「今、この時期にシナリオを討論すること自体を、私は矛盾を感じております」福島県田村市






こんにちは。私は福島県田村市で工務店を経営しております吉田正之と申します。
本日は、よろしくお願いいたします。
私はゼロシナリオを選択いたします。
ただ、今、この時期に、この場で、いろんな討論をするわけですけれども、
シナリオを討論すること自体を、私は矛盾を感じております。
その話をさせていただいて、シナリオを選択した理由を述べさせていただければと思っております。

まず、私も今非常に緊張しているんですが、この場に立ってつくづく感じますが、
どれだけの一般の人がここで発言しよう、したいと思っているでしょうか?
気持ちはたくさん持っていると思うんですが、非常にこの場に出てくるのは勇気がいることで、
私などもう頭の中が真っ白でございます。
もっともっと、丁寧に進めていただきたいなとつくづく思っております。

私は、データや資料を持ち合わせておりません。説得力に欠けるかもしれません。
ただ、普通の方々が思っていること、日常の仕事の中でお客さまが感じていられることを、
私なりに発表させていただければなと思っております。

今、シナリオを選択する矛盾ということで、ネット申込みさせていただくときにも書いたんですが、
一般常識として、何かの物事が起こったとき、また事件、事故が起こったときというのは、
通常はそれをきちんと調査をして、対策をとって、
初めて物事が前に勧められるのかなと思っているんですが、
それが本当に当たり前のことなんじゃないかなと思うんですが、
今、現在、そういうことが行われているでしょうか?


福島第一原発について調査され、検証されているでしょうか?

正直なところ、まだまだ解明しなきゃいけないことがたくさんあって、
不安なことがたくさんあって、
だからこそ、県外に避難している方々がたくさんいるという現状じゃないでしょうか。
それを無視しないでいただきたいと思います。

また、今、幾つかの原発の中で、活断層の問題が非常に取り沙汰されておりますけども、
そういったことが発覚して、それについての調査は、全原発について調査をしているのでしょうか?

それらを全部調査をして、データがそろって、それをこの場に包み隠さず公表をして、
初めてこういう討論会の場じゃないかなと思います。

今、ここで選択をしてしまうと、それだけが既成事実になって、前に進んでしまいますけども、
実際は検証されていないことで分からないことがたくさんあるわけで、
それはできないんじゃないのかなと感じております。


まだ、福島の原発で何が起こったのか、
何が原因だったのかということ自体、分かっていないんじゃないでしょうか。

もう一度、徹底的に、当然福島原発のことについて検証し、他の原発も同じように検証し、
今、取り沙汰されている活断層のことなども徹底的に検証し、
データを開示して、それで初めて討論ができるような気がしておりますので、
きょうの討論会も、私自身は矛盾を感じております。

三つの選択肢の中で、私自体はゼロを選んだわけですが、
その理由というのは、もう単純明快だと思っております。

福島の事故によって、
原子力発電というものが何か起こると、人間の力ではもう制御できないものだというのが、
もう、明らかに一人一人がみんな学んで経験したことじゃないのかなと思っております。


また、もう一つ、今、原発を稼働させたとしても、
それらの使用済み核燃料をどうするかというのは、
日本もそうですけれども、各国も実質的にはどうするか決定されていなく、
行き先が決まっていない状態です。

どうして負の遺産を未来に残さなきゃいけないんでしょうか!

その大きな問題を二つ考えただけで、選択肢は脱原発になります。

私たちは災害で、複雑な社会インフラが脆弱、
簡単に駄目になってしまうことを学んだと思います。
いろんな場所で、食料もそうですし、石油もそうですし、灯油もそうですし、
非常に生活に困ったという実感があったと思います。

経済情勢や、社会情勢に大きな影響を受けないこと、
われわれの生活に必要なエネルギーを地域で自給できること、
地域の安全・安心に大きく貢献した、原発に依存しない生活を目指していきたいと考えます。

ただ、原発に依存しないで、住まいの質を上げることが可能なのか?というのは、皆さん思うところですが、
3.11 を経験して、エネルギーの多消費の現代文明に、
「今のままではいいんだろうか」という疑問を持つ人が増えているんだと思います。
私もかなりのお客さまからご相談を受けます。

快適で豊かな生活は、エネルギーがあってのことです。
生活の質を上げて、なおかつエネルギーの消費を減らすというのは難問中の難問でした。
今までは、たぶん難しかったのかもしれません。

エネルギーについては、産業界の皆さんは、非常に努力をしていただいて、
今まで頑張っていただいたのだと思いますが、今だからこそ一層、改革をしていただき、
未来ある日本の礎をつくってほしい。企業の皆さんにはそうお願いしたいと思います。

最後に、私ごとではありますけれども、
これからは私たち家庭が挑戦のときだと思っております。
家庭のエネルギーの暖房や冷房、給湯などは60%から70%を占めています。

これらは低レベルな熱エネルギーです。
暖房は20 度ぐらいあれば十分で、冷房は外気よりも5 度ぐらい低ければ、冷房がもう要らなくなります。
お風呂の給湯は40 度あれば快適な状態になるんだと思います。
これらの低レベルな熱エネルギーは、自然エネルギーをダイレクトに建物に導入することで、
それらは解決する問題になってくるのかと思います。

高度なエネルギー、通信とか、そういう部分については、
電気に変換すればいいのかなと考えております。
極論ではありますけれども、60%以上の部分を太陽の熱エネルギーをうまく利用することによって、
今までの質を変えないで、節電をすることが可能だと思っております。
現実にそういうことがたくさんあります。

