04.25
Wed
<覚えておきたい重要部分>
チェルノブイリ周辺3国は
年間1ミリシーベルト以上のところで住んでいる人が「移住権利」
年間5ミリシーベルト以上のところが「移住義務」
日本は
年間20ミリシーベルト以下なら「帰ってもいいよ」
ドイツの基準は年間0.3ミリシーベルト
単純に計算すると食品のベクレル数値は
大人で8ベクレル
子どもで4ベクレル
日本の100ベクレルはものすごく高すぎる!
「それで特に今警告をしなければいけないのが、
子どもが食べる幼児食が50ベクレルという値になっていまして、
これはねえ、もう、もし値を言うならば1ベクレルです。
あのね、もう、絶対に市民のみなさんは、100ベクレルで大丈夫だとか、50ベクレルまで大丈夫だとか、
そういう考え方は絶対にしないで頂きたいというのを私は切に訴えます。お願いいたします」
ーーーー
シリーズ知られざる内幕
琉球大学名誉教授 矢ヶ崎克馬さん
内部被ばくの知られざる内幕
水野:
琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんとお話しをさせていただきます
矢ヶ崎先生こんばんは、
矢ヶ崎先生はですね、去年の暮れ大みそかの時にもお話しをいただきました。
あの時におっしゃっていたのはですね、市民と科学者が一緒になって、
この内部被ばくの問題をやっていかなければならないという事で、
市民と科学者の内部被ばく問題研究会を作られて、
科学者のお立場で、矢ヶ崎さんは市民と一緒になってこの問題に取り組んで
被ばくを防ごうという活動をなさっているそういう先生でいらっしゃいますけれども、
矢ヶ崎さーん、さっそくリスナーからご質問を頂いております。
これはですね、昨年の暮れに出られたときにリスナーがくださったメールですけれども、
昨年の暮れのお話で、「内部被ばくをすると鼻血が出るんだ」という事を言われて、
これが世間でも話題になっているということなんですが、
この「鼻血」というような一つの症状ですね、
原発事故から一年少し経ちました。
今どんな状況になっているのか、特に子どもたちの状況からお話し下さいませんか?
●鼻血
矢ヶ崎:
はい、一つのきっかけとなったのは、
東京町田市の市民グループのみなさんが、町の中の子どもたちを調査した結果で、
その結果では、今まで、3月11日以前には鼻血なんか出した事もない子どもが鼻血を出すようになった。
それも大量に、水道の蛇口をいっぱいに開いたような、すごい出方をするようになったというような話が、
あの、何人もの子供さんに現れておりましてね、
水野:それは一人ではなく、複数、
矢ヶ崎:はい
水野:それは10人とか20人とかという単位で、どれぐらいの数とか言えるんですか?
矢ヶ崎:
え-っとですね、こういう症状は町田市の子どもだけじゃなくて、
たとえば、沖縄に避難している家族お子さんにも表れているという、
全国を見ると、それこそ福島近辺だけじゃなく、
いっぱいの、そういう方がいると思うんですよね。
町田市の結果の、第一次調査の結果というのはですね、
104人の子どもに鼻血その他の異常が出てきたという、そういう結果でありました。
水野:
あの、今のお話ですと、子どもさんが鼻血を出すっていう事だけで言えばね、
鼻血って出やすいものだと思いますが、
その量が、ハンパじゃないですね、水道の蛇口をひねって、ジャーッて出るような感覚・・・はぁ・・・
矢ヶ崎:それは、
この鼻血の特徴というのは、
普通の鼻血はですね、何らかの外傷があって、
そこで毛細管を切ってしまって出てくるというような物がかなり普通だといわれておりますので、
お医者先生に診てもらっても、
目に見える外傷がないのにという状況で鼻血が出ているというような事が特徴だと思います。
水野:
はぁ~、傷がないのに大量の鼻血が出る。
そんな事はこれまでになかった事だと。
矢ヶ崎:ええ
そういう、私は臨床的な仕事をしているわけじゃないんですけれども、
とにかく、今まで鼻血なんか出た事がない人たちに、
こういう鼻血が出るようになったという変化が、私は非常にやっぱり危惧してこういうニュースをうかがいました。
水野:そうですね。
内部被ばくの研究の第一人者でいらっしゃる矢ヶ崎先生からご覧になると、
これは非常に気になる情報かと思いますが、
こうした事が、なんか政府レベルでは別に問題になっていないんですよね。
何か注視されているというような事はないですよね。
続きを読むに
つづく
●甲状腺
矢ヶ崎:
ないです、
逆にこの鼻血という事ではないんですけどもね、
福島で原子炉に近い4市町村の3765人の子どもたちの甲状腺の検査をしたところ、
ちょうど30%位にですね、しこりとのう胞が見つかったというようなニュースが1月にありましたけれども、
水野:ありました、はい。
矢ヶ崎:
こういう事についてもですね、いろいろとベラルーシの研究結果などを見ているとですね、
ベラルーシというのはチェルノブイリ原発事故の領土に入っている国でありましてね、
チェルノブイリ周辺の3国、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアが周辺国だなんて言われているところなんですが、
そういうところの研究結果と比べて比較してみるとですね、
今後の健康状態の悪化が予測されるような、
非常にそういう厳しいものを持っているんだなと私は判断しておりますが、
水野:
これは矢ヶ崎先生、福島県の検査ですよね。
原発に近いところ、南相馬市、川又町、浪江町、飯館村、
こうしたところの子どもさん達の甲状腺を調べたら、3割ほどの子どもたちにしこりとのう胞が見つかった。
ただこれをね、「しこりがあっても問題はない」んだと、確か、福島県側は言っているんじゃないですか?
