06.04
Mon
このブログでも以前
「がれき」の未来ある生かし方ー命を守る森づくりー 宮脇昭氏(内容書き出し)
として紹介させていただいた宮脇先生の「命の森づくり」について
長野智子さんの報道ステーションSUNDAYで放送して下さいました。
特集
がれき処理に新たな動き
”森の力”で被災地救え!
20120603 「がれきで森を再生」84歳学者の闘い 投稿者 PMG5
報道ステーションSUNDAY 2012年6月4日放送
実はずらりと並んだこの苗木なんですが、一年に1m伸びるというすごい成長力なんですね。
広葉樹の苗木なんです。
いま、被災地のがれきをめぐって国民の意見が二分されているんですが、
実はこの苗木ががれき問題を解決するカギを握っているんです。
細川元総理らも支援
”がれきで森を再生”84歳学者の闘い

「放射能被曝させないで!がれきを燃やさないでー!!」
「今逮捕者が出ました」
東日本大震災で発生した震災がれきの試験焼却をめぐり
先月北九州市で、搬入を阻止する反対派市民と警察隊が衝突。
逮捕者二人を出す騒ぎとなった。
受け入れか拒否か、
世論を二分する震災がれきの広域処理問題。
復興の足かせとなっているがれきの処分率は15%余り。
こうした中、画期的な打開策が動き出そうとしている。
1200人以上の死者、行方不明者を出した岩手県大槌町。
4月下旬この町で、全国初のある催しが行われた。
長野智子:
今大勢の方が苗木を植えているところなんですね。
この盛り土の中なんですけれども、実はコンクリートを砕いたものであるとか、あるいは、
津波で流された自然木などの震災がれきが入っているんです
町民やボランティアなど、およそ550人が参加した大槌町「千年の杜」植樹会
3400本もの苗木が植えられた盛り土には2トンの丸太や砕かれたコンクリートが埋設されていた。

長野:
石とかがごろごろ、これはがれきの関係の石なんですか?
こういったがれき、ね、細かくなっていますね。
企業が大槌町と組んで実験的に行ったこのプロジェクトは震災がれきを盛り土の材料として活用。
さらに苗木を植樹して防潮林とする「命を守る森の防波堤構想」によるものだ

住民:
感激しましたねぇ。
だってね、他に持って行ったらお金はかかるし、
ここで、地元で再利用できるという事は最高、素晴らしい事だと思いますよ。
このプランを震災直後から提唱し続けてきた人物。
麦わら帽子がトレードマークの生態学者の宮脇昭、84歳である。

宮脇昭(横浜国立大学名誉教授・生態学):
大丈夫だと思って予測したり、造った防潮堤が、
必ず地震国日本の自然の揺り戻しで二万人の方の命が失われた。
これは何とかしなくてはいけないと。
やはり生きた緑の蓄財をどう使いきるか、これが勝負なんですよ。
1958年、西ドイツの研究機関に招へいされて以来、植物生態学の第一人者として、
日本はもとより、中国・ブラジルなど世界1700カ国で植樹を指導してきた宮脇。
「4000万本の木を植えた男」として、
日本人で初めて環境界のノーベル賞と言われるブループラネット賞を受賞(2006年11月)した
森林再生の世界的権威である。

宮城県南三陸町2011年4月
震災からわずか一カ月後、宮脇は被災地宮城にいた。
ここで彼は思いもかけない光景を見る。
宮脇:
このタブノキがなければ斜面が崩れてしまっている。
あそこにビニールが引っかかって、ここからさらに10m上まで、津波が来た。
それは、宮脇が最もこだわり続けて植えてきたタブノキが、
押し寄せる津波に負けず、根を絡ませながらしっかりと根を蓄えている姿だった。
宮脇は思った。
「こうした樹木で壮大な緑の防潮堤を築きたい」
宮脇:
幅が100m、高さが22mで、南北300km森を作れば、
今のがれきは、どんな計算をしても4.8%、全部入れても。
長野:その中の4.8%にしかならないんですか?瓦礫が。
宮脇:ならないんです。足らないんですよ。マウンドをつくるには。
長野:えっ!?
このプロジェクトが遂行すれば、被災地にある1900万トンのがれきですら、
森度の僅か4.8%、5%にも満たないという。
そんな壮大な構想を掲げた財団が先月末立ち上がった。
「がれきを生かす森の長城プロジェクト」

メンバーは細川元総理を理事に据えたそうそうたる顔ぶれ。
細川元首相:
そうしたがれきを生かした森作りというものが進んでいくならば、
本当にこれは一石二鳥と申しますか、非常に意味のある事ではないかと。
これは、森作りを通して、30年ほど前に宮脇と知り合った細川元総理が宮脇の思いに賛同して始まった。
細川:
そりゃあもう、大変情熱的でね、熱い方で行動力もある方ですから、本当に素晴らしいと思います。

