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11.03
Thu
・福島第一原発2号機再臨界?
・日本原子力学会「自画自賛」の声明


11月2日水曜日 
京都大学原子炉実験所小出裕章助教に聞く
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>


東日本大震災:福島2号機、キセノン検出 原子炉内、なお不安定 「冷温停止」黄信号

毎日新聞 2011年11月3日 東京朝刊
 
東京電力福島第1原発2号機で、核分裂の際に生じる放射性キセノンが2回にわたって検出され、
一時的に臨界が生じた可能性が高まった。
原子炉が依然不安定で、政府が目指す冷温停止状態の年内達成方針に黄色信号がともる恐れもある。
【河内敏康、中西拓司】

原発の収束目標を定めた工程表のステップ2では、年内に原子炉の「冷温停止状態」を達成するのが目的だ。
具体的には、原子炉圧力容器底部の温度を100度未満に維持
▽原子炉建屋などから出る放射性物質の放出の抑制・管理--を目指している。

原子炉温度については10月以降、1~3号機で100度未満を達成。
東電は10月28日に原子炉格納容器の空気を吸収・浄化する「格納容器ガス管理システム」を2号機に設置した。
キセノンの検出は、そのさなかに起きた。

検出されたのは、放射性のキセノン133とキセノン135。
半減期はキセノン133が約5日、キセノン135が約9時間といずれも短い。
複数の専門家は「検出が事実なら、ごく最近も小規模な臨界が起きている可能性がある」と分析する。

なぜ臨界が生じうるのか。
核燃料に含まれるウラン235などから自然に生じた中性子が、原子炉内にある水に衝突し、
別のウラン235に当たることで核分裂が起こる。
臨界は、この核分裂が続く状態を指す。

小林圭二・元京都大原子炉実験所講師によると、
圧力容器底部の温度低下によって水の密度が高まり、
効率よく核分裂させる中性子が生じやすくなることなどによって、臨界が起きた可能性があるという。

経済産業省原子力安全・保安院
「核燃料中のプルトニウムなどは、連鎖反応を伴わず単発で自発的に核分裂するため、
ある程度キセノンが検出されても不思議ではない」としている。

一方、3月の事故では検出された放射性ヨウ素が、今回は見つかっていない理由を、
東電は「炉内の温度が低いためヨウ素が揮発せず、固体として残って、
(ガス管理システムの)フィルターにかからなかったのではないか」と説明する。

東電は、1、3号機でもガス管理システムを導入すればキセノンを検出する可能性があるとしている。

小林元講師は「核燃料の場所も把握できていない。事故収束を議論する以前の問題だ」と話す。

ガス管理システムを導入した際1%だった2号機の格納容器内の水素濃度は、
10月30日には2・7%まで上昇した。4%まで高まると爆発する恐れがある。

東電は
「格納容器内の水素がガス管理システムで吸引された可能性がある」として、窒素ガスの注入量を上げるなどした。
今回のキセノン検出でも、東電は2日未明にホウ酸水を注入したが、ともに対症療法に終始した。

九州大の工藤和彦特任教授(原子炉工学)
「キセノン濃度は低く、核分裂の規模は極めて小さいと考えられる。
政府と東電は原子炉から外部に出ている放射性物質の管理に全力を挙げるべきだ」と指摘する。






「分かりやすく説明」と自賛=原子力学会、原発事故で声明
朝日新聞 2011年11月1日19時6分


東京電力福島第1原発事故を受け、日本原子力学会は1日、東京都内で国際シンポジウムを開き、
原発の安全確保に貢献するとの声明を発表した。

声明では、同学会が今回の事故に関して
「事態の分析や原因の解明、社会への分かりやすい説明、事故の収束を助ける技術活動」などを自発的に進めたと自賛。
さらに「原子力災害を起こさないようにするための活動も行ってきたにもかかわらず、巨大津波により原子力災害に至った」とした。

また、原発事故を「原子力に携わるすべての者にとって大きな衝撃」と表現した上で、
「背景要因を含め、さまざまな観点から分析する必要がある」と指摘している。 


東京電力1月2日午前会見。松本氏の説明





続きを読むに番組の内容書き出しました







水野:
福島第一原発2号機についてお伺いいたします
原子炉格納容器の中の気体に放射性物質のキセノンが含まれていると東京電力は、発表しましたけれど、
まずは、このキセノンというのはどういうものなのか教えていただけますか?

