南相馬市の2015年度産の籾から70ベクレル検出され、洗ったら検出されなかった。
つまり外に付着した放射性物質はどこから来たのか原因を調べて欲しいという南相馬市市長の話に対して、
「食品100ベクレルっていう基準は異常に低い」と田中俊一原子力委員長が答えた。
原子力規制委・田中委員長vs南相馬市・桜井市長(2015.10.29)
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/1NnPsOTgrXM?t=12m26s原子力
南相馬市・桜井市長:

今年玄米ベースでは出ていないんですけれども、籾ベースで一箇所70ベクレルが出たんです。
一箇所だけなんですけど。
それは今度は洗い流してみたら何も出なかったと。
つまり付着したということがあの時に問題にされて。
で、袋は玄米で検査しますから、玄米ベースでは出ないんですけれども、付着したものに対しては70ベクレルぐらい出たという問題があって、またあの時の、25年の問題がまた同じようにして換気されたんじゃないか?
というふうに懸念した人も一部いたので、我々としてはこの原因究明もやるべきだという話も出ていますから、こういう問題も起きているということをお話しておきます。
参考<福島第1原発>がれき撤去作業で放射性物質を撒き散らす!
がれき撤去作業でコメが汚染か 南相馬市でセシウム付着の稲穂 2014年7月
東京電力の推定結果「がれき撤去作業で1兆ベクレル超の放射性物質が飛散していた」
規制委・田中委員長:

多分、私の想像ですけれども、山の除染は済んでいません。
で、山のところは少し汚れています。
正直言って。
そういうところから流れてくる水の中には●のセシウムが入れ込んでいることが水にあると思います。
今後ともある程度そういう事例が出てくるかのせいは私は否定できないと思います。
がれきが飛ばなくたってそういうことはあると思います、
ですからこんかいの●にしても、なんか●みたいなところにすっと並んでいるよね。
ですからそういう可能性がありますので、そういう問題は「ある」ということを前提として、今後これをどうやってしていくか。
https://youtu.be/1NnPsOTgrXM?t=14m12s
で、あのー、100ベクレルっていうのは異常に低いんですよね。
国際的にみたら、ヨーロッパやなんかは1000です。
アメリカも1000です。
●なんかもそうです。
●っていうのは国際なんかの取引の基準です。
で、「なんで100にしたんだ!?」と。
「500で良かったじゃないか」
500だって国際基準より厳しのに、100にしたのは厚労省だと。
で、いったん下げちゃったものをまた上げるっていうのも、これもなかなか大変なことですが、
これはやっぱり、今回も(福島を)まわって「なんでそんなこと(100ベクレルに)したんだ」と「そんなことの被害は甚大だ」という首長さんも何人かいました。
それはあんまり簡単なことではなくて、当時の政権が簡単にそういうことをやったと。
いろいろ聞いてみると、消費者の立場でやったんですよ!(♯`∧´) と言うんですけど、
「生産者の立場は考えなかったんですか?」ということを私は申し上げたことはあります。
だからその辺はですね、私だけじゃなくて、この被害を受けた市町村の中からもっと、あの、ま、普通の、普通の声を出していただくことが大事だと思うんです。
原因究明と同時にそういうのがあるということが。
だからどうしてもこの汚染されたといく環境を一変位減らすことはできないのは事実ですから、その中でどうやって自分たちで乗り切っていくのかという意味でぜひ知恵を出していただきたいなというふうに思います。
15;52
南相馬市・桜井市長:
我々は現場で努力は、農家の皆さんを含めて十分にしていただいているんじゃないかなと思っています。
それでも不安。
また、米を作るって言っても福島の米はとりわけ、南相馬の米は売れるか?って言っても売れないわけです。
ここをそうするのか?っていうのが、我々だけではできない問題がもうあるんですよ。
「福島だけが汚染されている」というレッテルを貼られているわけですから。
今年のコシヒカリにしてもですよ、新潟産と愛知産、こちらの相馬産で値段が全然違うわけですよ。
こういう現実がある中で農家は取り組まなければならないという話なので。
これ以上他にも問題がありますから、こういう問題について国に対する指導と、規制委員会は規制委員会としての指導というか、それを徹底してもらわないと困りますし、あえて原因究明についても国に対して指導するなり規制委員会の方からも、こうあるべきだということを声高に言っていただきたいなと思います、
ーーー
田中委員長の回答が的を外れている。
「福島第一から放射性物質が飛んできているのではないか原因を確かめてほしい」という問いに対して、
「山が汚染されている」と答えてすぐに
「なぜ500ベクレルだったものを100ベクレルに下げたのか」と、食品の基準値を下げたから生産者が困っているのだと問題点をすり替えてしまった。
「一度下げちゃったからもう上げられない」
「当時の政権が消費者の意見を聞いて下げちゃったけど、生産者の声も聞くべきだ」みたいな…
驚くべき発言です。
もしも食品の基準が500ベクレルのままだったら、今以上に汚染地域の食物は売れなかっただろう。
生産者の立場に立って考えてみても、良心のある生産者ならば、500ベクレルの汚れの食べ物を生産したいとは思わない。
消費者がいなければ生産してもそのものは売れないのだ。
消費者の意見として言わせて貰えば、今後は100ベクレルを10ベクレルまで、せめて下げて欲しいと思っている。
田中委員長の目線が…???という感じ。
考え方のズレがはっきり見えたお言葉でした。
ヨーロッパやアメリカって食品の基準は1000ベクレルなんですか?
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<東北電>女川外部電源喪失 連絡遅れ陳謝
河北新報 2015年10月29日 木曜日
東北電力女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)で9月下旬、外部電源が失われ非常用発電機が作動した問題で、東北電の原田宏哉社長は28日、周辺自治体への連絡が遅れたことについて「社会的にどう受け止められるかの感度が鈍かった。地域に迷惑を掛け申し訳ない」と陳謝した。
原田社長は定例記者会見で「東京電力福島第1原発事故以降、電源喪失や冷却設備の停止は地域の一大関心事になった」と説明。同様の事態が発生した場合には「速やかに発表していきたい」と述べた。
連絡が遅れた周辺自治体は原発から30キロ圏内にある緊急時防護措置区域(UPZ)の登米市など5市町。東北電は法令や安全協定に定めがないことを理由に挙げていたが、地元からは改善を求める声が出ていた。
国や立地自治体にはトラブル発生直後に自主的に連絡していた。
<女川原発>地元連絡は停電発生9日後
河北新報 2015年10月14日水曜日
東北電力女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)の外部電源が2日間で2度停電したことが明らかになった13日、立地自治体や周辺自治体からは、安全対策の徹底や迅速な情報伝達を求める声が上がった。
女川町は発生当日に東北電から連絡を受けた。担当者は「安全措置が欠落したヒューマンエラーに起因する。重く受け止め、改善してほしい」と指摘した。
石巻市によると、市への連絡は発生9日後の今月8日。担当者は「非常用電源が入ることは簡単な事象ではない。早く連絡をもらわないと市民を守れない」と東北電に改善を求めた。
東北電は、国にも発生当日に連絡したが「法令で報告が義務付けられているトラブルではない」として13日まで公表しなかった。
4月に東北電と安全協定を結んだ女川原発30キロ圏内の登米市や美里町など5市町への連絡も13日になった。美里町の担当者は「東北電が情報を隠せば町は何もできない。迅速な情報提供を期待する」と話した。
◇ ◇ ◇
東北電力は13日、東北電力女川原子力発電所1号機(宮城県女川町、石巻市)で9月下旬、外部電源が失われ非常用発電機が作動するトラブルが立て続けに2度発生したと発表した。
河北抄 港北新報
何度も聞かされてきた言い訳のような気がする。女川原発(宮城県女川町、石巻市)の1号機で停電が起き、使用済み核燃料プールの冷却ポンプが約35分間停止したのに、東北電力から地元への報告は後日。「法令や安全協定で義務付けられていなかった」という理由。
その通りだとしても、ちょっと想像してほしい。福島第1原発事故で電源喪失がどれほど危機的な結果をもたらしたのか。燃料プールも冷却は欠かせない。
ポンプの停止は先月29日だった。東北電力はその日に女川町と石巻市、宮城県へ連絡したが、それは「停電で原発の放水口で測っている放射能データを送れなくなった件」(広報・地域交流部)。
ポンプの停止は30日にさらに詳しく報告する際に伝えたという。だが、報告の優先順位を間違っているのではないか。
大事だったのはポンプの停止と非常用電源の作動。原発30キロ圏の自治体も含めてスピーディーに伝えるのが正解だったはず。法律や協定に従うのは最低限の役割であり、それを超える仕事ができなければ全くもって地元は安心できない。(2015・10・15)
「社会的にどう受け止められるかの感度が鈍かった」と東北電原田宏哉社長が陳謝したが
「社会の受け止め方の感度」????
そうじゃない。
地元住民の安全を真っ先に考えるという、ごく当たり前のことが全くこの社長の頭の中には無い!
原子力規制委員会 定例記者会見(平成27年10月28日)

文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/UAV07uZH6Ow?t=8m39s
日経新聞 及川:
今日の委員会でも議題に挙がっていました、もんじゅについて改めて何点かお伺いいたします。
最近の委員会等々の議論を聞いていると、もんじゅを運営する主体として原子力機構が適性がないとか、資質だとか能力が欠けているのではないか」という指摘が複数の委員から出ているんですけれども、委員長ご自身は運営主体としての原子力機構のどういうところに問題があるとお考えでしょうか?
田中俊一委員長:
まぁ、あの〜、もう再三申し上げているから、全くす、す、改めて申し上げる事はないというふうに思いますけれども、
あのー、結局、ん、ま、今日の議論にもありましたように、不適合な問題が何年たっても解決の見通しが出てこないっていう、道が、見通しが得られないというところが問題で、その事については、あの、ま、今日大村さんの方からも報告がありましたように、現地の検査官の印象も全く同じだったという事を確認しましたので、ま、そういう意味で各委員ともそういうお話しがあったんだというふうに思います。
日経新聞 及川:
最終的にですね、規制委員会側がどういう対応を取るか未定だ、だというのはわかった上でお聞きしたいんですが、
議論を聞いていると、運営体制そのものについて規制委員会としてもなんらかの形で、所管する文科省なりにですね、見直しを求めていかざるを得ないというふうなことと思ってよろしいでしょうか?
田中俊一委員長:
まだあの、どういうふうにするかってのは、その〜、決めたわけではなくて、今日の議論もありましたように、あと2日に機構の理事長、児玉(敏雄)理事長からもいろいろヒアリングをするということですから、それを、それを待って決めたいと思いますけど、先日文科省に来ていただいた時も、あのー、ある程度そういうことも含めて、あの、文科省の認識を問うたわけですから、あの〜、そういうことも含めて、あの〜、いろいろこれから少しそういうことを含めてどういうふうにするか、議論を煮詰めていきたいと思っていますけれど。
日経新聞 及川:
えっと、先週の段階では規制委員会の取りうる措置として、極端に言うと設置許可の取り消しとか、あるいは文部科学大臣への勧告とか、法律上ですね、取りうる手段というのは幾つかあって、それを現段階で排除するものではないというふうにおっしゃっていましたけれども、その後認識は変わりないですか?
田中俊一委員長:
えっとーーー、今は特に、うん、それは、ま、そういうふうな、あのー、なんていうんですかね、たて付けになっていますから、ま、我々の、ポジションは。
それについては特にかわ、変わりはどうこういう段階ではないと思っていますけれども。
日経新聞 及川:
最後にすみません。
これは事務局の方からお答えいただいても結構なんですけれど、これはあくまで確認なんですが、規制委員会発足後、規制委員会設置法に基づく勧告権というのは今までに一度も行使したことがない、という事実はまちがいないでしょうか?
田中俊一委員長:間違いないです。
日経新聞 及川:ありがとうございます。
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/UAV07uZH6Ow?t=12m52s
産経新聞 天野:
今日の議論を聞いている限り、規制委員会の意思というかその姿勢というのはなんか一致しているように見えるんですけれども、委員長の中で「まだ決まっていない」というのは、なにか、どういう、なにか、っていうかたちで、なんか揺れ動いているんですか?
委員長の判断理由として、欠けているもの。
何を持ってどう判断するか?っていう、その辺のプロセスっていかがですか?
田中俊一委員長:
んにゃ、あのー、今日じゃなくて先週申し上げましたように、ふ、あの、児玉理事長に、ん…のヒアリングを、まぁ行うということ。それが、ま、2日に予定されていますから、それを、その、お聞きして、えっとー、責任者としての、そのー、お考えを思う存分聞いた上で判断するのが礼儀だと思いますので、そういうことですね。
産経新聞 大野:
いまの「礼儀」という言葉を受け止めるとすると、もうほぼ固まっていて、ある意味手続き上の流れとして聞いておくというような、その過程の一部でしかないように聞こえたんですが、来週2日に児玉理事長に対して何をお聞きしようというふうにお考えですか?
何を、例えば理事長が今後の改善案とかいろいろ示したとしても、何か今日の委員会の意思として、なにか変わるものってあるんですか?
なにを聞こうとされているんでしょうか?
田中俊一委員長:
いや、あの〜〜ぉ分かりません。
我々の考えが変わるような、非常にあの、抜本的な、ってか、お考えが出てくるかどうか、その辺もわかりませんので、いまここで何か予断を持って判断を申し上げる段階ではないと思っていますけど。
産経新聞 大野:
あの、今回の問題っていうのは、おそらくもんじゅだけの問題ではないという懸念をしておるんですけれども、つまり原子力機構としていろんな緊急活動であったり、現状としてもいま試験研究炉としてHDRとかいろんなものを審査として出しておりますが、その辺の審査に対する影響っていうのはあるのかどうか?ということと、審査に関わらず、今回は組織マネジメント自体が問題になっていることですから、原子力機構全体に対するなにか影響というのは、現状考えられている範囲でどういうふうにお考えですか?
田中俊一委員長:
いやぁ、わたしどもぅは、あのー、原子力機構の主務官庁ではありませんから、あのー、そこをどういう影響があるかとか、そういうことはいまなにも、そういうことについて、あの、何か慮って(おもんばかって)っていうことはなくてですね、「もんじゅという一つの大きな原子力施設についての安全確保」という観点から、のみ、我々はいま議論し判断しようとしています。
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/UAV07uZH6Ow?t=23m59s
東京新聞 小倉:
繰り返しになって恐縮なんですけれども、もんじゅの件で。
今後の可能性として文科省に勧告なり、仮に要望することになった場合、もんじゅの運営主体について原子力機構から別の組織に変えるよう求めたり検討をお願いしたりとか。
そういうことは選択肢としてありえますでしょうか?
田中俊一委員長:
まだあの、ん、わかりません。
はい。
東京新聞 小倉:
先週の会見で「もんじゅの安全性が確保できなければ、設置許可の取り消し処分に関して排除しない」ということだったんですけど、「安全性が確保できない」というのは具体的にどういったことをイメージしていますか?
田中俊一委員長:
要するに、ま、今議論になっているのはいろんなひんそう上の問題が全部重要度分から間違って、その点検ミスとかいろんなことがあります。
で、そういう所が結果的には今は止まっているからあれですけれども、動き出せばいろんな問題。
安全上の大きな影響を及ぼす可能性がありますから、そういったことがきちっとできないということが安全上の懸念を払拭できないということになりますね。
もんじゅ運営「是正を」 規制委、初の勧告視野に
2015/10/28 23:29 日本経済新聞
原子力規制委員会の田中俊一委員長は28日の記者会見で、機器の管理体制の不備が相次いで発覚している日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について「何年たっても(問題の)解決の見通しが出てこない」と述べ、機構の運営能力に疑問を示した。所管する文部科学省への初の勧告も視野に入れ、運営体制の是正を求める構えだ。
もんじゅでは8月以降、機器の安全上の重要度分類に多数の誤りが見つかった。2012年から管理上のミスがたびたび明らかになっており、規制委は11月2日に機構の児玉敏雄理事長から意見を聴取した上で、同月4日にも対応を決める。
原子力規制委、もんじゅ運営主体の移管検討 「任せられぬ」
2015年10月29日 東京新聞朝刊
高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の点検漏れ問題で、原子力規制委員会は二十八日、運営する日本原子力研究開発機構の安全への意識や管理能力は低く、通常の原発よりリスクの高いもんじゅの運営を任せられないとの認識で一致した。
今後、機構を所管する文部科学省に対し、もんじゅを機構から切り離し、新たな組織への移管を勧告することなどを軸に検討していく。安全確保への道筋がつかない場合は、廃炉につながる設置許可の取り消しになる可能性もある。十一月二日には、機構の児玉敏雄理事長から事情を聴く。
局長の説明を踏まえた二十八日の会合では、機構について「もんじゅの運営主体として不適切。文科省は、適切な組織に運営させることを考えるべきだ」(田中知(さとる)委員)、「高速増殖炉のリスクへの認識が足りない。もんじゅを運転できる状態にない」(田中俊一委員長)など厳しい批判が相次いだ。
2015年10月22日 東京新聞(クリックすると大きく見ることができます↓)

ー追記ー
11月2日
ミス続発もんじゅで規制委聴取
テレビ東京 2015年11月2日
午後3時過ぎ 原子力規制委員会
原子力規制委員 更田豊志委員長代理:
民間の場合こういうことだったら途中で倒れてません?
日本原子力県キュ開発機構 児玉敏雄理事長:
事業としては成り立っていかない可能性はありますね。
機器の点検をめぐり、管理ミスが相次いでいる高速増殖炉もんじゅについて、原子力規制委員会はきょう、日本原子力研究開発機構の児玉理事長を呼び、臨時の会議を開きました。
会議では委員から理事長へ厳しい指摘が相次ぎ、規制委員会ではあさってにも今後の対応を判断します。
もんじゅ、あすにも重大決定 規制委が機構理事長を聴取「運営主体にふさわしくない」
産経ニュース 2015年11月3日
原子力規制委の質問に答える日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長=2日午後、東京都港区の原子力規制庁
原子力規制委員会は2日、臨時会合を開き、安全の不備が続く高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、運営する日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長を聴取した。規制委は、機構の能力を「平均値以下」と指摘し、運営主体として機構がふさわしくないとの認識で大筋一致。早ければ4日にも勧告権の行使を含めた「重大な決定」を下す。
児玉理事長は「もんじゅを運営するのは原子力機構以外にない」と主張し、重要設備の保全計画の見直しや、未点検機器の点検を来年春までに全て完了することを約束した。
これに対し、規制委の更田豊志委員長代理は「民間ならすでに倒産している。絶え間なく違反を繰り返している」と強調。伴信彦委員も「高速炉を動かすのは世界的にも難しい。管理でも世界最高水準でなければならないことは分かっているはずだ」と追及した。
児玉理事長は「今後を見てもらいたい。メーカーの協力も得てオールジャパンでやっていく」と反論したが、規制委の田中俊一委員長は「相当の税金を使っており、いくら使ってもいいように聞こえる。安全文化ができていない」と話した。
もんじゅでは平成24年11月に約1万件の機器の点検漏れが発覚。今夏には機器の安全上の重要度分類が間違っていたことも判明した。規制委は4日の定例会合でもんじゅの今後の対応を議論し、運営体制の見直しを求める初の勧告権を行使することを検討している。
11月4日
「もんじゅ」巡り異例の勧告 “改善見られず決断”
NHK 2015年11月4日 18時31分
福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」を巡り原子力規制委員会は、今の日本原子力研究開発機構に運転を任せるのは不適当だとして、原子力機構に代わる運営主体を明示するよう文部科学大臣に異例の勧告をすることを決めました。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は会見で「納得できるような改善が見られないということがいちばん大きかった。勧告をせずに進めるのが望ましいと思っていたが、理事長の話などを聞き、安心して任せるわけにいかないと判断し、勧告を出すことを決めた」と述べました。
今回異例の勧告に踏み切ることになった理由については、4日の原子力規制委員会で田中俊一委員長は「日本原子力研究開発機構はもんじゅを運転していない状態での保安措置が適切にできておらず、運転するための基本的な能力を持っているとは認めがたい。これは、これまでの長期的な経緯を踏まえた判断だ」としています。そのうえで、もんじゅの特殊性にも触れ、「もんじゅは日本では経験のない新しいタイプの原子炉であり、原子力機構には研究開発の能力などの長所があるという主張もあったが、それをもって運転を任せるわけにはいかない。ナトリウム漏れ事故から20年間、ほとんど施設が動いていないなか、文部科学省が相当の取り組みをしてきたにもかかわらず、問題は解決しておらず、こういった状態をいつまでも放置しておくべきではない」と述べました。
文部科学省が、今の原子力機構に代わる運営主体を明示できない場合、廃炉も念頭にあるのかという質問に対して、「こちらから何かを申し上げることはない。廃炉にするかどうかを含めて、勧告を受けてどうするかは、文部科学大臣が考えることになる」と述べました。
半年をめどとした文部科学省からの報告によっては、もんじゅの設置許可の取り消しもありうるかという質問に対しては、「法律的にはそのような対応もあるが、今の段階ではそこまでは考えていない」と答え、そのうえで運営主体について、「高速増殖炉についての知見が十分にあり、基本がしっかりしていることが求められる。組織が整えばいいというものではなく、それなりに中身を伴うものでなければならない」と述べました。
”失格“勧告の背景は
原子力規制委員会が「運営主体の交代」という異例の勧告に踏み切った背景には、トップの交代や組織の見直しなど、原子力機構の内部改革では、もはや「改善は困難」という、5人の委員の共通認識があります。高速増殖炉「もんじゅ」は、使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として研究開発が始まりましたが、20年前の平成7年に、冷却材のナトリウム漏れ事故を起こし、その際、組織の隠蔽体質を問われ、当時の動燃=動力炉核燃料開発事業団が解体される事態にまで発展しました。その後、動燃を引き継いだ組織と、日本の原子力の基礎研究を担ってきた旧原研が統合され、今の日本原子力研究開発機構がもんじゅの運営主体となりますが、組織が変わっても安全に関わる問題はなくなりませんでした。運転が長期間止まるなか、平成20年には、計器の誤作動や点検の不備、トラブルの通報遅れなど、組織体質が問われるような事態が相次ぎます。
さらに、平成22年5月、14年ぶりに再開した試験運転から僅か3か月後に、重さ3トン余りもある装置が原子炉内に落下して抜けなくなる重大なトラブルが発生し、それ以来、運転は止まったままです。こうしたなか、3年前の平成24年9月からの国の保安検査で、およそ1万件の点検漏れが見つかったのをきっかけに、新たな問題が次々に発覚し、おととし5月、トップが交代したほか、原子力規制委員会も、管理体制の改善が確認できるまで、試験運転の再開を事実上禁じる命令を出しました。これを受けて原子力機構は、もんじゅを理事長直轄の組織とするなどの見直しを行いますが、その後も問題は相次ぎ、ことし8月には、機器の安全上の重要度を決める分類の誤りも多数見つかり、この3年間でのもんじゅの保安規定違反は、9回におよびました。
こうした異常事態に規制委員会は、先月以降、ことし民間から就任した原子力機構の児玉理事長や、監督官庁の文部科学省の幹部を呼び、管理体制などについて厳しく問いました。しかし各委員は、「もんじゅを安全に運転できるのかという、懸念の解消はできなかった。組織の改編や外部からの支援ではもはや改善は困難」だという見解を示し、原子力機構の内部改革での改善は見込めないという認識で一致しました
NHK動画の文字起こし
今日の規制委員会で田中委員長は次のように述べました。

原子力機構にもんじゅの運転を任せるべきではない。
原子力機構に変わるどのような者が適当か具体的な者を特定して明示していただきたい。
おおむね半年を目処に新しい運営主体を示すよう文部科学大臣に勧告することに決めました。

極めて重い判断をいただいたと厳粛に受け止めています。

新たな運営主体が見つからない場合、もんじゅは廃止も含めて事業の抜本的な見直しを迫られることになります。

今回の異例の勧告は、いわば「最後通告」です。
もんじゅをめぐっては、ナトリウム事故以降、この20年間組織やトップが変わっても、安全を揺るがす問題が繰り返されてきました。
もはや「内部の改革では改善は困難だ」という判断です。
しかし文部科学省は原子力機構に変わる運営主体を見つけるのは難しいとしています。
今回の勧告はもんじゅの行く末とともに日本の原子力政策の柱である核燃料サイクルの行方にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
原子力規制委員会 定例記者会見(平成27年10月28日)

文字起こし部分の原子力規制委員会のYoutube→https://youtu.be/UAV07uZH6Ow?t=16m16s

OurPlanet-TV 白石:
先週福島をまわられて、各自治体の首長さんたちとお話をされてきたと思うんですけれども、
それぞれの自治体の安全、帰還のための安全の基準を示してほしいということもあったんですが、
南相馬で安全基準について「どこが安全か基準を示してほしい」と問われたときに、
委員長が「国際的には生涯1000mSvという基準がある」というふうに言及されたんですけれど、その時にそういうふうに言及された意味というか、あの場でそういうふうにお話されたのはどういう意味だったのかな?ということで、ちょっと確認というか教えていただければと思うんですけれども。
田中俊一原子力規制委員長:
えっとですね、まずその前に「現存被ばく状況」という考え方ですよね。
で、いまその〜、国際的にはこういった、原子力事故などが環境を汚染する事故が起きた時には、そういう、ま、フィールドで生活するということについて、どの程度のレベルで放射線被ばくの影響をリスクを考えるべきかということなんで。
で、それで実際に、その、放射線被ばくによるリスクです。
別に20mSv、年間20mSvだから影響があるかどうか?ということについては、あんまり定量的な実証データは無いとは思いますけれども、まぁ、いろんな国際的ないう、ま、専門家は「20mSv以下であれば」っていうこと、です。
それはどういうーーー根拠に基づいているか?というと、その、ま、
「避難することによって受ける他のリスクもいっぱいありますね」っていうことですよね。
あのーー、だからそういったいろんなことを勘案してその程度で。
ただしこれはあくまでも参考レベルだから、「1から20の範囲内で、その時に置かれている状況を踏まえて住んでいる方たちが主体的にそれを判断して決めるのがいい」ということなんです。
で、生涯1000mSvというのは、前のICRPの勧告で出てるなので、出てるんですけれども、日本はまだ取り入れていません。
ま、そういうことで50年の、ま、生涯線量として年間20ミリっていうのも出てきてるのかなと思いますけれども、あのー、ま、それは事実としてそういうことがあるということです。
それで南相馬で申し上げたのは、参考レベルの範囲内で数年間少し、1mSvを超えるような状況があったとしても、それがずーっと続くんではなくて、できるだけ速やかに線量を下げる努力をしながら、いや、せ、ま、下げる努力をしていけば、生涯線量という考え方からすれば、その一部を、ま、ある意味じゃ、ま、使ってしまうという…少し。
他の、ここの、こういうところにいる方よりは少しそういう点で、あの、何年間かの間に少し余分な被ばくを受けるという、そういうことで申し上げたんです。
OurPlanet-TV 白石:
今の「生涯1000mSv」は20mSvで生涯50年ということになると思うんですけれども、それはICRPの公衆被ばくの、現存被ばくでそういうものがあるという理解で間違っていないですか?
田中俊一原子力規制委員長:
まぁ、あの〜、健康…、えっとぉー、この事故の後に厚労省も外部被曝の線量が、そう決めたんじゃなかったかね。
生涯線量としてね。
違いますか?

