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12.22
Thu
・政府と東京電力が発表した中長期の工程表について
・冷温停止状態について
・放射能で汚染された瓦礫の処理について



12月21日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]






<参考>
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読売新聞より↑クリックするとページが開きます

福島第1原発:廃炉工程表を了承 完了に30~40年

政府と東京電力は21日、福島第1原発1~4号機の廃炉計画を検討する「中長期対策会議」(共同議長=枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相)を開き、廃炉完了に30~40年要することなどを盛り込んだ廃炉工程表を了承した。細野担当相は記者会見で「達成にはさまざまな不確定要因があり、40年でできるとは現時点では言い切れない」としながらも、「できるだけ早い段階で廃炉を実行する」と述べ、前倒しを目指す考えを示した。

工程表は、原子炉建屋などの放射性物質の除染方法を検討し、使用済み核燃料プールの燃料回収を始める第1期(今月~2013年度)▽原子炉格納容器を修復し、水を張る冠水(水棺)作業などに取り組む第2期(13~21年度)▽溶融燃料回収を終え、原子炉建屋を解体する第3期(21年度以降)--の3段階で実施。第1期については当初、終了を14年までなどとしていたが、前倒しした。

溶融燃料の回収終了は20~25年後。建屋を解体し、更地にできるのは30~40年後になると見込む。現在の最大の課題である放射性物質を含む汚染水については、処理終了の目標を20年度内と設定した。

このほか、遠隔操作ロボットなど新規技術の導入を検討する「研究開発本部」と、廃炉作業の進捗(しんちょく)状況を点検する「運営会議」を設置する。

廃炉費用については、工程表では明記されなかった。枝野経産相は会見で「(廃炉終了まで早くても)30年後までにわたり、確実性の高い見積もりをすることは困難だ」と説明した。

政府は16日、「冷温停止状態」を目指した工程表の「ステップ2」が完了したとして、事故の収束を宣言した。これを受け、経産省資源エネルギー庁と原子力安全・保安院、東電が廃炉工程表の詳細を検討していた。【中西拓司】

毎日新聞 2011年12月21日 21時56分(最終更新 12月21日 22時55分)





福島第1原発:廃炉作業 許されぬ「東電への丸投げ」

政府と東電による「中長期対策会議」が21日まとめた東京電力福島第1原発事故の廃炉計画は、完了まで最長で40年(2051年)もかかる前例のない取り組みだ。原子炉建屋内部は高い放射線量で作業員の立ち入りが難しく、溶融燃料の回収・保管には遠隔操作のためのロボットなど14項目もの新規の技術開発が必要となる。

「費用面を理由に、作業を遅らせることがあってはならないと指示した」。細野豪志・原発事故担当相は記者会見で、東電に対し、こうクギを刺したことを明かした。ただ、政府内には「30~40年で廃炉できるかは、やってみないと分からない」(資源エネルギー庁幹部)などの声もあり、廃炉の技術開発が難航すれば期間、コストとも膨れ上がることは必至だ。

たとえ30~40年後に廃炉できても、回収した燃料を、どこで、誰が保管するのかという難題も待ち構えている。1~3号機の原子炉には溶融燃料1496本分、1~4号機の使用済み核燃料プールには計3108本があり、単純計算で計1381トンを半永久的に安定保管する必要がある。細野担当相も「燃料の処理について見通しはない」と記者会見で明かした。

政府は廃炉工程表の進捗(しんちょく)状況について、同日に設置した「運営会議」がその都度見直すとの方針を決めた。しかし、「頻度は年1回」(資源エネルギー庁)だけで、いつの間にか廃炉作業が、事故当事者の東電に「丸投げ」される懸念もある。最短距離で廃炉に到達するためには、政府は海外の原子力事故の経験も取り入れながら、最後まで主体性を発揮する必要がある。【中西拓司】

毎日新聞 2011年12月21日 22時19分(最終更新 12月21日 23時38分)


冷温停止状態に関する政府の記者会見


野田首相、冷温停止状態達成を宣言12/16(会見内容全て文字起こし&おまけあり)


日本外国特派員協会での記者会見・細野大臣12/19(動画・内容書き出し)



橋下大阪市長、がれき受け入れに前向き
MBSニュース (21日11:02)
 
上京している大阪市の橋下市長は、21日午前は、閣僚と相次いで会談しています。
細野・原発担当大臣との会談では、安全面での基準がしっかり作られれば、
被災地のがれきを受け入れることに前向きな考えを示しました。

大阪の場合は特殊な事情がありまして、海への埋め立てというところがある。
安全性の基準さえしっかりあれば、がれき処理の受け入れはきちんと進めていきたい」(大阪市 橋下徹市長)

橋下市長の発言に対し細野大臣は、
「基準作りは陸で埋めることを前提としていたので、
海に埋めるケースの安全性は、もう一度確認する必要があると思っています」と語り、
協力して進めたいという意向を示しました。