小出:
核分裂をすることによってはじめて出来る放射性核種です。
今回、東京電力が検出したと言っているらしいものは、
キセノン133というものと135だと思いますが、
135の方は9時間で半分になってしまうというものですし、

水野:えっ!半減期が9時間

小出:はい

水野:短いですね

小出:
はい。
ですから、もし福島原子力発電の事故があって、原子炉が全て停止した3月11日にですね。
停止したんだとすれば、到底今までは生き残っていられないという
そういう放射性核種なのです。
それを今日検出したというのであれば、
今それが新しく生み出されているという確たる証拠になるのですね。

水野:つまり核分裂が今も起こっている

小出:今起きているという証拠です。

水野:
リスナーのメールです
「核分裂が起こっているというのはどういう事なんですか?
原子炉が暴走するということにつながるんでしょうか?」

小出:
多分違います。
もともと私自身は、壊れてしまった原子炉の中で新たに核分裂反応が発生するという事は、
多分ないだろうと思ってきました。
このたねまきジャーナルでも何度か類似のご質問をしていただいたと思いますが、
ある時に「クロル38という放射性物質を検出した」と東京電力が発表したことがありました。
で、もし、そうであれば、「核分裂の連鎖反応が始まっていると思う意外に解釈できない」
と私はお答えしたと思いますが、

水野:そうです。それで。「なんかの間違いではないだろうか」とおっしゃいました。

小出:
そしたら「やっぱり間違えていた」と東京電力が言ったのですね。

水野:
そうです。後で「間違えていました」
あ、小出先生がおっしゃっていた通りそうだったなということがありました。

小出:
今回も、だから、私は間違いである可能性もあると思います。

水野:
キセノンが出ている可能性があると東京電力はいっていますけれども、
これが事実かどうかというのはこれからまだ、測定をきっちり、専門のところがやるわけですね。

小出:
データをちゃんと見ればすぐに分かるのですけれども、

水野:わかるんですか?

小出:
はい。
それでクロル38を見つけたと言っていたころは、かなり、事故が起きた当初の頃で、
現場が混乱していて間違えたことがあるとおもいますが、
ここまできて間違えるという可能性はあまりないだろうなと私は思いますので、
今回はひょっとすると原子炉の中でウランの核分裂反応が再び起きているという可能性はあると思います。
ただし、それがすぐに爆発という事には結び付きません。

水野:かといって、ほおっておいていいんですか?

小出:
勿論、いけません。
そのために東京電力はボロンを注入したと言っているわけですけれども、
それがどこまで効果を持つかという事に関しては私はよく分かりません。

水野:ホウ酸を水に溶いたものという意味ですね

小出:そうです

水野:ホウ酸水を注入して、それで爆発を防いでいるのですね。

小出:
爆発というか、核分裂の連鎖反応を停止させようとしているのですね。
もちろんそうしなければいけませんけれども、それがどこまで効果を持つかは私にはよくわかりません。

近藤:先生、これがさらに最悪の事態になるという事はどういう事が想定できるんですか?

小出:
再臨界という事が起きている可能性があるだろうと、今、そういう話しになっている訳ですが、
それが起きたからと言って、原子炉が爆発するという事には多分ならないと私は思います。

近藤:多分というのはどういう趣旨でしょうか

小出:
えー、
核分裂反応がどういうスピードで生じるかということがあって、
猛烈なスピードで生じれば、たとえば原爆になってしまう訳ですね。
ある程度コントロールできるようなスピードで進めることが出来れば
原子力発電という形で、エネルギーを取り出すことが出来るわけですし、
今回は全く予期しないような形で、核分裂の連鎖反応が起きてているのですが、
そういう条件というのは、長く続かないと私は思います。

近藤:すると、非常に局地的に偶然性という事ですか

小出:
今日、日本で使っている原子力発電の原子炉というのは
もともと、米国が造って日本に貸し出したというか、渡して、金もうけに使ったのですけれども、
その形の原子炉というのは、
原子炉の形が残っている時に一番核分裂の連鎖反応がしやすいという
そういう設計になっています。
ですから、原子炉の形が崩れるとか、原子炉が溶けてしまうとかいうことになると、
核分裂の連鎖反応はますますしにくくなる方向になるという、基本的な性質を持っています。

近藤:あ、そうですか。ほぉ~

水野:そして多分、原子炉がもう崩れているだろうと・・

小出:そうです。

水野:小出先生はお思いになるから

小出:そうです

水野:核分裂反応は続かないであろう

小出:
「連鎖反応が新たに起こるであろう」ということ自身が
私には、ちょっと想像が出来ないぐらいのことなのであって、
仮に連鎖反応が起こるような非常に特殊な条件があるかもしれないと思いますので
できているのかもしれない思います。
ただし、そういう特殊な条件は
核分裂の連鎖反応が始まると、熱が出てきますので、すぐにその条件が壊れてしまいます。
そうすると連鎖反応が止まります。
それで、止まってしまうとまた、元の条件に戻るかもしれませんので、
また、連鎖反応が始まるかもしれません。
でも、ま、ようするに、せいぜいその程度のことなのであって、
直ちに爆発に結び付くというような事は多分ないと、
少なくても私の知識で言えばないと思います。


近藤:そういう、古い型であるがゆえに、ある意味、逆な言い方をすれば助かっているという事ですか?

