原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR(Alternative Dispute Resolution))打ち切り
本日(2017年7月21日)の13時ごろということになりますが、原子力賠償紛争解決センターの方から調査官を通じて電話がございまして、本件、本申立てについては和解案を提示することができない。
本申立てについては和解案を提示することはできないとして手続きを打ち切る旨の連絡がありました。
今回この集団申立て人になっていらっしゃる方々は栃木県の那須町、そして那須塩原市、大田原市、3市。
これを那須地区と呼んでおりますけれども、この那須地区の住民の方々が申立人になっております。
それで「なぜ和解案を提示することができないのか?」というところなんですけれども、ポイントとしては、センターの方では「自主的避難等対象区域と比しても空間放射線量が低いとは言えない地点が点在しているということは認められる」というふうなことは書きつつも、「そのような場所では個別具体的な事情により日常生活に一定程度の阻害が生じていた可能性を否定することはできない」というふうに書いているわけです。
要するに那須地区に放射能汚染と被害があることを事実上認めているというふうに評価できると思います、
しかしながら、「本件については」ということで「申立人等全員、あるいは申立人等のうちの子供及び妊婦全員に一律の金銭賠償を求めるべき共通もしくは類似の損害の存在を認めることは困難である。だから、和解案を提示することはできない」というふうな形で打ち切られているということになります。
今回、センターは被害の存在というものを那須地区に実質的に認めながら、その後被害者を救済する努力を怠った。
それが私としては大きな問題かなというふうに考えてございます。

栃木県北ADRを考える会:
こんなふうに栃木県にこれだけ広域に、これは地表に1平方メートルあたりのセシウム134と137の降下物の推定値。
航空機モニタリングによる推定値なんですが、こういう面的な広がりを持っているということを全然、認めようとしていない。
しかも人間は社会的生き物であって、動き回るわけですよね。
さらに食品はこの中で流通するわけです。
だから自分の住んでいるところが、たまたまちょっとずれた所にいるからといって、被害を全く受けないわけではないわけです。
実に累計的に被害を受けているということを認めようとしなかったということを非常に残念に思っております。
いかにこの国が原発事故の被害というのは福島県に閉じ込めたいのかというこのの表れだというふうに感じて、非常に憤りを覚えております、以上です。
2017/07/21
詳細はこちら 福島県外の原発被害仲介打ち切り〜ADRで異例決定
栃木県北原発被災者弁護団