8月3日、もんじゅでは使用済み燃料プールの水質悪化の警報が約半年鳴っていたのに改善せずに放置していたことがわかり、(改善したのは5月ということなので3ヶ月間どうしていたのか?)
8月26日になって、8月18日にドラム缶の底から放射性物質を含む廃液が漏れていたと(これも1週間後)いうことがわかった。
日本原子力研究開発機構 不安だらけの管理能力〜ふげん・もんじゅ〜
そして今度はもんじゅで火災が発生だって!!
ゴミ箱から出火ということなので、「ゴミ箱に何を捨てているのか?日本原子力研究開発機構」という感じ。
もんじゅ構内で火災 ごみ箱から出火1時間後に鎮火
日刊スポーツ [2016年9月6日14時38分]
日本原子力研究開発機構は6日、同日午前9時ごろ、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の環境管理棟にあるごみ箱から出火し、近くにあった作業台の一部を焼き、約1時間後に鎮火したと発表した。放射性物質の漏えいなど環境への影響はないとしている。
機構によると、出火したのは、もんじゅ周辺にある海水や土などの放射性物質の濃度を分析する施設にある段ボール製のごみ箱。作業員2人が消火器で消した。
出火当時、部屋は施錠されており無人だった。午前8時半ごろに作業員が立ち入った際には異常はなかったという。詳しい原因を調べている。(共同)
平成28年 9月 6日
国 立 研 究 開 発 法 人
日本原子力研究開発機構
敦 賀 事 業 本 部
高速増殖原型炉もんじゅ
環境管理棟環境分析室内のごみ箱からの出火について
1.発生日時: 平成28年 9月 6日(火) 9時01分頃
2.発生場所: 高速増殖原型炉もんじゅ 環境管理棟環境分析室
3.状 況:
高速増殖原型炉もんじゅ(定格出力28万 kW)は、低温停止中のところ、
9月6日9時01分頃、環境管理棟環境分析室(管理区域外)において火災警報が発報し、当該室のごみ箱から火と白煙を確認、消火器による初期消火を行いました。
9時16分に公設消防へ連絡し、9時54分に鎮火が確認されました。
現在、原因調査中です。
なお、本件に伴う環境への影響はありません。
*環境管理棟:環境試料 (海水、陸土等)の放射能分析を行う施設
以 上
マジ日本原子力研究開発機構ってヤバすぎじゃね?
2016/09/02 金曜日 オープニング
出演:大竹まこと 室井佑月 太田英明アナウンサー
文字起こし部分ここから→https://youtu.be/AJ0Yvqjp89g?t=6m50s
太田:
朝日新聞の記事です。
東京電力福島第一原発で、汚染水対策で凍土壁というのを作って地下水が流れてこないようにしているんですけれども、その凍土壁で遮られているはずの下流のエリアの地下水が、先日の台風10号による雨の影響以上に上がっていたことがわかったと。
東京電力は凍っていたはずの凍土壁の二箇所が度重なるお雨で溶けてしまって、そこから水が流れてきてしまって、地下水が上がっちゃったということなんですね。
東京電力によりますと、先月(2016年8月)11日に接近した台風7号の大雨があった以降、凍土壁に二箇所で0℃以下だった温度が0℃以上に上がってしまって、度重なる大雨で大量の水が流れ込んだことで凍土壁の一部、ま、二箇所溶けちゃった。
東京電力は薬剤を流し込んでもう一回凍らせようとする工事をしようということなんですけども、
東京電力の担当者は、「あと150ミリ降っていたら、地表面を超えて汚染された地下水が海へ流れ込んでいたかもしれない」ということで、
想定では200ミリという雨が予想されていたんですけれども、55ミリだったからなんとか助かったものの、この9月の台風シーズン、これからたくさんの台風が来ることが予想される中で、また薬剤を流し込んでもう一回凍らせて、意味があるのかな?という感じではありますよね。
大竹:
1時間に200ミリの雨が降ったとしたら、ま、今回は55ミリだったけど、降ったらもう、その表面も全て含めてだだ漏れっていう。
ザーッて。
太田:
地下水が表面に出てきて汚染された水が海の方にも流れ込んでいく。
が、恐れが高いと。
大竹:こういうニュースは、これは何新聞ですか?
太田:これは朝日新聞。
大竹:
まあこれは前から俺が気にしているところなんだけど、
もう一つ気にしているのは、これが流れ出たらその先がどうなっているのか?
海とかがどんなふうに汚染されて、放射能に汚染された水が。
影響みたいなこともちゃんとつぶさに情報をね、教えて欲しいと思うよね。
室井:
なんか福島原発はさ、もう何回「想定外」っていう言葉が出てくるんだろうね。
大竹:
このことも、あちこちの原発が稼働したりもしているけど、
このことも含めて、さっき言ってた(台風10号の避難の問題)ね、
やっぱしさ、避難路と避難所、経路、どっちみち大事だと思うんだよね。
伊方原発なんか、特に四国のね。
室井:
事故を起こしたら、やっぱりこうなっちゃって、元には戻らないんだって。
戻るのはすごい大変なんだってわかればさ、
本当に、稼働していいのかどうか考えないといけないと思うよ。
大竹:
そうだよね、はい。
もう一ついけませんね、もうね。
太田:そうですね。
室井:時間?
大竹:うん。
一番最後のくだらなかったんだけどね。
はい、ま、これは(笑
室井:なに?言って。
太田:
放射性廃棄物の捨て方なんですけど、400年間電力会社が保管して、そのあと10万年間は国が保存するっていうことなんですけど(笑
400年もつ企業もないし、
大竹:
400年も保管してだよ、そのあと10万年国が保管、
それで地球は
太田:人類がアフリカから世界に広まったのが6万年前なんです。
(笑)
大竹:
アフリカからザーッて地球にこれだけ人間が増えて、それで今日までで6万年だよ。
保管しなくちゃいけないのは10万年。
いい加減にしなさい!
2016/09/04 に公開
みなさんこんにちは、後藤政志です。
今日はマスコミ…といいますか、
今何が問題であるか?と考えました時に色々みなさんと、私も感じるところがあるんですけれど、
その中で是非これだけはという、特に原発がらみのことでマスコミに取り上げて欲しい問題があります。
それについて何点かお話しさせていただこうと思います。
細かい技術的な問題はまた別途にいたしますので、そういう話でよろしくお願い致します。

