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04.26
Thu

・福井県高浜原発1号機の”もろい”原子炉格納容器
  圧力容器が割れたらどうなるの?
  基準をあげて寿命を延ばす
・農林水産省放射能検査に関しての通達


2012年4月25日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]



<参考>
朝日新聞4月21日より

「関西電力高浜原発1号機(福井県)で、
高いほど劣化が進んだことを示す原子炉圧力容器の「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」(2009年時点)が95度となり、
国内では九州電力玄海1号機の98度(同)に次いで高いことが、関電が20日に大阪府市に提出した資料で示された」

と書かれています。
他記事の内容は番組内で話されている通りです。

国民は自分で食べる物のベクレルも選んではいけないのか!?農水省が通知

食品検査、独自基準やめてと農水省が通知した事に関する報道記事と
農水大臣「強制ではない」と弁明の記事。

続きを読むに内容を書き出しました






福井県高浜原発1号機の”もろい”原子炉格納容器


水野:
まず今日伺いたいのは福井県にあります高浜原発1号機の話です。
小出さん、これまでですね、原子炉圧力容器の”もろさ”という話では
九州の玄海原発が日本では一番危ないんだという話を聞かせていただいた事があったかと思います。
今回はですね、高浜の1号機が劣化しているのか、日本で二番目の”もろさ”ではないか、
そんな話が出てまいりました。
”もろい”というのはどういうことなんでしょうか?教えていただけますか?

小出:
みなさん、どなたも多分家にお鍋があると思いますし、ガラスのコップもお持ちですよね。
で、鍋をとにかくトンカチで叩くという事をすると、
鍋はへこんだり、ひしゃげたり、多分歪むんですね。
でも、バリッ!って割れてしまう事は普通はないと思います。
じゃあガラスのコップはどうでしょうか?トンカチで叩いたら、

水野:そりゃ、パリッ!って割れますね。

小出:
割れますよね。
いわゆる金属というものとガラスとは、普通の私達が生活している温度では性質が全然違うので、
金属の方は割れないで曲げたり延びたりするという、
わたしたちは延性という性質を持っていますし、

水野:延性というのはこう、延びる性質という意味ですね

小出:
そうです。
ガラスの方は脆性と言って、もろい性質というのを持っているのです。
では、金属は普通の時は延性ですが、どんどん冷たくしていったらどうなるのか?と。

水野:つまりお鍋はトンカチで普通叩いても、延びることによって割れはしないけれども、どんどん

小出:冷たくしていく

水野:冷たくしていくと、

小出:
ある温度以下、マイナス100度とかですね、ま、そこまでいかなくても多分あると思いますが、
延びなくなって割れてしまうという性質になる

水野:ガラスのコップのような状態になっていくんですね

小出:
そうです
でもまあ、普通私たちはそんな冷たい環境で生きていませんので、
金属というのは叩いても割れないと思っているわけですね。
しかし、原子炉の圧力容器という鋼鉄製の圧力釜があるわけですが、
それは四六時中、中性子という放射線に被曝をうけながら、ま、使われているのですね。
そうすると、鋼鉄がどんどん、どんどんもろくなってくるという性質になってきまして、
ある時にはマイナス50度になったらもう割れてしまう。
ある時にはマイナス10度で割れてしまう。
あるいはもう0度になったら割れてしまうとかですね、
どんどん脆くなる温度が上がってきてしまうのです。
それが今、高浜の場合には95度になるともう割れてしまうと言っている訳ですから、
つまりもう、普通の状態だとガラスになっているという事なんですね。

水野:ガラスのような状況、つまり、トンカチで叩くと割れるようなものと私たちはガラスを思っていますよね。

小出:そうですね

水野:そのような状況になってきているというのが、この95度という数字なんですか?

小出:そうです。
ですから普通は20度30度という温度な訳ですから、
普通の状態ではもう、それはガラスのような状態になっていますと言っているんですね。


圧力容器が割れたらどうなるの?


水野:
えー、あの、すみません、
圧力容器がですよ、もしも割れるというような事があったらですね、何が起こるんですか?

小出:
原子炉圧力容器の中には原子炉を冷やすための水が満たされているわけですが、
その圧力容器が割れてしまえば、水がもう満たせなくなりますので、
炉心がむき出しになって溶けてしまうという事になります。

水野:はぁー、メルトダウンっていう事ですね。

小出:はい。

水野:つまり、圧力容器は絶対に割れてはいけないものなんですが、

小出:もちろんそうです

水野:その割れやすさが、どんどん、どんどん、年とともに高まっていると言っていいんでしょうか?

