけないという事になります。
愛川:
今じゃあ、ここに働いている人がいるんですね、事実ね。
で、この人達にとかく、
こんな大変な仕事をしていて「ご苦労さん」っていうふうなテレビ番組もありますけれど、
そこで働いている人って、そんな危ないところに入っていくんで「ご苦労さん」どころじゃないですね。
小出:
そうです。
ですから原子力発電所の作業者というのは、昔からそうだったのですが、
下請け、孫請け、ひ孫請けというような、ものすごく重層的な雇用関係が繋がっていて、
本当に危険な現場に行く人は、孫請け、ひ孫請け、
なんか10次ぐらいまでその下請けがあるそうですけれど、
危険手当までがピンハネされてしまって、貰う事が出来ないような構造になっているようです。
愛川:
そんな事して、その人達は核心に触れるようなね、
その核の棒のところに行くんじゃなくて、なんかゴミかなんか拾っているわけですか、
小出:
もちろんその原子炉建屋という建屋があるのですけれども、
一番右の4号機はですね、事故の時に運転していませんでしたので、
原子炉そのものがメルトダウンするという事はなかったのです。
だから確かに建屋は爆発して吹き飛んでいますけれども、
放射能汚染が比較的少ない状態で済んだので、
4号機の原子炉建屋の中にはまだ人が入れるのですが、
1号機から3号機までは人が立ち入ることすらが出来ないという、
それほどの猛烈な汚染なのです。
ですから、周辺で曲がりなりにも少しずつ片付けるという作業をする、
あるいは放射能が外に漏れてきているわけですし、空気中にも漏れてきているし、
汚染水としても漏れてきているわけで、
それを何とか、とにかく食い止めなければいけないという作業がずーっと続いています。
愛川:
そんな事をこうやって、そんな危険なところで働いて、
こうやっている事で食い止められるんですか?
こんな危ないものが。
小出:わかりません。
人類が経験した、「初めての事」なのです。
こんなことは…
チェルノブイリ原子力発電所の時だって、壊れたのはたった1個だったわけですけれども、
福島の場合は4個が、並んで全部つぶれてしまっているという、そういう状況になっていますので、
これをこれからどうやって収束できるのか?
何年かかるのか?ということは、
人間にとって未知の経験ですので、
どうなるか、正確に予測する事もできません。
ーー:
小出さん、先程ね、石棺は、
10年か20年経ったらこの上に石棺みたいなものができるだろうと、おっしゃいましたよね。
やっぱり、10年20年経たないとそういう作業には取り掛かれないということ何ですか?
小出:
というのは…
核燃料が存在していた場所というのは、2カ