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06.14
Thu
・原子炉の寿命
・やる気満々もんじゅメーカーと1億円契約
・文科省は職員にはSPEEDIに基づく指示をしていた
・アメリカのために再稼働
・科学的根拠の全く無い言葉・野田総理「安全は確認された」

2012年6月13日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]





<参考>
「廃炉40年」に見直し規定…民自公が修正合意
(2012年6月14日01時39分 読売新聞)

民主、自民、公明3党は13日、政府の原子力規制関連法案の修正協議を行い、
原子力発電所の運転を原則40年に制限して廃炉とする政府方針に関し、見直しの規定を置くことで合意した。

新たな原子力規制組織として創設する「原子力規制委員会」が、原発の運転期間を再検討する。

3党は修正協議をほぼ終え、これを反映させた法案を議員立法で今国会に提出、成立させることを確認した。
規制委は8月にも発足する見通しとなった。
3党合意では、原発の運転期間について、原則40年、さらに最長20年の延長を認める政府案の規定を残した。
そのうえで、規制委の発足後、速やかに見直すとした規定を法案の付則に明記することにした。

40年を超えても運転は十分可能とする意見が多い自民党の意向で盛り込まれたもので、
民主党政権が打ち出す「40年廃炉」は削除される可能性が出てきた。


原子力規制組織


もんじゅ:試験計画1億円発注 存廃論議中に原子力機構
毎日新聞 2012年06月08日 15時00分

廃炉も視野に研究開発計画の見直しが進められている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の
試験運転再開が可能になった場合に備え、日本原子力研究開発機構が今年3月下旬、
試験計画作成などの契約を計約1億円で複数のプラントメーカーと結んでいたことが分かった。

東京電力福島第1原発事故後の原子力政策見直しに伴い、
もんじゅの試験運転再開は今年度予算への計上が見送られたが、
今回の契約は昨年度予算を使って駆け込みで行われていた。

もんじゅは10年8月、燃料交換用の炉内中継装置が原子炉内に落下するトラブルで試験運転を停止。
今年3月に再開予定だったが、福島の事故を受けて延期となり、
文部科学省は昨年12月、国の原子力政策が示されるまでは維持管理や安全対策のみを行うとの方針を示した。




SPEEDI 住民に公表前、測定活用 浪江の高線量地把握

東京新聞 2012年6月12日 朝刊

福島第一原発事故が発生した4日後の昨年3月15日、
文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測結果を基に、
原発の北西約二十キロの福島県浪江町に職員を派遣し、実際に高い放射線量を測定していたことが11日、分かった。

SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が事故後初めて公表されたのは昨年3月23日で、
住民避難に役立てられなかった予測を、政府は公表前から活用していたことになる。

政府の住民軽視の姿勢があらためて浮き彫りになった。

文科省によると、同15日夕に福島県入りした同省職員から測定地点の指示を求められ、
文科省はSPEEDIの試算結果を基に場所を指定。
同日午後9時前、毎時330マイクロシーベルトと高い数値を実際に測定し、翌16日未明に公表した。

同省は原発から一ベクレルが放出したと仮定し、
風向きなどの気象条件から、どの方角に放射性物質が拡散しているか把握する試算を同11日夕に開始。
同15日は、原発から南向きに流れていた風が昼ごろから夕方にかけて時計回りに回転し、
北西向きに変化していたことが判明しており、この予測を基に職員に測定地点を指示したという。


歴史に残る日本の総理大臣の会見「大飯原発再稼働」
野田総理大臣6/8(会見内容書き出し・音声あり)


続きを読むに番組内容を書き出しました。





原子炉の寿命

水野:
再稼働の動きと並行してなんでしょうか、
3.11以前の原子力の状況に戻そうという動きが色々目立っているように思います。
まずですね、福井県にあります美浜原発2号機。
これは7月に運転40年を迎えるんですよね。

小出:42年になるんだと思います。

水野:
42年になるんですか。ハァ~・・
で、一応民主党が言っているのは原発の寿命は原則40年としようと、
そういう法案が国会で審議されているのですが、
保安院は10年間延長することを了承したんだそうです。
これ、どう受け取ったらいいんですか?