ですから、この問題は国民一人一人の意識改革で、たぶん変わるんだと思っております。

脱原発とか、原発推進、非常に難しい問題ですけれども、
ここで国が、政府が方向を決めたとしても、
一人一人の意識が変わって、考え方が変わって、生活を少しずつ変えていけば、
変わっていくのではないかなと感じております。

以上です。



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日経ビジネスオンラインより、一部抜粋
私たちが「ゼロシナリオ」を選んだわけ
福島県民の意見を聴く会の発表者に聞く

藍原 寛子 2012年8月9日(木)


十分な情報提供がないままの意見聴取はおかしい
田村市で工務店を経営する吉田さん

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「今、福島第一原発の事故がきちんと検証されず、対策も講じられていない。
さらには活断層問題などもデータ開示されない中で、エネルギー政策を選択するというのは、
まるでせかされ、だまされて選ぶような形になりかねない。
原発は万が一何か問題が起きると人間が制御できないものだということ、
使用済み核燃料の処理をどうするかが解決していないという2つの問題で、ゼロシナリオを選んだ」

田村市船引町で「丸ウ吉田工務店」を経営する吉田正之さんは、
十分な情報を提供しないままに国民の意見を聴くという付け焼刃的な政府の姿勢の問題と、
原発の安全神話や科学技術への過度な期待に警鐘を鳴らす。
同時に、「一人ひとりの意識が変われば、
間違いなく原発に頼らずに省エネに取り組み、生活の質を上げることができる」と確信している。

経営する工務店は震災から数カ月間は完全に仕事が止まり、
その後は、屋根の修理などの仕事が相次いだが、
しばらく建築資材が十分に調達できず、昨年の年末まで対応に追われた。
顧客のなかには、なんとか自宅の修理を終えた人もいるが、
家族が別々に暮らすことになって屋根などの応急処置だけして本格修理を見送った家庭もある。
震災とともに、急激に変わった住民の暮らしぶりを、目の当たりにしてきた。

関西から来た顧客は、
子どもの健康のために、福島の豊かな自然、新鮮な空気に魅せられて浪江町に移住。
同町の古民家を購入し、吉田工務店が改修を請け負った。
妻と子が先に福島に来て、夫は関西に逆単身赴任で、
週末だけ福島と関西を行き来するというような生活だった。
しかしその楽しい生活も突然の原発事故のため、わずか半年で失うことになってしまった。
古民家のある地域は、福島県内でも特に線量の高い地域の一つになってしまい、
現在、家族は仮設住宅で生活しているという。

「とてもまじめなご家族で、国を信じて福島に止まったが、結果として国に裏切られてしまったような形だ。
国がやると言っている除染も進んでいない。お客さんの中には震災直後、
『町が出したバスで避難したが、何が起きたか分からないまま避難してきた』という人もいる。
原発事故は除染も含め、もう人の手では制御できないことを認識すべきだ」と力を込める。

「原子力ムラ」の後に「太陽光ムラ」では困る

今、吉田さんが懸念するのは、「原子力ムラ」がなくなった後に、「太陽光ムラ」が取って代わり、
同様のムラの構図は引き継がれるのではないか、ということだ。
「ムラ」とは、政・産・官・学などの各界が、世論を反映させない閉鎖的な世界を作り、
お互いの利益誘導に向けて動くこと。
太陽光発電、とりわけメガソーラー事業の中核に、原発建屋を建設した大手ゼネコンが多く参入し、
原発と同じ構図が出来上がる可能性があると指摘する。

国が進めるスマートハウス事業は、
各家庭のエネルギーをパソコンなどで総体的に制御する仕組みだが、
電機メーカー各社が推進する“家電住宅化”が中心で、結局、電気への依存は変わらない。
吉田さんはこれまでオール電化の家も販売していたが、
オール電化と同時に、自然の壁や木の家、パネルヒーターなどを併用した設備を提案してきた。
震災後、オール電化の家には、太陽熱を効率的に利用する空気集熱機の設置などで、
太陽熱を熱のまま活用する方法を提案している。

「原子力ムラも太陽光ムラも、地域の人が地域で立ち上がらないからムラ化してしまった。
メガソーラーをやるにしても、地元の人や地元自治体が中心になってやらないと同じ事になる。
一軒一軒、各家庭の取り組みも新エネルギーへの挑戦の第一歩になるだろう。
ムラ化しないための対策は、みんなで議論し、
知恵を出し合ってエネルギー政策を決めていくことではないか」

「この地域は地熱があるから活用しようとか、うちは太陽光をやろうとか、
地域の人がとことん討論してエネルギーの地産地消を考えていくこと。
私たちの社会は今後、今までのような高収入を得ることは難しくなるだろうが、
自分たちの知恵を生かして生活を工夫していくことで、新しい幸せの尺度を手に入れ、
一人ひとりが幸せなんだと感じられるようになるのではないか」

震災という大きな体験を経て、原発や震災、子どもたちの未来や新しい幸福感を語り始めた福島県民。
国のエネルギー政策は今、我が国の未来を左右する大きな転機を迎えている。
後世に禍根を残さないよう、そして重要な決定が「拙速」にならないためにも、
野田首相をはじめ政策決定に携わるあらゆる人々には、結論ありきではなく、
論点と情報を明確にしたうえで、今福島県民の生の声に真摯に耳を傾けてほしい。








福島での意見聴取会の動画全編はこちら↓
「脱原発民意明確に」エネルギー環境意見聴取会福島会場


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