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チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「ウクライナは訴える」(動画・内容全て書き出し)

この内容の番組をNHKがよく放送して下さったと思います。
感謝します。


チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
ウクライナは訴える


シリーズ チェルノブイリ原発事故... 投稿者 gataro-clone
ETV特集 9月23日(日)22:00放送 再放送9月30日



チェルノブイリEテレ11

旧ソビエトのウクライナ
首都キエフの北およそ100kmにあるチェルノブイリ原発に向かいます。

原子炉が爆発し、大量の放射性物質がまき散らされたのは26年前。
30km圏内は今も立ち入りが制限されています。

去年から政府が許可し始めた見学ツアー。
手続きをすれば事故現場の近くまで行けるようになりました。

チェルノブイリEテレ12
ガイド:
みなさん、今からチェルノブイリ原発の原子炉の違いについて説明します。
およそ90トンの放射線を発する微粒子が周辺の環境に放出されました。

チェルノブイリEテレ13

原発事故から四半世紀たった今もこの国に残された爪痕。
その実態を調査した報告書が去年公表されました。


ウクライナ政府報告書。
この報告書でウクライナ政府は原発事故の被災者の間に深刻な健康被害が発生していると訴えています。
甲状腺疾患、白内障、心筋梗塞、脳血管障害などがふえており、
その原因の一つが放射線であるという見解をしましました。

チェルノブイリEテレ14

その根拠とされたのは被災者230万人以上の健康状態を追跡して得られたデータです。
原発事故の前から現在まで、被災地で治療してきた現場の医師たちの声が報告書で採用されたと言います。


東北限定13
女性医師:
膠原病の患者は事故前には6人でした。
それが2004年には22人、2011年には45人になりました。

東北限定14
男性医師:
がんは事故前には10万人当たり200人でした。
現在は10万人あたり310人です。

そして今、最も危惧されているのが子どもたちです。
事故の後に生まれ汚染地域で育った子どもたち
報告書によればその78%に慢性疾患が見られると言います。

チェルノブイリEテレ15
7年生の時から時々意識を失います。高血圧で上が160です。

チェルノブイリEテレ16
生まれつき慢性気管支炎です。
それと、朝起きてすぐは関節が痛いです。

しかし国際機関は甲状腺がんなどの僅かな病気しか放射線の影響と認めず、
ウクライナ政府の主張を受けりれていません。

チェルノブイリEテレ17
私たち現場の医師たちは甲状腺がんだけではなく他の疾患も
チェルノブイリの影響かもしれないと思っています。


原発事故の後、人々の健康に何が起きているのか、ウクライナの訴えです。



続きを読むにつづく



シリーズ
チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
第2回 ウクライナは訴える。


チェルノブイリ原発事故が起きたのは4月。新緑の季節でした。
ウクライナにはヨーロッパでもっとも肥沃と言われる穀倉地帯が広がっています。
事故の後も汚染地帯にはおよそ500万人が暮らしてきました。

チェルノブイリEテレ18

これが黒土よ、
この土が私たちを養ってくれているのよ。

チェルノブイリEテレ19
小麦が育ったら緑が出来て綺麗になるわ。
でもみんな病気をしている。
癌で若い人も年寄りも死んでいくわ。

事故のあと数年間は汚染に対する詳しい情報は与えられませんでした。
人々は放射線が病気を引き起こすのではないかという不安の中で暮らしてきました。

去年4月、チェルノブイリ事故25年に際して、ウクライナで開かれた国際会議。
キエフ国際科学会議(2011年4月)
その会議の席上ウクライナ政府は一冊の報告書を提出しました。
「未来のための安全」と記されたウクライナ政府報告書です。
チェルノブイリ事故の現状や事故がもたらしたさまざまな影響がまとめられています。

チェルノブイリEテレ20

中でも最も多くのページが割かれたのは住民の健康に関する部分でした。
25年にわたって汚染地帯の住民を診つづけてきた医師たち35人によって執筆されました。

チェルノブイリEテレ21

第3章「事故による放射線被ばく学的影響と健康影響」

現場の医師たちが見てきた汚染地帯の人々の健康状態はどのようなものだったのか。

キエフ
首都キエフにその情報を取りまとめている国の機関があります。


被災者の情報を一括管理する巨大データベース。
国立記録センターです。
1.事故処理作業者
2.避難民
3.汚染地帯に住み続ける住民
4.1~3の子ども
被災者の情報が4つのカテゴリーに分類され集められています。

