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<福島第一原子力発電所>燃料の取り出し・汚染水・魚・凍土壁・「処理水」・他 おしどり・木野龍逸12/31報道するラジオ(文字起こし)

報道するラジオ年末特番『もう、だまされないぞ!2014』
2014年12月31日

ジャーナリスト 木野龍逸
夫婦漫才師 おしどり


http://youtu.be/tKn3AelBRBg?t=44m20s
福島第一原子力発電所から40km、大阪に避難しているいわき市の方


小出先生の話↓
<高浜のプルサーマル・40年期間延長・高温ガス炉・福島第一原発>
小出裕章氏12/31報道するラジオ年末特番(文字起こし)



文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/tKn3AelBRBg?t=45m59s

溶けた燃料の取り出し

水野:
先ほど小出さんがおっしゃていました、「溶けた燃料の取り出しはできないんじゃないか」と、
これはずっと会見などに出てらして、どう感じていますか?

マコ:
全然できないので、
今まで「燃料を取り出します」ということを、中長期ロードマップでずっと言ってはきたんですけど、

水野:
つまり、ロードマップ、工程表というのはずーっと作られています、廃炉に向かって。
それは全て「燃料の取り出しができる」という大前提の元なんですね?

マコ:
はい、だったんですけど、今年の秋ぐらいですか、木野さん。
なんか、原子炉の中のデブリの取り出しについては、時期的に、

水野:デブリというのは燃料、溶け出した燃料のことですね。

マコ:そうです。
時期的に、目処がつかないので、

水野:はぁ!「時期的に目処がつかない」というのは「無理」という意味じゃないんですか?

マコ:はい。
一応ロードマップの工程表の中から、外します」と。

平野:外す…

水野:外すーーッ!?

マコ:はい

水野:外すーー??

ケン:デブリは外されへんのにね。

水野:
うまいこといいはります、デブリ外してよ、まず。
デブリは外されへんけど、ロードマップからは外す。

マコ:はい。
使用済み燃料プールの中から燃料棒を取り出すことをまず先にするので、
そのことについての計画議論スケジュールを先にするので、
原子炉の中の燃料を取り出すことについては、目処が立たないので一旦それは議論の遡上からは外します。

水野:議論はしないんですね。

マコ:はい。

平野:ということは、それ以前にそもそも近寄れない場所はまだ、厳然としてあるわけでしょ?

マコ:はい

平野:だから中がわからないんでしょ?

マコ:わからないんです。

平野:そういうことですよね、木野さん。

木野:
どうなっているのかよくわからない、ま、何度も見ようとはしているんですけど、
その度に挫折しているんで、

マコ:そうなの

木野:いまの所見えていないですし、

水野:見ようとしているのは、小出さんがおっしゃっていたみたいにロボットとか?

木野:
そうです、はい。
でもなかなか上手くいかないで、なんか、ひっくり返っちゃったり色々していて、

水野:ロボットもひっくり返って、帰ってこないんですね?データを持って。

マコ:
そうなんです、そうなんです。
なので、あまりにももうロボットが使えないので、
ミューオンという宇宙線、外から飛んでくるレントゲンみたいな、宇宙線を使って、
レントゲンのように中を透過して見れないか?というのが計画に上がって、
そこの事業者を今月募集していたので、

ケン:19日とかでしょ。

マコ:まだ本当に、中がわからないです。

木野:
一応2025年とか、元の計画よりも5年ぐらい先延ばしして、
オリンピックが終わってしばらく経ったら、「始めましょうか」みたいな話もしているんですけど、
それ以前にちゃんと、実は法律に基づいて計画を出さないといけないんですけど、
廃止措置計画という、デブリを取り出すには。
それをいつ出すかも全然決まってないですし、
そもそも、出したらじゃあ、どこに持っていくの?と。

核燃料サイクルもそうですけど、使用済み核燃料もそうですけど、
持って行き場がないじゃないですか。
ただ単に先延ばししているだけの、同じことをまたやっている感じですね。

そもそも、持って行く先がなければ、廃炉なんてできないわけで、
そのできないことをなんかこう、先延ばし先延ばしにして、
はっきり言わずに、
「避難解除しましょう」とか、
「復興計画は廃炉を加速しましょう」とかという話をしているのは、
ちょっと、どうかな?と。
明らかにおかしいですよね。


