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12.14
Wed


・SPEEDIの公開が遅れたことについて
・安定ヨウ素剤の配布について
・福島県民外部被ばくの調査結果について



12月13日火曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>
福島・外部被ばく線量累積試算&空白の4日間(福島民報)
福島県が県民の外部被ばくの調査結果を発表に関するニュース記事





続きを読むに番組の内容書き出しました






水野:
今のニュースを聞かれて二つポイントがあるかと思いますが、
事態が水素爆発で悪化した10日後になってからやっと総理官邸にSPEEDIの
その、どんなふうに影響を受けるか、放射性物質がどのように拡散しているかという観測の結果が発表された
10日後っていうのをどう見られます?

小出:そんなことはあり得ません

水野:ありえません、どうしてですか?

小出:
SPEEDIというのはチェルノブイリの事故の後、日本の原子力関係者がこぞって危機感を感じて
25年の歳月をかけて100億円以上のお金を投入して、
万一でも日本の原発で事故が起きたら、即座にそれを動かして住民を守るという、
そのためにこそ開発されたものです。

水野:100億円かけて25年かかって。はい、

小出:
SPEEDIの関係者は事故が起きた時から、きっと不眠不休でその計算をしていたはずですし、
時々刻々計算結果が出てきたはずですし、
その計算の重要性という事はもちろん認識していたはずですし、
認識していなかったと言ったらもう、そもそも話しになりませんし、
今のようなシナリオは全くあり得ません

平野:
先生、これは別の取材ではですね、やっぱり首相官邸に届いていたと、
当時前線に詰めていた原子力安全保安員の委員長が、
首相に、菅総理に渡さなかった、あるいは枝野さんに渡さなかった
ということまで、
もう明らかになっているんですよね。

小出:はい、それはあり得ると思いますが、

平野:FAXが流れたという事を
水野:FAXが流れたっていう話しがあるんですね、
平野:あるんですねー

小出:要するにそれは保安院がなっていないというですかね

平野:ね~

小出:
もともと彼らがこれまで原子力を進めてきた張本人ですし、
事故をなるべくちいちゃく見せたいし
悲劇的なシナリオは書きたくないという思いのもとで動いてしまったという事かもしれませんが、
いずれにしても国家としての体裁をなしていません。

水野:ええ、
これだって、SPEEDIのこの結果こそ、一刻も早く知らせるために、
総理の首根っこ捕まえてでも「ほらこうです!」と、
「だから今すぐこうあるべきです!」って進言しなきゃいけない事ですよね。

小出:そうです

水野:
それが10日も経ってからだというのを、こう言うふうな話が出てくるということの意味ですね。
ほんと知りたいですね、何のためにこの10日後だという話しになってくるのか。

小出:
はい、そういう説明をした人たちが、
いったい自分たちの職務というか、自分たちの責任をどう考えているのか、感じているのか、いたのか、
聞いてみたいです。

水野:
もう一つ今のニュースのポイントとしては、
安定ヨウ素剤をみなさんに飲んでもらう、配るという話がありましたが

小出:もちろんです

水野:
この安定ヨウ素剤を、ま、10日も経ってからですよ、
事態が悪化したのちの10日も経ってから安定ヨウ素剤を配ろうかというふうに
原子力安全委員会が言ったと、いう話ですね

小出:ま、もう手遅れだからやめようと言ったんですよね

水野:そうです

小出:もう完全に手遅れです

水野:本来安定ヨウ素剤はどの段階で配るべきだったんですか?

小出:放射能の雲が流れてきたそれより前です

水野:ということは・・

小出:もう全く意味がありません。10日後は。

水野:
はぁ~・・・、そうなんですね。
だから、水素爆発をする前に、

小出:
水素爆発をして放射性物質が流れてくるのですけれども、
「流れるぞ」という事をSPEEDIが教える訳ですね。
「そっちの方向に流れるぞ」という事を教えたその時に
やらなければいけません。

平野:う~ん・・・・
水野:はぁ~・・・

平野:でも、その時やったとしても間に合わない可能性は、

小出:可能性はあります。もちろん。

平野:
ですから、これ、よく言われますけれども、
要するに防災対策を義務付けている市町村に、あらかじめ要素を配っておくべきだということがありますよね、

小出:もちろんです。
住民が本当に、即刻にでも手に入るような状態で渡しておかなければいけませんし、
いちばんいいのは、住民一人一人に渡しておくのがいいのですけれども、
ま、薬物ですので、それが難しいというのならば、
本当に小さな行政単位でそれを保管して、
即刻飲ませられるようにしておかなければいけない。
原則としてはそうなのですけれども、
ま、国家自身がこの体たらくですから、どんな事をしてもダメですね、これは。

