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08.31
Fri
・福島第一原発1~3号機注水量一時低下
・福島・甲状腺検査35.8%にしこりやのう胞
・浜岡原発5号機炉心に鉄さび


2012年8月30日木曜日 
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
●メインキャスター
(月~水・金)水野晶子 (木)千葉猛
●コメンテーター
(月・火)平野幸夫/毎日新聞「ほっと兵庫」編集長
(水・金)近藤勝重/毎日新聞専門編集委員
(木)[週替わり]池田昭、近藤伸二、藤田悟、二木一夫 /毎日新聞・大阪本社論説委員





福島第一原発1~3号機注水量一時低下

千葉:
まず、先程のニュースでですね、
福島第一原発に注水している冷却水の量が一時低下したというものがあったんですけれども、
これは小出さんどうなんでしょう?
危険…じゃないですかね。

小出:
はい、私も今そのニュースを聞いたばかりで、正確なことがよく分かりません。
ただし、もともと分からないのです。
原子炉が溶けてしまったという事は分かっているわけですが、
溶けてしまった、いわゆる炉心というものが、
「どこにあるのかすらいまだに分からない」という状態で今日まできてしまっています。
今回は冷却水の流量が減ったという事で、
東京電力が観測した場所での「温度の変化はない」という事ですけれども、
それはたまたまその場所で変化が無かっただけなのかもしれませんし、
実際にどういう状況になっているか?という事は、
実は私も分からないし、東京電力も分からないのです。
ですから、出来る限り「原子炉を溶けないようにする」
「冷却を続けなければいけない」という事で今日まできたのですけれども、
その流量が低下してしまうという事は、本当はあってはいけないことだと思います。
それが起きたということであれば、どうしてそんなことになってしまったか?
もちろん東京電力も十分配慮してきたはずだと思いますけれども、
それが起きてしまったというならなぜなのか?
これから起こさないように十分また注意をしなければいけませんし、
まずはきっちりと調べて原因を教えてほしいと願います。

千葉:
これ、午後4時半には元の量に戻ったと伝えられているんですが、
もし戻らなくて冷却が不十分になった場合というのは、
また燃料が溶け落ちたりとか、

小出:
冷却に不十分だという事になれば、溶けていった炉心の温度があがっていってしまうわけですし、
今現在、多分コンクリートと反応、ま、接触してですね、
反応が進むか、あるいは押し留めるかという瀬戸際にあるのだと思いますけれども、
その反応がますます進んで行ってしまうということになりますし、
そうなってしまうと、放射能が外部へ漏れてきてしまう可能性がますます高くなってしまうと思います。

千葉:
となると、本当に事故から一年以上経っているという事なんですけれども、
また事故直後の状態に近いところにまで戻ってしまうというふうに考えてもいいんでしょうか?

小出:
はい、一番大切なことは放射能が外部に漏れてこないようにしなければいけないのです。
その最後の防壁というものが原子炉格納容器と私たちが呼んでいる鋼鉄製の容器なんですが、
それがとにかく壊れないように、炉心を冷やし続けて頑張るという事しか、今出来なかった訳で、
私は「もうすでにひょっとしたらその格納容器が壊れてしまっているかもしれない」
と事故の直後から疑ってはきていました。
でも東京電力は「まだ大丈夫だ」「コンクリートが持ちこたえている」と言ってきたわけですし、
なんとかそれを持ちこたえるような努力を続けてきたのだと思いますけれども、
今回のような冷却が失敗するという事になると、
”東京電力のシナリオ”によっても最後の防壁を失ってしまうという事に繋がってしまいますので、
大変重要な瀬戸際だと思います。


福島・甲状腺検査35.8%にしこりやのう胞


千葉:
はい、分かりました。では次の質問にまいります。
これも先日ニュースで伝えられたんですけれども、
福島県で子どもの甲状腺検査をしたところ、
今まで検査した3万8000人の35.8%に当たる1万3000人以上に
しこりなどが見つかったという事なんです。
毎日新聞の記事によりますと、福島県は、
「良性の小さなしこりやのう胞は通常でもよくある」というふうに説明をしているという事なんですが、
この数字を聞いて小出さんはどうお考えになりますか?