水野:一番の根本のところを

木野:なんかおかしいですよね、話が。

水野:違ってきているんだけど「違うようにしますよ」という話が表になかなか出てこない。

木野:自分では明確に言わないし。


汚染水

水野:
思うようにいかないことだらけなんでしょうけど、
汚染水がどうなっているのか?っていう話も、最近情報がなかなか入ってこないように思うんですよ。
どうなんですか?今。

マコ:
汚染水ですか?
もう、あの…、漏れっぱなしというか、
敷地内に汚染水がどのようになっているのか?というのは
福島第一原発の中で井戸を掘ってどこの地点の地下水がどのように汚れているのか?
去年(2013年)の夏から調べだしているんですけど、
ビックリするのが、
井戸を掘って調べれば調べるほどいろんな種類のタイプの汚染が見つかってきて、


水野:いろんなタイプの汚染?

マコ:
トリチウムが濃かったり、セシウムが濃かったり、ストロンチウムを含んでいる全ベータが高かったり、

ケン:カフェオレだったりアメリカンだったりみたいな感じの、

マコ:美味しそうに言いましたけど、

水野:ハァ〜、そんなに様々な!

マコ:
調べてどこから何が漏れているのか?井戸を掘って調べるはずだったんですけど、
掘れば掘るほど、調べれば調べるほど漏洩源が一箇所じゃないということがわかって、
「調べれば調べるほどわからない」ということがわかりました。
っていう、
なんか無知の知みたいな、

平野:
先ほど小出さんの話にあった、よくおっしゃられるんですけど、
「沼のようだ」と。
「池のようだ」と、もうそういう状態なんですね。
もう、渾然一体になっているんですね。

マコ:そうなんです。いろんなものが混ざってしまって。


トリチウム

平野:
よくなんか、
「トリチウムは出しても安全だ」みたいな論議がありますけど、
専門家の研究を見ると、やっぱりDNAを壊すという、恐ろしい作用があるというのを
最近特に指摘されていますよね。

マコ:そうですね、弱いエネルギーでも膨大な量を出していますので、

水野:はぁーー

マコ:
ちなみに今の段階で、1日に海に、
ストロンチウムを1日に50億ベクレル
セシウム137を20億ベクレル
トリチウムを150億ベクレル

海に出し続けているんです、毎日

水野:毎日!!

マコ:はい。


ストロンチウム

水野:
私今ぱっと聞いて、一番「わ、それ危ない」と思ったのは、
ストロンチウムって、なんかものすごく人間に毒性が、

マコ:そうですね、エネルギーが高いので

水野:
毒性が高いって言われていますよね。
安全なものはないんですけど、骨にたまりやすいって。
それが海へ結局流れるんでしょ?

マコ:流れています。流れ出しています。




平野:
漁民の方も怒っていますよね。
漁がもう…
だから獲った魚は売れないし、
やっぱり東京電力への不信というのは、一段とまた高まってきているんじゃないですか?
これだけ年月が経てば経つ程何も解決しないという苛立ちですよね、
もう廃業の危機でもありますよね。

マコ:
もう、おっしゃる通りだと思います。
福島県が魚を測定しているんですけど、
魚がどのように濃縮、放射性物質が濃くなっていっているかはわからないんですけど、
キツネメバルという魚の種類は、大熊町で獲れたものが今月最高値を出したんですね。


水野:今月で最高!今頃になって。

マコ:
そうなんです。
だからそれがどんどん食物連鎖の中で高い位置にいるのか、
キツネメバルが割と低いところにいる魚なんですけど、
どういう経過かわからないんですけど、
最近割と色んな魚の放射性物質がちょっと高くなっている傾向があるので、

水野:へぇ〜〜

マコ:汚染水がずっと流れて続けてはいますね。


凍土壁

水野:
木野さん、凍土壁ってあったでしょ?
なんか土を凍らせてこれで汚染水が海へ流れ込まないような、
あれはどないなっているんですか?

木野:
いや、一応一生懸命作業は、進めていますね。
作業は進めていますけど、実際にちゃんとやったら止まるかどうかは、やってみないと、

水野:やってみないとわからないんですか?

