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03.29
Thu
「福島の農業この1年、現場でいま、何が起こっているのか?」

・福島第一原子力発電所2号機の推移60センチについて
・福島県農民連事務局長の根本敬さんと小出先生


2012年3月28日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]







<参考>
「2号機の水位が60センチだった」ニュース
300センチあると思っていたのに60センチだった2号機格納容器の水位・・・想定の5分の1・・・

2号機格納容器内部7万2900ミリシーベルト(東電公開動画あり)



水野:
福島第一原発の2号機について、リスナーの方々からも質問を頂いております。
格納容器の水位が、東電はこれまで3mほどあるだろうと言っていたのが、
僅か60㎝しかないという状況が分かってきました。
これはですね、つまりどんなリスクが今あるという事を意味しているんでしょうか?

小出:
60センチしかないという事は、私は初めからそうだろうと思っていました。
何故かと言えば2号機は3月15日だったと思いますが、
格納容器のサプレッションチェンバーと私達が呼ぶ場所で、大きな破損が起きたという、
ことが、・・起きたと思われています。

水野:あの、下の方なんですよね。

小出:
そうです。
そこで大きな破損が起きていますので、
いくら水を入れたとしても溜まる筈はないと私は思っていましたので、
60センチと言われてしまえば、ま、そうだろうし、
もっと、ひょっとしたら、少ないかもしれないというぐらいに思ってきました。

で、その事は何を意味しているかというと、
要するに、それだけ大きな破壊があったという事をまた裏付けた訳ですから、
放射能を閉じ込める最後の防壁であった格納容器が、
もうやはり壊れてしまっていたのだという事を改めて知ったわけですし、
水がもうたまらないという事で、溶け落ちた炉心本当に冷やせているのかな?という、
その心配が、また出てきていると思います。

水野:それでも冷却出来ているっていう見解ですよね、東電は。

小出:
はい、ただ、その水の温度が50度だと言ってもですね、
コンクリートを溶かして、どんどん下に沈んで行っている炉心が、そういう状態であるとすれば、
水がもう、炉心を冷やせるという事は無いわけですし、
水の温度が50度であっても、何の不思議もないのです。

水野:うん、だってそこにはもう燃料がほとんどないのだからっていうことですね。

小出:ま、「水が接触できるような状態ではない」という事ですね。

水野:あ、なるほど。

小出:はい


続きを読むにつづく



2:34
水野:
それではここから今日の特集という事で、次に進ませていただきたいと思います。
今日のテーマはですね、
「福島の農業この1年、現場でいま、何が起こっているのか?」と題して、
もうおひと方議論に参加していただきます。
福島県農民連事務局長の根本敬さんです
根本さ~ん、改めて小出さんとお話しいただきます。

小出:根本さんこんばんわ、よろしくおねがいします

水野:
さきほど、去年、根本さんの農地でヒマワリを植えられてんですが、
全く除染の効果がなかったというお話をご紹介しました。
小出さん、一言感想はいかがですか?

小出:
ヒマワリがダメだという事は前から分かっていました。
何故根本さんがヒマワリを植えられたのか、それが私から見れば、「どうしてかな?」と思います。

根本:
ええ、そうなんですよね。
あの、でも、「何も無いよりはいいだろう」っていう思いがありましたね。
毎日親から、周りが田んぼ植えていて、うちだけ何で植えないんだということは・・・
あの、毎日が内部被ばくでしたからww

小出:そうですね

水野:
あー、つまり、あの、お父様のお立場になると、
「なんでうちは作付しないんだ」って、「よその土地は作付しているのに」って・・・
だいぶお父さんとやり合いはりましたか?

根本:
やりましたねー、まぁねえ、
ええ、それがうちの家族でしたけれどねww

水野:
そしてまあ、本当に一縷の望みを託して、無理だとわかっていてもヒマワリを植えるという、
切ない思いでらしたんだと思うんですけども、

根本:
あの、今小出先生がおっしゃるように、植えてですね、何カ月ですかね、
あ、そうですよ、5日10日ですよ、いろんなチェルノブイリとかベラルーシのデータが・・
「吸わないよ」っていうデータがあったww、でも、植えてしまいましたからねww

水野:
あー、やっぱりそれだけ、その除染の難しさを感じてらっしゃると思うんですけれども、
根本さん、国がですね、今度新しい除染の仕方というのを進めようと、福島でしているんだそうで、
これについて小出さんに聞いていただけますか?

