たねまきJ「アメリカの原発がベント実施・トリチウム・保安院が内部告発無視・原子力規制庁」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)1/31

・アメリカ、イリノイ州のバイロン原発のベントについて
・トリチウムについて
・保安院が内部告発を4年半放置した事について
・原子力規制庁の閣議決定について

1月31日火曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]




<参考その1>
米エクセロンの原発が緊急停止、外部電力途絶で-原子力規制委
1月30日(ブルームバーグ)更新日時: 2012/01/31 13:02 JST

原子力発電所運営で米最大手のエクセロンが運転する
イリノイ州のバイロン原子力発電所で30日、外部からの電力供給が止まったため、2号炉の運転を自動停止した。
米原子力規制委員会(NRC)が明らかにした。

NRC広報担当のビクトリア・ミットリング氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、
「変圧器周辺で煙が報告されたが、火災は確認されていない」と述べた。

エクセロンは現地時間同日午前10時18分(日本時間31日午前0時18分)に、
4段階の緊急事態のうち最も低いレベルの「異常事象」を宣言した。
バイロン原発はシカゴの西85マイル(約137キロメートル)に位置する。残る1基はフル稼働している。

ミットリング氏によると、電源喪失の原因はまだ特定されていない。
同原発の広報担当者、クリスタ・ロピキンスキ氏は電子メールで、
「施設は安全な状態が保たれており、現場の専門家が原因を調べている」と説明。
さらに「周辺住民の健康と安全への影響はない」と述べた。

バイロン5 バイロン4
画像はTBSニュースより
バイロン3 バイロン12



米 外部電源失われ原発緊急停止
NHK 1月31日 9時51分 動画あり
バイロン11

アメリカ中西部・イリノイ州の原子力発電所で、30日、
運転中の原発の外部電源が失われ、原発が緊急停止するトラブルが起きました。
原発からは、原子炉の圧力を下げるために微量の放射性物質を含む蒸気が放出されているということですが、
アメリカ政府や電力会社では、健康への影響はないとしています。

緊急停止したのは、アメリカ中西部・イリノイ州にあるバイロン原子力発電所の2号機です。
NRC=アメリカ原子力規制委員会や電力会社によりますと、
現地時間30日午前10時すぎ、バイロン原発の2号機で外部電源が突然失われ、原発が緊急停止したということです。
電力会社で調べたところ、施設内の変電所で異常が見つかったということで、
2号機は現在、非常用のディーゼル発電機により冷却機能は維持されているということです。
また、原子炉の圧力を下げるために、2次系の冷却水を使った装置から、蒸気の放出も行われており、
蒸気の中には放射性物質のトリチウムがごくわずかに含まれているということですが、
NRCと電力会社は、
通常の運転でもトリチウムは蒸気などで定期的に放出されており
安全性に問題はなく、健康に影響はない」としています。
NRCによりますと、今回の緊急停止は、原発で起きるトラブルの深刻度を測る4段階の指標の中で最も低いもので、
電力会社では、トラブルの原因を調べるとともに、外部電源の復旧を急いでいます。



続きを読むに番組の内容書き出し&<参考その2>







水野:
今お伝えしましたアメリカの原発事故についてまず教えていただきたいんです。
今回、このバイロン原子力発電所というところ、
原子炉が緊急停止しました。で、ベント、蒸気を外に逃がすベントが行われたという事なんですが、
確かこのベントというのは、そう簡単にやる事ではない、よほどの緊急時のことだと、
小出先生はおっしゃっていたように思うんですが。

小出:そうです

水野:いかがでしょう

小出:
はい、私も今初めてこのニュースを聞きまして、事故の詳しい事は分かりません。
ただし、トリチウムという放射性物質が放出されたというふうに今聞きました。
そのトリチウムというのは実は水素の同位体と私達が呼んでいるもので

水野:同位体ってどういう意味ですか?

