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スイス発信・・低線量被ばくを考える「被爆からの発病と遺伝子変異」

今日で震災から8カ月
8か月過ぎても、国の対策は全く国民の命を守る方向に転換していないし、
福島第一原発も、心配なまま。
そして、東京電力は相変わらずの態度のままいまだに株は上場されている。

さっきニュースでやっていた
2011年11月11日→1が6個続いた日だから記念切符の販売だって・・・

ちがうよね、
黙とうだよ。

日本の総理大臣はその時間ふてくされた顔をしていた。
TPPだって!?
そんなこと、今急いで参加しなくたっていいと思う。
国会は何やってるのか・・黙とうもせずに・・

そして私は、最近
なんとなく、日々の生活に流され、低線量被ばくに対しての危機感が薄れてきそうな自分がいます。
食物選びも、なにもかも ちょっと、疲れてきた自分がいます。
ここで気合を入れ直して、低線量の被ばくの恐ろしさをスイスの記事で再確認してみました。

スイス発信の記事です。
3人の医師の話しです。

日本は8カ月経っても何の進歩もないので、過去記事もそのまま参考になります。

ーーーーーーーーーーーーーーー


2011-10-06 15:03 swissinfo.ch
福島原発事故、遺伝子突然変異は人類にとっての問題
里信邦子 ( さとのぶ くにこ) グレンヒェンにて

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グランドの土を削り除染を行った福島市内の幼稚園で8月3日撮影。
しかしおよそ300人の生徒が福島市内の小・中学校からほかに移って行ったという (AFP)




低線量被曝でもDNAは損傷を受け、突然変異を起こす
その結果が現れるのは、さまざまな要因が絡み約10世代も後のことだ。
だが、それは人類にとって大きな問題になる」と、スイスの内科医マルティン・ヴァルター氏は話す。

突然変異した遺伝子を持つ者同士が遠い将来に偶然結婚して発現することは、
しかし、どういったものなのかまったく分かっていない。
ただそれは大局的に見ると、がんのわずかな増加より倫理的に問題だと危惧する

ヴァルター氏は、1人の内科医として核兵器、核実験、原発など
核と人類は共存できない」と考え、医師の責任を強く訴える。
核戦争防止国際医師会会議スイス支部(PSR/IPPNW Schweiz)の支部長を2年務め、
脱原発を推進する側に立ってきた。チェルノブイリには政府からの派遣も含め5回行っている。

チェルノブイリでの甲状腺がんの子どもの検診や治療、
またその後の放射線による遺伝子突然変異の研究などを通して蓄積された知識を、
今福島で起こっている出来事を事例として引きながら語ってもらった。

swissinfo.ch : 
内部被曝が今後の課題かと思われますが、どういった問題がありますか。

ヴァルター : 
まず外部被曝は放射性物質をシャワーなどで洗い落せるので今後それほど問題にならないと思うが、
食品や呼吸で吸収する内部被曝は問題が多い。簡単な測定方法がないからだ。
ホールボディカウンターがあるが、何百人も測れるようなものではなく経済的負担も大きい。

セシウムはまだそれでも測れるが、
骨に吸収されるストロンチウム90はベータ線を出すため、内部被曝の測定は不可能だ。
唯一の方法は、子どもの抜けた乳歯を取って置き、それを測ることだ。
乳歯を焼いて灰にすれば測定できる。日本の検査機関では簡単にできるだろう。


核戦争防止国際医師会会議のアメリカの仲間が
1960年代にネバタでの核実験で被曝した子どもの乳歯からストロンチウムが検出されたことを挙げ
「自国の子どもが犠牲になってもよいのか」と当時のジョン・F・ケネディ大統領に働きかけた。
これが核実験停止条約の一つの要因になった。

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「人には2種類ある。原発に反対する人と、原発の危険性を知らない人と」
とヴァルター氏は言う (swissinfo)



swissinfo.ch : 
9月30日に放射性プルトニウム239
福島原発から45キロメートル離れた飯館村など、県内6カ所で検出されたと公表されました。
プルトニウム239は半減期が2万3000年と気の遠くなるようなもの。取り込むとどうなるのでしょうか。

ヴァルター : 
プルトニウムは一度体内に入ると、セシウムとは違いほぼ体外に排出されることはない
アメリカが何とプルトニウムを使った人体実験を1948年に行っており、
クリントン大統領のときに公にされたので、これは間違いない。

プルトニウムは骨や肺、肝臓などにとどまる。放射線を出し続けるので、がんを引き起こしやすい。

swissinfo.ch : 
では放射性セシウムですが、福島の多くの子どもの尿からセシウムが検出されました。
長くて70日で体外に排出されますが、その間の内部被曝も問題でしょうか?