現時点で236万4538人が登録されています。

これはその被災者が検査機関に来た日付です。
病院コードとカルテ番号です。
ここは患者の名前と生年月日です。
病名と既往歴です

236万人の健康状態と被ばくとの関係を、
ウクライナ政府は検討しました。
こうしてつくられたウクライナ政府報告書は、一つの注目すべき問題提起をしています。
多くの被災者が心筋梗塞脳血管障害など
さまざまな慢性疾患を発症しているという訴えでした。

しかし、IAEA等国際機関の見解では
科学的にはこうした病気は原発事故による放射線の影響であるとは認められないとしています。
ウクライナ政府報告書と国連で被ばくの影響を評価する国連科学委員会との見解の相違です。
報告書が放射線との関係がある病気を多く明記するのに対し、
国連科学委員会は事故直後に原発で働いていた人の白血病と白内障、
汚染されたミルクを飲んだ子どもに起きた甲状腺がんのみを指摘しています。

チェルノブイリEテレ22

何故ウクライナは
国際社会が科学的には認められないとした病気まで、原発事故の影響だと訴えることにしたのか。

ウクライナ非常事態省で長官を勤める報告書の責任者ホローシャさんです。

東北限定17
非常事態省 立ち入り禁止区域管理庁 ヴォロディミール・ローシャ長官:
確かに政府報告書の内容は国際的にコンセンサスがとれていないものもあります。
しかし私たちは、このような事実があることを黙ってはいられません。
科学者は公開すべきと思っています。
そして私たちは発表すべきだと思っています。

チェルノブイリEテレ23

報告書は心臓や血管の病気の増加に注目しています。
原発近くからの避難民の死因です。
癌などの腫瘍以外の死因の実に9割を心臓と血管の病気が占めていると報告しています。

ウクライナ国立放射線医学研究所。
ウクライナでの研究の中心です。
報告書を執筆した医師の多くがここに所属しています。
執筆者の一人心臓や血管の病気を担当したブズノフさんです。

チェルノブイリEテレ24

たとえば、冠動脈疾患の心筋梗塞、狭心症については、
甲状腺透過線量で0.3~2シーベルトの被ばくをした避難民が、
被ばくが少ない人の3.22倍発症しやすく、
それ以上被曝した人は4.38倍発症しやすいとはじき出しています。

チェルノブイリEテレ25

これまで国際的には心理的ストレスや社会的影響とされてきた病気です。

チェルノブイリEテレ26
放射線医学研究所 ウラジーミル・ブズノフ:
わたしは「放射線の影響」とよく言われる「心理・社会的ストレスの影響」とを
比較する研究を始めたばかりですが、
これまでの蓄積から言えば、その二つの影響はほぼ同じだと思っています。
低い線量の放射線の影響が表れていると言えるのは、心臓や血管の病気です。


ウクライナ政府分析の対象となっている汚染地帯。
原発から140kmの土地を尋ねました。
コロステンは人口6万5000人、ウクライナ北部の町です。

東北限定12

現在ウクライナ政府は被災地を被ばく線量に応じて4つのゾーンに分けています。
人々が避難や移住をしたのは赤とオレンジで表されているゾーンからです。
年間の線量が5ミリシーベルト以上とされた地域です。

東北限定11

その外側にある黄色と青のゾーンは年間線量が5ミリシーベルト以下とされ、
事故後も住民が住み続けています。
コロステンは移住勧告地域と放射線管理区域が混在する場所にあります。
報告書によるとコロステンを含むジト―ミル州の住民は、
移住勧告地域で原発事故からの25年間の積算で、平均26ミリシーベルト。
放射s年管理地域では、平均15ミリシーベルトの線量を被ばくしたとされています。

チェルノブイリEテレ27


コロステン健診センターは、事故から5年後の1991年、
住民の健康状態を検査するためにつくられました。
周辺の町や村から毎日4~50人の住民が訪れます。

内部被ばく線量を知るために体内の放射性物質の量を測るホールボディーカウンター。
20年前に比べると住民の内部被ばくは大幅に減りました。

チェルノブイリEテレ28

しかし住民の健康状態は事故前に比べて悪化しているといいます。
およそ半世紀にわたり住民の健康を診つづけてきた医師のアレクセイ・ザイエツさんです。
ザイエツさんの診察結果も国立記録センターに送られ分析の対象になってきました。

東北限定15


ザイエツさんのもとには心臓の不調を訴える住民が頻繁に訪れます。

チェルノブイリEテレ29

そのひとりワシーリーさんです。

ザイエツ:
あなたは手術をなさいましたが、その後体調はいかがですか?