元総理も敬服する84歳の行動力。
この日宮脇は南三陸町の沖合にある無人島に向かった。
椿島
津波の直撃を受けた島の植生がどう変わったか調べるためである。
船着き場さえない、岩場だらけの島。
宮脇:
ここまで洗われても生きていますね。

そこには、高さ15m以上の津波が襲い、根本をえぐられても生き残るタブノキの姿が。
宮脇:
これだけ塩水を受けてえぐられていても、津波を押さえて、しかも生き延びているじゃございませんか。
これが本物の姿です。
宮脇が言う本物の姿。
それはその土地に自然に芽生えて育ってきた植物たち。命の力。
宮脇:これはすごい。
宮脇は確信した。
自分の考えに間違いはない。
彼の人生は常に森とあった。
10年をかけ日本全国をくまなく歩いた宮脇は土地それぞれの植生をまとめた本の出版。
こうした植生が日本古来の「鎮守の森」にこそ残っていると、
常緑広葉樹であるシイ、タブ、カシなどを中心とした鎮守の森作りを目指している。
森脇:
鎮守の森とは、土地本来のふるさと木とふるさとの森。
この森を切ったら罰が当たる。
宗教的なたたり意識によって残されてきた、それが鎮守の森です。
鎮守の森、
そこは人を寄せ付けない神々しさに満ちていた。
神々が集い、戯れるところ。
それはまた、あまたの生命にも満ちあふれていた。
こうして作られた森が、宮脇が教べんをとっていた大学に残されている。
かつてゴルフ場だったこの場所を彼は森として蘇らせた。

宮脇:
これが土地本来のタブノキであって、やや大器晩成ですから、
ごらんように種が落ちて芽生えが出ている訳です。
これがだんだんと大きくなりまして、こういう状態になる訳です。
長野:何年ぐらいかかるんですか?これだけ大きくなるまでに。
宮脇:大体30年から35年
宮脇の森作りは様々な木を密集して植える混植・密植が基本だ。
やがてそれは自然淘汰され、本来の森に近い状態になるという。
宮脇:
こらんのように枯れて、枝が落ちたり落ち葉が落ちたり、これは全部地球資源なんです。
たとえばこうして掘ってみますね、
長野:
あ~、いい香り。
え?何の香り?これ

宮脇:カビ、カビの匂いじゃないですか?
長野:
カビの香りなんだ。
なんて言うか嫌な香りじゃなくて、ハーブの香りみたいな。
宮脇:
カビというのは生き物なんです。
あっという間に分解します。
それが窒素、リン酸、カリになって、こういう状態になると、
それが根から吸収されてさらに森の養分になります。
森の持つ自然界のサイクル。
さらに彼が見せてくれたのは広葉樹の命のたくましさ。

宮脇:
杉の木、松は刈ればそのまま死んでしまい、根まで死んでしまいますけど、
広葉樹は邪魔になれば刈ればいくらでも、
たとえば、これ。
そうすると、ヒコバエが出てきていくらでも育つわけ。
新たな生命をつむいでいく森の神秘がそこにはあった。
宮城・岩沼上空2011年3月12日
ヘルプ・食料という文字が見えます。
完全に孤立してしまっている状態です。
津波による甚大な被害を受けた宮城県岩沼市。
この町にそれを裏付けるこんな事例があった。

津波被害を受けた菅原君城さん:
いま、家並みとして残っているのは25軒ぐらいはあるんですけれども、
ま、100軒以上壊れたんです。
流されて無くなった家もあれば、直せない状態で壊したものもある。
周りの家々が破壊されていく中、菅原さん宅は流出・全壊を免れたという。
菅原:
たぶん、あの居久根があったところと、ないところでは全く家のいたみ方が違うというか、
やっぱり防御してもらったんですよね。
居久根がバリケードのようになって、

居久根(いぐね)とは建物を強風などから守るため家の周りに植えられたいわゆる「屋敷林」のことだ。
11代続く菅原さん宅では居久根が押し寄せる津波や漂流物から家屋を守ったのだ。

こうした樹木の有効性は南から流出してきた船舶を海岸防災林が受け止め、
被害を減少させたことからも証明されている。

森林総合研究所 坂本知己氏:
防潮堤が作った時からどんどん経年齢化していくことに比べると、
林帯をつくった時にはほとんど役立たない。
でも、徐々に徐々に機能を発揮できて、手入れをしっかりやればとても長い期間役立つ空間にする事が出来る