ヴァルター : 
その間の被曝量はわずかだ。
しかし、問題はその土地に住み続けると排出されてもまた吸収し内部被曝が続くということだ。
セシウムは10年間で6センチメートル地下に沈んでいくといわれている。
従ってたとえ徐々に地表面から無くなっても畑で野菜が吸い上げ、それを食べればまた被曝する。
すべての土地の表面を上下に掘り返す作業は膨大な労力と費用がかかるだろう。

さらに現在、安全だという被曝量はないというのが定説になっている
がんになるリスクを縦軸、放射線量を横軸にするとそれは正比例の直線になり、
たとえ1、2ミリシーベルトでもがんのリスクはある。
胸部や骨折のレントゲン撮影でもがんになるリスクはゼロではないといわれている。
さらに慎重な医者は線量が少なければ少ないほどがんリスクは高く、
正比例の直線が少量の値域では上向きにカーブするといっている。


チェルノブイリでの研究の中に、学会では正式に承認されていないが、
セシウムによって、子どもたちの心臓病が数年から10年後に増えたという報告もある
心臓のリズムなどが不規則になる病気などだ。

また、すべての放射性物質の被曝で4、5年後に子どもの糖尿病が増えたという研究もある。

swissinfo.ch : 
日本の基準値、年間20ミリシーベルトの上限をどう見ますか?

ヴァルター : 
短期なら分かるが長期的に年間20ミリシーベルトは高すぎる。
しかも子どもや妊婦を含んで20ミリシーベルトは非常に高い値だ。
たとえ原発に賛成する科学者にとっても高すぎる値だ。

スイスではたとえ事故が起きても放射線の限度を年間1ミリシーベルトに決められている。

1991年のチェルノブイリ原発から50キロメートル離れたポルスコエ(Polesskoye)にスイス政府の派遣で行った。
同行のジャーナリストと、子どもがかくれんぼをすると想定して建物の地下や低い茂みなどを測ったが、
放射線量は事故から5年後なのに非常に高かった。また場所によって数値にかなりの差があった。

福島でも5年後同じことになるだろう。
つまり、県内の多くの地点で今後とも線量はそう変わらないのではないだろうか。
年間20ミリシーベルト以下の地域から、避難するほうがよいと思う。
もちろん故郷を捨てるといった社会的な問題は残るが。

swissinfo.ch : 
放射性ヨウ素について伺います。
8月18日付けの朝日新聞によれば3月24~30日に
いわき市、川俣長、飯館村の1150人の子どもを対象に甲状腺被曝を調査した結果、その45%が被曝していた。
14歳の男の子が
「僕の体には放射性物質が入っているからゼロじゃないんですよね。本当に僕は大丈夫なのか教えてほしかった」
と言っていました。
実際のところ、被曝したこの子どもたちはどうなるのでしょうか。

ヴァルター : 
ということは、子どもたちが原発の爆発直後にヨウ素剤を服用しなかったということか?
信じられない・・・(顔を曇らせ、データを見るためコンピューターに向かう)。
スイスでは原発から半径20キロメートル以内の住人は、全員ヨウ素剤を持っている。
それが原発を持つ国の安全対策の基本であり、国民に対する責任だ。
たとえ持っていなかったとしてもすぐに子どもに配るべきだった。

甲状腺に被曝したということは、それがいくら低い値であろうと、
この器官の細胞のDNAがダメージを受けてしまったということだ。
従って、何人かは今後、甲状腺がんを引き起こす可能性があるということだ。
そのため、毎年定期的に超音波でがんの発生を調べていく必要がある。

そもそも子どもの甲状腺がんは普通は存在しないものだ
以前ウクライナでは住民5000万人に対し3人の甲状腺がん患者がいただけだ。それがチェルノブイリ以降、2000~4000人の子どもがこのがんにかかった。