木野:
完成して動かすまでわからないですし、
動かした後でそれがいつまで効果があるか?
要するに耐久性がよくわからないので、それもわからないですし、
そのためにお金がいくらかかるねん?とかね、
それがダメになったら次どうするの?っていうのもないですし、
要するに先がよく見通せないんですよ。

平野:あの計画自体私が聞いているのは、2〜300億かけているんですよね。

木野:
一応国が200億チョイ出す。
それは結局研究開発費の形であれば国から出しやすいという形があったので、
あの形をやったんじゃないかと。

平野:でも効果がなければ無駄になりますよね。

木野:
そうなんですよね。
それよりももっと現実的なやり方とかね、
新しいやり方じゃなくて、確実なやり方があったんじゃないの?
という話は専門家の中では出ているんですけれども。
じゃあ、なんでそれをやらなかったのか?という理由はよくわからない。

平野:ケチったんでしょ。

木野:
お金をケチったというよりは、なにか東電じゃなくて国が金を出しやすくするために、
なんかこう、策を弄したというかね、気持ち悪いですよね。

マコ:ケチったというか、お金を儲けるためにお金をかけすぎたっていう感じがしますね。


儲かってます

平野:今東電は黒字になっているんですよね、確か。

マコ:はい。

水野:黒字なんですか?

マコ:黒字です。

木野:なんか儲かっているそうです。

水野:また不思議なことですね〜

平野:
1000億円の、確か黒字ですよ。
これは私はあり得ないと思うんですよ。


水野:
だって、損害賠償を。
皆さんの生活の補償、いろんなことを、まずは先でしょう!


平野:これはだけど、税金を投入しているんですよね。

木野:税金を投入していますよね。

水野:わたしらのお金っていうことですか。

マコ:儲かってますね。
本当はその凍土壁も、土を固める液体を薬を注入してガラス固化という形にしたら、早いし安いんですよ。
実際、もっと海に近いエリアは汚染水がそのまま海へ流れ込まないように、
薬液を注入して土を固めているんですね。
「それを凍土壁の替わりにしたら早かったのになんでしないんですか?」って東京電力に聞くと、
それをすると、
「もし、全部土を固めてしまって、中の土壌が緩んだりした場合、後戻りができないから」って言われました。

水野:………へ〜

マコ:
だから凍土壁って、まずいんじゃないですかっていう。
それが実際地下水が入り込まない広いエリアにしてしまうと、
「中がどのように、地盤が緩んだり異常があるかわからないからです」っていうことを言われたね。

ケン:ね、行き場がなくなるもんね、でも。


「汚染水」は「処理水」

水野:
私ね、この間報道でこれ見てびっくりしたんですよ。
原子力規制委員会の田中委員長が福島第一原発を見はって、で、なんて言いはったか?っていうと、
「結局汚染水を海に流さなければいけないんじゃないか」と。
これはさっき小出さんがおっしゃっていた
「意図的に流さなければいけない状況が遠からず来るんじゃないか」
原子力委員会の田中さんっていうのは
「これしたらあかん」「これしたらあかん」っていうのを電力会社に言う側かと私思っていましたけど、
「流さなしょうない」って、で、こんな言ったんですよ。
タンクを見てね、汚染水タンクがものすごいありますやん。
「タンクの多さには圧倒されている」って。
あなた、12月に入ってから、田中委員長はそうおっしゃんですかと。

平野:去年の段階で

木野:もう、1年前2年前の話ですよね、びっくりするのは。

水野:びっくりしますよね、その発言にビックリしますよね。

木野:こっちがビックリします。

水野:
「怒りもあるやろうが、福島県民の皆さんに納得してもらえるようなことをしなければ」って、
納得できるわけないじゃないですかね。

木野:ないですね。

水野:結局汚染水は流してしまわざるを得ないって、

木野:
結局今すごく高い濃度の汚染水からセシウムをとったり、ストロンチウムをとったり、しつつ、
最後は、ま、トリチウムだけにしましょうという話をしているんですけど、
トリチウムだって非常に濃い濃度が入っているんだから、いわゆる汚染水ですよね。
ただ、東電側はそれを「汚染水」とは言わずに、「処理水」という言い方をして


水野:処理水!

