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05.02
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東京新聞2012年5月1日 こちら特報部より
電気不足は不幸なの?

12億人の国民のうち4割近くが電気のない生活を送っているとされるインドで、
太陽光充電式のランタンを普及させる活動に東京都港区のNPO法人「ガイア・イニシアティブ」が取り組んでいる。
代表を務めるのはテレビキャスターや三洋電機会長を歴任した野中ともよさん(57)。
野中さんは「原発事故を経験した日本人も、エネルギーとの付き合い方を考え直す時期に来ている」と訴える。
(上田千秋)

インドに太陽光充電ランタン広める

「既存のNPO法人は専門性の高いところが多く、関わりにくいように感じていた。
いろいろな事が出来て、だれでも気軽につながれる団体が作れないかと考えた」

野中さんは2007年8月にガイアを設立した理由をこう語る。
インドのシンクタンク「エネルギー資源研究所」(TERI)の所長と野中さんがもともと知り合いだったこともあり、
2008年から両団体が連帯した事業が始まった。

仕組みはこうだ。
ガイアが日本国内で寄付を集め、
同研究所が、ソーラーパネルを備え付けた充電ステーションを電気が通っていない村に設置。
住民は農作業の帰りなどに立ち寄って、充電したランタンを受け取り、翌朝また、ステーションに持ってくる。
村によって金額は多少変わるものの、住民は利用料として一晩2ルビー(約3円)程度を払う。
ガイアはこれまで32の村にパネルと1600個のランタンを寄付。
少しでも現地の経済が潤うようにと、いずれも同国製のものを選んで知る。

こうした村々では従来、灯油のランプを使っていたが、
油の質が悪いため煙で呼吸器や目の病気になる人が少なくなかった。
火事の危険性も高く、最低限の時間しか火を付けられなかったという。

充電式のランタンはランプに比べて使い勝手がよく、野中さんは
「子どもは勉強、大人は火事や副業ができるようになったり、何より家族だんらんの時間が増えた」と強調。
「乳幼児の死亡率を下げるため、
充電ステーションに置いた冷蔵庫にワクチンを保管する事業の準備も進めている」と語る。


「一人一人 考え直す時期」

1990年代にニュース番組のメインキャスターを勤めていた野中さんは、
豊富な経験と知識を買われて2002年6月に三洋電機の社外取締役になり、
2005年6月から2007年3月までは会長を務めていた。

いま、野中さんは
「福島第一原発の事故で、人間はとんでもないものに手を出していた事に気づかされた。
電気が足りないのは不便で不幸なことだろうか」
と問う。

「中央の送電線から配られる電気ではなく、
一般市民は太陽光のようにコミュニティーの中で作った電気を使う時代が来ることも考えられる
一人一台のテレビはいらないし、夜中まで起きている必要もない。
人の幸せとは何なのかという根本的な問題に、一人ひとりが向き合うべきではないか




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ガイア・イニシアティブ
ソーラーランタンプロジェクト
世界には電気のない生活を送っている人が約15億人います。
ソーラーランタンプロジェクトは、ソーラーエネルギーを利用して、
多くの人の生活に“あかり”を灯そうとする取り組みです。
まずはインドの農村部からスタートし、全世界へ拡大していきます。



野中ともよ(Tomoyo Nonaka)
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【プロフィール】
上智大学大学院文学研究科前期博士課程終了。
1979年よりNHK、テレビ東京等で番組メインキャスターを務める。
2001年より日興フィナンシャル・インテリジェンス理事長、アサヒビール社外取締役、三洋電機社外取締役などを務め、
2005年7月~2007年3月三洋電機代表取締役会長。
また、財政制度審議会、法制審議会、中央教育審議会など政府審議会委員も歴任。
著書に『心をつなぐ生き方』(サンマーク出版)『私たち「地球人」』(集英社)など多数。
様々な活動の先に常に見据えているのは"次世代の子どもたちが笑顔でいられる社会づくり"。
このライフワークを、よりダイレクトに具現化するため、2007年8月にNPO法人ガイア・イニシアティブを設立。
代表を務める。(野中ともよ公式サイト:http://tomoyononaka.com/

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| 2012.05.05 09:43 | 編集
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