規制企画課長 佐藤:
規制企画課長の佐藤です。
私のところでは緊急時被ばくの時にやりましたので、ちょっとあの、私の知る限りでお応えさせていただきますと、
あの、ま、厚労省の方もですね、あの当時は250(mSv)というようなことで、え、現存被ばく、ま、あの、「作業員の被ばく限度というのを決めた」というのがあります。
で、あの、先ほどの1000mSvの出処も、ま、ちょっと委員長のお答えと重なりますけど、ま、実際にそのICRPからの勧告もですね、えーー、生涯1000mSvということで、ま、それについては、あの、我が国においてもですね、あのー、
1年間で50mSv(? 何度聞いても「50mSv」と言ってる)
5年間で100mSv
っていう規制がある中で、それをま、5年100というのを10個積み重ねて、ま、50年で1000ミリというようなことでありますから、ま、そういったものがですね、ま、ICRPというすなわち、ま、科学的にそれなりに裏付けをされているものというふうに理解しているところであります。
OurPlanet-TV 白石:
ちょっと、「作業員かな」と思っていたものですから、ちょっと公衆だったので。
後もう一点、今回「地域ごとに、自治体ごとに目標値を決めて」というようなこともおっしゃっていたかと思うんですけど、そうするといわゆる「参考レベル」という数値に関しては、国が7月の段階では5ミリという数字も妥当的なものとして考えられると委員長はおっしゃっていたと思うんですが。
どちらかというと、今回お聞きしていて思ったのはやはり地域ごとの実情じゃなくて、地域が言った設定をした方がいいというような、今は提案というか、そういう方針というふうに考えればいいでしょうか?
田中俊一原子力規制委員長:
いや、そ、あくまでもそういうぅー、そういう、「そういうものだ」ということなんですね。
んで、えっとー、「強制すべきものではないし、国がなんか頭越しに決めるべきものではない」っていう意味で申し上げています。
ですから、あのー、除染のレベルを1ミリでないと嫌だ っていう人も、所もありますし、飯舘とか、そういう所は5ミリって、当初から決めています。
んで、5ミリでずーっといいということではないんですよね。
ですからあのー、そこは、あのーよく、やっぱり地元の実際のそこのステークホルダー(stakeholder)がきちっと議論をして自分たちが。
だからこれ帰る、そのレベルで帰るか帰らないか、戻るか戻らないかというのは、これは個人の選択ですから。
ただ全体の集団としての市町村単位で今帰還をどうするか、という議論がされているので、そこはそういうことで決めていただきたいということなんです。
ですから南相馬市長が言うのは、「国がいくらっていうことを決めろ」っていうことなんだけど、
「それは決められないものなんです」ということを言っただけなんだ。
だから参考レベルなんです。
OurPlanet-TV 白石:
ごめんなさい、参考レベルはいま何ミリというふうに考えればいいですか?
田中俊一原子力規制委員長:1から20の範囲ですね。
OurPlanet-TV 白石:
国が決めている基準は特に設けていないけれど、例えば飯舘村であれば5ミリというのが、ある種の参考レベルであるという感じなんですか?
田中俊一原子力規制委員長:はい。
文字起こし部分のYoutube→https://youtu.be/UAV07uZH6Ow?t=25m37s

NHK 花田:
今日の定例会の最後でもご発言されていましたけれど、福島で意見交換されていろんな課題が見つけられて、これから各省庁と協議していく趣旨のご発言があったんですけど、今後具体的には、委員長の中でどのように進ていこうとお考えになられているか?
お考えが今の段階であれば聞かせてください。
田中俊一委員長:
えっと、福島のサイト内の問題は私どもの主体的な、ま、任務ですから、それはきちっとやっていかなければいけないんですが、サイト外についていうと、モニタリングの問題は私どもです。
で、除染と色々な環境回復については環境省。
それからいろいろ生活支援的な生活に関わるもっと幅広くっていうところは生活支援チーム復興庁とか。
それから林野の、山林の除染等についての希望がありましたし、そういったことになると農水省とか、林野庁とか、いろんなところが関係してくると思うんです。
ですからあの、少なくてもそういういろんなご要望はきちっとお伝えするということでまず。
そのあとどうなるかは私が明示できる前はしますけれども。
あの、まず大事なことは国を挙げて、やっぱり福島のふっ、1日でも早い復興、復帰に、住民の皆さんの復帰につながるようなことに取り組むことが、国の役割として重要ですから、問題が問題としてはっきりすればちゃんと取り組むべきだろうというのが私の考えですから、そういう努力をしたいと思っています。
NHK 花田:
やり方としてはまた委員会でそういった話をしましょうというよりは、委員長がもう個別に各省庁とかに要望を伝えていくというような形になるんでしょうか?
田中俊一委員長:
これは委員会で議論するようなことで止まることではないから、もう少し幅広くというようなことになると思います。
福島第一原発事故作業員 白血病で初の労災認定
厚労省は、白血病に関する原発労働者の労災認定基準について、1976年に「年5ミリシーベルト以上で、被ばくから発症まで1年超経過していること」と定めた。
厚生労働省は原発労働者を含む放射線業務従事者について、労働安全衛生法に基づく被ばく線量の上限(年50ミリシーベルトかつ5年100ミリシーベルト)とは別に、放射線障害による疾病ごとの労災認定基準を設定。白血病以外のがんでは、悪性リンパ腫で「年25ミリシーベルト以上」、食道がんや胃がんは「100ミリシーベルト以上」などとしている。原発労働者の労災認定は、福島第1原発事故以外でこれまでに13人(白血病6人、悪性リンパ腫5人、多発性骨髄腫2人)いる。
放射線業務従事者の被曝線量の上限→年50ミリシーベルトかつ5年100ミリシーベルト
放射線障害による疾病ごとの労災認定基準
白血病→年5ミリシーベルト以上で、被ばくから発症まで1年超経過していること
悪性リンパ腫→年25ミリシーベルト以上
食道がんや胃がん→100ミリシーベルト以上(生涯)
とにかく、年5mSv以上被曝して原発事故1年後以降に白血病になったら、原発作業員なら労災が認められるレベルだということです。
そこで生活している人は補償されない。
低レベル廃棄物搬出 志賀原発
北國新聞社 10月17日(土)2時48分配信
北陸電力は16日、志賀原発から出る低レベル放射性廃棄物を青森県六ケ所村にある日本原燃の埋設センターに向けて搬出した。ドラム缶480本(輸送容器60個)分を船で海上輸送し、18日に青森に到着する予定である。
搬出には石川県、志賀町の職員が立ち会い、輸送容器の数量が事前連絡通りであることなどを確認した。七尾市、羽咋市、中能登町の職員が同行した。
北國新聞社
最終更新:10月17日(土)2時48分
志賀原子力発電所
低レベル放射性廃棄物の輸送について
平成27年10月16日 北陸電力株式会社
本日(10月16日)、志賀原子力発電所の低レベル放射性廃棄物※
を、下記のとおり搬
出しましたので、お知らせいたします。
1.搬出日時 :平成27年10月16日 16時30分(輸送船離岸)
2.輸送品の数量:ドラム缶480本(輸送容器60個)
3.搬出先施設名:日本原燃株式会社 低レベル放射性廃棄物埋設センター
(青森県上北郡六ヶ所村)
なお、搬出にあたっては、石川県および志賀町の立会いを受け、輸送車両の線量当量
率、輸送容器の数量等を確認していただきました。
また、その際、隣接市町が立会いに同行されました。
以 上
志賀原子力発電所
低レベル放射性廃棄物の輸送先到着について
平成27年10月19日 北陸電力株式会社
昨日(10月18日)、志賀原子力発電所の低レベル放射性廃棄物※
が、下記のとおり輸送
先の低レベル放射性廃棄物埋設センターに到着しましたので、お知らせいたします。
1.到着日時 :平成27年10月18日 15時46分
2.輸送品の数量:ドラム缶480本(輸送容器60個)
3.搬出先施設名:日本原燃株式会社 低レベル放射性廃棄物埋設センター
(青森県上北郡六ヶ所村)
今後、日本原燃株式会社において受入れ検査が実施され、埋設処分される予定です。
以 上
※ 低レベル放射性廃棄物
原子力発電所で発生する放射性物質の濃度の低い廃棄物。
(輸送する廃棄物は、発電所で発生した金属やプラスチック、フィルタ類などの固体状
の廃棄物を種類毎に分別し、ドラム缶に収納した後、セメント系充てん材(モルタル)
で固めたもの。)
全く報道されない「トリチウム」の危険性
ダイヤモンド社 書籍オンライン 【第4回】 2015年7月28日
福島第一原発事故を半年前に予言した書『原子炉時限爆弾』で、衝撃的な事実を発表したノンフィクション作家の広瀬隆氏。
頻発する地震、活発な火山噴火の中、新たなリスクが「東京を含む東日本地域」に差し迫っているという。
発売当日から大きな話題となり、発売5日で増刷が決定した『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』のなかで、「タイムリミットはあと1年しかない!」と予言した著者が、日本の報道界には封印された「トリチウム」のおそるべき危険性を緊急警告する!
「原子力緊急事態宣言」が発令中!現在も大量放射能放出が続いている!
すでに事故から4年をすぎた現在、日本に住むほとんどの人は「事故と被害は終った」と勘違いしているが、「福島第一原発」の事故現場では、大量の放射能放出が続いており、東京電力が発表する放出量は変動が大きすぎて信頼できないのだ。
現場では、現在も「原子力緊急事態宣言」が発令されたままであり、メルトダウンした燃料が地中で臨界反応を起こしている潜在的危険性は、まったく去っていない。
福島第一原発のすぐ近くには、福島県から宮城県にまで達する70キロメートルという長大な双葉断層があって、マグニチュード8近い巨大地震を起こすおそれが高い。
というのは、東日本大震災からちょうど一ヵ月後に、その周辺断層が動いて1メートルを超えるズレを起こしたからである。
今後も、ここで大きな地震が発生すれば、福島第一原発に何が起こるか分らないのである。
その現場では、毎日6000~7000人の作業者が、汚染地帯で身を削って働いている。
ここから漏れ出している放射能汚染水は、ハンパな量ではない。
東京電力は必死になってそれを回収しているが、この4年間で貯蔵量が75万立方メートルというトテツモナイ量に達しているのだ。
1立方メートルとは、一辺が1メートルのサイコロの大きさだから、それを縦に積み上げると、75万メートルになる。富士山の高さは3776メートルだから、75万メートルは富士山の200倍の高さになる。
大型飛行機が飛行するのは、1万メートルだから、75万メートルはわれわれにちょっと想像もできない量だと、分るだろう。
この汚染水の貯蔵量は、これからも、歳月ときれいに比例しながら増えてゆくのだ。なぜなら、放射能を除去する対策がないまま、水を流しこんで、内部を冷やし続けなければならないからだ。
しかもそのメルトダウンした燃料の放射能を洗い出した水が、地下に流れこんで、そこから外洋にどんどん流れ出している。
海岸線の地下水は、太平洋の沖合とつながっているからである。
しばしば報道されてきた「汚染水の大量漏洩」は、陸上で漏れ出している話だけで、地下から漏れ出している大量の汚染水については、まったく無視している。
報道内容には、あきれるほかない。
そこで、自称専門家のバカな学者連中は、海側の地下まで巨大な壁を築いて外洋への漏水を止めなければならない、などと言っているが、トンデモナイ話だ。
壁を築けば、地下に水がたまって、原子力発電所ごと水の中に浮いてしまい、大きな浮力を受けて、最後には建物ごとひっくり返ってしまう。
要するに、打つ手がないのである。
知られざるおそるべきトリチウムの危険性とは?
問題は、その汚染水に含まれている放射性物質の量と種類である。
大量に漏洩している放射性セシウムと放射性ストロンチウムは、いずれも、人体に重大かつ深刻な影響を与える。
この二つの放射性物質の危険性については、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』にくわしく述べたので、必ず読んでいただきたい。しかし、よく知られていないのが、トリチウムの危険性なので、ここで説明しておきたい。
これが放射性セシウムと放射性ストロンチウムと共に、汚染水に大量に流れこんでいるのだ。
トリチウムという放射性物質は、元素としては水素である。
しかし通常の水素は原子核が陽子1個でできているが、トリチウムの原子核は、そこに中性子が2個くっついている。
重い水素なので、「三重水素」とも呼ばれる。普通の水素とトリチウムの違いを模式的に描くと、この図のようになる。

この放射性物質トリチウムがなぜおそろしいかというと、化学的には水素なので、水素のように振る舞うからだ。
つまり人間の体は、大部分が水でできている。水は、水素と酸素の化合物H2Oである。
血液であれリンパ液であれ、細胞をつくっている中心部分の染色体であれ、その遺伝情報を伝えるデオキシリボ核酸(DNA)の分子であれ、水素なしには存在しない。
DNAを構成する究極の原子は水素H、炭素C、酸素O、窒素N、リンPである。その水素が、放射線を出す水素になってしまえば、体内で、どれほどおそろしいことが起こるかは、誰でも想像できるだろう。
簡易式の放射線測定器では感知できない「ベータ線」を出すトリチウム
このトリチウムが酸素と結合すると、「トリチウム水」という放射能の水になるので、水蒸気となって東日本全域の空気中を漂っているのだ。
それがわれわれの体内に入って、自由に移動している。
そしてトリチウムの原子核についていた中性子が、“マイナスの電荷を持った電子”を放出して、“プラスの電荷を持った陽子”に変化し、水素がヘリウムHeになる。
その時に出される電子が、ベータ線と呼ばれる放射線なのである。
この放射能が半分に減るまでの期間、半減期は12.3年なので、安全な1000分の1になるのに123年かかるから、この影響はほぼ一世紀続くと思ってよい。
フクシマ原発事故が起こってから、自分の身を守ろうとして、多くの人が日本中で放射線の測定器を持つようになった。
危険な汚染地帯に住む人にとって、それ自体は、重要な自己防衛手段である。
しかしほとんどの人が持っている簡易式の放射線測定器は、放射性のセシウムやヨウ素が出す「ガンマ線」しか測定できないので、ストロンチウム90やトリチウムが出す「ベータ線」を測定していないのである。
トリチウムが放出するベータ線の電子は、エネルギーが小さいので安全だと言う自称「原子力の専門家」がいて、彼らを新聞記者が取材するので、困ったものだ。
取材する側も、取材される側も、彼らは人体への医学的な作用機序をまったく知らないのである。
トリチウムによる催奇形性の確率は致死性癌の確率の6倍!
カリフォルニア州ローレンス・リヴァモア国立核研究所での研究(1991~1993年)では、トリチウムによる催奇形性(奇形を生じさせる性質)の確率は、致死性癌の確率の6倍にものぼるのだ。
つまり、次世代に奇形を生み出す影響が非常に大きいと、重大な警告が出されている。
フクシマ原発事故現場から大量に放出されているトリチウムは、ほとんどの人が無意識に体内に取りこんでいる危険な状態にある。
特に人体の有機物と結合したトリチウムは、容易に代謝されずに、その分子が分解されるまで15年以上もベータ線を出し続ける。15年とは、生まれたばかりの赤ん坊が、中学を卒業するまでの長さだ。

またトリチウムHが最終的にはヘリウムHeに変化するが、ヘリウムはいかなる原子とも結合しない。
そのため、トリチウムHに結合していたDNA構成原子の炭素C、酸素O、窒素N、リンPなどは、トリチウムと結合していた箇所が切断されることになる。
これによって、DNAが破断して、染色体異常が引き起こされる。
もともと人体は、男性の「精子」と女性の「卵子」が受精して1個の細胞ができるところからはじまる。
その時、この細胞には、男女(精子・卵子)から受け継がれた染色体が23組46個ずつ含まれている。それぞれの染色体は、二重らせん構造のDNAからできていて、その中に多数の遺伝子が含まれている。
「薄めて海に放流してしまえ」という許されざる犯罪者たちの暴言
ところが、ソ連のチェルノブイリ原発事故で大汚染したゴメリなどの地帯では、住民の染色体を調べると、この顕微鏡写真のように、左側の正常な染色体に比べて、右側の染色体のように明らかに異常な状態になっていたのである。
父母の体内の染色体がこのように異常になれば、当然、その両親のあいだに生まれる子どもには、大きな障害が発生することになり、大被害が発生してきたのである。

このトリチウムは、化学的には容易に除去することができないので、福島第一原発では、どんどんたまっている。
そこで、原子力規制委員会の田中俊一委員長と、委員の田中知《さとる》は、福島第一原発の事故現場で大量に発生しているトリチウムを、「薄めて海に放流してしまえ」と、苦しまぎれの暴言を吐いている。
大量の海水を持ってきて薄めれば、流していいだって?
放流するトリチウムの量は変らないだろう!
そんなことが分らないのか。実に、おそるべき犯罪者たちである。
なぜ、『東京が壊滅する日 』を緊急出版したのか
このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。
現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。
東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いた米ネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過する今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。
1951~57年に計97回行われた米ネバダの大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。
核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウム以上にタチが悪い。
3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。
不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。
最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?
同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。
51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。
「世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!
よろしければご一読いただけると幸いです。
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――木内みどり×広瀬隆対談【中篇】
【第30回】 2015年10月28日 ダイヤモンド社書籍オンライン
『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計253万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、女優の木内みどり氏が初対談!
木内みどり氏は、原発問題に関して、各種市民集会の司会を務めている。
8月11日の川内原発再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震による津波余波など、日本列島を襲う自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、計29回に分けて安倍晋三政権および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
川内原発、伊方原発再稼働の動きの中で、東京を含む東日本地域への「実害」が迫っているという、注目の対談2回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)
「もう一回原点に戻りたい」と思って書いた本
木内:
『東京が壊滅する日』を手にとったとき、最初は戸惑ったんです。
ここに書かれている現実を、受け入れなくてならないだろう、と思ったからです。
読みはじめてみると、やっぱりスゴイ事実がいっぱいあって。事実に目を背けてはいけないなと思いました。
それで広瀬さんにお礼を言わなきゃと思いました。
広瀬:なぜですか?
木内:
この本に出てくることは、広瀬さんの長く激しい人生の努力の結晶。
それを抽象論ではなく具体的な固有名詞で断罪! 惜しげもなく闇の世界のことを全部出してくださって。
覚悟の度合いが違うと思いました。
広瀬:
僕は、どうすれば本当に原発を止められるか、いつも考えてきたつもりです。
ところが、世論調査では100%勝っているのに原発が再稼働してしまう。
そこで僕は、政治運動でなく、デモのような大衆行動で、一人ずつが社会を変えなければダメだと思っています。
青森ではそういう体験があります。
僕は再処理工場の核燃サイクル反対のために1985年から青森に入り、あらゆる農協を回りました。
真冬が農閑期なので、寒い日々の中でしたが、10人くらいの集まりでも、100人の集会でも、絶えず放射能の危険性について、くわしく話しました。
すると、やがて保守ゴリゴリの青森県が変わり始め、1988年の選挙のときは再処理工場反対の人が大勝したのです。
つまり、選挙というのは、日々の活動があって、その結果が出るのです。
木内:それはすごいですね。
広瀬:
でも次の選挙では、みんなが放射能のことは言わず、「誰々に投票してください」という、例の選挙運動になりました。
僕は「これは危ない」と感じました。
具体的な内容を言わずに「この人に投票してください」と言っても、人の心は動かせません。
現在でも、中身のあることをどんどん言っていけば、人は変わるはずです。
絶えず、言い続ける必要があります。
先月、木内さんが本ステージで司会をした代々木公園の大集会でも、第二ステージでたくさんの人が、被曝問題を語ってくれていたので、うれしかったです。
あの中身が大事なのです。
同じように、もう一回原点に戻りたいと思って書いたのがこの本です。
担当編集者から、嫌になるくらいしつこく質問されました。
これは忍耐だと思って、忍耐に忍耐を重ねて丁寧に加筆していきました。
この編集者を変えないと、世の中を変えるなんて夢のまた夢ですからね。
結果として、それがよかった。
僕にとっては当たり前のことになっていたことも、改めてわかりやすく書くことができました。苦労はしましたけど……。
東京でガン、心筋梗塞、白内障、白血病が激増する!
木内:
そうだったのですね。おかげで、とっても読みやすかったです。
スゴイ事実が書かれていますけど。東京でも放射能の影響が出ているのですね。
広瀬:
結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これからガンや心筋梗塞などが必ず激増します。
いやもう、その段階に入っています。
木内:放射能の影響というと、甲状腺ガンに代表されるガンの話になりがちですが、心筋梗塞も増えているんですか?
広瀬:
セシウムは、ナトリウム系列の元素で、体に吸収されやすいという特徴があります。
筋肉にたまりやすいので、絶えず筋肉が動いている心臓にたまります。
心筋梗塞はすでに福島ではかなり増えています。
ときどき福島から「また若い人が心筋梗塞で死んだ」という電話がかかってきます。
そのたびに暗澹たる思いになります。
また、放射性セシウムが角膜に付着すると微量でも、3~5年ぐらいから白内障が出始めます。
子どもたちの目が混濁してきて見えなくなり、最悪の場合、失明をします。
木内:フクシマ原発事故のとき、東京にも放射性物質が飛んできたんですよね。
広瀬:
福島から首都圏の千葉・東京に至るまでの太平洋側は、途中にまったく山がないので、事故後、4月になっても5月になっても、東京の新宿高層ビル街には、南下した高濃度の放射能雲が直撃し続けました。
そのとき都内の人の多くは、ごく普通の生活をしていました。通勤・通学していたり、外で遊んでいたり。
そのときに放射性物質を吸い込んでしまったのです。
これは時限爆弾ですから、時間とともに身体を蝕んでいくでしょう。
木内:国道6号線と常磐自動車道を通る自動車が、東京に放射性物質を運んだという話も聞きました。
広瀬:
自動車の群と、東北新幹線が、タイヤと車体によって広範囲に「死の灰」を拡散しています。
今でもです。
一番怖いのはプルトニウムや、ストロンチウムのような「ホットパーティクル」です。
ホットというのは「エネルギーが大きい」という意味です。
プルトニウムを吸いこんでしまうと、気管支や肺にへばりついて、同じ場所に放射線を浴びせ続けるという結果になります。
一度、肺に入って付着したホット・パーティクルが、体の外に出ることは、まずありません。
ストロンチウムやプルトニウムのような物質は、「遠くに飛ばない。おそらく敷地内にたまっている」なんて話をする学者もいますが、まったくのデタラメです。
微粒子となったガスなので、空気に乗って遠くまで運ばれますし、細胞を直撃するアルファ線やベータ線を発する放射性物質です。アメリカで検出されているのだから、プルトニウムは重いから遠くに飛ばないなんていう話には、根拠がありません。
セシウムは「測定できる」から騒いだけれど、ストロンチウムやプルトニウムは「簡単に測定できない」から、話題にならなかっただけです。
2011年3月の連続爆発でまき散らされたのは、ガス状のあらゆる放射性物質です。
さまざまな「時限爆弾」が体をむしばんでいることは間違いありません。
東京都文京区にある順天堂病院では、2011年に比べて、2013年のあらゆる疾患が2倍から10倍近くに増えています。
この事実は、重いです。来年から、「時限爆弾」はいよいよです。
(つづく)
なぜ、『東京が壊滅する日』を緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ
このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。
現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。
2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。
東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。
1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。
核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。
これがセシウムよりはるかに危険度が高い。
3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。
不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。
最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。
世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?
同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。
51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。
世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!
よろしければご一読いただけると幸いです。
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【目次】
◆はじめに
冷静に予測しておかなければならないことがある
◆第1章
日本人の体内でおそるべきことが進行している!
◆第2章
なぜ、本当の事実が、次々闇に葬り去られるのか?
◆第3章
自然界の地形がどのように被害をもたらすか
◆第4章
世界的なウラン産業の誕生
◆第5章
原爆で巨大な富を独占した地下人脈
◆第6章
産業界のおぞましい人体実験
◆第7章
国連がソ連を取りこみはじめた
◆第8章
巨悪の本丸「IAEA」の正体
◆第9章
日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか?
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週プレNews [2015年10月25日]

視界を遮る白い帯は撮影ミスでもレタッチミスでもない。昨秋頃からフクイチ上空に現れるようになった謎の霧が今回訪れた際も出現した
福島第一原発事故から4年半――。『週刊プレイボーイ』本誌では当時の総理大臣・菅直人氏とともに、“フクイチ沖1.5km”の海上から見た事故現場の現状をリポートしたーー。
フクイチで今も続いている危機は、前回記事(「元総理・菅直人が初めての“フクイチ”海上視察!」)で指摘したベント塔の老朽化だけではない。事故発生以来、港湾内外の海水から検出される放射性物質の濃度も上昇するばかりなのだ。
これは構内の地面から流れた汚染水と、フクイチ施設の地下を流れる汚染地下水が海へ漏れ出ている影響としか考えられない。さらに、1~3号機から溶け落ちた大量の核燃料デブリが地中へメルトアウトして、地下水流の汚染をより高めている可能性もある。
そこで本誌は、フクイチ沖1500mの「海水」1リットルと、海底(深さ15m)の「海砂」約3㎏を採取し、専門機関に測定を依頼した。その結果、事故当時に大量放出された「セシウム137」(半減期約30年)と「セシウム134」(同約2年)が検出され、やはりフクイチ事故の影響が続いていることがわかった。
さらに重要なのが、セシウムと同じくウラン燃料が核分裂した直後に放出される「ヨウソ123」(同約13時間)が、何度か変化して生まれる同位体の放射性物質「テルル123」(同約13時間)も微量ながら検出されたことだ。
この海水は、採取1日後から約47時間をかけて測定したので、微量ながら「テルル123」が検出されたことは「採取の数十時間前くらいにフクイチからメルトアウトした核燃料デブリが核分裂反応を起こした?」という見方もできるのだ。
では「海砂」の測定結果はどうか。船上に引き上げた限りでは、泥を含んだ様子もなく、生きたハマグリの稚貝も交じるきれいな砂だった。しかし測定結果を見ると、海水よりも多くの放射性物質を含んでいた。
まず注目されるのが、核燃料そのものといえる「ウラン235」(同約7億年)と「セシウム134」「セシウム137」。それ以外に「タリウム208」(同約3分)、「アクチニウム228」(同約6時間)、「ラジウム224」(同3・66日)、「ユーロピウム」(同4・76年)など、セシウムよりも半減期が短い放射性物質もいくつか検出された。採取に立ち会った、フクイチ事故の汚染拡大パターンを研究する長崎大学院工学研究科の小川進教授(工学、農学博士)は、こう分析する。
「このウラン235は自然界にも存在しますが、やはり採取場所からみてフクイチ事故で放出されたと判断すべきでしょう。そして、これは放射線科学の教科書的内容ともいえる基礎知識ですが、ウラン燃料が原子炉内で核分裂すれば、今回この海砂から検出された、すべての〝短半減期核種〟が発生します。
しかし、もうフクイチの原子炉は存在しないので、これらの短半減期核種とウラン235の発生源は、デブリの臨界反応とみるのが理にかなっています。もしデブリが建屋の地中へ抜けているなら、海の汚染を防ぐのは至難の業になるでしょう。
ただ、ひとつ気になるのは、3号機だけで使われていたウラン+プルトニウム混合燃料(MOX燃料)のデブリから発生するはずのプルトニウムが、この砂から検出されていないことです。もしかしたら3号機のデブリだけは、まだ格納容器内の底にとどまった状態なのかもしれません」(小川進教授)

