西谷文和の路上のラジオ
※この番組は、2022年3月5日(チェルノブイリ原発電源喪失前)に収録しました。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う大きなリスクの一つに核の問題があります。
チェルノブイリ原発は真っ先にロシア軍の統制化になり、ザポリージャ原発がロシア軍の攻撃を受けた模様です。
原子力発電と核保有・核戦争との関係について、私たちは今無知でいる訳にはいきません。
「チェルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」と題して小出先生のお話をお聞きしたい。
チェルノブイリ原発・ザポリージャ原発の現状
西谷:
3月4日、ロシア軍がヨーロッパ最大級のザポリージャ原発を爆撃したもようです。
現地では火災が発生して、今は鎮火しているという情報も入っているんですけれども、放射能は今どうなっているんでしょうか?
小出:
IAEAの一番新しい報道によると、「放射能の放出は無い」ということになっています。
ミサイルを撃ち込まれたようなんですけれど、撃ち込まれた場所は原子力建屋とかというエリアではなくて、いわゆる訓練施設があった場所で、「そこの建物が燃えた」ということだとIAEAは言っていますし、「原子炉そのものには影響はない」ということに今はなっています。
西谷:
それを聞いてちょっとホッとするんですけれども、ズバリ聞きますが、ロシア軍ガ今支配下に置いているということのようなんですけれども、原発作業員の方がおられますよね?この方々がもしおられなくなると、誰も作業する人がいなくなりますよね?
小出:
原発を安全に維持しようと思うと、実際にその現場で関わっていた作業員以外には多分できないと思います。
ですからウクライナでザポリージャ原発を維持すしてきた労働者たちがそのままそこに留まって作業してくれない限りは、原発が危険な方向に行ってしまうと思いますが、IAEAが言っていることによると「確かにロシアに占拠はされたけれども、元々その発電所にいた作業員が運転に当たっている」と、そういう情報になっています。
西谷:
例えばロシア軍が「俺たちがやる」なんていうことは絶対に無理なんですね?
小出:
元々これはロシアが造った原子炉なんです。VVERというロシア型の加圧水型炉という原子炉で、元々ロシアが設計図を書いて造った原発ですから、もちろん基本的なことを知っている技術者はたくさんいると思いますけれども、でも、それぞれの発電所の現場というのは、それぞれ個性がありますので、きちっと運転に当たっていた人がやらなければ危険な状況になると思います。
ただ、ザポリージェ原発で動いているのは4号機という原発1基だけで、それも60%の出力で動かしているということですので、私としてはできればもう、停止してほしいと思っています。
ただ、ウクライナの電力の20%はザポリージャ原発から供給していたということですから、簡単に停止してしまうと今度はウクライナのライフラインが奪われてしまいますので、なんとか安全に動かしていてほしいと、私自身は思っています。
ただロシアがこの原発を占領したということは、ウクライナのライフラインを締め上げるというそういう意味かもしれませんし、そうなれば早期に停止させられてしまうだろうと思います。
そうしていただければ、むしろ私としては原発の安全という意味では有り難いことだと思いますけれども、ウクライナの人々は電力にこまるだろうなと思います。
西谷:
目的ですよね、ロシア軍はチェルノブイリも占拠したし、今回この原発も狙った。
これは何の目的?やっぱりライフラインの締め上げですか?
小出:
チェルノブイリ原発はロシアがウクライナに攻め込んだその日のうちにもう占拠されています。
チェルノブイリ原発には4基の原発があったのですが、すでに2000年には全部運転停止をしてしまっていて、要するに価値の無いと言いますか、核のゴミはありますけれども、そこを占拠することでロシアへのメリットは無いと私は思います。
なぜやったかといえば、ウクライナからキエフに侵攻するときの通り道なんです。
進軍するにあたってそこを通るしかない状態でしかなかったと、チェルノブイリについては思います。
ザポリージャを占拠した理由というのは、ウクライナとロシアは今戦争している訳ですし、敵国のインフラを破壊するということは、、軍事的な常道だと私は思いますので、そうなんだろうと思っていました。
西谷:
ベラルーシからキエフに攻めていくときにチェルノブイリが通り道だからそこを占拠したけれども、ザポリージャの場合はウクライナの人たちの生活をまずは破壊しないとウクライナは降参しないので、ということなんですね。
小出:
多分私はそうだろうと思ってきましたし、そう思っていますが、どうもまだ4号機の運転が続いているようですので、んー、どういう思惑なのかな?と、今首を捻っているところです。
なぜ再稼働
西谷:
ウクライナも日本と同様のチェルノブイリ事故がありましたよね。
しかし、15基の原発を持っているということは再稼働をさせている訳ですよね。
これはなんでこんなことになったんでしょう?
