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12.09
Fri
・東電の放射能汚染水を浄化した低濃度汚染水を海に流す計画について
・「四国電力伊方原子力発電所の大地震による事故の危険」松山地裁に運転の差し止め訴訟について
・放射能は今も福島第一から出ている?
・原子炉への注水作業はいつまで続けるの?
・日本の放射線管理区域に指定されるべき面積は本当はどの位?
・来年の今ごろは放射性物質は今より少なくなっている?


12月8日木曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>
東京電力は汚染水を海洋放出する計画らしい

東電は原子炉等規制法が定める規制値以下のレベルに下げたうえで
放射能汚染水を海に流すという計画を立てていることが明らかになった事に関する関連ニュース記事


新たな伊方原発訴訟 国策追従の過ち 司法も清算を
愛媛新聞社ONLINE特集社説 2011年12月09日(金)

1978年に始まった伊方原発1号機訴訟は、日本で初めて原発の安全性が問われた裁判である。
東京電力福島第1原発事故後に各地で提訴の動きが広がる中、
愛媛という地で新たな法廷論争の幕があがるのはとりわけ意義深い。
 
きのう、県内外の住民らが四国電力を相手に、
伊方原発の3基すべての運転差し止めを求める民事訴訟を松山地裁に起こした
300人に上る原告の巨大さは、ただ原発問題への関心の高さを示すだけにとどまらない。
 
伊方訴訟をはじめ、過去の住民訴訟はすべて原告敗訴で終わっている。だが、状況は一変した。
福島原発事故を境に、司法の、裁判官の考え方は変わるか。誰もがかたずをのんで見守っている。
 
伊方訴訟は、その後の原発裁判の流れをつくってしまった。
司法は、行政訴訟ならば原発の基本設計しか判断しない。行政に高度な裁量を認める。
科学論争へ不用意に足を踏み入れない消極姿勢は延々と受け継がれていった。
 
多くの裁判官は国や専門家の主張に傾き、手続きに重大な落ち度がなければ「問題なし」という。
結果として、司法は「安全神話」にお墨付きを与えてきたのが実態だ。
 
伊方訴訟は司法不信を決定的にもした。
1号機の審理をほぼ終えた当時の松山地裁で担当裁判官の全員が不自然に交代した。
この人事には最高裁の介入が指摘されている。
言うまでもないが、司法の独立を自ら無に帰すような愚を繰り返すべきではない。
 
全電源喪失による炉心溶融の危険性。
地震や事故への想定の甘さ。
推進ありきの安全規制の矛盾。
放射性物質の放出と健康被害の懸念。

福島原発で起きたことのすべてが、伊方訴訟の争点だった。

司法は行政監視の役割を積極的に果たしてきたか。
法の専門家として、原発裁判の審理のあり方から省み、国策追従の過ちを清算するときだ。
 
新たな伊方訴訟が問うのは「原発は大地震に耐えられるのか」。

原告は訴状で、伊方原発は日本最大級の中央構造線・活断層の近くにあるにもかかわらず、
耐震性が不十分で、重大事故が発生する可能性が極めて高いと主張
する。
立地の宿命から逃れられない伊方原発の最大の論点だ。
 
信頼性が大きく揺らいだ国の安全審査や耐震指針だけをもって安全性を説くことにはもはや無理がある。
被告の四国電力は公平な審理ができるよう、前向きな立証と証拠開示に努め、
長年続く科学論争と向き合わねばならない。
 
多数がものをいう政治と異なり、法廷の正義は一人から始まる
訴訟には福島から愛媛に避難している住民が原告に加わっている。
人権救済の最後のとりでであるべき司法の真価がここで問われる。




続きを読むに番組の内容書き出しました


千葉:
リスナーの質問です
「東電が放射能汚染水を浄化した低濃度汚染水を海に流すと言っていますが大丈夫なんですか?」
という質問なんですが、
東電は原子炉等規制法が定める規制値以下のレベルに下げたうえで
放射能汚染水を海に流すという計画を立てていることが明らかになったんですが、
これは小出先生どうごらんになりますか