フクイチの地上40m付近に、幅1kmにわたって発生する霧。季節、天候、時間に関係なく頻繁に出現する
今年5月に1・2号機の格納容器内へ投入した探査ロボットの映像からは、今のところデブリの落下位置は突き止められていない。しかし、フクイチ付近の海で放射能汚染が急に高まった昨年前半あたりから、1・2・3号機それぞれのデブリの位置と反応に大きな変化が起き始めた可能性がある。
かつてフクイチ構内を作業員として取材したジャーナリストの桐島瞬氏が、こう推理する。
「事故後しばらくは、1・2・3号機から蒸気や煙状の気体が出ていたと現場の作業員が話していました。いまだに中のことはよくわかっていないので、3号機のデブリが1・2号機とは違った場所で発熱しているとも考えられます。
もうひとつ気になるのは、一昨年から海際近くの汚染水くみ出し井戸などで、濃度の高い“トリチウム”が検出されるようになったことです。この放射性物質は“三重化水素”とも呼ばれ、急速に水と結びつき、その水を放射能を帯びた特殊な水に変えます。フクイチの原子炉周辺は濃い霧に包まれることが多いのですが、これも放出量が増えたトリチウムの影響ではないかという意見も聞かれます」
空気中の水(水蒸気)と三重化水素が結びつけば分子量が大きくなるので、当然、霧が発生しやすくなる。そういえば今回の海上取材でも、南側の4号機から北側の5・6号機にかけて、約1㎞幅、厚さ20mほどの霧の帯がフクイチ構内の地上から高さ30~40m、巨大な原子炉建屋の上部3分の1ほどの空中に浮いていた。
6、7月頃の福島県沿岸には「やませ」と呼ばれる冷たい風が吹き寄せ、浜通りの海岸地帯では朝晩に霧が立つことが多い。実際、今回の船上取材でも朝9時に久之浜港を出て、しばらくは沿岸のあちこちに霧がかかり、福島第二原発にも薄霧の層がたなびいていた。
しかしフクイチの霧は、どうも様子が違った。気温の上がった昼近くになっても、他の場所よりも濃い霧の層がしつこく居座り続けた。少し強く海風が吹くと一時的に薄れるが、しばらくするとまたモヤモヤと同じ場所に霧の塊が現れた。
この海上取材から10日後の8月2日には、3号機燃料プール内に落下した大型瓦礫を撤去する作業が行なわれた。その際にも、3・4号機付近から濃霧が湧き出すように見えるニュース画像が話題になった。

本誌取材班とともに、初めて海側からフクイチを見た菅直人氏。怪霧の影響か、この後、菅氏の体に異変が起こるのだった…
このフクイチ上空の“怪霧”について、船上取材に同行した放射線知識が豊富な「南相馬特定避難推奨地域の会」小澤洋一氏も、後日、あれは気になる現象だったと話してくれた。
「私は昔から海へ出る機会が多いのですが、フクイチだけに濃い霧がかかる現象は記憶にありません。凍土遮水壁の影響で部分的に地上気温が下がっているとも考えられますが、トリチウムが出ているのは事実なので、その作用で霧が発生する可能性は大いにあると思います。だとすれば、あの船上で起きた“気になる出来事”にも関係しているかもしれません」
その出来事とは、取材班全員が短時間のうちにひどく“日焼け”したことだ。フクイチ沖を離れた後、我々は楢葉町の沖合20㎞で実験稼働している大型風力発電設備「ふくしま未来」の視察に向かった。この時は薄日は差したが、取材班数名は船酔いでずっとキャビンにこもっていたにもかかわらず、久之浜に帰港した時には、菅氏とK秘書、取材スタッフ全員の顔と腕は妙に赤黒く変わっていた。つまり、曇り状態のフクイチ沖にいた時間にも“日焼け”したとしか考えられないのだ。
「トリチウムは崩壊する際にβ(ベータ)線を放射します。これは飛距離が1m以内と短い半面、強いエネルギーを帯びています。私たちが1時間ほどいたフクイチ沖1500mの空気にも濃度の高いトリチウムが含まれていたはずで、それが皮膚に作用したのではないでしょうか」(小澤氏)
だとすれば、我々は、トリチウムによるβ線外部被曝を体験したのか…。
とにかく、今回訪れた福島県内では多くの新事実を知ることができた。まず実感したのは、福島復興政策の柱として進められている除染事業が、避難住民を帰還させるに十分な効果を発揮しているか非常に疑わしいことだ。また、フクイチ事故で行方知れずになった燃料デブリが地下水、海洋汚染のみならず今後もさらに想定外の危機を再発させる恐れもある。
やはりこの事故は、まだまだ厳重な監視が必要なステージにあるとみるべきなのだ。
今回の現地取材に同行した菅直人氏は、フクイチ事故当時の総理としての行動と判断が賛否両論の評価を受けてきたが、今後も政治生命のすべてを「脱原発」に注ぐと宣言している。
また機会をあらためて、次はフクイチ構内への同行取材を成功させ、事故現場の現状を明らかにしたいものだ…。
(取材・文/有賀訓、取材協力/桐島瞬、撮影/五十嵐和博)
除染で使ったマスクや手袋を投棄 コンビニ店頭のごみ箱に
2015/10/25 16:55 【共同通信】
コンビニのごみ箱から見つかった除染用マスク(手前)=9日、福島県伊達市
東京電力福島第1原発事故に伴う国の除染作業で使用されたマスクや手袋が、福島県内の複数の地域でコンビニなどのごみ箱に捨てられるケースが常態化していることが25日、関係者への取材で分かった。厚生労働省福島労働局は、被ばく対策や汚染廃棄物の扱いを定めた労働安全衛生法に違反する疑いもあるとしている。
共同通信の取材に複数のコンビニや除染業者が、除染が本格化した2012年から投棄が続いていると認めた。
環境省によると、これまで郡山市、田村市、南相馬市、楢葉町から苦情や通報があり、今年3月と8月に業者に改善を指導した。
「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義――大学人の使命と責任を問い直す」
2015年10月25日
https://youtu.be/KVoXJHANLB8?t=38m46s

立命館大学学生 大澤茉実さん:
SEALDs関西から来ました、立命館大学2年生の大澤茉実です。
これだけの学者の先生の後で何をお話ししようかとずっと悩んでいたんですが、学者の先生には学者の先生しかお話しできないことがあるように、目立たない私ですが、私にしかお話しできないこともあると思うので、今日はお話しさせていただきたいと思います。
SEALDs関西はSEALDsと同じ日に活動をスタートして、勉強会と並行しながら地元関西で6月から毎月デモを行い、7月からは毎週金曜日に街宣も行ってきました。
同じ町に住んでいても自分とは違う国籍や経済状況にある人のスピーチは、私に、自分とは違う誰かと生きていくことへの想像力をくれました。
「もうすでにこの町で一緒に生きてたんや」って気付かせてくれました。
それは誰かに「死ね」と言うよりも、自分が明日どう生きていくか語る方が、よっぽど未来を変える力を持っていることを教えてくれました。
自民党の改憲草案では「福祉」という言葉が「利益」や「秩序」という言葉にすり替わりました。
でも、私はもう十分に「福祉」という言葉に、多くの人々の生活や自分自身の権利を想像できるようになったんです。
草案では国家権力を縛るための憲法が私たちを縛っていますが、中身のない言葉ではもう私たちを動かすことはできません。
それはこの夏、心を持つ私たちが決して無力なんかじゃないことを知ったからです。
この社会には
”自己責任”という、見て見ぬ振り。
自分だけが攻めることを美化する姿勢。
他人を傷つけることで解消する鬱憤。
弱いものにしわ寄せが行く仕方のなさが溢れています。
常に何かに追い立てられるように、数字で、金で、ノルマで、自分を語ることが求められています。
飛び交う言葉には中身がなくなり、それは誰かを傷つけ、
言葉で傷ついた人は、言葉で傷つけることで自分を守ろうとします。
その感覚が、私には痛いほどわかります。
私も小さい時から”いい子”を求められてきたからです。
先生に気に入られる。
空気を読む。
長いものに巻かれ、議論を避け、ルールは疑わない。
学校に通い続けることが”正義”
偏差値が高ければ”勝ち組”それこそが幸福。
私はいつの間にか、自分の感覚や感情を頼りに行動することが怖くなっていました。
私は、言葉を自分の中に押し込めて黙ることを覚えました。
そうやってひたすら教室に、この社会に順応することが普通やと思っていました。
でもこの夏、普通だったことがどんどん普通じゃなくなりました。
昨日までファッションの話しかしなかった学生が政治を語り始めた。
本とパソコンの前から動かなかった学者が雨に打たれながら路上に立った。
多くの芸能人がタブーを破り政治的な意見を表明した。
あるサラリーマンは金曜の会社帰りは街宣に立ち寄るようになったし、
スピーチを聞いた彼女は通り過ぎようとした恋人を止めた。
友達は始めてきたデモで黙ってプラカードを掲げたし、
臆病な私が国会前でマイクを握った。
当たり前に順応するのではなく、何を当たり前にしたいのか、常に思考し行動し続けること。
どうやらそれだけが未来を連れて来てくれるようです。
空気を読んでいたら空気は変わらないのです。
そのことをデモをするたび、街宣をするたび、一緒に声を上げる名前も知らない人が、その勇気でもって教えてくれました。
武器を持ち人を殺すことが普通の国だというのなら、私はその普通を変えたいんです。
私には私を支えてくれる大切な女の子たちがいます。
そのうちの一人がこの間、私が嘘ついて冗談で教えた誕生日に、無いお金を叩いてホールケーキを買って全力でお祝いしてくれて、わたしが、わたしなんかが生まれてきたことをほんまに喜んでくれて。
嘘の誕生日やったけど(笑)「生まれてきてよかった」と、生まれて初めて思いました。
わたしはその子が、本当は行きたかった専門学校を諦めたこと。
家庭環境を馬鹿にされたこと。
家が安心できる場所じゃないこと。
しんどい時に「しんどい」と言われへんこと。
その全部を当たり前のままになんかしたくない。
だからわたしは、もう”絶望”という当たり前に慣れてしまうことをやめました。
明日からもその子と生きていきたいからです。
わたしは手触りと沈黙を大切にし、わたしの言葉でわたしを語り続けます。
それがわたしにとって唯一のアイデンティティーであり、
わたしにとっての自由であり、
わたしの半生の誓いであり、
ファシズムとすべての差別に対するわたしにできる最大の抵抗だからです。
そして、誰にもそれを打ち砕く事はできない。
なぜなら、わたしの想像力も、わたしの言葉一つ一つの背景になる笑や涙の経験も誰にも侵す事はできないからです。
わたしはほんの数年前まで、新聞の中にだけあった沖縄を、東北を、こんなに近くに感じた事はなかった。
彼らの息づかいが、怒りの声が、今のわたしには聞こえます。
そして、
原爆ドームの前に佇むあの人を、
杖をついて国会前に足を運び続けるあの人を、
弱音を吐けないまま死んでしまった大好きなあの子を、
こんなにも近くに感じた夏はなかった。
こんなにも人の温もりを感じた夏はなかった。
こんなにも自分が生きている事をかみしめた夏はなかった。
わたしは、戦後70年を迎えるこの国に、
世界中で銃声に怯える子供達に、明るい未来を見せる努力を求めます。
貧困大国であると同時に自殺大国でもあるこの国に、安心して命を育める環境を求めます。
政治家の一人一人に、この国とこの世界に生きる人々の、暮らしや夢や命に対する想像力を求めます。
わたしの言葉を理想論だとか綺麗事やと笑う人がいるかもしれません。
でも、希望も語れなくなったら本当の終わりです。
だからわたしは明日からも路上に立ちながら、大いに理想を語ります。夢を語ります。
そうやって社会を作っていくのが、これからを生きるすべての人に対するわたしの使命やと思っているからです。
今、言葉を失い、打ちひしがれ、「自分には力が無い」と思い込まされているすべての人に、過去のわたしに、その姿を見せなあかんと思っているからです。
生きる希望を見せなあかんと思っているからです。
わたしはもう全部失ってしまった。
国への信頼も、
豊かさへの信頼も、
自分らしく生きる場所も、
搾り取られるように失ってしまった。
そして一方で誰かからそれを奪い取っているこの国のどこかで、第三世界の大地で、わたしの手の中にはただ未来だけが残されています。
わたしはもう何も奪いたくないし、何も奪わせない。
その理想を掲げ続けます。
わたしの望む未来から安倍政権の退陣を求めます。
本を読み、過去に学び、路上に立ち続けましょう。
希望を語り、小さな事をやり続けましょう。
それが目の前の当たり前の絶望を変えていく事を歴史が証明しています。
2015年10月25日大澤茉実
わたしは安全保障関連法案に反対し、わたしとわたしの大切な人が生きる社会に、自由と民主主義を求め続けます。

49:36
自分が政府と向き合っているというのを絶えず示す必要がある 「空気を読むな」樋口健二×アーサービナード(文字起こし)

伊方原発3号機 愛媛県知事が再稼働に同意
NHK 2015年10月26日 17時41分
四国電力伊方原子力発電所3号機について、愛媛県の中村知事は26日午前、再稼働に同意することを四国電力の佐伯勇人社長に伝えました。地元の伊方町も再稼働に同意し、原発の新しい規制基準の下で再稼働に県と立地自治体が同意したのは、川内原発のある鹿児島県に続いて2か所目です。
中村知事は26日午前9時半から愛媛県庁で四国電力の佐伯勇人社長と会い、伊方原発3号機の再稼働を了解すると伝え、県として再稼働に同意しました。
中村知事が「国の考えや四国電力の取り組み、地元の理解をもとに非常に重い判断をした。今後、四国電力には安全対策に引き続き万全を期すよう求める」と述べたのに対して、佐伯社長は「再稼働に向けて、今後、安全対策などをしっかりと対応していきたい」と答えていました。
このあと、中村知事は記者会見を開き、「出力、コスト、安定供給の3つの要件を満たす代替エネルギーはなく、現状では、安全対策を施したうえで原発に向き合っていかざるをえない」と述べたうえで、県としての責任について「同意する以上は、訓練や安全対策、それに万が一のときに責任を担うことになる」と述べました。
中村知事は、午後には経済産業省を訪れ、林大臣に再稼働に同意したことを報告したうえで、十分な情報公開と説明に努めることなどを求める文書を手渡しました。これに対し、林大臣は「原発は終わりのない問題であり、今後も国民や地元に誠意をもって粘り強く理解を求めていく」と答えていました。
26日は、地元の伊方町でも、山下和彦町長が四国電力の柿木一高原子力本部長に、再稼働に同意することを正式に伝えました。
原発事故後に作られた新しい規制基準の下で再稼働に県と立地自治体が同意したのは、川内原発がある鹿児島県に続いて2か所目です。
伊方原発3号機の再稼働の時期は、原子力規制委員会による認可や新しい設備の検査などが残っているため、早くて来年の春以降になる見通しです。
経済産業相「国は責任を持って対応」
四国電力伊方原子力発電所3号機の再稼働に同意した愛媛県の中村知事が26日に経済産業省を訪れ、報告を受けた林経済産業大臣は「国民や地元に対して誠意をもって粘り強く理解を求めていかなければならない」と述べ、再稼働にあたっては国として責任を持って地元説明などの対応に当たる考えを示しました。
愛媛県の中村知事は26日午後、林経済産業大臣と会談し、四国電力伊方原発3号機の再稼働に同意したことを報告しました。そのうえで、中村知事は、原発の再稼働の必要性や安全性について国が前面に立って国民への十分な情報公開と説明に努めること、広域避難道路を優先的に整備することへの支援など、8項目の要請をまとめた文書を林大臣に手渡しました。
これに対して、林大臣は「知事の英断に本当に感謝を申し上げたい」と述べました。そのうえで、「国民や地元に対して誠意をもって粘り強く理解を求めていかなければならない」と述べ、再稼働にあたっては国として責任を持って地元説明などの対応に当たる考えを示しました。
四国電力「1日も早い再稼働を目指す」
中村知事から再稼働の同意の報告を受けたあと、四国電力の佐伯勇人社長が記者会見しました。
佐伯社長は「きょうの了解で大きく一歩前進したと思う。県民のみなさまにより一層安心していただけるよう、さらなる安全性・信頼性の向上を目指して不断の努力を重ねたい。今後の国による工事計画の認可や、使用前検査などについて計画的にしっかりと取り組み、1日も早い再稼働を目指したい」と述べました。
一方で、再稼働の時期については、「工事計画などの審査が続いていて、具体的に申し上げられる状況ではない」と述べ、明言しませんでした。
官房長官「知事の理解極めて重要」
菅官房長官は午前の記者会見で、「再稼働にあたって、知事の理解を得られたということは極めて重要だ。引き続き認可や検査など法令上の手続きに基づいて、四国電力が安全確保を最優先に対応することが極めて大事だ。原子力規制委員会の手続きが厳格に、円滑に進められることを政府としては期待したい」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、「政府として、省エネルギー、再生可能エネルギーの推進に最善を尽くすなかで、原発については、できるだけ最小化しようという基本方針がある。それに基づき、世界で一番厳しいと言われる基準に合格した原発については再稼働を進めていくという考え方は変わらない」と述べました。
県庁前では抗議集会
松山市の愛媛県庁前では、朝から伊方原発3号機の再稼働に反対するグループのメンバーら30人あまりが集まり、抗議集会を開きました。参加者は、「知事は再稼働を認めるな」などと書かれた紙を手に持ち、声をあげながら知事の再稼働同意に対し反対の意思を示していました。
「伊方原発をとめる会」の和田宰事務局次長は、「中村知事は、再稼働を認めるかどうかを白紙に戻して考えるとこれまで話してきたが、本当にそうだったのか。反対派の意見を十分に取り入れたのか疑問に思う」と話していました。
愛媛・伊方原発:再稼働、愛媛知事「総合的に判断」 安全対策改めて要請
毎日新聞 2015年10月26日 東京夕刊
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は再稼働に向けて大きく前進した。焦点となっていた地元同意手続きで、同県の中村時広知事が26日、「総合的に判断した」として再稼働容認を表明。一方、県庁周辺では反原発団体のメンバーらが「再稼働ありきで手続きが進められた」などと怒りの声を上げ、伊方町の住民からは賛否の意見が聞かれた。【伝田賢史、伊藤遥】
同日午前、中村知事は四電の佐伯勇人社長と県庁知事応接室で面会した。午前9時半ごろに中村知事が入室すると、直立不動で待っていた佐伯社長は緊張した面持ちで二礼。カメラのフラッシュがたかれる中、2人は硬い表情のまま着席した。
中村知事は表情を崩さないまま「国の考え方や四国電力の取り組み姿勢、地元の議論などの状況を総合的に判断し、愛媛県知事として事前協議を了解することとした」と表明。佐伯社長は「(要請された)9項目については、確実に順守・実行していきます」と答え、面会は10分程度で終了した。
中村知事は続く記者会見で、パネルを使いながら同意に至る経緯を説明。視線を落とすことなく「国や四国電力には、考えられる限りの要請を全てぶつけた」などと語った。記者から「過酷事故が発生した場合は進退をかけるのか」と質問されると「当然です」と即答した。
◇反原発団体、県庁前で声
松山市の愛媛県庁前では、反原発団体などの約40人が午前8時ごろから約1時間半、「中村知事は再稼働を認めるな」などと声を張り上げた。
「伊方原発をとめる会」の和田宰(つかさ)・事務局次長(63)=松山市=は「知事は(判断について)『白紙』と言い続けたが、実際には『再稼働に同意しない』という選択肢はなかった」と憤った。「原発さよなら四国ネットワーク」の小倉正さん(54)=同=は「再稼働に反対する県民の声は聞かれず、内容についての真剣な議論は行われなかった」と悔しさをにじませた。高知市を午前5時に出発し駆けつけた「グリーン市民ネットワーク高知」の外京(げきょう)ゆりさん(66)は「もし知事が同意しても反対行動を続けたい」と話した。【黒川優】
◇町民賛否割れ
伊方町の山下和彦町長は町役場に四国電力の柿木一高・原子力本部長(副社長)を呼び、事故防止の徹底を求めたうえで了解書を手渡した。柿木本部長は「安全確保に不断の努力を重ねる」と話した。山下町長は記者団に「苦渋の決断。福島第1原発のような事故が起きないよう、四電を指導していく」と話した。
知事同意に伊方町民の賛否は分かれた。民宿を経営する女性(72)は「町には働くところがなく、(再稼働同意は)若者に朗報だ。事故を起こさないよう運転してほしい」と話した。一方、主婦の磯崎光子さん(70)は「再稼働同意は残念だ」と声を落とした。【渕脇直樹】
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■解説
◇同意プロセス「住民不在」
四国電力が原子力規制委員会に、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の安全審査を申請してから2年3カ月。7月の新基準合格後、3カ月あまりで終わった地元同意プロセスは、残念ながら「住民不在、結論ありき」だった。今後、再稼働の手続きが進む他の原発のモデルにしてはならない。東京電力福島第1原発事故後も愛媛県の中村時広知事は「代替エネルギーがなく原発と向き合っていかざるを得ない。条件を整えた上での再稼働は必要」と述べ、山下和彦・伊方町長も「町と原発は共存共栄」との考えを変えなかった。
両トップは再稼働の是非を判断するに当たり、住民代表らによる委員会をそれぞれ設置し、その意見を判断の前提とした。しかし、再稼働に理解を示す姿勢が、委員会や議会に影響したことは否めない。知事は四電に想定する揺れの大きさ650ガルを上回る1000ガル対応の安全対策を求めたが、同意を暗黙の前提としていたとみるのが自然だろう。
住民理解を得る努力も乏しかった。原発5〜30キロ圏の6市町が県に求めた説明会に参加できたのは一握りの団体代表ら。山下町長に至っては、住民説明会を開かないまま同意した。知事主導で1000人規模の説明会を開いた九州電力川内原発(鹿児島県)の例とは、比べものにならない。
中村知事は「長い目で見て脱原発を目指すべきだ」という立場だ。山下町長は原発維持を掲げつつ、原発に大きく依存した地域振興策の見直しに着手。それらを「空手形」としないため、両トップは道筋と実績を本気で示す必要がある。【渕脇直樹】
<伊方原子力発電所>中央構造線活断層で震度5強〜愛媛県伊方町震度4
愛媛県伊方原子力発電所3号機 原子力規制委員会の審査合格!「使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料を一部使う」
鹿児島県の川内原発に続いて愛媛県の伊方原発となると…
福島原発事故の影響で関東以北の食材が汚染されている今、九州四国の食材は日本人にとって大切です。
これ以上国土を汚してはいけない。
そんなこと当たり前なのに。
中央構造線の上に建つ伊方原発再稼働に同意した愛媛県中村知事や伊方町山下町長、四国電力佐伯社長、菅官房長官など、それぞれもっともらしく発言しているけれど、日本国土が取り返しのつかない汚染を受ける(つまり、国土を無くす)確率が高くなる原発再稼働をしていくこの人たちがとても不思議で…
どうしても納得できない気持ちでテレビのニュースを見ていました。
火山活動は現在日本中で活発になってきている。
昨日もアフガン北部でマグニチュード7.5の大地震があった。
まさにその日に再稼働に同意している。
最近日本では鳥取県中部で地震が頻発している。
今までにない異常気象に大型台風、大自然の脅威が迫っている最中、原子力発電所など稼働している場合じゃない!!!
ばっかじゃないの
「日本にヒトが生存できなくなるぞ」と、わたしは思っている。
~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
濱岡 豊
所属:慶応大学商学部
専門:マーケティング・サイエンス、イノベーション・マネジメント
プロフィール
広島県生まれ。東北大学工学部卒、東大大学院修了(工学修士:原子力、学術博士:先端学際工学)。1996年から慶応大学商学部にてマーケティング・リサーチ、製品開発論、データ分析などを教える。研究対象は、消費者間のクチコミ、企業や消費者によるイノベーション等。研究アプローチは事例研究やデータ分析。東日本大震災後は放射線の健康影響に関するデータの批判的(再)分析も行っている。主要著書『消費者間の相互作用についての研究』『Webマーケティングの科学』。放射線の健康影響に関しては「放射線被曝と甲状腺結節(岩波書店・「科学」2015年6月号)」「広島、長崎被曝者データの再分析(同9月号)」「長期低線量被曝関連研究からの知見・課題と再分析 (同10月号掲載予定)」などがある。
53:15〜

濱岡と申します。
慶応の商学部でマーケティングを現在教えています。
プロフィールに書いてある通り、学部は工学部で、大学院で原子力を2年間学んだりということもあって、福島事故以来放射線のことに関していろいろ騒がれていますので。
例えば100mSv以下では影響が見られるとか見られないとか、そういった話がどうなっているのかということを、データが公開されていますので、そのデータ。
私はもともと理系ということもあってマーケティングを教えているんですが、特にデータを使っていろいろ結論を出すとか、そういうアプローチでマーケティング研究をしてきたので、わりとデータ分析という観点から見るといくつかいろんな問題があるのかな、ということがわかってきたような気がしますので、それを今回はご報告したいというふうに考えています。
広島、長崎、ハンフォード、福島、いずれも被ばくに関係しているという共通性があって、それぞれのデータが公開されているので、そのデータを再分析するというのが具体的な内容になっています。

内容としてはこんな感じになっていまして、そういう意味で非常にテクニカルな話になってしまうので申し訳ないんですけれども、少しでも苦痛を和らげるために、最初に原爆被爆者データ分析入門ということで、ちょっとだけを、基本的な分析の考え方を若干ご紹介させていただいて、その分析の課題。
実際に再分析してみて、その問題がどのくらい重要なのかということを明らかにしようということをします。
あとは、ハンフォードを含めた原爆被爆者のデータというのは公開されている、本当はひとりひとりのなんですが、
公開されるデータというのは匿名性を確保するという点もあるんだろうと思うんですけれども、ある程度集計されたデータが公開されていると。
集計するといろいろと良くないことが、統計的検定力件数力が落ちるということがありますので、その辺の問題がどのくらい重要なのか?というふうなことを。
米国の場合はそれに対して個人レベルのデータが公開されていますので、個人レベルの分析をしたらどうなるのか?ということをやってみたのが米国3施設データの部分になります。
あとちょっと前の部分とはあまりつながりはないんですけれども、福島の甲状腺データの公開されている市町村別のデータですね、それの特に結節のデータを分析をしてみるというのが3番目の内容になっています。