まず1点目。
新潟県の泉田知事が突然ですけれども「立候補しない」という話が出ています。
これはみなさんご存知のように寝耳に水で、びっくりしたんですね、私も同じですけど。
この問題は「なぜ?」というところもありますけど、
ご承知のように泉田さんは今までの日本の各県知事の立場としては、非常に原発について慎重な方で、
特に福島事故を捉えて、その「事故の原因が分からなかったらそれは当然安全の確保はできないんだ」とか。
それから東京電力の責任。
東京電力がなぜそうなったのか、という問題。
さらに今の原発。
特に沸騰型の原発BWRはどうであるとか、
じゃあ、事故になった時にフィルターをつけレバいいのか?という、そういう議論を通じて
一つ一つきちんとものを話していく。
しかも、逃げられるか?と。
特に一番重要な避難の問題ですね。
この問題も含めてトータルを考えて発言をしてきたのが泉田さん。
しかもその中で、今のまま再稼働することは非常に慎重な立場をとっていらっしゃる。
というのが泉田さんの一般的な評価で、私もそのように思っていたわけです。
ですからある意味で泉田さんが原発について慎重になるということは、日本の今、西日本を中心にどんどん原発が再稼働に入っていますけど、そのなかで、それでも加圧水型なんですね。
これを「福島と同じタイプの沸騰水型を初めて新潟県の柏崎刈羽で」という話になってきたと。
そこのところで慎重な立場になっている知事がいて、
それを特に地元の人たちも含めて県民の人たちも含めて議論している。
しかも新潟県には「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」というのがあって、新潟県の中で独自に、今までの国とは別個にさらに安全性について調査をしている。
そういう立場ですから、そうすると、実は今国会事故調が残してきた課題。
前にお話し致しましたけれども、原発の事故の原因、事故原因、直接の原因だけじゃなくて、広い意味で何が必要なのか、安全性の面で。
あるいは枠組み、制度、規制とは何か?安全とは何か?という基本的な問題を提起してきたのが国会事故調なんです。
そのことをほおかむりしている状態のままにしていることが非常に問題なんですね。
それを具体的になんとかしなくちゃいけないということで、具体的にやっているのが今の新潟県の、一部でありますが立場だと。
そこが新潟県の技術委員会(新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会)が持っている質なわけです。
そこのところに私たちは一縷の望みをかけてきたと。
そこに理解のある知事がいればいいですけど、そうではなくなった場合には、非常に原子力の問題について後退してしまうという危惧を持っているわけです。
それが泉田知事の問題になるかと思います。
なぜそんなことになってしまったか?ということについては私もわからないわけでして、
原因もわからないし、裏も、マスコミとの関係とかもわかりません。
ですけど大事なことは、これだけ重要な問題が明らかにならないままで物事が進んでいくことだけはまずいと思います。
それはマスコミの使命だと思う、そのことを明らかにするのはですね。
なぜそこまで言うのかとい今すと、例えば原子力がらみというのはいっぱい歴史がありまして、
たとえば佐藤栄佐久さんが福島県の知事の時に失脚させられたこととか、そういうことを思いますと、
今の泉田さんがどういうことかはわかりませんけれど、そういう政治的な圧力がなかったのかどうか?
あるいはそういうこととの関係はどうなっているのか?
そういうことをきちんと、やはりマスコミが追いかけていく。
そういう必要が、絶対に必要だというふうに思います。
それは単に泉田さんを守るとかそういうレベルではありません。
そういうことではなくて、日本の本当に根幹、民主主義の根幹であるとか、安全の問題の一番根幹である原発の問題をきちんと私たちが捉える状態にするという意味です。
その意味においてこれは譲れないところで、マスコミがまず第一にやっていただきたい。
これが1点です。
https://youtu.be/cJHT9r2Y01A?t=5m28s
ー文字起こしここまでー
追求してくれそうなメディアに連絡しましょう。
テレビ朝日モーニングショー そもそも総研 番組へのご投稿
http://www.tv-asahi.co.jp/m-show/randing
TBS報道特集 情報募集
http://www.tbs.co.jp/houtoku/want/
日本テレビ 真相報道バンキシャ
https://apps.ntv.co.jp/bankisha/form/1ef008c7-d2ee-4e23-955c-56beba335542.html
報道ステーション ご意見ご感想
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/opinion/form.html
他ににきちんと追求してくれそうな番組どこかありますか?
あったら教えてください。
文春とかが記事出したら、ワイドショーがやるようになるのだろうか?
IWJが9月2日、新潟日報に対して直接取材を行っています。
「泉田知事は説明責任を果たせ」と迫りながら、県からの回答を掲載しない新潟日報にIWJが直撃取材!さらに「新潟日報が力になってくれる」という韓国企業の不可解なメールが明らかに! 2016.9.4
反原発のシンボル 泉田新潟知事が突然「出馬撤回」の背景
日刊ゲンダイ 2016年8月31日
反原発派には痛手(泉田新潟県知事)/(C)日刊ゲンダイ
原子力ムラはニンマリだろう。4選出馬を表明していた泉田裕彦新潟県知事(53)が30日、突如文書で“出馬撤回”を明らかにした。柏崎刈羽原発の「再稼働」を認めず、“反原発”のシンボルになっていた泉田知事に何が起こったのか。
この半年間、泉田知事は新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリー購入をめぐり地元紙の「新潟日報」と対立。泉田知事は、出馬撤回の理由を「臆測記事や事実に反する報道が続いた。このような環境の中では十分に訴えを県民に届けることは難しい」としている。
地元紙からの攻撃だけでなく、新潟県内では“泉田包囲網”が出来上がっていたという。
「新潟日報は今年に入ってフェリー問題をしつこく批判していました。新潟日報は泉田さんの政治手腕に疑問を持っていたようで、社内には“泉田嫌い”が蔓延していたといいます。新潟日報には東電が広告を出していた。さらに、今月には泉田さんと近い自民党県議が県連会長を辞任している。泉田さんは嫌気が差したようです」(新潟県庁関係者)
泉田知事の出馬撤回によって10月に行われる新潟県知事選は、すでに出馬を表明している全国市長会長の森民夫長岡市長(67)の当選が濃厚となっている。安倍官邸と近い森市長が知事に就いたら柏崎刈羽原発を再稼働させるのは間違いない。
泉田知事という“反原発”のシンボルを失った「反原発派」からは、森市長の対抗馬として地元出身の森裕子参院議員や田中真紀子元外相の出馬に期待する声も上がっているらしいが、肝心の民進党は対立候補を立てるつもりがないようだ。
原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏は言う。
「泉田知事と同じ経産省出身の古賀茂明さんにも待望論が出ていると聞いています。いずれの候補を出すにしろ、野党が協力しなければ勝つことは難しい。ここで協力できなければ何のための野党かと批判されても仕方がありません」
東電の高笑いが聞こえてくるようだ。
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ATOMICA トリチウムの生物影響
<更新年月> 2000年03月 (本データは原則として更新対象外とします。)
<概要>
将来のエネルギー源として計画が進められている核融合(炉)にかかわる環境・生物影響、とくにトリチウムの人体への影響が注目される。トリチウムはトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され人体にはきわめて吸収されやすい。また、有機結合型トリチウム(OBT)はトリチウムとは異なった挙動をとることが知られている。動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされ、ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している。
<本文>
トリチウムは水素の同位体で、最大エネルギー18.6keVで平均エネルギー5.7keVという非常に低いエネルギーのβ線を放出し物理的半減期は12年である。
大気上層中で宇宙線中の中性子と窒素原子核との衝突によって生成する天然トリチウムが自然界の水循環系に取り組まれているとともに、核実験や原子力施設などから主としてトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され、生物体へは比較的簡単に取り込まれる。
ヒトの体重の60~70%は水分で、個人差はあるが、女性よりも男性、老人よりも若者、太った人よりも痩せた人の方が含水量が多い傾向にある。
表1
表1は国際放射線防護委員会(ICRP)がトリチウムの被ばく線量計算のために水分含有量を推定したもので、“体重70kgのヒトの60%(42kg)が水分である”と仮定している。
このうちの56%は細胞内液、20%は間質リンパ球、7%が血しょう中に、残りは細胞外液として存在するものとしている。
飲料水や食物から摂取されたトリチウム水は胃腸管からほぼ完全に吸収される。
トリチウム水蒸気を含む空気を呼吸することによって肺に取り込まれ、そのほとんどは血液中に入る。
血中のトリチウムは細胞に移行し、24時間以内に体液中にほぼ均等に分布する。
また、トリチウムは皮膚からも吸収される。
最近問題になっているのは有機成分として取り込まれた場合の有機結合型のトリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)で、一般に排泄が遅く、体内に長く留まる傾向がある。
トリチウムは水素と同じ化学的性質を持つため生物体内での主要な化合物である蛋白質、糖、脂肪などの有機物にも結合する。
経口摂取したトリチウム水の生物学的半減期が約10日であるのに対し、有機結合型トリチウムのそれは約30日~45日滞留するとされている。
トリチウムのβ線による外部被ばくの影響は無視できるが、ヒトに障害が起きるのはトリチウムを体内に取り込んだ場合である。ヒトの場合にはこのような事故例は少ないので、主として動物実験から被ばく量と障害の関係が推定されている。
放射線の生物学的効果を表す指標をRBE(Relative Biological Effectiveness,生物学的効果比)というが、いろいろな生物学的指標についてのトリチウムβ線のRBEは表2のように示される。基準放射線をγ線とした場合のRBEは1を超える報告が多い。
表2
血球には赤血球、白血球(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、リンパ球など)、血小板がある。
これらはすべて骨髄の造血細胞から作られ、それぞれ機能が異なる。
ヒトの末梢血液をin vitro(生体外)で照射してTリンパの急性障害をしらべた結果、トリチウムの細胞致死効果はγ線より高く、また放射線感受性はいずれの血液細胞もマウスよりヒトの方が高いことが明らかにされている。
トリチウム被ばくの場合、幹細胞レベルでは変化があっても通常の血液像の変化は小さい。したがって急性障害のモニタリングには幹細胞チェックが重要である。
トリチウム水を一時に多量摂取することは現実的にはあり得ないが、低濃度のトリチウム水による長期間被ばくの場合を考えねばならない。
実際に、トリチウムをヒトが長期間摂取した被ばく事故例が1960年代にヨーロッパで起きている。
トリチウムは夜光剤として夜光時計の文字盤に使用されているが、これを製造する二つの施設で事故が発生している。
一つは、トリチウムを7.4年にわたって被ばくした例で280テラベクレル(TBq)のトリチウムと接触し、相当量のトリチウムを体内に取り込んだ事例である。
尿中のトリチウム量から被ばく線量は3~6Svと推定されている。
症状としては全身倦怠、悪心、その後白血球減少、血小板減少が起こり、汎血球減少症が原因で死亡している(表3)。
表3
もう一つの例も似たような症状の経過をたどり汎血球減少症が原因で死亡している。
臓器中のトリチウム量が体液中よりも6~12倍も高く、体内でトリチウムが有機結合型として存在しているものと推定されている。
発電所および核燃料再処理施設の稼働によりトリチウムも放出されるが、ブルックヘブン・トリチウム毒性プログラムは低濃度トリチウム水に長期間被ばくする場合の健康影響について示唆を与えてくれる(表4)。
表4
夜光剤を扱う施設ではラジウムペインターの骨肉腫がよく知られているが、トリチウムの場合はラジウムの場合と明らかに異なることは注目される。
トリチウムによる発がんに関する報告は多くはないが、X線やγ線との比較によるRBEが求められている(表5)。
表5
これらは動物での発がん実験や培養細胞がん化実験の結果で、トリチウムRBEは1~2の範囲である。
このほか、遺伝的影響を調べるために染色体異常の誘発、DNA損傷と修復などの細胞生物学的研究や、発生時期、すなわち胞子発生期、器官形成期、胎児期あるいは器官形成期における放射線感受性の研究も行われている。
ATOMICA トリチウムの環境中での挙動
<更新年月> 2004年08月 (本データは原則として更新対象外とします。)
<概要>
宇宙線の作用や核実験によって生成された大気中のトリチウムは、降雨などによって地上付近に移行し、空気、水および生体中等に広く分布している。現在わが国(日本)の降水中トリチウム濃度は、ほぼ大気圏内核実験が施行される以前のレベルに戻っているが、大陸性気団に覆われたときにトリチウム濃度の高い雨が降ることがある。一方、大気中トリチウム濃度も減少しているが、降水中トリチウム濃度ほど減少していない。核施設から大気圏または水圏に放出されたトリチウムは、他の放射性核種と同様に大気や水の流れに従って移流と拡散をする。大気中へ放出されたトリチウムは、大気から土壌への沈着、土壌から大気への再放出、土壌中移行、植物への取り込み等の挙動をするが、その特徴は移行速度が比較的速いことである。植物などの生体中では、組織と結合した有機結合型トリチウムが生成される。
<本文>
トリチウムの環境中挙動は、
(1)地球規模での挙動と
(2)局所的に放出された場合の挙動の二つに分けて考える必要がある。
(1)は、天然起源あるいは核実験起源のトリチウムの挙動調査や地球規模での長期間の被ばく線量評価の際に、
(2)は、施設の影響評価等の際に重要となる。
トリチウムは低エネルギーβ線放出核種(最大エネルギー18.6keV、半減期12.33年)であるため、人への影響を考える場合は体内摂取、すなわち内部被ばくのみを考慮すればよい。
国際放射線防護委員会(ICRP)が提示しているトリチウムの化学形別および年齢別の線量係数(Sv/Bq)、すなわち単位摂取放射能当たりの実効線量を表1に示す。
表1
これによると、吸入および経口摂取のいずれの場合もトリチウム水(HTO)の線量係数は、トリチウムガス(HT)の10000倍となっている。
また、植物等の組織と結合した有機結合型トリチウム(OBT)の線量係数はトリチウム水(HTO)の約2.3倍である。したがって、トリチウムによる被ばく線量を評価する場合にはその化学形も十分考慮する必要がある。
1.地球規模でのトリチウム挙動
トリチウムは自然界において常に生成されている。その主な生成場所は大気である。トリチウムは、大気上層において宇宙線の陽子や中性子と大気を構成している窒素や酸素との核反応により生成される。この天然起源のトリチウムは、地球全体では生成と壊変が平衡した状態にあり、その存在量は約1.0~1.3EBq(エクサベクレル)(1EBq=1018Bq)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が推定している。
地球環境中トリチウムの最大の発生源は、大気圏内核実験、特に1954年以降の水爆実験である。
1963年の大気圏内核実験停止条約締結までに天然起源の200倍程度のトリチウムが放出されたと推定され、その結果として環境中トリチウムレベルは大きく増加した。
1963年以降は核実験起源の大気中トリチウムは物理的崩壊および海水中への移行により、減少傾向を示している。
しかし、海洋との接触が少ない大陸では核実験起源のトリチウムがまだ残っている。
これらのトリチウムは大気の循環や降雨によって地上付近に移動し、空気、環境水(河川水、地下水、海水等)、植物や動物の生体中等に広く分布している。
わが国において核実験開始前に測定された降水中トリチウム濃度は0.77Bq/lであったが、1960年代の初めには12~180Bq/lまで増加した。
その後、減少し始め、現在はほぼ核実験前のレベルに戻りつつある。
降水中トリチウムレベルが高かった頃には、わが国をはじめ、北半球の各地では降水中トリチウム濃度が春から夏にかけて高くなる現象が見られた。しかし、現在は降水中トリチウム濃度が低いため、季節によるはっきりとしたピークは見られない。むしろ大陸性気団に覆われたときにトリチウム濃度の高い雨が降ることなどが観測されている。
環境中トリチウム濃度を地域的に見ると、両極から赤道に向かって指数関数的に減少する緯度依存性があることが知られている。これは大気上層でのトリチウム生成率が極地方で大きいことと、成層圏から対流圏へのトリチウムの移行は極地ほど大きく、そして赤道付近では蒸発による希釈が働くためと考えられている。
大気中でのトリチウムの化学形は、水素ガス状(トリチウムガスHT)、水蒸気状(トリチウム水HTO)、炭化水素状(主にトリチウム化メタンCH3T)等である。
地上付近で測定された大気1m3当たりの各トリチウム濃度の経年変化を図1に示す。
図1
1970年頃にわが国で測定されたトリチウム水濃度は約70mBq/m3であったが、1990年に入ると年平均値は20mBq/m3程度であり、大気中トリチウム水濃度は、降水中トリチウム濃度ほど大きな濃度減少を示していない。
これは、雨は大気上層のトリチウムの影響(核実験により成層圏に注入されたトリチウムの対流圏への降下)を大きく受けたのに対し、地表面付近の水蒸気は土壌や植物による地下水の蒸散や表面海水との交換の影響を受けるためと考えられる。
最近の大気中のトリチウム濃度は20mBq/m3程度で変わらないが、環境中の放射能として測定されており、2002年までの全国の環境中トリチウム濃度が文部科学省の環境放射能データベースに記載されている(文献12)。
降水および河川水中のトリチウム濃度の経年変化を図2に示す。
図2
トリチウム水濃度は、水蒸気量とその比放射能(Bq/l)で決まるため、季節変化を示し、わが国では夏の多湿期は冬の乾燥期より4倍程度高くなる。
2.局所的に放出されたトリチウム挙動
原子力施設から大気圏または水圏に放出されたトリチウムは、他の放射性核種と同様に大気や水の流れに従って移行および拡散をする。
大気中へ放出されたトリチウムに特徴的な環境中移行は、大気から土壌への沈着、土壌から大気への再放出、土壌中移行、植物への取り込み等である。これらの移行は比較的速いため、事故時のように短時間に放出された場合の解析にはこれらの移行を動的に扱う必要がある。一方、平常運転時のように一定のレベルで放出される場合は平衡状態を仮定することも可能である。環境中でのトリチウムの移行挙動を解析するための計算コード”TRIDOSEE”では、施設から大気中へ放出されたトリチウムについて、推量される放出点から人体への移行経路は図3のように考慮されている。海洋等の水圏へ放出されるトリチウムは、ほとんどトリチウム水であるため水とまったく同じ挙動をする。
図3
原子力施設から大気へ放出されるトリチウムの化学形は、主にトリチウムガス(HT)とトリチウム水蒸気(HTO)である。大気中での拡散の仕方はトリチウムの化学形には依存せず同じである。しかし、土壌への沈着、植物への取り込み等は化学形によって異なる。また、環境中では種々の要因によりトリチウムの化学形が変化することが知られている。
2.1 沈着
大気拡散中に土壌に接触したトリチウムの一部は沈着するが、その機構はトリチウム水とトリチウムガスでは異なる。
トリチウム水の沈着機構には、降雨による降水沈着と降雨のない場合の乾燥沈着が考えられる。降水沈着の程度は降水強度に依存する。降水量が多い場合は沈着したトリチウムは土壌への浸透や表面流出によりさらに移動する。トリチウム水の乾燥沈着は、主に地表面における大気中トリチウム水と土壌水との交換反応および凝結によって起こる。凝結は大気中水分量が多く、適当な微風が吹く夜間に起こりやすい。交換反応による乾燥沈着は大気と土壌空隙中のトリチウム水濃度差が駆動力であるため、大気中濃度が土壌中濃度よりも高ければいつでも起こり得る。
一方、トリチウムガスの土壌沈着は、土壌に接触したトリチウムガスが水素酸化能を有する土壌中微生物によりトリチウム水へ酸化されることによって起こる。沈着したトリチウム水は土壌水と同様な振る舞いをする。これらのトリチウムガスの環境中挙動は室内実験およびフランスやカナダで行われたトリチウムガス野外放出実験によって詳細に調べられている。トリチウム水の線量係数はトリチウムガスに比べて10000倍大きいため、トリチウムガスの大気放出時の被ばく線量は実質上土壌への沈着挙動によって支配される。なお、トリチウムガスの降水沈着は無視できる程度である。
2.2 再放出
土壌表面層に沈着したトリチウム水は、再び大気中へ放出される。この放出挙動は大気中水分と土壌中トリチウム水との交換反応、蒸発および植物を経由した蒸散によって引き起こされる。このような移行挙動は再放出と呼ばれる。
再放出の程度は気象条件、土壌条件、植生に依存する。なお、トリチウムガス放出の場合でも前述のようにトリチウム水へ酸化されるので、沈着後大気へ移行するのはトリチウム水である。大気中水分と土壌中トリチウム水の交換反応および蒸発は、それぞれ、乾燥沈着で述べた交換反応および凝結と逆向きの作用である。
2.3 蒸散
トリチウム水の植物への移行は、大気中トリチウム水が葉の気孔を介して取り込まれる場合と土壌中トリチウム水が経根吸収により取り込まれる場合がある。
これらの取り込み速度は植物の種類や取り込まれる部位、気象条件等によって異なる。取り込まれたトリチウム水は蒸散により再び大気中へ放出される。葉の場合、大気中トリチウム水濃度は数時間後までにはほぼ平衡状態になる。なお、植物へのトリチウムガスの取り込みは無視できる程度である。
植物中に取り込まれたトリチウム水は、光合成により有機化されると、葉、実および根などの組織中に蓄積される。このように組織と結合したトリチウムは有機結合型トリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)と呼ばれる。光合成による有機結合型トリチウムの生成は、植物の種類や成長の段階によって異なる。有機結合型トリチウムには、組織内に存在する自由水(組織自由水)と容易に交換可能な交換型トリチウムと有機物の炭素と強く結合している非交換型トリチウムの2種類がある。
2.4 生物濃縮
トリチウムの動植物による生物濃縮の可能性、すなわち有機結合型トリチウムの比放射能が同じ生体中の組織自由水中トリチウムの比放射能より高くなる可能性に関しては、トリチウム濃度を注意深く制御した室内実験では観測されておらず、トリチウムの生物濃縮はないことが確認されている。
しかし、実験によっては見かけ上、生物濃縮が見られる場合があった。
この原因として、環境中トリチウムの変動により過去の高濃度時に生成された有機結合型トリチウム濃度と、測定時の組織自由水中トリチウム濃度との間に差が生じたことなどが考えられている。
なお、一般環境での降水中のトリチウム濃度は、原子力安全研究関係者ばかりでなく、フォールアウトトリチウムを利用した地下水や河川水の水理情報解析のために、土木工学関係者からの問い合わせが多く、そのため需要に応えられるような形式で、整備していく必要がある。
わが国において核実験開始前に測定された降水中トリチウム濃度は0.77Bq/lであったが、1960年代の初めには12~180Bq/lまで増加した。
福島第一原発から未だトリチウムが放出されている。
いったい今現在はどのくらいの降水中トリチウム濃度があるのか?
調べているのだろうか?
知りたい。
文部科学省の環境放射能データベースで検索
調査対象 放射能測定調査(放射能水準調査) 放射能調査(海上保安庁) 放射能調査(水産庁) 放射能調査(気象庁) 放射能調査(防衛省) 食品試料の放射能水準調査 ラドン濃度測定調査 久米島環境調査
調査年度 2002年度~2016年度
調査地域 全国
調査試料 降下物 全て
調査核種 H-3
全国で調べたが、千葉県稲毛区のみ降下物でトリチウムの数値が出てきた。

