11.19
Sat
肥田舜太郎先生の貴重なインタビューです。
「公の場で、安全だってみんなが言っているのは
一つは逃げること。もう一つは汚染したものを食べない努力をすること。
この二つが安全に生きるための最小限の条件だと、一般に誰でもがそう言う。
たとえば福島県のいくつかの大きな都市の住民でね、
「はい。明日からそれが出来ます」という家族は何家族いるのかと。
おそらく、大部分が出来なくて、その大部分の人にできない事を、
「それしかない」みたいな言い方をすることは犯罪だろうと僕は思うんですよ。
みんなにできることを言わなくちゃいけない。
みんなにできない事の理由がもし、お金だったら、全部にお金を出してやらせるとかね」
原爆投下直後の信じられないような悲惨な状態から、いま、福島の事故が起き、
政府の対応、世界の見方、
事実を直視してこられた肥田先生の深く広い考え方。
もっともっと、先生のお話しを聞いていたい。
私自身とても勉強になりました。
そして、改めて考えさせられることも多かったです。
このような有意義なインタビューをして下さった岩上安身さんに感謝したいと思います。
心をこめて文字起こししました。本編だけで4部に分かれています。
お時間がある方は、アーカイブで声を聞いて、表情を見ていただきたいと思います。
No4 アーカイブ2 最初~最後まで
・核武装を支持する勢力
・慢性症状を公に文書で発表すた医学者都築正男
・内部被ばくをきちんと知れば核兵器は許せないとちゃんと言える
・原発から100マイル以内では乳がん増加の根拠を見付けた学者ジェイ・マーティン グールド
・内部被ばくの危険性を理論的に証明したカナダの医者ベトカウ
・内部被ばくをかたくなに認めようとしない理由
・今は新しい経済政策にむかう陣痛の始まりのような時期
No3
肥田舜太郎氏×岩上安身No1(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎氏×岩上安身No2(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎氏×岩上安身No3(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎&岩上安身 10/6(最後の部分の内容書き出しました)
続きを読むに
できるだけ正確に文字起こししました。
肥田:
その抑制で、アメリカには向かう勢力にはなりっこないと
アメリカを助けてアメリカの手助けをする武装力として育つ方針として指導すると
いうことだけをやって、そういう勢力がずっと進行してきたと。
それほどまだ、決定的に強くなっているとも思いませんけれど、
かなりの、官僚の中にとかね、いろんな社会の中にそういう芽は沢山ありますね。具体的に。
岩上:
そういう芽があると、通常兵器の戦力強化という事じゃなくて、目指すは核兵器で、
核武装で、その核武装に至るためのプロセスとしてですね、原発の位置があるというふうに、
国の中枢の何処かで、
肥田:
そりゃぁね、プルトニウムをね必要もないのに沢山保存していくと。
六ヶ所村でね、ちゃんちゃんと、その、手は打ってきていると。
いう、たとえばボンジョなんか見ても、全く平和な世の中に必要のないああいうものを、
もの好きにね、よその国で大金を使ってやっているという中には、
終局にやっぱり、核武装した時の具体的に自由になるプルトニウムを
どれ位蓄積するかというような考えが、どっかの誰かのそこにいくつかあって、
それが一つの方向に行くような根がある。
だから、どんな場合にもそれはゼロにならずにね、
必ず生きて政策の中に少しずつ残っていくというのを繰り返してきているわけです。
だから、必ずそうなるとは思わないけれども、
そういう勢力がブレーキになって日本人のいろんな困難をね、作りだしているという事は言えない事はないと思う。
岩上:
でもそういう核武装を目指そうという勢力というのは、
核武装によってですね、世界から決定的に自分で自立できる、
今の斉唱国や核保有国が持っている、ま、
あの、常任理事国がですね、持っているような決定的な力を得ようと思ったら、
何よりもまずは、早い話しが、アメリカとですね、事を考えるといいますか、
ソ連とアメリカが核の均衡をしたようにですね、アメリカに対して自立して、
アメリカに対して今まではずーっと言う事を聞いて、ま、頭から押さえつけられてきたけれども、
今度はそうはいかないぞと。
いうような思想に・・
肥田:
それはないんじゃないですか。
ぼくは、逆だと思って、
岩上:ということは
肥田:
あくまでもアメリカに核武装を納得させて、
アメリカの承認のもとで、アメリカの勢力の一環としてね、核を持つと。
で、アジアのそこら辺のちょこちょこした事はアメリカの力を借りなくても、
日本の独自の、ま、脅しとね、
時には、いざとなれば小さな核兵器ぐらいは使って、言う事を聞かせていくと。
いう範囲のね、抵抗じゃないかと僕は思っているんですけど。
岩上:
それは、そうだとしたらですね、ま、アメリカの下っ端といいますかね、いう事で核武装していくと。
これは逆を言うと、アメリカから見た時には、
アメリカは日本にわざわざ、これ、アメリカも日本にわざわざプルトリウムを許可してもたせている訳ですから、
その飴玉みたいなものを、おもちゃみたいなものを持たせているというのはですね、え・・
肥田:
ま、可能かどうかは分かりません。
だけど三菱自身が自分で作れて、明日でも作ってみせるという位の力を持っている訳ですからね、
絶えず向こうの物を修理したり、
あるいは向こうの設計通りの物を作ったりは、もう、しているわけだから、
三菱に言わせれば
「アメリカの物より、もっともっと日本の方がすぐれたものを作るよ」っていうような事を公言する社員もいますから、
岩上:
という事は、でも、アメリカの戦略のね、捨て駒にされる可能性があるわけです。
つまり、結局はアメリカにくっついて、アメリカの承認のもとの核武装という。
で、その時に核戦争の危険性をむけるのはのはどこに対してかと言ったら結局中国とかでしょ。
でも中国は遥かに、その何て言うんですか、大国である。
肥田:
もう、その頃はね、そこに足がかかったら、
ま、治安維持法に似たようなものが別の形で出来て、
反政府行動っていうのが、要するに、実刑を持ってね取り締まられるという段階が日本にくるんじゃないんですか。
今のように憲法を守りましょうとか、どうとかいう運動が自由に野放しにされた中でそんな事は起きっこないから。
だから、強圧な戦時国家みたいなものをね、やっぱり、役人は準備していくでしょうね。
岩上:ま、その萌芽というものは今日見られるような気もするんですけれども、
肥田:
ま、それは、私個人の想像みたいなものだから、
べつに確証があってね、そりゃ、いくつかの事例をこう、つなぎ合わせれば、
そういう芽ですよって言えない事ではないけれども、
まだそんなことね、危なくなるから気をつけましょうみたいなね、
いう事を言ってあるく時期ではまだないと思っているけれども。
やっぱり今やるのは、これから起こるかもしれない
福島の子どもたちのね、これから起こってくる・・・・・・・・
内部被曝の、慢性症状が始まった場合に、
どういう対応をするかという準備をね、日本がね、政府が中心になって立っていないと、
誰にもどうする事も出来ない。
みんなが慌てるだけで、、お医者はお医者で、診にこられたって何の事やらわからない。
だからね、
岩上:先生、慢性症状に対する適切な治療方法というのはないんですか
肥田:ないんです。
岩上:
ないんですよね。
という事はここから離れること以外に手はない。
肥田:
ええ。
だから、その慢性症状という事も、
権威のあるちゃんとした公の文書の中に発表した医学者は、
一人いるだけです。
ん・・あの・・・戦後
まだみんながひっくり返って死んでいる時期に広島にきてね
放射線の影響はストロンチウムというのが骨に沈着してね、
骨に集中して、骨自身の中にあるリンという化合物を放射線リンに替えると。はっきり。
だから、人間の造血機能は、骨の真ん中の中空になった
管の中である骨髄というところで血液を作っているわけだ。
その血液を完全に作っている周りの側の骨自身が、リンが放射性リンに変わったために
造血機能を働いているその血液作りのそのものが、
自分の側の持った放射線で持続的に被ばくさせられるような状態になって、
だからそこで出来る血小板だとか云々とかいうものが
みんな死んでお釈迦が出来てくると、
で、正確な力が出来ないために、いろんな種類の貧血が起こったと。
だから、血小板減少性というのは、紫斑が出て、結局血小板が足りないための粘膜出血でみんな死んでいくと。
それから、白血球が足りないというのは、はっきり細菌との戦争が出来なくて、
逆に細菌に食い殺されるという形で、腐敗が起こったり、いろんな病気が起こると。
そういう事まで、アメリカの進駐する一か月ぐらいの間に、
そういう事をちゃんと研究して、発表した東大の教授がいるんですよ。
で、その先生は、マッカーサーに最初名指しで、もう、やられちゃって、
一切の資料、研究した資料を没収。ですね。
で、もう、その研究は明日から続けることはまかりならん。
岩上:その方はなんていう方なんですか
肥田:うーんとね、都築・・つづきまさおって言ったかな、ちょっと待って。
ーー資料探し中ーー
肥田:
この間来た記者が、「どうしても貸してくれ」って言って持って行ったんだ。
都築博士(都築正男)っていって・・
岩上:その博士の書いた本ですか?それとも別の本ですか?
肥田:
いえ、
この人がね「広島新史」っていうね広島の新しい歴史の史ですね。
「広島新史」っていう上下2巻のね、広島市が発行した報告書があるんですよ。
原爆の被害の。
その下巻の方だったと思うけれど、
後半の一番後ろに、その人の書いた原爆に対しての、ま、いろんなところに発表した論文がね、
10いくつ集団で載っているんです。
その中の一つに、慢性症状と名付けて、
要するに不思議な、あとあと症状が出たと
その事を慢性症状というようにひっくるめて、
いわゆる急性症状、私がさっき言った、不思議な、
あれと対比するものとしてそういう症状が、慢性症状が沢山の被ばく者に起こって、
治療法がないために苦しんだという、そういう公の文書がね「広島新史」のなかにでているんです。
で、そういう論文はね、あの、日本の一般の企業が出している
医療雑誌に、こう、分けて出されていたみたいですね。
だから、これは何月何日のなんていう雑誌に書かれたっていう根拠もちゃんと出ています。
ぼくも、「広島新史」っていうのをね、みんなに借りられちゃぁ持って行かれるから
広島に頼んでね欲しいと思っているんだけども、
もう広島にもないんでしょうね、おそらく。
岩上:ちょっと、探してみます
肥田:ええ。
岩上:都築先生というのはもうお亡くなりになっていらっしゃるんですよね。
肥田:都築さんはね。はい。
岩上:
あの、そういう方がいらしたという事はしかし、占領政策で言論統制もされて、
あまり広まらず知られず
肥田:そう
で、彼と付き合うとね、どっかの教授は付き合っているとやっぱり、その影響で睨まれるんですね。
だから、彼とは付き合わない様に、付き合わないようにみんなしていった。
岩上:あーーー、
それ、睨まれるというのは占領時代の7年間だけでなく、
その後もずーーっと・・
肥田:
もう、厚生省に引き継がれてからも。
やっぱり厚生省で出世しようと思うものは、
やっぱりその問題でアメリカに建てをつく側に入ったんじゃ、出世できないから。
おべんちゃら言う方に入っていく訳ですよ。
岩上:
厚生省に引き継がれるというのはABCCの?ってことですか?