小出:
西谷さんも今おっしゃってくださったけれども、ウクライナという国、まだソ連という国があった頃ですけれども、ウクライナ国内にあったチェルノブイリ原子力発電所は事故を起こしました。
大量の被曝をして、汚染地帯が広大にできたわけですけれども、それでもウクライナは「原発を動かし続ける」という、そういう選択をしたのです。
それは、日本が福島事故を起こしながらなおかつ原発にしがみ続けるという構図とよく似ているなと私は思いますし、原子力産業、原子力マフィアと私は呼んでいますけれども、そういう人たちが根深く残っているんだろうと思います。
西谷:
やはりウクライナにも巨大な利権があって、そこにマフィア達が群がっているということですか?
小出:
はい、多分そうだろうと思います。
ウクライナの研究者方
西谷:
ちょっと話は変わりますけど、3・11からもうすぐ11年なんですけれども、小出先生達は3・11の日、ちょうどその日にウクライナから研究者を呼んで学習会をされようとしていたと聞いております。
ということは、ウクライナの研究者さん達と交流があると思うんですが、その研究者さん達は今、ご無事なんですか?
小出:
ウクライナの研究者、あるいはベラルーシの研究者とは、私の同僚の今中さんがずっと親密にコンタクトを続けてきてくれました。
今回のウクライナへのロシアの武力攻撃というものがあったときに、今中さんがすぐにウクライナの二人の、特に親密に連絡を取ってきた研究者がいるのですが、その二人に連絡を取ったところ、一人とはすぐに連絡が取れたと。
キエフにいるけれども、爆発音は聞こえるけれども、まだ連絡が取れるというそういう状態だったようです。
もう一人の人は、ウクライナの役人というような専門家ですけれども、役人に近い人で、その人とは連絡が取れていない、ということでした。
彼はウクライナ人として、ロシアに対してかなり敵視を昔から持っていた人で、「ロシアが攻めてきたらこうするんだ」というようなことを私自身も聞いたことがありますし、ひょっとすると危険な場所にいるのではないかと心配しています。
西谷:
そういう政府系の方だと、もしかしたらロシア軍が狙っている可能性もありますよね。
小出:
ありますね。今現在のところだとまだキエフまでロシア軍は到達していないようですから、無事でいてほしいと思いますけれども、危険な立場だと思います。
核の共有
西谷:
そういう緊迫した状況なんですけれども、本当に許せないのはプーチンが核攻撃を示唆したり、「ロシアは核を持っているぞ」と脅かしたりしている訳ですよね。
これをきっかけに「日本も核を共有するべきだ」と、安倍晋三という人とか橋下徹という人が言い出しているんですけど、これ、先生はどう思われますか?この議論について。
小出:
呆れた人たちだなぁと思います。
戦争をやれば、いわゆる庶民が本当に苦しみを味わなければならないわけで、一番大切なことは「戦争そのものをやめさせる」ということだと思います。
プーチンさんもずいぶん悪いことをしているなと私は思いますし、ロシアにはウクライナへの武力攻撃ということは許すべからざる犯罪だと私は思います。
ただし、だからとはいって反撃するための武力が必要であるとか、こっちも核攻撃の準備をしようだとか、そんなことを言ったらどんどんエスカレートしていってしまう訳です。
今回のロシアの愚かな攻撃を受けて私たちが本当にやらなければいけないことは、「どうすれば戦争そのものを廃絶できるか?」ということですし、本当であれば国家が軍隊を持つということ、そのことを廃止しなければいけないということなのだと私は思います。
西谷:
せっかく日本は憲法9条という、平和国家を宣言しているのですから、本来こんなことを言う政治家を当選させたらダメですよね。
小出:
日本国憲法というのは先の苦い戦争の経験を踏まえて「国家として軍隊は持たない」と「戦争はしない」という建前で書かれたわけで、私はその憲法の精神は素晴らしいと思うし、そうしなければいけないのだと思います。
でも、この日本という国はずっと、またなんとか大きな軍隊を持ちたいと思い続けてきたし、安倍さんなんかはその筆頭で核兵器を持ちたいと思ってきたわけで、その人たちを排除できるような力を民衆が持たなければいけないのだと思います。
福島原発事から11年経って
西谷:
そんな安倍さんが原発をすすめてきて、政権を8年近く持ったわけですけれども、福島事故から11年、そして今ウクライナの原発が危ないという状況になっています。
先生から見てこの11年間はどう見えますか?