矢ヶ崎:
そうですね、
「悪性じゃなくて良かった、今後2年間は調査しない」だなんていうような事も
付け加えていっているようなんですけれども、
ただ、こののう胞・しこりというようなものはですね、
北海道に避難されている子どもさん達、こちらは総計が170名ぐらいなんですけれども、
この甲状腺の検査結果もですね、
20%もの子どもたちに、のう胞・しこりが出てきているという事でですね、
もっと調べれば実態的な変化というものがもっと広範なものになって見えてくるんじゃないかと心配しております。
水野:
平野さん、今の段階で「問題はない」と決めつけるということの、
なんか、危うさみたいなものを
平野:そうですね、結局、継続的な調査を少なくてもこういう方々に対してはしないとだめですよね。
水野:子どもなんですもん
●甲状腺にセシウム
矢ヶ崎:
のう胞・しこりというものはずっとこの、客観的に見れば、
何らかの刺激がないと出来っこないものだと思います。
それでですね、私が先ほどベラルーシの調査結果で、
大変危惧する内容を持っていると申し上げたのはですね、
バンダジフスキーさんという方がですね、
1997年にこのベラルーシで亡くなった市民の方、合計230名の臓器解剖をして、
セシウム137、放射性物質ですが、これが臓器の中にどんなふうにあるかという調査をいたしました。
水野:臓器の中にセシウムが蓄積される訳ですね。
矢ヶ崎:はい。
水野:それを解剖して見てみたと。
矢ヶ崎:はい。
それで、結論としては、あらゆる場所にセシウムが蓄積されている
それで特にですね、子どもの甲状腺には他の部位よりも2倍3倍というぐらいの高い値が蓄積されていたんです。
この結果がですね、甲状腺にはヨウ素が集められるという事はどなたも御存じだと思うのですが、
これがですね、ヨウ素だけじゃなくてセシウム137が他の臓器よりも飛び抜けて集められているという事はですね、
この原因は、私はおそらく放射能のホコリが微粒子として、身体の中でも存在していて、
ヨウ素が甲状腺に入る時にですね、微粒子として入るもんだから、
微粒子の中のセシウムが沢山こういうふうに入ってしまうという、そういう事だと思うんですがね、
ところが、この結果が恐ろしいのは、
ヨウ素の放射というのは、ヨウ素は8日が半減期って言われて
水野:早く無くなるんですよね
矢ヶ崎:
無くなってしまっております。
ところが、セシウムというのは半減期が30年で、今なお打撃、放射線が打撃を繰り返しているという、
そういう被ばく真っ最中という、
そういう状況を甲状腺に提供してしまっているんですよね。
水野:
つまりセシウムっていうのは30年経ってやっと半分になる程度ですから、
子どもさんの体内に、呼吸などを通じて、たとえば入った時に、食べ物もそうでしょうけどね、
入った時に、もう子どもさんの一生を通じて、
同じ場所でずーーっと分子を破壊して行くっていう事が起こり得るっていう事ですね?