しかし、早期に発見し、甲状腺を摘出すれば大丈夫だ。
チェルノブイリで私もこの超音波の検査に何度も携わったが、
ベラルーシでもウクライナでも子どもたちはみんな手術を受けだ。しかも手術は95%成功している

ウクライナでは、ある経験豊かな70歳の医師が750人もの甲状腺がんを手術した。
わずか3人だけが術後の複雑な炎症が重なり亡くなっただけだ。

また、たとえ甲状腺が摘出されても、その後ずっとホルモン剤を飲み続ければ
それで元気に大人になり普通に一生を送れる。

swissinfo.ch : 
以上、放射性セシウム、プルトニウム、ヨウ素などの影響を見てきましたが、がんは増えるのでしょうか。

ヴァルター : 
がんにかかるケースは増えるだろう。
ただ、現在の工業国では死因の25%はがんであり、また40%の人ががんに一度はかかるが、
回復して最終的にはほかの原因で亡くなると言われている。
こうした中で、フクシマの事故は全体の25%のがんでの死亡率に、わずかなパーセントを加えるということだ。

タバコや化学薬品などの害ですでにがんになるリスクが高くなっているところに、
さらに放射線でのリスクが加算されるイメージだ。

ただし、フクシマの原発収束に働いている作業員のがんリスクは別物だ。
チェルノブイリでもそうだったが、彼らのリスクは極めて高い。

swissinfo.ch : 
最後に、放射線による遺伝子の突然変異、それも低線量被曝の遺伝子突然変異について説明してください。

ヴァルター : 
チェルノブイリの事故から10年後の1996年にロシアのドゥブロバ(Dubrova )医師が
英科学誌ネイチャー(1996Nature ;380:683-6)に報告した例によると、
チェルノブイリでセシウムなどに汚染された地域の人に遺伝子突然変異が多く見られた

また、イスラエルのヴァインベルク(Weinberg )医師の調査
(Proc Biol Sci 2001;268 (1471) :1001-5)によれば、
チェルノブイリの事故収束に働いた男性の2人の子どものうち、
事故以前に生まれた子どもには遺伝子突然変異がまったくなかった。
しかし、事故後イスラエルに移住して生まれた子どもにはある数の遺伝子突然変異が見られた

放射能被曝によって父親の優先遺伝子が損傷されると子どもに病気が現れる。
しかし、もし父親の劣性遺伝子が突然変異を起こした場合、
子どもに受け継がれても、劣性遺伝子なので表面的には何の異常も起きない。
これが、このイスラエルで生まれた子どもの場合だ。

しかし、もし遠い将来この子の子孫が偶然、同じ突然変異の劣性遺伝子を持った人と結婚し、
劣性遺伝子同士が組み合わさるとさまざまな病気などが発現する可能性が考えられる。

ただ、何が発現するかは全く分かっていない上、
こうしたことがチェルノブイリやフクシマで起こる可能性があるものの、
さまざまな要因が絡むため約10世代は先の話だ。

ところで、ドゥブロバ医師などの方法で長崎と広島の被爆者の遺伝子を調べたところ、
突然変異はほとんどなかった。
原爆は瞬間的なインパクトを与えたが、長期の低線量被曝を起こさなかったということなのだろう。

従って、私には、低線量被曝が遠い将来の世代に与える遺伝的な影響が大きな問題だ
これは人類にとっての倫理的問題でもある。

宗教家で科学者の友人がイメージとして、こう語った。
かつて、宇宙からの放射線量が徐々に減少したとき地球上に人類が誕生した。
しばらくの年月人類は放射線を生産せずに生活した。
ところが今、核実験や原発事故などで、自らの手で地球上に放射線量を増やし
地球を住みにくい場所に変えようとしていると 。




マルティン・ヴァルター氏(Martin Walter)略歴

1945年、ゾロトゥルン州シュトュッスリンゲン(Stüsslingen)に生まれる。
1972年、バーゼル大学医学部卒業。
1973年から81年までバーゼルで内科医として働く。

1981年からグレンヒェン(Grenchen)で内科医として開業、現在も現役で働く。

1989年、以降90年、91年、93年、96年と合計5回チェルノブイリで医者として診察にあたった。
91年にはスイス政府が派遣した災害援助協力隊の一員として現地入りした。