根本:はい、
私はここで小出先生の話しは妥当だと思っていて、
やっぱり、あの、付き合っていくしかないっていうのが、あの~、現地で、

水野:放射能と付き合うしかない

根本:
だから、ええ、農地って言うのは確かに厳しい、高濃度のところがありますけれども、
私どものような、大体2000ベクレルレベルのところっていうのは、
これはやっぱり、・・・それほどあの~、作物への移行はそんなにない地域なんですね、
粘土質ですし、腐食も相当ありますからね。
あの、ま、ええ、あのー、
この前水野さんがおいでの時にわたしも言いましたけど、
福島には明日とか明後日は無いから、
30年50年スパンで、セシウム年代で生きようというふうに、ま、考えています。

水野:
30年50年、
そこのところがね、小出さん、農地がよみがえるという時間的スパンって・・・どう考えたらいいんですか?

小出:
大変私は言いにくいですけれども、
今現在二本松という町は、放射線の管理区域にしなければいけない程の汚染を受けているのです。
ですからわたしは根本さんにも、そんなところに住んでいては欲しくないのです、ほんとうは。
でも、そこでずーっと生きてきた人たちがいて、
土地を大切にして、作物を作ってきたという歴史がやはりあるのですね。
でも、・・・残念ながら、その・・綺麗にできないの、です。
ですから、今汚染をしている正体はセシウム134と137という放射性物質で、
134は2年経てば半分に減ってくれますので、
まだ根本さんがお元気の間に、半分、あるいはもう少しまでは減ってくれると思いますけれども、
137の方は30年経たないと半分まで減ってくれません。
それをたとえばヒマワリで吸い取ろうという試みもほとんど意味がない事なので、
セシウムが自分で減ってくれるのを待っているしかないのですね。
そういう長さを考えると、
根本さんが本当に年を取られて、お亡くなりになる頃になっても、まだ半分にしか減らないという、
そういう相手が、地面にあるのですね。
……本当にこれは、私たちから見ると、戦いにくい相手な訳ですし、
いわゆる根本さん達から見れば故郷と呼ぶような土地がですね、
生きている限りにわたって、その毒物で汚染され続ける以外にないという、そういう状態なのです。
・・・それをどうやって、むきあって、そこから食べ物が、
根本さんがそこで農業をされるなら食べ物が出てくるわけで、

根本:
それでね、小出さんがおっしゃる事でわたしに違和感があったのは、
あの~、そういったtころで子供たちには安全なものをと、
だけど、一転、大人の方達はそれを引き受けなければいけない。
という議論が、小出先生ありましたよね。

小出:すみません、私はずっとそう言ってきます。

水野:
そうですね、これは放射能汚染された作物を、じゃあどうするんだという時に、
小出さんがおっしゃるのは、子どもたちにはそれは食べさせてはいけない、安全なものを
だから、大人が引き受けようというお考えですよね。

小出:そうです

水野:はい、根本さん、はいそれで

-2-

根本:
わたしはね、それはちょっと違和感があって、やっぱり安全なものを食べるべきだと思うんですよ。

水野:大人もね。

根本:
確かにわたしたち農作物を作っていますけれども、
わたしは農地って言うのはみなさん方にね、食べ物として供給する事だけじゃないと思っている訳ですよ。

水野:ただ食べるだけじゃなしにですね。

根本:
そうなんですよ。
だから私達が作るっていうのがどういう意味かって言うと、それを次の世代に残したいんですよ。
どういう、低線量で、
ま、あの~、小出さんがおっしゃるように放射線管理区域ですよ。
そういう中でも作物を作った場合にどんな形になるかって言う事を、
ま、わたしはカナリアでいいと思っている訳ですよ。
でも、それをやらなければ次の世代に、こういう状態になった時に伝えられないと、そういう思いでいます。
だから、食べ物として私たちは農業をやっているわけじゃないわけです。
だから今度の100ベクレルから500ベクレルの地帯でね、
私は去年作りませんでしたが、今年は作ります。

