・福島県伊達市放射線量33人が年間10ミリシーベルトを超え、2人は年間20ミリシーベルトを超える
・全国で唯一、原発の運転差止め判決をだした弁護士の井戸謙一さんと小出先生
1月25日水曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
福島・伊達市 年間被ばく10ミリシーベルト超えは33人
スポニチ 2012年1月25日 17:21
原発事故を受け、福島県伊達市は25日、
中学生以下の子どもや妊産婦、放射線量の高い特定避難勧奨地点がある地域の住民ら
9443人に配布している小型線量計(ガラスバッジ)による被ばく線量の測定結果をまとめ、
年間の推定値が10ミリシーベルトを超える人が33人に上ることを明らかにした。
このうち2人は国が避難の目安としている年間20ミリシーベルトを超えた。
市によると、2人は勧奨地点がある霊山町の住民で、市の聞き取り調査に「屋外で農作業をした」などと説明している。
33人に妊産婦や子どもは含まれていない。
市は33人について「注意深く見守っていく必要がある」として、生活実態調査や内部被ばく検査を進める方針。
調査は、対象の住民に線量計を身に着けてもらい、
昨年9~11月の3カ月間の測定結果を4倍して年間被ばく線量を推定した。
全体の平均値は年間1・44ミリシーベルト。
市内5地区では最高の霊山町が平均2・84ミリシーベルト、最低の梁川町が同0・68ミリシーベルトだった。
市は「ほとんどの住民について、今のところ特に心配はない数値だ」としている。
続きを読むに
番組の内容書き出しました
水野:
今、福島県伊達市のお話が出てまいりました、
調査の対象となったのは9443人の方です。
そのうち33人の方が年間の推定値が10ミリシーベルトを超えるという数字です。
あるいはそのうちお二人は年間20ミリシーベルトをも超えるという数字です
どんな印象を持たれますか
小出:
私は放射線業務従事者というレッテルを貼られている人間で、
1年間に20ミリシーベルトまでは我慢をしろと言われている人間です。
私のいる京都大学原子炉実験所にも、そういう職員が10人ぐらいはいますけれども、
年間10ミリシーベルトを超えて被ばくするような職員はほぼいません。
水野:あら、そうなんですか
小出:はい
水野:日々お仕事なさっている小出先生たちでも。
小出:はい
水野:じゃ、20ミリシーベルトというのはどんな感じ・・・なんですか?
小出:
原子力発電所で働いている人たちが、
多分今、1年間に10万人ぐらいいると思いますけれども、
そういう人たちでも20ミリシーベルトを超えて被ばくするような方々は、ほぼいないというのがこれまでで、
ま、本当かどうかは分かりませんけれども、これまでのデータでした。
もちろん福島第一原子力発電所の事故が起きた後は、
250ミリシーベルトを超えてしまっている人もいるわけですし、
本当に世界が変わってしまったんだなと思います。
水野:
今日は私たちのスタジオに、
もと金沢地裁裁判長で現在弁護士でいらっしゃいます井戸謙一さんがいらっしゃっております。
井戸さんとも是非お話しをしていただきたいと思います。
小出:はい、ありがとうございます。
井戸:小出先生はじめましてよろしくお願いいたします。
小出:こちらこそよろしくお願いします
水野:
小出先生がもともとは原発の未来を信じて、京都大学に入られて、
その後、女川原発の裁判あたりが発端で原発の在り方に疑問を持たれたというふうに聞いたと思うんですが、
裁判もいろいろと見てこられて、その原発裁判という物に対してはどんな考えを
小出先生は持ってはりますか?
小出:
私は女川でも工事を妨害したということで、刑事事件の被告側に立って、裁判を担った事がありますし、
その後で京都大学原子炉実験所に来てから、伊方原子力発電所の裁判というものにかかわりまして、
私自身も証人として、裁判に出廷したりした事があります。
で、少なくても伊方の裁判では、原告側要するに住民側と、国側というものが、
科学をベースにして論争をずっとしました。
井戸さんがやって下さったもんじゅの裁判もそうですけれども、
科学的な問題をめぐってずっと論争を続けたのです。
それで、私が見る限りは伊方の裁判では、住民側が圧勝したと私は思っているのですけれども、
水野:それは論争の上でですか?