小出:
ウクライナというところで今戦争が起きているわけですけれども、私はウクライナがチェルノブイリ原発事故の教訓をきちっと汲み取ることができなかったから今こういう危機になっているというふうに見えますし、日本という国も福島事故を起こしながら、人々を汚染地に捨てて、被曝させながら、原子力緊急事態宣言なるものを11年経っても解除できないという状態を続けているわけですね。
あまりにも愚かな国だなと思いますし、人間自身が愚かなのかな、目先の自分の利益だけしか見えないのかな、と、いささか悲しく思ってしまいます。
西谷:
そういう人もいる中で、すぐにロシア大使館でデモしたり、地域で戦争反対の声を上げている人もおられますので、そう捨てたもんでも無いな、と思うところもありますよね。
小出:
はい、ありがたいことだと思います。
私も3月3日には毎月3日恒例のスタンディングというのを松本の駅前でやっていますけれども、それにも今回35人ぐらいの方々が自主的に集まってきてくださって、それぞれの方がウクライナへの進行に抗議するプラカードを持っていたり、私自身は「原発即刻全廃・戦争一切禁止」とポスターに書いて立ちましたけれども、それぞれの人が自分の意思を発信しに一緒に立ってくれるという状況もありますのでありがたいことだと思いますし、希望はやはり捨てないでいこうと思います。
西谷:
小出さんありがとうございました。
※この番組は、2022年3月5日(チェルノブイリ原発電源喪失前)に収録しました。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う大きなリスクの一つに核の問題があります。
チェルノブイリ原発は真っ先にロシア軍の統制化になり、ザポリージャ原発がロシア軍の攻撃を受けた模様です。
原子力発電と核保有・核戦争との関係について、私たちは今無知でいる訳にはいきません。
「チェルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」と題して小出先生のお話をお聞きしたい。
チェルノブイリ原発・ザポリージャ原発の現状
西谷:
3月4日、ロシア軍がヨーロッパ最大級のザポリージャ原発を爆撃したもようです。
現地では火災が発生して、今は鎮火しているという情報も入っているんですけれども、放射能は今どうなっているんでしょうか?
小出:
IAEAの一番新しい報道によると、「放射能の放出は無い」ということになっています。
ミサイルを撃ち込まれたようなんですけれど、撃ち込まれた場所は原子力建屋とかというエリアではなくて、いわゆる訓練施設があった場所で、「そこの建物が燃えた」ということだとIAEAは言っていますし、「原子炉そのものには影響はない」ということに今はなっています。
西谷:
それを聞いてちょっとホッとするんですけれども、ズバリ聞きますが、ロシア軍ガ今支配下に置いているということのようなんですけれども、原発作業員の方がおられますよね?この方々がもしおられなくなると、誰も作業する人がいなくなりますよね?
小出:
原発を安全に維持しようと思うと、実際にその現場で関わっていた作業員以外には多分できないと思います。
ですからウクライナでザポリージャ原発を維持すしてきた労働者たちがそのままそこに留まって作業してくれない限りは、原発が危険な方向に行ってしまうと思いますが、IAEAが言っていることによると「確かにロシアに占拠はされたけれども、元々その発電所にいた作業員が運転に当たっている」と、そういう情報になっています。
西谷:
例えばロシア軍が「俺たちがやる」なんていうことは絶対に無理なんですね?