1988年から90年にかけ、核戦争防止国際医師会会議スイス支部(PSR/IPPNW Schweiz)の支部長を務めた。

3人の子どもの父親。
初めの子どもが2歳のときの1975年、
バーゼルに建設予定だった原発「カイザーアウグスト(Keiseraugst)」に反対して
キャンプに泊まり込んだ経験から、原発や核兵器に反対する活動に入った。

スイス医師会会報(Schweizerische Arzte Zeitung/Bulletin des médecins suisse)に、
「国際放射線防護学会(IRPA)の不十分な基準に対する議論」(2005, 86, Nr26)、
「チェルノブイリとフクシマ : 原子力政策における医師としての責任」(2011, 92 :21)などの記事を執筆している。






続きを読むに同じswissinfo.chの「小児ガン」「遺伝子異変」の記事







2011-06-15 14:22 swissinfo.ch
小児がん科医として、フクシマの子どもたちの命を思いやる
里信邦子 ( さとのぶ くにこ)  バーゼルにて


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小児白血病患者の家族と病院のスタッフ全員で、毎年1週間山小屋で過ごす。
苦しみを分かち合い、理解し合うこの1週間は
家族にもリドリフィ医師にとっても忘れられない時間になったという



「原発事故後の情報不足はもう過去のこととして、今こそ関係当局は謙虚に原点に立ち戻り、
多地域での放射線量と検出された放射性物質の種類の情報を開示する必要がある。
フクシマの子どもたちの命がかかっているからだ」と、小児がん科医のアネット・リドルフィ氏は念を押す。

20年間ベルン州立大学病院小児がん科部長を務め、子どもや家族の苦しみに寄り添ってきて
小児白血病やがんを引き起こす放射能は、人間が手にすべきものではなかった」と確信する。
そのため、すべての国の脱原発を真摯に訴える。

2007年の退職後、バーゼルでがんの子どもの家庭を訪問する看護師の特別教育基金
「がんの子供・青少年のためのベルン基金 ( BSKKJ ) 」を立ち上げ、
運営に多忙な毎日を送る。その合間にやっと作ったアルバムを開けながら
「この子は今は元気で有名なサッカー選手。この子は可愛い子だったが亡くなった」と一人ひとりの思い出を語る。

科学者の目を持ちながら「患者はみな私の子ども」という母親の視線も併せ持つ。
今でも昔の患者から結婚式などに招待される。
上記のサッカー選手はブログに「リドルフィ先生は僕の守護天使」と書く。

被曝後に起こりうるがんの中でも、2、3年後に発生するといわれる小児白血病に焦点を当て、
その病気の特性やメカニズムなどをリドルフィ氏に聞いた。

swissinfo.ch : 
小児白血病はほかのがんと同様、染色体の変異から起こると考えていいのでしょうか。

リドルフィ : 
その通りだ。現在スイスでは、患者から20ミリリットルほどの骨髄液を採取して染色体を調べる。
その結果、23組ある染色体のうち異常を起こしている染色体の番号によって白血病のタイプが判定できる。

ある番号の染色体が切断され、ほかの番号の染色体に転座し、融合してそこに異常融合遺伝子を形成する。
その結果、がん細胞が異常に増殖したり、成熟細胞への分化が困難になりがんにかかる。
どの染色体のどの遺伝子が細胞形成サイクルのどの段階で問題を起こすかも分かってきている。

もともと白血病と染色体異常には関係があると考えられていた。
私の勤務先の病院でも白血病の子ども30人に3人の割合でダウン症の子がいたからだ。
ダウン症は21番目の染色体が1本多いため起こるが、それはもともと染色体が不安定だからだ。
このため染色体の転座などが起きやすく白血病にかかりやすいのではないかと推測された。

現在、いろいろなタイプの白血病があると言ったが、
ある種のものは100%完治し、ある種のものは再発したり、初めから骨髄移植が必要だったりする。
幸いにも完治するケースは現在約8割にも達している。

swissinfo.ch : 
こうした染色体異常を起こすものに、ウイルスや発がん性物質もありますが、放射線は代表的な原因ですね。

リドルフィ : 
放射線が染色体を切断し損傷することは知られている。
また放射線が、がんの原因であることは、広島・長崎の原爆投下数年後、
白血病の子どもが増え、さらにその数年後固形がんの子どもが増えたことでも証明されている。