木野:
「汚染されているんじゃないの?」っていう話をするんですけれども、
いや、これは処理水です」
「汚染水っていうのは濃い濃度のことを言うんです」
って、なんか最近になって言い出しているので、
要するにこれからの準備というかね、刷り込みを始めているのかな?と、


水野:
「言葉の置き換えの時は気をつけろ」って言いますけど、
「汚染水」は「処理水」ですか。

ケン:ここは騙されたらダメなようなポイントですね。

マコ:うん、汚いですよね。「処理水」でも「汚染水」

水野:「再稼働」を「運転再開」というような、そういう言葉を

マコ:いいイメージに

水野:使うっていうやり方、

木野:似てますね。

水野:
ね、そういう言い方もありますよね。
ま、もともと冷温停止状態ですもんね。

木野:そうですもんね、そこからもう違いますもんね。


世界で最も厳しい規制基準

水野:
言葉の中にどういう意図があるのか?というのは見ておかなければいけない。
この時間はあと1分ほどしかないんで、また具体的に聞きたいと思うんですけれど、
一言、「世界で最も厳しい規制基準」っていう言い方はホンマなんですか?


マコ:全くの嘘だと思います。

水野:そうですか。木野さんはどうですか?

木野:全然嘘ですね。

水野:実際に、世界でもっと厳しい規制基準ってあるんですか?

マコ:
あります。
いま割と議論になっているのはハード面だけなんですけど、
人材、ソフト面に関しては、日本はものすごく甘いです。

水野:あ、甘いんですか?!

マコ:はい。

水野:はぁ〜

木野:
それは結局誰が作業するかもそうですし、避難計画もそうですし、
そういうプラントだけじゃないところっていうところは、手つかずのところが結構多いです。

水野:そうなんですね。




原発に反対する人への違和感や腹立たしさ
http://youtu.be/tKn3AelBRBg?t=1h

水野:
リスナーの方々がいろんなご意見をくださっています。

原発に反対する人々に、私はある種の違和感や腹立たしさを持っていることがあります。
それは、原発に替わる電源の確保について、原発反対の人って、全く語らないじゃないですか。


とおっしゃっているんですね。

あるいはCO2の問題とか、火力やったらエライことになるでしょ。
どうするんですか?


というご意見。
これ、どうでしょう?


マコ:
私、知りたがりなんで、すぐ調べるんですけど、
私もそれを疑問に思ったので、「反原発の方はおっしゃらないな」と思って。
で、電力中央研究所、電中研の電力経済という部所の、その出版をしている方々に取材に行ったんですね。
まずは他の発電について。
ま、私が取材していろんな人に話を聞いた結果なんですけど、
原発をなくして今ベストな方法っていうのは、
天然ガスのガスコンバインド発電というのに一旦乗り換えるということなんですね。
これは火力発電なんですけど、普通発電の方法って、簡単に言うと
お湯をバーっと沸かして、その湯気でタービンを回して発電するというやり方なんですけど、
コンバインド発電というのは、いったんタービンを回した後のお湯も熱いので、
そのお湯が熱い限り何回もタービンを回すので、だいたい3回タービンを回すので、
発電効率がすごく高いんですよ。
原発は一回しかタービンを回さないんですけど。
で、すごくコストが抑えられるということと、
全国の火力発電所、古いものをいったんガスコンバインド発電に作り変えるということは、
そんなに費用がかからないので、
いったんそれに乗り換えておいて、
そして、再生可能エネルギーが技術的にもう少し向上するまで待つというのが、
電力経済としての一番ベストの方法だということをいろんな研究者の方々に聞いたんですね。
なので、私は原子力は使わずにいったんそうやって乗り換えるということ。

で、CO2の発生量については、発電の時には確かに原子力はそんなにかからないんですけど、
原子力はその他の始末であったり運ぶ労力であったり、設備であったりに、
ものすごく石油やCO2を使うので、
発電量ではなく、原子力発電という大きいバックエンドまでの、
最終段階までのくくりで考えた時のCO2発生量というのは、
既存の火力発電と比べて、逆転してしまう。
原子力発電の方が、たくさんCO2を


水野:多くCO2を出すんですか?