小出:
私達が水素と呼んでいるものの、3倍重たい水素なのです。
水素でありながら重さが違うというそういうものがあるので、
同じ元素でありながら重さが違うので、私たちは同位体と呼ぶのですが、
水素の同位体で放射能を持っている水素なのです。
それが出てきたという事は一次冷却水の蒸気ですね、それを放出した事だと私は思います。
ただし、燃料そのものがまだ破損をしていないので、
「一次冷却水の蒸気は放出したけれども、他の放射能は放出していません」という
そういう説明になっているのだなと、今私は聞きました。

水野:ほぉ・・・

小出:
ただし、一次冷却水を放出しなければいけないというそういう事態は、それなりに深刻です。
どうしてそんな事になったのかを知りたいと今私は思います。

平野:トリチウム自体の毒性というのは、どうなんでしょうか

小出:
えっとですね、大変低いエネルギーのベータ線しか出さない、
一番エネルギーが高くても18.69エレクトロンボルトというような、
放射線としてはものすごくエネルギーの少ない、つまり危険度の少ない物なんですけれども、
いかんせん水素ですので、一度環境に放出してしまうと、回収の方法すらがもう無いのです。
水になってしまいますので、どんなに水を綺麗にしようと思っても水そのものですのから、
もう取り除く事も出来ないし、
人間という生き物は水が無ければ生きられませんので、
必ず体に取り込んでしまうし、細胞の中にもどこにでも入ってきてしまうし、
有機物に化合すると、DNAの一部にもなってしまうというようなものですので、
放射線の毒性だけではない、また、毒性もあるだろうと考えられています。
かなり大量に原子炉の中でも出来ますので、
注意をしなければいけないとかねてから私は思ってきました。


水野:
今のお話しだと、水になってしまうので、生命体が体に取り込んでしまう。
というのは、いわゆる内部被ばくする危険性が高いという意味でしょうか?

小出:
そうです
外部被ばくという意味ではほとんど問題になりません。
ガンマ線を出しませんし、ベータ線のエネルギーはものすごく低いので、
外部被ばくという意味では、ほとんど問題は無いと思っていただいて結構です。

水野:
という事は、今すぐにですね、外部被ばくで何らかの急性な症状が出るという事は考えにくい。ですよね

小出:そうです

水野:
ただ、この後除去できないという事は、ずーっと残る訳ですから、
それを体内に取り入れるっていうのは、直接しなくても、
水からいろんな植物、作物や魚類など、に移って、そして人間にっていう恐れはある訳ですね

小出:そうです。
最終的には地球全体の水循環の中に取り込まれていきますので、
海全体がトリチウムで汚れるとかですね、そういう形になるのですけれども、
それより薄まる前に局所的なトリチウムによる汚染という物が、起こる可能性がありますし、
今回の事故がどれだけの物か私はまだよく分かりませんが、
注意はしなければいけないと思います。

水野:わたしらはどうしたらいいんですか

小出:
ま、日本の人がですね、今この事故、
バイロン原発の事故で出てきたトリチウムに、格別に注意をする必要はありません。

平野:
先生、ただね、今日のこれ、昼前のニュースでですね、
アメリカ政府は「普段から原発からの放出の蒸気の中に、この物質が含まれているんで、
あんまり影響は無いんだ、心配する事は無いんだ」みたいな事が一報で流れたんですよね。
そ、そんなに普段から放出されているもんだとしたらですね、
今のお話しだと逆に言うと、恐いなと。
内部被ばくが、
日本の原発もですね、普段から水蒸気の中から放出されているのなら、恐いなと思ったんですけれども。

小出:
ええ、水蒸気というかですね、ま、水蒸気もそうですけれども、
原子炉から出てきてしまうと必ず水になってしまうのです。トリチウムというのは。
ですから、どこの原子力発電所でもそうですけれども、廃水処理という、廃液処理をしている訳ですけれども、
「汚れた放射性物質を水の中から取り除いて綺麗にします」と言っている訳ですが、
トリチウムは水そのものですので、どんな事をやっても取り除けないのです。

