小出裕章:
福島県の東半分、宮城県の南部、北部、茨城県の北部と南部
千葉県の北部、栃木県と群馬県の北部、東京都や埼玉県の一部というところを
放射線の管理区域にしなければいけない。
放射線の管理区域というのは、
・中に入ったら水を飲んではいけない。
・食べ物を食べてもいけない。
・タバコを吸いたいと思っても、タバコを吸ってもいけない。
・そこで寝てはいけない。
・子どもを連れ込んではいけない
そういうところに今、人々が住んでいるんです
「瓦礫広域処理についての勉強会」小出裕章氏・大阪維新の会
2012/02/08
36:11~
福島第一原発から放出されたセシウム137の量
ところが、去年の3月11日に事故が起きてしまったんですね。
その事故によって、放射性物質が環境に大量に放出されました。
いったい、どのくらい放出されたかというのをみなさんに聞いていただきます。
IAEAという、原子力を推進する国際的な団体があります。
その団体に対して日本国政府が報告書を出しました。
その報告書のなかに、大気中に放出されたセシウム137がどれだけだったか、
Bqというのがベクレルという放射能の単位ですけれども、
それを報告しています。
それを今、皆さんに見ていただこうと思っているのですが、
見ていただく前にここに四角を書きました。
これは、広島の原爆が爆発した時に大気中にばらまかれたセシウム137の量です。
8.9×10の13乗というんですけれども、
みなさん、ピンとこないと思うので、数字はどうでもいい。
ただ、この四角の大きさぐらい広島の原爆がばらまいたと思って下さい。
では、福島第一原子力発電所で、どれだけのセシウム137が、大気中に放出されたと、
日本政府が言っているかというと、こうなんですね。
これが1号機です。

広島原爆の6発分7発分を1号機から放出した。
ひどいのは2号機です。

こんなに大量に放出した。
3号機もやっぱり放出しました。

全部合わせると、広島原爆がばらまいたセシウム137の170発文もの物を、
すでに大気中に放出してしまったという事です。
私はこれは過小評価だと実は思っています。
それは、日本の政府は今回の事故の最大の責任者、あるいは、私は犯罪者と呼びたいぐらいですけれども、
そんなわけですが、そういう人たちが自分の罪を軽く(重く?)見せようなんていう事はあり得ないわけであって、
なるべく小さめの数字を発表するという事になっていると思います。
世界的にも色々な研究者が、放出された放射能の評価を出していますが、
日本政府のこんなに小さな数字を出している人はどこにもいない。
多分これの数倍というものをすでに大気中にばらまいてしまっていると思います。
そして、同じ程度のものを海に、今現在もばらまき続けている。
そういう状態が続いている。
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汚染・放射線管理区域
この大気中にばらまかれた放射能によってどういう汚染が生じたかというと、こういう汚染が生じました。
これは文部科学省が公表している地図です。
ここに福島第一原子力発電所があります。
そして、点線の円が書いてありますが、これは半径20キロ、半径30キロという、
日本政府が住民に対して避難指示を出したり、あるいは自主避難を呼び掛けたりがこの点の丸ですけれども、
放射能は、環境に出てきてしまえば、じわじわじわと、等方的に広がるのではありません。
風に乗って広がる。
結局どうなったかというと、北風が吹いている時に、南の方向に放射能が流れて、
海岸沿いにずーっと汚染を広げていく。
茨城県の北部を超えて、一時海へ出て、そしてまた、陸に戻ってきて、
茨城県の南部、千葉県の北部、東京都の一部を汚染するという事になりました。
一時は北西方向に流れていきまして、
20キロ、30キロなんていうのでは、到底止まらないで、
50キロ先までモーレツな汚染を落としました。
そのあたりで風向きが変わりまして、南へ流れてきまして、
青い帯が分かっていただけると思いますが、ここは福島県の中通りと呼ばれている地域です。
福島市、二本松市、郡山市、白河市というような、福島県の人口密集地帯が並んでいるようなところを
放射能の雲がダーッっと汚染していくという、そういう事になったのです。
簡単に県境を越えて栃木県の北部を汚して、そしてまた県境を越えて群馬県の北部を汚した
こういう汚染が広がっているのです。
そして、この色分けしたところはどういうところなのかという事なんですが、
まず日本の政府は赤い所と黄色いところ、そしてその外側にちょっと緑のところがありますが、
「この範囲の人達は到底住めない。だから避難しろ」と言って今避難させている。
約10万人の人達が、この場所(赤・黄・緑)から追われているのです。琵琶湖の約2倍ほどの面積です。
相当広いという事が分かっていただけると思いますが、
では、そこの範囲ではない、こういう青いところはどうなのか?というと、
この青いところは
1平方メートル当たり6万ベクレルから10万ベクレル汚れているというのがこの青いところです。