放影研(放射線影響研究所、広島市南区)の
肥田:
そう、放影研の
もう、これは、もう、その後日本の国が半分金出して、
アメリカが半分出して、放影研というのに引き継がれて、
どこからか、アメリカが手を引いちゃって、今は日本だけになっていると思うんですよね。
岩上:
日本は何で独立が出来ないんですかね。
やっぱり、結局安保条約が根っこにあって、
肥田:
でしょう。
だけど、もう、実際のね、放影研に働いている若い人たちの中には
そんなことはお構いなしに、厚生省が「こんなものをあんまり外に出すな」というようなものはへっちゃらで、
どんどん、どんどん発表するようになってきました。
岩上:あ、変わってきましたか。
肥田:
ええ。変わってきました。抵抗力がありますよ。ええ。
ただ、一番元の一番大事なその部分については彼ら自身も知りませんからね。
文書で残っていない訳だから。
ただ、昔の人から口伝えに「ひどい事があったよ」という形でいわれたんで、
その証拠がないんですね。
岩上:
一番の元のところというのはどういう意味ですか?
つまり、そうやってマッカーサーに封じられたと
肥田:そうです
岩上:
そういう事ですか。ははぁ。
だから、ま、知らないままという。我々もそうですけれども、
現実にはどういう事だったのかと。
で、今は、何かの縛りがあるという訳ではなく、
その影響下でずーっと習慣づけられてしまって、ま、僕らも含めてですけれども。戦後世代というのは。
そのまま従属する事が当たり前という、
アメリカに従属する事が当たり前、それ以外の選択肢は知らないという。
国も民も官も全部そうなってしまっている。
そういう事なんでしょうかね。
肥田:
そうですね。
で、まぁ、自衛隊という重たいものが一つできて、
で、この中に非常に好戦的な、「あのころの日本は間違っていなかった」みたいなね、
そういう事までいうグループまで堂々と出てきて、
だから、ま、軍隊である以上当然戦争を肯定するしね、
場合によっては、ある時は戦わなきゃならんみたいな事を、当然言わなきゃ兵隊の教育にならない訳だから、
ま、そういう方向に向かって、残念だけど、
66年の中で必ずしも平和平和と言っていられない要素が大きくなりつつあると。いまも。
そういう中で我々は、将来の核問題をね、どういう形で納めて行ったらいいのか。
あの、いちばん、いま、こう、69Dayって言って、8月6日と9日に駅で核兵器廃絶の署名を取るという
ま、平凡な核兵器廃絶運動をずっとやっています。
岩上:何ディ?
肥田:
69Dayっていって8月6日と8月9日、広島と長崎の
6と9の日に駅前に行って核兵器廃絶の署名を集めると。
これは日本全国に、津々浦々に、こう、根があって、
まぁ、盛んなところもあれば、思い出したように時々やるところもあるっていう程度に
日本全国にありますね。
で、そういうところでね、何にもよく分からないけれどいい事だと思って、
核兵器はね、話し聞いてみれば「そんなもの日本には必要ないわ」っていうんで、
単純に運動に参加してやるお母さんや、おじさんがいるわけじゃないですか。
こういう人がね、書いてもらう時に、たまたま相手の人がね多少詳しい人がいてね、
「私はあなたと同じように核兵器を使うという事は絶対にいけないと思っています」とね、
「しかし、核兵器をいくつかの国が持っていたために、核戦争という事が起きないできたことも事実だ」と
「だから核兵器は使っちゃいけないけれども、持っているだけならば害はないんじゃないか」と。
「だから私は完全になくそうという事には必ずしも賛成できません」って言う人がいたとすると、
この、署名をもらうと思っていた事が、
「それ違っています」という事が言えないんですね。
わからない。
でも、内部被ばくをちゃんと勉強した人は
核兵器を持つためには、ま、相手がある事だから、
必ず相手よりも、毎年いい物を作るという競争がないと、
「昔の核兵器を持っている」 からじゃダメなんだ。
そういうためには、新しいウラニウムという鉱山を 掘らなきゃならない。
そして掘ったものを工場に持って行って、精製するという作業があると。
で、また、そこで出来たものをまた別の工場へ持って行く運搬という仕事がある。
そのどの段階を通じても、その周りに、人には分からない形で、被曝の病気が起こるんですよ。と。
そしてその中に死ぬ人も出るんだと。
だから、現に日本の国の奥さん方がなる乳がんの数は、
戦争が終わった年から50年経った1995年にはね、
いくつもあるけど、
5.7倍っていわれるのが、普通いわれる。
こんなに増えていると。
その増えた中に、平和のために電気を起こすと言われた原発からね、
これだけは出してもいいと法律で認められて漏らしている放射線が、そういう人を殺してきている。
そういう研究がアメリカで出て、今の。
これは、今、世界中で公認になってきていますと。
だから、持っているという事はそれだけ相手よりもいいものを作るという事をやる限りは、
日本人の中に、何人殺されたんだかわからないけれども、
乳がんという形で殺される人が毎年、
つまり、そういう発電所がなければ、乳がんにならないですんだ人がこんなに沢山死んでいくという事を考えたら、
そんなために核兵器を作るという事はやっぱり許せないと私は思います。
と、言える人間が何人いるか。
ほとんど勉強していませんからね。
内部被曝のことでちゃんと物を言える大衆っていうのが、
幹部が勉強していないんだから、誰もいないでしょ。
岩上:
確かに。それも色々と本がないと、勉強する機会がないと、
それは本当に難しいことだと思うんですけれど。
肥田:
そういうのがだから、僕と鎌仲っていう女性が書いたね、復旧番の780円のあの本で読んだ方は、
若い人達はあれでよく分かりますね。
あれは私も、あんなに売れるとは思わなかった。びっくりしちゃったんですけど。
(肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威』ちくま新書)
あのおかげでね、沢山の福島の若いお母さん方が随分勉強されて。
でも、あれで勉強したから、みんな元気が出ちゃったなんていう事はなくて、
余計心配になっちゃった部分があるから、
何とかその人達にね、「心配するな」という話しを広げなくちゃいけない。
岩上:
「心配するな」という話しというのは、
やっぱり、内部被曝というものを非常に恐れている訳ですよね。
肥田:そうです。
岩上:
先生は今、福島を中心として、福島だけじゃないですけれどと、
先程申し上げましたように北関東も首都圏もそれから東北はもちろん北の方もかなり広域に汚染されていると。
そして全国各地に汚泥や焼却灰とあるいは腐葉土とか、それから農作物ですね。
いろんな形で二次的に汚染の拡大という事が広がりつつある。
また、広げようとしている。国策として。
あれは多分諦めさせるためだと思うんですけれども。抵抗をね。
希釈の名のもとに広げさせようという愚かしい事をやっている訳ですけれども、
恐れている多くの、とりわけ若い女性やお母さん、お子さん、
こういう人達にどういうアドバイスが可能なんでしょう?どういう事があるんでしょう?
まず、逃げるという事があるんでしょうけれども、
逃げるということのために途方もない犠牲を払わなければならないのですから、
土地、家を捨てるという、
肥田:
公の場で、安全だってみんなが言っているのはね、
一つは逃げること。
もう一つは汚染したものを食べない努力をすること。
この二つが安全に生きるための最小限の条件だ。みたいなことを、
ま、一般に誰でもがそういう訳ですよね。
で、わたくしはね、たとえば福島県のいくつかの大きな都市の住民でね、
「はい。明日からそれが出来ます」という家族は何家族いるのかと。
おそらく、大部分が出来なくて、
ごく一部が、多少いろんな無理がありながらも、ま、今までどこかへいってきたと。
その大部分の人にできない事をね、
「それしかない」みたいな言い方をすることは犯罪だろうと僕は思うんですよ。
みんなにできることを言わなくちゃいけない。
もし、みんなにできない事が、できない理由がもし、お金だったら、
全部にお金を出してやらせるとかね、
お金だけじゃない。
仕事とかいろんな事があってね、そう簡単には移るなんていう事は出来ないだろう。
だから、アメリカの、
日本にいた当時のアメリカ人に80キロ以上は逃げろと。
これは、根拠がある数字なんですね。
アメリカの学者が書いた、
アメリカの乳がんが戦後増えたその一番大きな原因は、原子炉から100マイル以内にある郡、
アメリカの州の下にある郡。
その郡に住んでいた人がみんな高くなっていると。
で、100マイル以遠に住んでいる人の群には高くなっているところは一つもないと。
それは全部横ばいか、むしろ下がっているというようなのを、統計的に大作業をやって
それをちゃんと見付けた学者がいるんですね。
岩上:これは何ていう本、あるいはなんていう学者ですか?
肥田:
あのね、僕が一番最初に訳した時は・・・
ごめんなさい準備しとけばよかったーー探しに席を立つーー
27:25
肥田:
これが、その乳がんの本。
初めに訳した本です。

これがだから、そういう意味では、非常に僕らが衝撃を受けた本なんですけど。
あの、たんぽぽ舎っていうのが、
原発関係をずっと勉強してきたり反対してきたりしている運動のたんぽぽ舎っていうところに出入りしている、
千葉に住んでいる女性がいるんですけれど、
その人がこの本に非常に感動して、
これはね、私が大阪裁判で、はじめてあった集団訴訟の最初の判決で勝った時のものですけれども、
その裁判の資料としてね、これを出しておいたんですよ。
原書とこの訳書とをね。
そしたら、裁判官がこれをずっと読みましてね、
ぼくの、こういう訳でこの人の病気は明らかに放射線の影響があると。
「内部被ばくはない」と、政府がいう患者のこの人は、間違いなく放射線の影響がある。と
言った、僕の説明した言葉の裏付けが、
この本の何ページのどこどこにこういうふうに書いてある。
だから、肥田ドクターの証言は非常に貴重だということで、
僕を勝たした、勝利判決の中に書いてあるんですね。
それを読んで、その奥さんはね、この本を探したんですね。
もう絶版になっていてなかったのを、その裁判に関係したある弁護士さんから
「自分が持っているよ」というんで、一冊見せてもらって、
それをね、僕のところに来て、「これを再販したい」って。
「どうぞご自由に」っていうんで、やったんです。
それでもっと沢山の人に、こういう優しい装丁のね、安い本で出回っています。
岩上:これと同じものですか?