ワシーリー:
はい、問題があります。熱があがりました。


事故直後から徐々に体調が悪化してきましたが、去年心筋梗塞で倒れました。
ワシーリーさんのように、事故の後心疾患をはじめ様々な病気を抱える住民が増えているのは
食べ物からの内部被ばくの影響によるものだとザイエツさんは考えています。

ザイエツ:
私たち現場の医師たちは
甲状腺がんだけでなく、他のさまざまな疾患もチェルノブイリの影響かもしれないと思っています。
現在では低い線量の影響を立証することは難しいと思いますが、
主な原因はミルクそして肉だと私は思っています。

最も危険なのは、森で採れるもの。キノコやベリー類です。
それらのは8割が基準を超えています。
しかし人々はそれを採って食べています。

コロステンの市場です。

チェルノブイリEテレ30

地元で採れた農産物が並んでいます。
しかしキノコやベリーなど御膳の可能性g高いものは販売を禁止されています。
市場で手に入る全ての食品は厳しい検査を受けて販売されいます。



東北限定16

ー:お名前は?
ー:ザレツキーです。

市場に併設されている検査所です。
豆に含まれている放射線量の基準は基準は1キロ50ベクレル以下です。

ー:この豆は1.8ベクレルです。


ここで基準を超える食品が最後に見つかったのは4年前です。
しかしコロステンの人々が食品を手に入れる場所は市場だけではありません。

チェルノブイリEテレ31

心臓の不調を訴えていたワシーリーさんです。
原発事故の時は32歳。
学生時代はバレーボールの選手でした。
コロステンにある工場の管理部門で働いてきました。
現在58歳。
原発の事故処理作業などの強い放射線はを浴びた経験は一度もありません。
ワシーリーさん野奥さんが普段食べているものを見せてくれました。

チェルノブイリEテレ32

自分たちで採った森のきのこ。
そして自家菜園で採れた野菜。
コロステンの人々は昔からこうした自給自足に近い生活を送ってきました。

奥さん:
このキノコはコロステンから25キロ離れた森で採りました。
ハッキリ言って私たちは夏はこのキノコやベリーで生きながらえているのよ。
給料もないし、年金で暮らしていくにはそれしかないでしょ。

コロステンでは安全な食品を買うための補助金が出ますが、
一人当たり月120円にすぎません。
ワシーリーさんは心筋梗塞をきっかけに35年勤めた会社を辞めました。
現在、被災者の治療費は国の全額負担ですが、薬代は自己負担。
年金暮らしの家計を圧迫しています。

チェルノブイリEテレ33
ワシーリー:
私たちは移住するつもりで書類を集めていました。
しかし、新しい場所には私たちを知る人は誰もいません。
そして家や仕事も無しで一から生活を始めるのは大変だと思ったのです。
そして私たちはこの汚染された土地に住み続け、
放射線を受け続けてきたのです。


ウクライナ政府報告書では、
比較的低い放射線量の被ばくと心疾患の発症にも関係があるとしています。
それによると心筋梗塞狭心症については
50ミリシーベルトから99ミリシーベルトまでの被ばくをした人は、
被ばくが少ない人々と比較して1.3倍発症しやすいとしています。
報告書を執筆したブスノフさんはコロステンに多い心疾患の原因も放射線によるものだと考えています。

チェルノブイリEテレ34

ウラジーミル・ブズノフ 放射線医学研究所:
心臓や血管の病気の増加がみられるのは
1986年と1987年。
事故処理に当たった作業員や原発30キロ圏内から避難した人々だけでなく
コロステンを含む汚染地帯に住み続けている、事故当時成人だった住民です。
セシウムはあらゆる身体組織に蓄積します。
肝臓、胃、脾臓、そしてもちろん血管です。


心疾患の他にも、報告書は様々な病気について放射線の影響を分析しています。
その一つが白内障などの目の病気です。
白内障については比較的低い線量との関係を指摘しています。

