・トリチウムって?
・雪と放射能
・福島講演での子どもの質問
2月2日木曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
たねまきJ「アメリカの原発がベント実施」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)1/31
ーー一部抜粋ーー
アメリカの原発事故、バイロン原子力発電所で、原子炉が緊急停止しし、ベントが行われた。
ベントにより、トリチウムという放射性物質が放出されたという事について、説明して下さっています。
そのトリチウムというのは実は水素の同位体と私達が呼んでいるもので
私達が水素と呼んでいるものの、3倍重たい水素なのです。
水素でありながら重さが違うというそういうものがあるので、
同じ元素でありながら重さが違うので、私たちは同位体と呼ぶのですが、
水素の同位体で放射能を持っている水素なのです。
トリチウムは、大変低いエネルギーのベータ線しか出さない、
一番エネルギーが高くても18.69エレクトロンボルトというような、
放射線としてはものすごくエネルギーの少ない、つまり危険度の少ない物なんですけれども、
水素ですので、一度環境に放出してしまうと、回収の方法すらがもう無いのです。
水になってしまいますので、どんなに水を綺麗にしようと思っても水そのものですのから、
もう取り除く事も出来ないし、人間という生き物は水が無ければ生きられませんので、
必ず体に取り込んでしまうし、細胞の中にもどこにでも入ってきてしまう。
有機物に化合すると、DNAの一部にもなってしまうというようなものですので、
放射線の毒性だけではない、毒性もあるだろうと考えられています。
かなり大量に原子炉の中でも出来ますので、
注意をしなければいけないとかねてから私は思ってきました。
アメリカ政府は「普段から原発からの放出の蒸気の中に、この物質が含まれている」と言っているが、
水蒸気でもそうだが、原子炉から出てきてしまうと必ず水になってしまうので、
どこの原子力発電所でも廃液処理をしている訳ですけれども、
トリチウムは水そのものですので、どんな事をやっても取り除けないのです。
ですから、排水処理をしたと言って、綺麗になったといいながらも
トリチウムだけはどこの原子力発電所からも日常的に出てきていますという、そういう特殊な放射性物質なんです。
「落ち葉のセシウムは水源から海へ」広瀬隆氏「収束宣言」大嘘の皮を剥ぐ
後半ーその5ー(内容書き出し)
ーー一部抜粋ーー
これから雪の季節ですからね、山は。
分水嶺のところは、雪解けの春からですね、大変なことが起こるだろうと私は予想しています。
だから、これが新潟でもね、信濃川でも要するに源流から見るとかなり危ないし、
こちら太平洋側を見るととてつもない大量のものがここへ出てくる訳です。
小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。~
2012年1月21日福島市 「子どもたちに伝えたい原発のはなし」質疑応答部分
続きを読むに
番組の内容書き出し
千葉:
リスナーからのメールが沢山届いています
火曜日に小出さんにアメリカの原発事故に関連して放出されたと言われる
トリチウムという物質についてお話しをいただきました。
水素と同じものですが、
放射能を持っていて環境に出てしまうと水そのものになってしまって、
回収の方法がないというお話しには、かなりびっくりしました。
それに関連してこのような質問がきています。
「トリチウムという放射性物質があるとは初めて知りました。
もともと自然界には存在する放射性物質のようですが、
原発の排水や核実験などで、トリチウムはどれくらい増えているのでしょうか?」
という質問なんですが、
小出:
はい、もともと自然界には、ごく微量ですけれどもあります。
どうしてそんなものがあるかというと、宇宙から宇宙線というものが地球に降り注いでいるのですが、
その宇宙線が大気中の原子と反応して、トリチウムを生成するという、そういう反応の仕方がありまして、
地球には昔からトリチウムという、ま、三重水素と言っている水素の3倍重たい水素なんですが、
が、あるのです。
で、昔から、人類も他の生き物もトリチウムに被ばくをしながら来たんですね、
でも、人間がいわゆる核反応という反応をさせる力を持つことになった
つまり原爆を爆発させたり、水爆を爆発させたり、あるいは、原子炉を動かしたりという事になってから、
トリチウムという放射能を持った水素を大量に生み出すようになりました。
たとえば、1950年、あるいは60年代にかけて、大気圏核実験というのが、数限りなく、
もう何百回も行われたのですけれども、その行われた核実験では
今までにあったトリチウムの約100倍というようなトリチウムを大気中にばらまきました。
千葉:今までに地球上にあったトリチウムの約100倍が、その実験でばらまかれた訳ですか?