肥田:
それとは別の物です。
これと2冊が、アメリカの内部被曝の中心です。
岩上:
J・M・グル―ト(ジェイ・マーティン グールド、Jay Martin Gould、)さんって言う方が、あれなんですね。
この、共通の人ですね。
内部の時と死に至る虚構
「国家による低線量放射線の隠ぺい」
まさに今話しているテーマそのものですね。国家による隠ぺい。
肥田:そうです。
だから、時間がかかればね、だんだん、私の見方をする医者も発言し出す、勢いが良くなればね。
具合の悪い時は黙っている(笑)
そういう風な勢いがついてくると、どう考えたってこっちの方が正しい意見ですから、
正しいものはやっぱり、間違ったものを克服していく。
ま、法則的にはね、いく筈だと思っています。
だから、後何年か経てば、そういう勢いの中で医学がね、
やっぱり分子段階の変化を学ぶ方法をね、見付けだすだろうと。
いまだって、ま、あんまりよく分からなくても遺伝子なんて事は、もう常識的にずっと言われるようになってね、
岩上:
でも、遺伝子治療というような事が言われているのに、なかなかたどり着かないですね。
その、
肥田:
またね、機械屋の方が放射線とかに対抗するものをどうやってか、ひねり出して、機械でそういうものをね
提供するって言ったらものすごい高い事になるから。安くはない。
だから、こんなものが出れば出るほど厚生省が心配する医療費を圧迫するようになるでしょ。
自分が開業して、ま、一年にこれ使うのは1人か。っていうのでも
やっぱり持っていないと具合が悪いじゃないですか。
大病院は買おうとする。
その資本をかけちゃったら、もったいないから、
一年に1人じゃダメだ。毎月一人やれ。なんてね
必要ない人までざーってやるようになる。
岩上:
あの、先生。そこにお手持ちにあるのは、さらにまた、ご翻訳された本ですか?
これ、よろしいですか?ちょっとすみません。

「低線量内部被曝の脅威」あ、これもジェイ・マーティン グールドだ。
これは、こちらにある本を翻訳し直したんですか?
肥田:
そうじゃなくて、これは別個のね、ジェイ・マーティング、あ、グルドですか。
これ(最初の本「内部の敵」)の中身です。これと同じ。おんなじもの。
今度高い本、こんな恰好で売って、この方がどんどん売れてるという・・
岩上:
なるほど。あ、そうなんですか。
こちら、5200円っていうのがこれなんですね。
肥田:
中身は同じです。
ただ、訳文がこっち(最初の本「内部の敵」)は私一人で訳したんだけど、
これは「低線量内部被曝の脅威」もっと、訳の上手な人が集まって、
これ(「内部の敵」)をもとにしてなおしてくれたんですね。すこし。
岩上:なるほど。ははぁー・・
肥田:
「低線量内部被曝の脅威」は今売っていますけれども「内部の敵」はもう絶版で無いんですね。
岩上:
あ、そうですか。
あ、ほんとだ。そうですね、同じですね。
ちょっとこれ、これですね。

「低線量内部被曝の脅威」―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録
The Enemv Within って書いてありますね。これがタイトルなんですね。
これは今、みなさんが読もうと思えば読めるんですね。
肥田:はい。
岩上:
これはじゃ、私も入手したいと思います。
この「死に至る虚構」というのがそれなんですか?
肥田:
これはね、それと違って・・
えーっと、それ(「死に至る虚構」)は今あるかな?
一冊。これは、簡単な奴があるかもしれないから、
ーー肥田先生席をはずすーー
岩上さん、先生の本を見ている。

肥田:
ごめんなさい。
その本を沢山作ってね、広めてくれた女性の方のが、一冊残っているかと思ったら、
みんな差し上げちゃって無かった。
岩上:これは先生、また別の本なんですね。

肥田:
これはね、ペトカウっていうカナダの医者なんですけれども、
これがね、内部被曝の危険性を理論的に証明した、最初の実験をやった男なんです。
というのはね、ま、難しいから僕もよく分からないんだけど、
エネルギーっていうのは、大きな力を加えれば、大きな影響が出る。
というのが常識でしょ?
岩上:常識です。
肥田:
ぶんなぐるのに、げんこつよりも鉄でひっぱたいた方が、ねッ。
ところがその人はね、偶然なんですね。
エラーでね、見付けたんですけど、
要するに、放射線と人間の命の関係で、一番問題になるのは、
内部に入った放射線が、その細胞の
細胞っていうのは細胞膜という非常に強い防衛力を持った、ま、皮といわれる、
皮じゃないんだけど、分子が非常に密接になっていて、
そこの間の引力みたいなものが非常に強いために、物が入れない。
その細胞膜を放射線が、
どれぐらい強い力を浴びせたら細胞膜が破壊できるかという実験をやっていたんですね。
それで、細胞膜は、虫の脳のね、ある細胞を取って、
ごく小さなものにすごい放射線、レントゲンをかけて
どれぐらいの時間、どれぐらい強力にかけたらっていうのをずーっとやっていてね、
そしたら、その実験の入っている、脳の組織そのものが何かの間違いで下におっこってね、
下にはちょうどね、軽い放射性物質の溶けた液体があったんです。
ま、水ですね。
その中に、ジャボンとおっこっちゃったわけだ。
で、ま、しょうがないって諦めて、また始めからやろうとして、
ひょっとね、
この中に入ったそれ(水の中に落ちた脳の組織)にレントゲンをかけたら
どれ位で壊れるかっていうのをやったんですね。
そしたら、非常に弱い放射線をゆっくりと長い時間かけてやった方が
強いのをかけるよりも、簡単にこれが壊れる。っていうのが分かったんです。
一回そういう事があったから、何回もやって確認したんですね。
そして今度は、いろんな細胞膜、変えたものを使って、
放射線の溶けている量を薄いのから濃いのに変えたり、いろいろして、
薄い時は余計に時間がかかる。
濃い時は短い時間で、と、いろんな組み合わせでやって、
結果は、
放射線量を少すればするほど、長時間かけて壊れると。
いう事を、成功したんです。
それで、それを発表したら、アメリカがすぐに「キチガイだ」っていうんで発表させない。
彼はね、カナダの原子力工場に勤めていたんです。
それで、その学者でね。
で、ま、力はないんですね。
だから、アメリカとカナダから締め付けられて、全部論文は没収されて、発表が出来ない。
ところが、彼は悔しがってね、
肉質で書いたやつを手紙にしてね、ほうぼうの外国の友達に送ったんですね。
その連中がビックリしてね、これはノーベル賞いくつあっても、だっていうんで広がってきて、
アメリカにも上陸して、アメリカの学者の中で、それを素晴らしいって言ってね、
自分が今までやった論文の裏付けにそれを使ってね、
徐々にしあげたらいろんなのが出てきたわけ
で、ぼくはそのペトカウっていうのは、後から使用した人の本に書いてあって知ったんですが、
この人そのものの論文をつい2年ぐらい前に取り寄せて、いくら読んでも分からないんですよ。難しくて。
第一訳がないから訳せない。すごい難しいんですね。
でも、友達に読んでもらって、訳してもらったら、意味は分かるんですね。
今僕が言ったようなそういう原理で動いている。
岩上:
社会をダメにするのは、むしろそんなものですよね。
よく、茹でガエルとか言いますけれど、
熱いお湯の中にカエルを入れるとピョンって飛び出しますけど、
ゆっくりゆっくりと温めていくと、カエルは飛び出さないで茹であがる。
いまの日本国民のような話しですけれども、
だらだら、だらだらとしたこの社会の停滞の中で、デフレが続きながら、
だんだんと、こう、ダメになっていくような、
肥田:その人の
岩上:たとえが僕は正しくないかもしれないですけど、なんか、ありそうな・・
肥田:
だから、その人のそういうのが出てきて、
それを読んだ学者がね、いろいろ、自分の今までの研究に、何処かで役立つかどうかを対比すると、
しかしどうしても説明できなかったある現象が、
それを利用するとね、ウソみたいに明快に解る。というような事があって、
その人の価値がずっと上がってきて、
つい、2年ぐらい前かな、亡くなったんですけど、
その人のスイスの弟子がね、書いたのがこの本なんです。
「The Petkan Effect 」ペトカウ効果
岩上:スターングラス(アーネスト・スターングラス)っていう人がその人の弟子なんですか?
肥田:そうそう。
監修して、訳をこの人がスイスの、・・これにはなんて書いてある?
あ、ラルフ・グロイブ っていう、これが訳したんですけれども、
このアーネスト・スターングラスが私がアメリカで教育を受けた世界的なオーソリティなの。
これはまだ生きていてね、で、この人にいろいろ援助したんですね。
岩上:グロイブに援助したんですか?
