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02.23
Thu


・クウェートが福島原発事故を受け原発計画を止めた事について
・米国原子力規制委員会が公表した内部文書について


2月22日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]




<参考>
クウェート:原発断念 福島事故で安全性疑問視
毎日新聞 2012年2月22日 15時00分
 
【クウェート市・前田英司】
日本などと原発分野で協力を進めてきたペルシャ湾岸のクウェートが
昨年3月の東京電力福島第1原発事故を受けて、原発建設を断念したことが21日、分かった。
地元当局者らが毎日新聞などの取材に明らかにした。

世界有数の産油国クウェートは発電や海水淡水化を化石燃料に依存しており、
代替策として原発導入計画を追究していた。
しかし、現時点では原発の安全性を確保できないとの判断から、
国家元首のサバハ首長が原子力委員会を解体した。

クウェートは1970年代に原発の研究・開発に着手した。
79年3月のスリーマイル島原発事故(米ペンシルベニア州)で中断したが、
その後の世界的な「原子力回帰」の流れの中で、09年3月に原子力委員会を設立。
原発建設に向けた予備調査を続ける最中に福島原発事故が起きた。

クウェートは10年9月に日本と原発に関する協力文書に署名したほか、
米国やフランス、ロシア、韓国とも同様の協定や覚書を交わしている。
5基前後の原発を建設して、30年までに全発電量の約20%を原発でまかなう計画だった。

外交筋によると、原子力委員会は福島原発事故後、原発計画を一時的に凍結し、
安全対策の強化を踏まえて計画を再開しようと関係者に働きかけていた。
しかし、反原発世論の高まりを受け、
サバハ首長が昨年7月に原子力委員会を解体する首長令を出し、原発断念が一気に決まった。

ただ、国立科学研究所が原子力委員会の後を継ぎ、主に医療分野での原子力利用を研究しており、
将来的に研究用原子炉が建設される可能性はある。
国立科学研究所のオサマ・サエグ研究員は「3~5カ月以内に(今後の方向性の)調査を始めたい」
との見通しを示した。

中東ではイランが核開発を続ける一方、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)も原発建設に意欲的だ。




米当局 メルトダウン想定して対応
NHK 2月22日 19時30分 動画あり

アメリカ原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の委員会内部のやり取りを記録した議事録を公表しました。この中では、アメリカ当局が、事故発生から5日後には、最悪の事態を想定すると1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあるとして、日本政府が付近の住民に出した避難・屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう提起していたことが分かりました。

アメリカ原子力規制委員会は、21日、東日本大震災が発生した去年3月11日から10日間にわたる、委員会内部の電話などによる緊急会議のやり取りを記した3000ページ以上にわたる議事録を公表しました。

それによりますと、事故発生から2日後のアメリカ東部時間12日には、福島第一原発の敷地内の周辺でセシウムなどが検出されたことが分かったことから、少なくとも原子炉内部で部分的な炉心損傷が起きている可能性があるなどとして、発電所から半径50マイル=およそ80キロ圏内に避難勧告を出すべきはないかと、幹部が原子力委員会に対して進言していたことが分かりました。

さらに、16日には、原子力規制委員会のヤツコ委員長が、最悪の事態を想定すると、1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあると指摘し、また、ボーチャード事務局長が、「同じ事態がアメリカ国内で発生すれば、原発から50マイル以内には避難勧告を出すのが妥当だと思われる」と述べて、日本政府が福島第一原発の付近の住民に出した半径20キロ圏内の避難指示、20キロから30キロ圏の屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう、委員会に提起していたことが分かりました。

今回、公表された議事録は、アメリカの規制当局が福島第一原発の事故を受けてどのような初動対応を行ったかを示す資料だけに、関心を集めるものとみられます。

錯そうする情報

今回公開された議事録からは、事故直後の情報の錯そうぶりも伝わってきます。3月16日の早い段階では、東京で対応に当たっている専門家チームのメンバーが、「東京電力から、4号機の使用済み燃料プールに水が残っていないとの情報を得た」として、とにかく注水を急ぐべきだとしています。しかし、ヤツコ委員長らが、50マイル圏内の避難勧告を出すと決めたあと、同じ日の遅い時間になって、「東京電力は、燃料プールに水が残っていないとは言っていない」という情報がもたらされ、委員長が、正確な情報を改めてスタッフにただす様子もうかがえます。