小出:そうです

水野:
高浜原発1号機は運転が始まって38年ですね。
この38年で、この95度になると言うのは、どういう意味を持っていますか?

小出:
もともと、どんどんガラスのようになってしまうという事は分かっていたのですね。
ですから、なるべくならそんな事になって欲しくないのですけれども、
どこまで我慢できるかどうかという事で原子力発電というものにまずは手を染めてみたのですね。
でも、30年もやったら多分ガラスのようになってしまうだろうから、そこが寿命だと思ってやり始めたわけです。
だけど、ま、やったことのない事だったわけですから、
圧力容器の中に、試験片という、同じ材料で作った鋼鉄の試験片を入れておいてですね、

水野:
試験をするためのカケラですね。
圧力容器と同じ物質で作られているので、それを中に入れておくことで、それをチェックするという事

小出:
そうですね、数年ごとに取り出してチェックしてきたのですね。
多分これ位の温度上昇で済むだろうと思ってやってはきたのですけれども、
時と場合によると、そんな予測では全然済まないで、
今回のようにボッと高い温度になってしまっているというのが時々出てきている訳です。

水野:
これ実際はですね、試験片の測定は今回4回目だそうで、
前回は10年前に試験したんです。
その時の温度が68度です。
10年前68度だったものが、今回95度。
つまり、10年で27度上がりました。
この、10年で27度上がったという事はどういう事を意味するんでしょうか?

小出:
多分その電力会社の予想としては、10年経ってもそれほどは上がらない筈だと思っていたのだとおもいます。
でも取り出してみたら、予想を超えて上がってしまっていた、という事だと思います。


基準をあげて寿命を延ばす

水野:これまで、何度だったら大丈夫だという目安が93度だったという事を聞いたんですが、

小出:
はい、そうですね。
以前はそうでしたが、今は確かそれがのびて、110何度まで基準を上げたんじゃなかったかなと思います。

水野:基準が現在132度ですか。

小出:132度、そうですか。

水野:
大分上がりましたね、93度から132度というふうに40度程基準が上がったという事は、
何か圧力容器が強くなったという事ですか?

小出いや、そうではなくて、
もともと運転中は、200何十度あるいは300何十度に温度はあるのですね。
ですから、金属はちゃんとして延性を持っていると、運転中であれば。
だから運転中に割れる事はないと、だからいいんだという、そういう主張だったんですね。
それがだから90度とかいう、ま、93度でしたか

水野:今回は95度、目安は93度でしたが

小出:
それならば十分余裕があると思っていた訳ですね。
ところが実際の試験片で測る温度がどんどん上がってきてしまって、
その基準ではもう運転が許されなくなってしまうという事になると、
今度は基準を変えてしまうという事でやってきている訳です。

水野:はぁ~
基準を変えるという事で、原発の寿命が延びるという事に、結果的になっているんですね。

小出:そうです、はい。


農林水産省放射能検査に関しての通達

水野:はぁ・・・はい。
次に今度は食品の話をさせて頂きたいと思います。
食品の放射能検査なんですが、スーパーや食品メーカーなどの団体に対して、
先日農林通産省が通知を出しました。
これはスーパーなどがですね、国の基準よりも厳しい基準で食べ物の自主検査をしている。
そういうところに対して、
国としては「いやいや、放射能検査は国の基準でやって下さいよ」という内容だったんですね。
これには随分反発が出て、結局農水大臣が
「いや、別に強制力はありません。民間の取り組みを否定はしていません」と、釈明するという結果になりました。
こうした議論について小出さんはどんな風にお感じになりますか?

小出:
情けない国ですね。
これだけの事故を起こしてしまって、食べ物を汚染をさせた責任は国にあるし、
ま、東京電力にもあるとおもいますが、
その国が、人々が何とかその汚染を免れようとして自分で努力している事に対して
文句を言うなんていう事は、恥ずべき事だと私は思うのですけれども、
そう思わないんでしょうかね?国の方は。

水野:近藤さ~ん、どうですか?

近藤:ん・・・これは要するに消費者のレベルで見たら、数字的にはどうなんですか?

