小出裕章さん、松田美由紀さん&会場ディスカッション
2012年5月26日神奈川県芸術劇場
主催:526小出裕章ヨコハマ講演実行委員会
横須賀にある2基の原子炉

2:04
松田:
神奈川の人が一番心配な問題から聞いてみます。
神奈川県の問題として、横須賀基地、ジョージワシントンの中に原発が2基ある。
それの危険性を神奈川県の人達は特に強く感じていると思うんですが、
そこらへんはどうなんでしょうか?漠然とした質問なんですけど。
たとえばどういうふうな運動を私たちがすればいいのか
そういうふうに心配を安心に変えればいいのかみたいなものは、小出さんはどう思われますか?
小出:
わたしよりも神奈川にお住まいの方の方がご存知かもしれませんが、
米軍の横須賀基地にジョージワシントンという原子力空母が
ま、防護にやってきているわけです。
ジョージワシントンという原子力空母には、大きな原子炉が2基搭載されています。
一つが60万kwだったと思います、
それは熱出力というので、原子力にすると、普通の原子力発電所の電気出力に換算すると、
一つが20万kwです。
ですから二つあるので40万kwという位の原子力発電所です。
日本で言えば美浜の原子力発電所であるとか、
福島第一原子力発電所の、この間壊れた1号機であるとか、
その位の原子力発電所が横須賀に、実はもう出来ているということなんですね。
で、この日本で原子力を進めてきた人たちは、わたしは大変デタラメな人たちだと思っていますし、
日本でやってきた安全審査という物も、デタラメな安全審査だと私は思ってきました。
それでも日本の国は原子力発電所を認可する時には、
国が「厳重な安全審査をするんだ」という事を建て前にして、
だから「原子力発電所は安全だ」と言い続けてきたのですね。
しかし、米軍の空母が持っている原子炉については、
一切の安全審査もしないのです。
米軍が「安全だと言った」だから安全。ということになって、
ジョージワシントンは横須賀にきている。
日本の政府は一切の審査もしないと。
もちろん権限もないんですけれども、そうなってしまっている。
つまり、言葉はみなさん悪いと思われるかもしれないけれども、
日本はいまだに米国に占領されている国なんです。
属国なんです、米国の。
米国のやっていることには何にも文句を言えないという、
そういう国だという事が、横須賀のジョージワシントンが示したという事だと思います。
もちろん危険です。
どんな原子炉も絶対に安全なんていうものはありませんので、もちろん危険なものです。
皆さんも神奈川にお住まいであれば、
横須賀に原子力発電所が、何の審査も受けないままあるんだぞという事を
常に忘れないでいて欲しいと思います。
松田:はい、
わたしも横須賀に沢山友達がいるんですが、
その人たちが、これはまぁ噂話みたいなものなのであれなんですが、
この3.11が始まった時に基地の人達が沢山どうしたか?と。
ほとんどの人がアメリカに帰ったという、
小出:ふっ・・・・
松田:
聞きました。
それが驚いた話ですが、これは軍の人達から聞いたという話だったので、
ほぼ合っていると思うんですが、
船をチャーターして、船をチャーターしてアメリカに帰したという。
だからその、
私たちがなんとなく、「なんか守ってくれているんじゃないか」という事は本当はどうなのか?ということは、
皆さん自分で「ご自身の目でどう思うかをやっぱり判断された方がいいかな」と思います。
ジョージ・ワシントン (空母)
ジョージ・ワシントン (USS George Washington, CVN-73) は、アメリカ海軍の航空母艦。
ニミッツ級航空母艦の6番艦。艦名は初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンに因んで命名された。
アメリカ国外の基地を事実上の母港として配備される唯一の空母であり、
日本に配備された初の原子力推進空母である。

ウェスティングハウス A4W 原子炉2基
蒸気タービン4機, 4軸, 260,000 shp
停泊中の原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)横須賀出港した訳
<一部抜粋>
福島第一原発では12日に1号機で、14日には3号機で水素爆発が起きていた。
