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・東海第二原発 燃料棒の筒が変色
・青森県沖マダラ出荷停止 回遊魚の測定を


2012年8月29日水曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
●メインキャスター
(月~水・金)水野晶子 (木)千葉猛
●コメンテーター
(月・火)平野幸夫/毎日新聞「ほっと兵庫」編集長
(水・金)近藤勝重/毎日新聞専門編集委員
(木)[週替わり]池田昭、近藤伸二、藤田悟、二木一夫 /毎日新聞・大阪本社論説委員




東海第二原発 燃料棒の筒が変色


水野:
まず今日はですね、原発の燃料棒の周辺について教えていただきたいことがあります。
東海村にあります東海第二原発の使用済み燃料プール。
この中にあります燃料棒を束ねる筒とクリップの上の部分の接合部が
白く変色しているのが見つかったという話があるんです。
この燃料棒を束ねる筒というのがイメージが分からないんですけれども、
どういうものなんでしょう?

小出:
沸騰水型原子力発電所の炉心の中には、もちろんウランも入っているのですが、
一番基本的には燃料棒という直径1cm長さ4mの細いパイプにウランが詰められています。
その燃料棒というのもが、8行8列、あるいは9行9列というかたちで束ねられまして、
一つの燃料集合体というものになるのですが、
その集合体はいわゆる箱に入っているようなかたちになっていまして、
8行8列の束、あるいは9行9列の束が箱に入っています。
で、その箱をつり上げたりつり降ろしたりするのですけれども、
そのためにいろいろなフックなどが取り付けられるような構造になっていまして、
どうも今回は、そのフックなどを取り付けるための部品というんでしょうか、
そのようなものが変色しているという事のように私には思えます。

水野:
これは日本原子力発電は詳しい原因を調べると言っているんですが、
変色するという事は何を意味すると思われますか?

小出:
これまでそういう報道に私は接したことがありませんし、
そういう情報を聞いたことが無いのですが、
これを一番初めに聞いたのは女川原子力発電所で同じような現象があったという事を聞きまして、
どうしたのかな?と思っていたのですが、
多分それを受けて日本原電も調べてみたところ、自分のところでも変色していたという事だと思います。
という事は、えー、
先の東日本大震災で襲われた原子力発電所で新たに起こってきた現象のようにも見えるのです。
ですから、福島第一原子力発電所は今は悲惨な状況ですので、調べることもできないのですが、
福島第一原子力発電所の5号機6号機、
あるいは福島第二原子力発電所の燃料がどうなっていたか?という事を調べれば、
もう少し状況がはっきりするかもしれません。

水野:
ハァ~、
地震でなにか損傷があった、それも考えられるということですか。

小出:
一時的に停電とかをしている訳で、
燃料集合体全体の温度があがったり、
あるいはなにか冷却水の系統に異常が、異物が混入して、燃料棒に腐食が生じているとか、
なにかそのような現象が起きたのかな?と私は推測しています。

水野:はい、いまのところ環境への影響はないという事なんですが、

小出:ま、直ちに放射能が環境に漏れてくるという事とは違うと思います。

水野:でもこれ、まだ調べられていない所もあるわけですよね。

小出:
そうですね、ですから女川で発見されて、いま、東海で調べたという事ですから、
他の原子力発電所でも調べて、原因をつきとめる必要があると思います。


青森県沖マダラ出荷停止 回遊魚の測定を

水野:
次にですね、お魚の話なんですが、
マダラという魚がいます。
なべ料理にすると美味しいんですけれども、
これ、福島第一原発から遠く離れました青森県沖で、高い値のセシウムを含むマダラが見つかりました。
で、政府が決めている基準値というのが1kgあたり100ベクレルですよね。
ところが今回の見つかったマダラは133ベクレルという値でセシウムが検出されました。
ただ、原発からの距離が400kmも離れているようなところで、
基準値を超えるようなものが見つかるという事のショックがあるんですが、
これを小出さんはどう見られますか?

小出:当然のことです。

水野:当然ですか?400kmも離れているんですよ。

小出:はい。

水野:どういうことでしょう?