WHO世界保健機関の報告書によれば、
白内障は積算250ミリシーベルト未満ではその増加は確認できないとされています。
この見解にウクライナ報告書は異を唱えています。

チェルノブイリEテレ35

白内障について執筆したフェデリコさんです。
臨床医として治療に携わる傍ら、被災地で住民の目の分析を続けてきた研究者です。
力を入れてきたのが白内障の発症と被ばくとの関係を調べる研究です。

チェルノブイリEテレ36

白内障発症の増加率と被ばく線量の関係を表したグラフです。
WHOが増加を確認出来ないとしていた250ミリシーベルト以下でも、
被ばく線量と白内障の増加とは関係があるという事です。

チェルノブイリEテレ37
バベル・フェデリコ 放射線医学研究所:
病気が存在することは事実なのです。この事を公開しようと思いました。
しかし、ヨーロッパの医学雑誌はこう言いました。
「これは確かに面白いし認めるが、限られた人しか興味を持たない事だ」
…だから発表されませんでした。
放射線の問題に向き合っていない国は興味が無いんですよ。
私の主張が認められなくても仕方ないかもしれません。
しかし遅かれ早かれ、この事実そのものがそれが存在すると認めさせていくでしょう。


さまざまな病気と被ばくとの関係を主張するウクライナの報告を、国際機関は何故受け入れないのか?
その理由について国連科学委員会の委員の一人は取材に対して、
「放射線の病気の因果関係の証明方法が我々の基準を満たしていない」
と、回答しました。

チェルノブイリEテレ38

国連科学委員会の2008年の報告書では
ウクライナからの心疾患に関する報告の問題点をあげています。

「被ばく線量が分かっている被災者がデータ全体の40%しかいないため、
結論に偏りが生じる可能性がある」などと指摘。
ウクライナ政府の報告は科学的に証明されたものではないとしています。

被災者の正確な被ばく線量のデータが必要だとする国際機関。
病気が放射線の影響であると認められるには
その因果関係を証明するための正確な疫学調査が必要だとされているからです。

しかし「国際機関が求めている疫学調査の基準で因果関係を証明することは事実上不可能に近い」
原発事故被災地の専門家たちは反論しています。

それは国際機関が求める被ばく者の正確な被ばく線量のデータが、
そもそも入手が極めて困難であると考えられているからです。

その理由の一つが、白血病による死者などを公衆衛生によるデータが
事故発生3年以上にわたってソビエト政府によって隠されてきた事。
放射性物質はまだらにばらまかれており、その影響を見積もることが難しい事。
そして、汚染地域から移住した数多くの住民の健康状態の把握が難しい事をあげています。
国際機関が求める疫学調査に必要なデータは極めて集めにくいとの主張です。


国際機関が原発事故が原因と認めている数少ない病気の一つに甲状腺がんがあります。
なぜ甲状腺がんは国際的に認められたのか?
そこには一つの理由がありました。

事故から5年が過ぎてもIAEAなど国際機関は原発事故収集に携わった人を除いては
被災地域で発生していた健康状態の悪化と事故との関係を認めていませんでした。
しかし、現地の医師は早い時期から甲状腺がんの増加に気付いていました。

ウクライナ政府報告書の甲状腺がんの項目を執筆したテレシェンコさんです。

チェルノブイリEテレ39
ワレリー・テレシェンコ 内分泌代謝研究所:
私たちの研究所の所長が
1989年にはウクライナやベラルーシで甲状腺がんの増加が見られるようになったと報告した時、
IAEAやソビエトの科学アカデミーはこう言いました。
超音波診断の精度があがったから発見数が増えただけだ
そのように言ったのです。


事故から5年後の1991年。
IAEAはチェルノブイリ原発事故被災者の健康状態について調査した結果を発表しました。
報告書では「放射線が健康に障害を及ぼした証拠は存在しない」と結論付けています。
これに対してウクライナなど被災地域の医師たちが疑問の声をあげます。
海外からの支援を受け因果関係の証明に乗り出しましたが、正確な被ばく線量は分かりませんでした。