肥田:
そう。
スイスの中で起こる具体的な放射線の、
スイスの中にも原発がありますからね。
その、原発の事故をめぐったいろんな裁判などに、この人は関わって、被害者の方の弁護をしている訳なんだ。
それに、スターングラスの書いた昔の論文だとか、いろんなものが役に立つんですね。
そんな関係で、やっぱりスターングラスの弟子という格好になっている。
だから、いろんな人がみんなそうなんだ。
最後はスターングラスがね、元になるんですね。
そのスターングラスの一番元が、このペトカウなんです。
岩上:
ペトカウ。
スターングラスが弟子なんですね
肥田:
勉強したのは、このペトカウの理論。
今は、ペトカウって言っただけで、顔をしかめる学者が沢山いるわ。
岩上:あ、そうなんだ
肥田:反対側はね。
岩上:反対側ね、ああ。
肥田:また、あれ出しやがった。って言うんで。
岩上:
なるほどなるほど。ほほー。
これは反証されているんですか?それともペトカウというのは認められているんでしょうか。
どうなんでしょうか。
肥田:アメリカの学会は終始一貫認めていない。
岩上:認めてないんですか
肥田:
ただね、原発の放射線を今年はどこまで認めるかっていう会議があるのね。
放射線防護委員会。
岩上:ICRP
肥田:はい。
あの委員会でね、何回かの時にペトカウの考え方を発表した学者がいてね、
「これは基本だから、今後この考え方に沿って論議をしようじゃないか」みたいな事を言いだして、
みんなが寄ってたかって反対して、ま、その時はおさめた。
次の時にそれに賛成する議員がうんと増えてきて、
で、とうとうね、ペトカウを呼んでね、あの会議でね論文の趣旨を話させた事がある。
そこまで、きたんですね。
で、それを聞いた。ま、聞いただけじゃ分かんないから、追試したり、いろいろするっていうのがあって、
「無視できない」という考えが、あの委員会の中でも大きくなったんですね。
だからアメリカは自分の牙城はペトカウ理論で侵食されつつあると、いうのを認めている訳なんですよ。
でも、古いのに頼って、昔の論文をこうやって(押す仕草)まだアメリカは頑張っているんだよ。
その頑張っている医者に、勉強してきたのが帰ってきて、
日本を、厚生省を支えているわけだ。
岩上:なるほど。
なんでそんなに頑ななのかっていう・・そこが何なのかは分からないんですね。
肥田:
いや、それを認めると、内部被ばくっていう論理を認めて、
そうすると、原発の内部被ばく、
ま、中で被ばくする労働者も含めて、事故が起きれば国民に対して、
政府が何らかの形で保証しなくてはならない。
岩上:そうですね。
肥田:
もう、その経済的な重荷には日本政府は耐えられませんからね。
頭っから「無いように、無いように」。
だから、考え方そのものを無くしちゃうと。
内部被ばくは起きないと。
岩上:
そうなれば原発はやめるしかないし、やめれば済む話しだと思います。
現実に原発というのは全然経済的ではないじゃないですか。
実際には、電力構想でね「こんなに安く上がりますよ」って言っているのはウソですし、
実際にはそれとは別途税金で下駄をはかせている訳ですよね。
一般会計からも、特別会計からも。
原発のみ膨大な補助金といいますか交付金が出てきている。
実際にはコストがすごくかかる。
さらには、バックエンド費用もとんでもなくかかる。
核燃料サイクルはできない。
だから、夢のエネルギーという事も出来ない。何にも出来ない。
ま、非常に財政をひっ迫させている。
ほんの一部の財閥とか、東芝、日立、三菱などの、ごく一部を儲けさせているかもしれません。
なんで、そんな偏った事が起き続けるのか、
すごく不思議です。
肥田:
なんか、やっぱり、ま、私は専門家じゃないですけれど、
明治の頃にね、中世を支配していた封建主義社会、それを支えた経済政策では経済が動かなくなって、
それで、ま、資本主義を導入する。
早いか、遅いか、みんな始めたと。
それで資本主義は初めは、本当に花がこぼれる様な素晴らしいいろんなものを人類に与えたし、
みんな夢中になってその恩恵に浴したと。
だけど、ここまでくると、もう、何やってももうダメだと。
欧州でもダメ、アメリカでもダメ。日本でもダメと。
だから結局新しいところに入っていくと、その先駆けみたいなものが社会主義だったと。
ところがその社会主義経済は、ソ連というバカが出て、本当の社会主義にしないで、
権力持った人間がね、富を独占したああいうパッシング効果を作っちゃったということで潰れたわけですよね。
だから、社会主義そのものが潰れたんじゃなくて、運用した人間の間違いでそうなったんだけど、
まだ、人類全体が社会主義がやっぱりいいんだというようにはならない要素がいっぱいある。
むしろ資本主義の中でそういうのが出てきちゃ困るというのが色々と反対してきた。
そういうことでまだ完全に社会主義の方がいいっていうのが圧倒的な力になっていない。
むしろ、大衆的には「あれはもうこりごりだ」と。
ソ連と、今の中国だって、危ないもんだ。というところにきている。
だから、これからどういう新しい経済政策を作っていくのかっていう、
今ちょうど、その、陣痛の始まりみたいな時期ですよね。
だからこれから、30年50年かけて、
どういう風な経済政策にしたらどこもかしこも上手くいくかというのが
理論的にも実践的にも作られる時期だろうと、私は想像しているんです。
だから、まだそれに決定的に「これだ」というものはないけれども、
最近理論的にはね、やっぱり、マルクスがまた、評価されて、
マルクスが越えられないと、哲学的にはね。
という状態になっているように僕は理解しています。
ただ、マルクスのとうわ唱えたマルクスレーニン主義というのに基づいた、彼らが考えた経済構造は
ソ連が手をつけて、間違えて、ま、つぶしちゃったと。
中国が今似たようなことで、自由主義的な傾向を力で押さえつけるという
なんていうか、ま、弱点が出てね、これもわからん。
だからこれからだと思うんでね。
ただその中にマルクスの言った
唯物弁証法(ゆいぶつべんしょうほう、Materialistische Dialektik)という哲学が
これは人間に越えられないという認識に、
大体アメリカのきつりゃく(?)を含めて大体にはなってきているようには思います。
それはわたくしが感じるだけで、それは分かりません。
ただ、マルクスに変わってね、今のところの疑問を解き明かす
そういう新しい資本主義の次の理論はまだ出ていないですね。
岩上:
そうですね。
確かに間違いなく、マルクス・レーニン主義のあの悲惨なね、結末というか。
僕はソ連の末期からロシアに6年位行ったり来たりしながら、取材して本を書いたりしたんですけど、
実像を見て、本当におぞましいなと思っています。
それで、チェルノブイリの果てにあれはつぶれちゃったのですけれど、
その時のね、ソ連政府のやった事よりも今の日本政府のやっていることの方が、
遥かに閉鎖的ですから。情報開示しませんし。
もっと、げんなりしているんですけれども。
もっとひどいなと思っているんで、それ以下かと思うと本当に落ち込むんですが、
でも、もう、新自由主義ももうなにもバラ色でもないし、プロポリズム(?)も世界中で搾取を強めているだけで
いたるところで、それこそ本家本元のアメリカの中で、座り込みやデモや始まってて
肥田:
ま、ここ2~30年の間にやっぱり、いいものはいいという形で出てくるんだろうと思うんですよね。
岩上:
その大きな社会理論というのはたしかに先生のご専門ではないから、
この問いかけは違うのかもしれないんですけれども、
ただ、こういう、その低レベルの放射能、何て言うんでしょう、慢性的に低線量のを浴びるというのは
これは今100ミリシーベルト以下は安全だというような事を山下さんとか言う訳ですけど、
安全なんじゃなくて、むしろかえって危険が高まると。
これは今、たとえばいろいろなメディアが含めて、福島原発の事故以降ですね、いろんな議論をしていますけれど、
あまり出ていないですよね、この話は。
肥田:出てない。まだまだ広まってないです。
岩上:広まっていないですよね。
肥田:ほとんどが、アンチ。このグループがほとんどですね。
岩上:
あの、ECRRっていうのがございますでしょ。ヨーロッパの。
ECRRのクリス・バズビーっていう人がこの前来日しましたし、
私もインタビューしたんですが、
内部被ばくの危険性は600倍だとか言ったりもする。
ちょっと極端にも聞こえるんですね。ECRRの言っている事。
クリス・バズビーとかその他の人達の言っている事は非常に極端だと言っている人たちもいるんですが、
先生は、その内部被ばくを重く見るECRRの考え方や
クリス・バズビーの考え方というのはどういうふうにお考えですか。
この人達と、やっぱり、関連があるんですか?
肥田:
ま、日本の中にね、初めこれで衝撃を受けて、
大体指示してきたい学者の中にね、
やっぱり、これでは不十分だというふうになった人もかなりいてね、
で、否定をするんじゃなくて、この考え方の何処か延長線上にね、
もっと根拠のある理論が、これから出るんじゃないかっていう期待をしているという人も沢山います。
ただ、わたくしは実践的に被ばく者の中にいて、
被ばく者の具体的な毎日の困難に対応する中でね、何かの支えが欲しくて、
要するにどっち向いても「内部被ばくなんていうのは世の中にないんだ」と
被害は、そんなものは嘘だっていうような、
それでは対応が出来ない訳だから、
そう思ってこんなものに手をつけて、支えを見つけてきたんですが、
私自身は学生じゃありませんから
沢山の本をみんな読んでね、比較検討しながら、自分の学問をまた深めると。
いう立場に全くないわけですね。
臨床で時間とられて、「今日これどうする?」っていうところで動いてきたわけですから、
だから、そういういろんな学者の方々の論争の中に入って、
私が何か少しでも役に立つような理論をできるかっていうと、
それぞれの理論の中で一番具体的に私が見た人が、合いそうなのがね、この人の理論だと。
は、言いますね。
岩上:実感として。
肥田:
ええ。実感として。
どこがどう正しいかは分かんないけれども、
診た症状の経過から言ってね、
この理論に一番私はすがりたい時はすがると。
ま、それだけではダメだろうけれどもね。
岩上:実感に合うと。そういう意味では誰が実感に合うんですか?
肥田:
やっぱりグルド(ジェイ・マーティン グールド)の、その考え方は、アメリカの状態を問う計で分析してね、
で、それはやっぱりこういう事が原因なんだろうと、いうふうに仮説を立てると、
一番よく説明が出来ると。
岩上:
えっと、質問
先生、ちょっといいですか、
肥田:はい?