矢ヶ崎:
はい。
身体の中に入ってですね、血液にのって身体を循環しているような状態にあるものはですね、
生物学的半減期と言って、ま、
大人で言えば80日、子どもで言えば40日ぐらいで半減期になっていくというような、
そういう事が言われておりますが、
臓器の中に入るとなかなか出てこないものですからね、
水野:出てこない
矢ヶ崎:
今おっしゃったように、ずーーっとそこで放射を続けるという状態になりますのでね、
それが、今の甲状腺にしこりやのう胞が見つかった子どもたちの、
こののう胞やしこりを作った原因であって、
されにこれに被ばくがずんずん重なっていくというような事を想定した場合にはですね、
とても怖い今後の病状の変化などがあり得ると判断せざるを得ないと思うんですね。
-2-
水野:そうなんだ・・・
●予想されるがんの増加
平野:
矢ヶ崎先生、あのチェルノブイリのあるドキュメント映画を見た時に、
現地の子どもたちが、甲状腺の切除をですね、
切除をしている子どもたちがずらりと並んでいて、非常に私はショックを受けたんですけれども、
そういう可能性も、・・あんまり想像したくないんですけれど、
福島の子どもたちにも今後起こり得るという事なんでしょうかね?
矢ヶ崎:
あの、その点はですね、
たとえばチェルノブイリの西に110キロか150キロぐらい行ったところの
ヌギヌイ地区というところの汚染状況がですね、
郡山市、福島市よりもむしろ低いぐらいの環境にあるんですよ。
ここの、ヌギヌイ地区の子どもの甲状腺被害というものもですね、
5年後に病気がドカッと増えて、10年後にはですね、10人に1人の子どもが甲状腺の病気にかかって、
かつ、癌はですね、100人に1.3人位で出てくるような割合に増加しておりましてね、
汚染状況から言っても、チェルノブイリ周辺の子どもたちの、こういう状況の変化というのはですね、
よそ事ではないとそういうふうに思います。
平野:
これまだ1年でこれだけ出ているという事は、まだその、今の例を引くと
5年後にはかなりの数で似たような症状というか、そういう子どもたちが出る可能性が高いという事ですかね。
矢ヶ崎:
高いと思います。
それでね、やはりベラルーシの国の統計なんですが、
マリコさんっていう、今ちょうど日本に来ている学者さんなんですけれども、
この人の調べた統計がですね、
1986年にチェルノブイリの爆発がありましたが、
もう、翌年には子どもの癌が増加し始めている、
子供だけじゃなくて大人の癌も翌年にはもう、
水野:大人もですか?
矢ヶ崎:
ええ、大人も。
翌年からずーーーーっと、系統的に増加しているんですね。
水野:えぇ・・・・・・
矢ヶ崎:
この大人だけでなく子どもが増加し始めているという、
そういうことがベラルーシできちっと化学的に明らかにされている事実なんですね。
何故日本の政府は
そういう事をちゃんと国際的な経験として、日本の子どもたちに適応するっていう事が出来ないんでしょうね・・・
これが今の日本の政治の在り方として、私は非常に残念に思います。
水野:
そうですよね・・・
それどころかもう、20ミリシーベルト以下だったらどんどん帰す方向ですよね。
矢ヶ崎:ええ、ええ。
水野:住民の方々をね・・
●チェルノブイリ周辺3国の移住義務と権利
矢ヶ崎:
これもね、大変なことだと思うんです。
先ほど言ったチェルノブイリ周辺の3つの国はですね、
住民の保護という事を同じ基準でやっているんですけれども、
ここの国の、まず、「移住権利」という言葉を使いますけれども、
その上のレベルが「移住義務」といわれている
水野:
「義務」で出ていかなければならない人もいるけれども、
移住する「権利」がある人達っていう言い方をするんですか
矢ヶ崎:
ええ、それで「移住権利」っていうのはここにいてもいいけれども、
移住を申し出れば国が責任を持って対処します。
ここがですね、年間1ミリシーベルト以上のところで住んでいる人が「移住権利」
水野:えっ!?
矢ヶ崎:それから、5ミリシーベルト以上のところが「移住義務」なんですね。
水野:5ミリシーベルト以上のところは、もう「義務」ですね
矢ヶ崎:はい
水野:
移住しなければいけない。
そして1ミリシーベルト以上のところは移住する権利があるから、
「移住したい」っていう人には国がちゃんと移住させてあげなきゃいけない。
矢ヶ崎:はい
水野:(☼ Д ☼)えっ!!