目的としましては、書いてある通り、代表的な研究である原爆被爆者の分析方法について批判的に検討して問題点を把握しましょうと再分析することによって問題を明らかにして、先ほど申した「個人レベルの集計による」という大きな問題があると考えられますので、そもことを米国のデータを使ってより再確認しましょうと。
あと、福島のデータもいじってみます。
というような内容になっています。

最初に被爆者のデータの分析ということで、1950年以来ABCCもしくはRERFが被爆者のデータを集めているわけです。
9万4000人の被爆者及び被ばく時点では市内にはおられなくて、その後入った、来られた方約2万7000人を追跡調査していることになっています。
こういうデータを集めて5年から10年ごとに分析結果をまとめて報告するというのがずっと続けられていて、直近のメインレポートというのが2012年に報告された14報になっています。
この調査のことをLife Span Study (LSS) と呼ばれていますので、今後LSS14とかLSS13というのは、それぞれ2003年のレポートの、もしくは2012年最新のレポートのことを意味しています。

これがLSS14報データを集計してみたものになっています。
こちらが線量になっていて、それぞれの線量の中に何人いらっしゃるのかと。
そして線量推定されているのが8万6000人なので、大体の分析はこの8万6000人に対して分析が行われています。
8万6000人のうち5万人程度が亡くなられて、
そのうち固形癌で亡くなられた方がトータルで1万人。
それを線量ごとに見てみると、
こちらは下にカッコが付いていますけれど、このカッコというのは死亡数に占める固形癌で亡くなられた方の割合ということになっています。
ご覧の通り線量が一番低いところだと20%ですかれども、線量が高くなるにつれて21%、そして29%というふうに、被ばくによって固形癌で亡くなる方の割合が増えている。
白血病も同様になっていますよね。
これが基本的な分析の仕方になります。
これをグラフで書いたのがこんな感じになります。

ですから基本的にはこれに直線を当てはめるのか、上にそった形を当てはめるのかというふうなことをするわけです。
これは線量だけを考えていますけれども、ご覧のようにそれぞれの線量によって、広島長崎とか、男性女性の割合、被爆時年齢なども若干異なっていますので、実際の分析では線量だけではなくて、この辺の変数も当然勘案して分析をするということになっています。
実際のデータですとこんな感じになっています。
公開されているデータ

こちらに行くと、登録すれば簡単にダウンロードできるようになっています。
こんな感じで線量が22区分、都市、性別、被爆時年齢と到達年齢が5歳ごとに区切られて集計されたデータが公開されているということになっています。
今のデータをプロットしてみたものがこのチャートになっています。

横軸が被ばく量で縦軸が固形癌で亡くなられた方の割合になっています。
丸の大きさがそれぞれのセルに何人いるのか、ということに比例して丸の大きさが書かれています。
先ほどのシンプルなものだと直線が明確に見えたんですけれども、実際にこういうデータを見ると非常にばらついていますよね。
ですからこれにどういう直線を、直線というか、線量応答関数というんですけれども、どのような関数計を相当するのかというのが一つ重要な問題になります。
ここでの赤線は現在のところは被ばく量とともに固形癌死が増えるという、よく言われるリニアのロースレッショのモデルというものを想定したのがこの赤い線になっています。
方程式で書くとβ0+β1×dと。
dが被ばく量ですね。
重要なのはβ1というパラメーターで、ここにあるように被ばく量が1Gy増えるごとに固形癌死する方の割合がどれくらい増えるのかということを表すのがβ1というパラメーターになります。
あと、統計学的に非常に重要なのはこのβ1がゼロなのかどうなのか?ということが非常に重要になるわけですね。
β1がゼロだということは、この直線が完全に寝てしまうわけですね。
β1がゼロの時には、被ばく量dがいくらであってもこの高さが変わらないということなので、あとあと検定などをする時に重要になってくるのはこのβ1がゼロなのかどうか?ということが非常に重要なポイントになってきます。
これは直線だけを想定していますけれども、LSSスタディーでは幾つかの関数計を想定しています。

これが扇形になっていまして、波線のやつがシンプルな閾値モデルになっています。1:02:41(画像切れる)

1:04:17〜
ですから過剰相対リスクということになりまして、 f(d)というのがさっきグラフでお見せした線量関数というものになります。
同じ1Gy浴びても男性とか女性とか年齢とか、被爆者の特性によってその影響が異なってくるだろうということなので、先ほどの線量応答関数にそれをかけて修正するという不仲たちのモデルになっています。
被爆者の特性についてはこんな感じで、被ばくされた方の性別と何歳で被ばくされたのかと。
その方が例えば70歳になったときに癌死する確率がどれくらい増加するのか、というふうな形でモデルが推定されています。

実際にこれを推定してみた結果がこのチャートになっています。↑
被ばく量のところに0.42という数字がありますが、これは1Gy被ばくすると固形癌で亡くなる方の割合が42%増加するということを意味しています。
隣に標準誤差というのがありますが、これは8万6000という有限なサンプルなので推定値にも誤差があるということなので、その誤差を評価したものになっています。
t値 というのが、0.42を0.05で割ったものになります。
t値 が決まるとP値というものが自動的に決まるんですけれども、
P値 というのは、先ほど申しましたように係数がゼロかどうか?というのが非常に重要なので、係数がゼロだという、いわゆる帰無仮説ですね、null hypothesisを検証した結果を前提とした時に、t値が8.4になる確率がどれくらいあるのか?ということを表したのがこの P値 、確率値になっています。
ま、ご覧のように非常に確率が低いわけですね。
係数がゼロだった時にP値 が8.4になるような確率は0.1%よりも小さいですよと。
ありえないことが起きているので、そもそもの仮説を棄却しましょうと。
ですから「ゼロである」という仮説を棄却するので、ま、ちょっといい加減にいうと「ゼロではない」と。
「被ばく量が増えると死亡する確率も増えます」ということがこの結果から言えると。
どれくらい稀だったら仮説を棄却するのか?ということなんですけれども、だいたい5%よりも小さい時には仮説を棄却しようというのが一般的な考え方ですので、5%よりも小さければここに星(*)がつくということになります。
あと信頼区間というのは、これもちょっといい加減な説明になりますけれども、95%の確率で真の係数がこの中に入っているということなので、チェックポイントとしてはこの信頼区間の中にゼロが含まれているかいないかということが重要なポイントになります。
ですから今の場合はP値が5%よりも小さいですし、星(*)もついているし、信頼区間もゼロを含んでいないということですから、これは確かに被ばく量と癌死の確率には正の相関があると。
統計的に見て有意の正の相関があるということが言えるわけです。
あと、被爆時年齢についてはマイナスですね。
ですからこれは被ばくした時の年齢が高いほど癌死のリスクは低くなるということを意味しています。
同じように星(*)が付いていますね。
ということは逆に言うと、「子供が被ばくするとリスクはより高くなりますよ」と。
放射線の影響は子供の方が受けやすいと言うのは、ここの結果から言われることになっています。
あと、到達年齢もマイナスになっている。
これはなんとなく直感的には歳を取るほど癌死する人が増えるような感じがするんですけれども、これは相対的なことを言っていますので、「実数は増えるけれどもその中で被ばくによる死者の割合は減っていきますよ」と、そういうことになっています。
性別については女性が1で男性がマイナス1なので、「女性の方が影響を受けやすい」というふうなことになっています。
今のやつをプロットしたものがこれになっています。↓

横軸が到達年齢で縦軸がリスクになってて、それを被ばく時年齢ごとにプロットしたものがこれになっています。
先ほどの0.42というのはここ(赤丸)ですけれども、これは30歳で被ばくした人が70歳になった時に固形癌で亡くなる確率がどれくらい増加するのかということを意味しているわけです。
ご覧のように被ばく時年齢が、ちょっと消えていますけれども、これ(一番上のライン)が10歳ですね。
10歳、20歳、30歳、40歳、50歳と。
先ほどあったように被ばく時年齢が若いほどこのリスクは高くなるという、非常に重要な結果だと思います。
こういうふうに、非常に素晴らしい分析をしているようには見えるんですけれども、色々細かく見ていくと、つぎのこんな感じのいろんな問題点があるのではないかと。


ちょっと一つ一つご紹介している時間がないので、今日はこの個人レベルデータを集計することによる問題点と、低線量域にサンプルを限定することの問題点、そして不完全なモデル選択という、主にこの3つの結果を紹介したいというふうに思います。
01:10:17

今の推定というのはずべてのデータを用いて推定したわけですけれども、LSS13報ではこんな感じで、データの線量の範囲を限定して推定しています。
例えば一番上のこれですとゼロから50mSvまでの人だけを使って今と同じことを推定したと。
そうすると、P値が15%になっていて、当然星(*)は付いていないですよね。
同じように100までだと30%になって、また星(*)が付いていないんだけれども、
125ぐらいになるとP値が5%よりも低い2.5%になるので、星(*)が付いて、ここからなんか有意になるということになっていますよね。
で、これが多分「100mSv以下では統計的に有意な影響がみられない」というものの背景にある分析だと思います。
これはですから、そもそもデータがこんなにいっぱいあるのに、「なぜここだけを取り出すのか?」というのが非常に、ま、データの取り出し方の恣意性というのもありますよね。
ですからもしこういうことをするのだとしたら、すべてのデータを用いて、例えばこういうのところでさっきのかた引きが異なるとかですね、そういう線形スプライニングモデルなどをちゃんと推定してあげたほうがいいだろうというふうに思います。
実際にこのLSS13報ではこういう分析がされましたけれども、LSS14報ではこの分析がされていませんので、多分やった人たちにも「こういう分析には問題がある」ということに気付いたのではないかなと思います。

残念ながらUNSCEARも同じような方法でレポートを書いております。
2006年レポートの中で、
今のは非常にシンプルなモデルでやったんですけれど、線量推定値には誤差があるということを考慮したような、もうちょっと複雑なモデルを使って、線量を今のように限定してサンプル数を減らした上で推定をしたところ、固形がんの脂肪については200ミリシーベルトまで。
発症については250mSvぐらいまでサンプルを使うと星(*)が付いてくるというようなことを報告
1:12:49
ーーーーーー
悲しい・・・
のんびりと文字起こしをしていたら…動画がなくなってしまいました><
http://www.ustream.tv/recorded/73747139
Ustream,からYoutubeになっているかな?とも思って探してみましたが見つけられませんでした。
「これから!」という時だっただけにとても残念です。
途中までですが、ブログにアップします。
とても残念ですが「第5回 市民科学者国際会議」の文字起こしはこれで終わります。
続きを読む
南相馬・旧上真野の「葉タバコ」から182ベクレル検出
福島民友 2015年10月16日 08時34分
日本たばこ産業(JT)は15日、買い取り前に行った2015(平成27)年産葉タバコの放射性物質検査結果を発表、南相馬市の旧上真野村で生産された乾燥済みの葉タバコから、自社基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る182.7ベクレルの放射性セシウムが検出された。
同社によると、同地域は、過去4年間の検査で基準値を下回っていた。同社は同地域の葉タバコは買い取らず、今後、原因などを調査するとしている。検査したのは「バーレー種」と「在来種」の2品種。対象エリアは、本県や茨城県などで、111点の調査を実施した。他の地域については、いずれも基準値を下回った。
ということで、日本たばこ産業のホームページを見に行ってみた。
日本たばこ産業
2015年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
当社では、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、葉たばこに関する放射性物質の自社基準値を設定し、購買前及び製品工程の各段階において幾重にも検査・確認を実施してまいりました。
このたび、2015年産の葉たばこの収穫が開始されるにあたり、昨年同様、葉たばこ農家等からの協力を得て、2015年産の葉たばこに対する購買前段階の放射性物質検査を実施し、今回、在来種・バーレー種葉たばこの検査が完了しました。
全111地域について検査を行った結果、110地域では自社基準(放射性セシウム: 100Bq/kg)を超える結果は測定されませんでしたが、1地域については、自社基準値を超過する結果となりました。
自社基準値を超過した地域の本年産葉たばこについては購買いたしません。
ー略ー
<今回の購買前検査概要>
・ 検査対象品種: 在来種・バーレー種葉たばこ(乾燥済)
・ 検査対象エリア: 茨城県、栃木県、福島県、宮城県、山形県、岩手県
・ 検査点数: 上記エリア内からのサンプル111点の調査を実施
・ 検査対象物質: 放射性セシウム(自社基準値: 100Bq/kg)
・ 検査機関及び検査機器: 当社研究所、ORTEC社製ゲルマニウム半導体検出器
<今回の購買前検査結果>
検査地域の詳細
茨城県
猿島郡境町(猿島村)
栃木県
大田原市(川西町、両郷村)
那須塩原市(黒磯町、高林村、東那須野村、鍋掛村)
塩谷郡高根沢町(北高根沢村)
那須郡那須町(那須村)
福島県
郡山市(巌江村、逢隅村、月形村、二瀬村、御舘村、宮城村、三代村)
いわき市(川前村)
白河市(小野田村、信夫村、白坂村)
須賀川市(稲田村)
喜多方市(熱塩村、加納村、慶徳村、駒形村、松山村)
田村市(大越町、滝根町、常葉町、船引町、芦沢村、瀬川村、七郷村、美山村、文珠村、移村、山根村)
田村市・田村郡三春町(要田村)
本宮市(岩根村、和木沢村、白岩村)
川俣町(富田村、小綱木村)
耶麻郡北塩原村(北山村、檜原村)
耶麻郡西会津町(尾野本村)
河沼郡会津坂下町(高寺村、八幡村)
河沼郡柳津町(柳津町)
大沼郡三島町(宮下村)
大沼郡会津美里町(永井野村、尾岐村)
西白河郡泉崎村(関平村)
西白河郡中島村(吉子川村)
西白河郡矢吹町(矢吹町、広戸村、中畑村)
東白川郡棚倉町(棚倉町)
岩瀬郡鏡石町(鏡石村)
石川郡石川町(沢田村、野木沢村、母畑村、山橋村)
石川郡平田村(小平村、蓬田村)
石川郡古殿町(宮本村)
石川郡浅川町(浅川村)
田村郡三春町(御木沢村、沢石村、中郷村、中妻村、三春町)
田村郡小野町(小野新町、飯豊村、夏井村)
双葉郡川内村(川内村)
南相馬市(上真野村)
二本松市(旭村、小浜村、新殿村、戸沢村、太田村)
岩手県
一関市(磐清水村、小梨村、矢越村、折壁村、渋民村、黄海村、薄衣村、舞川村)
胆沢郡金ケ崎町(永岡村)
奥州市(前沢町)
宮城県
白石市(福岡村)
柴田郡川崎町(川崎町)
伊具郡丸森町(耕野村、大内村、筆甫村)
栗原市・大崎市(清滝村)
大崎市(一栗村、西大崎村、真山村)
加美郡加美町(広原村、小野田町、宮崎村)
栗原市(高清水町)
山形県
河北町(北谷地村)
村山市(袖崎村)
尾花沢市(尾花沢町、宮沢村、玉野村、常盤村)
※ ( )内は検査実施旧市町村名
2015年10月15日
日本たばこ産業株式会社
ーーー
100Bq/kgをこえていたのが1地域だけ。他は超えていなかった。
では他の地域は何Bq/kgあったのか?
検出限界値はいくつなのか?
とっても知りたかったので↓のファイルをチェック!
在来・バーレー種 葉たばこ(乾燥済)の放射性物質 検査結果
pdfファイルを開いて思わず「えっ!!」と叫んじゃった私。
111の検査結果がズラーッと並んで出てくると思っていたから、唖然( ゜Д゜)ウソッ!
これだけしか書いてありません↓

サンプル111点の調査結果はどこかにないのだろうか?
ということで過去の検査結果をチェック
2014年
2014年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
2014年10月9日 日本たばこ産業株式会社
全128地域について検査を行なった結果、126地域では自社基準値(放射性セシウム: 100 Bq/kg)を超える結果は測定されませんでしたが、2地域については、自社基準値を超過する結果となりました。
pdfファイル在来・バーレー種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果(2014年産)
岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県。
各旧市町村別にサンプル(乾燥済)128点の調査を実施。
そして、pdfファイルにはすべての検査結果が記載されている。(←当然だよね)



100ベクレル超の2地域
福島県田村郡三春町御木沢村565.2ベクレル
栃木県那須塩原市黒磯町100・9ベクレル
100ベクレル超の地域のたばこは買い取らないが…
栃木県那須塩原市鍋掛村84.2ベクレル
栃木県那須塩原市高林村 76.8ベクレル
福島県河沼郡会津坂下町片門村60.6ベクレル
宮城県加美郡加美町宮崎村51.6ベクレルとか等等々…
これらはたばことなって販売されている。
たまたま調べたたばこの葉が100ベクレル以下だったというだけで100ベクレル超も商品化されていることは容易に考えられる。
2015年度産のたばこについては、このように100ベクレルを若干切っている地域がどこなのか?
それがすっぽりとかくされてしまった
2013年
2013年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
2013年10月10日 日本たばこ産業株式会社
全146地域について検査を行なった結果、144地域では自社基準値(放射性セシウム: 100Bq/kg)を超える結果は測定されませんでしたが、2地域については、自社基準値を超過する結果となりました。
pdfファイル在来・バーレー種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果(2013年産)
岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県
各旧市町村別にサンプル(乾燥済)146点の調査を実施
100ベクレル超の地域
福島県須賀川市白江村 185.6ベクレル
福島県本宮市 岩根村 103.1ベクレル
そしてなんと!
栃木県大田原市川西町は98.7ベクレルです!!!
栃木県那須塩原市鍋掛村も96.1ベクレル
宮城県伊具郡丸森町大内村83.4ベクレル
栃木県那須塩原市黒磯町79.5ベクレル
栃木県那須郡那須町芦野町70.7ベクレル
福島県川俣町富田村 69.7ベクレル
福島県田村市、田村郡三春町要田村69.3ベクレル
福島県郡山市高野村 66.2ベクレル
福島県河沼郡会津坂下町片門村 62.0ベクレル
栃木県大田原市川西町や那須塩原市鍋掛村など、これらのたばこの葉は購入されています。
↑2013年も↓2012年もすべてのサンプルの検査結果がちゃんと公表されていた。
2012年
2012年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
2012年10月9日 日本たばこ産業株式会社
全147地域について検査を行なった結果、146地域では自社基準値(放射性セシウム: 100Bq/kg)を超える結果は測定されませんでしたが、1地域については、自社基準値を超過する結果となりました。
pdfファイル
在来・バーレー種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果(2012年産)
岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県
※福島県の全域および2011年産購買前検査、購買後検査において、検出実績のあった地域
各旧市町村別にサンプル(乾燥済)147点の調査を実施
100ベクレル超の1地域は
福島県白河市小野田村の110.7ベクレル
福島県田村市瀬川村96.6ベクレル
福島県岩瀬郡鏡石町鏡石村90.8ベクレル
福島県河沼郡会津坂下町八幡村90.3ベクレル
福島県田村市常葉町89.2ベクレル
福島県田村市、田村郡三春町要田村88.2ベクレル
福島県田村市美山村85.9ベクレル
福島県白河市白坂村83.2ベクレル
福島県河沼郡会津坂下町片門村77.7ベクレル
福島県郡山市御舘村73.1ベクレル
福島県河沼郡会津坂下町高寺村69.7ベクレル
福島県西白河郡泉崎村関平村68.7ベクレル 等等々
2011年
2011年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
2011年10月18日 日本たばこ産業株式会社
このたび、残る品種であるバーレー種及び在来種葉たばこの購買前検査が完了しましたが、黄色種と同様、社内暫定基準値(放射性セシウム: 500Bq/kg、放射性ヨウ素: 2,000Bq/kg)を超えた葉たばこはありませんでした。
更に、当社では今後購買する葉たばこの使用にあたっては、製造工程の各段階において幾重にも検査・確認する体制をとって参ります。
引き続きお客様に安心して当社製品をご愛顧頂けるよう、今後も品質管理に万全を期して参ります。
バーレー種及び在来種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果(2011年)
宮城県、茨城県、栃木県、群馬県
町村別のサンプル(乾燥済)計31点の調査を実施
500ベクレルと2000ベクレル!!!
この文字を見てゾーッとしました。
しかも31点しか検査していません。
ちなみに、2011年でセシウム合計100ベクレル超は10件
栃木県那須塩原市389ベクレルが最高で
栃木県那須町338ベクレル
栃木県日光市と茨城県古河市が201ベクレル
宮城県白石市、角田市176ベクレル
宮城県色麻町、加美町170ベクレル
栃木県大田原市144ベクレル
茨城県境町128ベクレル
宮城県丸森町119ベクレル
栃木県鹿沼市103ベクレルとなっている。
この当時は500ベクレル以下だったので、もちろんこれらも市場に出ていたのでしょう。
ここまで過去を見てきてやっぱり疑問に思うのは、
なぜ?2015年は100ベクレル超だけしか公表されず、残りの110サンプルの検査結果を隠したのか?
隠された意図を感じる。
そして、やっぱりたばこって怖いですね。
放射性物質が喉、声帯などを通ってそのまま肺にはいり、また同じ道をたどって鼻や口から出てくる。
指で挟んだたばこの煙は風に乗り近くにいる人が吸い込んで内部被曝する。
汚染されたたばこの葉は日本全土に運ばれ、汚染を広げていく。
いろいろ想像したら、本当に怖くなりました。
2011年から2015年までたばこの葉の汚染を見てきたけれど、
5年ぐらいじゃセシウム134のNDが多くなってきただけで汚染度はほとんど変わっていないんじゃないかと思った。
たばこの葉の汚染でその地域の汚れ具合もよく見えてくるから、2015年は見えなくしちゃったのかな…
原発事故の作業員が白血病 初の労災認定
NHK 2015年10月20日 16時10分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束作業などにあたった当時30代の男性作業員が白血病を発症したことについて、厚生労働省は被ばくしたことによる労災と認定し、20日、本人に通知しました。4年前の原発事故に関連してがんの発症で労災が認められたのは初めてです。
労災が認められたのは、平成23年11月からおととし12月までの間に1年半にわたって各地の原子力発電所で働き、福島第一原発の事故の収束作業などにあたった当時30代後半の男性作業員です。
厚生労働省によりますと男性は、福島第一原発を最後に作業員をやめたあと、白血病を発症したため労災を申請したということです。
白血病の労災の認定基準は、年間5ミリシーベルト以上被ばくし、1年を超えてから発症した場合と定められていて、厚生労働省の専門家による検討会で被ばくとの因果関係を分析してきました。
その結果、男性はこれまでに合わせて19.8ミリシーベルト被ばくし、特に、福島第一原発での線量が15.7ミリシーベルトと最も高く、原発での作業が原因で発症した可能性が否定できないとして労災と認定し、20日、本人に通知しました。
厚生労働省によりますと、原発作業員のがんの発症ではこれまでに13件の労災が認められていますが、4年前の原発事故に関連して労災が認められたのはこれが初めてです。
労災申請 今後増える可能性
厚生労働省によりますと、福島第一原発の事故後、被ばくによる労災は今回の件以外に10件が申請されていて、このうち7件では労災は認められませんでしたが、3件は調査が続いています。
福島第一原発で事故からこれまでに働いていた作業員は延べおよそ4万5000人で、年間5ミリシーベルト以上の被ばくをした人は2万1000人余りに上っていて、今後、労災の申請が増える可能性もあります。
専門家「今後も被ばく量に注意」
今回の労災認定についてチェルノブイリ原発の事故の際、被ばくの影響を調査した長崎大学の長瀧重信名誉教授は「労災の認定基準は、労働者を保護するために僅かでも被ばくをすれば、それに応じてリスクが上がるという考え方に基づいて定められていて、今回のケースは年間5ミリシーベルト以上という基準に当てはまったので認定されたのだと思う。福島第一原発での被ばく量は15.7ミリシーベルトとそれほど高くはないので、福島での被ばくが白血病の発症につながった可能性はこれまでのデータからみると低いと考えられるが、今後も、作業員の被ばく量については、十分注意していく必要がある」と話しています。
NHKが言う専門家長瀧重信名誉教授って?
<線量リスクの評価と健康管理>くどくど話してなかなか先に進めようとしない長瀧重信座長8/6第9回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)
<福島県外も検診を!>環境省のパブリックコメント締め切りは1月21日マデ。〜肝心な部分の議事録が公表されていない〜&第14回専門家会議終了後の記者会見文字起こし
原発事故:白血病の作業員に初の労災認定
毎日新聞 2015年10月20日 20時56分(最終更新 10月21日 06時46分)
厚生労働省は20日、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業に従事し、血液のがんである白血病にかかった40代男性の労災を同日付で認定したと発表した。第1原発事故後の作業で被ばくした作業員のがん発症で労災を認めたのは初めて。原発事故から今年8月末までに福島第1原発で働いた作業員は4万人を超えているが、廃炉の完了は見通せない状況で、被ばくに伴う労災申請が今後増加する可能性がある。
厚労省によると男性は2012年10月〜13年12月、建設会社の社員として第1原発で原子炉建屋カバーや廃棄物焼却設備の設置工事などに従事。作業中は防護服や鉛ベストを着用していたが、体調を崩し、血液のがんである白血病と診断された。男性は別の原発を含めて約1年6カ月間原発で作業し、累積の被ばく線量は19.8ミリシーベルト(第1原発だけでは15.7ミリシーベルト)。現在は通院治療中という。
厚労省は、白血病に関する原発労働者の労災認定基準について、1976年に「年5ミリシーベルト以上で、被ばくから発症まで1年超経過していること」と定めた。福島労働局富岡労働基準監督署は男性の労災申請を受けて、作業内容などを調査。放射線医学の専門家らで作る厚労省の検討会の意見を踏まえ、認定基準を満たしていると判断した。男性には医療費や休業補償が支払われる。
今回の認定について、厚労省は「被ばくと白血病の因果関係は明らかではないが、労働者補償の観点から認定した」としている。
厚労省や東京電力によると、事故後に第1原発で働いた作業員は今年8月末時点で4万4851人おり、累積の被ばく線量は平均約12ミリシーベルト。このうち約47%の2万1199人が、白血病の労災認定基準の年5ミリシーベルトを超えているという。
事故後に第1原発で働いた作業員でがんを発症し労災を申請したのは、今回認められた男性以外に7人いる。このうち3人は労災が認められず、1人が自ら申請を取り下げ、残る3人は審査中だという。
今回の認定について、東電は20日、「労災認定されたのは協力企業の作業員で、詳細をコメントできる立場ではない。今後も作業環境の改善に努める」とのコメントを出した。【古関俊樹、関谷俊介】
◇原発労働者の労災認定基準
厚生労働省は原発労働者を含む放射線業務従事者について、労働安全衛生法に基づく被ばく線量の上限(年50ミリシーベルトかつ5年100ミリシーベルト)とは別に、放射線障害による疾病ごとの労災認定基準を設定。白血病以外のがんでは、悪性リンパ腫で「年25ミリシーベルト以上」、食道がんや胃がんは「100ミリシーベルト以上」などとしている。原発労働者の労災認定は、福島第1原発事故以外でこれまでに13人(白血病6人、悪性リンパ腫5人、多発性骨髄腫2人)いる。
被ばく労災 廃炉の担い手こそ守れ
東京新聞 2015年10月21日
東京電力福島第一原発の事故処理で高線量の被ばくを伴う作業が続いている。被ばくによる労災も現実となり、壁が厚い補償認定の見直しが必要だ。廃炉への道は作業員の安全が守られてこそある。
廃炉に向けた過酷な作業が続く現場では、過密な労働環境で事故が相次いでいる。2013年度に32件だった死亡・負傷は14年度には64件に倍増した。
各地で原発再稼働を進める政府はさらに、重大事故時に許容される作業員の緊急被ばく限度を、現行の年100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げようとしている。作業員にさらなる被ばくを強要するのは命の軽視ではないか。
原発労働者の安全対策や補償は不十分だ。がんを発症しても労災認定の壁は厚い。厚生労働省が胃、食道、結腸がんについて、事故翌年の12年に公表した労災補償の考え方では、がん発症との関連がうかがわれるのは「被ばく線量は100ミリシーベルト以上」「被ばくから発症までの期間は5年以上」などと高いハードルを課している。
だが、「何ミリシーベルト以下ならがんは発症しないという境界はない」と指摘する専門家は少なくない。厳しい基準を一律に当てはめるだけでは、収束作業で増える労災の認定が進まなくなる。厚労省によると、福島原発事故の作業での労災申請は11件。認定例は原子炉建屋の覆い設置などに従事後、急性骨髄性白血病を発症した北九州市の元作業員のケースのみ。
現場の安全対策を問う裁判も始まった。事故収束作業に従事し、胃などにがんを発症した元作業員男性が9月、東電と元請け会社などに損害賠償を求める裁判を札幌地裁に起こした。男性は「事業者が安全配慮を怠り無用な被ばくをさせた」と主張。被ばく線量は11年7月から4カ月で56.41ミリシーベルト。線量も発症までの期間も基準に満たないなどとして労災を認められていないが、高線量の作業は線量計を持たずに行ったという。
男性のケースのほかにも、線量計に鉛カバーをして線量を低く抑えたり、被ばく線量をごまかして働かせている問題が発覚した。男性の裁判を通じて、作業実態が明らかになれば全体的な点検、見直しは不可避になる。
国や東電は、がん検診や健康管理手帳の交付について、福島原発事故後の「緊急作業」に従事した人に限らず幅広く、離職後も含めて受けられるようにすべきだ。何十年もかかる廃炉作業は担い手が守られなければ成り立たない。
福島第1原発事故ガレキ撤去従事 「作業で発がん」東電など提訴