チェルノブイリでも白血病の子どもが増えた ( 下記①参照 ) 。
実はベルンにも、ミンスクの小児がん科の医師が治療法を聞きに来た。
私の同僚がミンスクまで応援に行ったが、その最悪な状況に愕然としていた。

白血病には化学療法 ( 抗がん剤) が使われるが、
それは免疫力を極端に低下させるため患者である子どもは感染症にかかりやすい。
白血病が直接の原因ではなく、細菌感染で亡くなったケースも多い。
それなのにロシアには衛生概念がまったくなく、手を洗うことさえ励行していなかった。
直ちにスイスから多くの看護婦を派遣し、アルコール殺菌のような基本から教えていった。

swissinfo.ch : 
ところで、染色体の損傷や切断は少量の放射線でも起こるのでしょうか?

リドルフィ : 
公式には、今の段階では分からないと言われ、
年間50ミリシーベルトから100ミリシーベルト被曝すると、がんになる可能性が高まるが、
それ以下では分からないと言われてきた。

ところが、ドイツでは原発周辺に住む5歳以下の子どもを対象に、
小児がん及び白血病発生率と原発との因果関係についての調査が国の依頼で行われた。
2007年に出た結果によれば「原発に近ければ近いほど小児がん及び白血病発生率が高い」。
それは即ち少量の放射線が染色体に影響を与えるということの証明だ。

5歳以下の子どもは大人より、2、3倍も放射線の被害を受けやすく、胎児はなおさらだ。
それは成長のために細胞分裂が絶えず行われており、染色体が不安定な状態にあるからだ。

このため、この調査にあたった研究機関の一つ「核戦争防止国際医師会議 ( IPPNW ) 」は、
原発から出る放射線の基準量を胎児に則した値に改めるよう要求し、
ドイツの全原発の稼動停止を当時すでに求めていた ( 下記②参照 )

この発表は子どもを持つ家族や一般市民に衝撃を与え、
今日ドイツが脱原発の道を選択した一要因になっているかもしれない。

ただ、この調査以外には、長期に少量の放射線量を浴びるケースの研究はわずかしか存在しない。
長期間で経費もかかる非常に困難な調査だからだ。
しかし、少ない調査結果とはいえ、現在多くの医学者、科学者が
放射線は少量でも危険だ、特に子どもの場合は特別に危険度が高まる」と言っている。

swissinfo.ch : 
遺伝的な問題の質問です。
イギリスにあるセラフィールド( Sellafield )の使用済核燃料の再処理工場に勤務する父親の子どもには
白血病のリスクが高いという報告がありますが、それはなぜでしょう。

リドルフィ : 
それは、父親の睾丸に放射線があたり、精子の染色体が異常になり、たとえ母親の卵子が正常でも、
生まれてくる子どもは、いわば全身の細胞の染色体に父親の染色体の異常を受け継ぐため、
白血病になる可能性があるからだ。

また、この2世代目がたとえ白血病などを起こさなくても、
全身の細胞ということは、その子の卵子や精子まで染色体異常を受け継ぐため、
第3世代、第4世代まで染色体異常は受け継がれる

さらに、現在小児医学では、多くの脳や神経系の病気が染色体異常によって起こることも分かってきている。

このため、今フクシマの原発事故現場で働いている人たちのことを考えると胸が締め付けられる思いだ。

swissinfo.ch : 
では、例えば被爆によって子どもが白血病にかかっても、その子が完治して大人になった場合、
その子孫は大丈夫なのでしょうか。

リドルフィ : 
小児白血病が化学療法で完治した場合、
白血病細胞はすべて死ぬため、その子が大人になり子孫を作っても、子孫が白血病になることはない。
要するに異常染色体が受け継がれなければ大丈夫だ。

swissinfo.ch : 
例えば福島の子どもが白血病にかかったとしても、現在白血病はほぼ8割が完治しますね。

リドルフィ : 
確かに8割が進んだ化学療法などで完治する。
しかし問題なのは完治に至るまでの長い苦しみの期間だ。
白血病のタイプによって治療期間は異なり、短期で集中治療するか、
もしくは、1週間に1回の治療を2年から2年半続けることになる。