小出:そうです
国側の証人も出てきたわけですけれども、
殆ど国側の承認は反対尋問に耐えられずに、証人席で突っ伏してしまうという人たちが山ほどいたと、
で、証拠を求めれば全部墨塗りがされて出てくるというような状況で、
水野:証拠を求めると墨で塗られて出てくる部分があるんですね。
小出:はい
要するにもう、国の方は立証するつもりもないという、そういう態度で出てきてですね、
いわゆる居所責任を彼らは、国の方が放棄してきたわけで、
どうやったら国の方を勝たせることが出来るのかなと、そういうふうに思うくらいでしたが、
やはり判決になると国が勝ってしまうと、いう事になりました。
それで私は「なるほどな」と、
原子力というものは国家の基本的な方向性を決めるというか、
非常に基本的な役割を担っているので、
司法がそれに楯突く事が出来ないという事なんだというふうに私は受け止めました。
それ以降私は原子力に関する限りは裁判はやらないと決めまして、
井戸さんがやって下さったもんじゅの裁判に関しても、一切私自身はかかわりませんでした。
水野:
井戸さんは裁判長でいらしたお立場でね、
今の小出さんのように、ある種司法に非常に絶望を持っていらっしゃるというふうに私には聞こえましたが、
どんなふうに井戸さんはお聞きになりましたか
井戸:
あの、まず、小出さんはもんじゅっていわれましたけれども、
私がしたのは志賀2号機です
小出:あ、ごめんなさい。志賀でしたね
水野:志賀原発2号機の時に住民側に、ま、住民が勝訴の判決を下された
井戸:そうですね、
水野:運転差し止めを命令された。
井戸:はい
それで原告側が勝った裁判はこの志賀2号機ともんじゅの控訴審と2件だけで、
ま、それも上告審でひっくり返されまして、最終的には全敗という事ですから、
そしてその小出さんが言われたように、中身的には原告側が勝っていて、
原告団や弁護団が当然勝つだろうと思っていたのに、蓋を開けたら負けていたという話も聞きますし、
そういう意味で、今小出さんが言われたような、感想を持たれるのは、
んー、まぁ、それは仕方が無いのかなというふうに思いますが、
しかし、あの、私はああいう判決を出来たし、
それで、何か特別にスーパーマンでも、特別に頑張ったわけでも無くて、
事件の主張と証拠を見て、そこから素直に考えてああいう判決をして、
そしてそれをすることについて、何の妨害も圧力も何もなかったわけですから、
ま、やはり司法のそれなりの健全性といいますか、
裁判官が自分だけの判断で結論を出す事が出来るという、
そういう健全性は、私は保たれているというふうに思っている
水野:保たれているけれども、住民側勝訴というのは他にはないというのが現実
井戸:
それはやはり個々の裁判官がなかなか・・それは個人の判断として、踏み切れなかった。
踏み切る事が出来なかった。
水野:難しさってどういう部分なんでしょう、具体的には。
井戸:
それは、やはり、内容があまりに専門的でですね、
あのー、ま、肩書のある専門家の方々が沢山バックについて、
それで、その国の原子炉設置許可処分というのが出ているのですから、
それを覆す素人の裁判官が覆すという事についての、慄きって言いますかね、
というような気持ちだと思います。
水野:
リスナーの方も、訊いていらっしゃるのは、
文系の方が多いであろう裁判官の方が、こうした理系の高度な話に対して、
どうやって判断を下すのか、難しいでしょうね。と下さっていますが、
正直やはりそのところは、立派な肩書の先生がどんどん出してくる、
それをやはり、ある程度信じるというか、信頼するという事になるんですかね。
そこを疑うっていうのは、
井戸:
いや、もちろんその疑うべき事象を原告側が出してくる訳だから、
その双方の言い分を虚心坦懐にみなきゃいけないわけですけどね、
ただ、その、問題点は、その原発が安全かどうかなんですよ。
安全というのは、あの、100%の安全というのはあり得ないわけでしょ、
そうなると、社会的に許容されている程度に安全かどうかという問題なんですよね。
水野:はぁ~
井戸:
それはやはり、国民から見てですね、
それは100パーセント安全とは言えないけど、これだけの安全対策を取ってくれれば、
まぁ、周囲の住民も国民も、まぁ、
「それなりに安心して生活できるね」という程度の安全対策を取っているかどうかが問題だと思うので、
そういう意味では、自然的な知見はベースにするけれども、最終的には社会的判断であってね、
水野:社会的判断・・・
井戸:
それは裁判官が出来ることだというふうに私は考えているんですけれど。
水野:はぁ~
小出さんはいかがですか、
やはり、「科学としての論争」と、この「社会的判断」というお話が今出てきましたよね、
小出:
はい、裁判の場所でお互いに証拠を出しながら、反対尋問もあるわけですね。
そういう時にどういう答えをするかという事を見ていていただけるならば、
その主張が正しいのかどうなのかということは、
私は、分かっていただけるものだと思ってきました。
水野:素人でもですか?
