今回の内容映像は東北地方で2月10日に放送したものです(1月14日収録)
3月7日の深夜に全国でも放送されたそうです。
教えていただいて是非「観たい」と思い探しました。
動画が(♛ฺܫ♛ฺ)ありました。
動画は消えてしまうかもしれませんので、
内容を全て書き出しました。
低線量被ばくの危険について、
高圧洗浄で洗うだけの除染は間違えている、今再稼働なんかしている場合ではない。
国の対応に対しては熱く怒り、、そして涙で語られています。
最近は、児玉先生に対して不信感をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、
そのような方にぜひ見ていただきたいと思いました。
直撃インタビュー
被災地の目線でー児玉龍彦氏
児玉龍彦
1953年東京都生まれ。 医学博士。
東京大学アイソトープ総合センター長。
東京大学先端科学技術研究センター教授。
杉尾宗紀
NHK仙台放送局アナウンサー
レベル7とされた最悪の事故から間もなく1年。
国は総力を挙げての対応を唱え続けてきました。
そして、去年12月、発電所の事故そのものは収束に至ったと宣言しました。
12月16日
野田:事故収束に向けた道筋のステップ2が完了した事を、ここに宣言いたします。
被災者に向けても、国は避難区域の見直しや除染事業を始める段階にまでこぎつけたとしています。
しかし、一方で、この1年、国の対応に人々が不安を抱いたことも事実です
特に放射能による健康被害に対しては、さまざまな批判も巻き起こりました。
専門家の中にも政府の姿勢を正してきた人がいます。
東京大学教授の児玉龍彦さんです。
遺伝子の解読や放射線を使った治療の研究をしています。
去年国会に参考人として呼ばれた時の答弁は痛烈なものでした。
7月27日
児玉:
わたくしは東京大学アイソトープセンターの児玉ですが、
枝野官房長官が「さしあたり健康に問題はない」という事をおっしゃいましたが、
わたくしはその時に「実際にこれは大変なことになる」と思いました。
何をやらなければならないかというと、まず汚染地で、
徹底した測定が出来るようにするという事を保証しなくてはいけません。
今日ではもっとイメージングベースの測定器が、はるかに沢山、半導体で開発されています。
何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして、全国に作るためにお金を使わないのか。
3カ月経ってそのような事が全く行われていない事に、
わたくしは満身の怒りを表明します。
どうやって除染を本当にやるか、
7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に、国会はいったい何をやっているのですか!
以上です!!
※「放射線の健康への影響」児玉龍彦氏(内容完全書き出し)衆議院厚生労働委員会7/27
※児玉龍彦氏厚生労働省委員会7/27質疑応答まとめ(内容書き出し)
児玉さんは毎週福島県に通い、除染の指導を続けています。
国の除染事業がなかなか始まらない中、住民が自ら始めた除染活動です。
こうした活動は国際的にも評価されました。
去年12月、科学者の中で最も権威のある学術誌
ネーチャーは今年の10人を発表。

世界の科学に影響を与えたとして児玉さんが選ばれました。
今日は児玉龍彦さんに直撃します。
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つづく
直撃インタビュー・被災地の目線で

03:20
杉尾宗紀 NHK仙台放送局アナウンサー:
福島第一原発の事故、3月11日からですね、もう、10カ月が経ちましたが、
その、未だにですね、どうもこう、すごく断片的な情報がパッパッパッって新聞の見出しとかで
テレビのコマーシャルみたいにパッパッって、目の前にあって、
でも、全体的に一体この事故っていうのはどういう事なんだっていうのがですね、
なかなか、把握しずらいっていうのがあって、そこは、先生はどういうふうに捉えていらっしゃいますか?
児玉:
今回の事態で一番大変な問題っていうのは、
広島原爆の20倍だとか、168倍とも言われるような膨大な量の放射性物質が、
福島県を中心に広範な地域にまき散らされてしまっていると、
その事が、特にがんを中心とする健康とか、生命への危害というのを加える可能性があるというのが、
その事の持つ大変さが日を追って明らかになるにつれて、
福島という大きな地域が、傷口がますます開いて行ってしまっているのが問題だと思っています。
松尾:
じゃ、今そういう全体像、原爆20個分とか、膨大な量の放射性物質が、ばら撒かれるとおっしゃいましたけれども、
その、ばら撒かれた放射性物質はどうなっているんですか?
児玉:
放射性物質は一般に減衰するって言いまして、放射線を出して普通の物に戻っていく訳ですね。
ところが、今、主に出ているセシウムですと、これが半分になるのに30年、4分の1になるのが60年。
だから、100年経っても10分の1程度。
だから、我々が生きている世代の間ほ放っておいたら、ずっと汚染されたままだと。
最初、原発の事故で避難した人は、
ま、2~3週間の避難か、2,3日か、そんな気分で避難していたらば、
もう、最近になったら、生涯、生きている間、戻れない地域がかなりあるという事を
始めて伝え出しているところだと思います。

松尾:やっぱり、それが分かるために、10カ月が必要だったんですかね?
児玉:
やっぱり、それはもう一つは放射能と原発の問題に関して、
非常に鋭い、意見の分裂があって、
そのために、ま、いわば言論の自由がなくなっていた
だから・・・最初に、一番沢山放射能が撒かれて、
甲状腺がんなどの危険が一番広がっていた時に、
政府が専門家に聞いたらば、
「さし当たって、健康に問題がない」という格好で・・・
松尾:そう、「今すぐ影響が出る事はありません」という、
児玉:
はい、
だけども、たとえば20キロ圏の浪江で、
原発から、ま、20キロ近く離れている地域で測ってみますと、
最大年間5シーベルトという、人間が半分ぐらい死んでしまうようなことに相当するようなところがある。
それだけすごいプルームというものが、
松尾:プルームってなんですか?
児玉:
放射性物質が気化して、ヨウ素とかセシウムが気体になった雲みたいなものですね。
それが、ザーッっと流れて行っている。
その雲が流れたところもすごい汚染なんですが、
その雲からちょっと外れたところ、たとえば浪江の町役場では0.3マイクロシーベルト。
っていうと、ま、柏なんかとそんなに違いがない、
すごい塊が流れて行ったという事が今になって明らかになりつつある
松尾:
はぁ~
じゃ、そのプルーム、雲が流れて行ったところが、大体、今分かってきて、
児玉:それが、だからSPEEDIなんかで予測されていたのと同じルートをたどっていったんです。
松尾:じゃ、それが「今すぐ健康に被害が及ぶことはありません」という発表が、
児玉:
それと違う意見を言う事が風評被害やパニックを生むという、ような事が起こっていた。
これが今回の事件の一番最初の恐るべきことだったと思っています。
松尾:
今、お話しを伺っていて本当に思うのは、最初の段階のそういう情報の提示のされ方、っていうか、
情報の提示の仕方で、それでわからなくなってしまった部分が、ものすごくありますよね。
当初、住民に危険を伝える情報に偏りがあったとする児玉さん。
その例として、3月15日の出来事をあげています。
その日、福島沿岸を南向きに吹いていた風が北西向きに変わります。

これが、魔の風となりました。
発電所から放出された放射性物質が、煙のような塊になりました。
この塊がプルームです。
濃厚なプルームが風で北西に流れ、阿武隈高地に突当たります。

この時、雨や雪とともに大量の放射性物質が降り積もりました。
この事態は、実はSPEEDI という予測システムで予測されていました。
SPEEDI とは放射能汚染がどう広がるかを予測するシステムです。
この時、放射性物質は北西方向に拡散する可能性が高いとしていたのです。


ところが国はこの予測結果を公表しようとしませんでした。
この日、南相馬市では希望者を募り、避難の誘導を開始しています。
その行き先にはプルームがありました。
同様の事態は、浪江町の避難でも起きました