岩上:あの実はですね、
ーーーーー質問コーナーに移ります。このアーカイブはここまでで終わりです。
続きのアーカイブと文字起こしはこちらです↓
肥田舜太郎&岩上安身 10/6(最後の部分の内容書き出しました)
<参考>
都築正男
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/09 07:00 UTC 版)
都築 正男(つづき まさお、1892年(明治25年)10月20日 - 1961年(昭和36年)4月5日)は日本の医学者。
「原爆症研究の父」と呼ばれる。
ーーーーーーー
グールド,ジェイ・マーティン
1915年生まれ。
コロンビア大学で経済統計学博士号取得。
1955年、最高裁判決にまで発展した有名なブラウンシュー事件で専門家証人として司法省に雇われ、
統計学者としての地位を確立。
以後、30年以上米国のオクシデンタル石油、グレイハウンド、エマーソンエレクトリックなど、
主だった反トラスト訴訟の専門家として活躍。
一方、情報関連会社であるEIS社を設立。ビジネス成功後、自社を売却するが、
その直前に自らが開発した工場施設データの有用性が買われ、
米国環境保護庁(EPA)の科学諮問委員となる
ーーーーーーーーー

「公の場で、安全だってみんなが言っているのは
一つは逃げること。もう一つは汚染したものを食べない努力をすること。
この二つが安全に生きるための最小限の条件だと、一般に誰でもがそう言う。
たとえば福島県のいくつかの大きな都市の住民でね、
「はい。明日からそれが出来ます」という家族は何家族いるのかと。
おそらく、大部分が出来なくて、その大部分の人にできない事を、
「それしかない」みたいな言い方をすることは犯罪だろうと僕は思うんですよ。
みんなにできることを言わなくちゃいけない。
みんなにできない事の理由がもし、お金だったら、全部にお金を出してやらせるとかね」
原爆投下直後の信じられないような悲惨な状態から、いま、福島の事故が起き、
政府の対応、世界の見方、
事実を直視してこられた肥田先生の深く広い考え方。
もっともっと、先生のお話しを聞いていたい。
私自身とても勉強になりました。
そして、改めて考えさせられることも多かったです。
このような有意義なインタビューをして下さった岩上安身さんに感謝したいと思います。
心をこめて文字起こししました。本編だけで4部に分かれています。
お時間がある方は、アーカイブで声を聞いて、表情を見ていただきたいと思います。
No4 アーカイブ2 最初~最後まで
・核武装を支持する勢力
・慢性症状を公に文書で発表すた医学者都築正男
・内部被ばくをきちんと知れば核兵器は許せないとちゃんと言える
・原発から100マイル以内では乳がん増加の根拠を見付けた学者ジェイ・マーティン グールド
・内部被ばくの危険性を理論的に証明したカナダの医者ベトカウ
・内部被ばくをかたくなに認めようとしない理由
・今は新しい経済政策にむかう陣痛の始まりのような時期
No3
肥田舜太郎氏×岩上安身No1(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎氏×岩上安身No2(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎氏×岩上安身No3(文字起こし)2011年10月6日
肥田舜太郎&岩上安身 10/6(最後の部分の内容書き出しました)
続きを読むに

肥田:
その抑制で、アメリカには向かう勢力にはなりっこないと
アメリカを助けてアメリカの手助けをする武装力として育つ方針として指導すると
いうことだけをやって、そういう勢力がずっと進行してきたと。
それほどまだ、決定的に強くなっているとも思いませんけれど、
かなりの、官僚の中にとかね、いろんな社会の中にそういう芽は沢山ありますね。具体的に。
岩上:
そういう芽があると、通常兵器の戦力強化という事じゃなくて、目指すは核兵器で、
核武装で、その核武装に至るためのプロセスとしてですね、原発の位置があるというふうに、
国の中枢の何処かで、
肥田:
そりゃぁね、プルトニウムをね必要もないのに沢山保存していくと。
六ヶ所村でね、ちゃんちゃんと、その、手は打ってきていると。
いう、たとえばボンジョなんか見ても、全く平和な世の中に必要のないああいうものを、
もの好きにね、よその国で大金を使ってやっているという中には、
終局にやっぱり、核武装した時の具体的に自由になるプルトニウムを
どれ位蓄積するかというような考えが、どっかの誰かのそこにいくつかあって、
それが一つの方向に行くような根がある。
だから、どんな場合にもそれはゼロにならずにね、
必ず生きて政策の中に少しずつ残っていくというのを繰り返してきているわけです。
だから、必ずそうなるとは思わないけれども、
そういう勢力がブレーキになって日本人のいろんな困難をね、作りだしているという事は言えない事はないと思う。
岩上:
でもそういう核武装を目指そうという勢力というのは、
核武装によってですね、世界から決定的に自分で自立できる、
今の斉唱国や核保有国が持っている、ま、
あの、常任理事国がですね、持っているような決定的な力を得ようと思ったら、
何よりもまずは、早い話しが、アメリカとですね、事を考えるといいますか、
ソ連とアメリカが核の均衡をしたようにですね、アメリカに対して自立して、
アメリカに対して今まではずーっと言う事を聞いて、ま、頭から押さえつけられてきたけれども、
今度はそうはいかないぞと。
いうような思想に・・
肥田:
それはないんじゃないですか。
ぼくは、逆だと思って、
岩上:ということは
肥田:
あくまでもアメリカに核武装を納得させて、
アメリカの承認のもとで、アメリカの勢力の一環としてね、核を持つと。
で、アジアのそこら辺のちょこちょこした事はアメリカの力を借りなくても、
日本の独自の、ま、脅しとね、
時には、いざとなれば小さな核兵器ぐらいは使って、言う事を聞かせていくと。
いう範囲のね、抵抗じゃないかと僕は思っているんですけど。
岩上:
それは、そうだとしたらですね、ま、アメリカの下っ端といいますかね、いう事で核武装していくと。
これは逆を言うと、アメリカから見た時には、
アメリカは日本にわざわざ、これ、アメリカも日本にわざわざプルトリウムを許可してもたせている訳ですから、
その飴玉みたいなものを、おもちゃみたいなものを持たせているというのはですね、え・・
肥田:
ま、可能かどうかは分かりません。
だけど三菱自身が自分で作れて、明日でも作ってみせるという位の力を持っている訳ですからね、
絶えず向こうの物を修理したり、
あるいは向こうの設計通りの物を作ったりは、もう、しているわけだから、
三菱に言わせれば
「アメリカの物より、もっともっと日本の方がすぐれたものを作るよ」っていうような事を公言する社員もいますから、
岩上:
という事は、でも、アメリカの戦略のね、捨て駒にされる可能性があるわけです。
つまり、結局はアメリカにくっついて、アメリカの承認のもとの核武装という。
で、その時に核戦争の危険性をむけるのはのはどこに対してかと言ったら結局中国とかでしょ。
でも中国は遥かに、その何て言うんですか、大国である。
肥田:
もう、その頃はね、そこに足がかかったら、
ま、治安維持法に似たようなものが別の形で出来て、
反政府行動っていうのが、要するに、実刑を持ってね取り締まられるという段階が日本にくるんじゃないんですか。
今のように憲法を守りましょうとか、どうとかいう運動が自由に野放しにされた中でそんな事は起きっこないから。
だから、強圧な戦時国家みたいなものをね、やっぱり、役人は準備していくでしょうね。
岩上:ま、その萌芽というものは今日見られるような気もするんですけれども、
肥田:
ま、それは、私個人の想像みたいなものだから、
べつに確証があってね、そりゃ、いくつかの事例をこう、つなぎ合わせれば、
そういう芽ですよって言えない事ではないけれども、
まだそんなことね、危なくなるから気をつけましょうみたいなね、
いう事を言ってあるく時期ではまだないと思っているけれども。
やっぱり今やるのは、これから起こるかもしれない
福島の子どもたちのね、これから起こってくる・・・・・・・・
内部被曝の、慢性症状が始まった場合に、
どういう対応をするかという準備をね、日本がね、政府が中心になって立っていないと、
誰にもどうする事も出来ない。
みんなが慌てるだけで、、お医者はお医者で、診にこられたって何の事やらわからない。
だからね、
岩上:先生、慢性症状に対する適切な治療方法というのはないんですか
肥田:ないんです。
岩上:
ないんですよね。
という事はここから離れること以外に手はない。
肥田:
ええ。
だから、その慢性症状という事も、
権威のあるちゃんとした公の文書の中に発表した医学者は、
一人いるだけです。
ん・・あの・・・戦後
まだみんながひっくり返って死んでいる時期に広島にきてね
放射線の影響はストロンチウムというのが骨に沈着してね、
骨に集中して、骨自身の中にあるリンという化合物を放射線リンに替えると。はっきり。
だから、人間の造血機能は、骨の真ん中の中空になった
管の中である骨髄というところで血液を作っているわけだ。
その血液を完全に作っている周りの側の骨自身が、リンが放射性リンに変わったために
造血機能を働いているその血液作りのそのものが、
自分の側の持った放射線で持続的に被ばくさせられるような状態になって、
だからそこで出来る血小板だとか云々とかいうものが
みんな死んでお釈迦が出来てくると、
で、正確な力が出来ないために、いろんな種類の貧血が起こったと。
だから、血小板減少性というのは、紫斑が出て、結局血小板が足りないための粘膜出血でみんな死んでいくと。
それから、白血球が足りないというのは、はっきり細菌との戦争が出来なくて、
逆に細菌に食い殺されるという形で、腐敗が起こったり、いろんな病気が起こると。
そういう事まで、アメリカの進駐する一か月ぐらいの間に、
そういう事をちゃんと研究して、発表した東大の教授がいるんですよ。
で、その先生は、マッカーサーに最初名指しで、もう、やられちゃって、
一切の資料、研究した資料を没収。ですね。
で、もう、その研究は明日から続けることはまかりならん。
岩上:その方はなんていう方なんですか
肥田:うーんとね、都築・・つづきまさおって言ったかな、ちょっと待って。
ーー資料探し中ーー
肥田:
この間来た記者が、「どうしても貸してくれ」って言って持って行ったんだ。
都築博士(都築正男)っていって・・
岩上:その博士の書いた本ですか?それとも別の本ですか?
肥田:
いえ、
この人がね「広島新史」っていうね広島の新しい歴史の史ですね。
「広島新史」っていう上下2巻のね、広島市が発行した報告書があるんですよ。
原爆の被害の。
その下巻の方だったと思うけれど、
後半の一番後ろに、その人の書いた原爆に対しての、ま、いろんなところに発表した論文がね、
10いくつ集団で載っているんです。
その中の一つに、慢性症状と名付けて、
要するに不思議な、あとあと症状が出たと
その事を慢性症状というようにひっくるめて、
いわゆる急性症状、私がさっき言った、不思議な、
あれと対比するものとしてそういう症状が、慢性症状が沢山の被ばく者に起こって、
治療法がないために苦しんだという、そういう公の文書がね「広島新史」のなかにでているんです。
で、そういう論文はね、あの、日本の一般の企業が出している
医療雑誌に、こう、分けて出されていたみたいですね。
だから、これは何月何日のなんていう雑誌に書かれたっていう根拠もちゃんと出ています。
ぼくも、「広島新史」っていうのをね、みんなに借りられちゃぁ持って行かれるから
広島に頼んでね欲しいと思っているんだけども、
もう広島にもないんでしょうね、おそらく。
岩上:ちょっと、探してみます
肥田:ええ。
岩上:都築先生というのはもうお亡くなりになっていらっしゃるんですよね。
肥田:都築さんはね。はい。
岩上:
あの、そういう方がいらしたという事はしかし、占領政策で言論統制もされて、
あまり広まらず知られず
肥田:そう
で、彼と付き合うとね、どっかの教授は付き合っているとやっぱり、その影響で睨まれるんですね。
だから、彼とは付き合わない様に、付き合わないようにみんなしていった。
岩上:あーーー、
それ、睨まれるというのは占領時代の7年間だけでなく、
その後もずーーっと・・
肥田:
もう、厚生省に引き継がれてからも。
やっぱり厚生省で出世しようと思うものは、
やっぱりその問題でアメリカに建てをつく側に入ったんじゃ、出世できないから。
おべんちゃら言う方に入っていく訳ですよ。
岩上:
厚生省に引き継がれるというのはABCCの?ってことですか?