水野:今年は作るという決断をなさったんですよね。

根本:
ええ、これは、うちの父とのずっと議論した中なんですけれどもね、
やっぱりね、うちの父は80ですよ。
で、この父達に、極めて、本当に倫理的ですね。
父の思いです。
この親たちに、こんな思いをして、あと墓場に行って欲しくないと思う訳ですよ。
やっぱりちゃんと作って、「俺作るぞ」と言って、作ろうと。
食べ物として、不可でも良いよと、
とにかく別な形で作るから、一緒にやっぱりここの地で生きていくっていうことの、
生きてきたぞという、そういう思いをね、
あのー、そういうところで生きているという事をわたしたちはね、
確かに関西はなかなか違和感があって、伝わりにくい事もあるんじゃないかと思いますけれども、
そうやって、我々は生きざるを得ないという、その現実をやっぱり知ってほしいという思いがあるわけですよ。

水野:
そうですね、
でも根本さんが作ったものを、単に食べ物として捉えられたくないっておっしゃるのは、
ま、食べる人の命を支えているっていう誇りだと思うんですよね、農業をされている方の。
かと言って私たちは根本さん達が作らないと、農家を支えられないから、
小出先生はそのあたりじゃないんですか?

小出:
はい、わたしは根本さんが作って下さるなら、喜んでいただこうとおもいます。
福島、根本さんが作って下さる二本松も含めて、
土地が汚れている限りは作物にその汚れが移ってくるという事は仕方がない事であって、
根本さんの責任でも何でもない。
農民の責任ではないのですけれども、物理化学的に言えば仕方がないことなのです。
ただ、根本さん達が、ずーっと守ってきた土地をですね、
これからも守り続けて引き継いでいこうとされる気持ちはもちろんわかりますし、
そうやって作って下さるものは、やはり大人が引き受けるしかないと私は思います。

根本:
だから、
「食べるべきではない」と「作るべきではない」は、切り分けてほしいんですよ。
小出先生ね、
だから、小出先生も、私は今のお気持ちは大変ありがたいと思っていますけども、
やっぱり、小出先生は、是非ね、
「どんな年齢だろうが大人が引き受ける」んじゃなくて、私たちは汚染されているとそれがずっとね、
置き去りにされる思いがされるんですよ。
「食べるべきだ」とか「作ったものを我々が食べるからいいだろう」って言う話しになりかねないから、
だから、
汚染された地域なんだから、それはもう絶対に食べるべきではないんだと、
ただ、農という営みはそこで続ける人達は居るから、
これをどう支えるかということのメッセージがわたしたちは欲しいと思っているんですよ。

水野:
はぁ~・・つまり、すみません、
「食べて支える」って私なんかは思っているんですよ。
消費者がわからしたらね。
そうじゃなくて食べないで支えるって、どんなやり方があるとおもわれますか?

根本:
内山節(うちやまたかし)先生が言っているけれども、物流でね、
「ただお金を出したらものが来るよねっていう社会じゃない形もあっていいよね」っていう発言もありましたけれども、
だからそれには減田だとかいろんな立場がありますけれども、
ま、お金にしなくてもいいですよ。
ずっとそうやって農業をしている人がいるよという事をね、忘れないでいてくれる事だけでもわたしはいいです。
そういう放射線管理区域で・・ww

水野:
ん・・・ものすごい覚悟をなさっての言葉だとおもいますが、
小出さん、たとえば今おっしゃったみたいにね、
私達は食べるという事ではなくて、農地をわたしたちが支える方法って、何かないんでしょうかね。

小出:
私は今根本さんがおっしゃったように、
根本さんが、こんな汚染地でも農業、土地を支えるんだって言う事は、ありがたいと思うけれども、
でも、そういう根本さんの様な方ばかりなんでしょうか?農民というのは。
やはり、もちろん土地に愛着はあるでしょうし、そこで自分が作った食べ物というのは、
どこかでちゃんと生き物を支えるために使われるという自負があるからこそ、
農業というものが出来るんではないかとわたしは思ってきました。
こんなことを根本さんの前でわたしが言う事ではないと思いますけれども。