小出:
今の方のご質問で「大丈夫ですか?」と問われている訳ですけれども、
わたしは、ずーっとみなさんにこの番組でお伝えしたつもりでいますけれども、
放射能に関しては「大丈夫」という言葉を使ってはいけません。
どんなレベルでも危険なのです。
ですから、法律の規制値を下回ったとしても、もちろん危険はあるわけですし、
の方がそれなりに敏感に反応するという事は当然のことだと思います。
しかし私自身はこれまでも、
私自身が
法令の規制を受ける立場でいる人間でしたし、今もそうですし、
法令を何とか守ろうとして仕事をしてきました。
そして法令を守る限りは一応それは許容されているのだと思ってきた。
わたしはそういう人間です。

ですから、今度も東京電力が法令を遵守してやると言うのであれば、それは認めるしかないと
わたしは思います。
ただし、これまでに東京電力がやってきたこと、あるいは、政府がやってきたことが、
あまりにもひどかったので、皆さんの中にものすごい不信感があるという事は
やはり、やむをえないことだろうと思います。
充分にこれからも監視の目を光らせなければいけないとおもいますが、
ただし、物の重要性という事にしっかりと注意を払って欲しいと思います。
法令を守って放出する水はまだいいとしても、
法令を全く守らないまま、今現在も地下にどんどん汚染水が流れていっているという
その事を、ほとんどのマスコミも報道してくれない訳ですし、
東京電力も国も知らん顔をしてですね、トレンチとかピットにそのまま水を残した状態が3月から続いている訳で
そちらの方がはるかに重要な問題だと私は思います。

近藤:
小出先生、あの、今回のこういう話が出る背景にはですね、
この汚染水の保管が、もういずれ行き詰って限界が来るということが背景にあると思うんですけれども、
このあたりは何か対策は、こう、いい対策というのは考えられるんですか?

小出:
考えられません
当然、水は次々と増えてくる訳で、それを処理して海かどこかへ流さない限りは
どっちにしてもいつか行き詰ります。
ですから必ず流さなければならなくなりますし、
それは法令を守りながら流すのか、
あるいはどうしようもなくなって、今のように法令を守るも何も無くなって勝手にどんどん漏らすか
どちらかしかありません。

千葉:
う・・・ん大変な状況なんですけれども、
今日は次のニュース、こんなニュースも入ってますのでこちらもお伺いしたいと思います
愛媛県の四国電力伊方原子力発電所は大地震による事故の危険があるとして、
全国各地の住民が運転の差し止めを求める訴えを今日松山地裁に起こした」
というニュースがはいっております。
小出先生は1973年の伊方原発訴訟で、伊方原発1号機の設置許可取り消しを求めて
地元の住民の方が起こした訴訟で原告側の証人として立たれたこともあるという事で、
伊方原発というのは小出先生から見られて、どういった原発なんでしょうか?

小出:
私自身は伊方原発というか、原子力発電所そのものが途方もない危険を抱えているというふうに思いましたし、
今でもそう思っています。
ただし、伊方原発というのは、今回の訴訟の問題にもなっている通り、
中央構造線という、日本最大の活断層の真上に建っています。
ですから地震問題を取り上げるのであれば、
浜岡ももちろん問題ですけれども、伊方という事もやはり注意をしなければいけない原子力発電所だと
ずーっと思ってきました。


千葉:
日本最大級の断層の上に原発が建っているという事自体がですね
あの、聞いて、「何でそんなところに建てたんだろう」っていうふうに素朴に思うんですけれども・・

小出:
そうですね。
私も当時からそう思いました。
当時は日本沈没という堺屋太一さんの小説があったのですが

千葉:あ、小松左京さんですね

小出:
あ、ごめんなさい、小松左京さんでしたね。はい、失礼しました。
えー、彼の小説があって、
あの小説は中央構造線を境にして日本が割れていって、それで日本が沈没することになると
そういう事を描いた小説だったのですね。
それほど重要な活断層が伊方原発の目の前にあったのです
大変重要なことだし、その事をちゃんと評価しなければいけないと言って私たちは裁判で問題にしました。
そして、私が思う限りは、科学的な主張でいえば、圧倒的に住民側が勝ちました。
それは裁判の証拠証言集が記録として残っていますので、
お読みいただいたら分かると思いますけれども、
それでもなおかつ裁判所は国側に軍配を上げたということがありました。