小出:はい、
10年15年、あるいは20年近く大気圏内核実験というのは続いた訳ですけれども、
その期間に渡って放出したトリチウムの総量は、これまで地球上にあったトリチウムの100倍という、
そういうものを放出してしまった、という事になりました。
千葉:ハ~~~ァ~~~
小出:
で、そのうえで今原子力というものをやっているわけですけれども、
例えば今、六ヶ所の再処理工場を動かそうとしていますが、
六ヶ所の再処理工場は多分毎年毎年、
地球全体で自然に作られているトリチウムと同じくらい放出しているんじゃないかな
放出するのじゃないかなと思う位を、多分放出します。
千葉:その、六ヶ所一カ所だけでですか?
小出:はい。
千葉:
はぁーーーー、そ・・・・じゃ、もう、・・・かぎりなく、じゃぁ~・・もしかすると、
トリチウムを増やしてしまうことに、なっていく、かも、しれないわけですね。
小出:そうです。
原子力をやる限りは必ず増えていってしまいますし、
もう一つの問題は、核分裂は核分裂で
現在やっている原子力は核分裂生成物という放射性物質を作り出してしまうので、
「汚い」という事は原子力を進めてきている人たちも認めてきたわけで、
そのために核融合が出来れば「クリーン」だと言ってきたのですね。
ところがその核融合というのは、実はトリチウムを燃料にするんです。
千葉:はぁ
小出:
自然界にあったものの何百倍というようなもののトリチウムを、
毎年毎年、燃料に使うという様な技術が核融合という技術でして、
なんか、皆さんは夢のエネルギー源だと思われているかもしれませんけれども、
そんな事をやったら、もう、地球が放射能まみれになってしまうと私危惧してきました。
千葉:えっ、じゃ核融合をやるためには大量のトリチウムを作らなければいけない訳ですよね。
小出:そうです。それが燃料なんです。
千葉:ええええぇぇぇ!!!
まず、そのトリチウムありきで核融合が行われるということなんですね。
小出:
まずは、てんかする前にはトリチウムを集めておかなければいけませんし、
一度核融合をてんかした後は自分でトリチウムをどんどん、どんどん生み出しながら、
それを燃料にするという、そういうシステムにしなければいけないのですが、
水素というのは閉じ込める事が大変難しいので、多分大量に漏れてくる事になりますし、
核融合という事をやれば、トリチウムが最大の放射能の被ばく源になるだろうと私は思います。
千葉:そうですよね、環境に出たら水と同じだから回収する事は全然出来ないという事なんですものね。
小出:そうです、はい。
千葉:
そういう事なんですか・・
藤田さんはいかがですか?
藤田:
ということは、
トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。
小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。
千葉:うわぁ~
藤田:そういう意味では非常に危険なものですよね
小出:はい、大変、人間としては向き合う事が難しいという、そういう放射性物質です。
千葉:ハァーーーーー、
それが今そんな状態になっているんですね。んんーーーん!
それでは次の質問にいきます。
小出:はい
千葉:
福島をはじめ全国的に雪が降っています。
雪は見た目には綺麗ですが、その結晶に空気中の放射性物質が付着して降り積もっているのだと思うと
恐ろしい気もします。
私の子どもたちが埼玉に住んでいますが、
雪は雨よりも多く放射性物質を付着して降り積もるということはありますか?
という質問なんですが、
小出:
えーっとですね、雪も雨もですけれども、
空気中に放射性物質が漂っている時には、それを洗い落としてきます。
ですから、去年の3月11日から、福島第一原子力発電所から沢山の放射性物質が大気中に出てきたわけで、
その頃に降った雨、その頃に降った雪であれば、大量の放射性物質を洗い落としてきたという、
そういうものです。
ですから、雨に打たれては行けなかったし、もちろん雪をかぶってもいけなかったという、
時期があった筈だと私は思います。
ただ、今現在は福島第一原子力発電所から大気中に大量の放射能が出てきているという状態ではないという、
ま、出てきてはいるのですけれども、1年前に比べれば随分少なくなっているはずですし、
雨や雪で洗い落とされてくる量は少なくなっていると思います。
そして、雪がある程度積ってしまうとですね、
これまで地面を汚していた放射性物質から飛び出してきている放射線を遮ってくれるという役割を
こんどは、持っています。
千葉:あっ!そうなんですか?