小出:
陸上の植物、あるいは家畜などであれば、その現場からほとんど動かないのです。
植物はもちろんそこで生育する訳ですし、
酪農、あるいは畜産という物の動物も、ほとんどその場所で生きているのですね。
ですから、汚染している地域のものは猛烈に汚染する訳ですし、
汚染の少ないところで生きているものはそれほどではないという事で済んでくれるわけです。
ただ、海で生きている生き物というのは、
もちろん底生生物のようなものはその現場現場の環境の汚染を反映するのです。
ですから福島県沖の底生生物。
いわゆる貝とかですね、ヒラメとかアイナメとか、
そういうものは今でも猛烈に汚染していると思いますし、
そうでない所の底生生物、あるいは底生魚類は、それほどの汚染をしていないかもしれないのです。
しかし、回遊性のものは汚染しているところからまた外へ出ていったりするわけですから、
汚染していたところで汚染を蓄積したものが、
何100kmも離れたところで現れてくるという事は当たり前のことになってしまいます。

水野:
近藤さん、これ「当たり前」ってね、小出先生はおっしゃいますが、
どう受け止めます?

近藤:
あの、先生ね、この魚は知らないんですが、
つまり僕らが日常的に食べている刺身にしろ何にしろですね、
こういう回遊魚かどうかという事をいちいち気に止めて食べているわけじゃない訳ですよ。

小出:そうですね。

近藤:
ええ、そうすると、
回遊魚であればそういう可能性があるという事になりますと、
日常的にこういう事が、僕ら自身が警戒しなくちゃいけないという理屈になるんですか・

小出:そういうことです。

近藤:それはしかし、不可能ですよね。

小出:
はい、ですからこういう汚染を心配している方々は、
「海産物はもう食べないでおこう」という自衛の仕方をしているのですね。
それによって多分日本の漁業関係者は大変苦境に陥ってきただろうし、
これからも苦境に落ちいらざるを得なくなると思います。
それを乗り越える唯一の手段は、ちゃんと測定して、
「こういうものはこれだけ汚れています」ということを公表することだと私は思います。
しかし日本の国というのは
「とにかく汚染はないのですよ」と言いたがる傾向があって、
測定値を知らせてくれないのですね。

水野:そうなんですよ

小出:
だから余計にみなさんは不安になってしまって、
海産物を避けるという事になってしまっているわけです。
何とか悪循環を断ち切らなければいけませんし、
もっと日本の国の方がきちっとデータを正確に公表するという事をやってほしいと思います。

水野:
先週お伝えしたアイナメの非常に高い値のセシウムというのはですね、
福島第一原発から20kmの沖合だったんですよね。
でも今回400kmも離れているところにもこういう事があり得るという事になるとですね、
小出先生がおっしゃるように測定をきちっとするという事は、
日本の周りの海全部と言いますか、
どこからどこまでなんて言えなくなってきませんか?

小出:
そうです。
ですから、潮流によってどこまで汚染が広がっている、
あるいは回遊性の魚類がどういう方向に移動しているかという事も含めて
調査をしなければいけなくなります。
それをでもきちっとやらない限りは、日本に住んでいる人だけではなくて、
外国の人たちだって、もちろん不安に思う訳ですから、
日本の海産物がもう売れなくなってしまうという事に繋がってしまうわけです。
事態は大変深刻ですので、日本の政府がしっかりと考えなければいけないと思います。




続きを読むに<参考>


燃料棒の筒 35本が変色 東海第2原発

茨城新聞 2012年8月24日(金)

日本原子力発電(原電)は24日、
東海村の東海第2原発の使用済み燃料プールで、
燃料棒を束ねる筒(全長4・2メートル)とクリップの上部接合部が白く変色しているのが見つかったと発表した。
変色が見つかった筒は35本。
原電は詳しい原因を調べる。環境への影響はないとしている。

原電によると、使用済み燃料プールに貯蔵されている2195本の筒全てを点検したところ、変色が見つかった。
点検は女川原発で同様の筒に欠損が見つかったことから、
原子力安全・保安院が10日付で同型の沸騰水型原子炉を持つ事業者に指示していた。


東海第二発電所 
燃料集合体チャンネルボックス上部の確認状況について

日本原電 (2012年8月24日記載)

当社は、平成24年8月10日付け、原子力安全・保安院からの
「燃料集合体チャンネルボックス※1上部(クリップ※2)の一部欠損について(指示)※3」に基づき、
8月21日から、東海第二発電所の使用済燃料プールに貯蔵している燃料に装着された全て(2195本)の
チャンネルボックス上部(クリップ)(以下、「クリップ」という)について、
水中テレビカメラによる外観点検を行いました。
その結果、クリップ接合部の一部に白色の変色等があるチャンネルボックス35体を確認しました。
今後、当該箇所について詳細な確認を行い、本事象の原因調査や燃料への影響評価  を行っていきます。
なお、チャンネルボックスクリップ部は
燃料集合体からチャンネルボックスを着脱する際に工具を固定するために設けられているものであり、
チャンネルボックスの強度や機能に影響を与えるものではありません。
また、本事象に伴う周辺環境への放射能の放出はありません。