宮脇:
で、もう一つ大事なことは、引き潮で1万人近い方が今回も亡くなったわけです。
ほとんどが海に流された。
長野:引き波という、強い波。
宮脇:
はい。
ところが、森がありますとね、土地本来の木を混植・密植しますと、
この森の中で流されても、いっぱい木がありますから、
ちょっと引っかかっても、ちょっと抱いておけば、
もう、2,3分で水は下がりますから、1万人近い方は海に流されずにすんだはずなんです。
津波に対する宮脇方式の森の有効性と、
盛り土に埋める震災がれきの処理。
こうした一石二鳥の手法が広まってから、次第に「命を守る森の防波堤づくり」が動き出していった。
先月26日。
大槌町に続き岩沼市が震災がれきを用いた盛り土を試験的に作り、
植樹祭を行った。

これは昨年9月「千年希望の丘」という森の防潮堤作りを復興計画に掲げた市の政策が、
9か月を経て、ようやく形になったものだ。
宮城県岩沼市 井口経明市長:
特にがれきを使うという事に関しては、今法令とかいろいろな定めがありますので、
そのあたりの調整とかに結構時間がかかったのかなと思っています。

震災がれきをめぐる国の基準では、盛り土の強度を確保するため、
コンクリートは小さく砕かねばならず、
木材はガスの発生や土壌汚染の可能性があるとして、一般的には認められていない。
今回許されたのは、あくまで「実証実験のため」ということだった。
こうした国の基準に対し、宮脇は過去40年の経験を踏まえ、震災がれきの有効性を訴える。
宮脇:
根は息をしている。
がれきを入れると隙間ができるから、酸素があれば根が5m、6mと入ってくれる。
で、がれきを抱きます。
木材がゆっくりと分解されたら、それは、窒素、リン酸、カリ、
森の養分としてさらに森を発展させる。
長野:
むしろがれきで隙間ができることで木が育ちやすくなると。
宮脇:
そう、隙間がなきゃダメなんです。

大きなコンクリートがれきを埋める事で空間ができ、
根が成長するに従って、がれきを抱き込み、木が倒れにくくなる。
さらに木材は分解され、木々をより成長させるというのだ。
植樹祭に出向いた細野環境大臣はがれきを埋めた防潮堤造りに注目している。
細野環境大臣:
がれきの場合はですね、これまでいろいろと問題になってきた事があったこともあって、
日本の場合には非常に厳しくやっているんですね。
一歩一歩ですね。


宮脇:
どうか前向きに考えましょう。
命を守る森、そして地域経済と共生する森。
地球環境で世界に評価される本物。
是非、危機をチャンスに、今こそチャンスです。
二万人の方の鎮魂の森を、
そして生き残った方の希望の森を、
足元から、皆さんのため、私のため、あなたのため、そして
出来るところからやりましょう、今がチャンスです。
震災がれきの処理を飛躍的に進め、
次の災害にも立ち向かう「老科学者の壮大な構想」
それは今、小さな一歩を踏み出したばかりだ。
ーーースタジオ

長野智子:
震災から一年以上経っているんですが、ご覧のように本当に瓦礫は残っていて、
被災地の復興を妨げる状態です。
わたしは本当に、この国難の時期なんですから、
何とかもっと環境省にも柔軟に対応してもらえないかと思うんですが、いかがですか?
田崎史郎:
確かにその通りですね。
僕よりも手塚さんにお話し頂いた方がいいんじゃないかと思ってね。
長野:
まだまだこの盛り土に埋める震災がれきの制限はあるんですよね?
手塚仁雄総理補佐官(野田総理の側近中の側近):本当に勉強になりました。

真ん中の方:
いや、政治不信なのでもっと、一歩一歩と言わずに
もっとスピーディーにやっていただいたほうがいいとおもいますけどね
長野:
実はこの宮脇先生は野田総理ともお話しをされていて、
野田総理も非常にこの先生の考え方には共鳴されていると伺っております。
手塚:細川さんも出ておられましたしね。
長野:
是非ここはトップダウンで、両輪で何とか一日も早くがれきが片付けて、
被災地の復興が進むように、是非一体となって頑張っていただきたいとおもいます。
真ん中の方:おねがいします
ーーー
細川元総理が財団を組んで支援を始めたことは、心強い支援だと思います。
「企業が試験的に」という事なので、こちらでもお金は動いていそうです。
ただ、がれきは燃やすよりも、わたしには宮脇先生の森作りの方が、
未来にも役に立つし、津波で亡くなった方々や、遺品などの供養にもなるように思います。
細野大臣の一歩一歩という言葉には引っ掛かりました。
再稼働や広域処理に関しては猛スピードで進めていくのに・・・不思議です。ʅ( ~⊖◝)ʃワカラナーイ
「がれき」の未来ある生かし方ー命を守る森づくりー 宮脇昭氏(内容書き出し)
として紹介させていただいた宮脇先生の「命の森づくり」について
長野智子さんの報道ステーションSUNDAYで放送して下さいました。
特集
がれき処理に新たな動き
”森の力”で被災地救え!
20120603 「がれきで森を再生」84歳学者の闘い 投稿者 PMG5
報道ステーションSUNDAY 2012年6月4日放送
実はずらりと並んだこの苗木なんですが、一年に1m伸びるというすごい成長力なんですね。
広葉樹の苗木なんです。
いま、被災地のがれきをめぐって国民の意見が二分されているんですが、
実はこの苗木ががれき問題を解決するカギを握っているんです。
細川元総理らも支援
”がれきで森を再生”84歳学者の闘い