小出:はい。
ですから今の雪はむしろありがたがった方が、いいかもしれません。
千葉:はぁ~、なるほど。遮ってくれる効果があるという事ですね。
小出:
はい、ただ、また雪が溶ければですね、溶けた水の中に放射性物質がしみ出してきて、
また、川とか、人々が住んでいる土地を汚していくだろうという事になると思います。
千葉:はい、わかりました。
それからもうひとつ、岩手県の方からですが、
21日に福島で小出さんは講演会を行ったようなのですが、
8月の講演会と比べて、福島の人達の様子に違いはありましたか?
また、どのような質問が多かったですか?
という質問なんですけれども、
小出さん、講演なさったんですね?いかがでしたか?
小出:
そうですね・・・その日は雪が降っていました。
終わってから私は福島の人達と一緒に、土湯温泉という温泉まで行きまして、
そこでみなさんと話をしながら一晩泊ったのですが、その間も雪が降っていました。
とっても綺麗でした。
真っ白な銀世界で、山も森もしろ~く彩られていて、綺麗でした。
でも、そこが全て、私が管理している放射性管理区域と言っている場所以上に
放射能で汚れているという、そういう場所、なのです。
え・・・・人々は放射能を見ることができませんし、感じることもできません。
本当に綺麗な世界なんですけれども、そこが放射能で汚れている。
そしてそこに子ども達が住んでいる。
私が行った時には2回講演会を私はやらせていただきましたけれども、
初めは子どもたち向けの講演会でした。
ちちゃな子どもたちも沢山来てくれていましたけれども、
「こういうところに子どもが住んでいるのかな」と思うと、
わたしは、心穏やかではいられませんでした。
子どもたちがいろんな事を質問してくれました。
「なんで原子力なんて必要なんですか?」と、ズバリと私に聞いた子どももいましたし、
「なんで福島の原子力発電所が壊れてしまったんですか?」と、
福島に住んでいる子どもが悲鳴のような質問をしました。
普通の大人ではこういう質問は出ないだろうなと思うような質問を受けて、
私は言葉に詰まりながら、ま、私にできる事を答えたという、そういう状態でした。
千葉:うーん・・・・・・・なんて言っていいのかっていう感じですけどもね・・・・・
小出:はい
・雪と放射能
・福島講演での子どもの質問
2月2日木曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
たねまきJ「アメリカの原発がベント実施」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)1/31
ーー一部抜粋ーー
アメリカの原発事故、バイロン原子力発電所で、原子炉が緊急停止しし、ベントが行われた。
ベントにより、トリチウムという放射性物質が放出されたという事について、説明して下さっています。
そのトリチウムというのは実は水素の同位体と私達が呼んでいるもので
私達が水素と呼んでいるものの、3倍重たい水素なのです。
水素でありながら重さが違うというそういうものがあるので、
同じ元素でありながら重さが違うので、私たちは同位体と呼ぶのですが、
水素の同位体で放射能を持っている水素なのです。
トリチウムは、大変低いエネルギーのベータ線しか出さない、
一番エネルギーが高くても18.69エレクトロンボルトというような、
放射線としてはものすごくエネルギーの少ない、つまり危険度の少ない物なんですけれども、
水素ですので、一度環境に放出してしまうと、回収の方法すらがもう無いのです。
水になってしまいますので、どんなに水を綺麗にしようと思っても水そのものですのから、
もう取り除く事も出来ないし、人間という生き物は水が無ければ生きられませんので、
必ず体に取り込んでしまうし、細胞の中にもどこにでも入ってきてしまう。
有機物に化合すると、DNAの一部にもなってしまうというようなものですので、
放射線の毒性だけではない、毒性もあるだろうと考えられています。
かなり大量に原子炉の中でも出来ますので、
注意をしなければいけないとかねてから私は思ってきました。
アメリカ政府は「普段から原発からの放出の蒸気の中に、この物質が含まれている」と言っているが、
水蒸気でもそうだが、原子炉から出てきてしまうと必ず水になってしまうので、
どこの原子力発電所でも廃液処理をしている訳ですけれども、
トリチウムは水そのものですので、どんな事をやっても取り除けないのです。
ですから、排水処理をしたと言って、綺麗になったといいながらも