枝野:直ちに人体に影響を与えるような数値ではないと。

結局SPEEDI の予測が公表されたのは、8日後の3月23日でした。
重要な情報が結果的に隠されることとなったのです。
しかし、こうした情報の方よりは、今ようやく変わってきたと、児玉さんは感じています。
児玉:
今ですね、むしろわたくしは事態が変わってきているんではないかと。
っていうのは、放射線がまき散らされているっていう事実が、
これはもう、カウンター1個持っていけばすべてわかっちゃいますから、
松尾:もうそういう事実が、みんながカウンターで測れるようになって。
児玉:
測れるように。
そうすると、これは大変なことだと、
それでもう、「今日忘れて明日原発を再開するような話じゃない」っていうような問題が、
みんなの目の前に明らかになってきている。
そして、被災地の人達が直面している問題が、どれほど深刻で大変な問題であり、
日本の国土のどれほど大きいところが失われ、
100万人を超える人たちが健康被害にさらされているという事が、
今、日々起こっている、っていう事を、報道機関も国民も気づきだしている、っていう事が
今の一番の特徴ではないかと思います。
松尾:じゃ、その、今ようやく事の重大性とか、深刻さが、ようやく浸透してきた、っていうか
児玉:
はい、初めはですね、
これは放射線に関する議論では、低い線量の放射線は健康に問題がないんですよ。
それで高い線量の場合は、もちろん火傷にもなるし、癌もできるし、
だけど低い線量の放射線は問題ないんだという事が、まことしやかに言われて、
松尾:
一回のレントゲンで受ける線量の何分の1ぐらいですから、
ま、すぐに健康に被害が出るという事は考えにくいというような、
そういう報道をしていましたよね。
児玉:
ところが、たとえばチェルノブイリでも、低い線量の筈の被ばくのところで、
4000人も子どもの甲状腺がんが出ている。
そういう事が、皆さん今ではご存じになっているし、
さらに、いろんな膀胱の障害だとか、その他のものが、
このあと数10年に渡って生まれてくるであろうという事が、心配されている訳ですね
特に、癌という問題に関して、
今まで言われた低い線量であればDNAは、
放射線を受けると、DNAって、切れちゃうわけですよね。
これは低い線量でも切れるんです。
だけども、切れたものを修復する力というものが、放射線を受けると誘導されてくるから、
「問題ないんです」って、言われていたんですね。
松尾:切れても、元に戻す復元力があるので、弱い線量だったら問題ありませんよと
児玉:
ところがこれはですね、ま、一番よくやられたのが、アメリカのオークリッジスタディーっていうやつで、
何10万匹っていうネズミに放射線をかけて見ていくという実験があったんです。
だたその時は2万5000のネズミの遺伝子の中の、7つだけを見て修復されているって言ったわけです。
そもそも、放射能はどのようにしてがんを引き起こすのでしょうか?
その仕組みを理解する鍵は遺伝子にあります。
セシウムやヨウ素という、放射性物質が出し続ける放射線、これはDNAを傷つけます。
しかし、DNAは普段、増殖と死滅を繰り返しています。
傷を負ったDNAは増殖する時自らを殺す仕組みがあるため、通常傷の影響は出ません。
これが修復です。
ところが、何らかの理由で修復されず、
傷ついたDNAが生き残って、増殖する事があります。
このようなDNAが癌の原因になるのです。
では、どのくらいの放射線を浴びると癌になるのか、
これについては専門家の間で論争になっています。
第4回 内閣官房 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ

先生(上の写真の人・丹羽太貫):
だから、6ベクレルが原因なんだというのはひとつの原因だけをピックアップしていますよね。
たまたま、だからそれは6ベクレルであるのか他のファクターなのか分からないじゃないですか。
児玉:はい、ですから先生のおっしゃっているような、
丹羽先生:だからそれは結論付けるのは止めていただきたい、
児玉:
むしろ、ですけれど、先生の方の結論の付け方が、関係ないという結論だから、
問題だという事を申し上げています。
丹羽先生:関係ないじゃなくてそれを、それで非常にリスクがあるとおっしゃるのは、やはり、
児玉:ちょっと聞いて下さい
丹羽先生:問題であると
※丹羽太貫(にわ・おおつら)さん
年齢不詳
京都大学/放射線生物研究センター/名誉教授
放射線医学総合研究所重粒子医科学センターセンター長
文部科学省の放射線審議会(会長)
”一般住民の年間被ばく線量の限度は、年1~20ミリシーベルト間に設定することを許容する”
広島長崎の被爆者2の調査によれば、年間100ミリシーベルトを超えると、発がんのリスクが明らかに上昇します。
論争になっているのは100ミリシーベルト以下の被ばくです。
その範囲の被ばくでは影響が出ないという説と、影響は少しずつ出るという説とがあり、意見は分かれています。
遺伝子を研究する児玉さんは、低線量被ばくにはリスクがあり、
少しでもリスクがある以上警戒するべきだとしています。
その根拠として、一部3重らせんになるDNAの存在など、最新の成果を上げます。
児玉:
私は自分の専門はゲノム科学といって、2万5千の遺伝子を全部見るのが専門なんですが、
ゲノム科学でチェルノブイリの子どもたちを見た時に、
2万5千の遺伝子の中で、染色体の7番の1カ所に、これが修復される時に遺伝子が三つになっちゃう。
普通は、お父さんとお母さんからの二つなんですけど、それが三つになっちゃうんです。
そうすると、その他の24900に何もなくても、1カ所に修復エラーがあると、
そこから、病気が生まれてしまうんです。
これが、癌の元になる。
だから、放射線が当たってすぐに癌がでるっていうんじゃなくて、
放射線が当たって、死んじゃうはずの細胞が、生き残った時に、癌が出来てくる。
だから、低い線量でも癌を起こすことがあると、
それがチェルノブイリでは4000人の子どもに起こったと、
それじゃぁ今度日本でどういう事態が起こってしまうかというところが、非常に心配になっていることです。
松尾:
それは、今回の3月の事態で、そういう、放射線で、
その・・遺伝子が、ま・・・損傷してしまった、と・・子どもさんがいたとしてですね、
それは、あの~、それは、その、変だなって分かるのって、いつ頃
児玉:あのですね、すごく問題なのは癌って、最初の1個とか2個の時は診断できないんですよ。
松尾:あ・・そうですよね。
児玉:
それで、癌が起こるには細胞に1個遺伝子の変異が入るだけではなしに、
今我々は多段階発がんというんですけれども、
癌化するには、2個3個の遺伝子がおかしくなると癌化するという、
その2個3個の遺伝子に変異が起こって、どんどん増殖が止まらないもになると、
もう、みるみると大きくなって変異して、そうなって初めて分かるというものですから、
ある意味で言ったら、非常に潜在的に怖いものでだとという事です。
松尾:その期間は、どのくらい・・何カ月、とかで、こう
児玉:普通はですね、それは大人の場合は、30年ぐらいかかると言われています。
松尾:あ、30年
今回の事態で、その、癌が出来るかどうかっていうのは、まだ、今の段階じゃ全然わからない?
児玉:
はい、
小児がんだけは早く起こりますから、
松尾:小児がんの場合はどのくらい
児玉:小児がんの場合は大体10年位でピークになります。
松尾:
10年位、それでも10年ですか。
じゃあ、もう本当に、子どもさんが、たとえば小学生だったら高校生になってたりとか、
児玉:
それでもう一つ非常に難しいのは、
いろんな遺伝子の変異がいろんな処に起こっている場合には、
ま、ヨウ素の場合は甲状腺に集まるから、甲状腺がんってことで、よく分かりましたが、
それ以外の放射線核種の場合は、ある意味でいったら、
どこに起こるか?っていう予測が核種ごとに違いますし、非常に難しいです。
松尾:はぁ…今回はセシウムが多いんですよね、セシウムはどうなんですか?
児玉:
セシウムの場合に今一番心配されていますのが、
セシウムっていうのは、ま、腎臓からいったん排泄されるんですが、
尿細管で再吸収されて、身体をぐるぐる回って、最後はオシッコになって出ていくもので、
尿路系、膀胱とかなんかの増殖性の癌が一番心配されていますが、
果たして今回の事故で、そこが最初に起こるかどうかは誰も分かっていない。
そうするとですね、ただ待っているというよりは、やっぱり、日々の地域医療をきちっとしておく。
だから、今度福島で私がすごく大事だと思っているのは、
地域の医療、特に子どもさんの医療を徹底的によくして、日ごろからいろんな事に相談に乗ってもらえるシステムを作る。
それが一番いい、健康被害の予防の手段ではないかと思っています。
松尾:
とにかく、その・・・・変化の兆しを、地域レベル、
もう・・・一人ひとりの子どもさんのレベルで、ちゃんと、こう・・・抑える事が出来るような、
そういう体制作りというか、
児玉:
はい、それからもっと大事なのは、
予防的に環境中にある放射性物質を隔離していく事だと思います。
松尾;それが、除染ですか?
児玉:
はい、
だから、除染というのをよく間違えているんですが、
「建物にお水をかければ除染」ではない。
松尾:
私も、除染のイメージって、
アスファルトに高圧洗浄機でダーッ!って水をかけてたりとか、
屋根をダーッ!って洗っていたりとか、
あれが除染なんだって思っているんですが、
児玉:そうではなしに、除染っていうのは
松尾:あれは除染ではないんですか?
児玉:はい。
除染は今は福島では、主に4つぐらいの事が大事だと思っています。
一番は放射性物質を取り除くという事ですよね。
松尾:そうですね
児玉:
そうすると、3月15日にすごい濃いプルームが出て、その日前後に雨でした。
空から地上を見下ろしじゃないですか、
そうすると、まず1番目は、建物だったら、屋根です。
それで、屋根に浸みこんじゃった場合には、屋根を交換しない限り無理です。
松尾:あ、そうなんですか
児玉:それから、2番目は家の周りの、
松尾:あの、高圧洗浄機はダメなんですか?
児玉:ダメです。
それから、2番目は家の周りの土ですね。
土は土の中の粘土というものにくっつきますから、表面5センチ位のところですから、これを取り除く。
松尾:表土をはぎ取る。
児玉:はい。
それから3番目はですね、
福島はなんで今から洗ってもダメかというと
チェルノブイリよりも、ずっと雨が多いですから、
もう、水で洗って流れるようなやつは、雨どいだとか、側溝にもう溜まっています。
松尾:溜まっているんだ
児玉:
だから、この、雨どいとか側溝を綺麗にする。
それで4番目に一番難しいのは森。ですよね。
樹木にくっついたセシウムっていうのは、結構落ちにくいですから、
福島の民家でも防火林、あ、防風林ですか、これがいっぱいありますよね。
ここに、かなり高い線量が付いちゃっていますから、
これを除かないと、やっぱり、空間線量が、住宅なんかは下がらないという事があります。
ですから、かなり、本当に放射性物質を除こうとすると、
放射性物質がどこに付着していて、どのようになっているか。
もちろん、屋根でも、洗えば落ちる場合もあるかもしれないし、
雨どいでも交換しなくてもいい場合もあるかもしれません。
それはだけど、非常に高い線量の地域では、非常に難しいというのが、わたくしどもの持っている経験でして、
松尾:
その放射性物質っていうのは、小さい粒子だって聞いて、
ま、風で飛んできたりしますって、
児玉:
粒子なんですけれども、やっぱり、浸みこんでしまった場合には、
我々は、放射線施設の管理というのをいろいろとやっているんですが、
そういうところで、やっぱり、寿命の長い放射性物質が、
いろんな金属の機械でも、床でも、浸みこんでしまって、
機械とかいろんなものに付着してしまった場合には、
やっぱり、削り取らない限り無理だと思います。
松尾:そうなんですか・・・
児玉:すごく濃いんです。
松尾:しつこいんですね、要するに、一回、こうくっついたら、
児玉:
それから、ものすごいコストと労力が、かえってかかってしまいますから、
もう、その材料自体を交換するのが一番早いんです。
松尾:はぁ・・・そうなんだ・・・
いや、でもそうすると、手っ取り早いのは、確かに屋根を変えちゃえば手っ取り早いのはよく分かりますが、
屋根の吹き替えだけでも、莫大な金がかかりませんか?