日本は「20ミリシーベルトだったら帰っていいですよ」ということは、
20ミリシーベルト以下のところの人が避難したいと言っても
避難させてあげるようなサポートをするっていう事を国は何にもしなくていいというのと一緒ですよね。
矢ヶ崎:ええ
水野:この20ってどうなんですか!Σ(゚д゚lll)
矢ヶ崎:
あのね、もし日本人がベラルーシやロシア、ウクライナの市民よりも20倍も放射能の抵抗力があるならばね、
それは日本が20ミリシーベルトだって、ま、当り前なことになるけれども、
そうではないんです。
これもね、れっきとして周辺3カ国にひどい被害が現れて、
それでその国達が、国民を守るために落ち着いたところが1ミリシーベルト、5ミリシーベルトという事になっている
これもね、国際的にもう経験した国がそういうふうにしている訳ですね。
●食品の基準
水野:
せっかくのその、不幸ではあるけれどもね、そうした経験があるんだから、
それを今生かさないでどうするんだって。
しかしながら今やっている事は、逆の方向のように見えます。
それと、矢ヶ崎先生、
4月からね、食品、内部被ばくの恐れを考えなければいけない時に食べ物の話でね、
今まで一般の物が1kg当たり500ベクレルという規制だったのが、
今度100ベクレルで規制しましょうという事になりました。
100ベクレルで十分ですか?
矢ヶ崎:いいえ、100ベクレルもね、ものすごく高すぎる値だと思います。
水野:高すぎる。
矢ヶ崎:
一つの例としてですね、ドイツの国が定めているこの放射線防護の基準は
日本の基準は、ま、通常で1ミリシーベルト、
今は市民に対して20ミリシーベルトにつり上げられてしまっておりますけれどもね、
ドイツは「0.3ミリシーベルト以上被曝させてはならない」という
平野:うっ・・・
水野:年間に0.3ミリですか?
矢ヶ崎:
0.3。はい。
で、ちょっとした仮定で計算をすると、
食品のセシウムの線量が1kg当たり大人は8ベクレル子どもは4ベクレルというような値なんですね。
水野:
子どもは4ベクレル。
なのに4月から日本は基本的には一般食品は100ベクレルですよね。
矢ヶ崎:
はい、
これはですね、明らかにドイツの基準の10倍以上を持っていて、
ドイツも「かろうじて健康が保たれる」という、そういう値の限度地として設定している物の、ま、10倍以上なんですね。
100ベクレルは。
水野:
実は日本はものすごく厳しくなったのかと思いきや、
それでもまだドイツの10倍も緩いっていうことですよね。
矢ヶ崎:ええ。
それで特に今警告をしなければいけないのが、
子どもが食べる幼児食が50ベクレルという値になっていまして、
これはねえ、もう、もし値を言うならば1ベクレルです。
あのね、もう、絶対に市民のみなさんは
100ベクレルで大丈夫だとか、50ベクレルまで大丈夫だとか、
そういう考え方は絶対にしないで頂きたいというのを私は切に訴えます。
お願いいたします。
水野:
矢ヶ崎先生、貴重な情報を頂いてありがとうございました。
また今後もいろいろと教えて下さい。
ありがとうございました。
矢ヶ崎:
はいはい、どうも、
じゃあ今日は失礼いたします。
水野:琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんでした。
●エンディング
水野:
今日の矢ヶ崎先生の内部被曝
これ、日本の政府が今とっている態度や、食品を規制する数字が、
いかにまだまだなものかって・・
平野:
ゆるいというか、
この、5年後の子どもたちに今の政治家はどう責任を取る覚悟があるのかという事を、
やっぱり問いかけたいですね。
水野:
このあたりをね、皆さんが、なんだかひところよりは厳しくなっているから大丈夫だとか、
あるいはどんどんと福島の故郷へ帰って行く人の映像を見ますとね、
「あっ、もう大丈夫なのか」とイメージで思ったりするっていう事はないんでしょうかね。
平野:南相馬だって、これ、夜一泊できないんですからね。
水野:
自分の家に帰って一泊もできない。なのに帰っていいっていうのは、
なにを目標にしているんでしょうか?
平野:そうですね。
水野:
そして、矢ヶ崎先生がおっしゃっていたように、もともと1ミリシーベルトで、
チェルノブイリだったら、1ミリシーベルト以上の地域のところは外へ避難させてくれと言える権利がある。
ところが日本の場合は20ミリシーベルトまでは「いや別に帰っていいんですよ」といわれてしまうわけですね。
平野:そうですね。
水野:
その事が後世どういう事に繋がっていくのか、
いや~・・・これは私達、ぼーっとしていて・・・あの、放っておくわけにはとてもいかない訳です。
平野:そうですね。
矢ヶ崎克馬氏(琉球大学)たね蒔きJN年末SP 12/30(内容書き出し)
チェルノブイリ周辺3国は
年間1ミリシーベルト以上のところで住んでいる人が「移住権利」
年間5ミリシーベルト以上のところが「移住義務」
日本は
年間20ミリシーベルト以下なら「帰ってもいいよ」
ドイツの基準は年間0.3ミリシーベルト
単純に計算すると食品のベクレル数値は
大人で8ベクレル
子どもで4ベクレル
日本の100ベクレルはものすごく高すぎる!
