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11.25
Fri
・厚生労働省が食品区分に「乳児用食品」を新設することについて
・国会の福島第一原発事故調査委員会の委員長黒川氏就任について
・「非常用復水器」が津波到達後機能していなかったという東京電力の調査結果について

11月24日木曜日 
京都大学原子炉実験所小出裕章助教に聞く
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>
放射性物質:
食品規制「母の不安」応え 疫学データ基に、新分類「乳児」新設

毎日新聞 2011年11月25日 東京朝刊

食品に含まれる放射性物質の新たな規制値作りで、
厚生労働省は24日、食品区分に「乳児用食品」を新設し、
食品全般を「一般食品」として一つにまとめて現行の5分類を4分類にすることを決めた。
放射性セシウムの被ばく限度を現在の年5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに引き下げる方針を踏まえ、
年内に食品区分ごとの規制値案を設定、来年4月の施行を目指す。【佐々木洋】

厚労省は、粉ミルクなど乳児用食品の区分を設ける理由を
「食品安全委員会から、小児の期間は感受性が成人より高い可能性が指摘された」と説明した。
同委は10月、チェルノブイリ事故で小児に甲状腺がんなどのリスクが増加したとする疫学データを基に
同省側に適切な措置を求めた。

見直しの背景には、幼い子を持つ母親らから
「子供にはより厳しい基準を」との意見が同委に多数寄せられたことがある。
厚労省もこうした声を重視し、今後対象の乳児用食品を具体的に検討する。

現行の「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」の3区分を「一般食品」としてまとめるのは、
「パン」「コメ」など食品ごとに細かく分けると、個人の摂取する食品の偏りによって差が出るためだ。
そもそも食品の国際規格を策定しているコーデックス委員会の規制値も「一般食品」と「乳幼児用食品」の2区分のみ。
「食習慣の違いによる影響を最小限にし、分かりやすい規制にしたい」(同省)という。

一方、全世代で摂取量が多い「飲料水」(調理に使う水も含む)や、子供がよく飲む「牛乳」は、
特別な配慮が必要との考えから、それぞれ独立した区分を設ける。

現在の暫定規制値は、世代ごとの平均的な食品摂取量などを基にセシウムの被ばく限度値を算出。
最も厳しい数値を規制値とし、全年齢に適用している。
新たな規制値も同じ方法で算出するが、
年代を「1歳未満」「1~6歳」「7~12歳」「13~18歳」「19歳以上」の五つに細分化。
「13~18歳」と「19歳以上」は男女差により摂取量に大きな違いがあることから、きめ細かく評価する。


福島第1原発:国会事故調の委員長に黒川氏起用へ
毎日新聞 2011年11月28日 20時17分(最終更新 11月28日 20時21分

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黒川清・元日本学術会議会長=
首相官邸で2006年6月14日、藤井太郎撮影


衆参両院は28日、
東京電力福島第1原発事故の原因究明と検証を行うために国会に設置する事故調査委員会の委員長に
黒川清・元日本学術会議会長(75)を起用する方針を固めた。
ほかの委員も含めた人事案が国会事故調の上部機関にあたる衆参両院の議院運営委員会合同協議会に
近く提出され、衆参両院議長が両院の了承を得て任命。国会事故調の会期内発足を目指す。

黒川氏は東大医学部卒。同大医学部教授、東海大医学部長などを歴任。
03~06年に日本学術会議会長を務めた。
その後、安倍晋三首相時の06年10月に内閣特別顧問に就任、08年10月まで務めた。【木下訓明】




【福島第1原発の現状】(11月22日)
非常用復水器、機能不十分 第1原発、津波到達後

2011/11/24 07:00 共同通信

東京電力は22日、福島第1原発1号機で、緊急時に原子炉を冷却する「非常用復水器」(IC)が
津波到達後に十分機能していなかった可能性があるとの調査結果をまとめた。

ICは原子炉の蒸気を外に引き出して、水に変えて炉に戻して冷やすための装置。
東電によると、熱交換で蒸発するIC内の冷却水が、津波発生後でも約60%も残っていたため、
冷却機能が不十分だったと結論付けた。