マコ:はい。発生するんですって。

水野:はぁ〜

マコ:
なので、その瞬間の電気を出すときは確かに安くてCO2を出さないって言われがちなんですけど、
最終処分まで入れた電気代やCO2の発生量を考えると、
火力発電と逆転するということを聞きました。

水野:なるほどね〜、やっぱり全体像を私たちは見ないと。

マコ:そうです。

水野:だめですね。

平野:
それと災害があった時にはそのコストが加わるわけですからね。
それがまた莫大ですよね。


水野:計り知れないわけですね。

木野:
多分その経済性とCO2の発生って、どこかで比例している部分があって、
「原発の発電コストは安い安い」って言っていますけれども、
それはバックエンドのコストを抜いたもので、

マコ:発電のその瞬時だけなんですね。

木野:そうですね。
だから全体を入れれば当然コストが上がるわけで、そのコストがどこにかかっているかというと、
やっぱりエネルギーのコストであったりいろんなところにかかるので、
エネルギーにかかっているというのは、イコール今の段階で言えばCO2が出てるんじゃないの?
という話もできるんではないかなと。


水野:CO2の話、そしてコストの話、命の話もしたいんですね。


命の話↓
<甲状腺がん>
「一巡目が終わって二巡目に入った時点で新たに4人子供の甲状腺癌の人が見つかったんですけど、 説明がどんどん破綻していっているんですね」
おしどり・木野龍逸12/31報道するラジオ(文字起こし)




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なのに…。夫婦漫才「おしどりケン・マコ」のスケジュール帳には空白が目立つ。1/3東京新聞朝刊1面



茶の間あってこそ 漫才、国より客や
東京新聞1面 2015年1月3日 朝刊

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漫才コンビ「おしどり」のケン(左)とマコ=東京・渋谷で(平野皓士朗撮影)

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父・秋田実さんの写真を持つ藤田富美恵さん。舞台の壁に、中国の戦地を慰問した漫才の写真を投影=大阪市の道頓堀角座で(梅津忠之撮影)

「戦争は嫌」。今なら言える。でもそれが口にできない時代があった。あれから70年。戦争しないで積み重ねられた日々は、人々の小さな奮闘が支えてきた。「もの言えぬ空気」に再び平和が押しつぶされないように。
     ◇
漫才の起源は萬歳(まんざい)。年の初めに長寿を祝う民俗芸能で、平安時代末期にさかのぼるようだ。新年の漫才師の忙しさは800年以上の歴史の厚みがある。なのに…。夫婦漫才「おしどりケン・マコ」のスケジュール帳には空白が目立つ。
 
高校を卒業してパントマイムをしていたケン。大学を中退してちんどん屋をしていたマコ。三重県伊勢市の夏祭りの楽屋で出会って恋に落ちた二人は交際一週間で結婚、漫才を始める。デビューは順調だった。2003年、漫才のコンテスト「M-1グランプリ」に出ていきなり準決勝まで進む。師匠の横山ホットブラザーズが「こんなちっちゃい事務所にいるんじゃなく、吉本に行った方がいい」と背中を押してくれた。
 
月50、60件の営業に追われていた二人に、3・11が転機をもたらす。ファンの子どもたちへの放射能の影響を心配し、マコが原発の取材を始めた。インターネットなどで情報発信を続けるうち、三カ月後には仕事がゼロになった。
 
今は個人的につながりのある劇場の舞台や市民団体の講演会などがポツポツと入る。二人の心の支えは、漫才師喜味こいし(11年死亡)から楽屋で聞いた一言だ。「芸人は国のためにしゃべるな、目の前のお客さまのためにしゃべれ。そこ間違えたらあかん」
 
戦時中、漫才は貯金や節米などの国策を庶民に宣伝する道具とされた。こいしは1940年から兄とともに漫才の舞台に立ち、その後少年兵に志願。広島で被爆し、終戦を迎えた。「美談としては語っていなかった。時代に毒されて、みたいな感じで。こいし先生のアドバイスはすべてが『流されるな』だった」

45年の終戦後、こいしら若手漫才師は大阪で笑いの復興に挑む。中核を担ったのが漫才作家秋田実(77年に死亡)だった。
 
東大で左翼運動に関わった秋田は、満州事変後の34年に、思想犯の取り締まりに躍起となる国を、家庭内の父娘対決になぞらえた漫才「恋愛禁止法」を雑誌で発表したりしていた。しかし数年後には、国策漫才を量産するようになる。その経緯は死ぬまで明かしていない。
 
再出発で秋田らが目指したのは、漫才の原点復帰。何げない日常生活の話で、家族そろってお茶の間で笑ってもらう。空襲で焼け野原になった街で、それがいかにかけがえのないものなのか皆、骨身に染みていた。先人らの語りがたい思いが注ぎ込まれた漫才は、戦後70年の正月も初笑いを何げなく届けている。
 