放影研(放射線影響研究所、広島市南区)の
肥田:
そう、放影研の
もう、これは、もう、その後日本の国が半分金出して、
アメリカが半分出して、放影研というのに引き継がれて、
どこからか、アメリカが手を引いちゃって、今は日本だけになっていると思うんですよね。
岩上:
日本は何で独立が出来ないんですかね。
やっぱり、結局安保条約が根っこにあって、
肥田:
でしょう。
だけど、もう、実際のね、放影研に働いている若い人たちの中には
そんなことはお構いなしに、厚生省が「こんなものをあんまり外に出すな」というようなものはへっちゃらで、
どんどん、どんどん発表するようになってきました。
岩上:あ、変わってきましたか。
肥田:
ええ。変わってきました。抵抗力がありますよ。ええ。
ただ、一番元の一番大事なその部分については彼ら自身も知りませんからね。
文書で残っていない訳だから。
ただ、昔の人から口伝えに「ひどい事があったよ」という形でいわれたんで、
その証拠がないんですね。
岩上:
一番の元のところというのはどういう意味ですか?
つまり、そうやってマッカーサーに封じられたと
肥田:そうです
岩上:
そういう事ですか。ははぁ。
だから、ま、知らないままという。我々もそうですけれども、
現実にはどういう事だったのかと。
で、今は、何かの縛りがあるという訳ではなく、
その影響下でずーっと習慣づけられてしまって、ま、僕らも含めてですけれども。戦後世代というのは。
そのまま従属する事が当たり前という、
アメリカに従属する事が当たり前、それ以外の選択肢は知らないという。
国も民も官も全部そうなってしまっている。
そういう事なんでしょうかね。
肥田:
そうですね。
で、まぁ、自衛隊という重たいものが一つできて、
で、この中に非常に好戦的な、「あのころの日本は間違っていなかった」みたいなね、
そういう事までいうグループまで堂々と出てきて、
だから、ま、軍隊である以上当然戦争を肯定するしね、
場合によっては、ある時は戦わなきゃならんみたいな事を、当然言わなきゃ兵隊の教育にならない訳だから、
ま、そういう方向に向かって、残念だけど、
66年の中で必ずしも平和平和と言っていられない要素が大きくなりつつあると。いまも。
そういう中で我々は、将来の核問題をね、どういう形で納めて行ったらいいのか。
あの、いちばん、いま、こう、69Dayって言って、8月6日と9日に駅で核兵器廃絶の署名を取るという
ま、平凡な核兵器廃絶運動をずっとやっています。
岩上:何ディ?
肥田:
69Dayっていって8月6日と8月9日、広島と長崎の
6と9の日に駅前に行って核兵器廃絶の署名を集めると。
これは日本全国に、津々浦々に、こう、根があって、
まぁ、盛んなところもあれば、思い出したように時々やるところもあるっていう程度に
日本全国にありますね。
で、そういうところでね、何にもよく分からないけれどいい事だと思って、
核兵器はね、話し聞いてみれば「そんなもの日本には必要ないわ」っていうんで、
単純に運動に参加してやるお母さんや、おじさんがいるわけじゃないですか。
こういう人がね、書いてもらう時に、たまたま相手の人がね多少詳しい人がいてね、
「私はあなたと同じように核兵器を使うという事は絶対にいけないと思っています」とね、
「しかし、核兵器をいくつかの国が持っていたために、核戦争という事が起きないできたことも事実だ」と
「だから核兵器は使っちゃいけないけれども、持っているだけならば害はないんじゃないか」と。
「だから私は完全になくそうという事には必ずしも賛成できません」って言う人がいたとすると、
この、署名をもらうと思っていた事が、
「それ違っています」という事が言えないんですね。
わからない。
でも、内部被ばくをちゃんと勉強した人は
核兵器を持つためには、ま、相手がある事だから、
必ず相手よりも、毎年いい物を作るという競争がないと、
「昔の核兵器を持っている」 からじゃダメなんだ。
そういうためには、新しいウラニウムという鉱山を 掘らなきゃならない。
そして掘ったものを工場に持って行って、精製するという作業があると。
で、また、そこで出来たものをまた別の工場へ持って行く運搬という仕事がある。
そのどの段階を通じても、その周りに、人には分からない形で、被曝の病気が起こるんですよ。と。
そしてその中に死ぬ人も出るんだと。
だから、現に日本の国の奥さん方がなる乳がんの数は、
戦争が終わった年から50年経った1995年にはね、
いくつもあるけど、
5.7倍っていわれるのが、普通いわれる。
こんなに増えていると。
その増えた中に、平和のために電気を起こすと言われた原発からね、
これだけは出してもいいと法律で認められて漏らしている放射線が、そういう人を殺してきている。
そういう研究がアメリカで出て、今の。
これは、今、世界中で公認になってきていますと。
だから、持っているという事はそれだけ相手よりもいいものを作るという事をやる限りは、
日本人の中に、何人殺されたんだかわからないけれども、
乳がんという形で殺される人が毎年、
つまり、そういう発電所がなければ、乳がんにならないですんだ人がこんなに沢山死んでいくという事を考えたら、
そんなために核兵器を作るという事はやっぱり許せないと私は思います。
と、言える人間が何人いるか。
ほとんど勉強していませんからね。
内部被曝のことでちゃんと物を言える大衆っていうのが、
幹部が勉強していないんだから、誰もいないでしょ。
岩上:
確かに。それも色々と本がないと、勉強する機会がないと、
それは本当に難しいことだと思うんですけれど。
肥田:
そういうのがだから、僕と鎌仲っていう女性が書いたね、復旧番の780円のあの本で読んだ方は、
若い人達はあれでよく分かりますね。
あれは私も、あんなに売れるとは思わなかった。びっくりしちゃったんですけど。
(肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威』ちくま新書)
あのおかげでね、沢山の福島の若いお母さん方が随分勉強されて。
でも、あれで勉強したから、みんな元気が出ちゃったなんていう事はなくて、
余計心配になっちゃった部分があるから、
何とかその人達にね、「心配するな」という話しを広げなくちゃいけない。
岩上:
「心配するな」という話しというのは、
やっぱり、内部被曝というものを非常に恐れている訳ですよね。
肥田:そうです。
岩上:
先生は今、福島を中心として、福島だけじゃないですけれどと、
先程申し上げましたように北関東も首都圏もそれから東北はもちろん北の方もかなり広域に汚染されていると。
そして全国各地に汚泥や焼却灰とあるいは腐葉土とか、それから農作物ですね。
いろんな形で二次的に汚染の拡大という事が広がりつつある。
また、広げようとしている。国策として。
あれは多分諦めさせるためだと思うんですけれども。抵抗をね。
希釈の名のもとに広げさせようという愚かしい事をやっている訳ですけれども、
恐れている多くの、とりわけ若い女性やお母さん、お子さん、
こういう人達にどういうアドバイスが可能なんでしょう?どういう事があるんでしょう?
まず、逃げるという事があるんでしょうけれども、
逃げるということのために途方もない犠牲を払わなければならないのですから、
土地、家を捨てるという、
肥田:
公の場で、安全だってみんなが言っているのはね、
一つは逃げること。
もう一つは汚染したものを食べない努力をすること。
この二つが安全に生きるための最小限の条件だ。みたいなことを、
ま、一般に誰でもがそういう訳ですよね。
で、わたくしはね、たとえば福島県のいくつかの大きな都市の住民でね、
「はい。明日からそれが出来ます」という家族は何家族いるのかと。
おそらく、大部分が出来なくて、
ごく一部が、多少いろんな無理がありながらも、ま、今までどこかへいってきたと。
その大部分の人にできない事をね、
「それしかない」みたいな言い方をすることは犯罪だろうと僕は思うんですよ。
みんなにできることを言わなくちゃいけない。
もし、みんなにできない事が、できない理由がもし、お金だったら、
全部にお金を出してやらせるとかね、
お金だけじゃない。
仕事とかいろんな事があってね、そう簡単には移るなんていう事は出来ないだろう。
だから、アメリカの、
日本にいた当時のアメリカ人に80キロ以上は逃げろと。
これは、根拠がある数字なんですね。
アメリカの学者が書いた、
アメリカの乳がんが戦後増えたその一番大きな原因は、原子炉から100マイル以内にある郡、
アメリカの州の下にある郡。
その郡に住んでいた人がみんな高くなっていると。
で、100マイル以遠に住んでいる人の群には高くなっているところは一つもないと。
それは全部横ばいか、むしろ下がっているというようなのを、統計的に大作業をやって
それをちゃんと見付けた学者がいるんですね。
岩上:これは何ていう本、あるいはなんていう学者ですか?
肥田:
あのね、僕が一番最初に訳した時は・・・
ごめんなさい準備しとけばよかったーー探しに席を立つーー
27:25
肥田:
これが、その乳がんの本。
初めに訳した本です。

これがだから、そういう意味では、非常に僕らが衝撃を受けた本なんですけど。
あの、たんぽぽ舎っていうのが、
原発関係をずっと勉強してきたり反対してきたりしている運動のたんぽぽ舎っていうところに出入りしている、
千葉に住んでいる女性がいるんですけれど、
その人がこの本に非常に感動して、
これはね、私が大阪裁判で、はじめてあった集団訴訟の最初の判決で勝った時のものですけれども、
その裁判の資料としてね、これを出しておいたんですよ。
原書とこの訳書とをね。
そしたら、裁判官がこれをずっと読みましてね、
ぼくの、こういう訳でこの人の病気は明らかに放射線の影響があると。
「内部被ばくはない」と、政府がいう患者のこの人は、間違いなく放射線の影響がある。と
言った、僕の説明した言葉の裏付けが、
この本の何ページのどこどこにこういうふうに書いてある。
だから、肥田ドクターの証言は非常に貴重だということで、
僕を勝たした、勝利判決の中に書いてあるんですね。
それを読んで、その奥さんはね、この本を探したんですね。
もう絶版になっていてなかったのを、その裁判に関係したある弁護士さんから
「自分が持っているよ」というんで、一冊見せてもらって、
それをね、僕のところに来て、「これを再販したい」って。
「どうぞご自由に」っていうんで、やったんです。
それでもっと沢山の人に、こういう優しい装丁のね、安い本で出回っています。
岩上:これと同じものですか?