米海軍は検出された放射性物質を、ジョージワシントンからではなく原発からの放出と判断した。
原発から基地までは約280キロ。
「こんなところまで放射性物質が飛んで来た」という情報は、軍人から家族や友人を通じて基地内を駆け巡った。
続きを読むに
空母ジョージワシントンに日本で初めて乗ったジャーナリスト芦川淳氏のインタビュー
2008年夏、
キティホーク退役後の横須賀基地に配備されるためノーフォークを出航した
原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)に、芦川さんが乗ってきました(08年4月 )。
日本人初のジョージ・ワシントン独占取材
原子力空母
ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
日本人初単独取材 ジャーナリスト 芦川 淳氏
<上記サイトより原子力に関する部分を一部抜粋しました>
芦川 :
原子力推進ですから、燃料としての油の補給はいらないんです。
しかも、ここが大事なところですが、
今ニミッツ級の空母の燃料棒の交換は25年に1度なんです。
艦は50年もちますから、その艦の燃料交換はたった1回でOK。
・・・ということはほぼ無限の航続力を持っているわけですね。
いま米海軍の空母の燃料交換を行うことのできる施設は、バージニア州ノーフォークにしかありません。
運営者:電力が取れるんですか。
芦川:お湯を沸かしてスチームタービンを動かして発電するだけのことです。
運営者:
原子力発電所と同じじゃないですか! 電気は全てそこからとればいいんだ。
それで、アメリカは今まで原子力空母を何隻作ったんですかね。退役したのがあるんですか。
芦川:
あと5年から10年以内に、世界初の原子力空母エンタープライズが退役します。これが最初ですね。
エンタープライズ以後だと10隻ですか。
運営者:
すごい独自ノウハウの蓄積があるということですね。
市民団体の皆さんが関心を持っているのは、
「そんなものが日本にやってきて原子力事故が起きないのか」ということですが、
これまで事故を起こした艦というのは?
芦川: ないです、ないです。
デカイ事故としては、1963年の原子力潜水艦スレッシャーの事故があります。
これは大西洋の4000メートル以上の深海に沈んでしまい、
放射能汚染は起きないだろうと考えられたんです。
しかもおそらく、ぎりぎりの段階で原子炉を停止し、原子炉そのものも圧壊を免れたとされています。
もっともまずいのは、チェルノブイリみたいに炉心が露出することじゃないですか。
運営者:そうですね。
芦川:
あれさえ起きなければなければ、被害は最低限に抑えられます。
実は、艦載型の原子炉は何かヤバイことがあったら自動的に止まるような設計になっています。
例えば、原子炉の制御棒を下から押し上げる形にしておいて、
何かがあったら燃料棒が自動的に下にストンと落ちてそのまま停止とか。
運営者:フェイル・セーフになっているということですね。
芦川:
その他には、原子炉周辺の構造が破断して1次冷却水が漏れるといったことが考えられますが、
ものすごく安全管理に気を配っているので問題はないだろうといわれています。
ただ、それについては、どのくらいの安全係数かということは分からない。
米軍の広報が言っている数字では、
「地上における原子力施設の10倍以上の安全係数を使っている」とのことですが。
だけど揺れる船の中のことですし、例えば魚雷を食らったらどうなるのかとか疑問はあります。
ただ、海水自体は放射線を遮りますから、
仮に事故が起きても深海に没してしまえば被害は少ないということになるでしょう。
例えば、ジョージ・ワシントンが横須賀港に止まっている時に、
突然何の前触れもなしに船が真っ二つに割れたら、それはまずいと思いますよ。
原子炉が熱を持った状態で湾の中に落っこちたら、水蒸気爆発が起こりますから、
その後、大量の放射能物質が飛散するでしょうね。
その心配をしていらっしゃる皆さんもいるようですが。
港というのは、非常に防御がしっかりしているのは確かなことです。そこに基地を作るわけですから。
だからそこに置いておいた空母が、テロで突然、真っ二つに割れるなんてことはまずあり得ないと。
それが自然現象だとしたらもっと確率は低いですよね?