水野:
ま、民間の方が国よりも厳しい基準を設けているんですね。
国の基準では信頼を消費者から得られないだろうという事のようなんです。
ただ、私も消費者の一人として言わせてもらうとね、
いくら、その民間努力がなされていてもですね、
具体的にこの食品についてはこれだけの放射性物質が出たという数字は出されていないんですよね。

近藤:そうですね

水野:
それぞれのお店がここで大丈夫と決めたお店の基準でもって、OKかアウトかという、
ま、二つに一つのやり方なんですよ。

近藤:今、水野さん、それ厳格化されて以後、かえって混乱しているというのはそこにあるんですか?原因は。

水野:
4月以降ですね、食品の基準が以前よりも厳しくなって、
その事で、じゃあ具体的に流通の方も自分のところはどんな風に信用を得たいかという事も違うでしょうし、
生産者の方々にとっては今まで大丈夫だったものが出荷できへんと、このあたりの事もあると思いますが、
小出さんが何時もおっしゃっているのは、子どもたちのために安全なものをと、
そういった方向に今の議論や流れがちゃんと向かっていると、小出さん思われます?

小出:全く思いません。
たとえば今の日本の国の基準は、お米でも何でも、1kg当たり100ベクレルという基準なのです。
では、福島の事故が起きる前はどの位汚れていたのかというといえば、
1kg当たり、0.1ベクレルしか汚れていなかった。

水野:0.1ベクレルが、今100ベクレルの基準になったということは、

小出:要するに1000倍まで許すと

水野:1000倍ゆるす!?

小出:許しているんですね。
ですから99ベクレルの物ももちろん出てきている訳ですし、
10ベクレル1ベクレルというものも出てきている訳ですね。
私は放射能というものはどんなに微量でも危険だというふうにずっと皆さんにお伝えしてきましたし、
子どもにはできる限り綺麗なものを与えたいと思っていますので、
基準なんか決めてくれなくてもいいと、
その変わり全ての食べ物がどれだけ汚れているかという事をきちっと表示してくれと私は要求しているわけです。
そして測定する責任は、何よりも自分の所有物をばらまいた東京電力にあると私は思いますので、
東京電力がきちんと広範な食べ物を測定して、それぞれの汚染の度合いを示す。
仮に別にそれが100を超えていてもいいと私は思います。
私は食べる覚悟がありますし、

水野:消費者が自分で納得して選ぶっていう事ですね。

小出:そうです
生産者の方からしても別に200だっていいだろうと、
これを食べてくれと。

水野:これしかできないんですものね

小出:
そう言って出してくれたなら、私は年寄りが受け入れればいいと思っているわけです。
そういう事をやってくれないと子どもを守る事が出来ないという状態になっていますので、
なんとかもっともっと広範に食料の汚染を調べて、
数値として公表して欲しいと私は思います。

水野:はい、どうもありがとうございました。




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comment 4
コメント
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| 2012.04.26 13:58 | 編集
米、大豆、牛肉などは経過措置が取られており、それらについては現在の国の基準は暫定規制値である500Bq/kgです。小出助教の誤った発言を水野氏も指摘できないとは、不勉強すぎる。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/iken/dl/120117-1-03-01.pdf
(上記ファイル10ページ)

もっとも今週月曜のNHKBizプラスで、米の絵を描いた上100ベクレルと表示された表が放送されてましたから、マスメディアのレベルとしては「フツー」なのかもしれませんが。
Bizプラスについては昨日農水省へ伺った際動画を直接みてもらい、担当者から対応してくれるとの答えを頂きました。
めぐ | 2012.04.26 17:08 | 編集
いつもいつも大量の書き起こし、ただただ頭が下がります。ありがとうございます。
しかし、農水省に限らず、どのような原理原則でこのような基準を決めたのか、という当初の目的を忘れて、何かしらの外部からの圧力に屈してしまうのが、日本人の性質なのでしょうか?情けない。自戒を込めて?????。
カッシー | 2012.04.26 22:48 | 編集
さかな食べたいなぁ~
でも、何ベクレルであろうと気持ち悪くて
魚なんか食べる気にならない。

「食べたくない奴は食べなきゃいいんだ」と
無責任な基準を押し付ける行政機関。
学校給食や老人施設や刑務所などで
人体実験食材として食べさせて
何ベクレルまでなら消費者に内部被爆の危険を
悟られる事が無いか死神博士と相談しながら
基準値を決定しているのである。

日本の農産物や食品は、これからもずっと海外では、
敬遠され続けるであろう。
米国米は安くておいしい。でも遺伝子組み変えが心配?
風評被害を撒き散らして食品輸入防衛を大々的にやっていながら
日本産のお米は安全だから高いのですとよく言えたものです。

わずかな線量でも蓄積されれば
子供たちの成長にとって良いはずない。
爺さん婆さんの細胞分裂には活性化して
放射線が効果的に働くかも知れんが・・・
パラレル | 2012.04.27 02:25 | 編集
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