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08.29
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冬の深夜・強風下、南海トラフ地震の死者最大32万人に
東海地方の被害が大きいケース
日本経済新聞 2012/8/29 17:54

東海沖から日向灘にかけての「南海トラフ」を震源とする巨大地震で、
死者が最大32万人に達するとの推計が29日公表された。
東日本大震災を大きく上回るとされる被害想定は、「千年に一度」の最大級地震が起きた場合の数字で、
次に発生する地震・津波の被害がこうなるというものではない。
推計結果を正確に理解したうえで、防災対策を着実に進めることが重要だ。

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被害想定で内閣府は
(1)東海、近畿、四国、九州の4地方のいずれの被害が大きい地震か
(2)発生場所は陸に近いか遠いか
(3)発生時刻(冬の夕方、深夜、夏の正午)
(4)風速(平均風速、風速秒速8メートル)
(5)早期避難率の高低――で場合分けした96ケースを推計。

死者は最も多い場合で32万3千人から最少3万2千人まで大きく変動するが、
最少でも東日本大震災を大きく上回るとしている。

時間帯別で被害が大きくなるのは、冬の深夜に地震が起きた場合。
在宅率が高い上、多くの人が就寝していて、
避難に移るまでの時間が日中に比べて3倍の15分程度かかるためだ。
冬場は気温が低いため、津波から逃れても低体温症などで死亡する人も増える。
半面、在宅率の低い夏の昼間の被害は小さくなる。

通常より強い秒速8メートルの風が吹くと、延焼が進み火災の死者が増える。
地震のタイプ別では、人口が多い上、
津波が短時間で到達する東海地方の被害が大きい地震で被害が拡大する。

死者が最多の32万3千人になるのは、
東海地方の被害が大きい地震が冬の深夜に発生し、強風のケース。
内閣府は
「津波などで堤防・水門が機能不全になると、さらに2万3千人増える可能性がある」としている。

死因別では津波が23万人と最多で、全体の71%に達する。
次いで建物倒壊が25%の8万2千人、火災は1万人と見込む。

死者は関東から九州・沖縄まで30都府県で発生するとみられる。
内閣府は地域別内訳は「マクロの被害を把握する目的のため」として都府県単位のみ公表し、
市町村単位の数値は示していない。





南海トラフ 巨大地震と津波の被害想定公表
NHK 8月29日 17時17分


太平洋沿岸の「南海トラフ」付近で起きる巨大地震と津波で、国は最悪の場合、
およそ32万3000人が死亡するおそれがあるという被害の新たな想定を公表しました。
一方で、早めの避難や耐震化などの対策を進めれば、大幅に被害を減らすことができるとしています。

東日本大震災をきっかけに、国は去年、東海から西の太平洋沿岸の「
南海トラフ」付近で起きる巨大地震の防災対策を見直すため、専門家による検討会などを設けました。
そして、ことし3月末、
マグニチュード9クラスの最大級の巨大地震が起きた場合の揺れの強さや津波の高さなどを推計し、
結果の一部を公表しました。
29日に新たに公表されたのは、津波の詳しい想定と、揺れと津波による被害の想定などで、
地震や津波のさまざまな発生のパターンや時間帯などを考慮して、
複数のケースごとに想定をまとめています。

このうち津波の高さは、沿岸部の詳細な地形に基づいて改めて計算され、
高知県と静岡県、それに伊豆諸島の一部で最大30メートルを超えるなど、
8つの都や県の23の市町村で20メートル以上に達すると推計しています。
また、津波で浸水する地域は最大で1000平方キロ余りと、
去年3月の大津波の1.8倍に及ぶ可能性があるとしています。

さらに、想定される被害は、
人口の多い東海地域で揺れや津波が大きくなるケースの地震で最も大きくなり、
最悪の場合、関東から九州にかけての30の都府県で合わせておよそ32万3000人が死亡し、
揺れや火災、津波などで238万棟余りの建物が全壊したり焼失したりすると推計しています。

一方、今回の想定では、避難や防災対策によって被害が軽減される効果も示され、
多くの人が早めに避難して避難ビルなどを活用した場合、
津波の犠牲者は最大でおよそ80%少なくなり、
建物の耐震化率を引き上げれば建物の倒壊はおよそ40%減らせると推計しています。

国は今後、巨大地震や津波による経済的な被害なども推計したうえで、
この冬までに国の新たな防災対策を取りまとめることにしています。



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