民間航空機の衝突なんてもう天文学的な確率ですよ。
原子炉そのものの危険性は民間のものより軍用のもののほうが高いです。
なぜなら艦載型の原子炉は燃料交換の頻度を減らすために、
商業型の原子炉に比べると核燃料の中身が濃いと言われてます。
ウランの精製度が高いらしいんですよ。
運営者:へー。
芦川:
それが空中に飛散すれば、確かに恐いですよね。
仮に吸入したとして、内部被爆する際の被害が大きくなりますから。
商業用原子炉に使われている燃料棒は、放射性物質を金属のペレットにし、それを集めてつくっていますから、
つまり燃料棒というのはペレットを詰めて作った筒なんですよ。
運営者:そうですね。
芦川:
ところが艦載型の原子炉に使われている燃料棒は、
全体がジルコニウムで作られたひとつの個体としての燃料になっていると言われます。
金属化されているので、粉末になりにくいわけです。
無垢の棒だと考えてください。
つまり、水蒸気爆発とか、とんでもないエネルギーが加えられなければ、
放射性物質が飛散する可能性が少ないんです。
むしろ商業用原始炉で使われるペレットのほうが、粉末をつき固めたようなものだから、
飛散しやすさの点から言えば危ないかもしれないくらいです。
運営者:幸いにして、そういう事例はありませんからね。
芦川:
チェルノブイリの原子炉では固形の核燃料を使うタイプだったので、
逆にあれだけ単純に炉心が露出して放射性物質がまき散らされましたね。
いまの加圧水型の原子炉では考えられない事故ですよ。
運営者:加圧水型原子炉の事故はスリーマイル島事故くらいだし。
芦川:
あれは冷却水がなくなる、なくならないという話ですからね。
艦載型の原子炉の場合は、冷却水は海からとっています。
だからポンプが故障しなければ・・・。
運営者:いや、それがスリーマイル島事故だったわけで。
芦川:
ところが、モノが軍のものでしょう?
戦闘を想定しているから二重三重の安全策をこうじているわけで、緊急停止も確実にできるようになっている。
もちろんスリーマイル島のような事故も教訓のひとつになっているでしょう。
運営者:原子力事故の可能性はかなり低いと考えられるわけですね。
芦川:
われわれ日本人が心配するよりは、ずっと少ない。限りなく少ないといえるでしょう。
むしろ心配なのは、通常動力艦が燃えたというのに、なかなか消せなかったどこぞの護衛艦みたいな事例ですよ。
どこかの原子炉みたいに、
「ここは固い地盤の上に立ってますから大丈夫です」と言っていたら、
地震が来たら止まっちゃうとか。
運営者:
ひびが入ったとか、どこかから電気を借りてこなきゃいけないとか、
節電にご協力下さいとかいうコマーシャルで電気料金が上がるとか(笑)。
芦川:
むかし、佐世保に原子力船が入港した時に、湾内の放射能レベルが一次的に上ったということがあったんです。
でもこれも、全体の水準から考えれば、上がってはいるけれど危険水準になったわけではない。
むしろ東海村の原子力事故の時の方が危険水準に上っているわけで。
運営者:
あのバケツ事故のときですね。
そのレベルで新聞が騒ぐもんだから、チェルノブイリの事故の時に、
日本人を見つけたら連中は、
日本人はふだんからみんなガイガーカウンターを持ち歩いているんだと思い込んでいて、
「放射能をはかってくれ」とたかってきたわけでしょう。神経過敏ってやつですよ。
芦川:
とにかく米軍は、われわれが考えるよりはさらに上のレベルの対策をしていると言えるでしょうね。
日本が同じことをやろうとしたら、そこまでできないくらいやってます
運営者:
われわれは、「放射能は怖い」という漠然としたイメージしか持ちませんが、
連中は放射能がどのくらい怖いのかというデータを持っているわけですね、それこそ広島長崎以来の。
芦川:
とにかく、彼らは自分たちが一番怖いんだから、
自分たちが使うものを一番完全にしておきたいというのは事実ですよ。
軍というのは、自分を守るためには最大の力を発揮しますから(笑)。
ーーー抜粋ここまで
福島第一原発事故が起きる3年前のインタビューです。
非常に興味深いです。
大地震が起きると言われている東京近海で、
これから先何が起こるかは分かりません。
もうすでに、安全だとは決して言えないと思います。
ただ、ひとつ思うのは
ジョージワシントンにはアメリカ兵の方々が乗っているということ。
身近に原子炉をっかえていれば、点検などは日本の電力会社とは比べ物にならない位
きちんと行っている事でしょう。
NHK・キミたちの未来 僕たちの選択~時任三郎 世界エネルギーの旅~で放送したらしいけれど、
フィンランドでも原子力発電を行っているが、電力会社の本社は、発電所の中にあるというのです。
総合 2012年4月30日(月) 午前8:20~午前9:05(45分)
再放送
総合 2012年7月1日(日) 午後3:05~午後3:51(46分)
近くにいれば日々の管理に関してもっと責任を持った対策がとれるようにも思います。
原発を再稼働させたいのならば、東京電力も関西電力も本社を移すべきだと思います。
2012年5月26日神奈川県芸術劇場
主催:526小出裕章ヨコハマ講演実行委員会
横須賀にある2基の原子炉

2:04
松田:
神奈川の人が一番心配な問題から聞いてみます。
神奈川県の問題として、横須賀基地、ジョージワシントンの中に原発が2基ある。
それの危険性を神奈川県の人達は特に強く感じていると思うんですが、
そこらへんはどうなんでしょうか?漠然とした質問なんですけど。
たとえばどういうふうな運動を私たちがすればいいのか
そういうふうに心配を安心に変えればいいのかみたいなものは、小出さんはどう思われますか?