小出:
随分長い間日本というこの国では、国、政治…企業、マスコミ、学者等が一体になって原子力を進めてきました。
自民党がずっとやってきたわけですし、民主党に変わっても全く変わらないように私には見えます。
もうこの国は・・・いわゆる政治の中枢にいる人達、あるいは権力を握っている人達は、
原子力から足を洗う気はさらさらないという事が少しずつまた分かってきていることだと思います。

水野:
今お話に出ました自民党はですね、この改正案についてなんて言っているかと言いますと、
ここへきて原則40年で廃炉という案にさえもう、「反対だ」という声が出ているんだそうです。
あの・・改正案ででもですね、原則40年だけど例外的に20年延長を認めようというような
例外措置も付いているんですよね。
60年まで行ける。
しかしながら自民党は「原則40年で廃炉」というこれも反対だと。
これはいかがですか?

小出:ま、私から見れば、あきれた人たちだと言うしかありません。

水野:
これ中にね、細田元官房長官がこういう事をおっしゃっていまして、
「部品は定期的に交換されており、40年経った物を技術的に劣化しているとは断じがたい」

ま、交換しているんだから、部品を。40年経っても大丈夫かもしれない。っていう意味だと思います。

小出:
そうではないのです。
確かにポンプとか弁とか配管とか、交換できるところは交換してきたんですが、
原子炉圧力容器という容器自身は決して交換できない。

水野:決して交換できない。

小出:
はい。
それが原子炉の寿命を決めるという事で、わたしたちは寿命はまあ40年60年という事でやってきたのです。
でも、寿命を延ばせば延ばすだけ、
原子炉圧力容器という鋼鉄がもろくなっていくという事自身はもう避けることはできないのです。
ですからなるべく早めにガラスのような状態になる前に、本来ならば止めるべきなのだとわたしは思います。


やる気満々もんじゅメーカーと1億円契約

水野:
ええ・・・・しかしながら延長だというようなね、保安院の存在があるんですが、
今度はもんじゅについてうかがいたいと思います。
福井県にあります高速増殖炉もんじゅ。
これは、小出先生がおっしゃっていたようにどんなに長い間お金をかけてやっていても
「うまくいかない」っていう事が分かったんですよね?

小出:そうです。

水野:だからもう、廃炉にしましょうという方向なんですよね?

小出:
いずれにしても長くは動かないのですが、
日本というこの国は、ま、メンツというものがあるのかもしれませんし、
一度でも動かしてしまいますと、超優秀な核兵器材料のプルトニウムが手に入りますので、
とにかく何としてもやりたいのだと思います。

水野:
はぁ、これは廃炉も含めて研究開発計画を見直すとされている筈なんですが、
なんかですね、
試験運転できるかもしれない、その日のために備えて、
日本原子力研究開発機構が契約をプラントメーカーと1億円程で結んでいた。

試験計画を作成するのでもう契約を結んでいたという話です。
やる気満々っていうことじゃないですか?

小出:
そういうことですね、大体そんな事が許されること自体がおかしいと思いますけれども、
勝手に契約までしてしまうという、ま、原子力ムラというものの体質なのだと思います。


文科省は職員にはSPEEDIに基づく指示をしていた

水野:
ではもうひとつ、SPEEDI についてなんですが、新しいことが分かってきました。
これは、事故のすぐあとからですね、
小出さんはみなさんの住民の避難のために公表するべきだとおっしゃっていたんですが、
実際には4月25日まで全容は明らかにされませんでした。
で、文部科学省のいい訳はですね、
「これはあくまで予測だから現実とは違うんだ。
だから当時の状況でも公表しなかったのもしょうがないんだ」という事を言っていたんですが、
ここへきまして、
事故直後に文部科学省は職員を派遣して、福島で放射線量を測定していたんですが、
その時、どこに行って測定したらいいかという事を
SPEEDI に基づいて職員に指示を与えていた
んだそうです。
つまりSPEEDI に意味があるという事を分かってたんですよね?

小出:
もちろんです。
そのためにもう30年近い歳月をかけて開発してきたわけですし、
もちろんあくまでも予測ですけれども、
その予測を時々刻々やりながら住民を被ばくから守るというそういうシステムだったのです。
SPEEDI の担当者たちは不眠不休で計算を続けていたはずですし、
その結果はもちろん「使えるはずの結果」だったし、
実際に一部は使ったのですね。

水野:使っていたんですね。

小出:
はい。
それでも住民には知らせないで隠したということです。


水野:
そんな事がようやく分かってきた今なんですが、
近藤さん、もう再稼働へのこの道のりは止められないんですか?