小出:そうです。
ですから、私自身は、
原子力を私は反対してきましたし、国が進めていると言ってきたわけですけれども、
私の意見をただ聞く、そして国の意見をただ聞くのではなくて、
その「同じ場所で論争させて下されば、どちらが正しいのかが皆さんが分かる」という事をずっと言ってきてですね、
「1対1の論争であればどこへでも行きます」と私は今まで言ってきましたし、
出ていくようにしてきたのですけれども、
内容が科学的に難しいものであったとしても、
それを論争している両者がですね、論争しているところを聞いていただければ、
どちらに利があるかという事は、多分ほとんどの方に分かっていただけるものだと思ってきました。
水野:
そうですか・・はい、
あの、井戸さんね、証拠となる情報が、墨塗りにつぶされているというような話、
これは・・・・そんなのウソでしょと思う位信じがたい話なんですね、私から見たら。
これは双方が争う、双方が同じ情報を持ってやっているんですか、どうなんでしょうか。
井戸:
いえ、安全性に対する情報はほとんど被告側が持ってますよね。
水野:つまり、電力会社や国側が持っている
井戸:電力会社や国が持っていますよね。
水野:じゃ、住民側は十分な情報が持てない、
井戸:
それは、色々と、もちろん調べて情報収集はしますけれど、
やはり、情報量の格差というのは圧倒的な違いがあるので、
水野:はぁ~ぁ
井戸:で、先日
近藤:
いまね、井戸さんの判決は私なりに理解しているんですが、
今回、3.11のああいう事故が起きてね、
その結果を踏まえて、「俺が出した裁判の判決というのはどうも疑問がある」というようなことで、
裁判官をやめたとか、そんな動きっていうのは今のところ無いんですか?
井戸:そのあとですか、
近藤:はい
井戸:原発を担当した裁判官がですか、
近藤:はい
井戸:あ、それは聞いた事が無いです。
近藤:その人達は、どういう解釈の中で生きているんですかね
水野:ホンマですね
井戸:
それは・・・内心は分かりませんけど、
建て前としては、??の主張立証に照らして適切に判断したというふうに思っているんだと思うんですけど。
近藤:
あの、井戸さんの場合はやはり今回の事故をそれなりにお考えなさって、
自分の判断に、言わば自信を得たっていいますか、
そういう思考の流れっていうのはある訳でしょう
井戸:
そうですね、それはもう、言い渡した時から、
あの裁判における主張と立証からすれば、この結論しかないと、自分としては自信を持って判断していましたので、
その気持ち自体は揺るがないです。
近藤:事故が起きた時に、やはり、果たして起きたかっていう気持ちはございましたですか?
