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02.15
Wed
・温度計以外に炉内を監視する代替手段について
・4号機燃料プールに水が入っている事はとてつもなく大切なこと



2月14日火曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]



<参考>
福島第1原発:
2号機炉内監視で代替策求める…保安院 

毎日新聞 2012年2月14日 11時38分(最終更新 2月14日 13時11分)

東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計が異常に高い値を示した問題で、
経済産業省原子力安全・保安院は東電に対し、温度計以外に炉内を監視する代替手段を報告するよう指示した。
枝野幸男経産相が14日、閣議後の記者会見で明らかにした。報告期限は15日

問題の温度計は、政府が冷温停止状態と判断するために使われた温度計の一つ
1月末から上昇傾向を示し、一時400度を突破した。東電は故障とみている。
同じ高さには他に二つの温度計があるが、これも故障すると炉内の状態把握が一層難しくなる。
【河内敏康】



東京電力報道配布資料
2012021511.jpg


[高画質で再生]

4号機使用済み燃料プール内部映像 2012年2月9日撮影 [情報商材]



続きを読むに内容を書き出しました。




水野:
2号機の原子炉の中をちゃんと監視するための、温度計、
「それが壊れているならその代わりの手段を明日までに報告せよと」保安院が東電に言ったそうですが、
同じように言われたら小出さんだったら、どんな代わりの案をあげますか?

小出:ありません

水野:
ありません!?ありませんかぁ~
それも、明日までですって。どうしますかね

小出:
温度を測っていた計器は熱電対(ねつでんつい)と呼ばれている計器なんですが、
これは昔から使われていて、殆どこれならば故障をすることはないという、かなり信頼性の高い測定器でして、
今回の場合も熱電対そのものが壊れたのではなくて、
それが送ってくるシグナルを、外まで引き出してくる間の
どこかのケーブルがやられたのだと、私は思っているのですが、
温度を測るという手段として、こういう過酷な条件のもとでは、
多分、熱電対異常に働く温度計は、私はないと思います。

水野:
例えば温度計を取り換えに行くことはできませんか?とリスナーが聞いていますが
できません?

小出:到底できません。

水野:到底とはどんな事ですか?

小出:
圧力容器というのは原子炉の本体というか、ウランの燃料を入れていたところなんですね。
そこはもう放射能でベタベタに汚れてしまっているし、
その外側に格納容器という大きな容器があるのですが、
その容器の中すらが、モーレツな放射線環境課にあって、
つい先日、工業用のテレビカメラを入れてみたんですけれど、放射線によって画像がどんどん傷を受けてしまうという、

水野:そうでした。

小出:
そんな環境ですし、中はもう蒸気が充満して、雨のように水滴が落ちてくるという、そんな状況ですので、
もちろん、人間が入れるという状況ではありませんし、機械を入れる事すらが出来ません。

平野:
先生、あのー
今回故障したのは1器で300度400度と言われていますが、
他の温度計がですね、逆に言うと正常に計測されているという保証もないんですよね。

小出:そうですね。

平野:そういうことですよね。

小出:
はい、それすらが分からない。
ただし、まぁ、他の温度計が今のところはほとんど等しい温度を示しているから、
多分、生きているのではないかな。
位の事でやっているわけです。

水野:
でも、問題となった温度計はですね、
政府が昨年12月に「冷温停止状態といいましたが、
あの「冷温停止状態」と判断するために使われた温度計のひとつだったそうなんです。

小出:
そうですね。
熱電対が、あちこちに挿入されているのですけれど、
全部で10とか、もう少しあるのかもしれませんが、
そのうちの一が、今回のように壊れてしまったという事です

水野:
という事は、「冷温停止状態だ」ということの根拠も、ますます危うくなって、いるわけですよね

小出:
ま、そうですけど、
もともと「冷温停止状態」なんていう言葉はないのに、政府が勝手に作った言葉なのですね。
「冷温停止」という言葉はもちろん昔から私達の間で使われてきた言葉ですけれども、
それを圧力容器という、
「鋼鉄製の圧力釜が健全で水をためられる」という条件で使えるテクニカルタームだった訳ですが、
もう、「圧力容器に穴があいちゃって水もたまらない」と言っているのですから、
「冷温停止状態」なんていう言葉自身が、もう、まず、無意味だったのです。

水野:
しかしながら、この「冷温停止状態」という言葉が、今も続いているんだと。
という事を政府は言いたい様ですよね。
ここのところは全く一歩も引かないというような、感じが感じられるんですけど。

小出:
はい、事故が収束に向かっているという印象を与えたいわけですね。
そして、福島の避難をしている方たちは、
「何とか自分のところに帰りたいと、ずーっと思われている筈ですけれども、
その人たちに向かって、
「いつか帰れるぞ」というような幻想を与えようとしているのだと、私は思います。

