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「廃炉と除染で今後何十年も食える」原発関係者が漏らす本音
NEWSポストセブン 2012.02.03 07:00

福島第一原発事故の発生以降、原発を巡ってはさまざまな対策を講じる必要が出てきた。
廃炉、除染でも、そして再稼働でも儲ける――原発ビジネスはすでに“逆回転”が始まっている。
その実情をジャーナリストの伊藤博敏氏が報告する。

* * *
原子力ビジネスの担い手たちは、既に、「逆回転」への準備を進めている。関連企業に天下った東電OBが明かす。

「最終処分場探しは、30年近くを費やしても、これまでできなかった。
政府も東電も、最終的には福島しかないと思っている。
原発周辺地を買い上げ、そこに処分場をつくる。最適なのは第二原発だ。
第一原発同様、廃炉にするしかないし、岩盤が浅くて工事が容易で、地元の理解が得やすい」

福島第二原発は、双葉郡の富岡町と楢葉町にまたがる。
ここは、旧動燃が行なった候補地選定作業で、全国88か所の「適正地区」に選ばれた経緯があるし、
09年には草野孝楢葉町長が「処分場受け入れ」を表明、その後、撤回したものの意欲はある。

原発は「逆回転」を始めた。
“夢”を諦め、現実に立ち返り、廃炉や除染といった後ろ向きの事業に注力しなければならない。
一見、原子力ビジネスに将来はない、と思わせる。だが、そうではない。
「逆回転」が新たなビジネスチャンスを生み、原発で儲けた連中が、廃炉、除染、最終処分場などでも儲けている。
例えば、今、原発で何が起きているか。
東電関係者が話す。

「再稼働へ向けて、“完璧な原発”にすべく準備を進めています。
それはストレステストで求められる以上の厳しさで、『想定外』という言葉を使わなくて済むように、
橋が破壊、道路が分断、全電源が落ちても、非常用電源を確保するなどして
原子炉を損傷なく止められる体制を確立しようとしています。
そのために費用を惜しまない。
原子炉内の圧力が高くて、注水できないトラブルがありましたが、
どんな圧力にも負けない給水ポンプを数百億円かけて開発、配置するつもりです」

にわかには信じ難い感覚だが(東電広報部は「あらゆる事故を想定、対応するつもりです」と回答)
それで潤うのは原発メーカーである。
事実、東芝、日立製作所、三菱重工業の原発3社は、
事故後、「フクシマを体験した」ということで海外受注が堅調。しかも、前述のような各種安全対策も受注できる。

ゼネコン各社もそうだ。
全国の原子炉建屋は、鹿島(24基)、大林組(11基)、大成建設(10基)の順に受注しているが、
この3社は、内閣府から福島県内12市町村の除染モデル事業を委託された
日本原子力研究開発機構から再委託を受けた。

同機構は旧動燃の流れをくみ、カネ食い虫となった「もんじゅ」を運営する。
つまり、原発推進の“仲間”が、「放射能に習熟」していることを理由に事業を受注しているのだ。
しかも今回はモデル事業で119億円だが、今後、数兆円に達する除染作業の中核を担うことになり、
最終的には原発建設で潤った双葉郡内の末端の企業に、再度、仕事を分け与える。

「廃炉と除染で、今後、何十年も食える」

こう本音を漏らす原発関係者が少なくないのは、その具体的な流れが見え始めたからだ。 
制御できない原発は、推進の時も撤退の時も、そのリスクゆえに関わった地域、企業、人に多大な富をもたらす。
だが、国民には電力の不安定、電力価格の高騰、放射能汚染といった“負の遺産”を残すだけなのである。

SAPIO2012年2月1・8日号


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