肥田:
それとは別の物です。
これと2冊が、アメリカの内部被曝の中心です。
岩上:
J・M・グル―ト(ジェイ・マーティン グールド、Jay Martin Gould、)さんって言う方が、あれなんですね。
この、共通の人ですね。
内部の時と死に至る虚構
「国家による低線量放射線の隠ぺい」
まさに今話しているテーマそのものですね。国家による隠ぺい。
肥田:そうです。
だから、時間がかかればね、だんだん、私の見方をする医者も発言し出す、勢いが良くなればね。
具合の悪い時は黙っている(笑)
そういう風な勢いがついてくると、どう考えたってこっちの方が正しい意見ですから、
正しいものはやっぱり、間違ったものを克服していく。
ま、法則的にはね、いく筈だと思っています。
だから、後何年か経てば、そういう勢いの中で医学がね、
やっぱり分子段階の変化を学ぶ方法をね、見付けだすだろうと。
いまだって、ま、あんまりよく分からなくても遺伝子なんて事は、もう常識的にずっと言われるようになってね、
岩上:
でも、遺伝子治療というような事が言われているのに、なかなかたどり着かないですね。
その、
肥田:
またね、機械屋の方が放射線とかに対抗するものをどうやってか、ひねり出して、機械でそういうものをね
提供するって言ったらものすごい高い事になるから。安くはない。
だから、こんなものが出れば出るほど厚生省が心配する医療費を圧迫するようになるでしょ。
自分が開業して、ま、一年にこれ使うのは1人か。っていうのでも
やっぱり持っていないと具合が悪いじゃないですか。
大病院は買おうとする。
その資本をかけちゃったら、もったいないから、
一年に1人じゃダメだ。毎月一人やれ。なんてね
必要ない人までざーってやるようになる。
岩上:
あの、先生。そこにお手持ちにあるのは、さらにまた、ご翻訳された本ですか?
これ、よろしいですか?ちょっとすみません。

「低線量内部被曝の脅威」あ、これもジェイ・マーティン グールドだ。
これは、こちらにある本を翻訳し直したんですか?
肥田:
そうじゃなくて、これは別個のね、ジェイ・マーティング、あ、グルドですか。
これ(最初の本「内部の敵」)の中身です。これと同じ。おんなじもの。
今度高い本、こんな恰好で売って、この方がどんどん売れてるという・・
岩上:
なるほど。あ、そうなんですか。
こちら、5200円っていうのがこれなんですね。
肥田:
中身は同じです。
ただ、訳文がこっち(最初の本「内部の敵」)は私一人で訳したんだけど、
これは「低線量内部被曝の脅威」もっと、訳の上手な人が集まって、
これ(「内部の敵」)をもとにしてなおしてくれたんですね。すこし。
岩上:なるほど。ははぁー・・
肥田:
「低線量内部被曝の脅威」は今売っていますけれども「内部の敵」はもう絶版で無いんですね。
岩上:
あ、そうですか。
あ、ほんとだ。そうですね、同じですね。
ちょっとこれ、これですね。

「低線量内部被曝の脅威」―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録
The Enemv Within って書いてありますね。これがタイトルなんですね。
これは今、みなさんが読もうと思えば読めるんですね。
肥田:はい。
岩上:
これはじゃ、私も入手したいと思います。
この「死に至る虚構」というのがそれなんですか?
肥田:
これはね、それと違って・・
えーっと、それ(「死に至る虚構」)は今あるかな?
一冊。これは、簡単な奴があるかもしれないから、
ーー肥田先生席をはずすーー
岩上さん、先生の本を見ている。

肥田:
ごめんなさい。
その本を沢山作ってね、広めてくれた女性の方のが、一冊残っているかと思ったら、
みんな差し上げちゃって無かった。
岩上:これは先生、また別の本なんですね。

肥田:
これはね、ペトカウっていうカナダの医者なんですけれども、
これがね、内部被曝の危険性を理論的に証明した、最初の実験をやった男なんです。
というのはね、ま、難しいから僕もよく分からないんだけど、
エネルギーっていうのは、大きな力を加えれば、大きな影響が出る。
というのが常識でしょ?
岩上:常識です。
肥田:
ぶんなぐるのに、げんこつよりも鉄でひっぱたいた方が、ねッ。
ところがその人はね、偶然なんですね。
エラーでね、見付けたんですけど、
要するに、放射線と人間の命の関係で、一番問題になるのは、
内部に入った放射線が、その細胞の
細胞っていうのは細胞膜という非常に強い防衛力を持った、ま、皮といわれる、
皮じゃないんだけど、分子が非常に密接になっていて、
そこの間の引力みたいなものが非常に強いために、物が入れない。
その細胞膜を放射線が、
どれぐらい強い力を浴びせたら細胞膜が破壊できるかという実験をやっていたんですね。
それで、細胞膜は、虫の脳のね、ある細胞を取って、
ごく小さなものにすごい放射線、レントゲンをかけて
どれぐらいの時間、どれぐらい強力にかけたらっていうのをずーっとやっていてね、
そしたら、その実験の入っている、脳の組織そのものが何かの間違いで下におっこってね、
下にはちょうどね、軽い放射性物質の溶けた液体があったんです。
ま、水ですね。
その中に、ジャボンとおっこっちゃったわけだ。
で、ま、しょうがないって諦めて、また始めからやろうとして、
ひょっとね、
この中に入ったそれ(水の中に落ちた脳の組織)にレントゲンをかけたら
どれ位で壊れるかっていうのをやったんですね。
そしたら、非常に弱い放射線をゆっくりと長い時間かけてやった方が
強いのをかけるよりも、簡単にこれが壊れる。っていうのが分かったんです。
一回そういう事があったから、何回もやって確認したんですね。
そして今度は、いろんな細胞膜、変えたものを使って、
放射線の溶けている量を薄いのから濃いのに変えたり、いろいろして、
薄い時は余計に時間がかかる。
濃い時は短い時間で、と、いろんな組み合わせでやって、
結果は、
放射線量を少すればするほど、長時間かけて壊れると。
いう事を、成功したんです。
それで、それを発表したら、アメリカがすぐに「キチガイだ」っていうんで発表させない。
彼はね、カナダの原子力工場に勤めていたんです。
それで、その学者でね。
で、ま、力はないんですね。
だから、アメリカとカナダから締め付けられて、全部論文は没収されて、発表が出来ない。
ところが、彼は悔しがってね、
肉質で書いたやつを手紙にしてね、ほうぼうの外国の友達に送ったんですね。
その連中がビックリしてね、これはノーベル賞いくつあっても、だっていうんで広がってきて、
アメリカにも上陸して、アメリカの学者の中で、それを素晴らしいって言ってね、
自分が今までやった論文の裏付けにそれを使ってね、
徐々にしあげたらいろんなのが出てきたわけ
で、ぼくはそのペトカウっていうのは、後から使用した人の本に書いてあって知ったんですが、
この人そのものの論文をつい2年ぐらい前に取り寄せて、いくら読んでも分からないんですよ。難しくて。
第一訳がないから訳せない。すごい難しいんですね。
でも、友達に読んでもらって、訳してもらったら、意味は分かるんですね。
今僕が言ったようなそういう原理で動いている。
岩上:
社会をダメにするのは、むしろそんなものですよね。
よく、茹でガエルとか言いますけれど、
熱いお湯の中にカエルを入れるとピョンって飛び出しますけど、
ゆっくりゆっくりと温めていくと、カエルは飛び出さないで茹であがる。
いまの日本国民のような話しですけれども、
だらだら、だらだらとしたこの社会の停滞の中で、デフレが続きながら、
だんだんと、こう、ダメになっていくような、
肥田:その人の
岩上:たとえが僕は正しくないかもしれないですけど、なんか、ありそうな・・
肥田:
だから、その人のそういうのが出てきて、
それを読んだ学者がね、いろいろ、自分の今までの研究に、何処かで役立つかどうかを対比すると、
しかしどうしても説明できなかったある現象が、
それを利用するとね、ウソみたいに明快に解る。というような事があって、
その人の価値がずっと上がってきて、
つい、2年ぐらい前かな、亡くなったんですけど、
その人のスイスの弟子がね、書いたのがこの本なんです。
「The Petkan Effect 」ペトカウ効果
岩上:スターングラス(アーネスト・スターングラス)っていう人がその人の弟子なんですか?
肥田:そうそう。
監修して、訳をこの人がスイスの、・・これにはなんて書いてある?
あ、ラルフ・グロイブ っていう、これが訳したんですけれども、
このアーネスト・スターングラスが私がアメリカで教育を受けた世界的なオーソリティなの。
これはまだ生きていてね、で、この人にいろいろ援助したんですね。
岩上:グロイブに援助したんですか?