児玉:
ですから、一応二本松モデルと呼ばれていて、
60坪位の土地に30坪の家が建っている場合に、今言ったような除染のコストっていうのを計算していただくと、
ゼネコンでやっても、ハウスメーカーでやっても、工務店でやっても、
きちんと落とそうとすると、大体それくらいの規模で500万円っていうのが、
わたくしどもが前から申し上げている計算値です。
松尾:大体、一軒当たり500万。
児玉:はい。
それで、今ですね、実は原子力機構っていうところが、モデル除染っていうのをやっていますが、
私の方にも、様々なゼネコンの方からメールやなんかを頂くんですが、
殆どが、「一戸70万円という、今の一軒の予算では、殆ど落とせません。どうしたらいいですか?」って。
松尾:あ、福島県の予算は70万円
児玉:これは国の予算です
松尾:国の予算が最初70万。
児玉:はい。
松尾:やっぱり、70万だとダメですか?
児玉:はい。
もう少し、だから、環境省かなんかが東京の新聞に一面かけて、
広告で、「1ミリシーベルト/年以下にします」と、書いていますが、
松尾:そうそうそうそう、
これ新聞、たまたま2,3日前の全国紙でこれ、大々的に出ていたんで持ってきたんですけど

児玉:これをやるとしたらですね、要するに一戸500万かけなければいけない。

松尾:ハァ~・・・・・
児玉:出来ない。
松尾:
はあ・・・ここに書いてあることを、
「追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下とする事を長期目標として、
優先順位をつけながら、国と自治体で地域の除染を進めていきます」
これを実現するためには一戸500万かかると、
児玉:
はい、それで、
それはモデル除染とかをやっていただけば頂くほど、分かる事だと思っています。
ですから、今回も、最初からこの放射性物質が、広島原爆の20個分とか168個分と聞いた時に、
これはほんとーーーうに大変なことになると、ずーっと、
松尾:は~あ・・・ご自身の今までの経験で
児玉:
はい、それで国会でも、最初からそれを申し上げていた
それで、それをやっていかないと、
結局環境中に放射性物質がいっぱいあると、
食べ物に出てくる、水に出てくる、魚に出てくるっていう、
もう、塵として空気中に舞い上がるとか、
ずーーーーっと繰り返すことになります。
そうすると、
そこの地域の人達が、また「癌にならないか」とおびえて暮らすっていう事を、繰り返すことになってしまう。
だからこれは、大した問題じゃないとは絶対に言えない。
もう、本当に大変な問題です。
ですから、今原発再開がどうこうとかいろんな事を言ってますけれども、
そーーんな事を、言っている場合じゃない。
まず、今起こっちゃったことを、本当にどれ程のコストがかかって、
どうやって日本の国土を取り戻すかっていうことを、
今年は本気で覚悟と決意を持ってやらないといけない。
それは、新聞広告1枚で済むような問題ではないと思っています。
松尾:いや、あの、
こういう新聞広告で、なんか吾いう全面広告で見ると、
「あぁ、なんか、国もやる気じゃん」とかって、やっぱり思ったりしますよね。
児玉:新聞広告を出したという事は私は非常に大きい事だと思っています。
松尾:あ、そうですか
児玉:
というのは、やっぱり国の中にもこれはただ事ではないと思いだしてきている人がかなり増えてきている。
松尾:あ、それは実際いろんな国の関係者の方とかと話して
児玉:
話しています。
要するに、最初に申し上げた、
最初はなんか、こう、言論がぐーーっと押さえられているみたいなものがあった。
だけど、それがですね、現実にお母さん達が、線量計を持って見に行ったら、
一遍で変わってしまう。
お母さんが先生に、先生が教育委員会に、教育委員会が市役所に、市役所が県に行くという、
ワッっと一瞬に変わってしまう。
国民みんなが気付きだした、
「これはそんなに簡単なことではないですよ」っていうことが、
だんだん政府にも影響を与え出している。
だから、今年の課題は
この現実を本当に国民全体が共有出来るかどうかになってきているとおもっています。
松尾:
ああいう全面広告を見て、それで安心しちゃって、
「ああ、じゃぁもう国が本気でやるから」
児玉:そんなに簡単ではないです。
松尾:ですよね。
児玉:
いまはもう、残念ながら、福島からの人口の流出は止まっていません。
それでおそらく、3月で卒業時期をむかえると、またさらに、今のままでは加速するんではないかと思っています。
っていうのは、線量が高い限り、
子どもさん、それから、子どもさんをこれから持とうというお母さんたちは、
それは、測ればすぐに分かっちゃいますから。
しかも、その情報は、もう、いたるところから、目に見えるようになってしまっていますから、
これはやっぱり、国民と正直に向かい合って、
現実から目をそらさずに、政府が責任を持ってやるべき時がきている。
それが出来ないと、本当に傷口からの出血が止まらない恐るべき事態になっている。
傷口がどんどん、どんどん、広がりかねない。
松尾:広がってますよね
児玉:大変なことになってきていると思っています。
松尾:
それを、こう、少なくするためには、
でも、そのぉ、一軒当たり500万の・・・かかる
児玉:もう、大変な覚悟と決意がないと。
松尾:
だって、福島県内・・・・だけで、何万戸あるんだろう・・・・・
もう、気が遠くなるような・・・
児玉:はい。
松尾:・・・金額ですよね
児玉:ですから、そういう意味では、本当にどれが最初に必要かも考えないといけないし、
松尾:ああ、優先順位もね
児玉:
だから、限られた予算でスタートするんだったら、
子どもさんのいるところ、妊婦のいるところ、子どもを持ちたい若い夫婦のいるところ、
それをもう、徹底的にやっていかないと、もう、どんどんみんな居なくなるだけです。
国土が失われていくだけです。
それで、人がいなくなればなるほど、除染というものはできなくなります。
松尾:確かにそうですね・・・ものすごい人手がかかりますもんね、除染は。
児玉:
今20キロ圏の内を毎週見に行っていますが、
週を追うにつれて荒れている家が多くなっています。
人が住んでいない家は、1年経ったら本当に住めなくなってしまいます。
そういう時期にあるのに、政府の政策を見たら、
全く各省庁は理解していない所が沢山あります。
たとえば国土交通省は、
常磐道が今通ってないじゃないですか、
松尾:通ってないですね、ええ。ずっと通行止めです。
児玉:
それで、常磐道に新しい、
たとえば常磐道は原発から6キロ離れているし、
除染すれば通行可能だという事を繰り返し申し上げていますが、
国土交通省は何を道路の予算に最初に持っていったかと言ったら、
1兆3000億かかる、東京外環道をやるって言い出したんです。
松尾;ぉぉぉ・・・
児玉:
常磐自動車道を今、除染して通すのは、私の計算では、400億円。
東大アイソトープセンターの計算ではできると思っています。
、
松尾:そっちが最初ですよね、400億円で済むっていうか
児玉:
常磐が通れなくて、常磐の北の方が、経済的に死にかかっている。
南の方も大変な苦労を持っている。
それをまず復旧させるのが国土交通省じゃないかと思うのに、
国土交通省はいったい福島県民を日本国民と考えていないんですかね!
・・・・・・・・わたくしには全く理解できません。