また、治っても再発する恐れと戦わなくてはならない。
さらに多くの母親が何もしてやれない無力感や、子どもの死と直面する苦しみに耐えなくてはならない。

ある母親は、3歳の息子が白血病だと分かると動揺し、治療を始める前にまず神父を訪ね
「子どもの葬儀も大人のそれと同じか」と聞いた。
同じだと分かったときようやく納得して「治療を始めてくれ」と言った。

家族の抱える苦悩は大きい。祖母や祖父など全員を巻き込む苦しみだ。
30年間こうした子どもや家族と過ごしてきて、今、フクシマの子どもたちを思う。

だからこそ、日本政府など関係当局は、
今すぐ放射線量と、検出された放射性物質は何なのかという詳細な情報を
フクシマの県民や国民に開示し、対策を急がなくてはならない。
なぜ放射性物質の詳細が大切かというと、
例えばストロンチウム90は骨髄にたまり、白血病を引き起こしやすいからだ。

今、子どもたちの、特に5歳以下の子どもたちの命がかかっている。





アネット・リドルフィ・リュッティ( Annette Ridolfi Lüthy ) 氏略歴


1946年、バーゼルに生まれる。
1973年、バーセル大学医学部卒業。
1974~1981年、バーセル州立大学病院小児科小児がん科勤務。
1981~1983年、ベルン州立大学病院小児科小児がん科勤務。
1983~1987年、ティチーノ州ベリンゾーナの病院勤務。
1987~2006年、ベルン州立大学病院小児科部長と小児がん科部長兼任。


①チェルノブイリ後の小児白血病の例

「核戦争防止国際医師会議 ( IPPNW ) 」と
「放射線防護協会 ( Gesellschaft für Strahlenschutz e.V. ) 」が共同で行った
ドイツの調査「チェルノブイリの健康への影響―原発大惨事から20年 ―( Gesunndheitliche Folgen von Tschernobyl-20 Jahre nach Reaktorkatastrophe ) 」によれば、
最も放射線量が高かったウクライナ地方だけで、
事故のあった1986年以前の5年間( 1980 ~1985年 )の数から予想される
小児白血病11種類の患者の合計は346人
1986年以降 ( 1986 ~1991年) の同様の実際の合計は519人
つまり173人の患者の増加がみられたとしている。


②原発と小児がん及び白血病発生

原発からの距離と小児がん及び白血病発生の因果関係を「核戦争防止国際医師会議 ( IPPNW ) 」と
「ドット・アウスゲシュトラールト ( .ausgestrahlt / 放つ ) 」が共同で行った調査結果
子どもを病気にする原発 ( Atomkraftwerke machen Kinder Krank ) 」が
ドイツ政府の連邦放射線保護庁から2007年に発表された。

調査は1980年から2003年までの24年間。
ドイツにある原発の周辺16カ所に住む5歳以下のがんになった子ども1592人を選び出した。
そのうち白血病患者は593人。
比較の対象として、同年齢、同性別、同調査地域に住む健康な子ども4735人を選出した。

原発から住居までの距離を25m、50m、75mと25m間隔の精度で調査した。

その結果、「原発から5km 以内で、原発に近ければ近いほど小児がん発生率が高いこと」が明らかになった。
原発と住居の距離以外に小児がんを引き起こす要因は見当たらなかった。
ただ、原発からの放射線量との直接の関連は調査されなかった。

これを受け、IPPNWは、現在の原発から出る放射線の基準値は
健康な若い男性を基準に決められているため、胎児の基準値に改めるよう要求した。
なぜなら胎児は、ほんのわずかな放射線量でも健康被害を受けるからだ。
このため、IPPNWは稼働中の原発すべてをただちに停止すべきだと訴えた。














2011-03-23 15:00 swissinfo.ch
原発事故「最も憂慮すべきは遺伝子変異」
レナート・キュンツィ ( 独語からの翻訳・編集 中村友紀 )

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2006年、ウクライナの病気の子どもたち。
1986年に起きたチェルノブイリ原発事故は
子どもたちに一生影響を及ぼす (Keystone)




福島第一原発では今もなお予断を許さない状況が続いている。
今後日本のみならず世界中でがんのリスクが増すと考えられる。
しかし、それ以上に深刻な問題は世代を越えた遺伝的な損傷だという。