トリチウムだけはどこの原子力発電所からも日常的に出てきていますという、そういう特殊な放射性物質なんです。
「落ち葉のセシウムは水源から海へ」広瀬隆氏「収束宣言」大嘘の皮を剥ぐ
後半ーその5ー(内容書き出し)
ーー一部抜粋ーー
これから雪の季節ですからね、山は。
分水嶺のところは、雪解けの春からですね、大変なことが起こるだろうと私は予想しています。
だから、これが新潟でもね、信濃川でも要するに源流から見るとかなり危ないし、
こちら太平洋側を見るととてつもない大量のものがここへ出てくる訳です。
小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。~
2012年1月21日福島市 「子どもたちに伝えたい原発のはなし」質疑応答部分
続きを読むに

千葉:
リスナーからのメールが沢山届いています
火曜日に小出さんにアメリカの原発事故に関連して放出されたと言われる
トリチウムという物質についてお話しをいただきました。
水素と同じものですが、
放射能を持っていて環境に出てしまうと水そのものになってしまって、
回収の方法がないというお話しには、かなりびっくりしました。
それに関連してこのような質問がきています。
「トリチウムという放射性物質があるとは初めて知りました。
もともと自然界には存在する放射性物質のようですが、
原発の排水や核実験などで、トリチウムはどれくらい増えているのでしょうか?」
という質問なんですが、
小出:
はい、もともと自然界には、ごく微量ですけれどもあります。
どうしてそんなものがあるかというと、宇宙から宇宙線というものが地球に降り注いでいるのですが、
その宇宙線が大気中の原子と反応して、トリチウムを生成するという、そういう反応の仕方がありまして、
地球には昔からトリチウムという、ま、三重水素と言っている水素の3倍重たい水素なんですが、
が、あるのです。
で、昔から、人類も他の生き物もトリチウムに被ばくをしながら来たんですね、
でも、人間がいわゆる核反応という反応をさせる力を持つことになった
つまり原爆を爆発させたり、水爆を爆発させたり、あるいは、原子炉を動かしたりという事になってから、
トリチウムという放射能を持った水素を大量に生み出すようになりました。
たとえば、1950年、あるいは60年代にかけて、大気圏核実験というのが、数限りなく、
もう何百回も行われたのですけれども、その行われた核実験では
今までにあったトリチウムの約100倍というようなトリチウムを大気中にばらまきました。
千葉:今までに地球上にあったトリチウムの約100倍が、その実験でばらまかれた訳ですか?
小出:はい、
10年15年、あるいは20年近く大気圏内核実験というのは続いた訳ですけれども、
その期間に渡って放出したトリチウムの総量は、これまで地球上にあったトリチウムの100倍という、
そういうものを放出してしまった、という事になりました。
千葉:ハ~~~ァ~~~
小出:
で、そのうえで今原子力というものをやっているわけですけれども、
例えば今、六ヶ所の再処理工場を動かそうとしていますが、
六ヶ所の再処理工場は多分毎年毎年、
地球全体で自然に作られているトリチウムと同じくらい放出しているんじゃないかな
放出するのじゃないかなと思う位を、多分放出します。
千葉:その、六ヶ所一カ所だけでですか?
小出:はい。
千葉:
はぁーーーー、そ・・・・じゃ、もう、・・・かぎりなく、じゃぁ~・・もしかすると、
トリチウムを増やしてしまうことに、なっていく、かも、しれないわけですね。
小出:そうです。
原子力をやる限りは必ず増えていってしまいますし、
もう一つの問題は、核分裂は核分裂で
現在やっている原子力は核分裂生成物という放射性物質を作り出してしまうので、
「汚い」という事は原子力を進めてきている人たちも認めてきたわけで、
そのために核融合が出来れば「クリーン」だと言ってきたのですね。
ところがその核融合というのは、実はトリチウムを燃料にするんです。
千葉:はぁ
小出:
自然界にあったものの何百倍というようなもののトリチウムを、
毎年毎年、燃料に使うという様な技術が核融合という技術でして、
なんか、皆さんは夢のエネルギー源だと思われているかもしれませんけれども、
そんな事をやったら、もう、地球が放射能まみれになってしまうと私危惧してきました。
千葉:えっ、じゃ核融合をやるためには大量のトリチウムを作らなければいけない訳ですよね。
小出:そうです。それが燃料なんです。
千葉:ええええぇぇぇ!!!