専門家チームのカスト代表は、「東京電力が扱うには、あまりに問題が大きすぎる」と漏らし、日本側との間で、情報が錯そうしていたことをうかがわせています。

議事録とは

公開された議事録は、原子力の安全規制を担当する原子力規制委員会が、アメリカとして、東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応を検討するために開いた電話会議などの内容を記録したものです。議事録は、アメリカの情報公開法に基づいて公開され、事故が発生した3月11日から20日までの10日分、合わせて3200ページ余りに上ります。

議事録には、原子力規制委員会のトップであるヤツコ委員長と、日本に派遣されていた担当者などとの間で交わされたやり取りが詳細に記され、日本側から得られた福島第一原発に関する情報などを基に、委員会が日本に滞在するアメリカ人の避難などを検討していった様子がうかがえます。一方、議事録では、日本にいる担当者と当時の北澤防衛大臣ら防衛省幹部とのやり取りを記した部分など一部が黒く塗りつぶされ公開されていません。非公開の理由について、委員会側は、「外国からもたらされた情報で機密に当たる」と説明しています。



続きを読むに内容を書き出しました。




水野:
まず、今お伝えしたニュースで、クウェートが原発計画を止めたという話
小出さん、わずか事故から4カ月後に
こういった判断を下す国が外国にはあるんですね。

小出:すみません、今の今まで知りませんでした。

水野:どう感じられます第一印象ですけれど。

小出:まぁ、正常な神経を持っていればそうだろうと思います。

水野:近藤さ~ん、事故から4カ月で決定ですって、クウェートは。

近藤:
やっぱり、原発を断念した理由は福島だって言うんですから、そうでしょうけども、
いわゆる中東でこういう計画があって放棄するっていう事は、「核を放棄する」っていう事ですよね。

小出:そのとおりです。

水野:ああ、そういうことなんだ。

近藤:そういう意味では僕は、実に立派だと思います。

小出:はい。

水野:単に、エネルギーという枠だけではない訳ですね、なるほど。

小出:
はい、ま、中東とかもそうですけれども、
原子力発電をやるという事は、何がしかは必ず核を開発するという事と結び付いています。
クウェートという国がどこまで本気だったかは知りませんが、
やはりこれはヤバいと思ったんだろうと思います。

水野:
そして、最初にお伝えいたしましたアメリカの原子力規制委員会が公表した内部文書のニュースなんですが、
これはですね、小出さん、まずわたくしが「あ、こういう事か」って思いましたのは
アメリカも事故直後から事態の深刻さをよく分かっていて、
最悪の事態を想定して人を逃がそうとしていたわけですよね。

小出:そうです

水野:ただ、その最悪の事態を想定してた根拠は、日本からのデータなんですよね。

小出:そうです

水野:
つまり日本でも同じデータを使って、同じような判断を下すことはできたというふうに、
小出先生は思われますか?

小出:
もちろんです。ですからつい先日も原子力委員会の近藤さんという委員長がいるんですが、
近藤さん自身が最悪のシナリオというものをその当時にもう作っていて、
250キロ先まで強制避難させなければいけなくなるという事を当時から言っていたわけですし、
私自身もそう思っていましたし、
米国が言った80キロなんていうものがまだ緩すぎる、
ひょっとしたらもっとひどい事になると私も当時から思っていました。
ま、言ってみれば専門家であれば当然そう思っていたのです。

水野:
はぁ・・・
だけど、原子力安全委員会は、結局そっちに動きませんでしたね。

小出:
はい、日本の場合にはとにかく住民のパニックを防ぐという事が一番の重要項目になってしまっていて、
被ばくを避けるという事は二の次にされてしまっていました。

近藤:
あの、小出先生ね、パニックを防ぐっていうのは、
いわば、ある種自分らにとってあまりいい結果をもたらさないという判断があるからだと思うんですよ。
僕もマスコミの人間だから思うんですけれどもね、
パニックを起こすか起こさないかっていうのは我々が考えるべきことじゃないんです。
住民サイドでそれを判断するべきことですから、必要な情報は僕は出すべきだと思うんですよ。

小出:
はい、近藤さんがそう言って下さるのは、私は嬉しいです。
マスコミの人達がちゃんと情報を出すという事でやっていただきたいと思うし、
もちろん政府だって、情報はきちっと出す。
そしてそれは住民自身が判断するというふうにして欲しいと、わたしは願います。