しかし、被ばくした放射線量が分からなくても甲状腺がんならば因果関係が証明できると気付きます。
着目したのはある放射性物質の性質です。

甲状腺に集まり被ばくを起こす放射線ヨウ素は半減期がおよそ8日。
事故から数カ月でほとんど消えてしまいます。
もし、甲状腺がんがヨウ素が原因で起こるなら、
事故前や事故直後に生まれた子どもは被ばくによって発病数が増え、
事故から数カ月以上経って生まれた子どもは発病しないはずです。
被ばく線量では無く生まれた時期によって因果関係を探るこの方法。
データが蓄積され、事故から数カ月経って生まれた子どもの発病はほとんどない事が明らかになりました。

被ばくと甲状腺がん増加の因果関係が科学的に証明されたのです。

1996年、IAEAは甲状腺がんを放射線の影響と認めました。
ウクライナの医師が患者の増加に気付いてから7年がたっていました。

報告書の責任者ホローシャさんはいまなお汚染地帯で起きているさまざまな病気と原発事故の関係が
いつか科学的に証明されることを期待しています。

チェルノブイリEテレ40
ウラジーミル・ホローシャ 非常事態省立ち入り禁止区域管理庁長官:
甲状腺がんがチェルノブイリの影響によると国際機関はすぐには認めませんでした。
しかし長い時間を経て認めました。
ですからウクライナと被災国の研究者たちが挙げている他の病気も
遅かれ早かれ国際的な承認が得られると思っています。

原発事故によって発病が増加することが国際的に認められた甲状腺がん。

コロステン健診センター

原発事故から26年を経てもウクライナ甲状腺がんに悩まされています。
大人の甲状腺がんの発症数が増え続けているのです。

甲状腺に異常を持つ人が今になって次々に甲状腺がんを発症しています。
エレーナさんです。

チェルノブイリEテレ41

事故当時20歳だったエレーナさんは3年後この病院で甲状腺に腫瘍があると診断されました。
幸い癌ではありませんでしたが、今でも癌になることを恐れ、ここで診察を受けています。


エレーナ・パシスカヤ:
これが前回のホルモン検査の結果です。
これはしこりの検査結果です。

医師:
ちょっと小さくなっていますね
次回は組織を採取して調べてみましょう。

エレーナさんは夫と娘二人、家族4人で暮らしています。
長く料理人をしてきましたが、少しずつ体調が悪化し、最近仕事を辞めました。
3年ほど前から入退院を繰り返す日々です。

チェルノブイリEテレ42
エレーナ・パシスカヤ:
わたしはしこりが見つかって以来甲状腺を検査し続けています。
癌にはならないかもしれないけど、観察しなければなりません。
(事故5日後の)5月1日はメーデーの行進が行われました。
それで私たちがデモの警備にあたらせられました。
当時情報があったらこんな不幸は起きていなかったかもしれません。
今は最悪の事態を想定し、そうなっても乗り越えられるようにしています。




被災地の甲状腺がんの治療に当たってきたウクライナ国立内分泌代謝研究所です。
事故の3年後に甲状腺がんと原発の事故の関係を主張したテレシェンコさんです。
今も多くの患者の治療に当たっています。

チェルノブイリEテレ43

事故当時10代だったこの女性は、今年甲状腺がんになりました。
子どもの頃の被ばくが引き起こす甲状腺がんが今頃になって発症するケースが
汚染地帯の全域で増え続けていると言います。

チェルノブイリEテレ44
ワレリー・テレシェンコ(内分泌代謝研究所):
チェルノブイリから放出されたヨウ素は爆発から2カ月後にはほとんどなくなりました。
それ以降甲状腺には影響を与えていません。
子どもにも大人にも誰にも影響を与えなくなりゼロにまで減ったのです。
しかし実は、病気の発症数は上昇しています。

チェルノブイリEテレ45

つまり1986年の事故当時の影響が現在まで続いているという事です。


チェルノブイリEテレ46

事故当時14歳以下だった被災地の子どもが、その後いつ甲状腺がんを発症したか。
その人数を表したグラフです。
1989年以来、年が経つにつれて甲状腺がんを発症する人が増え続けています。

事故直後の放射性ヨウ素が、いったいなぜ今ごろ発症を促すのか?