福島事故後被ばくで初の労災認定 白血病発症の元作業員
東京新聞 2015年10月21日 朝刊
厚生労働省は20日、東京電力福島第一原発事故後の作業で被ばくした後に白血病になった元作業員に、労災保険を認定した。事故収束作業に伴う白血病の発症で労災が認められたのは初めて。
厚労省によると、労災が認められたのは発症時30代後半だった男性。建設会社の社員として2011年11月~13年12月、複数の原発で作業した。12年10月以降の1年1カ月間は福島第一を担当。原子炉建屋に覆いを造ったり、使用済みの防護服などを焼却する施設を建設した。
男性は13年12月に福島第一を去った後に体の不調を感じ、白血病と診断され労災申請した。現在は通院治療している。
白血病の労災が認められるには、年5ミリシーベルト以上を被ばくし、作業開始から発症まで一年以上あることが基準。男性の累積被ばく線量は19.8ミリシーベルトで、福島第一での線量は大半の15.7ミリシーベルトを占めた。
福島県の富岡労働基準監督署は、厚労省の専門家による検討会の見解を聴いた上で、福島第一での被ばくが白血病の大きな原因になった可能性があると判断した。男性には医療費や休業補償が支払われる。
厚労省は「労災認定は補償が欠けることがないよう配慮した行政上の判断で、科学的に被ばくと健康影響の因果関係を証明したわけではない」としている。
事故前に全国の原発で白血病や悪性リンパ腫などの労災を認められた作業員は13人。福島第一の収束作業で白血病も含むがんを発症したとする申請は8件。今回の男性を除く7件の内訳は3件が不支給、1件が取り下げ、3件が調査中。
福島第一原発での作業をし、白血病となった男性が初めて労災認定されたことに、作業員からは「認められてよかった」との声が上がったが、収束作業の現場が被ばくとの闘いであることは変わりない。他のがんなどの労災認定には高いハードルが設けられていることなど、作業員を取り巻く環境は課題が山積している。
白血病の認定条件の一つは「年5ミリシーベルト以上の被ばく」。東電のまとめによると、事故発生後、福島第一での作業に関わって累積で5ミリシーベルト以上被ばくした人は2万人強いる。2011年度だけで1万人以上が5ミリシーベルト超被ばくしていることなどから、「累積5ミリシーベルト以上」の2万人強の多くが、「年5ミリシーベルト以上」という条件に当てはまるとみられる。
仮に白血病になった場合、救済の道が開けたことは安心材料になる。ただ、胃がんなどでは明確な基準が定まっておらず、100ミリシーベルト以上の被ばくが認定の一つの目安とされるなど、白血病に比べ厳しい運用がされている。
技術者の作業員は「がんになるのでは、と不安になることもある。どうすれば認定されるのか、決めてほしい」と話した。別の作業員も「福島第一で命をかけて働いている。(国は)家族のためにも救済側に立ってほしい」と訴えた。
胃など三カ所のがんになった元作業員は、高線量の作業をしたが、記録上の線量が100ミリシーベルトに満たないなどとして労災が認められなかった。この男性を含め、線量計を低線量の場所に置いて作業していたと証言した作業員は少なくない。その場合、実際の被ばく線量は記録より高くなる。
現場では、がれきが除去されるなどして当初よりは線量が下がった。現在はタンク増設や敷地内の舗装が中心のため、作業員の被ばく線量も全般的には低めで推移している。
だが今後、廃炉作業は原子炉へと近づく。ベテラン作業員は「来年はもっと高線量の作業が増える。がんになる人が増えたら、福島第一に来なくなる人が出てくるかもしれない」と懸念した。 (片山夏子)
<東電の広報担当者の話>
作業員の労災申請や認定状況について当社はコメントする立場にない。今後も作業環境改善に取り組み、被ばく管理を徹底していく。
~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
ティモシー・ムソー教授
質疑応答

42:20
川根眞也先生(内部被ばくを考える市民研究会):
貴重な公演をありがとうございました。
空間線量との関係はわかったんですが、チェルノブイリと福島の核種の違いと生物への影響というのは研究されたのでしょうか?
ムソー:
内部被曝経路も研究しております。
ガンマスペクトロメーターを現場に持ち込んでシールディングを行ってそしてマウスや鳥を見て小さな赤いケージの中に入れて内部被曝を測定しました。
どれぐらいの放射能なのか?というのを測りましたので、どれぐらいの線量が摂取されているのかわかっております。
それと線量計を体内に埋め込んで、マウスですけれども。
埋め込んだまま野生に離して、もう一度捕獲して線量計を外して読み取りました。
外部線量がわかります。
そうすると、個体レベルで正確な測定がわかります。
鳥については全て見せる時間がなかったんですけれども、
鳥については新しい手法で足に線量計をつけました。
鳥というのは通常、繁殖期は同じエリアにとどまります。
3ヶ月、もう少し長くとどまることもありますので、同じ鳥を同じ区域で捕獲することが可能なわけです。
ツバメを例に取りますと、戻ってきます。
同じ巣に翌年も戻ってきます。
生きていればという話ですが。
なので、数百のツバメに線量計をつけて再度取ることができました。
今ちょうど、かなりのレベルで内部・外部。双方のレベルでわかりつつあります。
もちろん標準的なラジオエコロジーの手法も用いております。
理科ツールを用いて推定をするということもやっております。
44:50

崎山比早子先生:
放射線によってミューテーションが増えるというのは放射線のアレでわかるんですけれども、
個体数が減るというのは、例えば鳥の個体数が減るというときに、
福島では大規模な除染が行われていて、表土などがフレコンバックの中に入っちゃって、
そういう形で除染の影響によって鳥とか生物、昆虫類の個体数が減るっていうのが考えられると思うんですが、
そういった点は、放射線の線量だけで増えれば減るっていう、そういった関係とどういう風にイントラクションしているのか、除染の影響はそこに入っていないかどうか?ということをお伺いしたいです。
ムソー:
非常に鋭い質問ありがとうございます。よくぞ聞いてくださいました。
私どもも実は過去9ヶ月ですけれども、個人的に大型哺乳動物をカメラトラポを使って撮影しています。
動きでセンサーがつく特別なカメラを使って写真が撮れるような仕組みがあります。
おっしゃるとおりです、先生。おっしゃるとおり。
全ての除染活動に関わる全ての活動、トラックや車も人ももちろんそうです。
表土層をとって、だいたい10mですか、道路の両側10mぐらいですからそれほどたくさんというわけではないですが、騒音があって塵(ちり)が飛び散る、そして人も怖いものが来たと動物の目には映るわけです。
本当におっしゃるとおりでこの区域4657(音消え)
4708
のような余分な活動はないと、定常状態に戻ったところでは動物に対する影響はないと思います。
そして今回出しました鳥類に対する研究というのは、こういった除染活動が行われる前です。

除染が行われた後ということで昨年集中的に起こっています。
昨年は本当に何千ものトラックそして人がたくさん入って除染活動が行われています。
これはこれで目を見張るものがあるんですけれども、
これは一時的なノイズよりはずっと大きいと思います。
確かに表土層を除去している。
これはおそらく土壌がこのインパクトから回復するには数年かかると思います。
私もこの除染による影響も研究したいと思っています。
基本的な科学をやっていかなくてはなりません。
この問題についてはやっていかなくてはならないと思っていますし、願わくばやりたいと、できればと思っております。
48:11
質問女性:
チェルノブイリとの比較で最初の質問とも関係すると思うのですが、チェルノブイリから10年ぐらい経ったときにウクライナの動物学研究所の調査で、水鳥の雛が孵って、なかなか大きくなるまで生きられないというような理由の一つに、卵の殻にストロンチウムが蓄積しているというような報道を見たことがあります。
そのような調査というのをムソーさんは行っておられますか?
先ほど被曝のことがありましたが、内部の放射線核種の蓄積というようなことと病氣との関係、そういったことも見ておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
ムソー:
殻のぶぶんですね。
実際にはチェルノブイリではそういうところを少しみました。
同じストロンチウムがここの災害のときにも出てきました、セシウムですね。
で、地上の(通訳変わる)
多分セシウム、イオン化されたもの、そして希ガス、こちらは初期だけですぐに減衰されます。
そして、二つのセシウム134と137が残り、ストロンチウムの方はごくごく微量です。
そしてチェルノブイリではかなりのストロンチウムが飛びました。
ストロンチウムはカルシウムですから、これが卵の殻に蓄積されます。
従ってかなり可能性が高いと思います。
これが原因となって、過剰な内部線量になったのではないかと思います。
特に卵というのは胚が発達するときに方向性も放射能の方を向くようになっていますから、多分ストロンチウムが胚と胚の発達と卵に対しても影響を与えたと思われます。
やりたいんですけれども、ストロンチウムの研究そのものが高くて難しくて、かつ卵を集めるのも難しいです。
時間が掛かりますのでリソースがありません、でもやりたいです。
福島の方ではペーパーが出されています。
今年初めに出されたもので、先ほどプレゼンの中でも出しました。
これはツバメを対象にしたもので、実際に線量計を巣につけて、実際の放射線環境が巣でどうなっているのか?
卵が温められたりする環境について測定しました。
そうするとより良い関係が見られます。
生存と卵、そして子孫、子との関係が見られます。
そして巣との関係もわかるようになります。
この研究は非常に小規模で、本当に小さなものです。
リソースがないということが理由です。
それとアクセスがないと。
生物学者が居なくて、「こんな汚染されたところに誰が行くんだ」という問題があるために、さらなる問題となっています。
「生物学者が実際に福島に行く」ということだけ、これもシンプルなプロセスではなく、むしろ難しくなっているぐらいです。
町によっては禁止区域の全員に対してできるだけ大勢にということもやっています。
このために科学者が入れないという状況が続いています。
従って推奨は、一緒になって協力をして、独立した科学者が一緒になってこの環境の中で研究できるような環境を作り出すということだと思います。
以上です。
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第5回 市民科学者国際会議
~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
ティモシー・ムソー教授
また、原発の調査もそうなんですが、医学的な調査も行われて、
実際に医師が20年代にはこうやって放射能を使うことによって治療を行ってきました。
特にがんの治療に多く使われてきたわけです。
女性の一部、特に妊娠した女性が広島長崎ではわかったんですが、
特に子供さんが非常に放射能の影響を受ける確率が高かったと。
頭の小さな子供、脳の小さな子供、そういった認知移動が低くなるような子供がたくさん生まれてきました。

脳が小さく、


特にこの小頭症というのが放射能の高い地域ではよく見られています。

小さな鳥の方が淘汰されていく可能性が大きくなるわけです。
ネズミもそうですけれども、特に福島の脳の大きさの調査を行いましたが、170の福島のネズミを加えるとこういう形で脳のサイズが特に放射能の高かった地域には多く見られていることがわかっています。

35:00
ここでお話ししたいのは、なんらかの理由でチェルノブイリのことをあまりしっかりと研究していませんでした。
私たちが行く前は調査は行われていませんでした。
何人かが実際に、ちょっとした小規模な調査を行っていた方はいました。
また、実際にそういった小さなもの以外は本格的な調査は行っていませんでした。
どのシステムモデルを見ても、我々としてはなんらかの線量との反応の関係がある、これはマイナスの関係があることがわかってきました。
これをよくある例ですが、ファイアバグの例です。↓

これは日本では見たことはないんですが、ひょっとしたら日本にはいない種なのかもしれません。
この仮面のような部分、見えますか?
何か仮面をかぶっているような、アフリカなどにあるマスクをかぶっているように見えますが、
これは通常の虫なんですが、

チェルノブイリではこういう形で様々な、ま、形態が変わってしまっている、変異が起こっているのがわかります。
特に放射能の高い地域ではこういったものが見えていると、
放射能の高い地域からそういった生態系の異常が出ていることがわかります。

こちらですが、このチョウの調査が沖縄で行われています。

チェルノブイリでもこういった形の変化といったものが、奇形というものが行われています。
36:38
こちらはチェルノブイリの木です。


2週間前に日本で出ましたが、その調査を見ますと、福島の木、こちらでも成長がおかしくなっているということがわかります。
この、特に放射能の高い地域では奇形が行われています。

これは傾向を示す非常に大きな証拠になっています。
最後のメッセージになりますが、個体数はどうなのか?ということを見ていきたいんですが、
生死に影響があるというお話しもしましたし、また実際のパフォーマンスにも影響を及ぼしているという話もしました。





ちょっと時間がなくなってきましたけれども、皆さんはすでにご覧になっているかもしれません。
今年の初めに出されました三つの論文があります。
こちらは福島の鳥に対する影響です。
一つはツバメ、もう一つは残りの鳥を見ていきました。

この結果は驚くべきものでした。
チェルノブイリの場合には個体数の減少は66%です
プラスマイナスはあるものの66%は下落をしました。

実際に、種類的にも50%下がりました。

福島は4年経った後、400箇所調査した結果、多くのデータがいま溜まってきておりまして、
非常に明確にこのことがわかっています。
鳥の数ですけれども、非常に大きく下落しています。
特に放射能の強いエリアでは大きく下がっています。

これはまた、INSがフランスと協力をしながらもう一度調査を行いました。
実際のこの正しい線量反応というのはどういうものなのか?ということを調べたわけですが、
こちらでもやはり、大きな個体数の減少がみられています。

ですから、チェルノブイリでも福島でも大きな個体数の減少がみられています。


それではここでまとめに入っていきたいんですが、この後どういうことなのか?ということを考えていくときに、
まず国連のレポート、我々がよく依存するこのレポートに対して、いろんなたくさんの情報、
実際の公のパブリックのチェルノブイリ福島のデータが出てくるわけです。
実際に個人に対しての、個人それから個体数、それから●システムへのこういった損傷があるということです。
これは医師が行わないからといって、こういった調査が行われないからといって、この情報の価値がないというわけではないのです。

ですからこれは意味のある情報として皆さんに考えてもらいたいです。


また、我々はどういうことをするべきなのか?ということなのですが、
過去2週間福島にいたということをお話ししましたが、山木屋というところにいました。
ここは実際に震災の後避難をした場所なんですが、
彼らは4ヶ月、5ヶ月後には家に帰ることができると言っています。
特別な許可を得ても「家に帰ることができる」ということをおっしゃっていました。
オーナーが毎日来ていて、彼から言われた質問なんですが、
「本当に、実際に孫が来ても大丈夫なのか?」と。
「自分の家に、山木屋の家に戻って孫が来ても大丈夫なのか?」と。
「本当に野菜、フルーツ、自分の庭で育てたものを孫に与えても大丈夫なのか?」と聞かれたのですが、
それに対しての答えは実際に我々にはないわけです。
我々としてよく理解しなければいけないのは、大きな甚大な結果が本当にこの地域に住んでいるものへ影響はないのか、ということを見ていかなければいけない。
これが結局最終的に人間に対して大きな影響があるかどうかの判断になってきます。

最後のポイントになりますけれども、こういった取り組み、リサーチというのは、我々が行う場合、個人の科学者が、政治的な意図を持たない科学者が行うべきだと考えています。
こうした事実をベースにして、原発賛成の学者ではなく、そういった独立した医師を持った科学者が行うべきだと考えています。
ご静聴ありがとうございました。

刊行物、写真、報道
http://cricket.biol.sc.edu/chernobyl/Chernobyl_Research_Initiative/Publications.html
質疑応答に続く
ーーー
汚染された餌を食べたヤマトシジミの研究結果から考える「学校給食に福島産米」10/5 おしどりマコ・ケン横浜(文字起こし)
福島原発事故 生態系に影響与えていないのか
2013年5月30日放送 そもそも総研(内容書き出し)
ヤマトシジミ被曝影響研究論文とドイツ報道(字幕書き出し)
「福島のサルの異常はセシウムによるものと考えていい」
「チョウに表れた変化は放射性物質が原因とみて間違いない」
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~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
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ティモシー・ムソー教授

DNAだけではなく、我々は他の腫瘍も見つけたり、異常も発見していきます。

こういった形で、シジュウカラの頭のところにこういったところに腫瘍があったり

これはよくあるんですが、羽根の部分の腫瘍もあります。

これは統計的により頻度が高く、汚染が高いところでこういったことが他の個体に対して見られています。

また別の例として、原発の生存者、原発で生き延びた人たちを見た場合、目に白内障を患っている方がいます。
子供でもこれが出ています。

チェルノブイリの鳥も調べることにしました。

実際に鳥でも、より高い頻度で白内障が出ていることがわかりました。

汚染地域にはこういう形の傾向が見られています。
今度はネズミを見ていきましょう。

ネズミも白内障の割合が高くなっています。
これは特定の例ですが、これは何かよくわからないんですが、かなり明確な形で出ています。

通常の白内障とは違って、かなり高い頻度で起こっていますし、
汚染度が高い地域にはこれは非常に高い。

特にこれはメスに多い。
女性の方がより、こういった汚染の影響を受けやすいということもわかっています。
つづく
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健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
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ティモシー・ムソー教授
さて、ここで新たに、ちょっと動画になりますのでお待ち下さい。
29:43(精子が泳いでいる動画)
我々は方法論を確立しまして、この中で新鮮なオスの鳥の春の時点での(精子を)こういう形で取り出しまして、
精子の遊泳状況を見ていただいています。
実際のオスの不妊というのが、実際の整体の個体数を減らすことになります。
ここでわかったのが、精子の遊泳能力ですけれども、これがマイナスの影響を受けていると。
つまり放射能と活性酵素のストレスによって影響を受けていると。
これによって遊泳能力が落ちている。
こちらも実際の放射能の影響と考えられます。

これが10種類の、電子顕微鏡を使って見て、
10種類のうちここの数種の種類が高い異常を示しています。

これはチェルノブイリの鳥と比べて、他のヨーロッパの鳥と比べて大きな異常率を示しています。

こちらは↑我々は非常に驚いたんですけれども、いろんなレジャーから選んで小鳥を収集してきました。
このエリアは10もしくは50マイクロシーベルトぐらいの放射能なわけですが、
このエリア中でわかったのは多くの鳥に関して、だいたい40%の鳥が全く無精子状態であったということがわかりました。
これは自然の生態系の個体数に対して影響を及ぼしたことになります。
つづく
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2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
<福島とチェルノブイリの野生生物・1>ティモシー・ムソー教授「低用量曝露によって遺伝的損傷が起こるということが示されているのです」9/22第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)の続き
26:49

特別変異が集団によって高まるということですが、その結果確率として何が起こるのか?
動植物でこのような地域に住むものにとってどのような帰結が起こるのか?ということを見ていきました。
これが二つ目の質問です。
15年前です。
協力者ディモーリスト先生と1991年以降研究しています。
従って非常に長い研究ということになりますが、一つ始めに気がついたのは、もう目ですぐわかるんです。
鳥が飛び回っていますよね。
あんまり人を怖がらない、鳥というのは近寄ってきます。
特にツバメはそうです。
巣がドアの上に作られたりとかでたくさんの方が鳥を目にすると思います。
常時子どもはどうなっているのかな、ツバメの家族はどうなっているのかな?なんて見てらっしゃる方もいると思います。

これはツバメですけれども、このように白い羽が斑点紋状に出てきたということがわかりました。
どのレベルでも、どの頻度でも、どこを見ても、チェルノブイリ以外ではこのような斑紋のある白い羽を持つツバメは一切認められません。
おそらく有意な変化といえましょう。
これを手掛かりに他のチェルノブイリで手に入るものは全て研究しました。

多くの鳥類、こちらの方もやはり白い、白化(はっか)という異常が起こっています。
鳥だけではなく、難しいかもしれませんが、
メスの鳥を見て、難しいから割愛させていただきますけれども、
統計的有意を持って白化が起こっているということが認められました。

これはマーカーです。
つまり「遺伝的影響がある」ということ、そして「放射線の影響がある」ということがマーカーなのです。
福島は7月から関わり始めました。
そこで対象としたのはツバメです。

2012年7月に白化したツバメが認められました。
福島のツバメです。
私どもは継続して協力しながら、地元の市民団体、日本の野鳥団体という活発な団体と協力しながら、こう言ったツバメを福島中で検証してきました。

毎年毎年私どもの方で見つけられる、こういった白化があるツバメの数は増えてきています。
繰り返しになりますけれども、こちらは放射線被ばくのマーカーとなっています。
おそらくそれ以外のことも示唆しているのではないか?
それ以外の重要なことも示唆しているのではないかということが推察されます。
そして浪江町の牛ですけれども、牛でも白斑が認められました。

これが同じ机上で起こっているのかどうかはわかりません。
これと机上との関係はわかりません。
偶然かもしれませんが、このような形で動物の中には白斑を示すものが出てきています。
通常よりもずっと明るい色を示す動物が増えてきてしまっているのです。
つづく
ーーー関係ブログーーー
ツバメの巣から放射性物質〜21 都道府県中、1 都 12 県の巣から放射性セシウムが検出
<謎の眠り病>動画を見て気になったこと
「身体の一部が白くなるアルビノと呼ばれる突然変異」ネズミや鳥になにが?高放射線量地域生物に異変TBS(内容書き出し)
<黒毛和牛の白い斑点>「被ばく調査の生きた標本。 生きた証拠です」希望の牧場・ふくしま9/13スーパーJチャンネル(内容書き出し)
<被ばく症状>アルビニズム白色症 ・アルビノそして白斑
内部被曝に迫る ~チェルノブイリからの報告~(内容全部書き出し)
<被ばく症状>アルビニズム白色症 ・アルビノそして白斑
<三重県鳥羽市で次々見つかる奇形生物>お腹が横に紅白色分けの伊勢エビ・白いナマコ・雌雄の特徴が混在する伊勢エビ
白いマグロ
ピンク色のバッタ
<縁起がいい?>「幸運を呼ぶ金のヒラメ」と「ラベンダー色のタラバガニ」
<福島のお母さんに記者の質問>「鼻血以外の症状って?」「どんな発疹ですか?」5/21(文字起こし)
あと息子の肌が、白斑って言うんですか、白く抜けた感じが何カ所かに見られました。
傷みも痒みもないみたいです。
鮭もアルビノ
続きを読む
販売用コメ収穫 原発事故後初農業再生へ期待 浪江の酒田地区
2015/10/14 11:59 福島民報
馬場町長と共に稲刈りする松本さん(左)
東京電力福島第一原発事故で居住制限区域となっている浪江町酒田地区で13日、原発事故後初めてとなる販売用のコメの収穫が行われた。
酒田農事復興組合の松本清人さん(76)のほ場に馬場有町長らが訪れ、松本さんと共に稲刈りをした。馬場町長は黄金色に実った稲を見詰め、「農業の再生が町民帰還に向けての弾みになる」と言葉に力を込めた。
収穫したコメは放射性物質検査で安全性を確認し、JAふたばを通じて政府備蓄米などとして出荷する。
同地区では平成26年に原発事故後初の稲刈りが行われ、収穫したコメの放射性セシウムは全て食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回った。
(2015/10/14 11:59カテゴリー:福島第一原発事故)

参考:文科省の放射線マップ

~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
キース・ベーヴァーストック(東フィンランド大学環境科学学科):
ティモシー・ムソー先生に「野生動物における放射線の影響」についてお話しいただきたいと思います。
彼はまさにこの領域のパイオニアであると言えましょう。
チェルノブイリの事故後に調査を開始されました。
という事で福島の事故が起こった際には、福島での生態系の影響について調査を開始する準備が充分に整っていた方であります、お願いします。
ティモシー・ムソー
所属:サウスカロライナ大学生物科学科
専門:福島とチェルノブイリの野生生物、生態学、進化、遺伝学、適応
プロフィール
ティモシー・ムソー氏は、サウスカロライナ大学教養学部生物科学教授である。1988年にマギル大学から生物学の博士号を授与された。現在、中部大学の客員教授でもある。前職には、サウスカロライナ大学研究事務局副局長補および大学院研究科長、米国国立科学財団の集団生物学のプログラムオフィサーが含まれる。近年は米国科学アカデミーの原子力発電事業に関わる健康被害の調査の委員を務めた。米国科学振興協会、アメリカ諸学会評議員会とエクスプローラーズ・クラブ(ニューヨーク市)のフェローであり、またコスモス・クラブ(ワシントンDC)の会員として選出されている。研究分野は動植物の生態学と進化であり、自然集団において環境の変化への適応がどのように進化するか、および適応性のある母性効果の進化に特別な関心を抱いている。2000年よりムソー博士と同僚らは、チェルノブイリ原発事故によって放出された放射性物質が鳥類、昆虫類、植物類、微生物類の自然集団に与える影響を調査し、2005年以降このテーマに関する70以上の論文を発表、書籍10冊を執筆、また計180以上の論文を編集してきた。最近は日本の福島県を訪れ、この地域でみられる高線量の放射線の影響を調査している。調査結果はニューヨークタイムズ、エコノミスト、サイエンティフィック・アメリカン、BBC、CBSの60 Minutesで取り上げられている。ムソー博士の研究は、個体、集団および生態系の放射性汚染物質への感受性の多様性の背景にあるメカニズムを発見し理解するために、フィールドでの生態学的調査と、ゲノミクス、細胞遺伝学、量的遺伝学、ラジオテレメトリー調査、および高度な統計的手法を組み合わせている。研究目的のひとつは放射線量が高い環境に生物が適応できるか否かを見極めることである。 詳細情報は、サウスカロライナ大学チェルノブイリ・福島調査研究イニシアティブのウェブサイトに掲載されている。
http://cricket.biol.sc.edu
08:48〜
チェルノブイリと福島の野生生物への放射線影響
スライド http://csrp.jp/wp-content/themes/csrp2015/images/day2_mousseau_j.pdf