根本:
わたしは、農の役割というのは別の役割を思っています。
それはこれから、2050年で7000万人ですよね、日本の人口って。
わたしたちは10年先、20年先を見ちゃった感じがするわけですよ、
これからやっぱり、パイがしぼむわけです。食べ物に関しても。
そうすると日本の農業の在り方の姿自身も、
単に農業って言うのは、本当に誤解があるかもしれないんですけれども、
食べ物を供給するだけじゃない訳ですよ、
いろんなエネルギーもあって、自然エネルギーの宝庫でもありますしね、
そうすると、そう言ったところにどういう可能性があるかという事をわたしたちは試したいわけですよ。
で、ここを離れてしまったら、
「あなた達放射線管理区域ですから逃げて欲しい」と「行って欲しいと」
でも、日本の国土の圧倒的多数というのは、そういう、今の場合にはそういう地域なんですよ。
わたしは新しい、そういう農業の価値をね、
新しい、我々が間もなく到来するであろう高齢化のね、
日本が、世界中もそうですけれども、食糧とかエネルギーとかっていうところを
どうやって、自分たちで賄っていくのかというところにきて、突き付けられていると思うんですよ。
そこをわたしたちは、皆さんの、本当に力を得て、そして農村で生きていく、
新しい農業の形を作っていくっていう事をね、福島だからこそ「やりたい」という思いでここにきているという事を、
分かってほしいなと思っているんですけどね。

水野:
はい、
根本さんは、また、この後もですね、すこしお話しを聞かせていただく時間を取ろうと思っております。
小出さ~ん、小出さんとは今日はここでお別れいたしますが、
あの、今日はどんな感想をお持ちになられましたか?

小出:
わたしは根本さんのように農業で生きてきた人間ではなくて、
原子力というような場所に夢をかけて生きてきた人間なんですね。
その原子力というものが、根本さんが生きてきた農業、あるいは農というんでしょうか、
というところに、言葉に尽くせない程の、今、重荷を負わせてしまっているわけです。
わたしは大変申し訳ないと思いますし、もちろん農とか農業が何とか再生して欲しいし、
崩壊などさせてはいけないと思いますけれども、
残念ながら私には本当に力が足りなくてですね、今現在もどうしていいかわからない。
発言はしていますけれども、
正直言うと、もう、まよって迷って迷いぬいている毎日ですので、
ん・・・・大変、私自身も苦しいし、
でも、こうなってしまった以上は仕方がありませんので、
何とか、農業を、根本さん達に対しても、
ここで踏みとどまって、・・欲しいと、願います。



ーーー

根本さんがおっしゃっていた先生は多分この方の事だと思います。

内山 節(うちやまたかし)
哲学者、立教大学大学院教授。
東京都生まれ。NPO法人「森づくりフォーラム」代表理事。
東京と群馬県の山村上野村とのあいだを往復しながら、
存在論、労働存在論、自然哲学、時間存在論を軸とした哲学の研究を すすめる。
著書に「自然と労働」(農文協)、「『里』という思想」(新潮社)など。


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コメント
今後の日本の人口減少を頭に置いた農の役割、機能という視点だけで言えば分かる。しかし賛成できない。
①自然エネルギーの宝庫ではあっても自然が多いということは、除染も出来ないということ。そういう中でこれまで売るための生産物を作ってきただけの者が(非難しているわけじゃないです。当然のこと)、どれほどのことが出来るというのか。具体性がなく単なる夢。
②汚染地域に残りたいという者がいるから、巨額の税金が除染や補償に費やされる事実に目をつむっている。復興予算も補償も要らない、放射性物質の測定も不要ですから独立独歩でストイックに「可能性を試したい」、ということならどうぞ。
私は避難してもらいその巨額の金を生活保護制度やワーク・シェアリングの充実に充てた方が有意義だと思う。
また、自然エネルギーの可能性を試すのに汚染地域でなければならない理由は全くない。
③試したいから残るというなら、未成年者を避難させろ。子どもたちが君の「試したい」気持ちの生贄になる理由はない。
めぐ | 2012.03.29 18:53 | 編集
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