だから今、日本の国民全体が、さらにすべての省庁の人達が、
この原子力災害から国土を守り復興するのに、どういくか。
広がる傷口をどう食い止めるか。
たとえば常磐圏に道路がなければ、常磐の北の方の経済界は、もう、時間を持たずに窒息します。
仕事がなければ人が残れるわけがない。
だけど、その状態を見て何もしない国土交通省というのは
一体なんなんですか!?
・・・・・・もう一方では、文部大臣が更迭されましたが、
年33ミリシーベルトの校庭に子どもを置いていいという文部大臣というのは、いったいなんなんですか!!
まず政府は、国民にこういう事態を起こした事をお詫びするところからスタートしなくちゃいけない。
そして、鼎の軽重というけれども原発再開なんていう、不抜けた事を言う前に、
まず今の事故に対してどうするかっていう事を鼎の軽重の一番重たいことに正面から向き合わない限り、
福島を日本を日本と思っていないという政府になった途端に、
「信無くば立たず」。
何をやっても全て上手くいかないです。
TPPも消費税も何もかもすべてダメです。
国民を切り捨てて平気な政府が、
何か大きい事を託すに足るかと言ったら、絶対にダメです。
今、でも、国民の方からそれに気づいています。
僕らのところにメールを頂くほとんどの人も、
「何かしたい。私がどうやったら役に立つのか教えてほしい」という声が日本中から出ています。
だから、今年の日本というのは、すごく大きい分かれ道に来ている。
福島と一緒に日本を再興するか、
かつて沖縄やいろんな処でやってきた失敗みたいに、国民を切り捨てて失敗を繰り返すのか、
このどちらを選ぶかという、すごく大事なところに来ていると思っています。
※鼎の軽重(かなえのけいちょう)を問う
(意味)帝位を狙うこと。権威を疑うこと。
児玉さんは週に一度、福島県に通っています。
早朝に東京を経ち、片道5時間を走る強行軍。

日に日に変わっていく被災地の中に、身を置こうとし続けています。
松尾:
いやもう、今お話しを伺っていて、先生が国会で満身を怒りを込めて表明しますという、
あの「満身の怒り」という、
あの時のお姿と、今のインタビューのお話しのお姿が2重写しみたいになったんですが、
その、怒りであるとか、その思いっていうのは、
先生、どういうところから出てくるものなのですか?
児玉:
あの、やっぱり責任があるということです。
というのは、原発というのは日本の官庁が先頭に立って進めてきた事なんですよ。
それで、東京大学。
私の属する東京大学も、その先頭に立って、「安全だ」と言ってきた大学な訳です。
だから、我々自身がお詫びをしなくてはならない。
・・・・・・・・ようするに、
本来、科学技術というのは、国民を幸せにして、豊かにしていくためにあるものですよね。
それが、この日本の中に大きな問題を生み出してしまっている。
そのときに、やっぱり、経団連なり、東京大学なり、日本の経済が、科学に最も責任を持っている人たちが、
どれほど真摯にこの問題に正面から向き合うのか。
その問題が起ころうとした時に、
今まで責任がある人たちが「たいした問題じゃないんだ」と言い出した。
その事に対して、私はものすごく怒りがあると申し上げたけれども、
国民は全く違う反応を示した。
・・・・・・・・今、国民が思っているのは、
「私達に何が出来るか」

やりたい、考えたい、これが・・・大事じゃないかと。
これが、信用できるんじゃないかと、思いだしています。
だから、いかに、国民のこの何かしたい、何とか変えていきたいという、
希望だとか、知恵だとか、勇気を、どうやって福島の再生に向けられるか。
そこに、政府も大学も経済界も、是非力を尽くしてほしいと思っています。
きっとそれが、大きな、やっぱり希望になると思っています。
ま、あんまり、何て言うのかな、大変だっていう事だけじゃなしに、
やっぱり、新しい年だから是非、前向いて
松尾:そうですよね。
児玉:やっぱり信じていくという
松尾:希望ですよね
児玉:大事だと、思います。
松尾:本当にありがとうございました。
インタビューの2週間後、国は常磐自動車道を、除染のモデル事業の対象にすると発表しました。
多くの住民が待ちわびていた国費による除染事業は、ようやく始まります。
しかし、始まる前から、取り除いた土などの保管場所が問題になり、
殆どの地域で事業は難航しています。
児玉さんの言う「希望」を明日へとつなげる道。
その道を閉ざさないようにする事、それが私たちの責任です。
3月7日の深夜に全国でも放送されたそうです。
教えていただいて是非「観たい」と思い探しました。
動画が(♛ฺܫ♛ฺ)ありました。
動画は消えてしまうかもしれませんので、
内容を全て書き出しました。
低線量被ばくの危険について、
高圧洗浄で洗うだけの除染は間違えている、今再稼働なんかしている場合ではない。
国の対応に対しては熱く怒り、、そして涙で語られています。
最近は、児玉先生に対して不信感をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、
そのような方にぜひ見ていただきたいと思いました。
直撃インタビュー
被災地の目線でー児玉龍彦氏
東北Z 直撃インタビュー被災地目線で「児玉龍彦」 from micchan09 on Vimeo.
児玉龍彦
1953年東京都生まれ。 医学博士。
東京大学アイソトープ総合センター長。
東京大学先端科学技術研究センター教授。
杉尾宗紀
NHK仙台放送局アナウンサー
レベル7とされた最悪の事故から間もなく1年。
国は総力を挙げての対応を唱え続けてきました。
そして、去年12月、発電所の事故そのものは収束に至ったと宣言しました。
12月16日
野田:事故収束に向けた道筋のステップ2が完了した事を、ここに宣言いたします。
被災者に向けても、国は避難区域の見直しや除染事業を始める段階にまでこぎつけたとしています。
しかし、一方で、この1年、国の対応に人々が不安を抱いたことも事実です
特に放射能による健康被害に対しては、さまざまな批判も巻き起こりました。
専門家の中にも政府の姿勢を正してきた人がいます。
東京大学教授の児玉龍彦さんです。
遺伝子の解読や放射線を使った治療の研究をしています。
去年国会に参考人として呼ばれた時の答弁は痛烈なものでした。
7月27日
児玉:
わたくしは東京大学アイソトープセンターの児玉ですが、
枝野官房長官が「さしあたり健康に問題はない」という事をおっしゃいましたが、
わたくしはその時に「実際にこれは大変なことになる」と思いました。
何をやらなければならないかというと、まず汚染地で、
徹底した測定が出来るようにするという事を保証しなくてはいけません。
今日ではもっとイメージングベースの測定器が、はるかに沢山、半導体で開発されています。
何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして、全国に作るためにお金を使わないのか。
3カ月経ってそのような事が全く行われていない事に、
わたくしは満身の怒りを表明します。
どうやって除染を本当にやるか、
7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に、国会はいったい何をやっているのですか!
以上です!!
※「放射線の健康への影響」児玉龍彦氏(内容完全書き出し)衆議院厚生労働委員会7/27
※児玉龍彦氏厚生労働省委員会7/27質疑応答まとめ(内容書き出し)
児玉さんは毎週福島県に通い、除染の指導を続けています。
国の除染事業がなかなか始まらない中、住民が自ら始めた除染活動です。
こうした活動は国際的にも評価されました。
去年12月、科学者の中で最も権威のある学術誌
ネーチャーは今年の10人を発表。

