・2号機圧力容器の温度が上昇していることについて
・川内村のミミズが2万ベクレル/kgについて
2月6日月曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
<参考>
福島第一原子力発電所の現在(これで収束していますか?)
2月5日日本経済新聞
2月6日夜のNHKニュースの2号機に関する記事
2号機圧力容器温度上昇・東京電力のメール
おしどりマコさんがツイートして下さった
東京電力の2月6日夜の記者会見以降の状況についてのメール内容
川内村は帰村してもいいのか?ミミズ汚染がダントツに高い!
「ミミズの汚染」と「川内村帰村宣言」の新聞記事
続きを読むに

水野:
福島第一原発の2号機の圧力容器の底の部分の温度が上がっているというニュースをお伝えしましたけれども、
これについて心配しているリスナーの方が非常に多くてですね、いろんな方が質問して下さっているんです。
これ、結局どういう事なんだろうか?と。
何が2号機で起こっているんだろうか?という、ご質問ですけれども、
これは今月に入ってから50度前後だった温度が、4日間で20度程上昇しているという話なんですよね。
いったい何が起こっているんだと小出先生はお考えでしょう?
小出:
温度というものは、ま、ある場所の温度を測っているのですが、
その温度というのは発熱量と冷却量のバランスで決まります。
水野:
つまり、どんどん冷却するために水を外から入れていますよね、
その水で冷やしているそのエネルギーと発熱するエネルギーとの兼ね合いで温度が決まるということですね。
小出:
そうです。
必ずそうなるのです。
それで、
水野:
今、一生懸命水入れる量を増やしているんですよね。
小出:
水の量を増やす前に、ずっと同じ量でいれていた訳ですから、冷却量は一定だったんですね。
それでも温度が上がったという事は、その場所での発熱量が上がっているという事なのです。
発熱量が上がる理由には二つありまして、
その場所に、いわゆる炉心部分というか、燃料ですね。ウランの燃料が、集まってきたという可能性が一つですし、
もう一つは、原子炉の中でまたウランが核分裂反応を起こすという再臨界が起こっているという可能性が一つ、です。
で、どちらか?だとはなかなか判断が難しいと思うのですが、
東京電力は、今聞いたニュースでは、
「核分裂生成物の測定をしたところ、短い半減期の核分裂生成物は増えていないことを確認した」
というふうに、言ったのだそうですね。
水野:はい
小出:
もし、それが本当なのであれば、
再臨界という事は無いと思います。
水野:ハァ~
小出:
そうなると、残っている可能性は、溶けてしまった炉心の一部が、
その温度を測定しているところに集まってきているという、そういう事なんだろうと思います。
ま・・・溶けてしまった炉心が無くなってしまう訳は無くてですね、
私は殆どの物はもう、圧力容器から下に落っこちていると思っているのですけれども、
何がしかの物が圧力容器の中に残っていて、それが冷却水、
ま、水をジャァジャァと流しているわけで、
その流している水によってあちこちに動いているんだろうと思います。
その動いたものが温度を測定しているところにたまたま動いてきたという可能性はあるだろうし、
東京電力もそう言っているんだと思います。
で、その可能性が私は強いと思います。
水野:はぁ~
平野:
東電は、配管の切り替え工事で
冷却水の流れが変わったことも原因があるんじゃないかみたいな事も言ってますが、
小出:
かもしれませんね。
とっても微妙なバランスで事故が進行しているわけで、
中を確認する事も出来ない訳ですし、
その確認するための言ってみれば一つの手段が温度計なんですね。
温度計の動きを見ていると、今までよりも急に上昇してきてしまった場所があるという事なわけで、
その事から類推して中の事を想像するしかないのです。
そうなると、今聞いていただいたようにいくつか可能性はあるわけですかれども、
多分、東京電力が言っているように、
溶けた炉心の一部が、その温度を測定している部分のところに
集まってきてしまっているという可能性は高いと思います。、
水野:これは・・・今先程、小出先生が事故が進行しているとおっしゃって、
小出:はい
水野:私は、今、非常にショックを覚えたんですけど、
小出:はい
水野:・・あの、・・・事故は収束しているっていうのが政府の見解ですよね。
小出:
そうですね、ま、私はインチキだって言っているのですけれども、
あの、今も今回の温度が上がるということ自身もですね、
その溶けた燃料がどこにあるかすらが分からないという、
水野:わからないっていうことですよね
小出:
そういう状態で、今事故が、ま、事故の現実があるのですね。
ですから、・・・今は圧力容器という部分の事を問題にしているわけですけれども、
多分、ほとんどの溶けた炉心は格納容器の底に落ちているわけですし、
それがいったいどうなっているかは、それこそもう、全く分からないという状況に今あります。
それを収束宣言という形で、日本の政府は出してしまった訳ですけれども、
大変恥ずかしい国だと私は思っています。
水野:
東電は原子炉自体としては十分冷えており、
冷温停止状態という現状は変わらないと言っているんですね
小出:
冷温停止状態という言葉はテクニカルではないのです。
冷温停止という言葉はありましたけれども、
水野:ちゃんとあるんですが、
小出:
でもそんなものはもう、圧力容器の底が抜けちゃっている現実では
使ってはいけない言葉なんですけれども、
それを政府の方は「冷温停止」に「状態」という言葉を付け加えて、
取り繕っている訳ですけれども、
まずは、いったい炉心がどこにあるのか、
そういう事をきちんと知らなければいけない時に
あたかも事故が収束しているという事を言うというのが私は間違いだと思います。
水野:
これ、あの、再臨界でないとしたらですね、
心配はいらないんですか?