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原発事故前と事故後でどのくらいトリチウムの量に変化があるのか?
調査対象 放射能測定調査(放射能水準調査) 放射能調査(海上保安庁) 放射能調査(水産庁) 放射能調査(気象庁) 放射能調査(防衛省) 食品試料の放射能水準調査 ラドン濃度測定調査 久米島環境調査 原子力施設周辺環境放射線モニタリング調査 海洋放射能調査
調査年度 2008年度~2016年度
調査地域 全国
調査試料 大気浮遊じん・大気 全て
調査核種 H-3 続きを読む
核のゴミ

西川:
で、もう一つ再稼働が議論になっているというのは、原発を動かせばいわゆる核のゴミが出てくると。
この核のゴミをどう処分するのか?全く方向性が見えていません。
地下の300mより深い地層に埋めるという計画で、年内にはどこに処分場を造るか、参考にするための地図が出てくるということなんですけれども、その点についてはどうでしょう?
関口:
これ一応公募っていう形でねどこか実際に手を上げてもらうという考え方が当初はあって、10数年かけてこれを募ってきたんですけど、全然進んでこなかった。
その中で、まず国の方が、この「科学的有望地」と呼んでいますけれども、そういうものを示すことで、ま、議論の第一歩を始めようとしているわけですね。
国はどういう示し方を考えているか?というと、適正の低い地域、それから適性のある地域、より適性の高い地域と、この3分類にしてね、日本地図を全体として塗り分けると。
じゃあどういうところを分けていくか?というと、具体的に例えば、火山、それから活断層の近くは外すとか、それから隆起とか浸食の大きいところ、それから地熱が高い、あるいは軟弱な地盤のところは避けるということです。
それから後は、廃棄物の運搬のことを考えると、港に近いところということで、それはより有望というところに入れようということを考えています。
ただこれもみなさんイメージしづらいかもしれないんですけど、ここってピンポイントで示すんじゃなくて、あくまで白地図を塗り分けて「こうです」って提示するところから議論をするというものですね。
西川:始めようとしていることですけれども、どうですか?何か意見は。
水野:
これはでもね、相当事前に説明しておかないと、「科学的有望地」って聞くと「ああ、もうそこに埋めることができるのかな」みたいな感じがするんですけど、そうでもないんですよね。
でもそういうことが起ころうとしていることも国民は知らないので、やっぱりどういう意味なのか?というのをちゃんと説明しなければいけないのと、それからこれを提示したところで、それはあくまでスタートラインに、関口さんも言われたように、すぎないんですよね。
そこから先例えば世界で処分場の場所を決めているのはフィンランドとスウェーデンしかないんですが、この二ヶ国とも取材しましたけれども、実際そういう地図を出したりいろんな活動を始めてから決まるまでに20年、30年かかっているんですよ。
西川:20年、30年
水野:
だから日本もですね、この後決められるとしてもやっぱりそれくらいの時間はかかるんじゃないかという、長期的な視点に立って、やはり最終的にものをいうのは「どれだけ信頼を得られるのか」という点だと思うんですよね。
それは日本の原子力って信頼は今地に落ちているわけなので、それを回復しつつやっていかなければいけない。
高橋:
アメリカだって処分場をめぐる議論というのはやっぱり迷走しているんですよね。
30年近く前にネバダ州のヤッカマウンテンというところに、ここに処分場の候補地をつくるという選定までいったんだけれども、その後30年近く経ってもほとんど進捗しないままで。
で、今のオバマ政権はそれの計画を撤回してしまったと。
これはまた政治状況がどうなるかによって全くわかりませんよね。
で、やっぱり日本、我々から見ても、処分場をめぐる議論というのはおざなりになっているんじゃないでしょうかね。
竹田:
そういう意味ではね、とにかく最大の問題は「最終処分地が全然議論が進まないまま、しかし再稼動だけは進めるというところが課題だ」と言われてきたのだから、そこを国がね、少なくても「どこか自治体手をあげてください、候補地手をあげてください」で待ってるんじゃなくて、自分たちの方から少なくともここは適していますよというマークを出して議論を始めようというのは、これは大きな意味があると思います。
ただこれね、ものすごく気をつけないといけないのは、これをそのままドンと出しても、それは今度は混乱が起きますよね。
「えっ!一方的に我々のところは候補地にされるのか?」と。
ですからそれは全然そうではなくて、あくまでも地層学的に見て、地盤的に見て、ここは少しは、もしここでも安全かな、という程度の情報を出すだけであって、本当にその自治体が、地元がそれをOKしないといけないわけですから。
西川:
そうですね、この問題はやっぱり水野委員が言ったように、信頼が土台になって初めて話し合いが始まると思うんですが、そういう意味でもまだまだ先が長い。
他でも20年30年かかったということで、極めて重要な問題にもかかわらず、まだ出口が見えないという状態だと思います。
で、日本の原子力政策の柱である核燃料サイクル。
これはこうした核のゴミについても効果があるものだということで始まったんですけれども、そのあたりにテーマをちょっと移していきたいのですが、その前に一度テレビをご覧のみなさまのご意見を伺っていきたいと思います。
https://youtu.be/pv3pH9e2RpU?t=29m17s
視聴さの皆さんへのアンケート
現在運転を停止している原子力発電所の運転を再開することに賛成ですか、反対ですか。

やはり反対が多いですね。
賛成25.5%
反対67.2%
どちらとも言えない7.3%
7割近くの方が原発再稼動に反対という結果になりました。
https://youtu.be/pv3pH9e2RpU?t=31m34s
西川:
ありがとうございました。
反対がこれだけ多いという結果ですね。
これは、番組をご覧になっていただいている皆さんのご意見ということなんですが、世論調査などでも反対の方が2倍から3倍出ているというのと、ま、同じ傾向かしら、ということと思います。
さて二番目の大きな議論として核燃料サイクル、日本の原発政策の柱です。
核のゴミを減らすという以上の役割を期待されています。
そのあたり、水野さんとそれから小林さんにも加わってもらって解説してください。
小林:
水野さん、テレビをご覧になっていらっしゃる方からこんなご意見をいただいているんですね。
核燃料サイクルについてごく初歩から教えて欲しい。
知っているつもりが一番怖い。
という声が届いているんですけれども、
やはり核燃料サイクル、聞いたことはあるけどよくわからないという方は多いと思うんですよね。
水野:
「この核燃料サイクルこそが原子力をやる最大のメリット」とされてきたんですね。
火力発電の燃料の石油石炭、これは一回使ったらそれで終わりですよね。
それに対しまして原発は使い終わった燃料をリサイクルすることで再び燃料として使える。
これが核燃料サイクルなんですね。
こちらの図で説明したいんですけど、

原子力発電所でウラン燃料の使用済み燃料が出るんですが、この中にプルトニウムという物質ができるんです。
これを再処理工場で取り出しますと、ウランが原発の燃料としてまた使えるんですが、これは一般の原発じゃなくて高速増殖炉という特殊な原発で燃やしますと、さらに多くのプルトニウムができるという、夢のようなことが原理的には可能なんですね。
資源の少ない日本は当初からこの高速増殖炉を開発して核燃料サイクルを目指すということを目標にしてきました。
その研究段階の炉として開発されたのが高速増殖炉「もんじゅ」ですね。
ただこれは冷却にナトリウムを使うことから技術的に難しくて事故を起こすなどして実用化の見通しが立たなくなりました。
また最近は機器の点検漏れなど、安全上の問題も起こしまして、規制委員から運営主体を変えるよう最後通告を受けているんですね。
受け皿探しは続いていますけれども、頼みの電力会社からの支援の取り付けがうまくいかないなど難航していまして、核燃料サイクルは岐路に立たされていると言えると思います。
小林:このもんじゅがうまくいかないと、核燃料サイクルはどうなるんですか?
水野:
当初の目的からいきますと、事実上破綻しているという見方もできますけれども、
国や電力会社はそうは言わないんですね。
高速増殖炉ほど効率は良くないものの一般の原発でプルトニウムを使うプルサーマル、これを当面の核燃料サイクルの柱として位置付けています。