小出:
わたしよりも神奈川にお住まいの方の方がご存知かもしれませんが、
米軍の横須賀基地にジョージワシントンという原子力空母が
ま、防護にやってきているわけです。
ジョージワシントンという原子力空母には、大きな原子炉が2基搭載されています。
一つが60万kwだったと思います、
それは熱出力というので、原子力にすると、普通の原子力発電所の電気出力に換算すると、
一つが20万kwです。
ですから二つあるので40万kwという位の原子力発電所です。
日本で言えば美浜の原子力発電所であるとか、
福島第一原子力発電所の、この間壊れた1号機であるとか、
その位の原子力発電所が横須賀に、実はもう出来ているということなんですね。
で、この日本で原子力を進めてきた人たちは、わたしは大変デタラメな人たちだと思っていますし、
日本でやってきた安全審査という物も、デタラメな安全審査だと私は思ってきました。
それでも日本の国は原子力発電所を認可する時には、
国が「厳重な安全審査をするんだ」という事を建て前にして、
だから「原子力発電所は安全だ」と言い続けてきたのですね。
しかし、米軍の空母が持っている原子炉については、
一切の安全審査もしないのです。
米軍が「安全だと言った」だから安全。ということになって、
ジョージワシントンは横須賀にきている。
日本の政府は一切の審査もしないと。
もちろん権限もないんですけれども、そうなってしまっている。
つまり、言葉はみなさん悪いと思われるかもしれないけれども、
日本はいまだに米国に占領されている国なんです。
属国なんです、米国の。
米国のやっていることには何にも文句を言えないという、
そういう国だという事が、横須賀のジョージワシントンが示したという事だと思います。
もちろん危険です。
どんな原子炉も絶対に安全なんていうものはありませんので、もちろん危険なものです。
皆さんも神奈川にお住まいであれば、
横須賀に原子力発電所が、何の審査も受けないままあるんだぞという事を
常に忘れないでいて欲しいと思います。
松田:はい、
わたしも横須賀に沢山友達がいるんですが、
その人たちが、これはまぁ噂話みたいなものなのであれなんですが、
この3.11が始まった時に基地の人達が沢山どうしたか?と。
ほとんどの人がアメリカに帰ったという、
小出:ふっ・・・・
松田:
聞きました。
それが驚いた話ですが、これは軍の人達から聞いたという話だったので、
ほぼ合っていると思うんですが、
船をチャーターして、船をチャーターしてアメリカに帰したという。
だからその、
私たちがなんとなく、「なんか守ってくれているんじゃないか」という事は本当はどうなのか?ということは、
皆さん自分で「ご自身の目でどう思うかをやっぱり判断された方がいいかな」と思います。
ジョージ・ワシントン (空母)
ジョージ・ワシントン (USS George Washington, CVN-73) は、アメリカ海軍の航空母艦。
ニミッツ級航空母艦の6番艦。艦名は初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンに因んで命名された。
アメリカ国外の基地を事実上の母港として配備される唯一の空母であり、
日本に配備された初の原子力推進空母である。

ウェスティングハウス A4W 原子炉2基
蒸気タービン4機, 4軸, 260,000 shp
停泊中の原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)横須賀出港した訳
<一部抜粋>
福島第一原発では12日に1号機で、14日には3号機で水素爆発が起きていた。
米海軍は検出された放射性物質を、ジョージワシントンからではなく原発からの放出と判断した。
原発から基地までは約280キロ。
「こんなところまで放射性物質が飛んで来た」という情報は、軍人から家族や友人を通じて基地内を駆け巡った。
続きを読むに