「放射能被曝させないで!がれきを燃やさないでー!!」
「今逮捕者が出ました」
東日本大震災で発生した震災がれきの試験焼却をめぐり
先月北九州市で、搬入を阻止する反対派市民と警察隊が衝突。
逮捕者二人を出す騒ぎとなった。
受け入れか拒否か、
世論を二分する震災がれきの広域処理問題。
復興の足かせとなっているがれきの処分率は15%余り。
こうした中、画期的な打開策が動き出そうとしている。
1200人以上の死者、行方不明者を出した岩手県大槌町。
4月下旬この町で、全国初のある催しが行われた。
長野智子:
今大勢の方が苗木を植えているところなんですね。
この盛り土の中なんですけれども、実はコンクリートを砕いたものであるとか、あるいは、
津波で流された自然木などの震災がれきが入っているんです
町民やボランティアなど、およそ550人が参加した大槌町「千年の杜」植樹会
3400本もの苗木が植えられた盛り土には2トンの丸太や砕かれたコンクリートが埋設されていた。

長野:
石とかがごろごろ、これはがれきの関係の石なんですか?
こういったがれき、ね、細かくなっていますね。
企業が大槌町と組んで実験的に行ったこのプロジェクトは震災がれきを盛り土の材料として活用。
さらに苗木を植樹して防潮林とする「命を守る森の防波堤構想」によるものだ

住民:
感激しましたねぇ。
だってね、他に持って行ったらお金はかかるし、
ここで、地元で再利用できるという事は最高、素晴らしい事だと思いますよ。
このプランを震災直後から提唱し続けてきた人物。
麦わら帽子がトレードマークの生態学者の宮脇昭、84歳である。

宮脇昭(横浜国立大学名誉教授・生態学):
大丈夫だと思って予測したり、造った防潮堤が、
必ず地震国日本の自然の揺り戻しで二万人の方の命が失われた。
これは何とかしなくてはいけないと。
やはり生きた緑の蓄財をどう使いきるか、これが勝負なんですよ。
1958年、西ドイツの研究機関に招へいされて以来、植物生態学の第一人者として、
日本はもとより、中国・ブラジルなど世界1700カ国で植樹を指導してきた宮脇。
「4000万本の木を植えた男」として、
日本人で初めて環境界のノーベル賞と言われるブループラネット賞を受賞(2006年11月)した
森林再生の世界的権威である。

宮城県南三陸町2011年4月
震災からわずか一カ月後、宮脇は被災地宮城にいた。
ここで彼は思いもかけない光景を見る。
宮脇:
このタブノキがなければ斜面が崩れてしまっている。
あそこにビニールが引っかかって、ここからさらに10m上まで、津波が来た。
それは、宮脇が最もこだわり続けて植えてきたタブノキが、
押し寄せる津波に負けず、根を絡ませながらしっかりと根を蓄えている姿だった。
宮脇は思った。
「こうした樹木で壮大な緑の防潮堤を築きたい」
宮脇:
幅が100m、高さが22mで、南北300km森を作れば、
今のがれきは、どんな計算をしても4.8%、全部入れても。
長野:その中の4.8%にしかならないんですか?瓦礫が。
宮脇:ならないんです。足らないんですよ。マウンドをつくるには。
長野:えっ!?
このプロジェクトが遂行すれば、被災地にある1900万トンのがれきですら、
森度の僅か4.8%、5%にも満たないという。
そんな壮大な構想を掲げた財団が先月末立ち上がった。
「がれきを生かす森の長城プロジェクト」

メンバーは細川元総理を理事に据えたそうそうたる顔ぶれ。
細川元首相:
そうしたがれきを生かした森作りというものが進んでいくならば、
本当にこれは一石二鳥と申しますか、非常に意味のある事ではないかと。
これは、森作りを通して、30年ほど前に宮脇と知り合った細川元総理が宮脇の思いに賛同して始まった。
細川:
そりゃあもう、大変情熱的でね、熱い方で行動力もある方ですから、本当に素晴らしいと思います。