ティモシー・ムソー:
こんにちは。
みなさんにお会いできて光栄に思っております。
本日は直近のリサーチの結果をお話しをしたいと思って参りました。
まずこの共同研究者をご紹介したいと思います。
彼がいなければこのリサーチは成立しなかったわけです。
中部大学の方々にもこのリサーチのサポートをいただきました。
また、過去15年サポートしておりましたフランスの大学からもサポート頂きました。
こういった重要な協力者がいたわけです。
まず始める前にこういった質問が、常に出た質問があったんです。
なぜチェルノブイリでまだ調査するんだ?という質問が出ました。
数年前までは、これは特殊な事項でもう二度と起こらない事だと思っていたわけです。
ま、ソビエトのやり方がまずかったからだ。
こういった問題は他には起こらないと思っていたわけです。
しかしながら他の事故が起こっています。

実際にはかなりの事件が起こっています。
この商業用の原子力発電、スリーマイル島の問題がアメリカで起こりました。
そのあと、ちゃるの部入りで非常に大きな問題がありました。
直近では福島の問題もありました。
小さなレベルであったとしても重大な事故は起こっています。
今年のデータ、テクノロジーレベルの調査ですが、見た方も多いかもしれませんが、この中でかなり詳細な調査が行われまして、この事故の可能性として、またチェルノブイリレベルのイベントが2050年までに行われるもの、スリーマイルのものであれば、これから10年後までにこれだけの確率(50%)で起こるといわれています。
エンジニアがこういった事故はこれからも起こると考えているわけです。
ですから今世界中にある原発を考えると、可能性というのは高いといえます。
またこれ以外の理由でも基本的な科学の中で放射性物質の検知を行っていかなければいけないわけです。
一つはすべての原発は設計上かなり多くの放射性物質を毎年出しているわけです。
実際にそれを希釈して外に排出していくことになるのです。
これについてはあまり話をしませんけれども、ただ、このグラフをご覧ください。

こちらはナショナルアカデミーからの情報ですが、いろんなアメリカの原発も出ています。日本の原発もここに似たような状況になっているかと思います。
こちらは合法な放出なわけです。
もちろん規制をされていない違法な放出もあるわけです。
で、モニタリングがあまりしっかりと広範囲に行われていないということで知られないこともあるんですが、数年前コミュニティグループで一般市民や科学者が実際に原発から汚染水が出ているということをあげました。
トリチウムが出ていると。
通常これが周りの地層の中に入って、そして住民の健康を侵していることになるのです。
また、野生動物にも影響を及ぼします。
当時アメリカアカデミーが話をした中で、我々がトリチウムのエンプをどこまでしっているのか。
2日話をした結果、我々がわかったのはほとんど分かっていないのだと。
トリチウムが自然に入った場合にどうなるか?ということがほとんど分かっていないと。
ですからここはあんまり、調査は行われていないわけです。
ですからトリチウム自体がこうやって原発から出ているということで、ほとんどが原発から漏れているということを覚えておかなければいけません。
また基本的な科学の中で疫学的な科学の理解も深まってきました。
これに関しては今日また話が出てくるかもしれませんけれども、過去に行われた結果分析を行ってきました。
基本的にメッセージは明確でごこうの結果と同じなんですが、もっとパワフィリな形で統計的な数字が表されています。
基本的なメッセいーじとしては、もし皆さんが妊娠をしていて、原発から3マイルほど離れたところに住んでいた場合には、非常に高い確率でそのお子さんは白血病にかかると言われています。
これは非常に驚くような結果なわけです。
こういった関心が高まり、調査が進んで行こうとしているのです。
もう一つの理由として興味があるのは、基本サイエンスとして、我々として多くの原爆を作ってきました。
(広島長崎の原爆投下から)70周年を先日日本で迎えたと聞きました。
実際にほとんど科学的なことは行われていないわけです。
その結果については調査は行われていません。
直後の影響の調査は行われていますが、実際の放射能の初歩的な影響については調査はほとんど行われていません。
その辺については我々はほとんど掴んでいないのです。
長期的な影響。
マーシャル諸島もアメリカ軍が60年〜70年代に多くの原爆を落としてきました。
ここで、最近まで気づかなかったことなんですが、実際にどれだけの原爆が過去50年、60年に爆発してきたのか?

2710個の原爆のテストが行われました。
実際に環境の中にかなり大量の放射能が放出されています。
マーシャル諸島もそうですが、サハラもそうですが、中国の一部でも。
世界中で核実験のために汚染が進んでいます。
なぜ基本科学が必要なのか?ということに二つの理由があります。
86年に起こったチェルノブイリの放射能の影響。

みなさんご存知のように10日間燃え続け、そして放射能を放出しました。
ウクライナだけではなくスカンジナビアのエリアでもそうですし、ベラルーシでも
ドイツであっても実際にマッシュルームを食べているここも放出を受けているわけです。
ですから大きな影響が、今でもウクライナロシアそれ以外のヨーロッパの地域でも行われています。
ベラルーシでもそうです。

大きな事故が起こりましたが、幸いにも、皆さんが理解していないのは我々はどんなにラッキーなのかということなのです。
この震災(東日本大震災)が起こったのは3月でした。
もしも3月以外だった場合、もっと人口の多いところへ影響が及んだことでしょう。
実際にモデリングを行った人がいて、年間でも色々な健康パターンを考えた末に極めて我々はラッキーだったと。
その当時は風が海に向かって吹いていましたので、これによって多くの人命が助かることになりました。
ただ広いエリアが汚染されていまして、まだ多くはわかっていません。
また、北米の西側にも大きな影響を及ぼしています。
我々がそもそもこのリサーチを始めようと思ったのは、IAEAのチェルノブイリフォーラムが契機になっています。

我々は放射能から自然へのどういった影響があるのか?調査を実際に行っていました。
これまではそういった自然への調査は行っておりませんでしたので、このチェルノブイリフォーラムから見ると、テレビでも見たと思うのですが、実際に動物は元気に過ごしているわけです。
チェルノブイリ地域では動物は非常に元気であると。
これは実際には管理がないから動物がしっかりしているのです。
ですから人間の方が放射能よりも大きな影響を及ぼしているわけです。

もちろんごく最近になりまして、UNSCEARのレポートを最近出されたということでご覧になった方がいると思います。
基本的には同じことを焼き直ししたということで、福島では全く影響がなく、動植物に対して影響はないとされているのです。
もちろんこれが(音声切れる)国際原子力機関のレポートの基礎ともなっています。

3週間前に出たばかりの報告書ですが、「影響なし」というのがメッセージです。
福島の放射性降下物による影響は動物に対して影響はない。
もちろん人に対しても影響はないということを言っているわけです。

しかしながら一切の堅牢なデータがなく、この裏付けはないんです。
この主張を裏付けるものは、「全く科学的データがない」ということです。
この報告書を打たれることは一切のレビューがないです。
どのような者による文献のレビューもないということです。
かつより広い科学的なデータのある科学者が、例えば大学あるいは何かの研究機関で独立して地震で研究を行われている、あるいは政府であれ、業界であれ、ラボで働いている独立者は一切関わっていないのです。
最近出されましたUNSCEARの二つのレポート、そしてIAEAが出した事務局長のレポートを見ますと、全く無視されているということがわかります。
今まで生成されたデータ、10年間のチェルノブイリとこの4年間の福島のデータがありますが、それが全部無視されているという形になっているのです。
鍵となるデータがこの数年でてきたのに、それが一切無視されているという形になっているのです。
これを念頭に置きながら、さっとレビューしていきたいと思っています。

2000年以降私が関係しているチェルノブイリ、そして2011年11月以降福島について協力しているところを紹介いたします。
ほとんどのものが動物、そして植物モデルを使っています。
動物、私たちも動物です、人もそうですよね。
それ以外の動物も世界には生存していますが、挙動が違います。
人の挙動と基本的な生物学では他の動物とは違いますので、もちろん若干の相関はありますが違います。
チェルノブイリも福島もたくさんのものがお邪魔させていただきました。
2週間半前に私地震が福島にお邪魔させていただき、研究調査をいたしました。
マウス、大型哺乳類、そしてゲシ類もみました。
そこでの福島での作業についても若干披露したいと思っています。
ペーパーが出ておりますのでウエブサイトを見ていただければと思います。
こちらの方にたくさんの文献が出ておりますのでご覧ください。
http://cricket.biol.sc.edu
私どもはシンプルな生物学者であり、医療従事者ではありません。
医者でもありません。
私たちのこの仕事に対するモチベーションというのは、好奇心そして科学的対策をしたいという心でしかありません。
これが主な動機となっているのです。
実際に世界中の多くの方々が私たちが監視しているのはボーナスがもらえるからだろうと思っていると思いますが、そんなことではありません。
科学者の一番の動機というのは、なんといっても何かを発見したいという好奇心、これが一番なんです。
非常にシンプルな仮説をある質問に対して提示しました。
動物に関わるものです。
シンプルな問題だと。
チェルノブイリや福島で見られたのは底線量の被ばくにより突然変異は起こるのか?遺伝的な帰結はあるのかどうか?ということです。
そして遺伝的な影響があった場合にそれは重要なものなのか?
私たちは全員多くの突然変異があるのです。
私たちの体で細胞が分裂するたびに(音声途切れる)分裂するということですから、その細胞分裂に伴う分裂は修復されなければなりません。
しかしながら放射線被ばくによって突然変異の影響が大きくなる可能性があるわけです。
そして突然変異だけではなく、それに伴う帰結がある。それによって私たちの製図への淘汰もあるのか、私たちの子孫への影響はあるのか?こういったことに答えなければなりません。
そこでまず手始めに変化があるのかどうか?DNAからはじめました。
突然変異はあるのかどうか?遺伝的な損傷はあるのかどうか?というのを検証しました。

被曝レベルに応じたチェルノブイリや福島での被曝と変異の関係をみました。
様々なテクニックを使い、その中にはマイクロサテライトDNAマーカー、フィンガープリント。
それから好ましいやり方はコメントアッセイです。
これは早く結果が出るからです。
またどんな生物にも適用できます。それ以外のかたちも使いました。
コメントアッセイというのは急性で使います。
というのも可視化して染色体の損傷、破損を表すからです。

このように損傷は一切ありません。
核も健全です。
そしてしゅうかんレベルの損傷があります。
このように染色体がバラバラになって押し出されています。
こちらの方になるとかなりのダメージがあって、そして染色体がバラバラになっている。
これはかなり曝露が高かった場合です。

ここに私がやったものについてはここでは説明はしませんけれど、サマリーペーパーというペーパーがあります。
今年の初めに発表しました。
この中で検証したのはすべての遺伝的な研究の中で今まで行われたものを検証しました。
チェルノブイリの動植物に関するものです。
そしてヒトも対象として入っています。
それらをまとめ上げて、このようなコンポジットサマリーということで、メタ解析の総合版という形で発表しました。
ここで一つだけ申し上げたいのは、しんけいな科学者として、そしてその科学者が集う会議として、何と言っても需要なのはご存知の通り「難しい」ということです。
何が良い科学で、何が悪い科学なのか、この善悪が非常に難しいということです。
テレビで目にされることもあると思いますが、例えば先週、大きなウルフウィッシュというのが報告されていたと思います。
北海道でオオカミ王が捕まったということですけれども、「これは福島の影響じゃないか」と取り沙汰されました。
しかしその可能性は非常に低いと思います。
でもその裏付けとなる科学がないんです。
科学というのは通常発表が必要になります。
従ってなんらかのものを目にするときに、その科学的な文献で関係するものがあるかどうかというのをちゃんと見てください。
科学文献であればちゃんとピュアレベルがかかったものかどうか、査読の対象となったものかどうかというものをみてください。
ニュースソースですから今は誰でも見れます。
インターネットで誰でも見れますけれども、その観点からご注意を。
こちらの文献ですけれども、すべてのチェルノブイリ関係の影響をまとめたものになっています。

ちょっと抽象的で恐縮ですけれども、このグラフが示しているのは、一つ一つのラインが個々のスタディーで、チェルノブイリに関する限定的効果を示したものになっています。
こちらが平均的効果、こちらが標準誤差となっております。
こちらはゼロのラインです。
従ってこの上に行っているものは有意な陽性の変化があったということで、何らかの形で放射線によって遺伝的な変化があったということです。
そしてこちらの下は、効果はあったんだけれども二つ三つの研究によると、有意な影響はないということです。
しかしながら多かれ少なかれ、圧倒的にやはりこっちということです。
低用量曝露によって遺伝的損傷が起こるということが示されているのです。
そしてほどんどは「良くない」ということが示されています。
ーー福島での研究に続く
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2015年10月14日 東京新聞朝刊

テレビのニュースではまだ目にしません。
九州電力、川内原発2号機で最終点検作業-制御棒など確認、あす再稼働へ
日刊工業新聞 2015年10月14日
原子力の利用再開を産業界は待ち望んでいる(九電川内原発)
九州電力は川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)2号機の再稼働に向け、核分裂を抑える制御棒が正常に動くかどうかなどの最終点検作業を14日に行う。問題がなければ15日に再稼働させる見通し。原発の再稼働は8月の川内1号機に続く2基目となる。関西電力高浜原発(福井県高浜町)3、4号機や四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)3号機でも再稼働の手続きがヤマ場に差しかかりつつあり、産業界が待ち望む原子力の利用再開が急ピッチで進みそうだ。
再稼働が秒読みの段階にある川内2号機では、原子炉を起動時と同じ高温・高圧状態にしての最終的な点検作業を9日から実施。14日には制御棒の動きを確認するための点検を行い、運転再開に備える。国内の原発として約2年ぶりに運転を再開した川内1号機に続く再稼働となる。
高浜3、4号機も再稼働にかかる原子力規制委員会の審査が、先週末にすべて終了。関電はすでに使用前検査を進めている3号機に続き、4号機でも最終的な手続きとなる使用前検査の申請を近く同委に行う見込みだ。再稼働の前提となる規制委の審査にすべて合格したのは川内1、2号機に続いて2例目。
一方、伊方3号機については原発が立地する伊方町の町議会に続き、愛媛県議会も再稼働を認める決議を先週行った。再稼働には県と同町の同意を得る必要があるとされる。議会の決議を踏まえて中村時広県知事と山下和彦伊方町長が、それぞれ最終判断を示す。
川内2号機あす再稼働
佐賀新聞 2015年10月14日 08時34分
九州電力は15日に川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働させる。東日本大震災後に施行した原発の新規制基準下での再稼働は8月の川内1号機に続いて2基目となる。営業運転への移行は11月中旬になる見込みだ。
川内2号機は既に原子炉への核燃料の装填(そうてん)が完了している。9日から原子炉の温度と圧力を上げて再稼働時と同様の状態にする最終的な点検作業に着手。14日に核分裂を抑えるための制御棒が正常に機能するか確認して再稼働前の検査を全て終える予定だ。
15日は制御棒を引き抜いて原子炉を起動。約12時間後に核分裂反応が安定的に続く「臨界」に達する見通し。問題がなければ18日ごろに発電と送電を始める。当面は「調整運転」と呼ばれる試運転の位置付けで、原子力規制委員会の最終検査を経て営業運転に移行する。
九電以外では、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について県議会が再稼働に同意し、地元手続きが大詰めを迎えている。
九州電力
川内原子力発電所再稼動関連情報 2号機
2015年10月9日 PDFお知らせ(2号機)が九電の最新情報


都心の川に残る汚染 東証近くセシウム452ベクレル検出
東京新聞 朝刊1面 2015年10月9日 07時05分
1キログラム当たり300ベクレルを超える放射性セシウムが川底にたまっていることが確認された日本橋川。上を走るのは首都高6号線=8日夜、東京都中央区日本橋箱崎町で(圷真一撮影)
東京電力福島第一原発事故による放射能汚染問題で、本紙は東京の都心を流れる日本橋川、神田川、隅田川の堆積物調査を実施した。初めて調査した日本橋川では、1kg当たり400ベクレル超の放射性セシウムが残る地点も確認された。昨年に続いて調査した隅田川も地点により上下はあるものの、汚染は残っていた。 (小倉貞俊、山川剛史)
本紙は専門家の協力を得ながら、首都圏の主要河川や東京湾などの汚染実態調査を続けている。今回は8月から9月にかけ、橋やボートから専用器具を使って堆積物を採取し、独協医科大の木村真三准教授の協力により、高精度のゲルマニウム半導体検出器で4〜12時間かけて測定した。調査は10回目となる。
その結果、東京ドーム(東京都文京区)近くで神田川から分岐し、皇居の北側、金融街を抜ける日本橋川では、堆積物も非常に多く、下流にいくほど濃度が高くなる傾向が見られた。今回の調査で最も高かったのが、東京証券取引所近くにかかる鎧(よろい)橋(中央区)の452ベクレルで、周辺の橋ではいずれも300ベクレル超の汚染が確認された。
一方、神田川では、中流域で文京、新宿両区にまたがる白鳥橋周辺で堆積物も多く、150ベクレル前後の汚染が残っていた。しかし、お茶の水、秋葉原を抜け隅田川に注ぐ手前までの間は堆積物は非常に少なく、汚染は確認されなかった。
都によると、日本橋川も神田川も原発事故以降に大規模な浚渫(しゅんせつ)はしておらず、事故で降ったセシウムが、有機物を多く含む底の泥などに吸着され、たまり続けているとみられる。
二回目の調査となる隅田川は、昨年のように300ベクレル台が相次ぐ状況ではなかったものの、河口域も含め全般的に200ベクレル前後の汚染が残っていた。
調査結果について木村准教授は「いずれの地点も(一般の廃棄物とは分別した処分が必要となるセシウム濃度基準の)8000ベクレルを上回るものではなかった。セシウム汚染は日常的に触れるものではなく、直接的な影響は極めて限られている。しかし、環境中に放出された放射性セシウムが今後どのような動きを示すか、継続的に監視していく必要がある」と指摘している。
(東京新聞)

広範囲の放射能汚染まざまざ 本紙調査
東京新聞 2015年10月9日 朝刊
自分たちの身の回りに、東京電力福島第一原発事故で放出された放射能はどれくらい残っているのだろうか。本紙は昨年に続き、東京湾や都心を流れる川の堆積物調査を進めている。今年は隅田川に加え、都内のど真ん中を流れる神田川や日本橋川も調べた。日本橋周辺の汚染は、危険なレベルとはいえないものの、意外なほど高かった。 (山川剛史、小倉貞俊)
秋葉原、お茶の水、水道橋、後楽園、飯田橋、神田橋、日本橋…。
神田川のほか、東京ドーム近くで分岐する日本橋川の汚染実態を調べるため、記者たちは川底の堆積物を採取する専用の採泥器と密封できるビニール袋を詰めたコンテナをカートにくくりつけ、橋という橋を徒歩で回った。
八月下旬、猛暑が過ぎ去ったのを受けて取りかかったが、今度は秋の長雨にぬれての調査となった。
「あ、何やっているんだろう。水の調査かな」。橋からロープで採泥器を下ろしていると、たちまち通行人たちの声が聞こえ、好奇の視線を背中に感じる。どちらの川も遊覧船や作業船がかなりの頻度で通るため、手早く進めないと危ない。通行人の質問にまともに答えられないまま、ロープから伝わる川底の感触を確かめながら、重い採泥器の引き上げ作業を続けた。
神田川のほとんどの地点では、カツンと硬い手応えで、採泥器を何度下ろしても何も採取できない。放射性セシウムは有機物を多く含む泥にくっつき、川底にたまっていることが多い。何も採取できないということは、作業が徒労に終わったことも意味するが、汚染された堆積物がないという良い知らせでもある。
流れはほとんど感じられないが、川の曲がりは少なく、橋脚など流れの障害物があまりないことが影響しているのかもしれない。
一方、首都高速道路の橋脚が川の中に林立する日本橋川は状況がまるで違った。採泥器を下ろすと、ふわっとした感触が伝わり、上げると中には真っ黒な泥がたっぷり。温泉地のようなにおいがただよう。
含まれるセシウム濃度はマップの通り。今すぐ何かが起きる汚染レベルではないが、日本の金融の中心地に、福島第一から飛んできた大量のセシウムが眠っているのも事実。あらためて原発事故の影響が広く及んだことを実感した。
2014年10月13日 東京新聞朝刊
<東京湾の汚染>国の発表とズレ
福島事故放出セシウム 東京湾河口 残る汚染


※新聞の写真はクリックすると大きく見ることができます
このように詳細に調べて公表してくださることはとても重要だと思いました。
今も放射性セシウムは残っているけれど、隅田川では去年よりも数値が低くなっているということなど、調べてみて初めてわかることだと思います。
数値が低くなっている分、放射性物質はどこへ移動したのでしょうか?
東京湾の中?
多摩川の汚染はどうなのか?
上流の奥多摩に放射性プルームが通ったのでそれが下流に流れ着いているのではないか?知りたいと思いました。
おまけ:地下水流
2014年9月27日 東京新聞夕刊

東京新聞朝刊 2015年10月9日の記事

甲状腺がんや疑い「全国平均より高率」
岡山大チーム 福島県検査を分析
2015年10月9日 東京新聞朝刊
東京電力福島第一原発事故後、福島県が県民へ実施した検査を分析した岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らの研究チームが、子どもたちから全国平均より20~50倍の高い頻度で甲状腺がんが見つかっているとする論文をまとめた。
8日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見した津田教授は「放射線被ばくの影響」と指摘。
一方、県は「放射線との因果関係は考えにくい」としている。
福島県は2011年3月の原発事故後、同年10月から、事故発生当時18歳以下だった県民全員を対象に、首の甲状腺にしこりなどがないかを調べる検査をしている。
避難指示区域などから順番に実施し14年3月までに一巡した。
翌月から二巡目が始まっている。
津田教授のチームは、14年12月までに集計された結果を分析。
県内を9つの地域に分けて発生率を出し、国立がん研究センターのデータによる同年代の全国平均推計発生率「100万人に2.3人」と比較した。
その結果、対象の8割の約30万人が受診し、110人ががんやがんの疑いと診断された一巡目では、二本松市周辺で50倍、いわき市や郡山市などで約40倍、双葉町など原発立地町を含む地域は30倍などの高率の発生を確認。
対象人口が少なくがん診断がゼロだった相馬市など北東地域を除き、残りの地域も20倍以上だった。
検査結果を検討する県の専門家部会も、当初の予想に反して多く見つかっている状況を認識。
「事故前の推計の数十倍」と認め、数年内に発症するはずのがんを先取りして見つける「スクリーニング効果だけでは説明できない」との意見も出たが、本来、検査の必要のない人まで事故のため受診し、過剰にがんが見つかる状況が原因と分析している。
県も、福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故より被ばく線量が少なく、同事故でのがんの多発は4年後からだったことなどから「被ばくとの因果関係は考えにくい」としている。
この見解に、津田教授は会見で「チェルノブイリ事故では3年以内にもがんは多発した。スクリーニング効果や過剰診断の影響はせいぜい数倍で、今回の結果とは一桁違う。放射線の影響以外には考えられない」と指摘。
「福島に住み続ける人が不要な被ばくを避けるためにも、正しい詳細な情報を出すべきだ」と訴えている。
論文は国際環境疫学会の学会誌電子版に掲載された。(柏崎智子)
「小児甲状腺がん事故無関係」危うい即断 チェルノブイリ翌年から増加 医師の菅谷松本市長が警鐘9/27東京新聞より一部抜粋
「事故無関係」危うい即断 チェルノブイリ翌年から増加 医師の菅谷松本市長が警鐘
「このデータをまさか日本で必要とするとは思わなかった」そう語りつつ、菅谷市長はベラルーシ国立甲状腺がんセンターから入手した。小児がん患者数(15歳未満)の推移のデータを示した。
菅谷市長が注目するのは、ベラルーシの場合、86年には2例だった小児甲状腺がんが、翌年には新たに4例、88年には5例、89年には7例と増加している点だ。
2015年10月8日
甲状腺がん「チェルノブイリの多発傾向と酷似」〜疫学専門家
OurPlanetTV 10/08/2015
2015年10月7日に公開された論文
2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん
質疑応答
48:45〜https://youtu.be/NORBfsfSxV8?t=48m45s

イアン・トーマス・アッシュ監督の質問
49:49〜

津田:
はい、やるべきことはたくさんあったと思います。
大体の専門家はチェルノブイリよりも放射性物質の放出量が約10分の1であったという公式のアナウンスメントが起きたときに、甲状腺癌の多発というものが福島県で起こって、そしてそれは換算されるだろうということがわかりました。
現在、そのペースが非常に上回っていますので、実はもっと大きな放出なり被ばくがあったというふうに考えざるを得ない。
でも10分の1と言ってた時、あるいはそれがわかってからでも行うべき対策はたくさんあります。
安定ヨウ素剤を全員の子供に飲ませておけば、これから起こってくる甲状腺癌は半分ぐらいにはなるであろうということが期待できました。
つまり、チェルノブイリでの経験がほとんど利用されていません。
WHOは2012年の線量推計に基づいて、2013年に甲状腺癌が約8倍から10倍多発する、1歳児においてですね。
当時1歳時において、青い部分が多発する部分です。


ところが、このWHOが元にした2012年の線量推計のドラフトの段階で、日本政府はロビー活動によって、そのドラフトの線量値を下げたわけです。


日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
これが報道されたのは昨年末、12月7日でしたが、大体3分の1から10分の1に被ばく量が、ヘルスアソシメントが行われる前に下げられました。
つまり、行われる対策とは逆の対策をロビー活動でやっていたわけです。
この報道内容の真意について、あるいはどういうことが実際に行われたのか?について、日本政府は責任を持って調査をする責任があると思います。
54:59〜