2008年夏、
キティホーク退役後の横須賀基地に配備されるためノーフォークを出航した
原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)に、芦川さんが乗ってきました(08年4月 )。
日本人初のジョージ・ワシントン独占取材
原子力空母
ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
日本人初単独取材 ジャーナリスト 芦川 淳氏
<上記サイトより原子力に関する部分を一部抜粋しました>
芦川 :
原子力推進ですから、燃料としての油の補給はいらないんです。
しかも、ここが大事なところですが、
今ニミッツ級の空母の燃料棒の交換は25年に1度なんです。
艦は50年もちますから、その艦の燃料交換はたった1回でOK。
・・・ということはほぼ無限の航続力を持っているわけですね。
いま米海軍の空母の燃料交換を行うことのできる施設は、バージニア州ノーフォークにしかありません。
運営者:電力が取れるんですか。
芦川:お湯を沸かしてスチームタービンを動かして発電するだけのことです。
運営者:
原子力発電所と同じじゃないですか! 電気は全てそこからとればいいんだ。
それで、アメリカは今まで原子力空母を何隻作ったんですかね。退役したのがあるんですか。
芦川:
あと5年から10年以内に、世界初の原子力空母エンタープライズが退役します。これが最初ですね。
エンタープライズ以後だと10隻ですか。
運営者:
すごい独自ノウハウの蓄積があるということですね。
市民団体の皆さんが関心を持っているのは、
「そんなものが日本にやってきて原子力事故が起きないのか」ということですが、
これまで事故を起こした艦というのは?
芦川: ないです、ないです。
デカイ事故としては、1963年の原子力潜水艦スレッシャーの事故があります。
これは大西洋の4000メートル以上の深海に沈んでしまい、
放射能汚染は起きないだろうと考えられたんです。
しかもおそらく、ぎりぎりの段階で原子炉を停止し、原子炉そのものも圧壊を免れたとされています。
もっともまずいのは、チェルノブイリみたいに炉心が露出することじゃないですか。
運営者:そうですね。
芦川:
あれさえ起きなければなければ、被害は最低限に抑えられます。
実は、艦載型の原子炉は何かヤバイことがあったら自動的に止まるような設計になっています。
例えば、原子炉の制御棒を下から押し上げる形にしておいて、
何かがあったら燃料棒が自動的に下にストンと落ちてそのまま停止とか。
運営者:フェイル・セーフになっているということですね。
芦川:
その他には、原子炉周辺の構造が破断して1次冷却水が漏れるといったことが考えられますが、
ものすごく安全管理に気を配っているので問題はないだろうといわれています。
ただ、それについては、どのくらいの安全係数かということは分からない。
米軍の広報が言っている数字では、
「地上における原子力施設の10倍以上の安全係数を使っている」とのことですが。
だけど揺れる船の中のことですし、例えば魚雷を食らったらどうなるのかとか疑問はあります。
ただ、海水自体は放射線を遮りますから、
仮に事故が起きても深海に没してしまえば被害は少ないということになるでしょう。
例えば、ジョージ・ワシントンが横須賀港に止まっている時に、
突然何の前触れもなしに船が真っ二つに割れたら、それはまずいと思いますよ。
原子炉が熱を持った状態で湾の中に落っこちたら、水蒸気爆発が起こりますから、
その後、大量の放射能物質が飛散するでしょうね。
その心配をしていらっしゃる皆さんもいるようですが。
港というのは、非常に防御がしっかりしているのは確かなことです。そこに基地を作るわけですから。
だからそこに置いておいた空母が、テロで突然、真っ二つに割れるなんてことはまずあり得ないと。
それが自然現象だとしたらもっと確率は低いですよね?