でも実際にこれが行われていますのは、伊方原発1基で始まったばかりでして、そういう状況の中でも新たにプルトニウムを生み出す再処理工場、これの可動も目指していると。
じゃあ果たしてこの核燃料サイクル、このままでいいのかどうか?ということが今問われているわけです。
小林:はい、核燃料サイクルはどうあるべきなのか、このあと徹底討論します。
西川:
はい、この問題、もんじゅの問題、それからやはり核燃料サイクルをどうするか?
この丸の右側の半分ですね。
そちらをどうするか?という問題があると思うんですけれども、
もんじゅをどうやってこの核燃料サイクルの中に位置付けて今後見通していったらいいのか、
その辺について。
板垣:
もんじゅはですね、もう、
もんじゅが核になっていたわけですから、核燃料サイクルは実質的に破綻していると私は考えてるんですね。
例えば高速増殖炉のもんじゅについては、これまで1兆円以上のお金をかけているのに組織的な問題もあったりして、全く動けない。
これはもうどうしようもないと。
で、今回組織が変わるということになっていますけれど、それもまだ決まっていない状況なんですね。
だから当面は可動するのは無理なので、
ただ毎年およそ200億円近い予算が消えて無くなるんです。
ほぼ毎年ですよ。
これは異常事態なんですね。
今年はちょっと減らしてはいるんですけど、それでもこれは大変な問題ですから、
「使用済み核燃料をどうするか」という議論は本当にしなければいけないんです。
例えば安全な形でドライキャスク。
乾燥した、水で冷やすんじゃなくて、乾燥した状態で安全に保管するだとか、
あるいは地層処分をどうするか?
なんせ先ほど、最終処分地に30年かかるという話もあるわけです。
その間どうするのか?ということを本当に議論しなきゃいけない状況になってきているということですね。
西川:もんじゅ事態はもう使えないんですかね?
竹田:
ですからその、もんじゅそのものを考えるときに二つに分けなきゃいけないんですよ。
もんじゅの研究そのものがなかなか進んでいないということと、もう一つは今大きな問題になっているのは、もんじゅの運営団体、日本原子力研究機構(のちに訂正:原子力研究開発機構)だっけ、あの団体が今それを担当しているんですけど、そこの運営が危ないので、任せてられないので他の運営団体を決めてくださいというふうに規制委員会が文部科学省に求めているんですね。
それが期限半年かけて選んでください、考えてくださいって言ってたけど、期限すぎても全然その答えが、ちゃんとした答えが返ってこないということが今一番大きな問題になっているんですね。
で、もんじゅがナトリウム事故を起こしたということが、でそれが計画が不透明だということが原因として紹介されていましたけど、問題は事故を起こしたことだけじゃないんです。
事故を起こしたあと、事故のときの動画データを撮っておきながらそれを隠したんですよ。
メディアにいったんそれを見せたんですけど、それは編集をしていて、本当に事故直後の大量のナトリウムが漏れて飛び散っている一番重要な部分をカットまでしている。
西川:その問題は日本における原子力の信頼感の問題にもつながっているんですね。
武田:そのあとも大量の点検漏れ
西川:
ただそのね、サイクルの中ではプルトニウムをどうするか?
今後再処理されて出てくる、これをどうするかということで、もんじゅにまぁ、それ解決しようとしてた
島田:
そこでね、そこの方法は
まぁ、私はもう結論から言うと、高速増殖炉の事業は、これはもうやめるべきだと。
私はかつて若い頃青森で原子力船「むつ」というのを取材してたんですけど、あの船は実験航海に出ようとして、原子炉の遮蔽が不十分で放射線が外に漏れる。
そのためにずっと船が港に係留され続けた。
そういう歴史をたどったんですね。
で、最後実験航海で一定のデータはとったんだけれども、「もうこれは将来性がない」ということで潔く止めたんですよ。
もんじゅも潔く判断をする時期にきていると思う。
一方で、プルトニウムをどうやって減らすかということになると、青森にある六ヶ所村の、あの核燃料サイクル。
あれを縮小しながら、とにかくプルトニウムを減らすための知恵を全力で見つけていく。
ここにやっぱり力点を置くべきだと思いますね。
西川:もんじゅを使わない方法もある
板垣:
ようするにこれは「増殖炉」というところが問題なんですよ。
これはプルトニウムを増やしてしまうわけですよね。
だから今「高速炉」という第4世代の原発があるんですね。
ただこれも安全性がどうだという問題はあるんですが、つまりプルトニウムを、例えば10万年の半減期だとしても、それを300年に縮めるだとか、いろんな技術がある。
ただ、それが確立はしていませんけれども、そういうものなら理解できる。
だからもんじゅ自体はあきらめたほうがいいと私なんかは思うわけです。
西川:
他にもやり方があるということで。
ちょっとアメリカの話を聞いてみましょうか。
高橋:
アメリカというか、日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」ということを内外に言っていますよね。
これはいわゆる国際公約ですよね。
にもかかわらず、さっき水野さんが解説したように、高速増殖炉は実現しない。プルサーマルも進展しない。
その現状でもし再処理に踏み切ったとしたら、これはどんどんどんどんプルトニウムを溜め込み続けることになりますよね。
これが国際社会からどう見られるか?と。
これ、今すでに日本が持っている分離プルトニウムだけで48トンですよね。
48トンということは核爆弾に換算したらこれは6000発に相当しますよね
これがどう見られるかという視点はやっぱり大事なんじゃないですか。
西川:その点はあとできちんとやりましょう。
竹田:
さっきのね、もんじゅの研究開発機構の名前、「原子力研究開発機構」というのが正式の名称で、ここが運営のあり方が問われているんです、すみません。
西川:もんじゅ以外の方法について詳しい人
関口:
もんじゅの、
板垣さんがおっしゃったのは大事なポイントの一つで、
要するに高速炉の技術を今すぐ手放すということを決断しなくてもいいんですよ。
ただもんじゅについては、もうこれだけ成果が上がらないままになってきているから、このまま色々お金をかけても結局もう過去のものになってしまうので、その次の今の原型炉から実証炉というのに本当だったら進むんだけど、その段階の後のロードマップはどうするんですか?これは議論しなければならないんで、それはある意味では高速炉、高速増殖炉っていうのは廃棄物の有害度を下げるとかね、あるいは容量を少なくするとか、という意味合いもあるので、それはこの先も使うんですか、どうするんですか?っていう議論はしなければいけないけれども、もんじゅについてはいったん区切りというのはありうる選択だと思う。
水野:
いや、すぐにやめたいと思っている関係者は結構いるんですけれど、
これはやっぱり日本特有の官僚機構というのがあってですね、やめた場合に、じゃあやめちゃうの?誰の責任なの?と今までやってきたのどうするの?で、1兆円かかってた。そのコストは一体どうなるの?とか、もんじゅをやめるんだったら使用済み燃料を今まで資源だとか言ってきていたのに、それがゴミになっちゃうの?とかですね、もういろんな矛盾が出てくるんですよね。
でもここはそれを話す、議論するいい機会になると思うんですけれど、そういった責任論とか色々出てくるので、なかなか日本の官僚機構の中でこれを「やめる」とか、言い出せない状況がずーっと続いていて、矛盾がどんどんどんどん蓄積しているっていう状況かな、って思うんですよね、
西川:もんじゅの運営主体の話も難航しているというのは、期限が来ても出てこないというのはその延長線上でのこと?
水野:そう。もう9ヶ月近く経ちますもんね。
関口:
それとね、もんじゅの問題、じゃあどうする?っていうふうに委員長から問いかけがあったけど、そうなるとさっき説明があったように、結局やっぱりプルサーマルになりますよね。
結局だから商業用の一般の原子炉でプルトニウムを混ぜた燃料を燃やすプルサーマルに重点を置くということになります。
それで実際にこれで一つの試算として考えてみたときに、再処理工場で処理できる能力をフルに生かしてやるとですね、大体年間4トンぐらいの再生燃料ができると言われていますけれども、それを燃やすのにバランスの取れるプルサーマルの炉は16基から18基ぐらいいると言われているんですよ。
だから本当にそんなにプルサーマルができるんですか?という問題もある。
それが要するに、ちゃんと回収して再利用するプルトニウムとそれを燃やす炉の量とバランスが合わなければ、それこそ先ほどから議論が出ているように、利用目的のないプルトニウムということになってしまう。
だからプルサーマル中心にしても、現実的などういう使い方をするか?
本当にそれだけの炉の再稼働ができるのかどうか?ということも議論しなければいけない。
島田:
確かに技術的にもね、このプルサーマルのときに使うMOX燃料、プルトニウムとウランの混合燃料、
その燃料体というのは制御棒の効きがウランを燃料にした原発よりも、なかなか効かないんだと。
この物質の性質上そういう面があるっていうことを、水野さん、これは技術的に克服されていないんでしょ?
水野:
やや効きが悪くなるんですけれども、
ただ原子力規制委員会によると「全炉心の3分の1までだったら安全性は確保される」と。
「それ以上使うと大変だ」と。
島田:ああ、MOX燃料の占める割合
水野:
はい。
で、青森県に建設中の大間原発だけはちょっと構造を変えてですね、全部MOX燃料にしても安全性は保たれるという考え方を示しています。
島田:新型の設計ですからね。
西川:
まぁそのサイクルの中ではもんじゅに頼らない方向もあると。
むしろそれを見つけないと、プルトニウムが溜まる一方だということで、この核燃料サイクルのあり方をちょっともんじゅを外して考えることも必要だということが見えてきたと言っていいでしょうね。
でもう一つはプルトニウムがどんどんどんどん出てくるということになれば、日本に厳しい目が注がれそうだということだったんですが、
高橋:
むしろ核燃料サイクルにおける議論は必要なんですけど、それはどれくらいの時間が許されるかということなんですけど、
今、世界の核保有国以外で正式に再処理を認められているというのは日本だけですよね。
それを支えているのは1988年に発行した、いわゆる日米原子力協定。
これは有効期限は30年。
これは30年の期限というのは2018年7月に切れるわけです。
これは、自動更新という条項もあるんですけれども、基本的には日米いずれかが文書で通告すれば、6ヶ月後には失効するんですよ。
つまり、再処理を支えている基本的な協定というのは、アメリカともう一度交渉しなければいけないということになるのは必至で、そこまでに日本できちんと核燃料サイクルというのはどういうふうに考えて進めていくのかという考え方をまとめない限り、これは交渉にもならないわけですよね。
島田:
西川さんね、今の2018年の7月、それはどういう時期かというと、
今の安倍さんの自民党総裁期限が切れるのが2018年9月なんですよ、
その直前なんです。
ですから政治的に安倍総理、安倍総裁にとってもですね、これは大きなテーマとしてこれから先の検討の中に横たわっているんじゃないかと。
高橋:相手側の政権もわかりませんしね。
島田:
アメリカの政府がどういうふうに判断するか?大統領選挙の結果を見なきゃわからない。
これは非常に扱いにくい問題になりつつあるんですね。
高橋:
ただ、党派を問わず、アメリカは基本的に厳しい姿勢で臨んでくるというのは間違いなくて、今の原子力協定のポイントというのは事前に、包括的事前同意制度といって、これは事前に、ケースバイケースじゃなくて、事前に一括して再処理を日本に認めましょうっていう条項がこれ、ポイントなんですよね。
そこについて非常にスパンを短くしようとしている傾向があるんですね。
去年、韓国とアメリカと原子力協定を改定しましたけれども、有効期限というのを半分にしちゃったんですよね。
それで、日本も30年そのまま更新できるか?というと、もうそれほど甘くはないというふうには考えたほうがいいと思います。
西川:
ま、そういう、外国からどういう目で見られるか?あるいはアメリカとの関係でどういう体制が維持できるかということもあると思うんですけど、
このプルトニウム、抑止力と結びつけて考える、そういう議論もありますよね。
板垣:
ありますね。
例えば軍の関係だとか、軍事関係だとか、政府内でも「プルトニウムを日本が持っている」ということは潜在的な抑止力になる。
どういう意味かというと、ま、すぐにでも原爆を作れるんではないか。
たとえば北朝鮮向けに対する威嚇。
そういう効果があるというんですが、実体的には日本は日米の間の安全条約で核の傘の下にいるわけですから、そこまでやる必要は全くなくて、そういう考え方自体が時代遅れだと。
西川:結論としてどうなんですか?
高橋:
現実的に、だって、非核三原則を捨てて、憲法9条も改正をして、日米安全条約も破棄して、おまけに、NPT核拡散防止条約も日本が脱退して、つまり、国際社会から完全に孤立して、今ん北朝鮮みたいになって生き残っていけるとは誰も思っていないですよね。
そういう日現実的な議論こそが、原子力行政の将来のあり方というか、考え方を議論するときの、一種の多少歪める要素になっているんじゃないかって思います。
西川:ま、安全保障の議論の面から見てもちょっとあてにできる議論ではないという感じはしますね。
関口:
少なくても国民はそういう理解をしていないというのも大事ですよね。
やっぱり、エネルギー戦略のためにこの核燃料サイクルの議論をしているわけで、
そこに変な発想を持ち込むということは国民の理解はないと思います。
板垣:
理解が非常にしにくくなる問題なので、私もその問題はね、
ま、そういうふうに考える人もいるんだろうけど、ほとんど無視したほうがいいという感じです。
むしろ我々がやらなければならないのは、プルトニウムという非常に有害性のあるものをいかに減らしていくかと、エネルギーを使う過程でですね。
だけれども、商業用の原子炉でガンガンやれるほど簡単に扱えるものでもないので、先ほど関口さんも言ったけれども、
第4世代の高速炉という形で、やっぱり半減期を短くする、容積を小さくする、有害性を取り除く、そういうことが重要なんだと思うんですよ。
西川:
まぁいろんな、国際的な課題も抱えた問題であるという側面であったというのが最後の議論だったと思います。
こうした問題を抱える核燃料サイクルについても視聴者の皆さんからいろんなご意見を頂戴しているようなので、小林さん、紹介してください。
https://youtu.be/pv3pH9e2RpU?t=49m45s
https://youtu.be/pv3pH9e2RpU?t=50m34s
西川:
はい、最後になってきました。
議論、4点について議論してきたんですけれども、日本の原子力政策についてのみなさんの提言、考えをお聞かせください。