東京新聞 柏崎:
県の方の検討部会などでは、嚢胞の発達について、「過剰診断が起きている」とか「スクリーニング効果である」とか、そういうふうな見立てをしようとしているのですけれども、先生の分析の中で、仮に過剰診断とかスクリーニング効果があるとすると、それは何倍ぐらいとか、どのくらいの割合とか、何か出せるものがありますでしょうか?
で、そういうものをいろいろ排除していって、放射線、どこまではっきり出るのかわからないですけれど、そういうことが可能かどうか?ということ。
それから比較に用いられている全国統計の出処とその数値を教えてください。
津田:
まず、そういうスクリーニング効果や過剰診断をいう先生方は、スクリーニング効果や過剰診断によってどのくらいの偽の多発が起こってくるのか?という、その倍率を示した論文をおそらく読んだことがない人ばかりだと思います。
ですからそういうことを言われる人にはまず聞いたらいいと思います。
「先生、スクリーニング効果によって何倍ぐらいの偽の多発が起こってくるんですか?その論文を示してください」
というふうに言えばいいと思います。
それで2〜3倍、あるいは6〜7倍、そういう一桁の上昇しかデータはないわけです。
ところが福島県では20倍〜50倍の多発が起こっているわけです。
一桁多いわけです。
従ってスクリーニング効果があったとしても、それは、この多発20倍〜50倍の中のほんの一部でしかありません。
このスライドですが、概要を説明した方には論文は載っていませんがスライドでは載せています。

実は、チェルノブイリにおいて、事故の1年後に生まれた子供たち、あるいは比較的汚染が少なかった人たちにおいて、同じような超音波による検診が4万7203人に対して行われています。
この4万7203人からは一人の甲状腺癌も見つかりませんでした。
このデータは論文のイーアペンディックス(eAppendix:論文には載っていないが電子版でアクセスできる付属資料)の下の方に載っています。
これは現在「事故の後に生まれた子供たちには事故による甲状腺癌は多発しない」と言っていることの根拠です。
日本ではこんなデータがあることには少しも触れずに、「何万人ものスクリーニング検査をするのは初めてなので何もわからない」というふうに説明がなされています。
チェルノブイリの経験を何も学ばず、放射線に対する人体への影響の論文も何も読まずに日本では対策がなされています。
全国の発症については、19歳以下におきましては甲状腺癌は平均で100万人あたり年間で二人か三人しか発生しません。
そのデータは国立がんセンターのホームページで年齢が5歳刻みで掲載されています。
※記者会見の翌日東京新聞の朝刊に割と大きなスペースの記事が載りました。
甲状腺癌や疑い「全国平均より高率」10/9東京新聞朝刊書き出し
質問者

津田:
モダンじゃないです。教科書に載っている普通の方法でやっています。
私には直接批判をしてくれる人がいないんです、日本人は。
是非皆さんも私に対する批判を聞いたら「直接本人と議論してください」、あるいは「場所を設定する」と言ってください。
ま、こういうのを「陰口」と日本語では言います。
日本の保健医療政策の多くは、こういった「陰口」「うわさ話」「立ち話」に基づいて行われています。
そして、こういう「医学的根拠」論文や研究に基づいた保健医療政策が行われていません。
これは非常に日本の保健医療政策が遅れている点だというふうに認識していただきたいと思います。
1:05:26

フリーランス 鈴木:
福島取材を続けていると、「危ないのはわかる、よくわかる。でも、私たちはここに住み続けなければいけないんだ。じゃあどうすればいいんだ?」という問いかけが非常に多いです。
で、先生その中で、今「何の準備もされていない、なんの対策もとられていない」というお話がありましたけれど、残念ながらというべきか、大変多くの人々が今福島に住んでいる中で、じゃあ住んでいる人たちはどうすればいいのか?どういう対策をとればいいのか?そこを教えていただけますか。
津田:
産業医学の現場では、新しい仕事に従事する労働者は就業前教育と言いまして、その仕事の危険性について詳細な教育を受けることが法律で義務付けられています。
大した対策は取らなくても、詳細な情報を与えるだけで有害な曝露というものは桁違いに少なくなります。
今の福島県、あるいは日本全体において「100mSv以下は癌は出ない。出たとしてもわからない」というアナウンスメントだけしかされていません。
詳細な説明は全くなされずに、「若い人ほど放射線の影響は大きいんだ」という誰でも知っているような知識すら説明されていません。
この知識だけでも教えてあげれば、様々な木目の細やかな、しかもコストのかからない対策はいくらでも思いつきます。
しかも放射線というのは場所によって大きく被ばく量が変わってきます。
被ばく量の多い場所というのを見つけて、そこにいる時間を少しでも短くすることによって大きく変わってきます。
桁違いに不要な被ばくを避けるための手段という、しかもそれは、ほとんどコストがかからない手段というものがいくらでもあるのに、全く取られていません。
福島県に住み続けなければならない人ほどそういう知識をきちんと与えられなければいけません。
1:10:24

TBSニュース23 樫田:
質問は3点あります。
「発生率と放射線量だったり空間線量の量というのがそれぞれ比例している」というのも今回の論文で証明とかされて、十分だというふうにお考えなのか?ということが1点目。
チェルノブイリと今後も同じ形を辿るというところの根拠というのは、今出ている発生率の高さという部分の理解でいいか?というのが二つ目です。
最後に、今回の50倍と19倍というそれぞれの都市、細かいんですが中通り中部というところのそれぞれの都市名を細かく教えていただければと思います。
50倍の地域の都市名と、小さかった後ろから二番目の都市名をそれぞれ教えてください。

津田:
潜伏期間が、このピンクの地域と黄色の地域と水色の地域では異なることは説明しましたが、それを補正して、調整して、しかも放射性ヨウ素のプルームの動きも、これも大体予測がなされていますけれど、ほとんど情報が集まらない中も予測されていますけれど、それが南の方に比較的偏っていたという情報を重ね合わせますと、その補正によって平均被ばく量と甲状腺癌の発生倍率というのは綺麗な関係が見えてきます。
その数字というのは、ここでは用意していませんが、岩波の「科学」という月刊誌に2回にわたって示しています。
2番目は、チェルノブイリのカーブを見ていただきましたね。
あのカーブが描けるほど非常に大規模な放射線の曝露。
それも全人口に対して起こった曝露というのは、歴史上チェルノブイリしかないわけです。
そして2番目が福島です。


事故後4年以内にチェルノブイリで起こった多発が、福島ではそれよりもやや多めに、20倍から50倍。
日本の平均値と比べて20倍から50倍の多発が観察されています。
甲状腺癌の最小潜伏期間ではなくて、平均潜伏期間というのは、まだまだこれからです。
そして、今の多発ということと、チェルノブイリのカーブを考慮に入れた場合、「これからあの大きな多発が福島では起こってこない」というような予想を立てるような人はいるでしょうか?

3番目の質問ですが、ピンクのところは人口規模が比較的少ないのと、1年目でしたので調べた方が少なかったので一つの地域として選びました。
そして黄色の部分と水色の部分は人口が比較的多いので4つの地域に分けることができます。
ご存知のように福島県には人口の多い都市が3つ、あるいは4つあります。
一つは福島市です。
それから郡山市。
それから一番人口が多いとされるいわき市(濃い青の部分)
それから会津若松市があります。
このことを頭に入れれば、この分け方というのは誰がやっても同じ結論に達します。
すなわち、福島市より北の方にある二つの市、これを一つにします。
そして郡山市といわき市は非常に大きいので一つの地域として独立させます。
そうしますと9つの地域が全部決まってきます。
二つの市と一つの町と一つの村、それがどこかというのはよくお分かりだと思います。
9番(右上の水色:0の地域)は相馬市と新地町です。一つの市と一つの町です。

おわり
ーーー
<甲状腺癌>「日本全国と比べ最も高いところで約50倍、低いところでも20倍の多発が起こっている」津田敏秀教授会見10/8(文字起こし)
津田敏秀教授9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
<福島の小児甲状腺がん137人>津田敏秀教授「最初に4名出た時点でもう”多発”だったわけです」8/31ourplanet(文字起こし)
<甲状腺がん>原発の事故の話しが無ければ、「原因不明の多発」です3/6津田敏秀教授OurPlanetTV (文字起こし)
「小児甲状腺がん事故無関係」危うい即断 チェルノブイリ翌年から増加 医師の菅谷松本市長が警鐘9/27東京新聞より一部抜粋
「事故無関係」危うい即断 チェルノブイリ翌年から増加 医師の菅谷松本市長が警鐘
「このデータをまさか日本で必要とするとは思わなかった」そう語りつつ、菅谷市長はベラルーシ国立甲状腺がんセンターから入手した。小児がん患者数(15歳未満)の推移のデータを示した。
菅谷市長が注目するのは、ベラルーシの場合、86年には2例だった小児甲状腺がんが、翌年には新たに4例、88年には5例、89年には7例と増加している点だ。
2015年10月8日
甲状腺がん「チェルノブイリの多発傾向と酷似」〜疫学専門家
OurPlanetTV 10/08/2015
2015年10月7日に公開された論文
2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん
岡山大学 津田敏秀教授

7:20〜
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故、あるいはその事故により放出された放射性物質と、住民に今起こってきている甲状腺癌の因果影響を定量的に明らかにするのがこの論文の目的です。
分析しました結果は福島県が2011年事故時に18歳以下だった全県民を対象に行っています超音波エコーを用いた甲状腺スクリーニング検査結果のデータを用いました。
このスクリーニング検査は2011年10月から始まっていますが、今回のデータは2014年12月31日までに集計したデータを用いています。
その後もデータの発表があり、2015年3月31日までのデータはイーアペンディックス(eAppendix:論文には載っていないが電子版でアクセスできる付属資料)にまとめてあります。
2015年6月30日までのデータはお手元のスライドのハンドアウトに記載しておりますのでご参照ください。
私たちは福島県内のデータを、まず日本全体の甲状腺癌の年齢別の年間発生率と比較して、その何倍多発かという数字をがんの潜伏期間も含めて調整して分析した結果を発表しました。
また福島県内の甲状腺癌の発生率が高いところと低いところを比較して福島県内同士でも比較しました。
その結果、日本全国と比べまして、最も高いところで約50倍の甲状腺癌の多発が起こっているということが推計されました。
低いところでも20倍の多発が起こっています。
最も低いところはまだ一人もがんが見つかっていません。
福島県内の比較において、その最も低いところと比較してしまうとそれ以外の地域は全て無限大の多発となってしまいますので、2番目に低いところの地域と比較しました。
2番目に低い地域は放射性プルームが避けて通ったことがわかっていますので、比較的汚染が低かった地域と見られます。
その2番目に低い地域と比べて最も高い地域は2.6倍の違いがあります。
そしてこれは1巡目、最初の福島県全体を検査した2013年までに行われた結果ですが、
2014年、2巡目に行われた結果も今、発表され始めています。
2巡目の検査結果は今発表されている甲状腺癌の症例数以外は全員がんがないであろうという極端な低めの過程でおいて計算しても、もう10倍以上の多発になっています。
これらの数10倍の多発が観察された結論としては、福島県内において放射性物質による甲状腺癌の著しい多発が起こっていて、それはチェルノブイリにおいて4年以内に観察された甲状腺癌の多発と同じような状況で、チェルノブイリで起こった5年目、6年目以降の大きな多発がこれから避けがたい状態であるということが言えます。
2013年にWHOは福島の20km以外の地において甲状腺癌、白血病、乳がん、その他の固形がんが多発すると予測していますが、そのWHOの予測のペースをかなり上回っているのがわかります。
現在日本国内ではその状況が殆ど理解されず何の準備もされていませんので、よくこのことを理解して今後の対策を立案していく必要が有ります。
すでに私は2013年にスイスで行われた国際環境疫学会で発表して地元のメディアが報じました。
2014年はシアトルで学会が行われまして、そこでも発表しました。
そして今年はブラジルで行われてそこ学会でも発表しました。
その間、口頭でもポスターでも様々な発表を行い、数多くのこういう専門の研究者とディスカッションを続けてきました。
彼らの意見は「この問題は非常に重要な問題なので、早く論文を作成しなさい」というものでした。
彼らとの議論はメールあるいは直接行ってきたのですが、「早く論文を書きなさい」という意見が非常に高まってきましたので論文を書いた今日に至っているわけです。
これが本日の発表の概要です。
21:31〜

報道ステーション平野:
昨日の報道で他の疫学者、津金さんという疫学者)が「時期尚早ではないか」と言ったんですけれども、それについてどう思われるのか?
それと関連して、先生は海外の学会の方は「早く論文を作成してほしい」と「重要だから」と。
「日本ではなんでこういうふうに知られていないのか?」と。
そうすると津金先生、疫学者の一人の先生がそういうことをおっしゃっていて、先生以外の学者の皆さんは、先生と同じようなことをちゃんとわかっていらっしゃる方が多いのか少ないのか?
今回先生と強調されている他の3人の方も先生と同じような考え方なのか?
他にもいっぱいるのかどうか?なぜ声を上げないのか?というのも重ねて教えてほしいと思います。
津金昌一郎
国立がん研究センター 津金昌一郎がん予防・検診研究センター長
福島の甲状腺がん 「被ばくで発症」主張
(2015年10月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】
東京電力福島第一原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したものだと主張する分析結果を岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らのチームがまとめ、国際環境疫学会の6日付の学会誌電子版に発表した。別の疫学専門家からは「結論は時期尚早」との指摘がある。
研究チームは、福島県が事故当時18歳以下だった約37万人を対象にした昨年末時点までの甲状腺検査の結果を分析。年間発症率は事故前の日本全体と比べ、20〜50倍と算出した。さらに福島県内でも地域によって発症率が最大2.6倍の差があった。
チームは「発症率が桁違いに多く被ばく以外の要因で説明することは不可能だ」と結論づけた。
国立がん研究センターの津金昌一郎がん予防・検診研究センター長は「事故前と比べ発症率が高いのは事実だが、甲状腺がんは世界的に検診による過剰診断の傾向がある。被ばく量との関係を調べなければ関連は分からず、結論は時期尚早だ」と指摘している。
福島県の検査でがんと確定したのは今年8月末の公表時点で104人。県や多くの専門家は事故による放射性ヨウ素の放出量がチェルノブイリと比べて少ないことなどから、被ばくの影響ではないとみている。
津田教授:
先ほどもお話ししましたように、海外のこれに関する研究者、私と議論、あるいはメールの交換をしてきた研究者の中で、「時期尚早である」と言った人は一人もいません。
むしろ「早く論文にしろ」という意見が非常に多くありました。
したがって「なぜゆっくりしているんだ」という批判は十分にありえると思います。
日本は海外、特にアメリカやヨーロッパと比べて人のデータを分析する疫学者の数が圧倒的に少ないです。
それは日本の医学研究、科学研究の発達の歴史的な経過特徴であります。
それをここで説明するのは長くなりますが、私の本には書いてあります。
岡山大学はそれに比べて、日本ではおそらく一番疫学者の数が多いです。
これも歴史的な経過があって、日本の皆さんがご存知の倉敷の大原美術館と関係するんですが、そのことはここで話さずに、この論文に名前を連ねた4人以外にもたくさん疫学者がいます。
海外の大学に比べてはそれほど多くない数ですが、彼らも私と、普段からこの分析結果について議論をしてきました。
彼らの中にこれが「時期尚早である」という人はいないですし、そしてこれが「原発事故による多発でない」という意見を言う人は一人もいません。
答えになっていますでしょうか?
28;25〜
横軸が年です。1977年から1994年までプロットしてあります。

縦軸は発生した患者の数です。14歳以下の甲状腺癌の患者の数です。
議論においてほとんど見逃されているのがこの小さなパーツ(赤丸の部分)です。
これは統計学的にもシグニフィカント(significant:有意)な多発です。
この多発を認めないことによって福島県立医大も福島県も「今は何も起こっていないはずだ」というふうに結論しているわけです。
今4.5年ですね。この辺り(赤)に私たちは居るわけです。
ここで事故当時18歳以下だった子供たちに20倍から50倍の多発が起こっているわけです。
これからこれ(黄緑・紫・水色・オレンジの棒グラフ)が来ることがもはや避けがたい状態になっています。
それにもかかわらず、まだ何の準備も、言い方の変更もされていません。
それがこの論文を書いた意味であり、ジャーナルがかなり急いで先行発表してくれた理由であります。
考え方、あるいは情報公開の方法を急いで変えていく必要があります。
これはCDCですが、

最小潜伏期間は甲状腺癌で2.5年というふうに言っています。
これは臨床的に発見されるまでの期間ですので、検診ですとこれより短くなります。
「子供の癌は最小潜伏期間は1年である」と言っています。
2.5年が大人の甲状腺癌で、子供の甲状腺癌は1年の方に入ります。
この辺りは検診の概要を説明したスライドです。
スケジュールがこういう概要です。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
最初の年、2011年度の中、2012年3月まではこのピンクのところが検診が行われました。
2012年4月から2013年3月末までは黄色いところの検診が行われました。
2013年4月から2014年3月末までは水色のところの検査が行われました。
そしてそのあと、2014年4月からは黄色とピンクのところ合わせて検診が行われています。
で、今は水色のところの検診の2回目が進んでいます。
ちなみに福島県全体の人口密度はチェルノブイリの、非常に甲状腺癌が多発したゴメリ州の3倍です。
曝露した人口が多ければ多いほどたくさんの甲状腺癌患者が多発することになります。

これが比較したグループの説明です。
論文では9つの地域に分けて説明しました。
先ほどの一番高い50倍が観察された地域はこの3番です。
最も少ない地域、1例の癌も見つかっていない地域は9番。
2番目に少ない、それでも19倍多発していますがそこは7番。

これは計算した方法です。
非常に簡単な方法で、日本全体の平均発生率と比較したわけです。

これが福島県内で2番目に癌の発生が低かったところと比較した方法です。これも非常に簡単な方法です。
分析に使用した疫学統計プログラムも非常に簡単なものです。
CDCがWHOや全世界の研究者に無料で提供しているパッケージです。
9つの地域はこのように示すことができます。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
表1がファーストラウンド(1巡目)の数を示しています。
ここにつけている数というのはセカンドラウンドで今症例されている数です。
この色は地図の色と対応していますが、テーブル2というのは黄色で示した2012年4月から2013年3月までに調査された地域です。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
(表2)この地域を4つに分けました。
これが2巡目で見つかっている癌の症例数です。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
表3が2013年4月から2014年3月までに見つかった、水色の地域で4つに分けました。
ここは今、検診が進行していますので、2巡目の癌症例数は上がってきていません。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
表4(Table4)が倍率を示した表です。
今までのTable(表)は論文においてはTable1に示してあります。
このTable4(表4)と次のTable5は論文ではTable2で示されています。
最も高い倍率を示した50倍というのはここに示してあります。

一人も見つかっていないのはここ(日本語表4の一番下)に示しています。
2番目に低いところはここ(19.56倍)に示しています。
これは注意をしなければいけないのですが、ここ(ピンク・29.90倍)に約30倍の多発のある、最も原発に近い地域が示されています。
ここでの検診期間は2011年10月から2012年3月までですので、癌の潜伏期間としては1年未満しかないわけです。
それでも30倍の多発が認められたわけです。
これは非常に需要なことです。
この地域(黄色の地域)は一方1年から2年の潜伏期間、最大2年の潜伏期間が保証されていまして、そしてこの多発がみられます。
この地域(ブルーエリア)は2年から3年の潜伏期間が示されています。
ここ(黄色・南)とここ(いわき市)は同じ40倍ですが、潜伏期間から考えるとちょっと違った意味になります。
黄色のところの方が低めなんですね。
潜伏期間を考えると黄色地域の方が多発していることになります。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
表5が内部で比較した倍率です。
2番目に低いところ(ブルーエリアの7倍)を1倍としました。
そうしますと、黄色い地域で最も原子力発電所に近い地域(中:二本松市・本宮市ほか)では2.6倍になります。
潜伏期間も考えますと、非常に原発からの影響という形で説明しやすい倍率が換算されています。
(表6)2巡目の予定を示しています。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
で、こういうのが発表されていまして、まだ2015年度はほとんど発表されていません。

(表7・Table7)2014年度に行われた発表の内訳はこういうものです。
論文ではここは8例あるいはイーアペンデックスではここは15例になっていますが、最新のデータでは25例になっています。

日本語のスライド http://togetter.com/li/881198より
表8が2巡目の多発状況で、すでに1巡目を上回り始めた地域があります。
ですからチェルノブイリのあの多発のカーブと同じような経過をたどっていることがよくわかります。
2013年に最初の症例が発表されたときから、チェルノブイリと同じような経過をたどるということが予測できましたが、今のところ、それと同じ経過をたどっています。
そしてこれからも同じようなカーブをたどって増えていくことが、もう避けがたい状態です。
ところが何の対策も立てられていないどころか、アナウンスも間違って流れています。
住民からの不信をさらに招いて、行政が有効に機能しない恐れもあります。
できるだけ早く言い方を変えて、そしてできるだけ早く対策へと結びつけなければなりません。
以上です。
ーーー質疑応答へ続く
<質疑応答>「福島県に住み続けなければならない人に詳細な情報を与えることで有害な曝露は桁違いに少なくなる」津田敏秀教授会見10/8(文字起こし)
続きを読む
2015年9月21日 第5回 市民科学者国際会議 2015(日本語)
キース・ベーヴァーストック(東フィンランド大学環境科学学科)
所属:東フィンランド大学環境科学学科
専門:環境科学、 放射線生物学
プロフィール
キース・ベーヴァーストックは、過去40年間、 最初は英国の医学研究委員会で、そして1991年からはWHO(世界保健機関)の欧州地域事務所で、放射線の健康影響に関する分野に関わってきた。現在の研究分野は、理論生物学で,特に電離放射線がどのように生物システムに悪影響を与えるかということに焦点を絞っている。現在、東フィンランド大学の講師である。

3:26(同時通訳の文字起こし)
この次に議論すべきトピックというのが甲状腺ガンのお話であると思います。
ある論文について言及させていただきたいと思います。
少しこの論文についてお話させてください。

福島についての特化した論文ではありません。
ウイリアムス先生の「甲状腺ガンがどのように発達するか」ということに関する考えをまとめた論文です。
ウイリアムス先生は長期間にわたって、甲状腺がんを10年、数十年という単位で観察されて
入手できている情報については
甲状腺ガンの調査の内容というものを熟知されている方です。
これは日本語ではありませんので私が簡単に読みます。
福島からのエビデンスというところで、記録されている甲状腺がんについて
また、小規模の甲状腺がんの検知というのが
被曝した人口をスクリーニングするということによって、福島の原子力発電所の2011年の事故以降目撃されてきている。
そしてこれらはチェルノブイリ原発事故後の子供達の小児甲状腺がんの発症率というのが増加したことから、福島県においては、当時の事故時に、2011年に19歳以下だったすべての小児に対して、ウルトラサウンドのスクリーニングを行いました。
そして、3年間の間に多くの甲状腺がんが検知されました。
そして30万人の中で、すでに110件のがんの疑いがあるということが、この穿刺アスピレーションによって検知されました。
がんの疑いで手術を受けた87の患者のうち86名において甲状腺がんが確認されました。
そしてそのうちの62件においてはこれが15歳から19歳という年齢の間で1000件起こっているということでありまして、この発症率というのは10万のうち120件ということで、これにおいて通常における日本の発症率というのは、通常であれば10万において0.8という大きな差異があるわけです。
ということでこれは明らかな増加というのによって、この被曝人口というのは大きな懸念にさらされました。
そして5mm以下の結節に関しては「これは今後のさらなる検査の対象ではない」と福島県はしたわけですけれども、
そういうことで真の福島県における甲状腺がんの発症率というのはもっと、発表されているよりもさらに大きな数字な訳です。
けれども被爆時の年齢、そして潜伏期間ということ、
これを見ますと大変大きな甲状腺がんの件数というのが今の段階でもすでに検知されていて、けれどもこれが「事故によるものではない」とも言われています。
チェルノブイリのリスクというものが、特にこの事故時に幼児だった人口によって最も大きかったということ。
そして年齢が上になるにつれて急速に下がっていくということが言われています。
そして福島においては当時乳幼児だった子供は一人もいないわけです。
最も若い対象で6歳であったということです。
そしてこのようなグラフがあるわけなんですけれども、

これは、事故当時の被ばく時の年齢というのが横軸、縦軸が甲状腺がんの罹患ん率をチェルノブイリと福島で比較しているわけですけれども、年齢が高くなるにつれて、その分布というものがこの二つの地域において大きく異なっているということがわかります。
特に10歳以降のところでチェルノブイリと大きく異なっているということがお分かりいただけます。
けれども、私の意見ではありますけれども、こらが示すのは、
これは「被曝によるものではない」と言っているのではなくて、すでに提示されているチェルノブイリの事故のパターンをそのまま踏襲していないというだけに過ぎないと考えるわけです。
ということでこれに関しまして、甲状腺がんの発症率というのは年齢別にみますと、チェルノブイリの事故の被爆時、そして福島の事故の3年後というタイミングで見てみますと、
特に若年層におけるリスクが高く、そして年齢を追うごとに急激に激減するということがみえます。
そして福島においては、分布を見ますと、若年層における高いリスクというのが見られません。
初期の3年というタイムスパンにおいてはそのようなことが示唆されるわけです。
チェルノブイリにおいては10歳以上というところでわずかな上昇というのがみられますけれども、
これも通常の発症率を示したものであるというふうに考えられますと言っているわけです。
これは「過剰診断であると思っている」とはウイリアムスは言っていません。そして私も同感です。
明らかに「過剰診断ではない」と思います。
と言いますのもがんが検知されたタイミングというのが大変初期の段階であって、
そのタイミングをみても「過剰診断ではない」ということが示唆されるわけです。
けれども将来的には過剰診断、過剰診療、そして不必要な手術という可能性は、将来的には存在するということをウイリアムスは言っているわけです。
ということでこれを叩き台としまして議論を展開したいと思うんですけれども、
まず、津田先生、ウイリアムス先生のどう考えていらっしゃいますか?
福島については私が今紹介したところが唯一の彼が言及しているところなんですけれども、いかがでしょうか?
10:49