ワレリー・テレシェンコ(内分泌代謝研究所):
被ばくした線量によると考えられます。
被ばく線量が高かった子どもは早い時期に甲状腺がんになりました。
被ばく線量が低かった子どもは後になって甲状腺がんになると考えられます。

しかし誰もこのような状況が生まれた原因について、確かな説明は出来ていません。


ウクライナ非常事態省 コロステン支部

ウクライナ政府が本格的に放射能対策に取り組み始めたのは、ソビエトから独立した後でした。
非常事態省のコロステン支部には、事故後の汚染状況を調べた地図が残されていました。

チェルノブイリEテレ47
オレグ・ボシャコフ(非常事態省コロステン支部):
これはセシウム137の汚染地図です。
1992年に作られました。

汚染地図をつくってみると、線量にばらつきがあることが分かってきました。
最も濃いピンク色は年間線量5ミリシーベルト以上(強制移住地域と同等)の場所です。

チェルノブイリEテレ48

汚染が少ないはずのこの町に現れたホットスポット。
除染はピンク色の場所から順に進められることになりました。
除染作業自体は事故直後から行われてきました。
しかしその効果は薄く、街の人々は想像もしなかったほどの汚染にさらされていたのです。

そこでホットスポットに近い民家8500戸の正確な線量測定が行われました。
1件1件の見取り図をつくり、1件当たりおよそ10カ所の線量を測ったのです。

福島で事故の後に行われた家屋の線量調査よりも緻密な測定方法です。

そして汚染レベルの高い家は洗浄だけではない徹底した除染が行われました。

オレグ・ボシャコフ(非常事態省コロステン支部):
最初に屋根を吹き替えます。次は軒先です。
そして強く汚染された土を取り除きます。
取り除いたらコンクリートで固めます。
ここは屋根から水が落ちて汚染されています。だからコンクリートを敷いたのです。


5年間で4000戸の除染に1億ドル。
当時の為替レートでおよそ129億円が費やされました。
1戸当たりおよそ300万円。
当時GDPが日本の1%程だったウクライナにとって、重い負担でした。

しかし、除染を始めて5年後の1997年。
経済危機がウクライナを襲い除染事業は中断を余儀なくされます。
目標の半分以上の民家と森林、そして農地等は除染されないまま残されました。

非常事態省のボシャコフさんは今も多くの場所が除染されないままになっていることが気がかりです。

チェルノブイリEテレ49
オレグ・ボシャコフ(非常事態省コロステン支部):
もちろん心配です。
ここにはコロステンの住民が住んでいます。
ここを人々は歩きまわり、子どもたちは走っています。
1990年代にやらなければならなかったことです。

今ウクライナで最も危惧されているのが、事故の後に生まれ汚染地帯で育った子どもの健康です。
ウクライナ政府報告書も子どもの健康悪化について多くのページを割いています。

コロステンの学校です。
日本の小学校から高校に当たる子どもが通います。
事故の後、生徒の健康状態が悪化。
体力のない生徒が増えました。
3月の健康診断では、甲状腺などの内分泌疾患が生徒の48%から
そして脊椎が曲がっているなどの骨格の異常が22%から見つかりました。

チェルノブイリEテレ50

そのため全校生徒485人のうち正規の体育の授業を受けられるのは14人。
他の生徒は軽い運動しかできません。



チェルノブイリEテレ51
7年生の時から時々意識を失います。
高血圧で上が160です。
学校から救急車で病院に運ばれたこともあります。

チェルノブイリEテレ52
生まれつき慢性気管支炎です。
それと朝起きてすぐは関節が痛いです。
特に足の関節が痛いです。


チェルノブイリEテレ53
めまいとジストニアがあります。
体育の時、具合が悪い事があります。


国は対策として汚染地帯全ての学校で、
低学年では10分間、高学年では5分間、授業を短縮することを決めました。
それに加え8年生までは全ての学力テストを取りやめました。
試験勉強で具合を悪くし、欠席する生徒が続出したからです。

チェルノブイリEテレ54


8年生の担任教師:
試験があれば子供たちの知識も増えると思いますが、
本当に子どもたちの学力や健康が不安です。
子ども達はこの国の未来です
国家は国民の健康を願うものです。



最近生徒の訴えで多いのは心臓の痛み
保健室にはそれを抑える薬が常備されています。

看護教諭:
心臓の薬です。
血圧を測り、脈を見ます。それで判断します。

Q:救急車を呼ぶ時はありますか?