水野:
ただ、この80キロと、アメリカ政府が言っていた時に、日本ではどうだったかといいますと、
ま、最初は3キロって言っていましたね、避難。

小出:そうです

水野:
で、10キロは屋内退避と。
それから20Kが避難で30キロまでの方は屋内退避と。
小出しだったんですよ。

小出:そうです。

水野:
でも、これもですね、元はといえばメルトダウンしている可能性を認めるか認めないかが、
大きく判断を左右したかと思うんですね。

小出:はい

水野:
じゃないですか、今回の事で分かることのひとつは、

小出:
ただし、もちろんそうですけれども、
すでに12日、地震が起きて一日後には1号機の原子炉建屋が吹き飛んでいるのですね。
それはもうすでに原子炉がメルトダウンしているという事を示している。
専門家であればだれでも分かるのです。

水野:あー、そうですか、はい。

小出:
ですからその段階で、もちろん米国の原子力規制委員会もその事が分かっている訳ですし、
場合によっては格納容器からの大量の放射性物質の放出があると、彼らも考えたし、私も考えました。
ですから私は逃げる準備をして下さいと言って12日にみなさんに警告しました。

水野:
そうですよね
その警告をなさっている事を知って、私たちたねまきジャーナルは小出先生に連絡を差し上げて、
3月14日から、こうやって解説をしていただくことになり、
14日の時には、もう、「1メートルでも遠くに逃げて下さい」と小出さんがおっしゃったのを覚えておりますが、
じゃぁ、政府も分かっていた。

小出:
(* >ω<)=3 プッ!だって、東京電力が「もう、放棄して撤退したい」って言ったんです。
で、菅さんがそれを聞いて、「これではダメだ」と言って東京電力に乗りこんで、
「撤退を許さない」という事がその時に起きていたわけで、
当の本人である東京電力が「もう、持ちこたえる事が出来ない」という程の判断をしていた時期だったのです。

水野:
しかしながら、その情報が今回アメリカから入ってきてですよ、
日本で開示された訳じゃないんですよね。

小出:そうですね。

水野:これをどう思われますか?

小出:
この日本という国が本当に近代国家というような国ではなくて、
情報操作の流れすらが恣意的に操作されてしまっている、
ま、失礼ながらマスコミもですね、その事をきちっと報道しないでここまで来てしまったという事だと私は思います。
私は米国という国は実は大嫌いなんですけれども、
それを除いて、ま、私のような個人的な好みを除けば、
まだまだ米国の方がまともな国だと思います。

水野:
今回の資料で、事故の5日後にアメリカの原子力規制委員会の委員長は
3つの原子炉がメルトダウンすることを予測している訳ですよね。
ところが日本政府がメルトダウンを認めたのは、
皆さん思いだして下さい。それは5月のことです。

小出:そうです。

水野:
5月の半ば
つまり、2カ月以上経って、やっとメルトダウンを認めたんですよ。
で、結局その事でいち早く遠くへ多くの人を逃がすことが日本政府はできませんでしたよね。

小出:はい

水野:
これはやはり、もしもですよ、
アメリカと同じように「80キロ圏外に出て下さい」という判断をもしも、事故直後にしていたならば、
大分違ってましたか?

小出:
もちろんです。
飯館村というところは原子力発電所から約50キロ、40キロから50キロの圏内にあるんですが
そこが猛烈な汚染をしてしまっていたのですね。
ですから、80キロ彼方まで逃がしていれば、飯館村の人達は被ばくをしなくてすんだ訳ですし、
別の事でいえば、南相馬市という、20キロ圏内に含まれるような人達は、
避難をしろと言われて逃げたのですが、逃げた先が飯館村だった。

ですから、逃げなければ被ばくをしなくて、むしろ被ばくが少なかったのですが、
飯館村に逃げてしまったが為に、不要な被ばくをしてしまったという事もあるわけですし、
日本政府の判断というか、指示の間違いのために被ばくをしてしまった人が沢山出てしまいました。

水野:無用の被ばくをさせられてしまった方が大勢いるわけですね。

小出:そうです

水野:近藤さん、

近藤:
これはあれですよ、僕はやっぱり、意図的にね情報を操作していると思いますね。
ですから、要するに議事録もないんだと思うんですよ。

小出:(笑)そうですね

水野:
日本の場合はね~
アメリカはこんなの詳細にあるんですね、3000ページ。

近藤:
あの時の菅さんの動き方を見ているとね、
要するに官邸のカメラをつけて自分がヘリに乗ってどうのこうのしているのをちゃんと写させて、
それを配りもしているわけですよ。

小出:はい

水野:配ってるんですか?