津田敏秀:この文章は誰が書いたんですか?
キース:ウイリアム先生です。
津田:
最初の3年間ではチェルノブイリでも10歳以上が75%を占めているんです。
曝露時に10歳以上だった人が多数派なんです。
だから、最初にまず10歳以上で甲状腺がんが増えてきて、それから下の年齢が出てくるんです。
キース:
ここで注意しなければいけないのは、チェルノブイリの後ですが、スクリーニングで見つけた、検知したわけではありません。
触診ということで。
96年位からスクリーニングが始まったわけですが、それ以降に。
最初の6年間はスクリーニング自体が行われていませんでした。
ですからこれは状況がちょっと違うと思うんですね。
福島とは状況が違うと思うんです。
津田:
スクリーニングが行われなくても、チェルノブイリでは翌年から甲状腺がんが多発しています。
さっきお見せした通りです。
チェルノブイリでは1990年まではスクリーニングは行われていませんでした。
キース;Yes、sorry。Yes。
津田:
健診が行われていないにもかかわらず、チェルノブイリでは事故の次の年から甲状腺がんが多発しています。
それはお見せした通りです。
続きを読む
~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
日時:2015年9月21日(月・祝)9:30 ~
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(国際交流棟 国際会議室)
2日目
45:13〜
津田敏秀
所属:岡山大学大学院環境生命科学研究科・人間生態学分野・環境疫学・教授
専門:疫学・環境保健
プロフィール
岡山大学大学院環境生命科学研究科・教授(専門分野: 疫学・環境保健)
1958年生まれ、兵庫県姫路市出身
1985年岡山大学医学部医学科卒業、医師免許証取得
1989年岡山大学医学研究科修了、医学博士
1990年岡山大学医学部助手(衛生学)
同講師、岡山大学大学院医歯学総合研究科講師を経て
2005年岡山大学大学院環境学研究科教授(環境疫学)後、改組にて現職
科学的根拠に関する情報交換のしかた-放射線の人体影響に関する事例を用いて-
スライド
津田敏秀:
ご紹介ありがとうございました。
岡山大学の津田でございます。
スライドはのちに公開されると思いますので、今日は時間の制限もありますので飛ばしていきたいと思います。
農林水産省のホームページにリスクコミニケーションの原則というのが公開されています。
リスクコミニケーションの原理と実践の入門書です。
これはもともとはCDCが公開している資料の日本語全訳ですね。

そこにはこういうふうなことがずっと載っていてですね、神話と対策として、神話の方が旧来の固定観念であり、間違っている方でありまして、対策というのはこうすべきなんだという方ですね。
こういう原則が今回の福島の事件では守られていないわけです。
なぜそれが全然守られないのか?
あるいは先ほどから科学的知見について話されているのに、あの知見がなぜ日本政府や福島県の行政で採用されないのか?
あるいはむしろそれの●(音声途切れる)の対策が行われているのか?
ということを説明するのが今日の私の目的です。
正しい科学的知見というのは私は岩波科学にずっと色々と書いてきましたし、先ほどのお話を聞かれてもお分かりです。
それが全く通用しないのがなぜ起こっているのか?
それはむしろ日本人、特に今政策決定をしている私のような世代の人たちの背景思想を探らないことには、無駄に、いくら科学的に議論をしても無駄になります。
私は最初にご挨拶されました岩田さんと●(音声途切れる)で聞いているような人たちのところでいくら話したところで何もならない、と言って「無駄ですよ、こんなの開くのは」というふにずっと言っていました。
そうなんです。
みなさんはどんどん賢くなるかもしれません。
でも、説得すべき相手は全然賢くならないんです。
ま、こういうあれなんですが、
右翼でもない、左翼でもないと言っていますが、
これ、ピンときたのが、復興庁のある官僚の方が、復興庁に対して意見を申す人たちに対して「左翼のクソども」というふうに言った時に、「あ〜〜、そうか、左翼と考えてるんか」というのに気付いたからですね。
でも、そもそもそういうことを言う人に「左翼ってなんですか?定義教えてください」というふうに聞くと、全然答えられないはずなんですね。
そもそもみなさん左翼っていうとみんな一致していると思うんですが、全然異なるんです。
私から見れば日本の左翼というふうに陰で呼ばれている人たちは全然ラジカルじゃないんですよね。
革新的じゃない。
日本の左翼と呼ばれている人たちは、全然革新的ではなくて実に保守的なんですね。
保守と革新と言われるならば、あの人たち(左翼と呼ばれる人)は保守なんですね。
入れ替わっているわけなんです、普通の概念で言えば。
で、こういう私の経歴なんかはまた後で読んでもらったらいいですね。

ちなみに私の実家は役行者ですね、これは山伏ですね、それからお稲荷さん、神棚も実家にあった、というふうに言いますと、今の若い人たちは「凄い家ですね」という負にいうかもしれませんけれど、これは普通なんですね、昔、私の年代以上の家においては。
3点セット、もしくはそれ以上、4点セット5点セットもあるし、だいたい基本としては神棚と仏壇があるという家なんですね。
で、これがどういうわけか、左翼と右翼の対立にこの科学的議論が見られてしまうわけです。
あるいは原発反原発の対立に見られて、切り分けられてしまうわけですね。
そもそも原発問題なんかはたかだか50年から60年ですね。
右翼か左翼の対立なんかはたかだか日本では70年。
フランス革命まで引き延ばしたとしてもせいぜい225年なんですね。
だけど、私たちの世代は右翼と左翼の対立は太古の昔からあったと信じ込まされて、自分でも信じきっているわけですね。
絶対に不可分な相容れない水と油だと思い込んでいるわけです。
でもその傾向は東日本ほど、インテリほど、それから団塊の世代にまで行かないけれども団塊の世代に近いほど信じきっているんですね。
でも私たち西日本の人たちに言わせれば、中大兄皇子と蘇我入鹿の対立から、ずっと対立の歴史を見続けてきたわけですね。
その後、壬申の乱、真言宗対天台宗、聖護院対醍醐寺の血で血を争う対立を見てきたわけです。
そんな●(音声途切れ)左と右の対立など、ガキ大将の、あっちのガキ大将こっちのガキ大将のションベンの掛け合いでしかないわけですね。
さてそういう●(音声途切れ)
役行者さんの視点からも「100mSvしきい値説というのが間違いである」というふうに、簡単に素直に受け入れられるみなさんにこれから、なぜ説得が通じないのか?という話をさせていただきたいと思います。
2011年の事故後、日本の諸医学会、行政や研究機関が、
「100mSv以下の被ばくでは、被ばくによるがんは出ない。もしくはがんが出たとしても認識できないので、100mSvまでは安全である」みたいなことを言いつづけてきました。
これは後でいくらでも事例を挙げていきます。
違っているわけですね。
明らかに医学的意見に反しているわけです。
科学的知見というふうに言ってもいいです。
そもそも論で「直接しきい値なし」LNT仮説にしたがうと、
これは間違いなんですね。
原点を通るのか、100でX軸にぺたんといっちゃうのか、というのは中学生が分かる話なんですね。
そこを誤魔化しているわけです。
で、100mSvしきい値論というのは、その前触れとなる言い方というのは2011年前からみられるわけですけれども、
突然、本当に日本では2011年以降に強調されだしたものです。
ま、ご覧のようなところ↓が本当にそろい踏みで、さっきの1mSv以下ではがんは出ない。

もしくはデータとしても「わからない」というのを言い続けています。

トップを切ったのは放医研ですね。
で、100mSvのところでこんな赤線を引っ張りまして、太い赤線がありますね。
がんの過剰発生は見られないという間違った図を全国にばらまいて、これは未だにインターネットでヒットすることがありますね。
最初にばらまかれたのは、各自治体にダウンロードされて、各自治体のホームページに載りまくっています。
それだけじゃなくて医学部の中、千葉大学の医学部の放射線教室も載せています。
それから各政治家、公明党の都議の議員とか、そういうところにも取られています。
こっそりと1年後にこれに差し替えられました↓

でも、1年後に変えたところで、もうダウンロードされたその他の機関に載せられているものは差し替えられないわけです。
”黙って差し替えた”からですね。

ですから(改定前の図が)ずっと見られています。
最近ようやく(改定前の図を)見つける作業を始めたみたいですけれども、まだ若干見られていますね。
で、この差し替えられたやつも「100mSvより上の線量ではがんの死亡率のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」という表現で、100mSv以下では明らかになっていないような書きっぷりをされています。

これは原子力安全委員会が2011年に出したやつなんですが、
この右上、「100mSv/年以下では健康への影響はない」この場合は”/年”まで付いています。
もう言語道断空前絶後なんですが、それを原子力安全委員会が載せています。
でも「さすがにこれはまずい」ということで2011年10月にこれは訂正が出ます。
でも、長瀧(重信)先生は今年(2015年)の6月末、まだこのもともとの訂正前
(動画切れる)
ちょっとお話がずれましたけれども、ちょっと私より年齢が上の年代の医学者で統計学を知っている人はほとんどいませんから。
私の年代ですらも本当に少数派です。
で、2011年、その長瀧先生が開催された低線量被曝のリスク管理に関するワーキンググループの報告書にも、やはりこのことが載っています。


しかも、「被曝影響は年齢層別では差は明らかではない」というふうに書いちゃっていますね。
こんなこと
(動画切れる)
パンフレット「放射線リスクに関する基礎的情報」
これもやはり100mSvの字が踊っていまして、「国際的な認識になっています」。
違うんです。
国際的な認識に完全に立ち向かっているんですね。

それから、国連のアナンド・グローバー氏が日本の状況を視察した報告書に対して日本政府は、
やはり100mSvに関して反論しています。

こういう反論をしています。
その他、日本政府や福島県による100mSvしきい値に関するコメントは他にもたくさんあります。
未だに福島県のホームページで「100mSv以下はがんが出ない」「わからない」みたいなことが、実際に3ヶ月ごとに更新されて出ています。

経済産業省は年間20mSvで帰還させるという根拠として、「100mSv以下ではがんは出ない、もしくはわからない」ということを理由としてあげています。
100よりも20は5分の1なのでそれは正しいよね、という話なんですが、その前提が誤っているわけですね。

従って、こういうふうに帰還政策については国連自由権規約人権委員会で批判されています。
今や国際問題になっているわけですね。

それでも日本政府は政府広報を出して、全国5大紙、および福島県の地元紙に次のように載せています。
語ったのは東京大学の中川恵一先生ですね。
こういうふうに語っておられますね。
中川先生の主張が正しいという根拠はないばかりではなく、存在する根拠にこれまた反しているわけですね。
で、それはなんでこんなことが起きたか?というと、単にICRPの勧告(2007年勧告173ページ)に書かれているこの部分を誤って解釈したからですね。
「(前略)しかしながら、がんリスクの推定に用いる疫学的方法は、およそ100mSvまでの線量範囲でのがんのリスクを直接明らかにする力を持たないという一般的な合意がある」
このことは広島長崎の被爆者コホート、先ほどLSSコホートのご紹介がありましたけれども、それの全年齢層で全がんの増加が5%水準で統計的有意差がなかったということを言っているだけなのに、それを「がんが出ない」あるいは「出たとしてもわからない」というふうに誤って解釈してしまったんですね。

しかも先ほど御説明がありましたように、普通は100mSv以下でぶった切ってみたいなことをしないのに、それをわざわざしちゃっているわけですね。
それは要するに回帰直線というのを全然わかってないわけです。
ちなみに、広島長崎の被爆者コホートでも、ぶった切ったとしても8%水準で有意なわけです。
単に「統計的有意差がない」ということと「がんが増えない」ということを混同してしまったわけですね。
これは後で説明するかもしれませんが、大学教養部レベルの間違いです。
今や大学入試に統計学が出るようになっていますので、高校生レベルの間違いとも言えます。
特に医学者というのは統計学を知りませんので、ほとんど、全く。
でもう、ほとんど悲惨な状態なんですね。
それを皆さん見る必要があります。
でUNSCEAR(音声切れる)こういうのが載っていますけれども、これも(音声切れる)
すぐにUNSCEARとかICRPとかが出てきますけれど、「それのどこに何が書いてあるのか?」という説明を求めても全然(答えが)出てこないわけです。

ちなみに、統計的有意差が出てくる条件として、観察数を大きくする。
ああいくことを言っている人たちは広島長崎の被爆者コホートが世界最大であり、したがってLSSコホートよりまさか福島の被ばく者の数の方が多いなんていうのは、考えてもいないんですね。
先ほどのマシュー先生のCTスキャンの研究、あるいは自然放射線の研究なんかも、データ規模はずっと大きいわけです。
次に「放射線感受性の高い集団に限る」という必要があります。
つまり、胎児、小児、思春期の青年などに限って分析しますと有意差が出やすくなります。
にもかかわらず、帰還政策その他あらゆる全ての問題に関して、年齢別に対策を立てるとか、年齢で議論するということが一切未だに行われていません。
それから「放射線の感受性の高いがんに限る」と、これまた有意差が出てきます。
例えて言いますと、白血病、脳腫瘍、甲状腺がん、乳がんなどですね。
それから「有意水準を高くする」ということで5%(音声切れる)
だれも多いということでそれを1%有意に使用が10%有意にしようが20%有意にしようが(音声切れる)そういうのがあります。
したがって8%にすれば有意差が出ちゃうんですね。
そもそもなぜか、小笹(晃太郎 :放射線影響研究所 疫学部長)先生の2012年に出た論文のデータは2003年までなんですね。
したがって今のデータで分析しますと有意差が5%でも出ているかもしれない。
がんは増え続けているからですね。
もちろん上記4つ以外の条件もあって、回帰直線をぶった切るようなことはするな、という話ですね。
そもそも多くの論文が100mSvより低い被ばく線量でがんの有意な増加を示しています。

それにもかかわらず「放射線ストレス」とかって言って、福島県民に対して介入をやったりしていますね。
「放射線のことに関して過度に恐れている人に対して、それを和らげる研究」みたいなことをやっているわけです。
しかし、「過度」というふうに言っているのが、実は妥当な。
誤った知識に基づいていますので、妥当な知識を持っている人もそれに介入されて治療をされてしまう。
というようなプログラム(音声切れる)

ようするに説得がうまくいっていないわけですね。
福島県・環境省のいずれの行政の方々にも、あるいは福島県立医大・長崎大学などの専門家集団もそれ以外も、私は直接会う機会があったらどれだけ時間が短くても一生懸命説得してきました。
でもそれが全然通じないわけですね。
それはなぜか?というと、直接対話をする機会をだれも設けてくれない。
メディアの方は総理大臣の党首討論会はするのに、科学者の討論会、対話、市場対談すらもしないわけですね。
一切しないわけです。
だから意見が通じない。
妥当な(音切れる)
で、小笹(晃太郎 :放射線影響研究所 疫学部長)先生は自分の意見とちょっと違う意見を指摘されただけで固まってしまいます。
何も言わなくなるんです。
で、「あ、すみません、そのことは後で考えます」とか「後でご返事します」とか言えばいいものを何も言わなくなるわけですね。
1年半か2年前の日本公衆衛生学会でもそういうことが起こってしまうわけです。
その前もありました。
黙らなければいいわけですけれども。
それで「一言ぐらいなんか言ってくださいよ」と座長の先生が私を支援してくれると普通だったら思うでしょ。
そうじゃないんです。
「もう時間切れです。この後会場を空けなければいけませんのでもうその質問は終わってください」みたいな感じで小笹先生の黙り込みを支持するような言い方をするわけですね。
それが日本の学会なんです。
特に医学界はそうなんです。
そもそも科学研究者というのは科学的問題について人前で議論したり、あるいは学術誌上で討論するのが仕事なのに、日本の学会、特に医学界というのは討論をさせないようにするのが、エレガントだと思っている紳士淑女の集団なんですね。
で、直接話した時も「ICRPやUNSCEARが言っているから」というふうに言われるんですが、「ICRPのどこに載っているんですか?」「UNSCEARのどこに載っているのか?」ということについては言わないんですね。
で、ICRPとは全く反対のことをやっちゃっていたりするわけです。
医学的根拠は全く示されずに、そもそも医学的根拠ってなんですか?っていうふうに医学界の先生に聞いてもだれもこ耐えれないんですね。
基本的な誤りが放置されたまま、結局分からないで片付けられているんです。
どこまで何がわかっているのかさえ説明されず説明させてもらえないわけです。

ということで、これはもう説得の段階なんです。
医学論争とか知見とか全部揃えて直接話し合えばいいだけの話なんですね。
公開であろうが非公開であろうがなんでもいいからやればいい話なんですが、その場を設けることにすら至らない。
(音声切れる)
「まあちょと来てくださいよ」というような説得をする。
そういう説得をする段階です。
この間私は「これは医学的根拠の問題じゃなしにどう説得するかという問題だな」というのをずっと考えていまして、いろんな本を読み進めてきました。
アリストテレスの弁論術もチェックしてまいりました。
アリストテレスによりますと、論者は聞き手を説得する時に必要な条件として次の3つに整理しています。
ロゴスとパトスとエートスですね。
それはまた後で説明しますが、ところでそもそも100mSv以下の問題だけじゃなしに、WHOが2013年の報告書で「福島県では甲状腺がん、白血病、乳がん、その他の固形がんが多発する」ことが定量的に示されているわけですね。
そのことも全く知られていないわけです。

例えばこれは甲状腺がんですけれども、事故時に1歳の方でこれ、青色の部分が事故によって増える甲状腺のがんです。
これは20kmけんがいの1歳児でこれだけ多発するわけです。

そのことも全く知られていないわけですから、今更一生懸命100mSv以下はないからどうのこうのと言ってもしょうがないわけですね。
いずれ多発してくるわけです。
もう実際に多発していますけれども。
さらに、このWHOが基礎とした線量推計報告書ではこういうふうに載っています。

要するに、日本政府のロビー活動によって、これは朝日新聞が報じたんですが、3分の1から10分の1に下げられたわけです。
その下げられた後の線量評価に基づいて1歳児でだいたい10倍近くの甲状腺がんの多発するというふうになっているわけです。
どう見てもこの元々の値だとしか思えないような具合で、福島県で甲状腺がんが多発してきております。
これはチェルノブイリでの14歳以下の甲状腺がんの流行曲線です。

横軸が年数です。
縦軸は症例数です。
今、福島県は事故からの年数というところではここに相当します。
90年頃ですね。
で、この部分(赤丸の部分)は、これは明らかにそれまでのパターンとは異なっているでしょ?
多発しているわけです。
これを見逃しちゃったわけですね。
で、「今多発しているのは事故によるものではない」というふうにおっしゃっているわけですね。
で、実際に日本では(音声切れる)多発しちゃったわけです。
それも予測されるよりもずっと大きなレベルで多発しちゃったわけです。
ということは、チェルノブイリでは(音声切れる)きましたので、これがちょっと多めに出たとしたらこれがどうなるのか?
で、こんなのがこれからくるということはほぼ分かっているのに、何も対策は立てられていないわけです。
アリストテレスの話に戻りますが、証明による説得ですね。

これが本質です。
アリストテレスも言っています。
ちなみに以下の引用は「どんな人も思い通りに動かせる、アリストテレス無敵の弁論術」というこの本からそのまま引用です。
アリストテレスが言った部分はこの本はそのまま岩波文庫の(音声切れる)
で、これが自分の意見が反対意見よりも正しいと説得するロジカルな話し方の基本姿勢です。
ただし、多くの人たちが間違えているのは、「話す内容さえ正しければ相手を説得できる」「相手は説得されねばならない」というふうに考えることによって間違えるわけですね。
説得が通じなくなるわけです。
それで以下の二つを出してきます。

まず、聞き手の感情が動かされる必要があります。
で、聞き手をこちらに有利な感情へと誘導するものですね。
聴衆の感情を積極的にコントロールさせる。

エートス。
これは以外と知られていなくて、聞き手が論者にある印象を持つ。
でも実際はみんなやっているんですけれども、人柄が優れた人々に対しては、我々は誰に対する多くの信をより速やかに置くものである。
ま、服装なんかもそうですね。
私の服装、非常に反省しております、普段の服装。
で、これを逆に利用したら「人格攻撃」ですね。
「なんとなくあの人イヤ。津田ってちょっとうるさそうでしょ」みたいな、こう思われたらいかんわけですね。
賢さ・徳・好意、この3つがキーワードなんだそうです。
私もこの3つをつけるべく、半年ぐらい前からずっと鍛えておりますけれども、なかなか身につかないという感じですね。
さて、これまで福島県・環境省・経産省の説得。
福島医大・長崎大学・放医研の説得というのは通じてきませんでした。

ロゴスに関しては「ない」からどうしようもありませんね。
科学的根拠がないわけですから。
初期の思い込みが科学的根拠に基づいて検証もされないまま、しかも有意差と影響なしを混同するという有様です。
で、研究者もそれと同じことをしながらICRPとUNSCEARに基づいていると言いながら、どこに基づいているのかを説明しない。
で、ICRPの言っていることに反するようなことばっかりやっているわけです。
ちなみに私。
一応文献やデータの分析に基づいて説明して、国際的に研究者と連絡を取り合って、論点を洗練し続けておりまして、現在のところ有効な反論は一切なされていないわけです。
私が言っている(音声切れる)だと思っている人がたくさんいるみたいですけれど、私は自分の考え付いたことは一切言っていないわけです。
ほぼ一切言っていないですね。
全部どこかの根拠に基づいて言っているわけです。
パドスです。聞き手の感情が動かされる。

行政だからあんまり感情に訴えてはいけないと思います。
メディア対応を誤って反感を招いたが、これはエートスの問題につながりますね。
福島県立医大などは努力はされている様子なんですけれども、特に福島県民が苦しんでおられた事故直後の説明には不備があって、反感の感情が出てきています。
ちなみに私は全くこの努力を怠っていると。
当初は相当「これはえらいことになる」と思って慌てましたけれども、その熱意は今はちょっと衰えてですね、他の仕事もいっぱいありますので、若干弱くなっています。
エートスです。

初期のメディア対応の誤りは決定的です。
行政の目的が住民の健康と財産を守るという点が徹底されていないわけですね。
で、福島医大等のアカデミアは福島県のメディア対応の誤りに同調してしまったわけです。
「県民への情報開示よりも学会を優先する」みたいなことを検討委員会で平気で言ってですね、あれは完全にアウトなんです。
それでもそういうことを、誰も「それはまずいですよ」と言ってあげる人が周りにいらっしゃらないんです。
ちなみに私ですが、人柄というのが私の弱点かもしれないので、賢さ・徳・好意を追究いたします。
それから(音声切れる)人がいるかもしれませんけれども、科学的な知見を紹介しているだけです。
聞く耳を持ってもらえていないのはなぜか?というのはさらに追究したいと思います。
こんなのは日本の私の年代ですね。
政策決定を行う人たちの頭の中はまだ二極冷戦構造、25年前に終わったはずの二極冷戦構造の中で動いていて、しかも日本政府は右の側だというふうに思っている背景概念のもとに全てを判断しているからですね。
自分がどういう思想を持っていようが、言っている相手がどういう思想を持っていようが関係ないです。
私が不特定多数に左翼のクソと思われないようにすること、思われてしまうことを最も恐れるわけですね。
わかります?
私がそう思われたくないという感情が、極めて私たちの世代には強いわけですね。
団塊の世代の心理分析はよくされますけれども、ポスト団塊世代のいろんな心理状態についてはほとんど分析されていません。

こんな例もあります。
私への反論ですね。
「福島県䛾放射能汚染についてどうすればいいのかの答えは、昨日も書いた通り「避難すればよい」と単純にいきません。避難がもとで亡くなった人や自殺した人も少なくありません。除染作業に関連した死亡も多いです。発がん率だけを議論することは、福島県の放射線災害については無意味です」
これ、一見説得力を持つように見えますけれど、ならば、全部数字に直るんですからその数字をあげてください。
この中で一つも数字をあげて議論していません。
発がん率すらもあげて議論していないわけです。
でこういう(音声切れる)
「結局私たちが今できることは、検診を続けることです。このことは津田先生も下記で述べられていますし、私もそのように話しています」
で、最後には言いたいことだけを言って「私はこれで打ち止めにしたいです」と言って私の反論を許さないわけですね。
「相手はこう思っているはずだ」と自分で勝手に決めつけて、で、この相手のいう意見は「とんでもない意見だ」「だから私の言うことは正しい」そしてここで意見は「これで打ち止めにしたいです」と勝手に終わっちゃうわけです、反論を許さずに。
これが日本人の平均像ですね。
情報交換が一切行われないのはこういうレベルで止まっちゃうからです。
国際環境疫学会に日本国内はこういう状況であるというお手紙を延々と書いてですね、ちょっとこの問題は政策委員会でもいいし、倫理哲学委員会でも構わないから議論してくださいよ、というふうに手紙を書きましたら、学会長さんから次のようなお手紙が岩波科学にその訳が載っているようなお手紙が返ってきました。

その中には色々と書いてあるんですが、
聖徳太子を引用して、「よく話し合ってね」みたいなことを書いているんですね。
「日本人なんでしょ」みたいな。
私もこの聖徳太子のお言葉を知らなかったんですね。
「重要な事柄を論議するときは判断を誤ることもあるかもしれない。そのときみんなで検討すれば同義に叶う結論が得られよう」というふうに海外の方から。
これはハーバード大学の准教授の方ですが。
言われてしまうわけです。
この対話が日本の私たちに最も決定的に欠如しています。
なぜでしょうか?

はい。
説得は続きます。
残念なことに、日本の放射線の専門家と言われる先生方は、放射線の人体影響に関する知識も、それが具体的にどのように明らかになってくるのかも、ほとんど知識がないようです。
すくなくとも医学側の先生はどうも無いようなんですね。
で、直接の対話の機会にもめぐまれなくて、そこから情報が入っている官僚や政治家の方々、行政官の方々mなおさらです。
みなさん「「原子力ムラの連中」とか称して諦めて見捨てるのではなく、これからも真面目に説得を続けましょう。
もう本当に皆様方ぐらいの知識があれば、お一人お一人で十分説得ができます。
ただし説得の機械が設けられればの話です。
これだけは忘れないでください。
この問題は日本国民一人一人の賢さや知恵が試されている問題です。
ご静聴ありがとうございました。
1:27:09
1:28:39
ジョン・マシューズ:

背景の問題として存在するのが、おそらく科学的データではないかと思います。
全体としての科学的データです。
もちろんこれは合理的なレベルで複雑なわけですけれども、それを持って政治家を動かす。
そしてコミニュティをこちら側にくっつける。
そして一般たい(音声切れる)にはこれが理由になって、おそらく今日の午後診ていくんですけれど、
プロセスそのものが難しい問題に直面しているのではないかと思います。

キース・ベーヴァーストック(東フィンランド大学環境科学学科):
私たちの方としては硬い意見があります。
この科学者パネルとしては100mSvを切るリスク。
単位暴露としてはやはり100mSvを超えたものとリスクとしては一緒なわけです。
単位当たりとしては100を切っていようが上をいっていようが同じだという事です。
わたしの理解では数多くの組織がスピーカーを送り込んでこうだと、これが1だと。
あるいは100mSvを切った場合にはリスクは低いだろうという理由を展開しております。
そして「誰であれ、それに対して物申すものは許さない」という態度です。
しかしながら科学的な問題を扱う時には、私たちとしてはディベート(debate:ある公的な主題について異なる立場に分かれ議論すること)ができる状態でなければなりません。
つまりその環境の中で様々な意見を戦わせるという場がないとダメなんです。
話す事すべてをディスカッションし、その結果としてなんらかのコンセンサスが得られるという事があるべき姿なのです。
したがって、このディベートに参加する事そのものを拒絶するというのは非常に甚大な問題であると捉えています。
一体どうやってそのような状況下で科学が前進するというのでしょう?
そのような状況が存在するのではないかと思います。
以上は背景という事で前振りです。
1:30:52
ーーー
<京都講演質疑1>「彼らは多くの事実、多くの調査結果というものを黙殺している」 ヤブロコフ博士5/22(書き出し)
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