井戸:あ、それはありましたね。
近藤:
だとすれば、本当に良心に基ずいて判決をみなさんなさったとしても、
今度の事故をそれなりに受け止める気持ちっていうのは
やっぱりなんかこう、知りたいところが私らなどにはありますね。
井戸:
あの、おひとり、ちょっとね、取材等に応じておられる方がいますけれども、
ええ、やはり、「認識が甘かった」と、反省の弁は述べておられました。
近藤:ああ、そうですか、
水野:
そういう声が出てきて下さる事で、
私達にしたら司法が変わっていくのかなと、あり方が変わってくるのかなと見えてくるかもしれません
小出先生、どうもありがとうございました。
小出:
はい、ありがとうございました。
あの、井戸さん、本当に失礼しました。もんじゅと志賀を間違えていました。今後もよろしくお願いいたします。
井戸:
いえいえ、
よろしくお願いいたします。
井戸謙一氏のたねまきジャーナル「今日の特集」↓
原発と国「もと裁判官に聞く司法の限界」井戸謙一氏 たねまきジャーナル1/25(内容書き出し・参考あり)
・全国で唯一、原発の運転差止め判決をだした弁護士の井戸謙一さんと小出先生
1月25日水曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
福島・伊達市 年間被ばく10ミリシーベルト超えは33人
スポニチ 2012年1月25日 17:21
原発事故を受け、福島県伊達市は25日、
中学生以下の子どもや妊産婦、放射線量の高い特定避難勧奨地点がある地域の住民ら
9443人に配布している小型線量計(ガラスバッジ)による被ばく線量の測定結果をまとめ、
年間の推定値が10ミリシーベルトを超える人が33人に上ることを明らかにした。
このうち2人は国が避難の目安としている年間20ミリシーベルトを超えた。
市によると、2人は勧奨地点がある霊山町の住民で、市の聞き取り調査に「屋外で農作業をした」などと説明している。
33人に妊産婦や子どもは含まれていない。
市は33人について「注意深く見守っていく必要がある」として、生活実態調査や内部被ばく検査を進める方針。
調査は、対象の住民に線量計を身に着けてもらい、
昨年9~11月の3カ月間の測定結果を4倍して年間被ばく線量を推定した。
全体の平均値は年間1・44ミリシーベルト。
市内5地区では最高の霊山町が平均2・84ミリシーベルト、最低の梁川町が同0・68ミリシーベルトだった。
市は「ほとんどの住民について、今のところ特に心配はない数値だ」としている。
続きを読むに

水野:
今、福島県伊達市のお話が出てまいりました、
調査の対象となったのは9443人の方です。
そのうち33人の方が年間の推定値が10ミリシーベルトを超えるという数字です。
あるいはそのうちお二人は年間20ミリシーベルトをも超えるという数字です
どんな印象を持たれますか
小出:
私は放射線業務従事者というレッテルを貼られている人間で、
1年間に20ミリシーベルトまでは我慢をしろと言われている人間です。
私のいる京都大学原子炉実験所にも、そういう職員が10人ぐらいはいますけれども、
年間10ミリシーベルトを超えて被ばくするような職員はほぼいません。
水野:あら、そうなんですか
小出:はい
水野:日々お仕事なさっている小出先生たちでも。
小出:はい
水野:じゃ、20ミリシーベルトというのはどんな感じ・・・なんですか?
小出:
原子力発電所で働いている人たちが、
多分今、1年間に10万人ぐらいいると思いますけれども、
そういう人たちでも20ミリシーベルトを超えて被ばくするような方々は、ほぼいないというのがこれまでで、
ま、本当かどうかは分かりませんけれども、これまでのデータでした。
もちろん福島第一原子力発電所の事故が起きた後は、
250ミリシーベルトを超えてしまっている人もいるわけですし、
本当に世界が変わってしまったんだなと思います。
水野:
今日は私たちのスタジオに、
もと金沢地裁裁判長で現在弁護士でいらっしゃいます井戸謙一さんがいらっしゃっております。
井戸さんとも是非お話しをしていただきたいと思います。
小出:はい、ありがとうございます。
井戸:小出先生はじめましてよろしくお願いいたします。
小出:こちらこそよろしくお願いします
水野:
小出先生がもともとは原発の未来を信じて、京都大学に入られて、
その後、女川原発の裁判あたりが発端で原発の在り方に疑問を持たれたというふうに聞いたと思うんですが、
裁判もいろいろと見てこられて、その原発裁判という物に対してはどんな考えを
小出先生は持ってはりますか?
小出:
私は女川でも工事を妨害したということで、刑事事件の被告側に立って、裁判を担った事がありますし、
その後で京都大学原子炉実験所に来てから、伊方原子力発電所の裁判というものにかかわりまして、
私自身も証人として、裁判に出廷したりした事があります。
で、少なくても伊方の裁判では、原告側要するに住民側と、国側というものが、
科学をベースにして論争をずっとしました。
井戸さんがやって下さったもんじゅの裁判もそうですけれども、
科学的な問題をめぐってずっと論争を続けたのです。
それで、私が見る限りは伊方の裁判では、住民側が圧勝したと私は思っているのですけれども、
水野:それは論争の上でですか?