小出:
私は大変驚きました。正直に言えば。
そんなに沢山の子どもたちにしこりが発見されたという事は、
これまでの医学の常識では無かったと思います。
福島県が「よくあることだ」と言ったそうですけれども、
そんなに「よくあることだ」という事は医学の常識としてなかった筈だと思いますし、
もし「よくあることだ」と言うのであれば、
一体どれだけ「よくあることなのか?」という事を数字でまず示さなければいけませんし、
福島県だけではなくて、日本全体の問題としてこの問題をしっかりと調べなければいけません。

千葉:
あのー、チェルノブイリの事故ではですね、
子どもの甲状腺がんが発生し始めたのは事故が発生してから4~5年後だったという事なんですが、
小出さんはチェルノブイリの現地にもいかれて調査もされたと聞いたんですけれども、
その経験からもたとえば、
「それまでに何か子どもたちに兆候がある」といったような事はなかったんでしょうか?

小出:
私は放射能が専門ではありますけれども、甲状腺の専門家ではありませんので、
私自身が子どもたちの甲状腺を調べたという事は、申し訳ありませんがありません。
ただし、チェルノブイリ原子力発電所の事故の時に、ウクライナやベラルーシのお医者さん達が、
「子どもたちの甲状腺に異常がある」という事をたびたび訴えてきたのですけれども、
国際的な原子力を推進してきた人たちは、
「そんなことはない」と、
「統計的に有意ではない」と言う事で、
ずーっと無視を決め込むという歴史が長い間続きました。
そして、何年も経ってから「やはりこれは統計的にも意味がある」という事で
初めて原子力の推進側も
チェルノブイリ原子力発電所の事故によって甲状腺がんが有意に発生したと認めるようになりました。
そういう事から見ると、今回も原子力を進めてきた人たちは、
福島で今観測されている事実を「何でもない」というふうに言いたがるだろうし、
そう言っているのだろうと思いますけれども、
気がついた時には被害がもっと広がってしまうという事になりかねませんので、
早いうちに調査をして、きちっと事実というものを認めることが必要だと思います。


浜岡原発5号機炉心に鉄さび


千葉:
ん…
では次の質問にまいります。
静岡県の浜岡原発5号機の原子炉圧力容器に、
5トンの海の水が流れ込んだという事故が去年の5月にありました。
その影響か?なんですけれども、
原子炉の中の燃料集合体を覆っている金属製カバーの内側に入っている水に、
高い濃度の鉄分が含まれているという事が分かったという事です。
という事は鉄の錆が炉の中に浮かんでいる可能性があるという事だと思うんですが、
これが圧力容器内に、たとえば錆をつくったりとかという影響はないんでしょうか?

小出:
福島原子量発電所の事故が起きた時に、
とにかく炉心を冷やさねばいけないという事が一番の重要事項でした。
それでその時に、炉心を冷やすためには水を入れなければいけなかったんですけれども、
真水が無かったという時期が一時期ありまして、
その時に福島第一原子力発電所の人達は、仕方がないから海水でもいいから入れようとしたのです。
しかし東京電力の本社では、
一度海水を原子炉の中に入れてしまうと、原子炉が二度と使いものにならなくなるので、
海水を入れるのを何とか止めることはできないのか?と言って、
福島第一原子力発電所の現場で苦闘している人たちにそういう指示を出したことがありました。
それほど原子炉の中に海水を入れるという事は、
原子炉という機械にとって致命的なことになってしまいます。

今回浜岡の場合には意図的に入れたのではなくて、事故によって入ってしまったわけですけれども、
もちろんそれによって原子炉の中の腐食という事が進むことは避けられませんし、
今回鉄分が多かったという事はもちろんそのことを示していると思います。
原子炉という、大変機微な機械ですけれども、
そういうものに腐食が生じるという事は、大きな事故を誘発する原因になってしまいますので、
何よりも避けなければいけませんでした。

その上にもうひとつ重要なことがあるのですが、
錆というものができてしまいますと、
そのさびが今度は放射能を持った錆になってしまいまして、
原子炉冷却材の中に溶けてくる訳ですし、
それが原子炉全体に流れて行ってしまって、
そこらじゅうで放射能による汚れを広げていってしまう事になります。

そうしますと、原子量発電所をメンテナンスする労働者たちが、
それによってまた被曝をしてしまうという事にもなってしまいまして、
これまでも原子力発電所では、労働者の被爆を何とか少しでも減らすためにという事で、
ま、私たちが水質管理という事を最新の注意を払ってやってきて、
錆びないように錆びないようにという事でやってきたのです。
そういう努力が一気に、もう水の泡に帰してしまったわけですし、
このまま運転再開をするという事になれば、
労働者の被ばくが桁で上がってしまうという事になると思います。

二木:そうすると浜岡の場合は再稼働はちょっと難しい状況なんでしょうか?