一方、これに先立って訪れた文部科学省で、橋下市長は中川正春文部科学大臣と会談し、
「大阪維新の会」が成立を目指す「教育基本条例案」について、政府が否定的な見解を示していることを批判しました。

「あの閣議決定、文科省の見解は、日本の政治家というか首長をばかにするような決定としか思えない」
(大阪市 橋下徹市長)

これに対して中川大臣は、
「現在の法律の枠組みでは、具体的な目標は教育委員会という規定になっている。
知事や市長が教育について語るなという見解ではない」と説明しました。



続きを読むに番組の内容書き出しました







水野:
今、上田アナウンサーがお伝えいたしました中長期の工程表についてですね
小出先生、リスナーの方が時事川柳を下さったんですね
「方法が 分からないのに 行程表」

小出:(笑)

水野:40年後までに廃炉を完了するっていうのは、今の技術じゃ無理なんですか?

小出:わかりません。ようするに全くわからないのです。

水野:まったくわからない

小出:はい
意味のないことを・・今の川柳は大変いいと思いますけれども、
方法が分からない段階で工程表など作りようもないのに、
ただただひたすら、事故を収束できるという宣伝に使いたいのかな、と私は思いましたが、
全く馬鹿げていると思います。


水野:
リスナーの方は、
この廃炉に短くて30年、あるいは長くても40年という話が出てきましたけど、
下手したら、コレ永遠という事にならないんですか?
っておっしゃってるんですね。

小出:
ま、少なくても私が生きている間には終わりませんし、
リスナーのみなさんも、かなりの方が亡くなっても終わらないという、それだけの時間がかかるという、
それだけは確実です。

水野:
はぁ~・・・
あの、私が一番「どないするのやろ?」、と思った事を伺いますとね、
10年以内に、もう、メルトダウンした溶けてしまった燃料を取り出す作業を始めるっていうんですよね。
だれがどうやって始めるのやろうと、
あの、どこに燃料が行ったかもわからないんですよね。

小出:
そうです。
今現在も溶けた燃料がどこにあるのかもわかりませんし、
ま、何年かかけて少しずつ調べようという事しかできないのです。
それもそれで、できるかどうかも実は分からない

水野:わからないんですか

小出:
はい、そういう事になっています。
私たち人類が本当にこんなことに直面するとは思わなかったことが今起きている訳で、
どうしていいかわからない、どうやればできるかも分からない。
一つ一つ出来ることを積み重ねて、技術開発をしながらということな訳で、
本当に10年なのか20年なのか30年なのか
今の段階で分かる道理もない訳で、
そんなことに行程表を作るということ自身が馬鹿げています。

水野:
ただ、政府と東京電力は、この水で満たす水棺というやり方ね、水の棺と書きます。
これを、まだ諦めていないようなんですね。

小出:それが出来なければ溶けてしまった燃料を取り出すことが出来ないのです

水野:
あっ、そうなんですか・・・
溶けてしまった燃料を取り出すには、水で全部を浸して、水棺の状態にしなければならない

小出:そうです

水野:しかしながら水棺はもう無理だと小出先生は早くからおっしゃったのではなかったですか

小出:
そうです
無理だと私は言いましたし、実際に無理で出来なかったのですね。

水野:そうですよね、やろうとしてずーっと出来なかったのが水棺なんですよね

小出:そうです

水野:
ところがですね2015年度の末ごろからですね
格納容器の下の部分を補修して、水棺にもっていきたいっていう話らしいんです。

小出:そうですね、私も出来ればいいと思います。

水野:つまり格納容器の下の方に穴が開いているという事ですよね

小出:
私は開いている可能性が高いと思いますし、これまでにも、もうすでに開いてしまっている部分も、あるのですね。
ですからそういうものをどうやって直すかということ、
ま、大変な被ばく作業になってしまいますし、

水野:
あの、そのあたりに近づくという事はですね、格納容器の下の部分というのは、
ものすごい被ばくですか?

小出:
そうです
ですから、多分人間は近づけませんから、ロボットを開発したいという事なんでしょうけれども、
そんなロボットで壊れているところを補修できるかどうかが、また、わからない、やったこともないということなのですね。


水野:
それからですね、先週金曜日に冷温停止状態というものを政府が宣言しまして、
これについてはもう、多くのリスナーの方が「それどういうことやねん」というふうに、
小出さんに伺いたいとおっしゃっているんです。
どう・・お答えになりますか?

小出:
「冷温停止が出来ない」という事は、もうずーっとこの番組で聞いていただいてきましたし、
もちろん政府も東京電力もその事を十分知っているのですね

水野:知ってますか

小出:
はい。
それでも彼らは「事故を収束できる、事故を収束収束に向かわせているんだ」という事を言いたいがために
冷温停止をひっこめるわけにはできないし、

水野:できないんだ

小出:
しょうがなくて「状態」という言葉を付け加えて、冷温停止状態とか言っている訳ですね。
もう本当に話にならない人達だと私は思います。

水野:
野田総理は「事故そのものの収束」を宣言なさったんですね
この、「事故そのものが収束した」という言葉もよくわからないんですが、
放射性物質って、もう漏れていない、止まっていると思っている方が多いようなんですよ。
実際はどうなんですか?

