06.05
Tue
民主党の中で野田総理の原発再稼働に異論を唱えている原発事故収束対策PT。
”再稼働不満で署名提出へ 民主120人超「慎重に」”要請文あり。
2012年5月31日に行われた原発事故収束対策PT総会(第46回)での、舘野淳氏のお話です
原発事故収束対策PT総会(第46回)
舘野淳氏 音声のみ 2012年5月31日
舘野淳氏(原発事故収束対策PT総会5/31)音声のみ
舘野です。
日本原子力研究所にいてそのあと中央大学に行ったんですけれども、
いまは、なんにもやっておりません。
「今後の論争点シビアアクシデント問題」
結局いろんな論争があるとしても一番問題になるのは原子炉が、今の軽水炉ですね。
軽水炉が工学的に本当に安全なのか安全でないのかと、
推進側は結局「こういう塀を作ったから安全なんだ」とかこういう事を言うわけですね。
それはやっぱり、今の軽水炉を使っている以上は
どうしても工学的には安全とは言えないんだと、いう事をきちんと詰めておく必要があるんじゃないかと。
わたしは、かつて、原子力の技術者でしたから、そういう意味でお話をしようと思っています。
ま、時間がありませんのでほとんど話せないと思いますけれども、
そこでですね、一番大事なことは今回の事故でシビアアクシデントということですね。
シビアアクシデントというのは一般的に言うと非常にひどい事故で、
あの事故をご覧になれば非常にひどい事故だっていう事はお分かりになると思うんですけれども、
単にそういう感覚的な問題じゃなくて、技術的にもきちんと定義されていまして、
シビアアクシデントっていうのは、要するに「設計基準事項を超える事故」であるという
こういうふうに定義されているんですね。
これはどういう事かというと、
設計者が「ここまではこういう機器を付けて安全に対応できる」という事で作っている訳ですけれども、
それを越えてしまうと、
設計者ももうお手上げの事故だというのが「設計基準事項を超える事故」
つまり、シビアアクシデントな訳ですね。
そういうシビアアクシデントが起きた時にはどうするか?と言うと、
そこに、現場にいる人たちが八方手を尽くして
その事故を収束させるために、駆けずり回らなきゃいけない訳ですけれども、
今回はみごと、みごとというか、それに失敗したわけですね。
要するに本当に、今後もそういうシビアアクシデントが起きた時に、
現場にいる人たちが本当に収束できるかどうか?というそういう問題があるわけです。
で、その時に、軽水炉で一番問題になりますのは熱の問題です。
これは、放射能と水素爆発と熱と3つ、わたしは脅威だと言っているんですけれども、
その中で特に事故の一番の根本原因になるのは熱ですね。
なんでそんなに熱が問題になるのかと言いますと、
実は歴史的に見ますとそこにグラフが付いています。
軽水炉出品フォートというのがアメリカで随分古い、これは1956年かなんかに作られたんですけれども、
その時に、火力発電所と経済的に競争しなければならなかったんですね。
その競争するために猛烈な勢いで大型化をして、それから熱の出力密度をものすごく上げた訳です。
ですから、ちょっとでも冷却に手を抜くと、そこから温度がどんどん上がってメルトダウンが起こる。
そういう本質的な仕組みを帯びている訳です。
そういう意味では、自動車で言えば、一種の欠陥自動車と、
そういうふうなことを技術的にきちんと指摘するべきであるというふうに思います。
で、今回の事故ではですね、
東京電力のデータによりますと、
だいたい1号炉では、3時間後に炉心が露出して、4時間後に、それから一時間ぐらい経って炉心が溶けたと。
こういうデータがあるんですけれども、
今回はともかく、電源が無くても使える冷却装置が働いて、3時間は冷却したわけですね。
ところがもし、地震が起きて大口径の破断がおきて、
それでスッとその場で原発が止まった瞬間に炉心が露出したらどうなるか?ということを、
やっぱり考えてみる必要があると思うんですね。