今日みなさんが原子炉の見学に入っていただけなかったのは、大変私は残念ですが、
放射線管理区域という場所なんですね、そういう場所は。
私はそこに時々入って仕事をします。
みなさんが今日見学で入った場合もそうですけれど、
管理区域から外に出ようと思えば、検査をしないと出られない。
私が管理区域の中で仕事をしたら、私の手が汚れているかもしれない。
私の実験着が汚れているかもしれない。
私が持ち込んだ実験道具が汚れているかもしれない。
そういうものを管理区域の外側に持ち出してしまえば、普通の人達を被曝させてしまうので、
管理区域から出るときは、どれだけ汚れているかを検査しない限りは出てはいけないという事になっているのです。
ゲートがあって、測定しなければ出られない、ゲートが開かないという、そういう仕組みになっているのです。
では、その基準はいくつなのかというと、1平方メートルあたり4万ベクレル。
よろしいですか?
放射線管理区域というごく特殊な場所以外に1平方メートル当たり4万ベクレルを超えているような物体は、
どんな物でも持ち出してはならないという、
私の実験着が汚れていれば管理区域の中で捨ててくるんです。
放射能のゴミとして捨ててくる。
持ち込んだ実験道具が汚れていても、管理区域の中で放射能のゴミとして捨てて来いという、
そういうのが日本の法律なんです。
この青いところは1平方メートルあたり6万ベクレルを超えているのです。
それも、実験着が汚れているとか、手が汚れているとかいうのではない。
大地そのものが全部汚れているということです。
その周りにくすんだ緑色のところがありますが、
こういうところだって、1平方メートルあたり3万ベクレルを超えて汚れている。
私から見ると、想像もできない位の汚染です。
私は管理区域に入れます。自分で管理区域のお守もしています。
でも、私の入る管理区域が、もし放射能でべたべたに汚れているとしたら、
私は落ち着いて仕事が出来ないので、
管理区域の中だって綺麗にしてあります。
出来る限り綺麗にしたい。
もちろん放射性物質はあるし、被ばくをするところだってあるけれども、
殆どの管理区域は通常は綺麗です。
私がそこの床に寝たって、私の実験着は汚れないという位には、綺麗に保ってあるのです。
ところが、これはもう全部管理区域の、
私がお守をしている管理区域の基準を超えて汚れてしまっているという、という事を分かってください。
福島県の東半分、宮城県の南部、北部、茨城県の北部と南部
千葉県の北部、栃木県と群馬県の北部、東京都や埼玉県の一部というところを
放射線の管理区域にしなければいけない。
という汚染が、いま、来るのです。
そこに人が住んでいる
放射線の管理区域というのは、
・中に入ったら水を飲んではいけない。
・食べ物を食べてもいけない。
・タバコを吸いたいと思っても、タバコを吸ってもいけない。
・そこで寝てはいけない。
・子どもを連れ込んではいけない
というところが放射線の管理区域ですけれども、全部やっているんですよ。
こんなことが起きている。
で、こんなところ(海岸線)に瓦礫がダーッと散在している。
そこに今、人々が住んでいるんです。
日本の政府は、赤、黄いろその周りの緑のところのチョットだけを避難させているけれど、
殆どのところは、みんながれきに埋もれながら生活しているという、そういう実態なんです。
ーーーつづく
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コメント
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私も原発はひつようないとおもっています
リンクさせてください
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政治家って今まだこんなレベルの質問しかできないってことに驚きます。
今はインターネットでだって小出さんの講演は聞けるのです。
こんなレベルの政治家が国を動かしているって本当に恐ろしい。
これを見て私たち国民一人一人がもっと勉強して真実を求めていかなくては
いけないんだと確信しました。
今はインターネットでだって小出さんの講演は聞けるのです。
こんなレベルの政治家が国を動かしているって本当に恐ろしい。
これを見て私たち国民一人一人がもっと勉強して真実を求めていかなくては
いけないんだと確信しました。
| 2012.02.16 09:52 | 編集