リスナーの質問
・宮城と岩手の瓦礫も放射性物質の影響があるのか?
・がれき処理用の日本にはフィルターを作る能力、汚染されたフィルターを管理する技術能力はありますか?
・瓦礫の焼却灰について。
・中間貯蔵施設が出来たら、その近くの家に帰れますか?
・全ての放射能が外に漏れない特殊なフィルターの技術がもうあるの?
2012年3月15日木曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
千葉:
小出さん、今日はまず最初にご報告なんですけれども、
小出さんのこの番組でのお話しが、信頼できる情報を市民に伝えた点で特質されると言う事で、
たねまきジャーナルはサカタ記念記念特別賞という賞を受賞することが決まりました。
本当にどうもありがとうございます。
小出:とんでもない、皆さんの功績です。
千葉:
いえいえ、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
それではリスナーからの質問が沢山届いていますので、順番に伺ってまいります。
岡山市の方。
「震災瓦礫についてですが、宮城・岩手両県の瓦礫も、福島分と同様に放射能の影響が甚大なんでしょうか?」
ということですが、
今福島県内のものは瓦礫は外に出さないという事になっていまして、
圏外での処分が考えられているのは宮城と岩手の瓦礫についてなんですけれども、
この、二つの県の瓦礫は福島県と同じく放射性物質の影響を受けているのか?という質問です。
小出:
はい、同じくと言えば同じくではありません。
濃密に汚染を受けているのは、福島県内の物がほとんどです。
ただし、では宮城と岩手の物が汚染を受けていないかと言えばそんな事はありません。
やはり汚染は受けていますし、そういう意味でいえば、
もう、関西だって、福島第一原子力発電所からの汚染を受けていますし、
全地球が汚染を受けていますので、全てがもう汚されてしまっているという事なのです。
ですから、ものすごく汚染のひどいところから、
順番に汚染の弱いものまでが広がってしまっているという、そういう状態です。
千葉:
とすると、多かれ少なかれ、まだ放射能の影響はどこにでも残っていると、いうことなんですね。
小出:そうです
千葉:
そういう状況だということですね。
それから瓦礫についてもう一つ、質問がありまして、
高槻市にお住まいの方、
「小出さんは瓦礫処理問題について、福島の子どもを守る立場から、
条件付きで緊急避難的に全国の焼却施設を活用する事もやむを得ないとおっしゃっておられますが、
その条件ですが、現在の炉を改善し、特別なフィルターなども取り付けることが必要だとも言っておられます。
この特別なシステム、たとえばフィルターは日本の技術で作る能力があるのでしょうか?
また、汚染されたフィルターを管理する技術能力が日本にはあるんでしょうか?」
という質問なんですが。
小出:
端的に言えば、あります。
すでに現在、焼却施設にバグフィルターというフィルターが付いていますが、
そのバグフィルターも、きちっと管理をされているのであれば、
私は放射能も捕捉できると思っています。
何よりも大切なことは、きちっと管理されているかどうかという事にあるのですから、
放射能を捕捉できるかどうかを、現場でテストしなければいけないのです。
なにかその、フィルターをどこかの試験場でテストをしたら、どれだけの性能があったということは、
意味の無い事を言っているのであって、
現場で本当に取れるかという事を個別に測るという事が必要です。
で、測る事は簡単ですので、やってみればいいのです。
もし、バグフィルターがダメだというのであれば、セラミックフィルターであるとか、高性能フィルターであるとか、
少なくても私がいる京都大学原子炉実験所で放射能を扱っている訳です、
で、そういうところから、放射性物質が外に出ないようにフィルターを付けている訳で、
そういうものは、もう、日本全国あちこちにあるわけですし、実際にその技術もあるのです。
ですから、放射能を捕捉できるように焼却施設を改造してやれば、
周辺のみなさんの不安を取り除く事は、私はできると思っています。
千葉:
もうひとつ、小出さん、
この焼却した灰についてなんですけれども、
これも管理はきちんとされなければいけないんですよね。
小出:
そうです、
焼却灰の中には放射性物質が濃縮されてきますので、
それを産業廃棄物と混ぜたり、あるいは一般廃棄物と混ぜるという事は、
基本的に私は間違えていると思います。
もともと、汚染と言っている放射性物質は、東京電力の所有物なのですから、
東京電力に返すのが一番の筋だと私は思いますし、
これまでも焼却施設の焼却灰はコンクリートの母材に使われてきていましたので、
これから福島第一原子力発電所で、膨大に必要になるコンクリート、
事故の収束のためにですね、必要になるコンクリートに使えばいいという、
そういうものだと私は思います。
千葉:
東京都にお住まいの方からの質問です。
「私の家は福島第二原子力発電所の目の前にあります」
今はきっと、東京に避難されている事なのだろうと思いますが、
「政府は双葉郡を3つの区域に分け、中間貯蔵施設を分散して作る計画で、
福島第二原子力発電所の近くに作る案があると報道されました。
もし、中間貯蔵施設が家の目の前に出来て、そこに帰れと言われれば、帰るしかないんでしょうか?