マルティン・ヴァルター氏 ( 66歳 ) は
ソロトゥルン州グレンヒェン ( Grenchen ) の内科開業医だ。
1991年に1カ月間ウクライナの病院で働いた経験も持つ。

また1988年から2年間、核戦争防止国際医師会議スイス支部 ( PSR/IPPNW Schweiz ) の支部長を務め、
「核を使わない電力 ( SoA ) 」運動や原発建設に猶予期間を求める運動などの委員会で中心的な役割を果たした。
この原発建設の猶予期間については、1990年秋の国民投票で認可されている。

swissinfo.ch : 
東京電力さらには日本政府の不十分な情報開示に対し批判の声が高まっています。
正確な情報が伝えられないことで日本国民の命が危険にさらされているということはありますか。

ヴァルター : 
それはない。急性被曝は免れている。
少なくともこれまでのところ ( 17日現在 )
原子力発電所の敷地外では放射線量がさほど多くなく、急性被曝には至らない。
北半球の住人が急性被曝で死亡することはない。
しかし、原発内で原子炉の冷却作業をしている作業員たちを取り巻く環境は別だ。
どうか線量計を装着していてほしい。

ただ、情報伝達が不十分だったり危険を軽視したりすると大きな誤りを犯すことになる。
吸収線量と人体への影響は正比例の関係にあるからだ。
つまり、心配のいらない吸収線量というものはない
わずかな摂取でもがんを引き起こし、乳がんや大腸がんなどから死に至ることもある。

今後日本では確実にがん死亡率が高まるだろう。たとえ完全な炉心溶融に至らなかったとしてもだ。

swissinfo.ch : 
専門家によれば3月17日と18日の2日間が原子炉冷却の鍵を握る最後のチャンスとされ、
成功しなければ炉心溶融が決定的になるとのことでした。
世界が日本に対して抱く不安は当然のものですか。

ヴァルター : 
当然だ。先述したがんの増加を恐れてのことだ。
例えば、チェルノブイリでも急性被曝で死亡した人は多くなかったが、事故後にがんで多くの人たちが亡くなった。

しかし、がんのリスクの増加以上にもっと深刻な問題は遺伝子への影響だ。それも世代を越えた影響だ。
最新の研究では、少量の吸収線量でも継代的な影響がありうることが分かっている。

イギリスにあるセラフィールド( Sellafield )の使用済核燃料の再処理工場に勤務する人たちの子どもには
白血病のリスクが高い。
これは父親の吸収線量と関係があり、子どもたち自身は放射線にさらされていない
原発事故だけでなくこうした通常の場合でも、人間ならび動植物の遺伝子に損傷が発生する。
こうした事実を知った上で、あえて原子力に頼るかどうかはむしろ倫理的な問題だ。

swissinfo.ch : 
放射能汚染では放射性同位体のヨウ素131、セシウム137、キセノン133、
クリプトン85ならびにストロンチウム、プルトニウム239が漏出します。
どれも危険ですが、特に危険なものはどれですか。

ヴァルター : 
まず、危険度は半減期によって変わってくる。ヨウ素は8日間でほぼゼロになる。
つまり、スイスの子どもたちにヨウ素剤を与えても意味がないと言える。
さらに大人が服用すると逆効果になりかねない。

セシウムの半減期は30年なので
セシウム汚染は日本からスイスにまで行き渡るが、スイスでの危険度はごくわずかだ。
セシウムはカリウムのように体内で代謝されるため、一回限りの摂取なら数カ月後にはなくなる。

ストロンチウムは体内に蓄積され、死ぬまで残る。ここでも人体への影響は半減期に左右される。
ストロンチウムはカルシウムのように骨に蓄積されるため消えることはなく、
骨髄は絶えずβ線の影響を受けることになる。
子どもの骨髄は脂肪が少ないため、のちのち白血病になるリスクが大人よりも高い。

プルトニウムは一度体内に入ったら決して消えない。ごく微量の摂取でもがんを引き起こす。

swissinfo.ch : 
チェルノブイリの場合、子どもへの医療行為はどの程度可能でしたか。

ヴァルター : 
普通なら子どもが甲状腺がんにかかることはない
事故前のウクライナでは住民5000万人に対し年間3人ほどだった。
しかし、事故後1500人の子どもが甲状腺がんを患った。4000人という話もある。