このまま上昇をもし続けたとしても、大丈夫なんですか?
小出:
圧力容器の温度が例えば100度を超えてしまうような事になると、
水は沸騰してしまうという事になりますので、かなり重要な事になるだろうと思いますけれども、
50度であるか、70度であるかという事でいえば、
一応、水が水であり得ているという事ですので、
東京電力としてはまだ冷やしていられているよと言いたがるでしょうし、
それは、100度を超えない限りはそういう主張は成り立つと思います。
ただ、あのう…本当に、その、どういう状態なのかが分からない、
見に行く事も出来ないし、
それこそこの間はファイバースコープを格納容器の中に入れた訳ですけれども、
水野:そうでしたね
小出:
圧力容器の中なんて、それこそまた、見ることもできませんので、
どうなっているのかが分からないという、本当にその困った状態なんですね、今。
水野:
ではもうひとつ、ミミズの話をお伺いしたいんです。
ミミズ1K当たりって、どんだけや?って私は想像もつかないんですけど、
ミミズ1K当たりで2万ベクレルの放射性セシウムっていうのは
どれくらいの濃度と思ったらいいのでしょうか?
小出:
わたしは放射性物質を取り扱って、かれこれ何十年かきている人間ですけれども、
1kg当たり何万ベクレルなんていう放射能があると、
殆ど私が使っているような測定器は、死んでしまうというですかね、
その放射能が強すぎて測定が出来なくなるという位の、
水野:針が振り切れちゃって、使い物にならなくなるくらいのなんですね
小出:
はい、そうです。
そういうものですから、「すごいなぁ」と私は思います
平野:
これは植物連鎖も心配ですよね、
ミミズというのも別にミミズだけでは・・・モグラが食べたり、鳥が食べるという
そしてまた、広がっていく可能性があるんですね
小出:そうですね
もちろんだから、ミミズそのものだって、要するに大地が汚れている、
土が汚れているからミミズも汚れてしまっているわけですし、
大地が汚れてしまえば、もちろんミミズだけじゃなくて、
他の生き物も、植物も動物も汚れてしまうという事は避けようがない事なのですね。
平野:
この、政府のいわゆる食物連鎖による食品、食物の汚染というものを
何ら指標も出していませんよね
小出:
はい、今のところは出していないです。
ようするに、
平野:これはなかなか難しいですね
小出:
これから長く続きますので、いったいこういう事態に何年、何十年って
どうやって向き合っていくのかという事を、しっかりと調べながら、判断をしながら、
指針を作りながら行くしか、もう、ないんだとおもいます。
水野:
私今までミミズと自分の関係って考えた事が無いんですけどね、
考えてみたら、ミミズを食べた動物、そしてまたその動物って、どんどん、どんどんなっていくと、
私に来るんですよね。
小出:もちろんです
水野:
ミミズと私って、密接な関係だったんだっていう事を今日初めて気が付いたんですよ。
でもその中で、今回のミミズが生息している場所はどこか?というと、
福島県の川内村。
先週「帰村宣言」、「村に帰って下さいよ」という宣言をした村ですよ。
・・・こうしたミミズ、つまり、土の状況の中で、
「帰りましょうよ」という事を、どう言うふうに、小出先生、捉えたらいいでしょう。
小出:
「大変痛ましい」と私は思います。
もちろん、皆さん「帰りたい」と、思っているはずですよね、
何とか、今まで通り、避難所とか、仮設住宅ではなくて、
「自分の家で今まで通り生きたい」と、皆さん思う筈なわけで、
村長、町長がですね、決断するというのは私はあり得ると思うけれども、
でも、そう言われても膨大な汚染地帯なんです。
放射線の管理区域にしなければいけないという、そういう汚染地帯な訳で、
そういうところに帰ると言ってもですね
やはり、子どもを抱えた親とかは帰れないと思いますし、
そうなればもう、町自身が分断されて結局崩壊して行くしかない」と、私は思いますので、
本当にその、何て言うんでしょうかね、痛ましいというか、お気の毒というか
こういう事を本当にどうしたらいいのかをよく分からなくなってしまいます。
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