「それで特に今警告をしなければいけないのが、
子どもが食べる幼児食が50ベクレルという値になっていまして、
これはねえ、もう、もし値を言うならば1ベクレルです。
あのね、もう、絶対に市民のみなさんは、100ベクレルで大丈夫だとか、50ベクレルまで大丈夫だとか、
そういう考え方は絶対にしないで頂きたいというのを私は切に訴えます。お願いいたします」
ーーーー
シリーズ知られざる内幕
琉球大学名誉教授 矢ヶ崎克馬さん
内部被ばくの知られざる内幕
水野:
琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんとお話しをさせていただきます
矢ヶ崎先生こんばんは、
矢ヶ崎先生はですね、去年の暮れ大みそかの時にもお話しをいただきました。
あの時におっしゃっていたのはですね、市民と科学者が一緒になって、
この内部被ばくの問題をやっていかなければならないという事で、
市民と科学者の内部被ばく問題研究会を作られて、
科学者のお立場で、矢ヶ崎さんは市民と一緒になってこの問題に取り組んで
被ばくを防ごうという活動をなさっているそういう先生でいらっしゃいますけれども、
矢ヶ崎さーん、さっそくリスナーからご質問を頂いております。
これはですね、昨年の暮れに出られたときにリスナーがくださったメールですけれども、
昨年の暮れのお話で、「内部被ばくをすると鼻血が出るんだ」という事を言われて、
これが世間でも話題になっているということなんですが、
この「鼻血」というような一つの症状ですね、
原発事故から一年少し経ちました。
今どんな状況になっているのか、特に子どもたちの状況からお話し下さいませんか?
●鼻血
矢ヶ崎:
はい、一つのきっかけとなったのは、
東京町田市の市民グループのみなさんが、町の中の子どもたちを調査した結果で、
その結果では、今まで、3月11日以前には鼻血なんか出した事もない子どもが鼻血を出すようになった。
それも大量に、水道の蛇口をいっぱいに開いたような、すごい出方をするようになったというような話が、
あの、何人もの子供さんに現れておりましてね、
水野:それは一人ではなく、複数、
矢ヶ崎:はい
水野:それは10人とか20人とかという単位で、どれぐらいの数とか言えるんですか?
矢ヶ崎:
え-っとですね、こういう症状は町田市の子どもだけじゃなくて、
たとえば、沖縄に避難している家族お子さんにも表れているという、
全国を見ると、それこそ福島近辺だけじゃなく、
いっぱいの、そういう方がいると思うんですよね。
町田市の結果の、第一次調査の結果というのはですね、
104人の子どもに鼻血その他の異常が出てきたという、そういう結果でありました。
水野:
あの、今のお話ですと、子どもさんが鼻血を出すっていう事だけで言えばね、
鼻血って出やすいものだと思いますが、
その量が、ハンパじゃないですね、水道の蛇口をひねって、ジャーッて出るような感覚・・・はぁ・・・
矢ヶ崎:それは、
この鼻血の特徴というのは、
普通の鼻血はですね、何らかの外傷があって、
そこで毛細管を切ってしまって出てくるというような物がかなり普通だといわれておりますので、
お医者先生に診てもらっても、
目に見える外傷がないのにという状況で鼻血が出ているというような事が特徴だと思います。
水野:
はぁ~、傷がないのに大量の鼻血が出る。
そんな事はこれまでになかった事だと。
矢ヶ崎:ええ
そういう、私は臨床的な仕事をしているわけじゃないんですけれども、
とにかく、今まで鼻血なんか出た事がない人たちに、
こういう鼻血が出るようになったという変化が、私は非常にやっぱり危惧してこういうニュースをうかがいました。
水野:そうですね。
内部被ばくの研究の第一人者でいらっしゃる矢ヶ崎先生からご覧になると、
これは非常に気になる情報かと思いますが、
こうした事が、なんか政府レベルでは別に問題になっていないんですよね。
何か注視されているというような事はないですよね。
続きを読むに

●甲状腺
矢ヶ崎:
ないです、
逆にこの鼻血という事ではないんですけどもね、
福島で原子炉に近い4市町村の3765人の子どもたちの甲状腺の検査をしたところ、
ちょうど30%位にですね、しこりとのう胞が見つかったというようなニュースが1月にありましたけれども、
水野:ありました、はい。
矢ヶ崎:
こういう事についてもですね、いろいろとベラルーシの研究結果などを見ているとですね、
ベラルーシというのはチェルノブイリ原発事故の領土に入っている国でありましてね、
チェルノブイリ周辺の3国、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアが周辺国だなんて言われているところなんですが、
そういうところの研究結果と比べて比較してみるとですね、
今後の健康状態の悪化が予測されるような、
非常にそういう厳しいものを持っているんだなと私は判断しておりますが、
水野:
これは矢ヶ崎先生、福島県の検査ですよね。
原発に近いところ、南相馬市、川又町、浪江町、飯館村、
こうしたところの子どもさん達の甲状腺を調べたら、3割ほどの子どもたちにしこりとのう胞が見つかった。
ただこれをね、「しこりがあっても問題はない」んだと、確か、福島県側は言っているんじゃないですか?