世界の科学に影響を与えたとして児玉さんが選ばれました。
今日は児玉龍彦さんに直撃します。
続きを読むに

直撃インタビュー・被災地の目線で

03:20
杉尾宗紀 NHK仙台放送局アナウンサー:
福島第一原発の事故、3月11日からですね、もう、10カ月が経ちましたが、
その、未だにですね、どうもこう、すごく断片的な情報がパッパッパッって新聞の見出しとかで
テレビのコマーシャルみたいにパッパッって、目の前にあって、
でも、全体的に一体この事故っていうのはどういう事なんだっていうのがですね、
なかなか、把握しずらいっていうのがあって、そこは、先生はどういうふうに捉えていらっしゃいますか?
児玉:
今回の事態で一番大変な問題っていうのは、
広島原爆の20倍だとか、168倍とも言われるような膨大な量の放射性物質が、
福島県を中心に広範な地域にまき散らされてしまっていると、
その事が、特にがんを中心とする健康とか、生命への危害というのを加える可能性があるというのが、
その事の持つ大変さが日を追って明らかになるにつれて、
福島という大きな地域が、傷口がますます開いて行ってしまっているのが問題だと思っています。
松尾:
じゃ、今そういう全体像、原爆20個分とか、膨大な量の放射性物質が、ばら撒かれるとおっしゃいましたけれども、
その、ばら撒かれた放射性物質はどうなっているんですか?
児玉:
放射性物質は一般に減衰するって言いまして、放射線を出して普通の物に戻っていく訳ですね。
ところが、今、主に出ているセシウムですと、これが半分になるのに30年、4分の1になるのが60年。
だから、100年経っても10分の1程度。
だから、我々が生きている世代の間ほ放っておいたら、ずっと汚染されたままだと。
最初、原発の事故で避難した人は、
ま、2~3週間の避難か、2,3日か、そんな気分で避難していたらば、
もう、最近になったら、生涯、生きている間、戻れない地域がかなりあるという事を
始めて伝え出しているところだと思います。

松尾:やっぱり、それが分かるために、10カ月が必要だったんですかね?
児玉:
やっぱり、それはもう一つは放射能と原発の問題に関して、
非常に鋭い、意見の分裂があって、
そのために、ま、いわば言論の自由がなくなっていた
だから・・・最初に、一番沢山放射能が撒かれて、
甲状腺がんなどの危険が一番広がっていた時に、
政府が専門家に聞いたらば、
「さし当たって、健康に問題がない」という格好で・・・
松尾:そう、「今すぐ影響が出る事はありません」という、
児玉:
はい、
だけども、たとえば20キロ圏の浪江で、
原発から、ま、20キロ近く離れている地域で測ってみますと、
最大年間5シーベルトという、人間が半分ぐらい死んでしまうようなことに相当するようなところがある。
それだけすごいプルームというものが、
松尾:プルームってなんですか?
児玉:
放射性物質が気化して、ヨウ素とかセシウムが気体になった雲みたいなものですね。
それが、ザーッっと流れて行っている。
その雲が流れたところもすごい汚染なんですが、
その雲からちょっと外れたところ、たとえば浪江の町役場では0.3マイクロシーベルト。
っていうと、ま、柏なんかとそんなに違いがない、
すごい塊が流れて行ったという事が今になって明らかになりつつある
松尾:
はぁ~
じゃ、そのプルーム、雲が流れて行ったところが、大体、今分かってきて、
児玉:それが、だからSPEEDIなんかで予測されていたのと同じルートをたどっていったんです。
松尾:じゃ、それが「今すぐ健康に被害が及ぶことはありません」という発表が、
児玉:
それと違う意見を言う事が風評被害やパニックを生むという、ような事が起こっていた。
これが今回の事件の一番最初の恐るべきことだったと思っています。
松尾:
今、お話しを伺っていて本当に思うのは、最初の段階のそういう情報の提示のされ方、っていうか、
情報の提示の仕方で、それでわからなくなってしまった部分が、ものすごくありますよね。
当初、住民に危険を伝える情報に偏りがあったとする児玉さん。
その例として、3月15日の出来事をあげています。
その日、福島沿岸を南向きに吹いていた風が北西向きに変わります。

これが、魔の風となりました。
発電所から放出された放射性物質が、煙のような塊になりました。
この塊がプルームです。
濃厚なプルームが風で北西に流れ、阿武隈高地に突当たります。

この時、雨や雪とともに大量の放射性物質が降り積もりました。
この事態は、実はSPEEDI という予測システムで予測されていました。
SPEEDI とは放射能汚染がどう広がるかを予測するシステムです。
この時、放射性物質は北西方向に拡散する可能性が高いとしていたのです。


ところが国はこの予測結果を公表しようとしませんでした。
この日、南相馬市では希望者を募り、避難の誘導を開始しています。
その行き先にはプルームがありました。
同様の事態は、浪江町の避難でも起きました

