fc2ブログ
06.10
Sun
中沢新一×平川克美「ラジオの街で逢いましょう」


中沢新一思想家・人類学者
パーソナリティー平川克美


このアーカイブは2012年6月8日にUst配信した一部です。



04:13
平川:
体調良くないんですか?
腰とか

中沢:
腰はね、震災後こん詰めていろいろやっちゃったのか、ストレスもあったのかもしれない。
その時期はほんとに悪くて歩けない時期があったんですよ。
もうだいぶ良くなったんですけど、真ん中に穴開いた座布団好きで・・

05:30
平川:
じゃ、話に入りたいと思うんですが、
例のグリーンアクティブから、大変ですか?

中沢:
おとといまでね、大飯原発の現地。
大島半島っていうんですが、そこでニソの杜シンポジウムっていうのをやってたんですね。
で、あそこはね、・・・
だいたい原発立地地ってあんまり報道しないじゃないですか。
すごくいいところなんですよ。
どこも歴史が異常に古い。

平川:なんか、ね。

中沢:
北陸のね、美浜にしても敦賀にしてもものすごく古いんです。
とりわけその、今度の大飯原発のところの大島半島っていうところは、
原発は半島の山の向こう側にあって見えないんですけれども、
こっち側の村っていうのが、古いかいみんの村で、
そこにニソの杜(にそのもり)っていう、

平川:僕は初めて聞きました。なんか神社の原型だっていう。

中沢:
神社の原型なんですね。
そこの村へ最初に移住した24の家があったんですけれども、
それが、みんな自分のところの神様を持つんですね。
で、こんもりした杜で、小さい杜なんですけれども、そこはね、絶対おいらずなんですよ。
人が立ち入っちゃいけない。
特別な時に儀式をやる人しか入っちゃいけないという場所で、
それがもう、点々としてあるんですね。
そこはしかも墓地にもなっていて、先祖の墓地でもある。
で、柳田國男さんなんかは「神社の原型はこれじゃないか」と言っていたぐらいの、
とても歴史が古くて、文化的にもものすごく古い村。
その山の向こう側が原発になっているんですね。
そこで大飯原発についてのシンポジウムを小浜の近辺でやると会場を貸してくれないもんですからw

平川:あ、そうなんですか

中沢:
ええ、いろいろ監修が入りますからね。
それでニソの杜から日本の未来を考えるという、
ただ、顔触れ見ると僕とか源ちゃん高橋源一郎とか、いとうせいこうとか、
もう何言おうとしているかはすぐ分かるような連中だったんですけれど、

平川:源ちゃんきたんですか?具合悪かった

中沢:
源ちゃんはね途中具合が悪くなっちゃって、
「あ、やっぱり」なんていって、で、来れなかったんですけど、
ま、いとう君と頑張りましてね、
そこに行ってよく分かったんですけれども、一つの半島で、こう背中合わせになっているんですけれども、
全然違う世界観、全然違う姿勢観、経済観っていうのが、
背中あわせになっているというのがハッキリ見えるんですね。

平川:おおいの方はやっぱり原発立地で、お金が撒かれて、

中沢:いや、おおいは、原発があるところは何にもないんです。

平川:ないんですか。

中沢:
もともと殆ど何にもないところだったんですね。
で、こっちのニソの杜のある方の村には確かに民宿が沢山出来たりして、雇用もあるんですけれども、
ニソの杜というものが抱えている世界観、ま、日本中いたるところにあった考え方なんだけれども、
それは、一種の生と死を循環させたり、人間と自然の間に循環ルートを作るという考え方で、
「杜」って表現しているんですね。
ところが原発に代表される現代技術の科学技術の場所っていうのは、
そういう循環を全部断ち切ったところで、密室のようなところでエネルギーを作り出す。
それを大都市に送るっていう事を行うでしょ。

ニソの杜の方は、死者を埋葬するんです。
この死者は年々再々よみがえってくる。
つまり、新しい生命が生まれるためにそこに死者を葬るっていうことなんだけれども、
放射性廃棄物、いわゆる「死の灰」ってやつですね、
それはもう、新しい生命を生まないんですよね。
10万年にわたって、それはもう生まない、と。
変化しないものを作り出す。

ですから循環を断ち切って、そういう死の中から新しい生命が生まれてくるという世界を
一切否定する世界観。
で、こっち側にあるのはむしろ、日本人と言わず世界の人類は生きていた生死を循環させて、
自然との間に循環させて、

平川::東アジアのね農業を中心とした

中沢:
そうそう、農業と漁業のね、
世界観というのが二つ背中合わせになっているところで、
その、声高に脱原発とか反原発とか言うんじゃなくてね、
この原発を造り出して、エネルギー供給が大切っていうこの経済の世界というのはいったいどういう世界なのか、
それに対してこのニソの杜の世界はどういう世界観かという、
こういう二つをくっきりあらわにしてね。

平川:それは泊りでやったんですか?