水野:はぁ・・・・・
平野:ん・・・

小出:
ですから、排水処理をしたと言って、綺麗になったといいながらも
トリチウムだけはどこの原子力発電所からも日常的に出てきていますという、
そういう特殊な放射性物質なんです。

水野:えっ!?日常的っておっしゃったっていう事は、事故を起こさないで

小出:そうです

水野:言ってみたら、普通に稼働している原発からも、

小出:そうです

水野:いつもトリチウムは出ているんですか?

小出:そうです

平野:んー・・・

水野:水、となって・・・

小出:はい
私がお守をしている京都大学原子炉実験所の排水中にもトリチウムはあります。
取れないのです、これは。

平野:そこはおそろしいですね

小出:はい

水野:
あの、そこが私良く分かっていないんですけれど、
事故を起こさなくても原発というのは、
トリチウム以外にも何らかの放射性物質を外へ出してしまう物なんですか?

小出:もちろんです。

水野:もちろんですか・・・

小出:
技術というのは、100ある物を100捕まえるという事はできませんで、99捕まえます。
もっと頑張って99.9捕まえます。もっと頑張って99.99捕まえますって言うことはできるのですけれども、
完璧にゼロにすることはできませんので、
どこの原子力発電所でも、もちろん私のところの原子炉でも、
何がしかの放射性物質は日常的に出さざるを得ないのです。

水野:はーーーー、そういう事でしたか・・・
また、これ、詳しい事故の内容が分かれば、また小出先生に伺う機会もあると思いますが、
突然の事でしたけれども教えていただいてありがとうございます。
もう一つ伺いたいんですけれども、
原発などのトラブルの内部告発を調べる第三者委員会のシステムがあるんだそうで、
これは2002年度にできた制度だそうですけれども、こういう事実が分かってきました。
内部告発をした人がですね、この委員会の事務局に何度も指摘したのに
その内部告発を事務局が委員会に報告しなかった。
という話なんですね。
これは四国電力伊方原発3号機で、
「建設中の時に消火ポンプの試験中にケーブルが燃えた」と、いう告発がありまして、
しかし、第三者委員会は電力会社に聞き取りをして、
いや、いや、法令上に問題は無いと結論付けていたんです。
ところがその後、告発した人は何度もですね、この事務局に指摘をしました。
この事務局というのはどこが勤めているかというと、原子力安全保安院なんですね。
経済産業省の原子力安全保安院が事務局を務めていて
告発した人は、
「関係者に出火のことを隠ぺいするよう要請があったんだ」という内容などを、数十回指摘した。
ところが、結局、内部告発を何度しても、受け付けてくれなかったという話かと思うんです。
こんなこと、小出先生はご存知ですか?

小出:はい、前に聞いた事があります。

水野:はぁ~、こういうことって、あり得る事なんですか?

平野:
先生、2000年の初めにですね、福島の第一原発のトラブルを内部告発をした人が、
通産省に手紙とか、そういうものをいっぱい出して、実名で出して、
経産省が東電に改善を求めたんだけども東電は全然何もしなくて、
その告発者の実名までもが会社に漏れたり、

水野:えー、実名が漏れるだなんて!

平野:それで大問題になったという事案が確かあったと思うんですけれども、

小出:そうだったと思います。

平野:そうですね、
ぜんぜん、内部告発の通報者を守るような事にもなっていないし、
それを生かして改善するという姿勢も全然変わっていないんですよね。

小出:
原子力ムラという強固な組織があって、
原子力保安院というのは本当は、規制をするというそういう役所の筈ですけど、
それでも昨年明らかになったように、やらせを保安院自身が主導するということをやってきたんですね。
全てが一体になって原子力を推進する、
反対するものはブルドーザーのように押しつぶすという事で、これまできてまったということの一角だと思います。