肥田:
そう。
スイスの中で起こる具体的な放射線の、
スイスの中にも原発がありますからね。
その、原発の事故をめぐったいろんな裁判などに、この人は関わって、被害者の方の弁護をしている訳なんだ。
それに、スターングラスの書いた昔の論文だとか、いろんなものが役に立つんですね。
そんな関係で、やっぱりスターングラスの弟子という格好になっている。
だから、いろんな人がみんなそうなんだ。
最後はスターングラスがね、元になるんですね。
そのスターングラスの一番元が、このペトカウなんです。
岩上:
ペトカウ。
スターングラスが弟子なんですね
肥田:
勉強したのは、このペトカウの理論。
今は、ペトカウって言っただけで、顔をしかめる学者が沢山いるわ。
岩上:あ、そうなんだ
肥田:反対側はね。
岩上:反対側ね、ああ。
肥田:また、あれ出しやがった。って言うんで。
岩上:
なるほどなるほど。ほほー。
これは反証されているんですか?それともペトカウというのは認められているんでしょうか。
どうなんでしょうか。
肥田:アメリカの学会は終始一貫認めていない。
岩上:認めてないんですか
肥田:
ただね、原発の放射線を今年はどこまで認めるかっていう会議があるのね。
放射線防護委員会。
岩上:ICRP
肥田:はい。
あの委員会でね、何回かの時にペトカウの考え方を発表した学者がいてね、
「これは基本だから、今後この考え方に沿って論議をしようじゃないか」みたいな事を言いだして、
みんなが寄ってたかって反対して、ま、その時はおさめた。
次の時にそれに賛成する議員がうんと増えてきて、
で、とうとうね、ペトカウを呼んでね、あの会議でね論文の趣旨を話させた事がある。
そこまで、きたんですね。
で、それを聞いた。ま、聞いただけじゃ分かんないから、追試したり、いろいろするっていうのがあって、
「無視できない」という考えが、あの委員会の中でも大きくなったんですね。
だからアメリカは自分の牙城はペトカウ理論で侵食されつつあると、いうのを認めている訳なんですよ。
でも、古いのに頼って、昔の論文をこうやって(押す仕草)まだアメリカは頑張っているんだよ。
その頑張っている医者に、勉強してきたのが帰ってきて、
日本を、厚生省を支えているわけだ。
岩上:なるほど。
なんでそんなに頑ななのかっていう・・そこが何なのかは分からないんですね。
肥田:
いや、それを認めると、内部被ばくっていう論理を認めて、
そうすると、原発の内部被ばく、
ま、中で被ばくする労働者も含めて、事故が起きれば国民に対して、
政府が何らかの形で保証しなくてはならない。
岩上:そうですね。
肥田:
もう、その経済的な重荷には日本政府は耐えられませんからね。
頭っから「無いように、無いように」。
だから、考え方そのものを無くしちゃうと。
内部被ばくは起きないと。
岩上:
そうなれば原発はやめるしかないし、やめれば済む話しだと思います。
現実に原発というのは全然経済的ではないじゃないですか。
実際には、電力構想でね「こんなに安く上がりますよ」って言っているのはウソですし、
実際にはそれとは別途税金で下駄をはかせている訳ですよね。
一般会計からも、特別会計からも。
原発のみ膨大な補助金といいますか交付金が出てきている。
実際にはコストがすごくかかる。
さらには、バックエンド費用もとんでもなくかかる。
核燃料サイクルはできない。
だから、夢のエネルギーという事も出来ない。何にも出来ない。
ま、非常に財政をひっ迫させている。
ほんの一部の財閥とか、東芝、日立、三菱などの、ごく一部を儲けさせているかもしれません。
なんで、そんな偏った事が起き続けるのか、
すごく不思議です。
肥田:
なんか、やっぱり、ま、私は専門家じゃないですけれど、
明治の頃にね、中世を支配していた封建主義社会、それを支えた経済政策では経済が動かなくなって、
それで、ま、資本主義を導入する。
早いか、遅いか、みんな始めたと。
それで資本主義は初めは、本当に花がこぼれる様な素晴らしいいろんなものを人類に与えたし、
みんな夢中になってその恩恵に浴したと。
だけど、ここまでくると、もう、何やってももうダメだと。
欧州でもダメ、アメリカでもダメ。日本でもダメと。
だから結局新しいところに入っていくと、その先駆けみたいなものが社会主義だったと。
ところがその社会主義経済は、ソ連というバカが出て、本当の社会主義にしないで、
権力持った人間がね、富を独占したああいうパッシング効果を作っちゃったということで潰れたわけですよね。
だから、社会主義そのものが潰れたんじゃなくて、運用した人間の間違いでそうなったんだけど、
まだ、人類全体が社会主義がやっぱりいいんだというようにはならない要素がいっぱいある。
むしろ資本主義の中でそういうのが出てきちゃ困るというのが色々と反対してきた。
そういうことでまだ完全に社会主義の方がいいっていうのが圧倒的な力になっていない。
むしろ、大衆的には「あれはもうこりごりだ」と。
ソ連と、今の中国だって、危ないもんだ。というところにきている。
だから、これからどういう新しい経済政策を作っていくのかっていう、
今ちょうど、その、陣痛の始まりみたいな時期ですよね。
だからこれから、30年50年かけて、
どういう風な経済政策にしたらどこもかしこも上手くいくかというのが
理論的にも実践的にも作られる時期だろうと、私は想像しているんです。
だから、まだそれに決定的に「これだ」というものはないけれども、
最近理論的にはね、やっぱり、マルクスがまた、評価されて、
マルクスが越えられないと、哲学的にはね。
という状態になっているように僕は理解しています。
ただ、マルクスのとうわ唱えたマルクスレーニン主義というのに基づいた、彼らが考えた経済構造は
ソ連が手をつけて、間違えて、ま、つぶしちゃったと。
中国が今似たようなことで、自由主義的な傾向を力で押さえつけるという
なんていうか、ま、弱点が出てね、これもわからん。
だからこれからだと思うんでね。
ただその中にマルクスの言った
唯物弁証法(ゆいぶつべんしょうほう、Materialistische Dialektik)という哲学が
これは人間に越えられないという認識に、
大体アメリカのきつりゃく(?)を含めて大体にはなってきているようには思います。
それはわたくしが感じるだけで、それは分かりません。
ただ、マルクスに変わってね、今のところの疑問を解き明かす
そういう新しい資本主義の次の理論はまだ出ていないですね。
岩上:
そうですね。
確かに間違いなく、マルクス・レーニン主義のあの悲惨なね、結末というか。
僕はソ連の末期からロシアに6年位行ったり来たりしながら、取材して本を書いたりしたんですけど、
実像を見て、本当におぞましいなと思っています。
それで、チェルノブイリの果てにあれはつぶれちゃったのですけれど、
その時のね、ソ連政府のやった事よりも今の日本政府のやっていることの方が、
遥かに閉鎖的ですから。情報開示しませんし。
もっと、げんなりしているんですけれども。
もっとひどいなと思っているんで、それ以下かと思うと本当に落ち込むんですが、
でも、もう、新自由主義ももうなにもバラ色でもないし、プロポリズム(?)も世界中で搾取を強めているだけで
いたるところで、それこそ本家本元のアメリカの中で、座り込みやデモや始まってて
肥田:
ま、ここ2~30年の間にやっぱり、いいものはいいという形で出てくるんだろうと思うんですよね。
岩上:
その大きな社会理論というのはたしかに先生のご専門ではないから、
この問いかけは違うのかもしれないんですけれども、
ただ、こういう、その低レベルの放射能、何て言うんでしょう、慢性的に低線量のを浴びるというのは
これは今100ミリシーベルト以下は安全だというような事を山下さんとか言う訳ですけど、
安全なんじゃなくて、むしろかえって危険が高まると。
これは今、たとえばいろいろなメディアが含めて、福島原発の事故以降ですね、いろんな議論をしていますけれど、
あまり出ていないですよね、この話は。
肥田:出てない。まだまだ広まってないです。
岩上:広まっていないですよね。
肥田:ほとんどが、アンチ。このグループがほとんどですね。
岩上:
あの、ECRRっていうのがございますでしょ。ヨーロッパの。
ECRRのクリス・バズビーっていう人がこの前来日しましたし、
私もインタビューしたんですが、
内部被ばくの危険性は600倍だとか言ったりもする。
ちょっと極端にも聞こえるんですね。ECRRの言っている事。
クリス・バズビーとかその他の人達の言っている事は非常に極端だと言っている人たちもいるんですが、
先生は、その内部被ばくを重く見るECRRの考え方や
クリス・バズビーの考え方というのはどういうふうにお考えですか。
この人達と、やっぱり、関連があるんですか?
肥田:
ま、日本の中にね、初めこれで衝撃を受けて、
大体指示してきたい学者の中にね、
やっぱり、これでは不十分だというふうになった人もかなりいてね、
で、否定をするんじゃなくて、この考え方の何処か延長線上にね、
もっと根拠のある理論が、これから出るんじゃないかっていう期待をしているという人も沢山います。
ただ、わたくしは実践的に被ばく者の中にいて、
被ばく者の具体的な毎日の困難に対応する中でね、何かの支えが欲しくて、
要するにどっち向いても「内部被ばくなんていうのは世の中にないんだ」と
被害は、そんなものは嘘だっていうような、
それでは対応が出来ない訳だから、
そう思ってこんなものに手をつけて、支えを見つけてきたんですが、
私自身は学生じゃありませんから
沢山の本をみんな読んでね、比較検討しながら、自分の学問をまた深めると。
いう立場に全くないわけですね。
臨床で時間とられて、「今日これどうする?」っていうところで動いてきたわけですから、
だから、そういういろんな学者の方々の論争の中に入って、
私が何か少しでも役に立つような理論をできるかっていうと、
それぞれの理論の中で一番具体的に私が見た人が、合いそうなのがね、この人の理論だと。
は、言いますね。
岩上:実感として。
肥田:
ええ。実感として。
どこがどう正しいかは分かんないけれども、
診た症状の経過から言ってね、
この理論に一番私はすがりたい時はすがると。
ま、それだけではダメだろうけれどもね。
岩上:実感に合うと。そういう意味では誰が実感に合うんですか?
肥田:
やっぱりグルド(ジェイ・マーティン グールド)の、その考え方は、アメリカの状態を問う計で分析してね、
で、それはやっぱりこういう事が原因なんだろうと、いうふうに仮説を立てると、
一番よく説明が出来ると。
岩上:
えっと、質問
先生、ちょっといいですか、
肥田:はい?
岩上:あの実はですね、
ーーーーー質問コーナーに移ります。このアーカイブはここまでで終わりです。
続きのアーカイブと文字起こしはこちらです↓
肥田舜太郎&岩上安身 10/6(最後の部分の内容書き出しました)
<参考>
都築正男
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/09 07:00 UTC 版)
都築 正男(つづき まさお、1892年(明治25年)10月20日 - 1961年(昭和36年)4月5日)は日本の医学者。
「原爆症研究の父」と呼ばれる。
ーーーーーーー
グールド,ジェイ・マーティン
1915年生まれ。
コロンビア大学で経済統計学博士号取得。
1955年、最高裁判決にまで発展した有名なブラウンシュー事件で専門家証人として司法省に雇われ、
統計学者としての地位を確立。
以後、30年以上米国のオクシデンタル石油、グレイハウンド、エマーソンエレクトリックなど、
主だった反トラスト訴訟の専門家として活躍。
一方、情報関連会社であるEIS社を設立。ビジネス成功後、自社を売却するが、
その直前に自らが開発した工場施設データの有用性が買われ、
米国環境保護庁(EPA)の科学諮問委員となる
ーーーーーーーーー


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コメント
お疲れさまでした、読み応え沢山、とても大量の書き起こし、ありがとうございました。再度読み返さないと消化出来ない程の情報量で、読むのにこれだけ時間がかかるのですから、書き出しはさぞ大変だったろうな、、と察します。
本当に何故未だ今だに福島の方達が避難出来ずに、そこに住まわせられているのか、相変わらず原発が動いていて、更に停止中の物迄動かしたい人達が居るのか、理解に苦しみます。そして、無関心でいる人達のあまりに多い事にも。本当に酷い事になって病気で亡くなる人たちが身近でバタバタ現われて極限迄行かないと 日本は変われないのでしょうか。。。。
本当に何故未だ今だに福島の方達が避難出来ずに、そこに住まわせられているのか、相変わらず原発が動いていて、更に停止中の物迄動かしたい人達が居るのか、理解に苦しみます。そして、無関心でいる人達のあまりに多い事にも。本当に酷い事になって病気で亡くなる人たちが身近でバタバタ現われて極限迄行かないと 日本は変われないのでしょうか。。。。
モモ | 2011.11.19 13:58 | 編集
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| 2011.11.20 11:08 | 編集