元総理も敬服する84歳の行動力。
この日宮脇は南三陸町の沖合にある無人島に向かった。
椿島
津波の直撃を受けた島の植生がどう変わったか調べるためである。
船着き場さえない、岩場だらけの島。
宮脇:
ここまで洗われても生きていますね。

そこには、高さ15m以上の津波が襲い、根本をえぐられても生き残るタブノキの姿が。
宮脇:
これだけ塩水を受けてえぐられていても、津波を押さえて、しかも生き延びているじゃございませんか。
これが本物の姿です。
宮脇が言う本物の姿。
それはその土地に自然に芽生えて育ってきた植物たち。命の力。
宮脇:これはすごい。
宮脇は確信した。
自分の考えに間違いはない。
彼の人生は常に森とあった。
10年をかけ日本全国をくまなく歩いた宮脇は土地それぞれの植生をまとめた本の出版。
こうした植生が日本古来の「鎮守の森」にこそ残っていると、
常緑広葉樹であるシイ、タブ、カシなどを中心とした鎮守の森作りを目指している。
森脇:
鎮守の森とは、土地本来のふるさと木とふるさとの森。
この森を切ったら罰が当たる。
宗教的なたたり意識によって残されてきた、それが鎮守の森です。
鎮守の森、
そこは人を寄せ付けない神々しさに満ちていた。
神々が集い、戯れるところ。
それはまた、あまたの生命にも満ちあふれていた。
こうして作られた森が、宮脇が教べんをとっていた大学に残されている。
かつてゴルフ場だったこの場所を彼は森として蘇らせた。

宮脇:
これが土地本来のタブノキであって、やや大器晩成ですから、
ごらんように種が落ちて芽生えが出ている訳です。
これがだんだんと大きくなりまして、こういう状態になる訳です。
長野:何年ぐらいかかるんですか?これだけ大きくなるまでに。
宮脇:大体30年から35年
宮脇の森作りは様々な木を密集して植える混植・密植が基本だ。
やがてそれは自然淘汰され、本来の森に近い状態になるという。
宮脇:
こらんのように枯れて、枝が落ちたり落ち葉が落ちたり、これは全部地球資源なんです。
たとえばこうして掘ってみますね、
長野:
あ~、いい香り。
え?何の香り?これ

宮脇:カビ、カビの匂いじゃないですか?
長野:
カビの香りなんだ。
なんて言うか嫌な香りじゃなくて、ハーブの香りみたいな。
宮脇:
カビというのは生き物なんです。
あっという間に分解します。
それが窒素、リン酸、カリになって、こういう状態になると、
それが根から吸収されてさらに森の養分になります。
森の持つ自然界のサイクル。
さらに彼が見せてくれたのは広葉樹の命のたくましさ。

宮脇:
杉の木、松は刈ればそのまま死んでしまい、根まで死んでしまいますけど、
広葉樹は邪魔になれば刈ればいくらでも、
たとえば、これ。
そうすると、ヒコバエが出てきていくらでも育つわけ。
新たな生命をつむいでいく森の神秘がそこにはあった。
宮城・岩沼上空2011年3月12日
ヘルプ・食料という文字が見えます。
完全に孤立してしまっている状態です。
津波による甚大な被害を受けた宮城県岩沼市。
この町にそれを裏付けるこんな事例があった。

津波被害を受けた菅原君城さん:
いま、家並みとして残っているのは25軒ぐらいはあるんですけれども、
ま、100軒以上壊れたんです。
流されて無くなった家もあれば、直せない状態で壊したものもある。
周りの家々が破壊されていく中、菅原さん宅は流出・全壊を免れたという。
菅原:
たぶん、あの居久根があったところと、ないところでは全く家のいたみ方が違うというか、
やっぱり防御してもらったんですよね。
居久根がバリケードのようになって、

居久根(いぐね)とは建物を強風などから守るため家の周りに植えられたいわゆる「屋敷林」のことだ。
11代続く菅原さん宅では居久根が押し寄せる津波や漂流物から家屋を守ったのだ。

こうした樹木の有効性は南から流出してきた船舶を海岸防災林が受け止め、
被害を減少させたことからも証明されている。

森林総合研究所 坂本知己氏:
防潮堤が作った時からどんどん経年齢化していくことに比べると、
林帯をつくった時にはほとんど役立たない。
でも、徐々に徐々に機能を発揮できて、手入れをしっかりやればとても長い期間役立つ空間にする事が出来る

宮脇:
で、もう一つ大事なことは、引き潮で1万人近い方が今回も亡くなったわけです。
ほとんどが海に流された。
長野:引き波という、強い波。
宮脇:
はい。
ところが、森がありますとね、土地本来の木を混植・密植しますと、
この森の中で流されても、いっぱい木がありますから、
ちょっと引っかかっても、ちょっと抱いておけば、
もう、2,3分で水は下がりますから、1万人近い方は海に流されずにすんだはずなんです。
津波に対する宮脇方式の森の有効性と、
盛り土に埋める震災がれきの処理。
こうした一石二鳥の手法が広まってから、次第に「命を守る森の防波堤づくり」が動き出していった。
先月26日。
大槌町に続き岩沼市が震災がれきを用いた盛り土を試験的に作り、
植樹祭を行った。