板垣:
わたしはですね、原発は10年程度でやめるべきだと。
今の原発ですよ。
新しい原発は別にして。
ただ、再生可能エネルギーとか、
水素エネルギーの革命は
やっぱり、エネルギー革命を起こすべきだと思ってます。
わたしはそれを10年程度でできるという感覚を持っていますけれど、
すでにあの災害から5年経ってて、5年を無駄にしました。
ですから、もう今すぐにでもいいですからこれを取り組む必要があると思います。

島田;
先ほど安全保障に関してのね、議論もありました。
その安全保障ということを言いますとね、一番重要なのは抑止力の問題じゃなくて、核兵器の原材料となるものをテロリストに奪われるようなことがあってはいけない。
ここが一番大事ですよね。
そういったポイントも含めてですね、やはり国民的な議論。
これはやっぱり国会が率先してやらなきゃいけない。
原子力施設をどう守るか。
プルトニウムをどうやって自分たちのもとで正当に管理するか。
これがやっぱり大前提だと思うんですね。

水野:
わたしもですね、やっぱりこれはオープンに議論して国民に考える材料をちゃんと提供して欲しいと思いますね。
今このもんじゅにしましても、文部科学省の検討会でオープンでやられてきたんですけれども、
最近それが終わってですね、今、誰がどこでどう考えているのかが、一切何も情報が伝わってこない状況になっているんですね。
先ほど議論したように核燃料サイクルは非常に重要なのにそれがオープンになっていない、これが問題です。

関口:
わたしはやっぱり資源小国の日本ということからすると、エネルギー政策の基本は常に幅広く、選択肢は持っておくということだと思うんですね。
そういう意味では今日議論に出たいろんな技術の要素もありますけれども、ある意味ではのちの世代に選択肢を残しておくという意味で、我々だけが全部を決めるというものでもないというふうに考えています。

竹田:
原子力政策、特に原発は国策民営って今まで言ってきたんですね。
だったら責任をもって、国策をもっとはっきりさせなきゃいけない。
政府が責任を持たなきゃいけない。
原発の運営、それから防災、すべてにわたって総合的に責任を持つ、例えばもっときちっとした司令塔のような組織を、きちっと政府が作るべきだと思いますね。