看護教諭:
多い日は1日3回呼ぶこともあります。


ウクライナ政府報告書は、
汚染地帯の住民など被曝した人から生まれた32万人を調べ、健康状態を報告しています。

チェルノブイリEテレ55

1992年子どもの22%が健康でした。
ところが2008年、それが6%に減少しました。
逆に慢性疾患を持つ子どもは20%から78%に増加しました。

将来国を支える子どもたちの健康を守るために、国も地域も努力しています。
給食用の食材は放射性物質の混入を恐れて、全て検査をしてから使用しています。
しかし、健康状態の悪化を食い止めることができません。

報告書で子どもの健康状態について執筆した国立放射線医学研究所のステパーノバさん。
汚染地帯全域で子どもたちの病気が増え続けていることは統計的に見ても明らかだと主張しています。

チェルノブイリEテレ56

原発事故被災茶の子どものうち病気を持つ割合は17年間で
内分泌系の疾患が11.6倍
筋骨格系が5.34倍
消化器系が5.00倍
循環器系が3.75倍に増加したと言います。
ただし子どもたちの健康悪化の原因には、不明な点が多いとステパーノバさんは言います。

チェルノブイリEテレ57

エフゲーニャ・ステパーノバ(放射線医学研究所):
慢性的に身体に入ってくるセシウム、それに良質の食品やビタミンの不足が、
汚染地帯の子どもたちの健康が低下している原因だともいます。
しかし、この研究はまだこれからです。

チェルノブイリEテレ58

キエフにある国立医学研究所の小児病棟です。
ウクライナ全土から病気にかかった子どもが入院しています。
ステパーノバさんはこうした子どもたちを対象としたさらなる研究を続けていくことにしています。


去年ウクライナが政府報告書を発表したのと同じ頃、福島第一原発で事故が起こりました。
4月22日、
国は一般人が住み続けてもいいとする被ばく線量の上限を年間20ミリシーベルトと定めました。
しかし、この基準は高すぎるという不信の声も上がりました。

政府は去年11月、有識者による検討の場を設けます。
低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループです。

チェルノブイリEテレ59

ワーキンググループの目的の一つは、
この20ミリシーベルトという数値が妥当かどうかを評価することにありました。
ここで注目されたのがチェルノブイリ原発事故から25年経ったウクライナの状況でした。
汚染地帯に足しげく通う科学者が、ウクライナでの健康状態の悪化を報告しました。

しかし、この時、健康の悪化と被ばくの因果関係をめぐり議論無鋭く対立しました。

チェルノブイリEテレ60
木村真三:
で、私から言えるのは私は現実を見る。
現実を実際に、チェルノブイリでも福島でも。
実は現地で見る限りですが、

長瀧重信(長崎大学):客観的に、客観的に何が起こったかっていう事を。

木村:
何が起こったかというと25年経って、
25年経って、明らかに病気、それもがん以外の病気が増加傾向にある。


チェルノブイリEテレ61
長瀧重信:傾向って。
ちょっと今こうワーキンググループは科学的に何が起こるか。
何が起こるかっていう事を議論したいものですから、
一つ一つの事情を見ていくと、科学的に認められたのは甲状腺の癌で、
それ以外は科学的には認められなかった。


ワーキンググループの多くの委員は
小児甲状腺がん以外の病気の増加と、被ばくの因果関係は科学的に認められないとの立場をとりました。


チェルノブイリEテレ62
長瀧:ぜひ伝えていただきます。
細野:はい。本当にありがとうございました。

去年12月、ワーキンググループの結論が提出されました。
報告書は、
「さまざまな疾患の増加を指摘する現場の医師の観察がある」という一文が添えられられつつも、
国際機関の合意として、疾患の増加は科学的に確認されていないと結論付けています。

東北限定25


そのうえで、20ミリシーベルトという基準は
健康リスクは低く、十分にリスクを回避できる水準だと評価したのです。


ウクライナ、汚染地帯の町コロステン
チェルノブイリ原発事故が起きたこの日(4月26日)
事故で犠牲になった人達を追悼する、街をあげての式典が開かれました。


チェルノブイリEテレ63
コロステン市長:
人間は痛みを忘れがちです。しかし忘れてはいけません。
なぜならチェルノブイリの教訓が無に帰してしまうからです。

フクシマの事故はその事を思い出させてくれました。

チェルノブイリEテレ64

式典に参加した地元の医師たちの中に、
半世紀近く町の人々の健康を見守ってきたザイエツさんの姿がありました。
事故直後町の人々を守ることが出来なかったことを今も悔やみ続けています。