※1燃料集合体に取り付ける四角い筒状の金属製の覆い物であり、
 燃料集合体内の冷却材流路を確保するとともに、制御棒から燃料を保護する機能を有するもの。
※2チャンネルボックスと燃料集合体を固定するもの、
 および燃料集合体からチャンネルボックスを着脱する工具を固定するもの。
※3 原子力安全・保安院からの指示(概要)    
原子力安全・保安院は、東北電力株式会社女川原子力発電所第3号機で確認された
  チャンネルボックス上部(クリップ)の欠損事象に伴い、
  沸騰水型原子炉を所有する原子力事業者に対して、点検内容およびその結果を
  平成24年9月10日までに報告することを求めています。


添付資料:チャンネルボックス上部の状況
20120829.jpg





「福一4号機高濃度汚染水・福一排気用モーター白煙・女川原発燃料集合体金属カバー欠損」
8/16たねまきJ小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)

チャンネルボックス上部の欠損状況
2012081711.jpg



日本原電敦賀1号機・燃料集合体金属カバーにひび・変色

添付資料:チャンネルボックス上部の状況
2012082911.jpg




東日本大震災:
青森・八戸沖マダラにセシウム 出荷停止、長期化も 南方で汚染、北上か

毎日新聞 2012年08月29日 東京夕刊

青森県八戸市沖の近海で取れたマダラから国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超す
放射性セシウムが検出された問題は、
東京電力福島第1原発事故による回遊魚への影響が、収束には程遠いことを改めて示した。
鍋物など「冬の味覚」としてマダラ漁が本格化するのは11月。
出荷停止の解除には最低でも1カ月かかる見通しで、長期化を懸念する声が上がっている。
【神足俊輔、高橋真志、神保圭作】

国が今月27日に出荷停止を指示した海域は福島第1原発から約350キロ離れている。
セシウムの基準値が500ベクレルから100ベクレルに厳格化された今年4月以降、
八戸市沖のマダラから6月に116ベクレル、今月9日に132・7ベクレルのセシウムが検出され、
青森県ではあらゆる農水産物のうち初めて出荷停止に追い込まれた。
政府は複数回、基準値超が検出された場合、出荷停止を指示している。

水産庁によると、マダラは青森県沖から千葉県の銚子沖の太平洋近海に分布。
青森県の近海で水揚げされた他の魚種からは高濃度のセシウムが検出されていないため、
同庁と青森県の担当者は
「南方で汚染されたマダラが北上し、たまたま八戸沖で漁獲されたのではないか」と推測する。
マダラは他の魚種に比べ高い値のセシウムが検出されることが多く、宮城県でも5月から出荷停止が続く。

青森県の気掛かりは出荷停止期間の長期化だ。
昨年の県内太平洋沿岸のマダラ漁獲量は約4000トンで、漁獲高は約11億4000万円。
出荷停止が長引けば、基幹産業の漁業に大きな影響が出る。
漁業関係者は収入減や、他魚種への風評被害を懸念しており、県漁協連合会(県漁連)は
「早期に賠償がなければ生活が立ち行かなくなる」と訴える。

出荷停止解除は、検査で1カ月以上安定的に低い値が続くことなどが条件。
水産庁は「消費者のことを考えると、出荷停止やその解除が繰り返されることは避けたい」と
解除に慎重な姿勢を示している。

東京海洋大の水口憲哉名誉教授(海洋生態学)によると、
マダラは海底に生息する魚介類を餌にするため、
他の回遊魚に比べて高い値のセシウムが検出されやすい特徴があるという。

水口名誉教授は
「基準値超えは、起こるべくして起こった。
マダラは特定の水域だけに生息したり、広範に移動するものもある。
汚染の実態解明のため、マダラだけでなく、あらゆる回遊魚について、生息域全体で調査を進めるべきだ」
と指摘する。


「青森のマダラ出荷停止」
デーリー東北新聞社 2012/08/28 09:00
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「反原発市民団体と野田総理面会・討論型世論調査・超高濃度汚染アイナメ」たねまきJ
8/22小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)



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「日本のジャーナリズムがどういうものかという事への試金石になる」
小出裕章氏・たね蒔きジャーナル存続の陳情8/27MBS(動画・内容書き出し)


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