西川:
時間が迫ってきています。
今日、こういう原発政策を見てきたわけですけれども、福島原発の事故では、未だに9万人近い方々が避難生活を強いられています。
安全神話は完全に否定されて、原発が事故を起こすといかに手に負えないかということを知ることになりました。
原子力発電と核燃料サイクルをどうするのか?
高レベルの放射性廃棄物をどうするのか?
他のエネルギーとの関連の中で総合的な原子力政策、長期的な展望を持って考えていかなくちゃいけないんじゃないかというふうなことが今日分かったと思います。
番組をご覧の皆さんとそうした取り組みを考えていきたいと思いますが、やはり信頼感も不可欠だというふうに思います。
それでは今日はここらへんで失礼いたします。
ーおわりー
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民進党職員は甲状腺がん 原発事故「被曝健康被害」が次々
日刊ゲンダイ 2016年8月9日
原発作業員は大丈夫なのか(東京電力提供)
民主党政権時代、福島復興を担当していた民進党の男性職員が甲状腺がん(乳頭がん)を発症、手術を受けたことが分かり、関係者に衝撃を与えている。A氏は、原発事故直後から、被災状況の把握、除染現場の視察など、福島県をたびたび訪れていた。
「福島への訪問回数は、確実に10回を超えます。原発事故と私の甲状腺がんとの因果関係は証明されたわけではありませんが、原因となった可能性は高いと思っています。そもそも甲状腺がんは男性には珍しい。診断した医師は『甲状腺がんの約8割は女性です』と言っていました」(A氏)
A氏は、親戚縁者に「甲状腺がんになった人はいるか」と聞いて回ったが、誰もいなかったという。
「だから遺伝的要因は考えられません。関東地方には放射能汚染が高いホットスポットがあり、自宅付近がホットスポットだった可能性もありますが、福島訪問の際の被曝が原因ではないかと私自身は考えています」(A氏)
A氏が甲状腺がんを名乗り出たのは、放射能汚染の影響が忘れ去られようとしている現状に警鐘を鳴らしたかったからだ。
「提案したいのは、関東地方を含めた汚染状況の徹底調査(ホットスポットの特定など)と、被曝リスクが高い人たちへのがん検診の体制強化です。福島を訪問して感じたのは、医師たちが原発事故と甲状腺がんを関連づけることに神経質になっていることです。箝口令が敷かれていると感じたほどです。『リスクがどれぐらいあるのか』『地域によってどの程度、汚染に違いがあるのか』といった重要な情報が十分に知らされていない」(A氏)
■米軍「トモダチ作戦」では400人が…
実は、被災者を救援した「トモダチ作戦」に参加した米軍兵士の間にも、健康被害が増えている。5月に訪米し、兵士10人から聞き取りをした小泉純一郎元首相はこう話す。
「頑健な兵士が帰国後、原因不明の体調不良に襲われていました。鼻血が出てきたり、下血したり、腫瘍が出来てきたりした。トモダチ作戦に参加した海兵隊員は、米軍の中でも一番厳しい訓練をすることで有名。そうした頑強な20代、30代の兵士が体調不良に襲われ、兵士としての正常な活動ができなくなってきている。放射能被曝と健康被害の間には因果関係があるとしか考えられないのです。しかし、兵士は『米政府を訴えない』という誓約書を書いているので、東電とGEを提訴して損害賠償を求めています。当初8人だった原告は400人を超え、病状も悪化しています」
安倍政権は、徹底調査し、救済にも乗り出すべきではないか。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)
甲状腺がん「地域ごとの詳細なデータ分析が必要」と全摘の男性
まさのあつこ | ジャーナリスト
2016年8月23日 20時47分配信
甲状腺がん全摘手術の退院直後に筆者撮影(2016年8月)
「まさか、自分がなるとは思っていなかった。」そう語った栃木県在住の男性は、話をしていく中で、全摘をした甲状腺がん(乳頭がん)の手術跡を見せてくれた。
2011年4月以降、2015年3月まで10回程度、除染現場や中間貯蔵施設(大熊町)の予定地を含めて福島県を出入りした。マスクなどの防護策は一切行わず、先々で自分がいる空間の線量を測るなどの対応も取らなかった。通常の職場は東京だ。汚染地図を広げて確認すると、居住地はさほど高い地域ではない。近所を測定器で測り、ホットスポットとなっていないかどうかを確かめるようなことも全くせず、隣近所で取れる地場産の野菜を気にせず食してきた。
文科省 2011年10月6日発表資料
2014年夏、医師である友人が、喉仏の下にもう一つ、喉仏のような出っ張りがあることに「あれ?」と気づいてくれるまで、自分では気がつかなかった。「それは甲状腺ではないか。見てもらった方がいい」と言われて、専門医を訪れた。
摘出手術の結果「悪性」
エコー検査を受けた結果、1×4cmの嚢胞だったが、半年に1回の経過観察を勧められた。痛みもなく大きくもならなかったが、今年1月以降、細胞を取って診てもらうとがんまたはその疑いとなり、8月に摘出手術を受けた。その結果、悪性だと判明した。
手術前には「もし気管支に転移していれば、一緒に取るため穴が開いてしばらく声が出なくなる」、「もし声帯を動かす神経が傷つけば声が出なくなる」、「もし甲状腺の裏に4つコメ粒ぐらいの大きさで着いている副甲状腺4つをうまく残せず、取ってしまうと、骨の生成ができなくなる」など、一連のリスクを告げられ、同意書にサインをしたと言う。
麻酔で5時間の手術。目が覚めたら終わっていた。リンパ腺を切った切り口からジワジワ流れ出る血まじりの体液を、傷口の両脇からホースで受け止める透明のパックを5日間、首からぶら下げていた。転移はなく、声に異常もない。ただ、喉仏の真下のど真ん中だったため、一部を残すことができず全摘となった。
「甲状腺がんは基本的に、取るしかないんですね」と語り、今後、毎日、甲状腺ホルモンの薬を飲むことになった。適量には個人差があり、飲み過ぎると代謝が過剰となり、少なすぎると判断力の低下やむくみが生じるため、適量が分かるまでは量を調整するのだと言う。
この男性の甲状腺がんが果たして被ばくによるものかどうかは、一例ではもちろん分からない。しかし、疫学研究の第一人者である岡山大学の津田敏秀教授は、「栃木在住の方でしたら、濃いプルームが通過したようですので、被ばくによる発がんの可能性が十分にあると思います。チェルノブイリ周辺では、子どもよりも、大人の方の甲状腺がんの増加数の方が大きかったわけですので、すでに増加の始まっている福島県以外の周辺県の、子どもだけでなく、大人における系統的な甲状腺がんの発生データ収集が必須でしょう」と述べる。
全摘手術を受けた男性自身も、「福島県内にとどまらず、子どもはもちろん大人も、健康検査やデータ集積が重要ではないか」と、因果関係がないことを前提で進む帰還ありきの政策に身をもって、疑問を投げかける。
ところが、今行われようとしていることは、その真逆である。9月14日に開かれる福島県の県民健康調査検討委員会で、甲状腺検査の対象者の縮小を視野に入れて議論するのではないかと福島民友が報じている(*)。
それは一体、何故なのか。これまでに示されてきた事実には、検査を縮小すべき判断材料は見えないのである。
甲状腺検査見直し議論へ 県民健康調査検討委、対象者縮小も視野
福島民友 2016年08月08日 08時08分
原発事故の健康影響を調べる調査の在り方を議論している県民健康調査検討委員会は早ければ9月にも、甲状腺検査の対象者縮小や検査方法の見直しを視野に入れた議論に着手する。
事故当時18歳以下の全県民が対象の甲状腺検査は大きな転換期を迎える。検討委の星北斗座長が7日までに、福島民友新聞社の取材に明らかにした。
甲状腺検査の対象者は約38万人。検査で見つかったがんについて、検討委は「現時点で放射線の影響とは考えにくい」としている。
検査見直しを視野に入れた議論が始まる背景には、精度の高い検査を行うことで、放射線と関係なく以前から一定割合ある「潜在がん」が見つかるケースへの懸念がある。
治ることが多い甲状腺がんは一律のがん検診による「死亡率の低下」というメリットが生じにくく、検診は世界的に推奨されていない。このため、「検査を受けること自体が受診者の不利益になり得る」との声が医療関係者から上がっていた。
こうした意見を受け検討委は、〈1〉18歳を超えた県民を今後も検査対象にするべきか〈2〉受けない選択を難しくしているとの指摘がある学校での集団検診の方法を改めるべきか―などの論点について議論を始めるとみられる。
【千葉】甲状腺エコー検査の費用助成へ 白井市児童生徒、高線量検出受け
東京新聞 2016年8月15日
白井市の市立桜台中学校敷地内で、国の除染基準値(毎時〇・二三マイクロシーベルト)を大きく上回る放射線量を観測した問題を受け、市は甲状腺エコー検査を希望する児童生徒らの負担費用の助成に乗り出す。市議からの要望に対し回答した。
六月に同中学校内にある桜台学童保育所近くの草地で、最高四・一四マイクロシーベルトの線量を記録した。市が除染作業に当たり、線量は基準値を下回ったという。
議長を除く市議十九人が対策として▽ほかの高線量地の有無の確認▽子どもの健康調査への助成-などを伊沢史夫市長に要望。市は回答で甲状腺エコー検査費用の助成と、小中学校や幼保育園の雨どいや側溝などを放射線量測定の定期観測地点に追加することを明らかにした。
市によると、実施時期は未定で、検査費助成の対象年齢などを詰め、速やかに対応したいという。 (堀場達)
【千葉】甲状腺エコー検査 野田市が助成へ
東京新聞 2016年9月3日
東京電力福島第一原発事故による放射性物質の問題で、野田市は十月から、事故当時に十八歳以下だった子どもや胎児を対象に甲状腺エコー検査費を助成する。事故の放射性物質による住民の健康不安を軽減するため。県内で助成は松戸、柏、我孫子市が実施している。
対象は、一九九二年四月二日~二〇一二年四月一日までに生まれた市民。検査費七千五百六十円のうち、四千五百円を年一回助成する。検査は小張総合クリニックで実施する。
市は従来、国が検査を実施すべきであり、地元医師会が放射線量から検査は不要という認識だったことから、実施を見送ってきた。昨年十月に市民団体が市民対象の検査をした際、定員五十人に対し三十九人が検査を受けられなかったことや、医師会が不安解消のための実施に理解を示したことを受け、方針転換した。
市は事業費約七十六万円を計上した一般会計補正予算案を二日開会の市議会九月定例会に提案。エコー検査実施は、六月の市長選で初当選した鈴木有市長が公約に掲げていた。 (飯田克志)
◆白井市も検査助成
白井市は二〇一一年の東京電力福島第一原発の事故当時、ゼロ歳~高校三年生の年次だった市民を対象に、甲状腺エコー検査費を助成する。三千円を上限に、十月一日以降の検査費の半額を市が負担する。
市議会九月定例会に提出した一般会計補正予算案に、一六年度の事業費三十万円を盛り込んだ。助成されるのは二一年三月三十一日までの検査。検査は年に一回までとした。
一九九二年四月二日~一一年四月一日生まれで、事故当時と検査時、市内に住民登録していることが条件。生活保護の受給世帯については、六千円を上限に全額助成する。
市では中学校敷地内で六月に国の除染基準(毎時〇・二三マイクロシーベルト)を大きく上回る最高四・一四マイクロシーベルトの放射線量を観測し、市議が対策を要望していた。 (堀場達)
なのに福島県の小児科医って、いったい…
【社会】甲状腺検査縮小も検討を 福島県小児科医会が要望
東京新聞 2016年8月25日 19時28分
東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べるため、福島県が県内の全ての子どもを対象に実施している甲状腺検査を巡り、県小児科医会(太神和広会長)が25日、検査規模の縮小を含め、検査の在り方を再検討するよう県に要望した。
小児科医会は、これまでの検査で多数の甲状腺がんが発見されたことにより、検査を受けた子どもや保護者、一般の県民にも健康への不安が生じていると指摘。検査やその後の治療の進め方を巡り「一部見直しを含む再検討が必要」とし、関係機関に対応を求めた。
太神会長は、検査規模を縮小しても放射線被ばくによる影響の有無などを把握することは可能との認識を示した。
(共同)
ヤクルト今浪が抹消、甲状腺機能低下症で全治は不明
日刊スポーツ [2016年9月3日15時53分]
ヤクルト今浪隆博
ヤクルト今浪隆博内野手(32)が3日、甲状腺機能低下症により出場選手登録を抹消された。
体調不良により前日2日の広島21回戦(神宮)を欠場し、血液検査で甲状腺機能の数値に異常が確認された。全治は不明で、しばらく投薬治療で回復を待つ。代わって武内晋一内野手(32)が昇格した。
甲状腺機能低下症
症状
甲状腺機能が低下してくると全身の代謝が低下するため、体のさまざまな機能が低下します。精神機能が低下することによって眠気、記憶障害、抑うつ、無気力を生じます。皮膚は乾燥し、毛がぬけたり、指で押しても跡を残さないむくみを生じます。また声帯がむくむために声がかすれることもあります。消化管運動の低下により便秘になったり、心臓機能の低下により脈が遅くなったりします。他には体重増加、寒がり、疲労感がよくみられます。
しかし機能低下が軽度の場合は、どの症状もあきらかではないため診断の決め手とならず、診断が確定するまで長期間見逃されていることもあります。 甲状腺機能低下症の症状
原因
原発性甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症)
先天的なもの
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
異所性甲状腺腫(正常な位置に甲状腺がなく、舌根部分などに甲状腺組織が認められます)
一過性のもの
産後一過性甲状腺機能低下症
破壊性甲状腺炎の回復期
海草(ヨード)の取りすぎによる甲状腺機能低下症
(これは、海草(特に昆布)の摂取制限をするだけで改善します)
甲状腺の病気の治療によるもの(永続性です)
術後甲状腺機能低下症
アイソトープ治療後甲状腺機能低下症
分類
甲状腺機能が低下するメカニズムには、主に次の3つの種類があります。
1.甲状腺そのものが原因であるもの
これを原発性甲状腺機能低下症といいます。甲状腺が破壊される病気によるものが代表的です。最も一般的によく見られるのが、このタイプの甲状腺機能低下症です。
2.脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が不足したため甲状腺が刺激されなくなっているもの
これを中枢性の甲状腺機能低下症といいます。TSHが減少したり、また、視床下部から分泌されTSHを刺激するホルモン(TRH)の減少によっても生じますが、いずれのケースも、まれな病気です。
3.甲状腺ホルモンは分泌されているのに、その刺激を組織が受容できず、反応性が低下しているもの
これを甲状腺ホルモン不応症といいます。これは、甲状腺ホルモン受容体遺伝子の変異が原因です。この病気も極めてまれです。
治療
よくみられる原発性甲状腺機能低下症は、治療を始める前に一過性の甲状腺機能低下症か永続性の甲状腺機能低下症かを見極める必要があります。
一過性甲状腺機能低下症の場合
出産後自己免疫性甲状腺症候群を含めた無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎の回復期の患者様は様々な程度の甲状腺機能低下症を示すことがあります。そのような患者様の一過性の軽度の甲状腺機能低下症は治療の必要がありません。
しかし甲状腺機能低下症の症状が強ければ数か月間、合成T3製剤(チロナミン®)を毎日15μg程度内服していただきます。患者様の血清FT4が正常化すれば中止することができます。
ヨード過剰摂取による甲状腺機能低下症の場合はヨード摂取の制限をすると甲状腺機能が回復することもあります。
永続的甲状腺機能低下症の場合
永続的甲状腺機能低下症の場合は、合成T4製剤(チラーヂンS®)の服用による治療を行います。
成人の合成T4製剤の内服維持量は100〜150μg/日です。内服治療は通常少量から開始し、維持量にまで徐々に増やします。維持量に達するのには数か月かかります。60歳未満で心臓や肺に病気がない場合は最初から維持量を内服しても問題はないとされていますが、通常、甲状腺機能低下症の治療は緊急性を要する治療ではありませんので25〜50μg/日程度から開始した方が無難です。
治療開始にあたって最も注意しなければならないのは、狭心症などの虚血性心疾患を合併している場合です。そういった患者様は甲状腺機能低下症の治療開始時に狭心症の頻発や心筋梗塞を生じる可能性がありますので、12.5μg/日程度の少量から治療を開始します。
影でどんな汚い手を使ったのか、簡単に想像できる
柏崎原発再稼働に影響なし=菅官房長官
時事ドットコム 2016年8月31日
菅義偉官房長官は31日午前の記者会見で、泉田裕彦新潟県知事が4選出馬を撤回したことについて、「知事選を目前にして、あまりにも突然だった」と感想を述べた。知事が慎重姿勢を示してきた東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関しては「全く影響ない」とした上で、「原子力災害対策が一番大切で、引き続きしっかり行っていく」と強調した。(2016/08/31-12:39)
泉田知事はどれだけ嫌がらせをされたのか。
命の危険と向き合うことにももう、疲れ果てたのかもしれない。
正義が力尽きるのを直視するのはものすごく辛い。
新潟県民は、どのような答えを出すのか?
爆発して放射性物質をばらまいても「無主物」だと言って、責任回避する、そんな東京電力が柏崎刈羽原発を再稼動して、ちゃんとしたメンテナンスができるのか?災害があっても逃げないか?
信用できるか?
5年以上使っていなかったら、そりゃ劣化するわ
敦賀1号機で配管漏れ=飲料水240リットル-日本原電
時事ドットコム 2016年9月2日
日本原子力発電は2日、廃炉が決まった敦賀原発1号機(福井県敦賀市)のサービス建屋で、配管から飲料水約240リットルが漏れたと発表した。配管と弁の接続部の腐食が原因とみられる。漏れた水に放射性物質は含まれていない。
日本原電によると、8月18日午後、サービス建屋1階のロッカー室と倉庫で、天井から水が落ちているのを作業員らが発見した。水は2階空調機械室の天井近くに設置された配管から漏れ、床の穴から1階に流れていた。配管と弁は新品に交換し、穴もふさいだという。(2016/09/02-18:29)
2016年9月2日 報道ステーション
福島第一原発の汚染水対策の切り札である凍土遮水壁が台風による度重なる大雨で凍土壁の一部が解けたことがわかりました。
凍土壁は原子炉建屋に流れ込む地下水の量を減らすために設けられ、建屋周辺の地中を壁のように凍らせたものです。
東京電力によりますと、二箇所で0℃以下だった地中の温度が1℃を超えていたことがわかりました。
原因は大雨が続き地下水の量が増えたためです。
東電は今後、水に触れると固まる特殊な液体を流し込んで、再び凍結を目指すとしています。
こんなこともありました
焼却設備に穴、運転停止=点検で見落としか-福島第1
時事ドットコム 2016年8月10日
東京電力は10日、福島第1原発の敷地内で使用済みの防護服などを燃やす焼却施設で、蛇腹状のステンレス製継ぎ手に穴が見つかり、運転を停止したと発表した。焼却施設は9日まで点検を受けており、穴が見落とされた可能性もある。放射性物質の漏れは確認されていないという。
東電によると、9日午後10時20分ごろ、施設内の床に水滴が落ちた跡を下請け企業の従業員が発見した。焼却炉と排ガスの冷却装置をつなぐ蛇腹状の継ぎ手部分に、直径1ミリの穴が2個開いていた。
施設全体を調べたところ、別の継ぎ手でも計3カ所のひび割れが見つかった。ひびの一つは長さ20センチ、幅は最大2センチに達していた。(2016/08/10-19:41)
ふげん
ドラム缶で廃棄物漏れ=「ふげん」外部に影響なし-原子力機構
時事ドットコム 2016年8月26日
日本原子力研究開発機構は26日、廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)で、放射性物質を含む廃液を貯蔵するドラム缶の底から中身が漏れていたと発表した。放射性物質は検出されておらず、外部への影響はないという。原子力機構が原因を調査している。
原子力機構によると、18日午前10時15分ごろ、第2固体廃棄物貯蔵庫を巡回していた職員が、ドラム缶から白濁色の固形物が漏れているのを発見。中身が同じドラム缶26本を点検したところ、同様のドラム缶が1本見つかった。(2016/08/26-19:50)
もんじゅ
燃料プール水質、半年改善せず=もんじゅ警報継続-規制委
時事ドットコム 2016年8月3日
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で昨年11月に使用済み燃料プールの水質が悪化し、今年5月まで改善していなかったことが3日分かった。この間、約半年にわたって警報が作動。プールの浄化フィルターには必要な樹脂が入っていなかった。原子力規制委員会は同日、保安規定に違反すると判断した。
規制委の田中俊一委員長は「安全文化が欠如している証拠だ。どう言っていいか分からないくらいの深刻な問題を示している」と述べた。
規制委と原子力機構によると、昨年11月19日未明、使用済み燃料2体を保管するプールの水質悪化を知らせる警報が鳴った。不純物濃度の上昇傾向が緩やかだったため、担当者は手順書で定められた責任者への連絡をすぐにしなかった。
手順書は警報が鳴った場合、浄化フィルターの吸着樹脂を交換するよう定めていたが、原子力機構は2011年以降、樹脂を入れていなかった。担当課長は使用済みの樹脂を保管する施設が使用できない状態だったことなどから、樹脂を使わず水質監視を継続。不純物濃度が上昇し、昨年12月に所長に報告した。
所長は水質改善に向けた計画作成を指示。プールを清掃したが水質は警報値を下回らず、今年4月に「不適合事象」と判断し、規制委に報告した。5月下旬に樹脂を入れ、警報は止まった。(2016/08/03-21:32)
日本原子力研究開発機構に任せておくことの不安は大きい
不安だ不安だ不安ダァ〜〜!
伊方原発 2号機でホウ酸水漏れ
毎日新聞2016年9月1日 20時06分(最終更新 9月1日 21時35分)
四国電力伊方原発=愛媛県伊方町で、田畠広景撮影
四国電力と愛媛県は1日、伊方原発2号機(同県伊方町、定期検査中)の1次冷却水を冷やす装置の配管から、放射性物質を含むホウ酸水約10ミリリットル(推定)が漏れるトラブルがあったと発表した。付着物の放射能濃度は約7ベクレルとごく微量で、外部への影響などはないとしている。
点検準備中の社員が8月30日午後4時ごろ、ステンレス製配管にホウ酸とみられる付着物を見付けた。検査の結果、配管の溶接部に30ミリ程度のひびがあった。経年劣化や施工の影響の可能性が考えられるという。
定期検査中のため配管内は空だったが、一部に残ったホウ酸水がにじみ出たらしい。ホウ酸は、原子炉稼働時に出る中性子を吸収する役割がある。【橘建吾】
ちょっと前にも伊方原発で配管漏れがあった
伊方原発で配管漏れ=環境に影響なし-四国電
時事ドットコム 2016年8月26日
愛媛県と四国電力は26日、伊方原発3号機(同県伊方町)で、2次系統水の配管から排水が漏れるトラブルがあったと発表した。環境に影響はなく、9月7日に予定している営業運転にも支障はないという。
四国電によると、26日午後2時すぎ、発電用タービンを蒸気で回す2次系統水で、不純物を取り除く装置の配管から排水が約1.3トン漏れているのが判明。配管のつなぎ目に不具合があったとみられ、四国電は接続用のゴム部品を取り換える。(2016/08/26-18:50)
5年位上も動いていない機械を動かしたら、あちこち不備が出てくるのは当たり前だ。
5年間使っていない電化製品を使おうって、思わないよね。
伊方原発はプルトニウムが入っているMOX燃料だ。
原子炉はMOX燃料を燃やすようには作られていない。
大丈夫か?
熊本で震度5弱の地震がまた起こった。
川内原発と玄海原発は異常ないとニュースは報じるが、熊本から続く中央構造線上に乗っかっている伊方原発の方が、実はわたしは心配だ。