水野:
わたくしがご紹介した事案については結局4年ほどたって、
去年の夏になって初めて、この告発を再申告受け入れという事で受け付けたっていう話なんですね。
あの大事故を経て、ようやく受け入れる体制になったのかなぁと思いますが、
でも、よくよく考えてみたら、この第三者委員会の事務局をやっている保安院っていうのも、
原子力ムラの一角であるというのは、わたしらはもう、いろんな形で見えてきましたよね。
ところが今度はですね、この保安院を経済産業省から分離させまして、
内閣府の原子力安全委員会と一緒にして、
今度は原子力規制庁という名前に4月からしていくんだと、いう事が、きょう閣議決定されました。
で、この内容で原発の規制の強化を図るんだという事なんだそうです。国としては。
これ、どうお感じになりますか?

小出:
私は何をやってもダメだと思います。
日本というこの国が原子力を進めるというふうに決めてきているのですね。
たとえば、原子力基本法というのがあるのですけれども、
それは「自主民主政府の公開の元に原子力を進める」と書いてあるわけで、
その元に原子力委員会も作りましたけれども、
その原子力委員会の委員長は
「原子力に反対するような事をしたら法律違反だから、自分は原子力を推進」するというふうに言い放つという、
そういう人たちがやっているのですね。
ですから、日本というこの国家が原子力を進めると決めた以上は、要するに進める訳ですから、
何か文句を言ったとしても、結局は進めるという流れの中にしかならないと私は思います。
「本当に根本的な議論が今こそ求められているのだろうな」という事が私の今の印象です。




<参考その2>
内部告発を4年半放置 伊方原発で保安院
日本経済新聞 2012/1/31 10:41

経済産業省原子力安全・保安院は30日までに、
原子力施設に関し、関係者からの内部告発を受け付ける「安全情報申告制度」に寄せられた申告を
約4年半にわたり放置していたことを明らかにした。

保安院によると、放置された申告は
1992年に四国電力伊方原発3号機で消火ポンプのケーブルが焼けたことに関する件。
2006年に火災の事実を報告しなかったとの申告があり、
外部の有識者による「原子力施設安全情報申告調査委員会」は
07年1月、「安全上、法令上問題ない」との報告書をまとめた。

その報告書に対し、申告者が07年1月から11年8月まで数十回にわたり、
ポンプの作動状況が事実と異なるなどとして再調査を求めたが、
保安院の担当者は報告書の結論に影響は与えないと考え、委員会に報告していなかったという。〔共同〕



原子力規制庁:閣議決定
毎日新聞 2012年1月31日 東京夕刊

政府は31日、
環境省の外局として発足予定の原子力規制庁の設置や原発の運転期間の「原則40年」への制限など、
新たな原子力規制行政のための関連2法案を閣議決定した。
福島第1原発事故の反省から、原発の推進と規制の組織を明確に分離するなど、原発安全規制を転換する。

閣議決定されたのは通称「原子力組織制度改革法案」と「原子力安全調査委員会設置法案」。
このうち改革法案は、既存の原子力規制関連の法律13本を一括して改正するための法案。
これにより、原発推進の立場に立つ経済産業省にあった規制機関の原子力安全・保安院を分離し、
内閣府の原子力安全委員会と統合。
文部科学省から放射線モニタリングの司令塔機能なども原子力規制庁に移管し、原発の規制強化を図る。

同法案に含まれる原子炉等規制法改正案で、運転期間は「原則40年」と明記され、
例外規定として、基準を満たした場合は環境相が20年以内で1度に限り、
運転の延長を「認可することができる」と定める。
さらに既存の原発にも最新基準への適合を義務づける「バックフィット制度」を導入する。
また設置法案により、規制庁を監視する原子力安全調査委員会を設け、
原発事故の原因や被害の究明に欠かせない事情聴取や立ち入り検査などの法的権限を与える。
【江口一、藤野基文】


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