小出:そうです
国側の証人も出てきたわけですけれども、
殆ど国側の承認は反対尋問に耐えられずに、証人席で突っ伏してしまうという人たちが山ほどいたと、
で、証拠を求めれば全部墨塗りがされて出てくるというような状況で、
水野:証拠を求めると墨で塗られて出てくる部分があるんですね。
小出:はい
要するにもう、国の方は立証するつもりもないという、そういう態度で出てきてですね、
いわゆる居所責任を彼らは、国の方が放棄してきたわけで、
どうやったら国の方を勝たせることが出来るのかなと、そういうふうに思うくらいでしたが、
やはり判決になると国が勝ってしまうと、いう事になりました。
それで私は「なるほどな」と、
原子力というものは国家の基本的な方向性を決めるというか、
非常に基本的な役割を担っているので、
司法がそれに楯突く事が出来ないという事なんだというふうに私は受け止めました。
それ以降私は原子力に関する限りは裁判はやらないと決めまして、
井戸さんがやって下さったもんじゅの裁判に関しても、一切私自身はかかわりませんでした。
水野:
井戸さんは裁判長でいらしたお立場でね、
今の小出さんのように、ある種司法に非常に絶望を持っていらっしゃるというふうに私には聞こえましたが、
どんなふうに井戸さんはお聞きになりましたか
井戸:
あの、まず、小出さんはもんじゅっていわれましたけれども、
私がしたのは志賀2号機です
小出:あ、ごめんなさい。志賀でしたね
水野:志賀原発2号機の時に住民側に、ま、住民が勝訴の判決を下された
井戸:そうですね、
水野:運転差し止めを命令された。
井戸:はい
それで原告側が勝った裁判はこの志賀2号機ともんじゅの控訴審と2件だけで、
ま、それも上告審でひっくり返されまして、最終的には全敗という事ですから、
そしてその小出さんが言われたように、中身的には原告側が勝っていて、
原告団や弁護団が当然勝つだろうと思っていたのに、蓋を開けたら負けていたという話も聞きますし、
そういう意味で、今小出さんが言われたような、感想を持たれるのは、
んー、まぁ、それは仕方が無いのかなというふうに思いますが、
しかし、あの、私はああいう判決を出来たし、
それで、何か特別にスーパーマンでも、特別に頑張ったわけでも無くて、
事件の主張と証拠を見て、そこから素直に考えてああいう判決をして、
そしてそれをすることについて、何の妨害も圧力も何もなかったわけですから、
ま、やはり司法のそれなりの健全性といいますか、
裁判官が自分だけの判断で結論を出す事が出来るという、
そういう健全性は、私は保たれているというふうに思っている
水野:保たれているけれども、住民側勝訴というのは他にはないというのが現実
井戸:
それはやはり個々の裁判官がなかなか・・それは個人の判断として、踏み切れなかった。
踏み切る事が出来なかった。
水野:難しさってどういう部分なんでしょう、具体的には。
井戸:
それは、やはり、内容があまりに専門的でですね、
あのー、ま、肩書のある専門家の方々が沢山バックについて、
それで、その国の原子炉設置許可処分というのが出ているのですから、
それを覆す素人の裁判官が覆すという事についての、慄きって言いますかね、
というような気持ちだと思います。
水野:
リスナーの方も、訊いていらっしゃるのは、
文系の方が多いであろう裁判官の方が、こうした理系の高度な話に対して、
どうやって判断を下すのか、難しいでしょうね。と下さっていますが、
正直やはりそのところは、立派な肩書の先生がどんどん出してくる、
それをやはり、ある程度信じるというか、信頼するという事になるんですかね。
そこを疑うっていうのは、
井戸:
いや、もちろんその疑うべき事象を原告側が出してくる訳だから、
その双方の言い分を虚心坦懐にみなきゃいけないわけですけどね、
ただ、その、問題点は、その原発が安全かどうかなんですよ。
安全というのは、あの、100%の安全というのはあり得ないわけでしょ、
そうなると、社会的に許容されている程度に安全かどうかという問題なんですよね。
水野:はぁ~
井戸:
それはやはり、国民から見てですね、
それは100パーセント安全とは言えないけど、これだけの安全対策を取ってくれれば、
まぁ、周囲の住民も国民も、まぁ、
「それなりに安心して生活できるね」という程度の安全対策を取っているかどうかが問題だと思うので、
そういう意味では、自然的な知見はベースにするけれども、最終的には社会的判断であってね、
水野:社会的判断・・・
井戸:
それは裁判官が出来ることだというふうに私は考えているんですけれど。
水野:はぁ~
小出さんはいかがですか、
やはり、「科学としての論争」と、この「社会的判断」というお話が今出てきましたよね、
小出:
はい、裁判の場所でお互いに証拠を出しながら、反対尋問もあるわけですね。
そういう時にどういう答えをするかという事を見ていていただけるならば、
その主張が正しいのかどうなのかということは、
私は、分かっていただけるものだと思ってきました。
水野:素人でもですか?