秋田の長女で児童文学作家の藤田富美恵(76)=大阪市中央区=の手元には「漫才 戦争中」と手書きされたB4判ほどの封筒がある。中からは父の国策漫才が掲載された雑誌の切り抜きが束になって出てきた。死後数十年たって実家で見つかった遺品だ。
 
藤田は今年、父の「封印」を解き、戦争と笑いについて書こうと思う。本来対極にあるべきその二つを、二度とコンビにしたくはない。 (敬称略、飯田孝幸)


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戦争の道具にされた芸人
東京新聞2面  2015年1月3日 朝刊


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戦時中、旧満州などを慰問した漫才師内海桂子さん=東京都台東区で

国力のすべてを戦争に-。1938年に成立した国家総動員法は、経済活動のみならず、文化・芸術・芸能までも戦争の道具にしていった。漫才師たちは海を渡って戦地で兵隊を笑わせ、国内で戦時スローガンを浸透させる役割を担った。(飯田孝幸、渡辺大地)
 
「移動中に崖の上から銃撃されたこともある。線香を供えられた遺体は、前日、漫才を聞いてくれた兵隊だった」
漫才師の内海桂子さん(92)は43、44年に、陸軍が編成する戦地慰問団に参加し、旧満州と中国北部を訪れた。
 
軍部につながりのある芸能会社が慰問の仕事を請け負い、芸人を集めていた。慰問先は戦地だけでなく、内地の部隊や軍需工場にも及んだ。芸人も、芸能会社も、戦争で仕事を増やした人たちがいたという。
 
「国には戦争でえらくなる人もいる。戦争をあおって飯を食ってる人がいたんだよ。そんなのがなければ、戦争しなくても済んだかもしれないのに」

◆吉本は「わらわし隊」
漫才師の戦地慰問は31年の満州事変の直後に始まった。大阪に拠点を置く吉本興業は38年、日本の戦闘機部隊「荒鷲(あらわし)隊」にちなんだボランティアの慰問団「わらわし隊」を派遣する。同社文芸顧問の竹本浩三さん(79)は「戦争が進むと国内の劇場は閉鎖されていった。吉本は軍に協力して、興行を継続させようとしたんだろう」と話す。
 
当時、国内の舞台は事前検閲の上、警察の監視下で行われたが、戦地は別だった。竹本さんは「あすの命もしれない兵隊の前で、ぬるま湯の漫才なんてできない。軍批判も反戦的なものも自由にやった」と話す。


◆軍批判も反戦漫才も
陸軍情報局で言論統制の中心的役割を担った鈴木庫三(くらぞう)少佐は漫才を国策宣伝の有力な手段と認識していた。41年の雑誌の対談では「吉本興業で漫才師300人を集めて、午前2時まで講演したことがある。時局漫才は、笑わせながら時局認識を与えようというところがある」と話している。
 
漫才にとどまらず、文化芸能は戦争と深く結びついていた。「詩歌と戦争」の著者で東京外大大学院の中野敏男教授は軍の暴走だけでは、その背景は説明できないと考えている。32年の上海事変では、敵陣への突撃路を確保するため3人の兵隊が爆死し、爆弾三勇士と呼ばれた。新聞は関連記事を連日書き、映画、演劇、歌、講談、漫才になり、国民は熱狂した。「国民が求め、(見せる側が)大衆迎合した」と指摘する。


◇秋田実が書いた国策漫才
◆貯金戦は
A 余らん金を無理に余らすのが真の貯金や。
 …中略…
B ぼくも明日から電車賃を節約しよう。天気のいい日は歩いて通う。
A 雨の日は、仕方がないから…
B 会社を休もう。
A そんなむちゃなこと。
B 家のやりくりも節約しよう。
A それがよろしい。
B まず、節約の手始めに、諸事の支払いを延ばして、その金を貯金に繰り入れる。貯金もたまるし借金もたまる。
◆国策百貨店
A いらっしゃいませ。毎度ありがとうございます。こちらは国策百貨店でございます。
 …中略…
A 6階はお菓子売り場でございます。ご参考に申し上げますが、砂糖が統制の折から、当店のお菓子は、せいぜい、古いものを選びましたから、ご利用願います。
B 君、古い菓子なら腐敗して、味が酸っぱくなってるんと違いますか。
A それだから、壁に、酸っぱい(スパイ)にご用心とポスターを貼りだしてございます。