小出:
もちろん今でも漏れている訳ですね。
ただし、3月11日から10日ほどの間に大量に出てしまった時期に比べれば
随分少なくなっているというのは本当な訳です。
ただし、いまだに溶けてしまった燃料がどこにあるのかも分かりませんし、
例えば4号機の使用済みプールなどは何時崩落しても不思議じゃない
崩落したらもうおしまいという、そういう綱渡りの状態が今の訳ですから
収束なんていうものとは程遠いのですね。ほんとに、

近藤:
先生、核のゴミってよく言うでしょ、
そのゴミで考えた時に100万年かかるっていう話しを先生は以前してらっしゃいましたよね

小出:そうです

近藤:
100万年っていう話というのは、あの・・今回のケースで当てはめて考えたら
どういう話しになるんですか?

小出:
今溶け落ちてしまっている燃料があるのですね。
それが、今どこにあるか分からないし、何とか取り出して格納したいと言っているのですけれども、
それが出来るかどうかも、まず分かりませんし、
そのゴミというものが、もともと地下に眠っていたウランの毒性に減るまでに100万年かかるのです。
ですから、ウランという元素はそのもの自身は放射能で危険ですけれども、
そのウラン鉱石の持っている危険まで減るのに100万年
そういう隔離が必要だという事です。
取りだすにしても、取りださないで石棺で封じ込めるにしても、それだけが必要です。

近藤:もう我々の時間感覚では説明がつかないですね

小出:
もちろんです。
一人ひとりの時間感覚では説明はつかないし、
人類という時間感覚でも説明がつきません

水野:
次にですね、放射能汚染された瓦礫の処理について伺いたいんです。
大阪の橋下市長が細野原発担当大臣と会見して、
被災地の瓦礫を受け入れることについて、
「安全面での基準がしっかりと作られたら受け入れる」というふうにおっしゃったんですね。
ただ、大阪の場合は特殊な事情があって、海への埋め立てと、
「海へ埋め立てるという話がある」というふうにおっしゃったら、
細野さんは
「今の安全基準は陸で埋め立てることを前提としていたので、海に埋めるケースの安全性はもう一確認する必要がある」と
ま、ただ、協力して進めたいとおっしゃったんですよ。
この陸への埋め立てと、海への埋め立ては、どう意味が違うんでしょうか?

小出:
どっちにしても大した変りはありません。
私は「埋めてはいけない」と言っています。

水野:埋めてはいけない

小出:
もともと放射性物質というものを、産業廃棄物処分場に埋めたりするという事、
その事はいけない事だったのです。
ただもう、どうしようもない状況で、国の方は、
「それぞれの自治体で勝手に燃やして、勝手に埋めろ」と言っているわけですけれども、
どっちも正しくありません。

今現在の各自治体でもっている焼却システムで燃やすような事をすれば、
放射性物質が空気中に飛散してくる可能性が強いですし、
埋めてしまえば、もう取り返しがつきませんので、埋めてはいけません。
ですから私は基本的には今の日本の指示には全て反対です。


ただし、ですけれども、
この番組でも私は聞いていただきましたが、膨大にすでに存在してしまっている震災がれきを
このまま放置することはできないと私は思っています。
私が何よりも望んでいることは、子どもたちを被曝から守るという事です。
もちろん大阪の子どもたちも被爆から守りたいですし、
各地の子どもたちも守りたいですけれども、
福島の子どもたちだって私の願いには含まれています。

今のまま瓦礫を放置しておけば、福島の子ども達に被ばくがますます集中してしまうと思いますので、
何よりも素早く行動を取らなければいけないと思います。
一番大切な事は、福島現地に専用の焼却施設を早急に作って、そこで焼くという事です。

水野:
専用焼却施設を作るべき
で、それはやはり特別な施設が必要だという事ですね。

小出:
もちろんです。
ただしそれだけでは、もう到底間に合わない状況がありますので、
私は、各自治体で引き受けるべきだと実は言ってきて、みなさんから怒られて、怒られ続けていますが、
子どもたちのトータルの被ばくを、少しでも減らすためにはそれしかないと私は思っています。
ただしそのためには、国が言っているようなやり方はダメで、
現在の焼却施設にきちんと排気系統に放射能を補足できるようなフィルター等を取り付ける必要があります。
そのうえで焼くことは私は受け入れざるを得ないと思っています。

そして出てくる焼却灰は各自治体で埋めてはいけません

それはもともと東京電力、福島第一原子力発電所の原子炉の中にあった東京電力のれっきとした所有物
今、汚染物として出てきているのですから、東京電力にお返しするのが筋だなわけですし、
これから福島第一原子力発電所の事故収束のために、
大きな石棺を作ったり、遮蔽壁を作ったりするために膨大なコンクリートが必要になりますので、
その原料に使って、福島第一原子力発電所に持ち帰るというのがいいと思います。






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