中沢:
泊りでやりましたよ。
ニソの杜見学ツアーっていうのをやって、

平川:バスで?

中沢:
バスでやったんです。
だからいろいろやってて、この夏はちょっと関西の連中を焚きつけて、
あの、ついこの間まではさ、「大飯原発再稼働させない」って言ってみんな張り切ってたんですね。

平川:もうほとんど再稼働するみたいな。

中沢:
まだ分かんないですけどね、(総理の会見前に収録)
ただ、まあそういう勢いに入っていますけれども、
ことに大阪の連中なんかと一緒に、
僕らは「節電」とか、そんな後ろ向きな事を言うんじゃなくて、
エネルギーシフトした生活形態を前倒しで実現していくんだっていう意思表示と、
それから、ああいう独占的電力にたよらないエネルギー生活の実現というのを
前倒しに実現していくっていう表現をね、やりたいって考えているんです。

平川:それは全く、僕は同感なんですけど、

中沢:元気だったら来てね。

平川:元気だったらねww

中沢:御堂筋で水打ちしようと思ってw

平川:それは大阪の連中というのは、こうさんとか?しゃくさんとか

中沢:まだ具体的には、しゃくさんにはもちろん

平川:なんか、僕はグリーンアクティブに入ってるみたいですね

中沢:
みたいじゃなくてこれは平川さんがやるんですよ
緑の経団連というのがあって、
これはちょっと大きめの経済グループがやるんですけれど、
もっと、小商いで、平川さんの世界を緑でネットワークをつないで

平川:
いや、ぼくね、
小商い列伝というのを別のプログラムで始めたんですよ。
この間岡山に行ってきたの。
備前焼の釜に行って、そこで川端文男さんっていう作家と3時間ぐらいお話しをおうかがいして、
岡山っていうのは素晴らしいところで、
備前はもちろんそういう陶芸の集落ですから、素晴らしいところなんですけど、
岡山市に入るのに備前からずっと移動していく間に、なんか町が綺麗なんですよ。
すごく綺麗で、
で、提供してくれている社長と行ったんですけれど、
なんか、なんか、こう不思議な感じがしてね、
で思ったら「コンビニがないね」っていう話なんですよ。
確かにコンビニがほとんどないんです。
市内にはいれば沢山あるのかなと思ったら、そこに行ってもあんまりなくて、
それで裸祭りで有名な西大寺っていう

中沢:行きましたね。

平川:行かれました?
あの前に何とか商店街とか何とか通りっていう古い通りがあって、
そこで実は3丁目の夕日の撮影をやったんです。
そういう昭和の町がそのまま残っていて、
それでね「コンビニが少ないな」っていう話からちょっと調べてみたんですよ。
そしたら確かにコンビニが少ないんですよ。
都道府県別で20何位かな、それは10万人当たりなんですけれども、
10万人という人口密度自体があんまり無いですから、非常に少ない訳ですよ。
しかも町がすごくきれいで、古い旧家が沢山残っていて、木造のが。家が残っていてね。
なんでこんなにきれいなのかな?って言う感じで
「産業はいったい何なんだ」という話になって、それもちょっと調べてみたら、
まあ、桃ですよね。
もも太郎の土地ですから。
桃とかブドウとか一次産業が中心で、

中沢:あと繊維

平川:
繊維ですね。クラボウがありますから。
そのぐらいしかない訳ですよ。
経済規模からいったらそんなに大きくない。
それでもね、あれだけ・・・なんていうのかな、
そのあと羽田から東京に帰ってきたときに東京の街並みを見て「汚いな」って思ったわけですよ。

中沢:
いや最近ね、本当に。
関西圏から仕事で帰ってくると、「東京汚いなぁー」っていう印象を受ける。

平川:汚いでしょ

中沢:
昔はね、女の人のおシャレなんかも綺麗だなって思っていたけど、
「汚いな」なんてww
大阪に比べるとね、気合が入ってないし、
博多なんてすごい気合入れておしゃれしてるしね、街並みは堂々としてるし、
活力あふれてるなって思うんだけど、
人気(じんき)が悪い町になっちゃったね、東京は

平川:なんかね、すさんでる感じがしたんですよ

中沢:荒んでるね。

平川:
すごい勢いで経済が回っている訳ですよ。
スクラップアンドビルドで造り変えて壊しちゃ造って壊しちゃ造ってってやっているうちに
だいたい壊しちゃ造り壊しちゃ造りをやっていると最後は壊れちゃうというのがあって