枝野:直ちに人体に影響を与えるような数値ではないと。

結局SPEEDI の予測が公表されたのは、8日後の3月23日でした。
重要な情報が結果的に隠されることとなったのです。
しかし、こうした情報の方よりは、今ようやく変わってきたと、児玉さんは感じています。
児玉:
今ですね、むしろわたくしは事態が変わってきているんではないかと。
っていうのは、放射線がまき散らされているっていう事実が、
これはもう、カウンター1個持っていけばすべてわかっちゃいますから、
松尾:もうそういう事実が、みんながカウンターで測れるようになって。
児玉:
測れるように。
そうすると、これは大変なことだと、
それでもう、「今日忘れて明日原発を再開するような話じゃない」っていうような問題が、
みんなの目の前に明らかになってきている。
そして、被災地の人達が直面している問題が、どれほど深刻で大変な問題であり、
日本の国土のどれほど大きいところが失われ、
100万人を超える人たちが健康被害にさらされているという事が、
今、日々起こっている、っていう事を、報道機関も国民も気づきだしている、っていう事が
今の一番の特徴ではないかと思います。
松尾:じゃ、その、今ようやく事の重大性とか、深刻さが、ようやく浸透してきた、っていうか
児玉:
はい、初めはですね、
これは放射線に関する議論では、低い線量の放射線は健康に問題がないんですよ。
それで高い線量の場合は、もちろん火傷にもなるし、癌もできるし、
だけど低い線量の放射線は問題ないんだという事が、まことしやかに言われて、
松尾:
一回のレントゲンで受ける線量の何分の1ぐらいですから、
ま、すぐに健康に被害が出るという事は考えにくいというような、
そういう報道をしていましたよね。
児玉:
ところが、たとえばチェルノブイリでも、低い線量の筈の被ばくのところで、
4000人も子どもの甲状腺がんが出ている。
そういう事が、皆さん今ではご存じになっているし、
さらに、いろんな膀胱の障害だとか、その他のものが、
このあと数10年に渡って生まれてくるであろうという事が、心配されている訳ですね
特に、癌という問題に関して、
今まで言われた低い線量であればDNAは、
放射線を受けると、DNAって、切れちゃうわけですよね。
これは低い線量でも切れるんです。
だけども、切れたものを修復する力というものが、放射線を受けると誘導されてくるから、
「問題ないんです」って、言われていたんですね。
松尾:切れても、元に戻す復元力があるので、弱い線量だったら問題ありませんよと
児玉:
ところがこれはですね、ま、一番よくやられたのが、アメリカのオークリッジスタディーっていうやつで、
何10万匹っていうネズミに放射線をかけて見ていくという実験があったんです。
だたその時は2万5000のネズミの遺伝子の中の、7つだけを見て修復されているって言ったわけです。
そもそも、放射能はどのようにしてがんを引き起こすのでしょうか?
その仕組みを理解する鍵は遺伝子にあります。
セシウムやヨウ素という、放射性物質が出し続ける放射線、これはDNAを傷つけます。
しかし、DNAは普段、増殖と死滅を繰り返しています。
傷を負ったDNAは増殖する時自らを殺す仕組みがあるため、通常傷の影響は出ません。
これが修復です。
ところが、何らかの理由で修復されず、
傷ついたDNAが生き残って、増殖する事があります。
このようなDNAが癌の原因になるのです。
では、どのくらいの放射線を浴びると癌になるのか、
これについては専門家の間で論争になっています。
第4回 内閣官房 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ

先生(上の写真の人・丹羽太貫):
だから、6ベクレルが原因なんだというのはひとつの原因だけをピックアップしていますよね。
たまたま、だからそれは6ベクレルであるのか他のファクターなのか分からないじゃないですか。
児玉:はい、ですから先生のおっしゃっているような、
丹羽先生:だからそれは結論付けるのは止めていただきたい、
児玉:
むしろ、ですけれど、先生の方の結論の付け方が、関係ないという結論だから、
問題だという事を申し上げています。
丹羽先生:関係ないじゃなくてそれを、それで非常にリスクがあるとおっしゃるのは、やはり、
児玉:ちょっと聞いて下さい
丹羽先生:問題であると
※丹羽太貫(にわ・おおつら)さん
年齢不詳
京都大学/放射線生物研究センター/名誉教授
放射線医学総合研究所重粒子医科学センターセンター長
文部科学省の放射線審議会(会長)
”一般住民の年間被ばく線量の限度は、年1~20ミリシーベルト間に設定することを許容する”
広島長崎の被爆者2の調査によれば、年間100ミリシーベルトを超えると、発がんのリスクが明らかに上昇します。
論争になっているのは100ミリシーベルト以下の被ばくです。
その範囲の被ばくでは影響が出ないという説と、影響は少しずつ出るという説とがあり、意見は分かれています。
遺伝子を研究する児玉さんは、低線量被ばくにはリスクがあり、
少しでもリスクがある以上警戒するべきだとしています。
その根拠として、一部3重らせんになるDNAの存在など、最新の成果を上げます。
児玉:
私は自分の専門はゲノム科学といって、2万5千の遺伝子を全部見るのが専門なんですが、
ゲノム科学でチェルノブイリの子どもたちを見た時に、
2万5千の遺伝子の中で、染色体の7番の1カ所に、これが修復される時に遺伝子が三つになっちゃう。
普通は、お父さんとお母さんからの二つなんですけど、それが三つになっちゃうんです。
そうすると、その他の24900に何もなくても、1カ所に修復エラーがあると、
そこから、病気が生まれてしまうんです。
これが、癌の元になる。
だから、放射線が当たってすぐに癌がでるっていうんじゃなくて、
放射線が当たって、死んじゃうはずの細胞が、生き残った時に、癌が出来てくる。
だから、低い線量でも癌を起こすことがあると、
それがチェルノブイリでは4000人の子どもに起こったと、
それじゃぁ今度日本でどういう事態が起こってしまうかというところが、非常に心配になっていることです。
松尾:
それは、今回の3月の事態で、そういう、放射線で、
その・・遺伝子が、ま・・・損傷してしまった、と・・子どもさんがいたとしてですね、
それは、あの~、それは、その、変だなって分かるのって、いつ頃
児玉:あのですね、すごく問題なのは癌って、最初の1個とか2個の時は診断できないんですよ。
松尾:あ・・そうですよね。
児玉:
それで、癌が起こるには細胞に1個遺伝子の変異が入るだけではなしに、
今我々は多段階発がんというんですけれども、
癌化するには、2個3個の遺伝子がおかしくなると癌化するという、
その2個3個の遺伝子に変異が起こって、どんどん増殖が止まらないもになると、
もう、みるみると大きくなって変異して、そうなって初めて分かるというものですから、
ある意味で言ったら、非常に潜在的に怖いものでだとという事です。
松尾:その期間は、どのくらい・・何カ月、とかで、こう
児玉:普通はですね、それは大人の場合は、30年ぐらいかかると言われています。
松尾:あ、30年
今回の事態で、その、癌が出来るかどうかっていうのは、まだ、今の段階じゃ全然わからない?
児玉:
はい、
小児がんだけは早く起こりますから、
松尾:小児がんの場合はどのくらい
児玉:小児がんの場合は大体10年位でピークになります。
松尾:
10年位、それでも10年ですか。
じゃあ、もう本当に、子どもさんが、たとえば小学生だったら高校生になってたりとか、
児玉:
それでもう一つ非常に難しいのは、
いろんな遺伝子の変異がいろんな処に起こっている場合には、
ま、ヨウ素の場合は甲状腺に集まるから、甲状腺がんってことで、よく分かりましたが、
それ以外の放射線核種の場合は、ある意味でいったら、
どこに起こるか?っていう予測が核種ごとに違いますし、非常に難しいです。
松尾:はぁ…今回はセシウムが多いんですよね、セシウムはどうなんですか?
児玉:
セシウムの場合に今一番心配されていますのが、
セシウムっていうのは、ま、腎臓からいったん排泄されるんですが、
尿細管で再吸収されて、身体をぐるぐる回って、最後はオシッコになって出ていくもので、
尿路系、膀胱とかなんかの増殖性の癌が一番心配されていますが、
果たして今回の事故で、そこが最初に起こるかどうかは誰も分かっていない。
そうするとですね、ただ待っているというよりは、やっぱり、日々の地域医療をきちっとしておく。
だから、今度福島で私がすごく大事だと思っているのは、
地域の医療、特に子どもさんの医療を徹底的によくして、日ごろからいろんな事に相談に乗ってもらえるシステムを作る。
それが一番いい、健康被害の予防の手段ではないかと思っています。
松尾:
とにかく、その・・・・変化の兆しを、地域レベル、
もう・・・一人ひとりの子どもさんのレベルで、ちゃんと、こう・・・抑える事が出来るような、
そういう体制作りというか、
児玉:
はい、それからもっと大事なのは、
予防的に環境中にある放射性物質を隔離していく事だと思います。
松尾;それが、除染ですか?
児玉:
はい、
だから、除染というのをよく間違えているんですが、
「建物にお水をかければ除染」ではない。
松尾:
私も、除染のイメージって、
アスファルトに高圧洗浄機でダーッ!って水をかけてたりとか、
屋根をダーッ!って洗っていたりとか、
あれが除染なんだって思っているんですが、
児玉:そうではなしに、除染っていうのは
松尾:あれは除染ではないんですか?
児玉:はい。
除染は今は福島では、主に4つぐらいの事が大事だと思っています。
一番は放射性物質を取り除くという事ですよね。
松尾:そうですね
児玉:
そうすると、3月15日にすごい濃いプルームが出て、その日前後に雨でした。
空から地上を見下ろしじゃないですか、
そうすると、まず1番目は、建物だったら、屋根です。
それで、屋根に浸みこんじゃった場合には、屋根を交換しない限り無理です。
松尾:あ、そうなんですか
児玉:それから、2番目は家の周りの、
松尾:あの、高圧洗浄機はダメなんですか?
児玉:ダメです。
それから、2番目は家の周りの土ですね。
土は土の中の粘土というものにくっつきますから、表面5センチ位のところですから、これを取り除く。
松尾:表土をはぎ取る。
児玉:はい。
それから3番目はですね、
福島はなんで今から洗ってもダメかというと
チェルノブイリよりも、ずっと雨が多いですから、
もう、水で洗って流れるようなやつは、雨どいだとか、側溝にもう溜まっています。
松尾:溜まっているんだ
児玉:
だから、この、雨どいとか側溝を綺麗にする。
それで4番目に一番難しいのは森。ですよね。
樹木にくっついたセシウムっていうのは、結構落ちにくいですから、
福島の民家でも防火林、あ、防風林ですか、これがいっぱいありますよね。
ここに、かなり高い線量が付いちゃっていますから、
これを除かないと、やっぱり、空間線量が、住宅なんかは下がらないという事があります。
ですから、かなり、本当に放射性物質を除こうとすると、
放射性物質がどこに付着していて、どのようになっているか。
もちろん、屋根でも、洗えば落ちる場合もあるかもしれないし、
雨どいでも交換しなくてもいい場合もあるかもしれません。
それはだけど、非常に高い線量の地域では、非常に難しいというのが、わたくしどもの持っている経験でして、
松尾:
その放射性物質っていうのは、小さい粒子だって聞いて、
ま、風で飛んできたりしますって、
児玉:
粒子なんですけれども、やっぱり、浸みこんでしまった場合には、
我々は、放射線施設の管理というのをいろいろとやっているんですが、
そういうところで、やっぱり、寿命の長い放射性物質が、
いろんな金属の機械でも、床でも、浸みこんでしまって、
機械とかいろんなものに付着してしまった場合には、
やっぱり、削り取らない限り無理だと思います。
松尾:そうなんですか・・・
児玉:すごく濃いんです。
松尾:しつこいんですね、要するに、一回、こうくっついたら、
児玉:
それから、ものすごいコストと労力が、かえってかかってしまいますから、
もう、その材料自体を交換するのが一番早いんです。
松尾:はぁ・・・そうなんだ・・・
いや、でもそうすると、手っ取り早いのは、確かに屋根を変えちゃえば手っ取り早いのはよく分かりますが、
屋根の吹き替えだけでも、莫大な金がかかりませんか?