貯蔵施設の隣での生活というのは果たして営めるんでしょうか?
年老いた両親は帰ると言うんですけれども、どうなんでしょうか」
という質問です。
小出:
中間貯蔵施設を作られてしまえば、帰れないと思います。
要するに、中間貯蔵施設というのは、言葉が、そんな言葉になっていますけれども、
基本的には最終的な核のゴミ捨て場になると思っていただいた方がいいと思います。
で、それをどこに作るかという事が問題なのですが、
私は、もともと放射能自身は先程の焼却灰と同じように、
東京電力の所有物なのですから、東京電力に返すのが良いと発言してきましたし、
もともとは福島の第一原子力発電所に返すべきだと思います。
ただし、福島第一原子力発電所は、現在戦争状態になっていますので、多分出来ないと思います。
次の候補は、私は東京電力の本社ビルだと言っているのですが(笑)
会長室をはじめとして、社長室、重役室、次々と核のゴミで埋め尽くしていくというのが、
したい。というのが私の希望です。
でも、それもなかなか難しいかもしれませんが、
そうであるなら、、福島第二原子力発電所の敷地をそれに使うべきだと思っています。
双葉郡の住民の土地に、核のゴミを捨てる前に、
まずはそうした事を全てやって、なおかつダメであるというなら、
双葉郡のみなさんの土地を「ゴミ捨て場にさせて下さい」とお願いする。
そういう順番だろうと思います。
そしてもし、ゴミ捨て場にされてしまうのであれば、その場所には到底人は住めません。
千葉:藤田さんいかがですか?
藤田:
その、焼却の問題でですね、一つお伺いしたいのですが、
先ほど、特殊なフィルターでですね、処理が出来る技術があるとおっしゃいましたが、
物を焼却しますと、大量の煙が出ますでしょ?
その煙の中に放射性物質が含まれている物もですね、全て安全に、外に漏れないように、
そういう技術がもうあるという事なんでしょうか?
小出:そうです。
藤田:ははぁ・・
小出:
ただし、「全て」と今藤田さんはおっしゃいましたけれども、
100のものを100と言われれば、私は「出来ない」というお答えをするしかありません。
100のうち99を捕まえる。99.9を捕まえる。
あるいは、99.99を捕まえるという事は出来ます。
ですから、どこまでが容認できるかという事で、皆さんが判断をしていかなくてはいけない訳ですし、
私自身は、とにかく子供の全体の被ばくを、どうやれば少なくできるかという事が私の関心事項ですので、
各地にばらまいたとしても99%、、99.9%を、捕捉できるようにするのであれば、やるべきだと思っています。
・宮城と岩手の瓦礫も放射性物質の影響があるのか?
・がれき処理用の日本にはフィルターを作る能力、汚染されたフィルターを管理する技術能力はありますか?
・瓦礫の焼却灰について。
・中間貯蔵施設が出来たら、その近くの家に帰れますか?
・全ての放射能が外に漏れない特殊なフィルターの技術がもうあるの?
2012年3月15日木曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
千葉:
小出さん、今日はまず最初にご報告なんですけれども、
小出さんのこの番組でのお話しが、信頼できる情報を市民に伝えた点で特質されると言う事で、
たねまきジャーナルはサカタ記念記念特別賞という賞を受賞することが決まりました。
本当にどうもありがとうございます。
小出:とんでもない、皆さんの功績です。
千葉:
いえいえ、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
それではリスナーからの質問が沢山届いていますので、順番に伺ってまいります。
岡山市の方。
「震災瓦礫についてですが、宮城・岩手両県の瓦礫も、福島分と同様に放射能の影響が甚大なんでしょうか?」
ということですが、
今福島県内のものは瓦礫は外に出さないという事になっていまして、
圏外での処分が考えられているのは宮城と岩手の瓦礫についてなんですけれども、
この、二つの県の瓦礫は福島県と同じく放射性物質の影響を受けているのか?という質問です。
小出:
はい、同じくと言えば同じくではありません。
濃密に汚染を受けているのは、福島県内の物がほとんどです。
ただし、では宮城と岩手の物が汚染を受けていないかと言えばそんな事はありません。
やはり汚染は受けていますし、そういう意味でいえば、
もう、関西だって、福島第一原子力発電所からの汚染を受けていますし、
全地球が汚染を受けていますので、全てがもう汚されてしまっているという事なのです。
ですから、ものすごく汚染のひどいところから、
順番に汚染の弱いものまでが広がってしまっているという、そういう状態です。
千葉:
とすると、多かれ少なかれ、まだ放射能の影響はどこにでも残っていると、いうことなんですね。
小出:そうです
千葉:
そういう状況だということですね。
それから瓦礫についてもう一つ、質問がありまして、
高槻市にお住まいの方、
「小出さんは瓦礫処理問題について、福島の子どもを守る立場から、
条件付きで緊急避難的に全国の焼却施設を活用する事もやむを得ないとおっしゃっておられますが、
その条件ですが、現在の炉を改善し、特別なフィルターなども取り付けることが必要だとも言っておられます。
この特別なシステム、たとえばフィルターは日本の技術で作る能力があるのでしょうか?