これは昨年9月「千年希望の丘」という森の防潮堤作りを復興計画に掲げた市の政策が、
9か月を経て、ようやく形になったものだ。
宮城県岩沼市 井口経明市長:
特にがれきを使うという事に関しては、今法令とかいろいろな定めがありますので、
そのあたりの調整とかに結構時間がかかったのかなと思っています。

震災がれきをめぐる国の基準では、盛り土の強度を確保するため、
コンクリートは小さく砕かねばならず、
木材はガスの発生や土壌汚染の可能性があるとして、一般的には認められていない。
今回許されたのは、あくまで「実証実験のため」ということだった。
こうした国の基準に対し、宮脇は過去40年の経験を踏まえ、震災がれきの有効性を訴える。
宮脇:
根は息をしている。
がれきを入れると隙間ができるから、酸素があれば根が5m、6mと入ってくれる。
で、がれきを抱きます。
木材がゆっくりと分解されたら、それは、窒素、リン酸、カリ、
森の養分としてさらに森を発展させる。
長野:
むしろがれきで隙間ができることで木が育ちやすくなると。
宮脇:
そう、隙間がなきゃダメなんです。

大きなコンクリートがれきを埋める事で空間ができ、
根が成長するに従って、がれきを抱き込み、木が倒れにくくなる。
さらに木材は分解され、木々をより成長させるというのだ。
植樹祭に出向いた細野環境大臣はがれきを埋めた防潮堤造りに注目している。
細野環境大臣:
がれきの場合はですね、これまでいろいろと問題になってきた事があったこともあって、
日本の場合には非常に厳しくやっているんですね。
一歩一歩ですね。


宮脇:
どうか前向きに考えましょう。
命を守る森、そして地域経済と共生する森。
地球環境で世界に評価される本物。
是非、危機をチャンスに、今こそチャンスです。
二万人の方の鎮魂の森を、
そして生き残った方の希望の森を、
足元から、皆さんのため、私のため、あなたのため、そして
出来るところからやりましょう、今がチャンスです。
震災がれきの処理を飛躍的に進め、
次の災害にも立ち向かう「老科学者の壮大な構想」
それは今、小さな一歩を踏み出したばかりだ。
ーーースタジオ

長野智子:
震災から一年以上経っているんですが、ご覧のように本当に瓦礫は残っていて、
被災地の復興を妨げる状態です。
わたしは本当に、この国難の時期なんですから、
何とかもっと環境省にも柔軟に対応してもらえないかと思うんですが、いかがですか?
田崎史郎:
確かにその通りですね。
僕よりも手塚さんにお話し頂いた方がいいんじゃないかと思ってね。
長野:
まだまだこの盛り土に埋める震災がれきの制限はあるんですよね?
手塚仁雄総理補佐官(野田総理の側近中の側近):本当に勉強になりました。