その場合には、中の熱、崩壊熱と言っていますけれど、
これはどんどん減っていく熱ですけれど、
まだ、原発が稼働していて止まった瞬間というのは非常に大きな熱を発生している訳ですから、
とてもそんなに悠長なことは言っていられない。
3号炉の場合には1時間炉心が溶けるまでにあったわけですけれども、
その熱の比率で言いますと、だいたい6倍から7倍かですね、そのぐらい、
たとえば10秒後に大口径の破断が起きて中の水が抜けて、熱がどんどん、どんどん上がるようなことになると、
この前は1時間だったんですけれども、10分とか5分ぐらいで、メルトダウンが起きる可能性がある。
果たしてそんな時にですね、人の手でそれを冷やすことができるかどうか、
その辺のところが一番の大きな問題であるというふうに思っています。
言論抑圧事件
それから、あと一つだけちょっと言いたいのは、
じゃあ、そういう欠陥論がどうして受け入れられてしまったのかという事で
後ろに歴史年表が付けてあります。
これは4,5日前に日本の科学誌学会のシンポジウムで発表したものなんですけれども、
そこでいろいろあるんですけれども、
一つ、私達が原研にいた時に、科学者に対する弾圧事件、言論抑圧事件がおこりまして、
その言論抑圧事件がですね、科学技術省の差し金でそういう事が起こったんだと、資料を付けておきました。
これは、当時の科学技術庁の原子力局長の村田さんという人ですけれども、書いた文章ですね。
こういうふうにして科学者の言論を抑圧しながら、
異論を排除してですね、推進派ばかりで固めて行ってきたのが、
今の原子力ムラになってきたんだという事をひとこと。
一応それで終わりにしたい。
ーーーー
「頻発する科学者への弾圧事件」 下「」引用。より
これら言論抑圧事件は原研の単独プレーではなく背景があるね。
それは、時期的に遡るが、67年10月出された
「昭和42年度業務監査の結果について(照会)(42原局第1337号)と題する。
科学技術庁原子力局長村田浩から原研理事長丹羽周夫宛の文書である。
その第2項目「研究成果の外部発表の許可について」において「研究成果の研究員による外部発表については、
その可否および内容に関し、所として検討し、許可をする必要がある。
現在、貴研究所における許可制度は、高崎研究所を除いて必ずしも十分なものとは言いがたく、
また運用上その徹底を欠くうらみがある。
したがって、外部発表に関しては許可基準その他所要の事項について明確な規定を制定し、
所全体についてその実施を行うべきである。」と述べている。
原研ではこれを受けて、外部投稿表などの規制強化が図られ、
研究者は、原子力問題、特に安全問題について自由に意見を発表する権利を失っていった。
そのきっかけはこの文書が示すように官僚指導で行われてきたのである。
このようにして、異論を許さぬ産官学癒着体制が形成されていった。
そして「仲良しクラブ」的な癒着態勢が安全を守れないことは、今回の事故の中で各方面から厳しく指定されている。」
舘野 淳(たての・じゅん)/元中央大学商学部教授
専門分野 原子力(核燃料化学)
1936年旧奉天市生まれ。1959年東京大学工学部応用化学科卒業。
日本原子力研究所研究院を経て、1997年から中央大学商学部教授。
2007年中央大学退職。
現在核・エネルギー問題情報センター事務局長。
主な著書に『どうするプルトニウム』、『徹底解明 東海村臨界事故』、
『廃炉時代が始まった-この原発はいらない』、『動燃・核燃・2000年』、『地震と原子力発電所』など、多数。
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コメント
怖っ………!
学者は研究費を打ち切られたら何もできず逆らえないのを良いことに。
我々の訴追リストにまた名前が増えましたね。
学者は研究費を打ち切られたら何もできず逆らえないのを良いことに。
我々の訴追リストにまた名前が増えましたね。
| 2012.06.05 13:23 | 編集