矢ヶ崎:
そうですね、
「悪性じゃなくて良かった、今後2年間は調査しない」だなんていうような事も
付け加えていっているようなんですけれども、
ただ、こののう胞・しこりというようなものはですね、
北海道に避難されている子どもさん達、こちらは総計が170名ぐらいなんですけれども、
この甲状腺の検査結果もですね、
20%もの子どもたちに、のう胞・しこりが出てきているという事でですね、
もっと調べれば実態的な変化というものがもっと広範なものになって見えてくるんじゃないかと心配しております。
水野:
平野さん、今の段階で「問題はない」と決めつけるということの、
なんか、危うさみたいなものを
平野:そうですね、結局、継続的な調査を少なくてもこういう方々に対してはしないとだめですよね。
水野:子どもなんですもん
●甲状腺にセシウム
矢ヶ崎:
のう胞・しこりというものはずっとこの、客観的に見れば、
何らかの刺激がないと出来っこないものだと思います。
それでですね、私が先ほどベラルーシの調査結果で、
大変危惧する内容を持っていると申し上げたのはですね、
バンダジフスキーさんという方がですね、
1997年にこのベラルーシで亡くなった市民の方、合計230名の臓器解剖をして、
セシウム137、放射性物質ですが、これが臓器の中にどんなふうにあるかという調査をいたしました。
水野:臓器の中にセシウムが蓄積される訳ですね。
矢ヶ崎:はい。
水野:それを解剖して見てみたと。
矢ヶ崎:はい。
それで、結論としては、あらゆる場所にセシウムが蓄積されている
それで特にですね、子どもの甲状腺には他の部位よりも2倍3倍というぐらいの高い値が蓄積されていたんです。
この結果がですね、甲状腺にはヨウ素が集められるという事はどなたも御存じだと思うのですが、
これがですね、ヨウ素だけじゃなくてセシウム137が他の臓器よりも飛び抜けて集められているという事はですね、
この原因は、私はおそらく放射能のホコリが微粒子として、身体の中でも存在していて、
ヨウ素が甲状腺に入る時にですね、微粒子として入るもんだから、
微粒子の中のセシウムが沢山こういうふうに入ってしまうという、そういう事だと思うんですがね、
ところが、この結果が恐ろしいのは、
ヨウ素の放射というのは、ヨウ素は8日が半減期って言われて
水野:早く無くなるんですよね
矢ヶ崎:
無くなってしまっております。
ところが、セシウムというのは半減期が30年で、今なお打撃、放射線が打撃を繰り返しているという、
そういう被ばく真っ最中という、
そういう状況を甲状腺に提供してしまっているんですよね。
水野:
つまりセシウムっていうのは30年経ってやっと半分になる程度ですから、
子どもさんの体内に、呼吸などを通じて、たとえば入った時に、食べ物もそうでしょうけどね、
入った時に、もう子どもさんの一生を通じて、
同じ場所でずーーっと分子を破壊して行くっていう事が起こり得るっていう事ですね?