真ん中の方:
いや、政治不信なのでもっと、一歩一歩と言わずに
もっとスピーディーにやっていただいたほうがいいとおもいますけどね
長野:
実はこの宮脇先生は野田総理ともお話しをされていて、
野田総理も非常にこの先生の考え方には共鳴されていると伺っております。
手塚:細川さんも出ておられましたしね。
長野:
是非ここはトップダウンで、両輪で何とか一日も早くがれきが片付けて、
被災地の復興が進むように、是非一体となって頑張っていただきたいとおもいます。
真ん中の方:おねがいします
ーーー
細川元総理が財団を組んで支援を始めたことは、心強い支援だと思います。
「企業が試験的に」という事なので、こちらでもお金は動いていそうです。
ただ、がれきは燃やすよりも、わたしには宮脇先生の森作りの方が、
未来にも役に立つし、津波で亡くなった方々や、遺品などの供養にもなるように思います。
細野大臣の一歩一歩という言葉には引っ掛かりました。
再稼働や広域処理に関しては猛スピードで進めていくのに・・・不思議です。ʅ( ~⊖◝)ʃワカラナーイ
- 関連記事
-
- 筆洗「がれきこそ、かけがえのない地球資源」7/4
- 岩手のがれき県外受け入れ 処理必要量を上回る
- 多摩市が突然広報で公表「7月11日からのがれき受け入れ」
- そして、被災した女川の魂と命は東京の西多摩組合で一般ごみと混ぜて焼かれました。
- 「広域ありき」は不変 震災がれき処理 密室有識者会議6/6こちら特報部より
- 羽村市西多摩衛生組合11日瓦礫受け入れ開始・焼却灰は日の出町
- 大阪湾フェニックス「震災がれき”検証”海面埋め立て」マル調6/6(動画・内容書き出し)
- ”がれきで森を再生”84歳学者の闘い6/3報道SUNDAY(動画・内容書き出し)
- 多摩地域を守るために「日野市がれき受け入れ」に国民の声を届けよう!
- 昨年4月にがれき受け入れを真っ先に表明していた川崎市の阿部市長の発言!「がれきは東北地方だけで処理できると理解している」
- がれきの広域処理の問題点が全て見えてくる!「新潟県知事が環境大臣に宛てた”がれき広域処理”に関する再質問全文」
- 「瓦礫問題に本質はない。あるのは細野のメンツ!」木下黄太氏5/18(文字起こし)
- がれき広域処理混乱のワケ4/5こちら特報部より
- 「試験」焼却だけで随分瓦礫は無くなるんじゃない?・・静岡市29トン今日試験焼却
- 線量計があっという間に10倍に・北九州市
コメント
きーこ様
毎日本当にお疲れさまです。
必要な情報を網羅して届けてくださるので、開かずにはいられないブログになっています。
5月12日、池田こみち先生と、矢ケ克馬先生の講演を聞きました。
そこで、東北大学の岡山博先生の、がれき処理についての紹介がありました。
私は、岡山先生の、【津波瓦礫はすべて山積み処分し公園に整備を。津波瓦礫の合法的処分法】を読み、総ての方にやさしい瓦礫処理は、これではないかと思っていました。
岩手、宮城の津波瓦礫は遺品として扱い、全て集めて仙台平野の海岸に山積み処分し、大古墳のように整備して、慰霊と津波記念の大公園にする…という方法です。呼吸器の教授ですので、なぜ燃やしはいけないのかも、論理的に説明されています。
その後、宮脇先生の【森の防波堤】の動画を見て、早速、【「森の長城」が日本を救う】と【瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る】を取り寄せました。
ただ、岡山先生・宮脇先生、どちらの案も素晴らしいと感じるものの、汚染の問題だけが、自分では判断できませんでした。
でも、宮脇先生については、きーこさんが既に、3月2日にご紹介くださっていたのですね!
その日のコメントを拝見し、共鳴しました。
池田こみちさん曰く、津波瓦礫は、放射性物質だけではなく、様々な化学物質が付着しているので、燃やしても、そのまま埋めてもいけないと説明されました。
私は、岡山先生が提言されている公園について質問をしました。
下にはシートを敷くことと、瓦礫の上もコンクリートだけではなく、綺麗に整備すればいいとのことでした。
この2点をクリアーし、優しさに満ちたお二人の提言が、一刻も早く取り入れられるよう、願っています。
現場主義をモットーにしているという、【環境総合研究所】の青山貞一さんと池田こみちさんも、復興まちづくりの基本、復興に向けての政策提言をされていますので、ご覧いただきたいと思います。流れ出る汚水処理の必要もあるみたいです。
また、瓦礫問題に関しては、【あざらしサラダ】さんが、川崎瓦礫問題に取り組んだのち、名古屋に来て、愛知の瓦礫問題に取り組んでおられます。今、実際に、がれきや焼却灰の引き受け問題に取り組んでおられる方には、参考になる資料があると思いますので、この場をお借りして、拡散させていただきます。
もう一つ、是非皆さんにお読みいただきたい本をご紹介させてください。
岩波ブックレットNO.832 「内部被曝」です。
矢ケ克馬・守田敏也 著
薄いので、これが一番読みやすいと思います。
3.11以来、なぜここまで酷いことが日本で平然と行われ続けるのか、どうしても理解できませんでした。
けれども、この本で、その謎が解けました。
きーこさんが以前ご紹介くださったように、世界で初めて、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が発足しました。
これから先、一番気を付けなければいけないのは、呼吸や飲食を通しての内部被曝の問題だと思います。
「内部被曝からいのちを守る」旬報社…によれば、市民が、5,000円で会員になったり(高・大・各種学校生は