燃料の被覆管が水と反応して発生した水素がICに入り込んで除熱機能が低下した可能性があるとしている。

松本純一(まつもと・じゅんいち)原子力・立地本部長代理は
「ICがずっと動いていたとしても最終的には炉心損傷に至ったと判断している」と説明している。



続きを読むに番組の内容書き出しました

千葉:
厚生労働省が放射性物質の基準値の見直しを行って、
食品の区分に粉ミルクなどの乳児用の食品を、新たに設けることにしたという事です。
この基準を作る時に気をつけなければならない事、
小出さんが気になることというのを教えていただけないでしょうか

小出:
私はずっと、子どもを被ばくから守らなければいけないと発言をしてきましたので、
今回ようやく、厚生労働省の方も、乳児という物を別に考えるという方針を打ち出した訳で
その事に関しては歓迎したいと思います。

千葉:
はい。
でも、食べるという事は内部被ばくをするという事が前提となってくるんですけれども、

小出:そうです

千葉:
乳幼児の基準というのは大変難しいと思いますが、どれくらいで、あるべきなのでしょう。

小出:
これまではですね、事故が起きてから日本の国というのは被ばく制限を大幅に緩和してしまいまして、
日本人一人ひとりは一年間に1ミリシーベルトしか被ばくをしてはいけないという法律があったにもかかわらず
内部被ばくだけで5ミリシーベルトを許すというような基準を作ってしまったのですね
どうも今回それを1ミリシーベルトの戻すということらしいのですが、
元に戻ったというふうに思ってはいけません。
なぜなら、国がこれまで決めていた1ミリシーベルトという被ばくの制限値は
外部被ばくと内部被ばくを合わせた合計で1ミリシーベルト以下にするという事でした。

今回内部被ばくだけで1ミリシーベルトを許すというような基準になっている訳で
確かに5ミリから1ミリまで減ったからそれはいいのですけれども、
それでも十分な規制値にはなっていません。

千葉:はい
前よりはかなり緩くなった規制値だという事ですね。

小出:
はい、もともと、ものすごく緩かったのが少しは厳しくされたけれども、それでもまだ不十分だという事です

千葉:
それを踏まえて乳児の基準というのを決めていかなければならなくなりますが、
かなり、かなり難しいですね。

小出:難しいですね。
でも何とか、乳児あるいは幼児というところの被ばくを少なくすべくだと私は思います。


千葉:
国会に設置された福島第一原発事故の調査会の委員長
この度、最終調整に入ったという、ニュースが伝わってきているんですが、
この委員長に起用されることになった方というのが、
黒川清さんという人で、元日本学術会議会長さんなんだそうです。
東大医学部卒のお医者さんで、内科腎臓学が専門で、
アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授等の教授などを務められた経歴を
持っている方だという事ですが、
小出さんはこの人事をどう思われますか?

小出:
はい。申し訳ありませんが、私は医学に関しては素人で、
黒川さんという方についてもよく知りません。
ただし、福島原子力発電所の事故というものは、むしろ医学とは関係のない、
工学であるとか、海洋学であるとか気象学であるとか、
そういうところが関連して起きている訳で、
ま、最終的にはもちろん人間の被ばく生物の被ばくまで問題になりますけれども、
やはり私は、「機械としての原子力発電の事故」という事をきちっと解明することが先だろうと思います。

千葉:
なるほど、そしたらやっぱりそういう方向で人材を選んでいかなければならないという事ですね。

小出:
私としてはそう思うのですが、
ま、沢山の方を束ねて審議をしていかなければいけないので、
それなりの力量を持った方でないといけないと思いますし、難しい判断だろうと思います。

千葉:はい
それからこういうニュースも入っております。
東京電力は一昨日、福島第一原発1号機で、
緊急時に原子炉を冷やす非常用復水器が津波が到達した後に十分機能していなかった可能性がある
との調査結果をまとめたということなんです。
まず、この非常用復水器というのは小出先生なんですか?