一応四国電力の報告書を載せておきます。
平成28年9月1日 四国電力株式会社
伊方発電所2号機 余熱除去系統ベント配管のひび割れについて
第23回定期検査中の伊方発電所2号機(加圧水型、定格電気出力56万6千キロワット)の原子炉補助建家(管理区域内)において、余熱除去冷却器A出口配管のベント弁の下流側配管にほう酸と思われる付着物が認められたため、液体浸透探傷検査※を実施したところ、8月31日15時頃、同配管の溶接部にひび割れがあることを保修員が確認しました。
配管の付着物を分析した結果、付着物はほう酸であり、配管内のほう酸水が溶接部のひび割れからにじみ出て、乾燥したものと推定しました。
この付着物の放射能量は約7ベクレルで、にじみ出たほう酸水の量は付着物の重量から約10ミリリットルと推定しました。
なお、当該溶接部およびベント弁からの漏えいがないことを確認しています。
今後、当該溶接部のひび割れの原因について詳細調査を実施します。
本事象によるプラントへの影響および環境への放射能の影響はありません。
※液体浸透探傷検査
材料表面に液体を塗布し、目視では確認できないような微細な傷を検出する検査。
(添付資料)伊方発電所2号機 余熱除去系統概略図
四国電力によれば、なんら問題ないようです
1.原発再稼働〜避難計画「どこに向かう 日本の原子力政策」NHK解説スタジアム8/26(文字起こし)
https://youtu.be/pv3pH9e2RpU?t=18m35s
老朽原発 40年ルール
西川:
そこでそのようにコストとか色々問題はあるんですけど、
その延長上には老朽原発の運転延長という問題があると思うんですけど、この形骸化が指摘されているということ。
この辺はどういう見方でしょうか?
竹田:
基本的な数値、データとして考えますとね、
まず国はなんて言っているか?というと、まずエネルギー基本計画というのをちゃんと作っていて、そこで2030年レベルで電源構成として原発に大体20%から22%原発に持ってもらうという計画を立てているんです。
それを実際やってみようとすると、2030年時点って、大体原発って30基程度動いていることが必要なんですよね。
ところが、ところが、その40年ルール廃炉を厳格に適用しますと、多分2030年時点で動けるのは大体25基ぐらいだと言われているんです。
そうすると、その差の5基はどうなるのか?
新しく原発をね、最新鋭で大容量の原発を新しく造ったり、同じ敷地内で造り替える、これをリプレースと言いますけれども、そういうことが、ま、できればいいんですけれども、かなり、今の現状では難しいですよね。
そうするとその部分は、結局全部運転延長。
結局40年を超えても運転延長というのがその部分でてこないといけないということになるんですよね。
板垣:
この40年ルールというのはですね、発表された時点でマスコミ人は、霞が関の文学を知っている、どういう文章を作るかということを知っているマスコミの人たちはですね、「あ、ザル法だ」と思ったわけですよ。
それで一斉に批判したんですよね。
でも「これは厳しい基準だ、20年は延長させません」と「なかなか厳しですよ」と言って切り抜けてきたわけです。
ところが今回、条件をまだクリアしていないのに20年延長を認める方向になってしまった。
そこで結局何が起きたか?というと、
あ、結局あの時指摘したことは正しくて、みんなそれで騙されてしまったんだということなんですよ。
つまりこの40年ルールというのは、本当に当初から、あの、ま、騙すっていうことではないんですが、まやかしが入っていたということだと思いますね。
関口:
ただその、(経済カット?)までいうのは、ぼくはその言い過ぎだなと思っているんですよ。
というのは、高浜の1、2号とか、美浜とか、申請したところはあるけど、一方では5つの原発の6基がね、もう廃炉を決めましたよね。
これはある意味でいうと電力会社が合理的な判断をしつつ、ま、自ら決めていくっていうことですよね。
だからそういう意味からすると、40年ルールというものを国がそのまま押し付けるんだったら、もう「40年経ったら終わりです」って言えばいいだけの話で、少なくとも電力事業者にその判断をさせて、それによって、ま、ある種の選別をしていくという趣旨は生かされている面もある、というふうに思います。
西川:
電源構成から見るとですね、2030年に20%とか22%が原子力というんだけれども、その先やっぱりその、まずその時点で達成されていたとしても、どんどんどんどん老朽した原発は廃炉になっていくわけですよね。
当然足りなくなってくる。
そこのところをどうするかっていうことを。
ちょっと新設という話も出たんですけど、
水野:
だから今政府は原発の割合を維持するために老朽原発を活用しようとしていますけど、
新設やリプレイスをどうするんですか?っていうと、「現状では想定していない」という言い方なんですけれども、「やらない」とも言っていないんですよね。
「想定していない」というだけで。
じゃあ、来年とか再来年になってきたら、そういう話が出てくるのかどうか。
一方考え方によっては、古い原発を一生懸命お金をかけて新しくしたりして使うよりは、最新鋭の設計でもって新しく造ったほうが安全ではないか、という考え方もあるわけなんですよね。
そこら辺をどう考えているのかというのは、よく、ま、見えてこないんですよね。
西川:
そこは、まやかしというか、その前に将来設計の中に見えていない部分があって、そこは議論されていないという。
関口:
それはエネルギーミクスを議論する時からそれはみんながわかっていたことで、議論されていたことだけど、それを封印しちゃったんですから、それはやっぱりリプレイス新増設どうするか?っていう議論は、あの、賛否ありますよ。
もちろん賛否あるけれども議論としては、もう一度立ち上げてやらなければならない。
島田:
そうそう、その立ち上げということでいうとね、結局去年政府が決めた2030年度時点での原子力発電での割合、これが20%から22%。これが決まった金科玉条(きんかぎょくじょう:人が絶対的なよりどころとして守るべき規則や法律のこと)のように言われるけれども、そもそもこの数字自体が、「福島原発事故前の28%よりも低くしたからいいだろ」と、そういうつかみの数字なわけですよね。
だけど、仔細に見ていったら、もっともっとこれは、安倍総理でさえ言っている、原子力の割合を、依存していく割合を減らしていかざるを得ないという、この基本方針にどこまで沿ったものなんだ?と。
これはですね、一回決めたらそのまんまじゃなくて、数年おきにきちっと見直していくと。
そういう話で今関口さんがご指摘になった点について、考え方の整理が進まないですよね。
板垣:
ですからね、経済産業省の中の審議会の中でもメンバーが入れ替えになったんですよ。
それで推進派の人たちが沢山入っちゃったので、それはこういう計画にならざるを得ないわけですよ。
で、実際、新設の原発を今造ろうとすると大変高価なものになりますよ。
安全基準をクリアしなければいけない。
それから資材も上がっている。
そういうことの中で果たして電力会社が「あ、新設できるんだ」と言って、喜び勇んで造るかどうか?
それはわからないと思いますよ。
リスクもありますから。
西川:
ということで、長期的な視野での議論が欠けている、その材料もない、という、そういうところに尽きてくるんだと思います。
ーーつづく
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NHK総合
8月26日(金) 午後11時55分~午前0時49分
出演
司会:西川吉郎解説委員長、小林恵子
島田敏男・板垣信幸・関口博之・竹田忠・水野倫之・髙橋祐介 各解説委員

小林:
生放送でお送りする解説スタジアムです。
今回のテーマは「どこに向かう 日本の原子力政策」です。
西川:
今月愛媛県の伊方原発3号機が再稼動した一方、今日、鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事が川内原発の一時停止と再点検を要請するなど、再稼動をめぐっては様々な動きが出ています。
一方原子力政策の柱である、核燃料サイクルの軸、高速増殖炉もんじゅは将来が見通せない状態が続いています。
原子力政策の根幹が改めて問われています。
今夜は、日本の原子力政策をどう考えるのか、解説委員が徹底討論します。
小林:
番組ではみなさんからのご意見を受け付けています。各地で相次ぐ原発再稼動の動き、どう考えますか?
解説スタジアムのホームページからお送りください。
頂いたご意見、この番組の中でご紹介したいと思います。
解説スタジアム ご意見ご感想

西川:
はい、それでは始めていきましょう。
今夜はこちらにいる5人、そしてむこうの一人と、合わせて5人の解説委員で進めてまいります。
最初の大きなテーマとしては、やはり各地で相次ぐ原発再稼動の動きについて考えていきたいと思います。
まずその現状について、水野委員から解説してもらいます。

水野:
審査に合格した原発の再稼動を進めるという政府の方針のもと再稼動の動きが相次いでいます。
まず規制委員の審査に合格した原発ですけれども26基ありまして、そのうち7基がこれまで審査に合格しました。
そして川内、高浜、伊方合わせて5基が再稼動しています。

しかし、このうち高浜3、4号機は裁判所が運転停止を命じる仮処分を下したことから運転ができなくなりまして、現状運転中は伊方と川内の合わせて3基にとどまっていまして、ま、必ずしも政府の思惑通り再稼動が進んでいるというわけではありません。
しかも川内原発につきましては、今日、鹿児島県の三反園知事が熊本地震や避難計画への不安があるとして、一時停止するよう九州電力に申し入れをしています。
知事に停止の権限があるわけではありませんけれども、原発の運転には地元の理解、これが不可欠ですので、今後運転に影響が出るという可能性もあります。
そしてもう一点、最近注目すべき出来事がありました。
運転開始から40年以上の老朽原発の合格です。
高浜原発1、2号機が20年の運転延長、これが認められました。

福島で事故を起こしたのはいずれも古い炉でしたので、事故後に「原発の運転期間を一律40年に制限する」というルールができました。
そして一度だけ延長を認めるという例外も設けられたんですが、当時、政府も規制委員も、この延長というのは相当困難だというふうに説明をしていました。
しかし今回規制委員は電力会社が行うべき試験を先送りするということを容認する形でこの運転を認めました。
早くもその例外を認めたわけなんですが、例外がだんだん当たり前となりつつあるというわけで、この40年ルールは形骸化しているという指摘もあります。
西川:
はい、ありがとうございました。
討論に移っていくんですけれども、一人発言は原則1分で、それを超えますと前のランプが赤く点灯します。
今の解説は、去年の夏以降に実際に再稼動が始まったこと、さらに老朽原発の運転延長が認められたということで、まず再稼働の方から見ていきたいんですけど、「政府の思惑通りには進んでいない」という説明があったんですけど、この辺の展望はどうでしょうか?