中沢:そうだよね

平川:
人間でもね、何でもそうなんですけど、
で、岡山っていうのは漁港がなかったんですよ、海に。
だからある種閉鎖空間のような状態で、
そのあとまあ、コンビナートができるんですけれど、
公害で一次騒がれたりもしたんですけれど、それを立て直すっていう感じでやっていて、
もう一つ僕は気になったことがあって調べてみたら、
あそこは人口が減ってないんですよ。
「何でここ、人口が減ってないんだ?」と
人口動態をずっと調べてみたんですが、
あそこは江戸時代から減ってない。増えもしていないし減りもしていないと。
他はものすごい勢いで増えて、今は急激に減っているんですね。
日本も韓国も。
で、あそこはね、減らないんですよ。
何故かと思って調べたら、全国で1位か2位の早婚県なんですよ。
結婚年齢が早いんです。
「これはいったい何だ?」と思って、さらに考えて、
いろんな町の人に話を聞いたりするとですね、
やっぱり古い、あそこは儒教が非常に強かったところらしくて、
そういう価値観が結構残っている感じがしたんですよ。

中沢:べつにヤンキーが多いっていうわけじゃないんだ

平川:ヤンキー・・

中沢:ヤンキーは早婚じゃないですか。

平川:えっとね、ヤンキーはね、ほとんど見なかった。

中沢:ヤンキーはあんまりいないですよね、岡山

平川:
いない。
いないし、あの、ソープがないんですよ。

中沢:う~ん・・・ま、早婚だから。

平川:へへへ
それはどっちか分からないんだけど、どっちが先か分かりませんが、
ケバケバしたものが全然なくて
やっぱりあれは一次産業が充実しているからじゃないかなっていう感じかな

中沢:
それはあるとおもいますね。
岡山の人は、周りの広島の人とかから聞くと、自分たちが格上だと思っているって

平川:鼻もちならない?

中沢:
いやいや鼻もちならないっていうんじゃなくて、自信を持っているんですよ。
食べ物がおいしいとか、地味がいいとか、いろんな事をいうでしょ。
だけど僕らから見ると大した料理がないんですよね。
「祭りずし」なんていったって、「うまいものなのかな?」っていうようなもんでね、
あと僕がビックリしたのは「隠しずし」っていうのがあって、
「隠しずし」っていうのを弁当で売っててね、開けてみるとご飯だけなんですよ。
それで「あれ?」って見ると裏に全部隠してある。
底の方に。

平川:なかなかですね。

中沢:
だからケバケバしくないっていうのはそういう、
倹約令っていうのをね江戸時代に徹底したらしくて、
そんな寿司でケバケバしているとね、取り締まりが来ちゃって、
逆にしてお米を植えにしてね「うちはコメしか食べてないですよ」って。
ひっくり返すと華やかな弁当が出てくる、なんていう事をやっているところで、
しかも自信があるんですよね。


ーーーー

動画はここで終わりです。
豊かな生活のために、経済を守るために
「原発は絶対に大切だ」と言った日本の今の総理大臣。

ヒトが生きていくうえで、
ヒトが豊かな生活を送るために、
原発は本当に大事なんだろうか?


ーーーー

中沢新一
1950年山梨県生。
明治大学野生の科学研究所所長、グリーンアクティブ代表。
宗教から哲学、芸術から科学まで、あらゆる領域にしなやかな思考を展開する思想家・人類学者。
著書に『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、
『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)、『カイエ・ソバージュ』全5巻(『対称性人類学』で小林秀雄賞)、
『緑の資本論』、『精霊の王』、『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『芸術人類学』、『日本の大転換』など多数。


平川克美(ひらかわ かつみ、1950年― )
事業家、文筆家。 東京都生まれ。1975年早稲田大学理工学部機械工学科卒業。
渋谷区道玄坂に翻訳を主業務とするアーバン・トランスレーションを設立、代表取締役となる。
株式会社リナックスカフェ代表取締役。株式会社ラジオカフェ代表取締役。立教大学特任教授。



関連記事

comment 1
コメント
先に、Happyさんを「真実を求めて闘っていてくださる野村先生」と
 言わしめた野村修也氏は、とうとう化けの皮を剥がしてくれました。
 国会事故調の報告のことです。読売新聞を引用すれば、
 「野村委員は中核となる論点を説明」しましたが、
 それは民間事故調と全く逆の見解=全ての責任を管首相に押しつけ、東電を始とする原子力ムラを免罪にする報告でした。
 
 
只今 | 2012.06.10 18:08 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top