矢ヶ崎:
はい。
身体の中に入ってですね、血液にのって身体を循環しているような状態にあるものはですね、
生物学的半減期と言って、ま、
大人で言えば80日、子どもで言えば40日ぐらいで半減期になっていくというような、
そういう事が言われておりますが、
臓器の中に入るとなかなか出てこないものですからね、
水野:出てこない
矢ヶ崎:
今おっしゃったように、ずーーっとそこで放射を続けるという状態になりますのでね、
それが、今の甲状腺にしこりやのう胞が見つかった子どもたちの、
こののう胞やしこりを作った原因であって、
されにこれに被ばくがずんずん重なっていくというような事を想定した場合にはですね、
とても怖い今後の病状の変化などがあり得ると判断せざるを得ないと思うんですね。
-2-
水野:そうなんだ・・・
●予想されるがんの増加
平野:
矢ヶ崎先生、あのチェルノブイリのあるドキュメント映画を見た時に、
現地の子どもたちが、甲状腺の切除をですね、
切除をしている子どもたちがずらりと並んでいて、非常に私はショックを受けたんですけれども、
そういう可能性も、・・あんまり想像したくないんですけれど、
福島の子どもたちにも今後起こり得るという事なんでしょうかね?
矢ヶ崎:
あの、その点はですね、
たとえばチェルノブイリの西に110キロか150キロぐらい行ったところの
ヌギヌイ地区というところの汚染状況がですね、
郡山市、福島市よりもむしろ低いぐらいの環境にあるんですよ。
ここの、ヌギヌイ地区の子どもの甲状腺被害というものもですね、
5年後に病気がドカッと増えて、10年後にはですね、10人に1人の子どもが甲状腺の病気にかかって、
かつ、癌はですね、100人に1.3人位で出てくるような割合に増加しておりましてね、
汚染状況から言っても、チェルノブイリ周辺の子どもたちの、こういう状況の変化というのはですね、
よそ事ではないとそういうふうに思います。
平野:
これまだ1年でこれだけ出ているという事は、まだその、今の例を引くと
5年後にはかなりの数で似たような症状というか、そういう子どもたちが出る可能性が高いという事ですかね。
矢ヶ崎:
高いと思います。
それでね、やはりベラルーシの国の統計なんですが、
マリコさんっていう、今ちょうど日本に来ている学者さんなんですけれども、
この人の調べた統計がですね、
1986年にチェルノブイリの爆発がありましたが、
もう、翌年には子どもの癌が増加し始めている、
子供だけじゃなくて大人の癌も翌年にはもう、
水野:大人もですか?
矢ヶ崎:
ええ、大人も。
翌年からずーーーーっと、系統的に増加しているんですね。
水野:えぇ・・・・・・
矢ヶ崎:
この大人だけでなく子どもが増加し始めているという、
そういうことがベラルーシできちっと化学的に明らかにされている事実なんですね。
何故日本の政府は
そういう事をちゃんと国際的な経験として、日本の子どもたちに適応するっていう事が出来ないんでしょうね・・・
これが今の日本の政治の在り方として、私は非常に残念に思います。
水野:
そうですよね・・・
それどころかもう、20ミリシーベルト以下だったらどんどん帰す方向ですよね。
矢ヶ崎:ええ、ええ。
水野:住民の方々をね・・
●チェルノブイリ周辺3国の移住義務と権利
矢ヶ崎:
これもね、大変なことだと思うんです。
先ほど言ったチェルノブイリ周辺の3つの国はですね、
住民の保護という事を同じ基準でやっているんですけれども、
ここの国の、まず、「移住権利」という言葉を使いますけれども、
その上のレベルが「移住義務」といわれている
水野:
「義務」で出ていかなければならない人もいるけれども、
移住する「権利」がある人達っていう言い方をするんですか
矢ヶ崎:
ええ、それで「移住権利」っていうのはここにいてもいいけれども、
移住を申し出れば国が責任を持って対処します。
ここがですね、年間1ミリシーベルト以上のところで住んでいる人が「移住権利」
水野:えっ!?
矢ヶ崎:それから、5ミリシーベルト以上のところが「移住義務」なんですね。
水野:5ミリシーベルト以上のところは、もう「義務」ですね
矢ヶ崎:はい
水野:
移住しなければいけない。
そして1ミリシーベルト以上のところは移住する権利があるから、
「移住したい」っていう人には国がちゃんと移住させてあげなきゃいけない。
矢ヶ崎:はい
水野:(☼ Д ☼)えっ!!