小出:
原子炉というのは常に冷やしておかなければ壊れてしまうというそういうものなのです。
ただし今回の事故の場合には地震と津波によってすべての電源が奪われてしまいましたので、
ポンプを動かすことが出来なくなったのですね。
そういう時に備えて、この非常用復水器というのはありまして、
電気がなくてもいい、ポンプが動かなくてもいい。
とにかく、原子炉の中で蒸気が発生したその蒸気の力で原子炉を冷やせるようにしようという、
かなり特殊な機械だったのです。
それが全く動かなかったという事は事故の当初から分かっていまして、
何故それが動かなかったかという事をきちっと解明しなければいけない課題でした。

千葉:
今回東京電力は熱交換で発生する冷却水が60%も残っていたため
冷却機能が不十分だったと正式に認めたという事なんですが、
本来なら、この機械がこんな状態ではダメなんですよね。

小出:
そうです。沢山の蒸気を冷やすために冷却水の方もどんどん減っていくはずだった。
空っぽになるまで、むしろやらなければいけなかった訳ですけれども、
途中の段階で、まだ働く力が残っていたのに止めてしまったという状態になっているのですね。

千葉:
この非常用復水器は地震が起きた時に自動で動き出したのに
運転員が手動で止めて再起動させたと伝えられているんですけれども、
これは、適切なやり方なんでしょうか。

小出:
色々なマニュアルがあるのですけれども、
今回のような大変な非常事態ですから、とにかく原子炉を冷やすということを
最優先にしなければならないはずでしたし、
多分運転員もその事は十分知っている筈だと思います。
それでも非常用復水器を止めてしまったという事には、何か別の原因があったのではないかと私には思えます。
その一番考えられるというか、重要な原因というのは、
何処か配管が破れてしまっていて、
その非常用復水器を動かそうとすると、むしろ冷却水が流れていってしまうので
仕方がなくその回路を閉じたという事ではないかなと私は推測しています。


藤田:
この発表が、事故の発生から8カ月以上も経っている訳でしょ、
やっぱり、それだけの期間が経たないとこういう事が分からないものなのですか?
それとも、

小出:
そんな事はありません。
もう、当初から分かっていたはずですし、「なんでこんな今頃になって言いだしたのかな」と
私はむしろ不思議に思いました。

藤田:
やっぱり何か人災的な都合の悪い問題があってですね、今まで公にしなかったのではないかと、
そう勘繰られても仕方がない様なですね、あの、時期だと思うのですが・・

小出:
そうです。
私は今、
「運転員がそれを止めたのは何処か配管が破れていたせいではないかと思っている」とお伝えした訳ですけれども、
配管が破れているということの一番大きな理由は多分地震だと思います。
これまで、政府と東京電力は
「地震では壊れなかったけれども、津波によって電源が奪われたから壊れてしまった」
のだと、「地震の方は関係ない」とその一点張りできたわけですけれども、
実はそうではなくて、
「地震によって非常用復水器の方も実はやられていた」という事なのではないかと私は疑っています。

藤田:
しかし、地震によってそういう被害が出たという事は、
これは、非常に大きな問題という事になりますね。

小出:
そうです。
そういうことを解明しなければ本当はいけないし、
もっと東京電力が早くにその事を公表して、今日までに、もう検討を続けてこなければいけなかったと思うのですが、
もう8カ月以上経って、ようやくにしてそういう事が出てくるという状態になっているのですね。

千葉:
小出先生、もう一つですね。
東京電力の原子力立地本部長代理は、
「この非常用復水器がずっと動いていたとしても、最終的には炉心損傷に至ったと判断している」
と、説明しているんですけれども、
これはどう思われますか?

小出:
それはそうだと思います。
非常用復水器が仮に全部動いていたとしても、
今回のように1週間も10日にもわたって電源がないというのであれば、
いずれにしても炉心は溶けてしまったであろうと、その事を私もそう思います。
ただし、非常用復水器という系統が、地震でもし壊れていたということであれば、
それはそれで重要な問題ですので、きちっと解明しておかなければいけません。





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コメント
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| 2011.11.25 10:32 | 編集
飯館村住民「子供だけでも染料計を配ってほしい」は、国・村は拒否。
除染費用は3224億円(人口5,986人)

13:40
http://www.ustream.tv/recorded/18732356
mao | 2011.11.25 21:54 | 編集
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