水野:
今回ですね、早い時期からこのたねまきジャーナルで先生に伺ってきましたけれど、
キセノンという物質が出ていないから再臨界はしていないだろうというお話でしたが、
これ、もしもですよ、今回は温度計の故障なんでしょうが、
もし、キセノンが出ていたとしたら、それは、再臨界がもう怒っているという意味なんですか

小出;
そうですね、寿命の短い核分裂生成物というのは、キセノンもそうなんですけれど、
そういうものが検出されるという事になれば、
まだ原子炉の中でウランの核分裂連鎖反応が続いていると疑うべきだと思います。

水野:
もしもですよ、じゃぁ、あのぅ、・・・・・・・逃げなきゃいけないと、周辺の方が。
というような事になるような事になったら困る訳ですけど、
「キセノンが出た」
「じゃぁ逃げよう」
というので、間に合うんですか?

小出:
「原子炉の中で再臨界が起きた」からと言ってすぐに逃げなければいけない事態ではないと私は思います。
再臨界が起きたからすぐに爆発するとかいう事ではなくて、
原子炉のどこかに於いて、核分裂の連鎖反応が、ま、続いているという事は
短寿命の放射性核種が検出されたのであれば、そういう事になるはずなのですが、
それは爆発的な現象ではなくて、
むしろ、消し炭がぶすぶすと燃えるという、そういうイメージだと思っていただいていいと思います。

水野:はぁー

平野:すぐに拡散という事ではないという事

小出:はい、放射能がすぐに外部に大量に出てくるという状況ではありません。

平野:なんか、ホウ酸を入れてやっていますけれど、これは、やっぱり念のためという事で、

小出:
あの、核分裂の連鎖反応が続くなんていうこと自身が、もちろん好ましくないので、
なんとしても核分裂の連鎖反応は押さえたいのですね。
そのためにホウ酸という薬品が必要なわけで、それを入れる事はもちろんいい事だと私は思います。

水野:
じゃ、4号機の使用済み核燃料プールの場合は覆うものがありませんよね
そして、沢山の核燃料が沈んでいますよね

小出:
そうです。
それは大変危機だと思います。

水野:はぁ~・・・

小出:ですから、まぁ、4号機

水野:
たとえばここも温度計とか、今回2号機の温度計が問題になりましたけれど、
4号機でも、例えば温度計が潰れていたりしたら、中の状況が分かりにくいって、そういうことはあるんですか?

小出:
もちろんそうですね。
ただ、今はおそらく4号機の使用済み燃料プールの燃料計は生きていると思います。
それで何度だという事は多分東京電力は把握している筈だと思いますし、
つい先日は何かのカメラで撮ったですね、4号機の使用済み燃料プールの映像までもが新聞で出てきたと、

水野:
そうですね。
カラーで出ておりましたね、これも、リスナーの方が
「この4号機のプールの中の映像を素人が見ても意味が良く分からないんですけれども、
小出先生がご覧になった印象をお聞かせ下さい」
とございました。

小出:
えーっと、使用済み燃料プールの底の方に集合体らしきものが見えるのですね。
その上に、でも、瓦礫のようなものが散乱しているという、そういう状況でした。
でも、私としては、とにかくまだ水があって、
がれきに埋もれているけれども、使用済み燃料プールが、まだ水の中に浸かっているということで、
少しホッとしました。

水野:あーーっ

平野:冷却が進んでいるという、

小出:
そうです。
水の中にある限りは冷却できるという事になりますので、
まだ、まだ助かっているなと思いました。
もしプールの水が抜けてしまって、使用済みの燃料が水から顔を出してしまうようなことになると、
後は溶けるしかありませんので、
全く放射能の拡散を防護する手段の無い場所で、放射能が次から次へと出てきてしまうという事になりますので、
この4号機の使用済み燃料プールが何時まで健全で水を蓄えていられるかということは、
とてつもなく大切なことで、
これからみなさんも十分に注意をしておいて頂かなければならない事です。


水野:とてつもなく大切なこと

小出:はい

水野:これはとりわけ燃料の量が多いとおっしゃいましたよね。

小出:そうです、はい。
たまたま4号機は定期検査中だったのですが、
もともと原子炉の炉心の中にあった燃料も全て抜き出して、使用済み燃料プールの中に入れてありましたので、
通常原子炉の中にある量の、多分、3倍ぐらいの量の燃料が使用済み燃料プールの中にあったと思います。

水野:
なるほど。
じゃぁ水があるということを確認するためのああいう映像が非常に意味を持っていると。

小出:はいそうです。



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