チェルノブイリEテレ65
アレクセイ・ザイエツ(医師)
大学では低線量については何も教えられませんでした。
教えられたのは500ミリシーベルト以上が危険というものでした。
事故直後はまだまだ余裕があると思っていました。
なぜなら当時は毎時10マイクロシーベルトだったからです。
だから何も注意をしなかったのです。
私たちの失敗を繰り返して欲しくはありません。
いくら注意してもしすぎるという事はないのです。



ウクライナの人々にとって最も大切な日、復活祭です。
甲状腺がんにならないか心配してきたエレーナさんも教会を訪れました。

チェルノブイリEテレ66

事故以来毎年無事に過ごせることを祈ってきました。

ウクライナの人々の祈りは何時までも続きました。

チェルノブイリEテレ67

「未来のための安全」と記されたウクライナ政府報告書
被災地に起きる様々な事故と原発事故とに関連があるという訴えは、
国際機関にも、そして日本政府にもいまだ受け入れられていません。



ーーー


避難地域の指定「年間5ミリシーベルト」が無視されていく過程
11/15議事録から真実を知る

木村真三氏のチェルノブイリで現実に起きていることに関する意見について、
長瀧重信氏等がことごとく否定していく2011年11月15日、ワーキンググループの議事録

東北Z「災害から未来へ 」チェルノブイリ~低線量汚染地帯からの報告(内容書き出し)
東北限定で放送された番組内容の書き出し。
内容はほとんど同じです。

内部被曝に迫る ~チェルノブイリからの報告~(内容全部書き出し)
2011/8/6放送 NHKの番組です









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コメント

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コロステンの状況

きーこさん

私が、南相馬市で大山弘一市議と話をした時に、
このNHKの番組中に出てくる町コロステンが、
人口や土壌の汚染具合が非常に近く、近い将来の南相馬市を暗示しており、
これを見ても動かない市の職員・市議・市長に怒りを覚えると話されていました。

コロステンの状況を見ると恐ろしい限りです。

誰がこの福島県の状況を変えられるのか?
次期選挙(では遅い)での公約で掲げ、直ちに実行する候補がいるのか?

注視。

No title

きーこさん
茨城県、千葉県もかなり深刻なようです。
阿見町、竜ヶ崎市、守谷市、取手市、柏市、松戸市の調査地点の50%以上が
チェルノブイリの放射線管理エリア相当の、4万Bq/㎡。
調査地点は、普通の自然状態の土壌。http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/778.html

No title

こんにちは。

よくぞ取り上げて書き起こしてくれましたね。事故当時は原子力ムラと記者クラブとに癒着していた科学部の隠蔽と誤報道と誘導記事ばかりで、どうするんだ!と叱ってやりました。少しは人事異動や社会部や調査報道記事主体に変化しているのではないでしょうか。

チェルノブイリやこのウクライナは東電と原子力ムラの犯罪によって放射能管理区域にされてしまっている日本の福島を中心にする広い地域の26年後の近未来だと思います。等閑視することなど出来るはずはありません。

クローズアップ現代はそれに比べれば大きく甘いと思いましたが。

今後も頑張って下さい、では。

No title

印象に残っていたので再度 見ました。
放射性ヨウ素の半減期から、その影響は3ヶ月も経てばなくなる。それ以降に生まれた人に甲状腺ガンが見つからない。IAEAやICRPが因果関係を認めた理由が示されています。(32分~)
それと、子供のガンが数年後にピークを迎えた。だけではなくて大人になってからの発症数は今もって右肩上がりで増えてることも再確認できます。(37:40~)

その一方でセシウムなど半減期が長くなってくると、頑なに影響を否定する、逃げる姿勢、ここが相変わらず問題です。被ばく線量データが少ないから結果に偏りが出るとしても、関係性があるぐらいは科学的に認められないのか、ですね。
例えばICRPが支持するLNT(直線)仮説は、100mSv以下は疫学データとして証明できないとしながらも、発症との関係はありそうという呈示はしている訳です。というか何もなければ、平時は1mSv、事故発生時は20~100mSv、収束に向けて1~20mSv、これは一体なに?です。
この動画で示されてるように、心疾患をはじめとする色々な病気の発症を暗に認めてる、恐れてるからとしか考えられませんけどね。
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