小出:
私としてはもちろん「やってはいけない」と思いますけれども、
日本で原子力を進めてきた人たちというのは、
浜岡という東海地震の予想震源域の中心にあるような原子力発電所でも
まだ「安全だ」と言ってきた人たちがやってきたし、
今回は大飯原子力発電所という、
「ひょっとしたら活断層があるかもしれない」というところでも
「再稼動OK」を出しているわけですし、
「浜岡というところで労働者が少しぐらい被ばくしてもそんな事はなんということはない」
と判断を下す人達が、今原子力の中枢にいることだと思います。




続きを読むに<参考>






福島第1原発:1〜3号機注水 規定量一時下回る

毎日新聞 2012年08月30日 21時11分(最終更新 08月31日 01時03分)

東京電力と経済産業省原子力安全・保安院は30日、
福島第1原発1〜3号機の原子炉への注水量が一時的に保安規定の必要量を2度にわたって下回ったと発表した。三つが同時に規定を逸脱したのは初めて。
原子炉圧力容器の温度に変化はないが、原因を調べる。

東電によると、1時間あたりに必要な注水量は
▽1号機が4.3立方メートル、
▽2、3号機が6.1立方メートル。
同日午後2時までは必要量を注水していた。

ところが、同3時までに
▽1号機で4立方メートル
▽2号機で5.5立方メートル
▽3号機で5.6立方メートル−−にそれぞれ低下。
配管のバルブを開けたところ、同4時37分までにいったん戻ったが、
同8時過ぎから再び1〜3号機で3.9〜5.8立方メートルまで低下し、約2時間半後に回復した。

東電の松本純一原子力・立地本部長代理は
「ポンプは正常に作動しており冷却が不安定になっているとは考えていない。
これまでにも週に1度ほど流量が少し下がることがあったので、原因をしっかり調査したい」と話した。
【奥山智己】




ものすごくショックを受けたニュース「子ども甲状腺にしこり3人に1人」
8/27たねまきJ(内容書き出し)

水野:
今日お送りいたしますニュースは原発事故に関連するものがいろいろと出てきますが、
わたくしはものすごくショックを受けたニュースを今日お伝えすることになります

疑問だらけ!放射能汚染による甲状腺検査
「福島県民安心のために他県と比べる(国)」「日本崩壊しないよう導く(山下俊一)」
「調査の邪魔したくない(医師)」

毎日新聞 2012年08月26日 の記事
甲状腺検査:福島県外の子供と比較 内閣府方針



浜岡原発:炉心の水に鉄さび、海水流入前の1万4000倍
毎日新聞 2012年08月23日 21時00分(最終更新 08月23日 22時27分)

中部電力浜岡原発5号機(静岡県)の原子炉などに海水が流入した事故で、中部電力は23日、
炉心の水に含まれる鉄さびの濃度が流入前の最大約1万4000倍に上ったことを、
経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合で報告した。

燃料集合体10体から内部の水を採取して調べた。
鉄さびの濃度は最大8900ppb(1ppbは10億分の1)と、
流入前の0.62ppbから大幅に増えていた。
中部電は、原子炉の外でできたさびが配管などを通じて流れ込んだ可能性もあるとしている。
保安院は「さびが原子炉内でできたかや、運転に影響するかなどは今後調査する」としている。

中部電は22日から燃料集合体の取り出しを開始。
月末までに全872体を取り出し、原子炉内の腐食の有無を調べる。
【岡田英】


停止中でも安心できない原発・浜岡の場合

浜岡5号機復水貯蔵槽に穴 さびで腐食
河北新報 2012年05月28日月曜日
中部電力は28日、
運転停止中の浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)の復水貯蔵槽内に穴やへこみ計40カ所ができた原因について、
貯蔵槽内に粉状のさびが堆積して鋼材が化学反応を起こし、腐食しやすい環境になっていたと発表した。 
貯蔵槽は、原発の運転中に原子炉冷却のための水を一時的にためる設備。
内部が縦約7メートル、横約33メートル、深さ約13メートルで、厚さ4ミリの鋼材で造られている。
 
昨年5月、政府の要請を受けた運転停止の作業中に、
原子炉を冷やすための細管が壊れ、貯蔵槽に海水が流入。
底部の少なくとも11カ所に鋼材を貫通する穴が開いた。




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小出裕章氏・たね蒔きジャーナル存続の陳情8/27MBS(動画・内容書き出し)



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