アメリカのために再稼働

近藤:
ん・・・・なんかもう、逆戻りし始めたですね。
僕はこの間の大飯再稼働の野田さんの言葉にはもう、本当に・・・・
先生、あの、僕の、これ直感なんですけどね、
野田さんはアメリカに行ってオバマ大統領とかそのほかいろいろと話をして帰ってきている訳ですよね。
で、ここまで僕は逆戻りするとは思っていなかったんだけど、
アメリカ側から見てね、日本のこの原発再稼働っていうのは「極めてOKである」っていう説明はつきますか?

小出:
そうだとおもいます。
ようするに日本というのは米国から手取り足取り教えてもらってきたわけですし、
米国が日本に原子力を売りこんで利益を吸い上げてきたという、そういう関係ですので、
これからも日本が原子力を進めるという事は米国は金儲けができるということですから、
やらせたいのだろうと思います。


近藤:
僕は一番言う事を聞くのは、民主党政権は自民党よりもアメリカだと思っているんですけどね、
沖縄の対応を見たってみんなそうなんだけど、
なるほど、わかりました。

水野:
うーん、今のをじゃあ裏返しに言うと、
再稼働は極めてOKというアメリカは、再稼働しなければ極めてNGっていうことですかね?

小出:
そうですね。
日本で原子力が潰れるような事になれば、
日本から吸い上げてきた原子力関連の利益というものが失われるという事になります。

近藤:
つまり、80キロ圏内でバタバタバタバタ、アメリカもしていた訳ですよね。
しかしそういうことは覚えている訳だけど、
要するにすべてアメリカも、経済の減速というか金儲けの形で動いていると。

小出:
はい。
わたしより近藤さんの方がこういうことは良くご覧になっているんだと思いますが、
いまの世界はどうも、金が最高の価値を決める基準になっているようです

近藤:
そう思いますね。
僕は政治よりも、やっぱり経済が全てを動かしているなっていう事が、本当によく最近感じるんです。


科学的根拠の全く無い言葉・野田総理「安全は確認された」

水野:
小出さんは野田総理のあの時の再稼働を説明する会見をお聞きになっていかがでしたか?

小出:
「国民の生活を守るためだ」という事を野田さんが言ったのですけれど、
余計な御世話だと私は思いました。

近藤:
先生、福島のような事が起きてもね、
地震のような事が起きても津波が起きても大丈夫だっていうことを自信たっぷりに言ったんですよ。
で、僕はその、なんて言うんでしょうね、その神経が分からないんだけど、

小出:わたしもです

近藤:ようするに、生活を守るっていう事以前に生命を守るっていう観点が必要ですよね。

小出:そうです

近藤:だからその生命を守るっていうことについての言葉が一つもない訳でね、

水野:
生命を守るっていう事を言ったら、だって、小出さんどうなんですか、
あの福島のような事があってももう大丈夫だと、安全は確認されていますって野田総理はおっしゃいましたよね。
これは科学的に言うとなんか意味のある言葉なんでしょうか?

小出:
全く意味のない言葉です。
彼らは福島事故が起きる前も、「すべての原子力発電所は安全で事故を起こさない」と言ってきたんですね。
ところが事実として起きてしまっているのです。
どんなに配慮しようと、予想をしてあれこれ手を尽くそうと、
やはり「事故というものはいつか起きると思っておかなければいけない」という事を
今度の事故が教えてくれたのです。
それから何の教訓も学ばないということは、本当に困った人たちだと思います。

近藤:
「再稼働反対は精神論だ」という意味の事も言ったんですよ。
精神論というのはそれこそ「安全神話=精神論」だね。

小出:そのとおりです。

水野:
ため息が思わず小出さんから漏れました。
どうもありがとうございました。






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comment 1
コメント
原発事故とアメリカの関係について、ドイツで、このような報道を目にしました。『アメリカでは福島から出た放射能物質が海を渡って西海岸沿いに辿り着いている事は黙認されている。何故なら、アメリカではGEは言わば東電のようなもので政治家、メディア、財界に大きな影響を与えているからだ。』残念ながらアメリカと日本は同じ穴のムジナのようです。
Sachie | 2012.06.14 14:01 | 編集
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