児玉:
ですから、一応二本松モデルと呼ばれていて、
60坪位の土地に30坪の家が建っている場合に、今言ったような除染のコストっていうのを計算していただくと、
ゼネコンでやっても、ハウスメーカーでやっても、工務店でやっても、
きちんと落とそうとすると、大体それくらいの規模で500万円っていうのが、
わたくしどもが前から申し上げている計算値です。
松尾:大体、一軒当たり500万。
児玉:はい。
それで、今ですね、実は原子力機構っていうところが、モデル除染っていうのをやっていますが、
私の方にも、様々なゼネコンの方からメールやなんかを頂くんですが、
殆どが、「一戸70万円という、今の一軒の予算では、殆ど落とせません。どうしたらいいですか?」って。
松尾:あ、福島県の予算は70万円
児玉:これは国の予算です
松尾:国の予算が最初70万。
児玉:はい。
松尾:やっぱり、70万だとダメですか?
児玉:はい。
もう少し、だから、環境省かなんかが東京の新聞に一面かけて、
広告で、「1ミリシーベルト/年以下にします」と、書いていますが、
松尾:そうそうそうそう、
これ新聞、たまたま2,3日前の全国紙でこれ、大々的に出ていたんで持ってきたんですけど

児玉:これをやるとしたらですね、要するに一戸500万かけなければいけない。

松尾:ハァ~・・・・・
児玉:出来ない。
松尾:
はあ・・・ここに書いてあることを、
「追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下とする事を長期目標として、
優先順位をつけながら、国と自治体で地域の除染を進めていきます」
これを実現するためには一戸500万かかると、
児玉:
はい、それで、
それはモデル除染とかをやっていただけば頂くほど、分かる事だと思っています。
ですから、今回も、最初からこの放射性物質が、広島原爆の20個分とか168個分と聞いた時に、
これはほんとーーーうに大変なことになると、ずーっと、
松尾:は~あ・・・ご自身の今までの経験で
児玉:
はい、それで国会でも、最初からそれを申し上げていた
それで、それをやっていかないと、
結局環境中に放射性物質がいっぱいあると、
食べ物に出てくる、水に出てくる、魚に出てくるっていう、
もう、塵として空気中に舞い上がるとか、
ずーーーーっと繰り返すことになります。
そうすると、
そこの地域の人達が、また「癌にならないか」とおびえて暮らすっていう事を、繰り返すことになってしまう。
だからこれは、大した問題じゃないとは絶対に言えない。
もう、本当に大変な問題です。
ですから、今原発再開がどうこうとかいろんな事を言ってますけれども、
そーーんな事を、言っている場合じゃない。
まず、今起こっちゃったことを、本当にどれ程のコストがかかって、
どうやって日本の国土を取り戻すかっていうことを、
今年は本気で覚悟と決意を持ってやらないといけない。
それは、新聞広告1枚で済むような問題ではないと思っています。
松尾:いや、あの、
こういう新聞広告で、なんか吾いう全面広告で見ると、
「あぁ、なんか、国もやる気じゃん」とかって、やっぱり思ったりしますよね。
児玉:新聞広告を出したという事は私は非常に大きい事だと思っています。
松尾:あ、そうですか
児玉:
というのは、やっぱり国の中にもこれはただ事ではないと思いだしてきている人がかなり増えてきている。
松尾:あ、それは実際いろんな国の関係者の方とかと話して
児玉:
話しています。
要するに、最初に申し上げた、
最初はなんか、こう、言論がぐーーっと押さえられているみたいなものがあった。
だけど、それがですね、現実にお母さん達が、線量計を持って見に行ったら、
一遍で変わってしまう。
お母さんが先生に、先生が教育委員会に、教育委員会が市役所に、市役所が県に行くという、
ワッっと一瞬に変わってしまう。
国民みんなが気付きだした、
「これはそんなに簡単なことではないですよ」っていうことが、
だんだん政府にも影響を与え出している。
だから、今年の課題は
この現実を本当に国民全体が共有出来るかどうかになってきているとおもっています。
松尾:
ああいう全面広告を見て、それで安心しちゃって、
「ああ、じゃぁもう国が本気でやるから」
児玉:そんなに簡単ではないです。
松尾:ですよね。
児玉:
いまはもう、残念ながら、福島からの人口の流出は止まっていません。
それでおそらく、3月で卒業時期をむかえると、またさらに、今のままでは加速するんではないかと思っています。
っていうのは、線量が高い限り、
子どもさん、それから、子どもさんをこれから持とうというお母さんたちは、
それは、測ればすぐに分かっちゃいますから。
しかも、その情報は、もう、いたるところから、目に見えるようになってしまっていますから、
これはやっぱり、国民と正直に向かい合って、
現実から目をそらさずに、政府が責任を持ってやるべき時がきている。
それが出来ないと、本当に傷口からの出血が止まらない恐るべき事態になっている。
傷口がどんどん、どんどん、広がりかねない。
松尾:広がってますよね
児玉:大変なことになってきていると思っています。
松尾:
それを、こう、少なくするためには、
でも、そのぉ、一軒当たり500万の・・・かかる
児玉:もう、大変な覚悟と決意がないと。
松尾:
だって、福島県内・・・・だけで、何万戸あるんだろう・・・・・
もう、気が遠くなるような・・・
児玉:はい。
松尾:・・・金額ですよね
児玉:ですから、そういう意味では、本当にどれが最初に必要かも考えないといけないし、
松尾:ああ、優先順位もね
児玉:
だから、限られた予算でスタートするんだったら、
子どもさんのいるところ、妊婦のいるところ、子どもを持ちたい若い夫婦のいるところ、
それをもう、徹底的にやっていかないと、もう、どんどんみんな居なくなるだけです。
国土が失われていくだけです。
それで、人がいなくなればなるほど、除染というものはできなくなります。
松尾:確かにそうですね・・・ものすごい人手がかかりますもんね、除染は。
児玉:
今20キロ圏の内を毎週見に行っていますが、
週を追うにつれて荒れている家が多くなっています。
人が住んでいない家は、1年経ったら本当に住めなくなってしまいます。
そういう時期にあるのに、政府の政策を見たら、
全く各省庁は理解していない所が沢山あります。
たとえば国土交通省は、
常磐道が今通ってないじゃないですか、
松尾:通ってないですね、ええ。ずっと通行止めです。
児玉:
それで、常磐道に新しい、
たとえば常磐道は原発から6キロ離れているし、
除染すれば通行可能だという事を繰り返し申し上げていますが、
国土交通省は何を道路の予算に最初に持っていったかと言ったら、
1兆3000億かかる、東京外環道をやるって言い出したんです。
松尾;ぉぉぉ・・・
児玉:
常磐自動車道を今、除染して通すのは、私の計算では、400億円。
東大アイソトープセンターの計算ではできると思っています。
、
松尾:そっちが最初ですよね、400億円で済むっていうか
児玉:
常磐が通れなくて、常磐の北の方が、経済的に死にかかっている。
南の方も大変な苦労を持っている。
それをまず復旧させるのが国土交通省じゃないかと思うのに、
国土交通省はいったい福島県民を日本国民と考えていないんですかね!
・・・・・・・・わたくしには全く理解できません。