小出:
元々これはロシアが造った原子炉なんです。VVERというロシア型の加圧水型炉という原子炉で、元々ロシアが設計図を書いて造った原発ですから、もちろん基本的なことを知っている技術者はたくさんいると思いますけれども、でも、それぞれの発電所の現場というのは、それぞれ個性がありますので、きちっと運転に当たっていた人がやらなければ危険な状況になると思います。
ただ、ザポリージェ原発で動いているのは4号機という原発1基だけで、それも60%の出力で動かしているということですので、私としてはできればもう、停止してほしいと思っています。
ただ、ウクライナの電力の20%はザポリージャ原発から供給していたということですから、簡単に停止してしまうと今度はウクライナのライフラインが奪われてしまいますので、なんとか安全に動かしていてほしいと、私自身は思っています。
ただロシアがこの原発を占領したということは、ウクライナのライフラインを締め上げるというそういう意味かもしれませんし、そうなれば早期に停止させられてしまうだろうと思います。
そうしていただければ、むしろ私としては原発の安全という意味では有り難いことだと思いますけれども、ウクライナの人々は電力にこまるだろうなと思います。
西谷:
目的ですよね、ロシア軍はチェルノブイリも占拠したし、今回この原発も狙った。
これは何の目的?やっぱりライフラインの締め上げですか?
小出:
チェルノブイリ原発はロシアがウクライナに攻め込んだその日のうちにもう占拠されています。
チェルノブイリ原発には4基の原発があったのですが、すでに2000年には全部運転停止をしてしまっていて、要するに価値の無いと言いますか、核のゴミはありますけれども、そこを占拠することでロシアへのメリットは無いと私は思います。
なぜやったかといえば、ウクライナからキエフに侵攻するときの通り道なんです。
進軍するにあたってそこを通るしかない状態でしかなかったと、チェルノブイリについては思います。
ザポリージャを占拠した理由というのは、ウクライナとロシアは今戦争している訳ですし、敵国のインフラを破壊するということは、、軍事的な常道だと私は思いますので、そうなんだろうと思っていました。
西谷:
ベラルーシからキエフに攻めていくときにチェルノブイリが通り道だからそこを占拠したけれども、ザポリージャの場合はウクライナの人たちの生活をまずは破壊しないとウクライナは降参しないので、ということなんですね。
小出:
多分私はそうだろうと思ってきましたし、そう思っていますが、どうもまだ4号機の運転が続いているようですので、んー、どういう思惑なのかな?と、今首を捻っているところです。
なぜ再稼働
西谷:
ウクライナも日本と同様のチェルノブイリ事故がありましたよね。
しかし、15基の原発を持っているということは再稼働をさせている訳ですよね。
これはなんでこんなことになったんでしょう?
小出:
西谷さんも今おっしゃってくださったけれども、ウクライナという国、まだソ連という国があった頃ですけれども、ウクライナ国内にあったチェルノブイリ原子力発電所は事故を起こしました。
大量の被曝をして、汚染地帯が広大にできたわけですけれども、それでもウクライナは「原発を動かし続ける」という、そういう選択をしたのです。
それは、日本が福島事故を起こしながらなおかつ原発にしがみ続けるという構図とよく似ているなと私は思いますし、原子力産業、原子力マフィアと私は呼んでいますけれども、そういう人たちが根深く残っているんだろうと思います。
西谷:
やはりウクライナにも巨大な利権があって、そこにマフィア達が群がっているということですか?
小出:
はい、多分そうだろうと思います。
ウクライナの研究者方
西谷:
ちょっと話は変わりますけど、3・11からもうすぐ11年なんですけれども、小出先生達は3・11の日、ちょうどその日にウクライナから研究者を呼んで学習会をされようとしていたと聞いております。
ということは、ウクライナの研究者さん達と交流があると思うんですが、その研究者さん達は今、ご無事なんですか?