日本は「20ミリシーベルトだったら帰っていいですよ」ということは、
20ミリシーベルト以下のところの人が避難したいと言っても
避難させてあげるようなサポートをするっていう事を国は何にもしなくていいというのと一緒ですよね。
矢ヶ崎:ええ
水野:この20ってどうなんですか!Σ(゚д゚lll)
矢ヶ崎:
あのね、もし日本人がベラルーシやロシア、ウクライナの市民よりも20倍も放射能の抵抗力があるならばね、
それは日本が20ミリシーベルトだって、ま、当り前なことになるけれども、
そうではないんです。
これもね、れっきとして周辺3カ国にひどい被害が現れて、
それでその国達が、国民を守るために落ち着いたところが1ミリシーベルト、5ミリシーベルトという事になっている
これもね、国際的にもう経験した国がそういうふうにしている訳ですね。
●食品の基準
水野:
せっかくのその、不幸ではあるけれどもね、そうした経験があるんだから、
それを今生かさないでどうするんだって。
しかしながら今やっている事は、逆の方向のように見えます。
それと、矢ヶ崎先生、
4月からね、食品、内部被ばくの恐れを考えなければいけない時に食べ物の話でね、
今まで一般の物が1kg当たり500ベクレルという規制だったのが、
今度100ベクレルで規制しましょうという事になりました。
100ベクレルで十分ですか?
矢ヶ崎:いいえ、100ベクレルもね、ものすごく高すぎる値だと思います。
水野:高すぎる。
矢ヶ崎:
一つの例としてですね、ドイツの国が定めているこの放射線防護の基準は
日本の基準は、ま、通常で1ミリシーベルト、
今は市民に対して20ミリシーベルトにつり上げられてしまっておりますけれどもね、
ドイツは「0.3ミリシーベルト以上被曝させてはならない」という
平野:うっ・・・
水野:年間に0.3ミリですか?
矢ヶ崎:
0.3。はい。
で、ちょっとした仮定で計算をすると、
食品のセシウムの線量が1kg当たり大人は8ベクレル子どもは4ベクレルというような値なんですね。
水野:
子どもは4ベクレル。
なのに4月から日本は基本的には一般食品は100ベクレルですよね。
矢ヶ崎:
はい、
これはですね、明らかにドイツの基準の10倍以上を持っていて、
ドイツも「かろうじて健康が保たれる」という、そういう値の限度地として設定している物の、ま、10倍以上なんですね。
100ベクレルは。
水野:
実は日本はものすごく厳しくなったのかと思いきや、
それでもまだドイツの10倍も緩いっていうことですよね。
矢ヶ崎:ええ。
それで特に今警告をしなければいけないのが、
子どもが食べる幼児食が50ベクレルという値になっていまして、
これはねえ、もう、もし値を言うならば1ベクレルです。
あのね、もう、絶対に市民のみなさんは
100ベクレルで大丈夫だとか、50ベクレルまで大丈夫だとか、
そういう考え方は絶対にしないで頂きたいというのを私は切に訴えます。
お願いいたします。
水野:
矢ヶ崎先生、貴重な情報を頂いてありがとうございました。
また今後もいろいろと教えて下さい。
ありがとうございました。
矢ヶ崎:
はいはい、どうも、
じゃあ今日は失礼いたします。
水野:琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんでした。
●エンディング
水野:
今日の矢ヶ崎先生の内部被曝
これ、日本の政府が今とっている態度や、食品を規制する数字が、
いかにまだまだなものかって・・
平野:
ゆるいというか、
この、5年後の子どもたちに今の政治家はどう責任を取る覚悟があるのかという事を、
やっぱり問いかけたいですね。
水野:
このあたりをね、皆さんが、なんだかひところよりは厳しくなっているから大丈夫だとか、
あるいはどんどんと福島の故郷へ帰って行く人の映像を見ますとね、
「あっ、もう大丈夫なのか」とイメージで思ったりするっていう事はないんでしょうかね。
平野:南相馬だって、これ、夜一泊できないんですからね。
水野:
自分の家に帰って一泊もできない。なのに帰っていいっていうのは、
なにを目標にしているんでしょうか?
平野:そうですね。
水野:
そして、矢ヶ崎先生がおっしゃっていたように、もともと1ミリシーベルトで、
チェルノブイリだったら、1ミリシーベルト以上の地域のところは外へ避難させてくれと言える権利がある。
ところが日本の場合は20ミリシーベルトまでは「いや別に帰っていいんですよ」といわれてしまうわけですね。
平野:そうですね。
水野:
その事が後世どういう事に繋がっていくのか、
いや~・・・これは私達、ぼーっとしていて・・・あの、放っておくわけにはとてもいかない訳です。
平野:そうですね。
矢ヶ崎克馬氏(琉球大学)たね蒔きJN年末SP 12/30(内容書き出し)
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| 2012.04.25 09:13 | 編集
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| 2012.04.26 04:39 | 編集