関口(経済・エネルギー担当):
実はね、この原発の再稼働って、政府自身は個別には判断していないんですよね。
それを委ねているのは原子力規制委員会。
だから主力は規制委員ということになるんですけど、
規制委員の審査は慎重に時間をかけて行われています。
当初は1基半年ぐらいで結論を出すんじゃないか、というふうに言われていたんですけれども、結局今の説明にもあったように3年経って、新規性基準になってから3年経って、まだ伊方3号機で5基目ですからね、にとどまっていると。
ただ、第一関門になるのは想定する地震の大きさで決めることなんですけど、それはだんだん8箇所の原発ですでに決まってきましたので徐々にペースが上がっていると。
ただもう一つの主役が出てきているのが、司法がこの原発の再稼動を判断するようになってきたという問題がありますね。
で、結局高浜の3、4号機の差し止めが代表的な例ですけれども、専門家が積み重ねた議論を、例えば裁判の仮処分決定という形で覆るということもできると。
これでいいのか?という議論も一方で起きている。
何れにしても再稼働の先行きが、かならずしも見通せるという状況にはなっていないことですねぇ。

島田(政治・安全保障担当):
今、司法の判断の話が出ましたよね。
これは時代背景の大きな変化の現れですよ。
30年前でしたら、裁判官が常識的な判断というのはそれは「運転を認める」とイコールなんですね。
しかし福島第一原発、あの事故の後、「常識的な判断」と。
常識的な判断というときにはものすごく幅が広くなった。
これがやはり置かれている環境の大きな変化ですよね。
で、国民もまたそれを支持している面がある。
もちろん電力会社の人たちの中には「一裁判官の判断で右や左に行っていいのか」と強い批判はありますけれども、その後ろに国民の厳しい射目があると、そういう、やっぱり、リスク。コストというものを背負わなければ、原子力発電っていうのはもう、立ちいかないところに来ている。
これは現実の問題として受け止めなければいけないと思うんですね。
西川:
そういう意味では、再稼働そのものが問題になっているということですよね。

板垣(財政・金融・エネルギー担当):
そうですよね、
先ほどね、関口さんの方から「規制委員会は慎重に審査をしている」というんですが、「審査は慎重であっても基準が甘い」というところが私は問題点だと思うんですね。
例えばアメリカの基準の中には「避難計画」はちゃんと入っています。
で、日本は「避難計画」は自治体に丸投げ。
「こんな甘い基準はない」と私は考えているわけですね。
ですからこういう形での安易な再稼働は、僕は認めたくないと思っています。
それから、再生可能エネルギーだとか、水素エネルギーを使った代替エネルギーがもう最近はだいぶ出てきています。
より安全なエネルギーを目指すというのは先進国の役割だと思うんですよね。
ですから、アメリカなんかを見ると、基準はテロ対策は相当厳しいし、地震の多い西海岸には努めて設置しないようにしている。
それから日本を見れば、地震・津波・火山の原発リスク3原則、三大要点と私はいうんですけれども、それが揃っている日本が、やっぱり原発に多くを依存するには問題だと思うわけですね。

高橋(国際・アメリカ担当):
アメリカが出ましたけれども、そのアメリカの原子力行政に対する考え方っていうのは、事故のリスクはゼロにはできない。
そうである以上「一度事故が起きた場合にいかに最小限に食い止めることができるか」というリスク管理が基本です。
リスク管理のためには、社会としてどこまでのリスクだったら受け入れることができるのか?という、コンセンサス作りが欠かせません。
日本の場合はこのコンセンサス作りがまだ出来ていないんだと思いますし、その前提となる国や電力会社による情報公開の徹底というところに我々は課題があるというふうに思います。

竹田(経済担当):
そこにちょっと関連して言いますと、なぜこの司法の判断が重要になってくるか?またするかということの一つの原因は、私は原子力規制委員会にあるとおもいますよ。
原子力規制委員会の田中委員長、会見の度になんて言っているかというと、
「安全性を保証するものではない」明確に何度も言うんですよ。
規制委員会がやっているのは「基準に適合したかどうかを審査しているので、安全性を保証するものではない」と何度も言っているわけですね。
じゃあ、地元住民はどうすればいいんですか?
要するに電力会社は、そこでどんどん再稼動の動きを進める。
規制委員会が、安全性をきちんと審査してそれにお墨付きを与えたと思ったら、規制委員会は「安全性は保証しません」と言う。
そうすると地元住民は、「じゃあ、それは裁判所に判断してもらうしかないじゃないか」と、こうなるわけですよね。
ですから、やはり基本的に規制委員会として、
少なくとも現在の知見ではこれは、規制委員会としてはこのレベルを超えたものは安全だと、そう認定するんだという態度はきちっと出して欲しいと思いんですよね。
水野(原子力担当):
だからね、日本ももうアメリカのように「事故は起こり得るんだ」という立場にはなったんですよ。
じゃあ、何が重要なのか?と言ったら、
どれだけ原発を頑丈に造っても起こり得るんだったら、いざという時の避難ですよね。
それでいいますと、過去の福島の事故もそうですし、この間熊本地震がありましたけれども、ああいった教訓が果たして生かしきれているのかどうか?というところが僕は非常に疑問に思っていまして、
特に先日の熊本地震、あれで問題になったは、避難先の体育館でさえ、耐震性のある建物でさえ、壁とかが壊れるんですね。
で、日本は原発避難の時に、すぐに避難するというのもありますけれども、しばらくは屋内にとどまる「屋内退避」というのも考えられているんですけれども、
じゃあ、ああいう熊本みたいな揺れが起きた場合に、果たして体育館のようなみんなが集まる場所、あれが屋内退避施設として果たして通用するのかどうか?と。
そこらへんのちゃんとした議論が行われないまま、再稼動が進んでいっているという状況は如何なものかと。
島田:
いや、それに関して言うとね、原子力規制委員会にそもそもその避難の問題を審査する権限を与えていない。
この政治の意思決定、そこが不足しているところですよね。
水野:
全くそうです。
で、規制委員が審査しようというと、「いや、我々の仕事じゃありません。法律の枠組み上そうなっていない」と言うんですね。
だったらその法律を変えればいいんですけど、その枠組みを変えようという動きが政府からもそれから規制からも、どこからも起こらないと。
それは度々我々も含めて言ってるんですけど、なかなかこの動きが起こらない。
島田:そうだよね。
板垣:
たとえばね、規制委員会は「基準に合っているかどうかだけの権限を私たちは持っている」
「完全に安全とは言えない」
ところがこれまで政府は、なかなか自分たちが仕切るとは言わなかったけど、「政府として責任を取る」という言葉を吐いたことがあるんです。
だけれどもですね、責任ってどうやってとるんでしょう?
今の福島の第一原発の惨状を見ていて、お金を渡せば責任を取ったことになるのか?ならないわけですよ。
災害関連死の方もたくさんいるわけですから、そういうことが起きたら「責任が取れないのに、責任を取る」と公言することこそ問題なのであって、むしろそういうことじゃなくて、きちっと現状を説明して、こうなったらこうしますという説明をしないからいけないんだと思いますね。
竹田:
だからね、やっぱり、話を峻別しなければいけないんですよ。
ハードな安全性をきちっと認定するということと、
もし、それでも事故が起きたら、どこまでそのリスクを最小化するのか。
そのための避難計画も含めて、手立てがどれだけ防災計画としてきちっと政治に対しているか、この両方を審査しないといけない。
その原子力規制委員会は今、ハードの部分、のみが審査の対象になっていて、いざ起きた場合の防災の部分の審査というのは、それは権限がないわけですよ。
政府もそれを与えていない。
だからそこをきちっと問題を峻別して、議論すべきだと思います。
それは誰が責任を持つのか。
関口:
やっぱり、規制委員会の仕事はリスクを最小化することにあるのと同時に、継続的に安全を監視していくことっていうことが大事。
その意味でいうと、実は一回、最初の再稼働の審査の厳格かどうかという問題ではなくて、その後に渡ってもずーっとね、
それは避難計画の、常に見直しも含めて、僕も必要だと思いますけど、
それは電力会社と規制委員会が共同してというか、ある意味強調した関係の中で作っていかなければいけないものだから、
という意味で、「規制委員は電力会社に絶えず継続的に安全性を高めていく努力をさせる」という責任も負わなければいけないと思いますね。
竹田:それはやっぱり権限を持たせなきゃダメですよね、規制委員会に、そういう。
島田:
まさにそれは国会で議論しなければいけないテーマなのに、なかなか大きな議論のテーマになっていない。
ここに問題があるんですね。
竹田:
そこはやっぱり政府の中で、そこはきちっと判断をすべきだと思いますよ。
ここから先は役所に任せる。
ここから先はここに任せるって、ちゃんと腑分けをね、きちっとそれぞれのところに責任を持たせないといけない。
水野:
今日は鹿児島県の三反園知事が九州電力に原発の一時停止を要請したわけなんですけど、
あれも三反園知事は当初から原発停止といっていたわけではなくて、原発に依存しない社会を目指すんだという程度だったんですが、やはりあの熊本地震を経験して、あれでやっぱり県民の不安が高まっていると。
やっぱり不安があるんであれば、知事として言うべきだということなんですけれども。
で、先週ですか、避難路とか色々と見に行ったら、やっぱりこれはちょっとどうなの?っていうような話になりまして、
鹿児島の場合は、特に病院ですとか、それから福祉施設ですね。
10km圏内はあらかじめ避難所を決めているんですけど、10kmから30kmについては「事故が起きてから避難先を決める」っていうんですよ。
でもそんな、事故が起きて混乱してどうやってやるか?というと、県庁の職員が電話して「そちらの病院で引き受けてくれますか?」なんですが、その電話がつながるかどうかもわからないし、そういうやっぱり避難の問題もあるので、この際ですね、本当に九州電力が要請に応じるかどうかはわかりませんが、そういった避難の問題とかを三反園知事がわかったのであれば、それは徹底的にちょっと検証して、直すべきところはやっぱり直して欲しいですね。
関口:
避難についてはね、これは水野さんがいつも言っているけど、その計画だけじゃなくてやっぱり実施訓練をしてどこに問題点があるかということをやっていかなきゃいけない。
それが当然、電力会社の協力も得て、それから自治体も含めてみんなでやらなければいけないわけですから、
そういう意味でいうと、すべての関係者が加わってやらなければいけないことだと思っています。
竹田:
一応国としてはね、原子力防災会議という仕組みがあって、そこで防災訓練なんかも自治体と一緒にね、みて、訓練も共同でやったり、というようなことはやってはいるんです。
でもそれはあくまでも、念のためそういう訓練をやっておこうねということで、やっぱりその計画、訓練の内容そのものが本当に原発を動かす、その審査の条件に、法的なきちっと条件になっているのかどうかで、全然力の入れようが変わってきますから、それは私はもっともっと、ここはきちっと原発を動かす時の審査基準っていうか、それを要件に法的に入れるということが私は必要になってくると思いますよ。
板垣:
いや、それとね、避難計画を作らないと原発も動かせずに、そうしなきゃ電気も。
つまり電気を取るために大掛かりな避難計画を作るこの煩わしさ。
「もっと別の電源があるんじゃないか」っていう議論が当然あったんですよ。
それを全くスルーして、原発再稼働っていうことにしたので、いろんな歪みが今出ているわけですよ。
例えばね、なぜ今原発を再稼働するか?というと、それは原発は今再稼働したら非常に安く電気が作れます。
それはなぜか?というとですね、それは裏側にあるコストが入っていないから。
償却は終わっているから、動かせば儲かるに決まっているので、ただそのコストを注目しなければいけないと、私なんかは思うわけです。
例えば原発はこの60年間で、国家予算で15兆円つぎ込んでいるんですよ。
でも60年ですから貨幣価値が違いますので、現在価格で言えば45兆円、3倍すれば45兆円ぐらいかかってると。
それから今、事故の対応で9兆円お金を使っている。
こういうことですと、コストが一体安いっていうのは、「いや安くはないんだ」ということにならざるを得ないわけですよ。
島田:
そのコストで言うとね、電力会社の立場で見ますと、すっぱり原子力発電所という巨大な投資をした資産、それを使わないということはつまり、会社の経営を左前にしてしまうという、そこに直結してしまうんですね。
だからコストということで言えばあるものは使わなければいけない。
そこにどうしても発想がいくわけですけれども、今板垣さんが御指摘の点については、その計算の外に置いていると。
それでいいのか!?と。
板垣:
つまり、裏負担を国民は知らないうちにずーっとやってきたし、いま対応で9兆円の枠が出てます。
それを使ったら、それは電気料金で取るんですよ。
つまりこれから原発の問題の料金が上がってくる。原発要因として。
だからいま再生可能エネルギーで料金が上がっているなんていう理屈も一方でありますけど、原発で上がってくる部分も相当多いということをやっぱり知っておく必要があると思いますね。
竹田:
請求は一つですから、やっぱり国民は電気料金という名目でお金を出すのか、税金という名目でお金を出すのか、要するにそれは同じ負担だよという、そういう
板垣:
そういうことですね。
だからコスト面でも原発の問題はよく考えなきゃいけない。
それから稼働基準についてもよく考えなきゃいけない。
竹田さんがおっしゃったように、避難計画はドンとその基準の中に入れなきゃいけないんですよ。
アメリカの規制当局に話を聞いてごらんなさい。
「日本で、えっ!?、避難計画って入ってなかったの?」と疑問を呈する人もいるんですよ。
ですからもともと左様にゆるい基準だと。
ーーつづく
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