だから今、日本の国民全体が、さらにすべての省庁の人達が、
この原子力災害から国土を守り復興するのに、どういくか。
広がる傷口をどう食い止めるか。
たとえば常磐圏に道路がなければ、常磐の北の方の経済界は、もう、時間を持たずに窒息します。
仕事がなければ人が残れるわけがない。
だけど、その状態を見て何もしない国土交通省というのは
一体なんなんですか!?
・・・・・・もう一方では、文部大臣が更迭されましたが、
年33ミリシーベルトの校庭に子どもを置いていいという文部大臣というのは、いったいなんなんですか!!
まず政府は、国民にこういう事態を起こした事をお詫びするところからスタートしなくちゃいけない。
そして、鼎の軽重というけれども原発再開なんていう、不抜けた事を言う前に、
まず今の事故に対してどうするかっていう事を鼎の軽重の一番重たいことに正面から向き合わない限り、
福島を日本を日本と思っていないという政府になった途端に、
「信無くば立たず」。
何をやっても全て上手くいかないです。
TPPも消費税も何もかもすべてダメです。
国民を切り捨てて平気な政府が、
何か大きい事を託すに足るかと言ったら、絶対にダメです。
今、でも、国民の方からそれに気づいています。
僕らのところにメールを頂くほとんどの人も、
「何かしたい。私がどうやったら役に立つのか教えてほしい」という声が日本中から出ています。
だから、今年の日本というのは、すごく大きい分かれ道に来ている。
福島と一緒に日本を再興するか、
かつて沖縄やいろんな処でやってきた失敗みたいに、国民を切り捨てて失敗を繰り返すのか、
このどちらを選ぶかという、すごく大事なところに来ていると思っています。
※鼎の軽重(かなえのけいちょう)を問う
(意味)帝位を狙うこと。権威を疑うこと。
児玉さんは週に一度、福島県に通っています。
早朝に東京を経ち、片道5時間を走る強行軍。

日に日に変わっていく被災地の中に、身を置こうとし続けています。
松尾:
いやもう、今お話しを伺っていて、先生が国会で満身を怒りを込めて表明しますという、
あの「満身の怒り」という、
あの時のお姿と、今のインタビューのお話しのお姿が2重写しみたいになったんですが、
その、怒りであるとか、その思いっていうのは、
先生、どういうところから出てくるものなのですか?
児玉:
あの、やっぱり責任があるということです。
というのは、原発というのは日本の官庁が先頭に立って進めてきた事なんですよ。
それで、東京大学。
私の属する東京大学も、その先頭に立って、「安全だ」と言ってきた大学な訳です。
だから、我々自身がお詫びをしなくてはならない。
・・・・・・・・ようするに、
本来、科学技術というのは、国民を幸せにして、豊かにしていくためにあるものですよね。
それが、この日本の中に大きな問題を生み出してしまっている。
そのときに、やっぱり、経団連なり、東京大学なり、日本の経済が、科学に最も責任を持っている人たちが、
どれほど真摯にこの問題に正面から向き合うのか。
その問題が起ころうとした時に、
今まで責任がある人たちが「たいした問題じゃないんだ」と言い出した。
その事に対して、私はものすごく怒りがあると申し上げたけれども、
国民は全く違う反応を示した。
・・・・・・・・今、国民が思っているのは、
「私達に何が出来るか」

やりたい、考えたい、これが・・・大事じゃないかと。
これが、信用できるんじゃないかと、思いだしています。
だから、いかに、国民のこの何かしたい、何とか変えていきたいという、
希望だとか、知恵だとか、勇気を、どうやって福島の再生に向けられるか。
そこに、政府も大学も経済界も、是非力を尽くしてほしいと思っています。
きっとそれが、大きな、やっぱり希望になると思っています。
ま、あんまり、何て言うのかな、大変だっていう事だけじゃなしに、
やっぱり、新しい年だから是非、前向いて
松尾:そうですよね。
児玉:やっぱり信じていくという
松尾:希望ですよね
児玉:大事だと、思います。
松尾:本当にありがとうございました。
インタビューの2週間後、国は常磐自動車道を、除染のモデル事業の対象にすると発表しました。
多くの住民が待ちわびていた国費による除染事業は、ようやく始まります。
しかし、始まる前から、取り除いた土などの保管場所が問題になり、
殆どの地域で事業は難航しています。
児玉さんの言う「希望」を明日へとつなげる道。
その道を閉ざさないようにする事、それが私たちの責任です。
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コメント
いつも書き出しお疲れ様です。これ録画して見ました。児玉先生に不信感は持っていませんが、お話を聞けば聞くほど徐染(ていうか移染)ではなく避難しかないと思えるのに、なぜ国土を失うこと、人口が流出することをそれほどまでに嫌がって、国が責任を持って徐染をすべきという方向に話が向かうのかわかりません。この方はそもそも医者であり医学系の研究者なのですよね。でしたら被曝による人体への影響、健康被害をどんどん明らかにして頂きたいのに、徐染の専門家のように見られていますね。
あとわざとかもしれませんが、10ヶ月も経ってその程度の認識かと、インタビューアーのNHKアナウンサーの馬鹿っぽさに最初からかなりイラついてしまいました。
あとわざとかもしれませんが、10ヶ月も経ってその程度の認識かと、インタビューアーのNHKアナウンサーの馬鹿っぽさに最初からかなりイラついてしまいました。
たり | 2012.03.10 20:33 | 編集
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| 2012.03.10 21:47 | 編集
児玉氏はいつも数百億の金の話ですね。
tao | 2012.03.11 10:11 | 編集
30~50km以内の地区の除染は税金の無駄遣い。除染ではなく住民の待避を。その後は立ち入り禁止にして放射線汚染瓦礫の集積場所にするしかない。
| 2012.03.11 13:29 | 編集
児玉先生は立派だし、
児玉先生のモラルを疑うなんて
考えることすらできないけど。。。。。
児玉先生は、
チェルノブイリの教訓を研究されたのだろうか?
できれば
たねまきジャーナルかどこかで
神戸大学の山内先生と
除染について
討論してもらいたいと思う。
そうすれば
福島の人たちも
もっとハッキリと意思決定できると思うんだけど。。。
児玉先生のモラルを疑うなんて
考えることすらできないけど。。。。。
児玉先生は、
チェルノブイリの教訓を研究されたのだろうか?
できれば
たねまきジャーナルかどこかで
神戸大学の山内先生と
除染について
討論してもらいたいと思う。
そうすれば
福島の人たちも
もっとハッキリと意思決定できると思うんだけど。。。
himadarake | 2012.03.12 02:40 | 編集