また、汚染されたフィルターを管理する技術能力が日本にはあるんでしょうか?」
という質問なんですが。
小出:
端的に言えば、あります。
すでに現在、焼却施設にバグフィルターというフィルターが付いていますが、
そのバグフィルターも、きちっと管理をされているのであれば、
私は放射能も捕捉できると思っています。
何よりも大切なことは、きちっと管理されているかどうかという事にあるのですから、
放射能を捕捉できるかどうかを、現場でテストしなければいけないのです。
なにかその、フィルターをどこかの試験場でテストをしたら、どれだけの性能があったということは、
意味の無い事を言っているのであって、
現場で本当に取れるかという事を個別に測るという事が必要です。
で、測る事は簡単ですので、やってみればいいのです。
もし、バグフィルターがダメだというのであれば、セラミックフィルターであるとか、高性能フィルターであるとか、
少なくても私がいる京都大学原子炉実験所で放射能を扱っている訳です、
で、そういうところから、放射性物質が外に出ないようにフィルターを付けている訳で、
そういうものは、もう、日本全国あちこちにあるわけですし、実際にその技術もあるのです。
ですから、放射能を捕捉できるように焼却施設を改造してやれば、
周辺のみなさんの不安を取り除く事は、私はできると思っています。
千葉:
もうひとつ、小出さん、
この焼却した灰についてなんですけれども、
これも管理はきちんとされなければいけないんですよね。
小出:
そうです、
焼却灰の中には放射性物質が濃縮されてきますので、
それを産業廃棄物と混ぜたり、あるいは一般廃棄物と混ぜるという事は、
基本的に私は間違えていると思います。
もともと、汚染と言っている放射性物質は、東京電力の所有物なのですから、
東京電力に返すのが一番の筋だと私は思いますし、
これまでも焼却施設の焼却灰はコンクリートの母材に使われてきていましたので、
これから福島第一原子力発電所で、膨大に必要になるコンクリート、
事故の収束のためにですね、必要になるコンクリートに使えばいいという、
そういうものだと私は思います。
千葉:
東京都にお住まいの方からの質問です。
「私の家は福島第二原子力発電所の目の前にあります」
今はきっと、東京に避難されている事なのだろうと思いますが、
「政府は双葉郡を3つの区域に分け、中間貯蔵施設を分散して作る計画で、
福島第二原子力発電所の近くに作る案があると報道されました。
もし、中間貯蔵施設が家の目の前に出来て、そこに帰れと言われれば、帰るしかないんでしょうか?
貯蔵施設の隣での生活というのは果たして営めるんでしょうか?
年老いた両親は帰ると言うんですけれども、どうなんでしょうか」
という質問です。
小出:
中間貯蔵施設を作られてしまえば、帰れないと思います。
要するに、中間貯蔵施設というのは、言葉が、そんな言葉になっていますけれども、
基本的には最終的な核のゴミ捨て場になると思っていただいた方がいいと思います。
で、それをどこに作るかという事が問題なのですが、
私は、もともと放射能自身は先程の焼却灰と同じように、
東京電力の所有物なのですから、東京電力に返すのが良いと発言してきましたし、
もともとは福島の第一原子力発電所に返すべきだと思います。
ただし、福島第一原子力発電所は、現在戦争状態になっていますので、多分出来ないと思います。
次の候補は、私は東京電力の本社ビルだと言っているのですが(笑)
会長室をはじめとして、社長室、重役室、次々と核のゴミで埋め尽くしていくというのが、
したい。というのが私の希望です。
でも、それもなかなか難しいかもしれませんが、
そうであるなら、、福島第二原子力発電所の敷地をそれに使うべきだと思っています。
双葉郡の住民の土地に、核のゴミを捨てる前に、
まずはそうした事を全てやって、なおかつダメであるというなら、
双葉郡のみなさんの土地を「ゴミ捨て場にさせて下さい」とお願いする。
そういう順番だろうと思います。
そしてもし、ゴミ捨て場にされてしまうのであれば、その場所には到底人は住めません。
千葉:藤田さんいかがですか?
藤田:
その、焼却の問題でですね、一つお伺いしたいのですが、
先ほど、特殊なフィルターでですね、処理が出来る技術があるとおっしゃいましたが、
物を焼却しますと、大量の煙が出ますでしょ?
その煙の中に放射性物質が含まれている物もですね、全て安全に、外に漏れないように、
そういう技術がもうあるという事なんでしょうか?
小出:そうです。
藤田:ははぁ・・
小出:
ただし、「全て」と今藤田さんはおっしゃいましたけれども、
100のものを100と言われれば、私は「出来ない」というお答えをするしかありません。
100のうち99を捕まえる。99.9を捕まえる。
あるいは、99.99を捕まえるという事は出来ます。
ですから、どこまでが容認できるかという事で、皆さんが判断をしていかなくてはいけない訳ですし、
私自身は、とにかく子供の全体の被ばくを、どうやれば少なくできるかという事が私の関心事項ですので、
各地にばらまいたとしても99%、、99.9%を、捕捉できるようにするのであれば、やるべきだと思っています。
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