近藤:うん。だから自分のそういうものはちゃんと記録してね、

水野:ふぅ~~ん・・・その余裕はおありなんだ

近藤:
なんかねぇ・・・だから、もう、やっぱり政権そのものがね自分の保身と一緒にかかわっているから
こういうけったいな事が起きているんだと思っているんですよね。

小出:はい

水野:
いったい誰の身を守る政府なのか?って言う事ですよね。
でも、当たり前なんですけれども、アメリカってちゃんと議事録作ってるんですね。

小出:(笑)

水野:当り前ですよね。録音もちゃんとあって。

小出:はい

水野:
一語一句全部残っているんですね。
はい、アメリカと日本の違いが非常によく分かるニュースでした。
小出さんどうもありがとうございました。

小出:ありがとうございました。




ーーーー今朝の東京新聞の記事

深刻さ認識 米緊迫 福島事故で規制委
東京新聞 2012年2月23日 朝刊

【ワシントン=共同】
東京電力福島第一原発事故で、米原子力規制委員会(NRC)が公表した電話会議などの議事録で、
原発から三百キロ以上離れた場所にいる米国民についても、
自主避難を呼び掛けるかどうか議論していたことが22日、明らかになった。

実際には、米国による避難勧告は半径80キロ以内だったが、
自国民の安全確保を最優先に、さまざまな検討を行った様子が浮き彫りになっている。

昨年3月13日の議事録によると、第一原発から185キロ離れた海域で、
米側が通常の約30倍の放射線量を検出した。

当時、日本は半径20キロを避難指示、20~30キロを屋内退避としていたが、
同16日の電話会議の出席者は「もはや日本の避難勧告には同意せず、
原発から50マイル(80キロ)以内の米国民に避難を勧告する」と伝えた。

この日の別の電話会議では、ある出席者が
「第一原発から240~320キロで場合によっては1~2レム(10~20ミリシーベルト)の被ばくになる」との予測を示し
「この水準の被ばくを避けるため、自主的な避難を勧告するのが理にかなうことではないか」と主張した。

議事録には、別の出席者が否定的な考えを示したにもかかわらず、なおも
「正しいのは、被ばくを合理的に達成可能な限り低く抑えることだ」と食い下がる様子が克明に記録されている。

同17日の議事録には、米国民を避難させる飛行機の手配に関するやりとりも。
ある出席者は、フライトの半分は大使館員用、もう半分は一般の米国民用と説明。
さらに「避難は自己判断だが、できるだけチャーター機を準備しようとしている」と述べた。

藤村修官房長官は22日の記者会見で、米原子力規制委員会が、
東京電力福島第一原発事故発生直後から炉心溶融の可能性を指摘していた内部文書を公表したことに関し
「当時の対応は政府や国会が検証中で、コメントすることはない」と言及を避けた。

原発事故当事国として、震災関連会議の議事録が作成されていなかったことに関しては
「記者会見などで情報発信はしたが、文書で随時記録されていなかったことは事実。誠に遺憾だ」と述べた。


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comment 1
コメント
小出氏をダシに、「政府批判」から「政権批判」へと論点をずらす近藤・水野。

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近藤:僕はやっぱり、意図的にね情報を操作していると思いますね。
ですから、要するに議事録もないんだと思うんですよ。
(水野:日本の場合はね~)

近藤:あの時の菅さんの動き方を見ているとね、要するに官邸のカメラをつけて自分がヘリに乗ってどうのこうのしているのをちゃんと写させて、それを配りもしているわけですよ。
(水野:配ってるんですか?)

近藤:うん。だから自分のそういうものはちゃんと記録してね、
(水野:ふぅ~~ん・・・その余裕はおありなんだ)

近藤:なんかねぇ・・・だから、もう、やっぱり政権そのものがね自分の保身と一緒にかかわっているからこういうけったいな事が起きているんだと思っているんですよね。
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こういうケースで国家元首の動向を報道しない、ということはどこの国の報道機関でもあり得ない。議事録の件とは独立に考えなくてはならない。「僕もマスコミの人間だから」と言うからには近藤はそこをわかっているべきなのだが、むりやり「政権の保身」というテーマに結び付け、小出氏の同意を求めて、政権批判の仲間に引っ張り込もうとする画策がいやらしい。
ボンゴレ | 2012.02.23 12:52 | 編集
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