民間航空機の衝突なんてもう天文学的な確率ですよ。
原子炉そのものの危険性は民間のものより軍用のもののほうが高いです。
なぜなら艦載型の原子炉は燃料交換の頻度を減らすために、
商業型の原子炉に比べると核燃料の中身が濃いと言われてます。
ウランの精製度が高いらしいんですよ。
運営者:へー。
芦川:
それが空中に飛散すれば、確かに恐いですよね。
仮に吸入したとして、内部被爆する際の被害が大きくなりますから。
商業用原子炉に使われている燃料棒は、放射性物質を金属のペレットにし、それを集めてつくっていますから、
つまり燃料棒というのはペレットを詰めて作った筒なんですよ。
運営者:そうですね。
芦川:
ところが艦載型の原子炉に使われている燃料棒は、
全体がジルコニウムで作られたひとつの個体としての燃料になっていると言われます。
金属化されているので、粉末になりにくいわけです。
無垢の棒だと考えてください。
つまり、水蒸気爆発とか、とんでもないエネルギーが加えられなければ、
放射性物質が飛散する可能性が少ないんです。
むしろ商業用原始炉で使われるペレットのほうが、粉末をつき固めたようなものだから、
飛散しやすさの点から言えば危ないかもしれないくらいです。
運営者:幸いにして、そういう事例はありませんからね。
芦川:
チェルノブイリの原子炉では固形の核燃料を使うタイプだったので、
逆にあれだけ単純に炉心が露出して放射性物質がまき散らされましたね。
いまの加圧水型の原子炉では考えられない事故ですよ。
運営者:加圧水型原子炉の事故はスリーマイル島事故くらいだし。
芦川:
あれは冷却水がなくなる、なくならないという話ですからね。
艦載型の原子炉の場合は、冷却水は海からとっています。
だからポンプが故障しなければ・・・。
運営者:いや、それがスリーマイル島事故だったわけで。
芦川:
ところが、モノが軍のものでしょう?
戦闘を想定しているから二重三重の安全策をこうじているわけで、緊急停止も確実にできるようになっている。
もちろんスリーマイル島のような事故も教訓のひとつになっているでしょう。
運営者:原子力事故の可能性はかなり低いと考えられるわけですね。
芦川:
われわれ日本人が心配するよりは、ずっと少ない。限りなく少ないといえるでしょう。
むしろ心配なのは、通常動力艦が燃えたというのに、なかなか消せなかったどこぞの護衛艦みたいな事例ですよ。
どこかの原子炉みたいに、
「ここは固い地盤の上に立ってますから大丈夫です」と言っていたら、
地震が来たら止まっちゃうとか。
運営者:
ひびが入ったとか、どこかから電気を借りてこなきゃいけないとか、
節電にご協力下さいとかいうコマーシャルで電気料金が上がるとか(笑)。
芦川:
むかし、佐世保に原子力船が入港した時に、湾内の放射能レベルが一次的に上ったということがあったんです。
でもこれも、全体の水準から考えれば、上がってはいるけれど危険水準になったわけではない。
むしろ東海村の原子力事故の時の方が危険水準に上っているわけで。
運営者:
あのバケツ事故のときですね。
そのレベルで新聞が騒ぐもんだから、チェルノブイリの事故の時に、
日本人を見つけたら連中は、
日本人はふだんからみんなガイガーカウンターを持ち歩いているんだと思い込んでいて、
「放射能をはかってくれ」とたかってきたわけでしょう。神経過敏ってやつですよ。
芦川:
とにかく米軍は、われわれが考えるよりはさらに上のレベルの対策をしていると言えるでしょうね。
日本が同じことをやろうとしたら、そこまでできないくらいやってます
運営者:
われわれは、「放射能は怖い」という漠然としたイメージしか持ちませんが、
連中は放射能がどのくらい怖いのかというデータを持っているわけですね、それこそ広島長崎以来の。
芦川:
とにかく、彼らは自分たちが一番怖いんだから、
自分たちが使うものを一番完全にしておきたいというのは事実ですよ。
軍というのは、自分を守るためには最大の力を発揮しますから(笑)。
ーーー抜粋ここまで
福島第一原発事故が起きる3年前のインタビューです。
非常に興味深いです。
大地震が起きると言われている東京近海で、
これから先何が起こるかは分かりません。
もうすでに、安全だとは決して言えないと思います。
ただ、ひとつ思うのは
ジョージワシントンにはアメリカ兵の方々が乗っているということ。
身近に原子炉をっかえていれば、点検などは日本の電力会社とは比べ物にならない位
きちんと行っている事でしょう。
NHK・キミたちの未来 僕たちの選択~時任三郎 世界エネルギーの旅~で放送したらしいけれど、
フィンランドでも原子力発電を行っているが、電力会社の本社は、発電所の中にあるというのです。
総合 2012年4月30日(月) 午前8:20~午前9:05(45分)
再放送
総合 2012年7月1日(日) 午後3:05~午後3:51(46分)
近くにいれば日々の管理に関してもっと責任を持った対策がとれるようにも思います。
原発を再稼働させたいのならば、東京電力も関西電力も本社を移すべきだと思います。
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