小出:
そうですね
高速増殖炉というものを今作っていて、もんじゅというのもそうですけれど、
そういう原子炉の場合には、炉心の形状が崩れるとむしろ核分裂反応が進むという方向になるので

近藤:ぁ・・・・・
水野:えーー

小出:
大変危険なのですけれども、
今日の日本で使っている原子力発電所の場合には
核分裂連反応が始まっても爆発に至る事は、私はないと思います

近藤:先生、後の1号機とか、他はどうなんですかね。

小出:
同じような状況ですので、1号機も3号機もひょっとしたら、
臨界という事になっている可能性はあると思いますが、
それを調べると言う事自体が、今、困難な状況にあるので、
残念ながら私にはよく分かりません。

水野:
この2号機についてもキセノンは「今回初めて分析して出てきた」って言ってるんですよね。
という事はこれまでにも計測していたら出ていたかもしれませんでしょ

小出:
もちろんそうです。
ですから1号機、3号機にしても、ひょっとしたら出ているかもしれないし、
放射線の測定というのは結構めんどくさい手続きを経なければいけませんし、
出てきたデータを見ても、間違えてしまうという事が時々あるし、
東京電力自身が間違えてきたわけですね。
ですから、今回もひょっとしたら間違えているかもしれないと私は疑っていますし、
1号機3号機でも慎重に、やはり、測定をするべきだと思います。

近藤:
チェルノブイリで「核の暴走」という言い方をしますよね。
「核の暴走」という言い方はこの事態ではどうなんですか?

小出:
チェルノブイリの原子力発電所は、日本の原子力発電と全く違う原子炉を使っていまして、
あのタイプの原子炉では「核の暴走」が起こりやすかったのです。
そして、実際に起きたのです。
でも、日本の使っている原子力発電所の原子炉は、
「核の暴走」というのは起こりにくいけれども、原子炉が溶けれしまう可能性が高い
という
そういう原子炉なのです。
そして、実際に「溶けた」」のです。
でも、「核の暴走」は多分、私は起こらないと思います。

近藤:起こらない

小出:はい

水野:ただ、東電はですね「年内に冷温停止」って・・

小出:ふふっ

水野:言っていた訳ですよね

小出:はい

近藤:ん・・・・

水野:で、年内に事故を収束させるという目標だったんですよね。

小出:はい

水野:その、今までいっていたこととこの事実・・

近藤:な・・・

水野:ど、ど、どう私達は受け止めたらいいのですか

小出:
要するに、冷温停止なんていう事自体が馬鹿げていると、
私はこの番組でも何度も聞いていただいたと思いますが、
できもしないことを彼らは言っているのです。
とにかく、収束に向かっているということだけをみなさんにアピールしたい訳だし、
安心させたいということだけできているのですね。
でも、確かに彼らは事故を収束させるための手段は手に入れた。
つまり、電源ですけれども、
電源を手に入れたのでそれだけの事で確かにできるようになっているのですけれども、
彼らも思いもしなかった様な事が今現在また、起きてしまっているという事で、
収束にまた、困難が出来てきたという事です。

水野:思いがけないことが起こるという事はつまりコントロールが出来ていないという事じゃないんですか。

小出:
もちろん、そうです。
もともと原子炉が溶けるなんていう事を彼らは想定していなかった訳だし、
溶けてしまった炉心が圧力容器を溶け落として格納容器に下に落ちるなんていうことも想定していなかったし、
再臨界なんていう現象が起きるなんていう事は、ま、私も思っていなかったし、
彼らは勿論思っていなかった筈で、
想定もしなかったことが次々と今起きているのです。

水野:
もう一つ最後にお伝えしたいのですけれども、
日本原子力学会という学会がございます。
小出先生がかつて脱会なさった学会ですけど、
昨日、国際シンポジウムを開いたそうで、声明が発表されたんです。
その中でこんな内容があります。
「原発の安全確保に貢献する」と、
また、こんな内容もございます。
福島の今回の事故に関して、
「事態の分析や原因の解明。社会への分かりやすい説明。事故の収束を助ける技術活動などを自発的に進めた」と、
いうふうに、自ら
言うならばこれは、いわゆる自画自賛というものですかね。私らがよく言う・・
感想を一言いかがですか?

小出:
まずは、「原子力は絶対に安全だ」と言って旗を振ってきたことへの責任を取って欲しいと思います。

水野:
はい。そうですね。
そこのところを無しに自画自賛されているのが、ま、今の原子力村の実態といっていいんですね。

小出:のようですね。



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