千葉:
いや、あのう、それほど大きな活断層があるという事は当時からわかっていて、
それを裁判で主張される人達がいて、科学的にはその理論がとおっているにもかかわらず、
原発は造られたわけですか・・・

小出:そうです。

千葉:いや・・それは・・ねぇ納得できない話なんですけれど

小出:
私は全く納得できませんでしたし、
日本の裁判というものはこういうことかと、わたしは裁判に対して絶望をしました。

千葉:
はーーーーーーーー、
そういった流れの中で今があるのですね・・

小出:そうです

千葉:
んんーーーーーん・・・
じゃ、次に質問にまいります。
こちらはまた、スタジオにメールがきておりまして、
「福島第一原発の1,2,3,4号機からは、未だに放射性物質が放出されているんでしょうか?
それから先程汚染水放出の問題が出ましたが、
「汚染水を生み出す冷やすための注水作業は、いつまで続けなければいけないんでしょうか
という素朴な質問なんですけれども。

小出:
もちろん今でも放射能は放出されていますし、
原子炉を冷やす作業はこれから何年も続けていかなければなりません。
どうやってそれを抜け出すことが出来るかという事は今の段階ではまだ見えませんし、
これからどうやって放射能を閉じ込めることが出来るのかという事を考えながら作業を進めるしかありません。

千葉:
まだ本当にどこまででということは全く分からないという事なんですね

小出:
そうです。
東京電力が工程表というのを作って、年内に冷温停止をさせるとかいっていますけれども、
それ自身が、全くあり得ない話しを描いているだけです。

千葉:
それからこの方もう一問質問がありまして、
「わたしはどれ位放射線管理区域と同じ環境になってしまって、住めない場所が広がっていて、
チェルノブイリと比べてどれぐらい日本が深刻なのか知りたいです。
今、環境にある放射性物質は来年の今ごろは、ほとんど今と同じ位あるんでしょうか」
という、これも素朴な質問なんですが、

小出:
チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、
日本の法令に照らして放射線の管理区域にしなければいけない面積は14万5000㎢でした。

千葉:14万5000㎢

小出:
はい、日本全土は37万8000㎢。本州が24万㎢しかありませんから、
日本の本州の約6割を放射線の管理区域にするという程の汚染が生じました。

千葉:チェルノブイリでは、

小出:はい
日本の場合には、福島原子力発電所は、ま、たまたまというか、必然的にというか、
海岸線に立地していて、放射能のかなりの部分は海へ落ちましたので、
陸側を汚染したのは、ま、何分の1かだったわけですね。
それでも多分、2万㎢、あるいはもう少し多いかもしれない所が
放射線の管理区域にしなければならない程の汚染を受けています。

千葉:
で、今現在環境にある放射線物質というのは
来年の今ごろもほとんど今と同じくらいあるんでしょうか
?ということなんですが

小出:
今、環境を汚染している放射能物質の正体は、セシウム134と137です。
そのうちのセシウム134の方は、2年経つと半分に減ってくれます。
セシウム137の方は30年経たないと半分になりませんので、137の方はもう減らないと思うしかないと思います。
ただ、134の方が2年で半分に減ってくれますので、
ま、少しづつは減っていくけれども、結局はセシウム137がずーっと残ってしまいますので、
何十年という単位では綺麗にならないとしかないとおもいます。

千葉:この方の質問の来年の今ごろというのは、ほとんど今と同じくらい

小出:
はい、134が約7割ぐらいに減りますけれども、
137は全く減っていないというそういう状態が続いています。






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