それまでこうしたことはなかった。これはヨウ素131の影響だった。
もし事故直後に政府が子どもたちに安定ヨウ素剤を与えていれば避けられただろう
当時の子どもたちに急性被曝があったとは思えない。

セシウムに関しては、ウクライナでは大人も子どもも食品から摂取している。それは今も変わらない。
これに対してはりんごペクチン剤が服用されている。
りんごペクチンは体内のセシウムの量を減らし、継続的なセシウムの摂取に対しても有効に働く。

swissinfo.ch : 
原爆を経験した唯一の国である日本が今また大規模な原発事故に見舞われているというのは
ある意味ひどい皮肉のようです。当時の医療的な経験は今回の役に立ちますか。

ヴァルター : 
それはないだろう。
当時は特別な治療を施すことがまったくできなかった。
その上、被曝の影響は異なる。
広島と長崎で被曝した父親を持つ子どもたちとチェルノブイリで被曝した父親を持つ子どもたちを
イスラエルの研究者たちが調査した。
その結果、父親が原爆で被曝した後に生まれた子どもたちには
遺伝子の変異がまったく見られなかったことが分かった。

それに対し、チェルノブイリの事故後に解体作業者として入った父親から被曝後に生まれた子どもたちには
一定の割合の遺伝子( ミニサテライトDNA )に相当数の変異が見られた
遺伝的な視点で見ると、今回の福島第一原発の事故は深刻なケースだ。






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No title

きーこちゃん、こんばんは。
いつもながらすごい情報収集力ですね。ありがとう。
この記事に関係あると思うんですが、よかったらこのブログを見てみてください。
http://sakuradorf.dtiblog.com/blog-entry-189.html#comment48
この方どういう方か分かりませんが、私は参考にしています。

食品の選び方ですが、沢山食べる物、例えば「お米」に注意すればいい、と武田先生は言っています。少ししか食べない物はちょっと気を抜いても大丈夫だそうです。

東電と国は万死に値する!!!

ヴァルター博士の以下の言葉を日本人全員は永久に記憶しておかなければいけない!

   《ということは、子どもたちが原発の爆発直後にヨウ素剤を服用し  
   なかっ たということか?
   信じられない・・・
    スイスでは原発から半径20キロメートル以内の住人は、全員ヨウ
   素剤 を持っている。
   それが原発を持つ国の安全対策の基本であり、国民に対する責任だ。
   たとえ持っていなかったとしてもすぐに子どもに配るべきだった。》
  

東電と国は「日本の原発は絶対に壊れない!」
という《安全神話》のもとに
他国では当然である
「原発から半径20キロメートル以内の住人は、全員ヨウ素剤を配る」
ことを怠っている
つまり他国では当然である
「原発を持つ国の安全対策の基本であり、国民に対する責任」を
放棄しているのだ

このことだけをもってしても
国と東電と安全委員会の責任者は死刑に値すると考える

しかもフクイチだけじゃなく
日本中にある54基半径20キロメートルの全ての住民にも
当然安全だから配っていないのだろう
今すぐ電力会社は他の原発53基半径20キロメートルの全ての住民に
ヨウ素剤を配らなければいけない!

それ以上に
事故直後
国と東電と地方自治体は当然第一に
福島原発半径30キロメートルの住民全員に
ヨウ素剤を配るべきだったのに
枝野の
「ただちに健康に影響はない」という《安全神話》のもとに
ヨウ素剤を配る手配をせず
何千、何万の福島の子供たちを
いたずらに未来の甲状腺がんの犠牲者にしてしまったのだ!

この意味で
国と東電は二重に重罪を犯したのだ
1もともと配っていなかったこと
2事故後ただちに配らなかったこと
の二重の罪である
 
しかも日本のマスコミと御用学者たちは
このことを国に進言せず告発せず
いたずらに国の《安全神話》の片棒を担ぎ
大本営発表機関に成り下がってしまったのだ!
彼らの罪も同等に重いと言うべきだろう

しかも日本の司直はこのことを
一切告発せず無視し
国と東電の二重の重大犯罪を放置している
日本に三権分立はないのか?!
と言いたい!

一体なんと言う国なんだ、日本は!!!

少なくとも
福島の子供たちとその親たちは
冒頭の
ヴァルター博士の発言を一生永久に記憶し
国と東電の責任を
永久に追求すべきである!!!


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