まず、そのトリチウムありきで核融合が行われるということなんですね。
小出:
まずは、てんかする前にはトリチウムを集めておかなければいけませんし、
一度核融合をてんかした後は自分でトリチウムをどんどん、どんどん生み出しながら、
それを燃料にするという、そういうシステムにしなければいけないのですが、
水素というのは閉じ込める事が大変難しいので、多分大量に漏れてくる事になりますし、
核融合という事をやれば、トリチウムが最大の放射能の被ばく源になるだろうと私は思います。
千葉:そうですよね、環境に出たら水と同じだから回収する事は全然出来ないという事なんですものね。
小出:そうです、はい。
千葉:
そういう事なんですか・・
藤田さんはいかがですか?
藤田:
ということは、
トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。
小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。
千葉:うわぁ~
藤田:そういう意味では非常に危険なものですよね
小出:はい、大変、人間としては向き合う事が難しいという、そういう放射性物質です。
千葉:ハァーーーーー、
それが今そんな状態になっているんですね。んんーーーん!
それでは次の質問にいきます。
小出:はい
千葉:
福島をはじめ全国的に雪が降っています。
雪は見た目には綺麗ですが、その結晶に空気中の放射性物質が付着して降り積もっているのだと思うと
恐ろしい気もします。
私の子どもたちが埼玉に住んでいますが、
雪は雨よりも多く放射性物質を付着して降り積もるということはありますか?
という質問なんですが、
小出:
えーっとですね、雪も雨もですけれども、
空気中に放射性物質が漂っている時には、それを洗い落としてきます。
ですから、去年の3月11日から、福島第一原子力発電所から沢山の放射性物質が大気中に出てきたわけで、
その頃に降った雨、その頃に降った雪であれば、大量の放射性物質を洗い落としてきたという、
そういうものです。
ですから、雨に打たれては行けなかったし、もちろん雪をかぶってもいけなかったという、
時期があった筈だと私は思います。
ただ、今現在は福島第一原子力発電所から大気中に大量の放射能が出てきているという状態ではないという、
ま、出てきてはいるのですけれども、1年前に比べれば随分少なくなっているはずですし、
雨や雪で洗い落とされてくる量は少なくなっていると思います。
そして、雪がある程度積ってしまうとですね、
これまで地面を汚していた放射性物質から飛び出してきている放射線を遮ってくれるという役割を
こんどは、持っています。
千葉:あっ!そうなんですか?
小出:はい。
ですから今の雪はむしろありがたがった方が、いいかもしれません。
千葉:はぁ~、なるほど。遮ってくれる効果があるという事ですね。
小出:
はい、ただ、また雪が溶ければですね、溶けた水の中に放射性物質がしみ出してきて、
また、川とか、人々が住んでいる土地を汚していくだろうという事になると思います。
千葉:はい、わかりました。
それからもうひとつ、岩手県の方からですが、
21日に福島で小出さんは講演会を行ったようなのですが、
8月の講演会と比べて、福島の人達の様子に違いはありましたか?
また、どのような質問が多かったですか?
という質問なんですけれども、
小出さん、講演なさったんですね?いかがでしたか?
小出:
そうですね・・・その日は雪が降っていました。
終わってから私は福島の人達と一緒に、土湯温泉という温泉まで行きまして、
そこでみなさんと話をしながら一晩泊ったのですが、その間も雪が降っていました。
とっても綺麗でした。
真っ白な銀世界で、山も森もしろ~く彩られていて、綺麗でした。
でも、そこが全て、私が管理している放射性管理区域と言っている場所以上に
放射能で汚れているという、そういう場所、なのです。
え・・・・人々は放射能を見ることができませんし、感じることもできません。
本当に綺麗な世界なんですけれども、そこが放射能で汚れている。
そしてそこに子ども達が住んでいる。
私が行った時には2回講演会を私はやらせていただきましたけれども、
初めは子どもたち向けの講演会でした。
ちちゃな子どもたちも沢山来てくれていましたけれども、
「こういうところに子どもが住んでいるのかな」と思うと、
わたしは、心穏やかではいられませんでした。
子どもたちがいろんな事を質問してくれました。
「なんで原子力なんて必要なんですか?」と、ズバリと私に聞いた子どももいましたし、
「なんで福島の原子力発電所が壊れてしまったんですか?」と、
福島に住んでいる子どもが悲鳴のような質問をしました。
普通の大人ではこういう質問は出ないだろうなと思うような質問を受けて、
私は言葉に詰まりながら、ま、私にできる事を答えたという、そういう状態でした。
千葉:うーん・・・・・・・なんて言っていいのかっていう感じですけどもね・・・・・
小出:はい
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