2000円)、誰でも一口1000円以上で賛助会員となり、内部被曝研(ACSIR)の活動を支えることが出来ることを知りました。ご関心のある方は、お調べいただきたいと思います。
C-ラボ、市民放射能測定センターの講習会にも参加し、内部被曝研の大沼淳一先生と話してきました。
前回のコメントで少し触れましたが、【引き受けるのは、瓦礫ではなくこどもたち!それを全国の自治体で】と提言されています。
きーこさんをはじめ、人々の命を守るために活動・研究してくださる方々や先生方のお蔭で、元気をいただき前を向けます。
長くなりました。
きーこさん、皆さん、どうぞお身体大切に。
感謝をこめて。
毎日本当にお疲れさまです。
必要な情報を網羅して届けてくださるので、開かずにはいられないブログになっています。
5月12日、池田こみち先生と、矢ケ克馬先生の講演を聞きました。
そこで、東北大学の岡山博先生の、がれき処理についての紹介がありました。
私は、岡山先生の、【津波瓦礫はすべて山積み処分し公園に整備を。津波瓦礫の合法的処分法】を読み、総ての方にやさしい瓦礫処理は、これではないかと思っていました。
岩手、宮城の津波瓦礫は遺品として扱い、全て集めて仙台平野の海岸に山積み処分し、大古墳のように整備して、慰霊と津波記念の大公園にする…という方法です。呼吸器の教授ですので、なぜ燃やしはいけないのかも、論理的に説明されています。
その後、宮脇先生の【森の防波堤】の動画を見て、早速、【「森の長城」が日本を救う】と【瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る】を取り寄せました。
ただ、岡山先生・宮脇先生、どちらの案も素晴らしいと感じるものの、汚染の問題だけが、自分では判断できませんでした。
でも、宮脇先生については、きーこさんが既に、3月2日にご紹介くださっていたのですね!
その日のコメントを拝見し、共鳴しました。
池田こみちさん曰く、津波瓦礫は、放射性物質だけではなく、様々な化学物質が付着しているので、燃やしても、そのまま埋めてもいけないと説明されました。
私は、岡山先生が提言されている公園について質問をしました。
下にはシートを敷くことと、瓦礫の上もコンクリートだけではなく、綺麗に整備すればいいとのことでした。
この2点をクリアーし、優しさに満ちたお二人の提言が、一刻も早く取り入れられるよう、願っています。
現場主義をモットーにしているという、【環境総合研究所】の青山貞一さんと池田こみちさんも、復興まちづくりの基本、復興に向けての政策提言をされていますので、ご覧いただきたいと思います。流れ出る汚水処理の必要もあるみたいです。
また、瓦礫問題に関しては、【あざらしサラダ】さんが、川崎瓦礫問題に取り組んだのち、名古屋に来て、愛知の瓦礫問題に取り組んでおられます。今、実際に、がれきや焼却灰の引き受け問題に取り組んでおられる方には、参考になる資料があると思いますので、この場をお借りして、拡散させていただきます。
もう一つ、是非皆さんにお読みいただきたい本をご紹介させてください。
岩波ブックレットNO.832 「内部被曝」です。
矢ケ克馬・守田敏也 著
薄いので、これが一番読みやすいと思います。
3.11以来、なぜここまで酷いことが日本で平然と行われ続けるのか、どうしても理解できませんでした。
けれども、この本で、その謎が解けました。
きーこさんが以前ご紹介くださったように、世界で初めて、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が発足しました。
これから先、一番気を付けなければいけないのは、呼吸や飲食を通しての内部被曝の問題だと思います。
「内部被曝からいのちを守る」旬報社…によれば、市民が、5,000円で会員になったり(高・大・各種学校生は
2000円)、誰でも一口1000円以上で賛助会員となり、内部被曝研(ACSIR)の活動を支えることが出来ることを知りました。ご関心のある方は、お調べいただきたいと思います。
C-ラボ、市民放射能測定センターの講習会にも参加し、内部被曝研の大沼淳一先生と話してきました。
前回のコメントで少し触れましたが、【引き受けるのは、瓦礫ではなくこどもたち!それを全国の自治体で】と提言されています。
きーこさんをはじめ、人々の命を守るために活動・研究してくださる方々や先生方のお蔭で、元気をいただき前を向けます。
長くなりました。
きーこさん、皆さん、どうぞお身体大切に。
感謝をこめて。
オレンジママ | 2012.06.04 17:14 | 編集
キャプチャだらけで文字入れ先延ばしのまま放置していた拙ブログ(宮脇氏の目力をめいっぱい入れたかった)、字幕だけでなく、番組ナレや出演者の発言も追々挿入したく、かといって体力・時間不足の折り、検索してみたらやはりkiikoちゃんのところに、ちょー整理された記事が…^^;;。(最初から検索すればよかった。かといって、私はこの動画とキャプチャは自己備忘録として絶対残したかったんですが。ケイタイ族御用達を兼ねて。)
ということで、勝手ながら本文プラス抜けてたキャプチャをコピーさせて頂きました。でもFBではこちらのブログ記事のほうが見やすいと紹介させて頂きました。<(_ _)>
ということで、勝手ながら本文プラス抜けてたキャプチャをコピーさせて頂きました。でもFBではこちらのブログ記事のほうが見やすいと紹介させて頂きました。<(_ _)>
chihointokyo | 2012.06.23 07:10 | 編集