水野:本当に驚くばかりの唖然とする話でございます。

平野:そうですね

水野:
それからですね、福島県が県民の外部被ばくの調査結果を発表いたしました。
これは、ま、これから全ての県民の方を対象に調査していく、その先行地区の結果なんです
震災以降4カ月の外部被ばくの累計を累積されたものを推計いしたという結果なんですが、
声がですね、原発作業など放射線業務に従事していらっしゃらない一般の住民の方でみますとね、
1589人の方達の結果が出たんですが、
そのうち1ミリシーベルト以上の外部被ばくの方が、およそ4割だそうです。
この数字をどうごらんになりますか

小出:少なすぎると思います。

水野:ほぉー、それはどういう意味でしょう

小出:
日本の国はですね、法律を一切反故にしまして、
1年間に20ミリシーベルトを超えるような地域は、いわば、まァ、強制避難させるという事にしたのですけれども、
それを下回るような地域の人は、もう、「避難をさせない」と決めた訳で、
「非難するのであれば勝手にしろ」と「国家は何の補償もしない」と、そういう戦術に出たのですね。
つまり、19.9ミリシーベルトのところだって、い続けていいと言っている訳ですし、
そこに4カ月いるとすれば、それだけで6ミリシーベルト7ミリシーベルトになってしまうのですね。
ですからそういう汚染範囲は広大に広がっていますし、
1年間に10ミリシーベルトというところも広大に広がっていますし、
いったいどういう人達を検査したのかな、と、私は思いますが、
大変申し訳ないけれども、私はその報告書自身を見ていないので、正確には申し上げられませんが、

水野:川俣町や浪江町、飯館村など、線量の高い地域の方々の、一部の方なんですけれども。

小出:
ただ、そういう人は「すぐに逃げちゃったからもう大丈夫だ」という、
そういう主張になっているんではないでしょうか?

水野:あぁ、そうですね。そういう方がたもいらっしゃいますよね。

小出:
ですから、そこに1日しかいなかったという事にすればもちろん被ばく量は減ってしまいますけれども、
そうではない、取り残されているところにいる人々が沢山いるわけですから、
そういう人々に対する調査が本当になされているのかな?という事を、わたしは、大変不安ですし、
何かこの調査の結果はおかしいと思います。

水野:
つまり、「4カ月あなたはどんなふうに行動しましたか」というふうに、あとになって聞かれてもですね、
どれぐらいのことが答えられるのかって、
だから、そういう非常に幅のある結果だという事を、この調査の仕方は、それしかしょうがないんだという事を、
わたしたちはわかって、この結果を受け止めなければいけないんですね。

小出:そうですね
それで、まぁ、すぐに逃げちゃった人ばかりを集めれば、勿論少ない結果になるわけですし、

水野:そうか・・・そうですね。

小出:
どういうところにいて、いつの時点で逃げた、
あるいはずっといたかという事が非常に決定的になる訳で、
きちっと網羅しているのかという事が、勝負を分けると思います。

水野:なるほど、これは本当に詳しく見ておかなければいけない調査なんですね。

小出:
申し訳ありません、私はまだ報告そのものを見ていませんので、
正確には申し上げられないけれども、おかしいとおもいます。

水野:今日出たばかりの結果ですので、わたしたちも、これ、じゃぁ、もっと詳しく見るようにいたします。

小出:はい

水野:
ま、今の発表されている中では、
一般住民の最高が14.5ミリシーベルトで、
この、県民健康管理調査検討委員会座長の山下俊一さんという方はこうおっしゃっています。
この値からは健康影響はないと考えられる
いかがでしょうか。

小出:(笑)
山下さんらしいと言えば山下さんらしいけれども、
えー、そんなことはありません。
どんな被ばくも、もちろん健康に影響があります。
そして、日本に住む人というのは、1年間に1ミリシーベルトしか被ばくをしてはいけないと決められていたのに、

水野:これは法律なんですよね

小出:そうです
わずか4カ月の間に14年、15年分の被ばくをしてしまったという事なわけですから、
それだけ見ても途方もない被ばくだと、わたしは思うべきだと思います。

水野:はい。ありがとうございました。





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