小出:
ウクライナの研究者、あるいはベラルーシの研究者とは、私の同僚の今中さんがずっと親密にコンタクトを続けてきてくれました。
今回のウクライナへのロシアの武力攻撃というものがあったときに、今中さんがすぐにウクライナの二人の、特に親密に連絡を取ってきた研究者がいるのですが、その二人に連絡を取ったところ、一人とはすぐに連絡が取れたと。
キエフにいるけれども、爆発音は聞こえるけれども、まだ連絡が取れるというそういう状態だったようです。
もう一人の人は、ウクライナの役人というような専門家ですけれども、役人に近い人で、その人とは連絡が取れていない、ということでした。
彼はウクライナ人として、ロシアに対してかなり敵視を昔から持っていた人で、「ロシアが攻めてきたらこうするんだ」というようなことを私自身も聞いたことがありますし、ひょっとすると危険な場所にいるのではないかと心配しています。
西谷:
そういう政府系の方だと、もしかしたらロシア軍が狙っている可能性もありますよね。
小出:
ありますね。今現在のところだとまだキエフまでロシア軍は到達していないようですから、無事でいてほしいと思いますけれども、危険な立場だと思います。
核の共有
西谷:
そういう緊迫した状況なんですけれども、本当に許せないのはプーチンが核攻撃を示唆したり、「ロシアは核を持っているぞ」と脅かしたりしている訳ですよね。
これをきっかけに「日本も核を共有するべきだ」と、安倍晋三という人とか橋下徹という人が言い出しているんですけど、これ、先生はどう思われますか?この議論について。
小出:
呆れた人たちだなぁと思います。
戦争をやれば、いわゆる庶民が本当に苦しみを味わなければならないわけで、一番大切なことは「戦争そのものをやめさせる」ということだと思います。
プーチンさんもずいぶん悪いことをしているなと私は思いますし、ロシアにはウクライナへの武力攻撃ということは許すべからざる犯罪だと私は思います。
ただし、だからとはいって反撃するための武力が必要であるとか、こっちも核攻撃の準備をしようだとか、そんなことを言ったらどんどんエスカレートしていってしまう訳です。
今回のロシアの愚かな攻撃を受けて私たちが本当にやらなければいけないことは、「どうすれば戦争そのものを廃絶できるか?」ということですし、本当であれば国家が軍隊を持つということ、そのことを廃止しなければいけないということなのだと私は思います。
西谷:
せっかく日本は憲法9条という、平和国家を宣言しているのですから、本来こんなことを言う政治家を当選させたらダメですよね。
小出:
日本国憲法というのは先の苦い戦争の経験を踏まえて「国家として軍隊は持たない」と「戦争はしない」という建前で書かれたわけで、私はその憲法の精神は素晴らしいと思うし、そうしなければいけないのだと思います。
でも、この日本という国はずっと、またなんとか大きな軍隊を持ちたいと思い続けてきたし、安倍さんなんかはその筆頭で核兵器を持ちたいと思ってきたわけで、その人たちを排除できるような力を民衆が持たなければいけないのだと思います。
福島原発事から11年経って
西谷:
そんな安倍さんが原発をすすめてきて、政権を8年近く持ったわけですけれども、福島事故から11年、そして今ウクライナの原発が危ないという状況になっています。
先生から見てこの11年間はどう見えますか?
小出:
ウクライナというところで今戦争が起きているわけですけれども、私はウクライナがチェルノブイリ原発事故の教訓をきちっと汲み取ることができなかったから今こういう危機になっているというふうに見えますし、日本という国も福島事故を起こしながら、人々を汚染地に捨てて、被曝させながら、原子力緊急事態宣言なるものを11年経っても解除できないという状態を続けているわけですね。
あまりにも愚かな国だなと思いますし、人間自身が愚かなのかな、目先の自分の利益だけしか見えないのかな、と、いささか悲しく思ってしまいます。
西谷:
そういう人もいる中で、すぐにロシア大使館でデモしたり、地域で戦争反対の声を上げている人もおられますので、そう捨てたもんでも無いな、と思うところもありますよね。
小出:
はい、ありがたいことだと思います。
私も3月3日には毎月3日恒例のスタンディングというのを松本の駅前でやっていますけれども、それにも今回35人ぐらいの方々が自主的に集まってきてくださって、それぞれの方がウクライナへの進行に抗議するプラカードを持っていたり、私自身は「原発即刻全廃・戦争一切禁止」とポスターに書いて立ちましたけれども、それぞれの人が自分の意思を発信しに一緒に立ってくれるという状況もありますのでありがたいことだと思いますし、希望はやはり捨てないでいこうと思います。
西谷:
小出さんありがとうございました。