小出:そうです。
ですから、私自身は、
原子力を私は反対してきましたし、国が進めていると言ってきたわけですけれども、
私の意見をただ聞く、そして国の意見をただ聞くのではなくて、
その「同じ場所で論争させて下されば、どちらが正しいのかが皆さんが分かる」という事をずっと言ってきてですね、
「1対1の論争であればどこへでも行きます」と私は今まで言ってきましたし、
出ていくようにしてきたのですけれども、
内容が科学的に難しいものであったとしても、
それを論争している両者がですね、論争しているところを聞いていただければ、
どちらに利があるかという事は、多分ほとんどの方に分かっていただけるものだと思ってきました。
水野:
そうですか・・はい、
あの、井戸さんね、証拠となる情報が、墨塗りにつぶされているというような話、
これは・・・・そんなのウソでしょと思う位信じがたい話なんですね、私から見たら。
これは双方が争う、双方が同じ情報を持ってやっているんですか、どうなんでしょうか。
井戸:
いえ、安全性に対する情報はほとんど被告側が持ってますよね。
水野:つまり、電力会社や国側が持っている
井戸:電力会社や国が持っていますよね。
水野:じゃ、住民側は十分な情報が持てない、
井戸:
それは、色々と、もちろん調べて情報収集はしますけれど、
やはり、情報量の格差というのは圧倒的な違いがあるので、
水野:はぁ~ぁ
井戸:で、先日
近藤:
いまね、井戸さんの判決は私なりに理解しているんですが、
今回、3.11のああいう事故が起きてね、
その結果を踏まえて、「俺が出した裁判の判決というのはどうも疑問がある」というようなことで、
裁判官をやめたとか、そんな動きっていうのは今のところ無いんですか?
井戸:そのあとですか、
近藤:はい
井戸:原発を担当した裁判官がですか、
近藤:はい
井戸:あ、それは聞いた事が無いです。
近藤:その人達は、どういう解釈の中で生きているんですかね
水野:ホンマですね
井戸:
それは・・・内心は分かりませんけど、
建て前としては、??の主張立証に照らして適切に判断したというふうに思っているんだと思うんですけど。
近藤:
あの、井戸さんの場合はやはり今回の事故をそれなりにお考えなさって、
自分の判断に、言わば自信を得たっていいますか、
そういう思考の流れっていうのはある訳でしょう
井戸:
そうですね、それはもう、言い渡した時から、
あの裁判における主張と立証からすれば、この結論しかないと、自分としては自信を持って判断していましたので、
その気持ち自体は揺るがないです。
近藤:事故が起きた時に、やはり、果たして起きたかっていう気持ちはございましたですか?
井戸:あ、それはありましたね。
近藤:
だとすれば、本当に良心に基ずいて判決をみなさんなさったとしても、
今度の事故をそれなりに受け止める気持ちっていうのは
やっぱりなんかこう、知りたいところが私らなどにはありますね。
井戸:
あの、おひとり、ちょっとね、取材等に応じておられる方がいますけれども、
ええ、やはり、「認識が甘かった」と、反省の弁は述べておられました。
近藤:ああ、そうですか、
水野:
そういう声が出てきて下さる事で、
私達にしたら司法が変わっていくのかなと、あり方が変わってくるのかなと見えてくるかもしれません
小出先生、どうもありがとうございました。
小出:
はい、ありがとうございました。
あの、井戸さん、本当に失礼しました。もんじゅと志賀を間違えていました。今後もよろしくお願いいたします。
井戸:
いえいえ、
よろしくお願いいたします。
井戸謙一氏のたねまきジャーナル「今日の特集」↓
原発と国「もと裁判官に聞く司法の限界」井戸謙一氏 たねまきジャーナル1/25(内容書き出し・参考あり)
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