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10.20
Sat
福島第一原子力発電所の現状
・3号機の水漏れ
・各号機から今も放出され続けている放射能
・4号機の今後の見通し


【ペイフォワード環境情報教室】小出裕章先生第2回

2012年10月19日

私たちの世代は次の世代に何を残せるだろうか?
そのためには本当の情報が知りたい。
そのためにこの番組がスタートしました。


Sawada:
こちら、今日ニュースが入っておりまして、
福島第一のタービン建屋で水漏れが起きていますと、
3号機、冷却に問題無しという事で
15日の10時頃にタービン建屋に水が溜まっているという事が協力会社の社員が見つけましたと、
いうことですが、
こう言った記事は常に「流出が無く原子炉には影響が無い」という言葉で終わっている
ニュースばかりなんですけれども、
先生はこの水漏れといったものに対してどう見られていますか?

小出:
みなさん何か水漏れしたという事で驚いていられるようなのですが、
私はそんなことが当たり前であって、なぜそんなことが問題になるのか、
そちらがむしろわかりません。

Sawada:あ、そうですか。といいますのは

小出:
今現在、皆さんご存じのように1号機から3号機の炉心は溶けて落ちてしまっていまして、
その溶け落ちた炉心がどこにあるのかもわからない状態になっています。
ただ、炉心と言われている部分はどこにあろうとも、冷やし続けなければいけません。
そうしなければ、どんどんまた放射能が噴出してきてしまいますので、
ず――っと今、冷却水をですね、原子炉の中に入れて冷やそうとしているのですね。
ただ、いくら水を入れても原子炉格納容器の中の水は溜まってきません。
ということは、要するに漏れているという事なのです。

Sawada:そういうことですね、はい。

小出:
で、漏れている部分の水の一部を浄化系というところに入れて、
またそれを綺麗にした…綺麗になる訳じゃありませんが、
いくらかましになった水をまた原子炉の方に回してという事をやっている訳ですが、
その途中ではもうそこらじゅうに漏れているのです。
もともと事故の直後にピットという部分から
滝のように汚染水が漏れているという事が見つかった事がありました。
そして大変だという事で、
そのピットという部分の構造物の割れ目をふさごうという事をやったことがありましたけれど、
私はもう、なんでそんな事をやっているのか?その事も不思議でした。
コンクリートの構造物というのは原子炉建屋もそうですし、
タービン建屋もそうですし、
それらを結んでいるピット、トレンチというものも全部コンクリートでできているのであって、
もうそこらじゅうで割れているのです。
たまたま海に出るところで割れていたので、目に見えるところに出てきたということなのであって、
原子炉建屋の敷地中で、もうコンクリートがそこらじゅうで割れて、
汚染した水が地面に漏れて行っているという状態が、
事故後以降ずーーっと続いているのです。
その一部の水を、パイプあるいはホースを流しながらですね、循環させたりしているだけのことで、
そういうところから水が漏れるのはもう当たり前なんですけれども、
えー、んーー、そんな事で驚いてはいけません。

Sawada:
これは先生、具体的に言うと1号棟2号棟3号棟、
それぞれでもう一度こう、冷却システムを構築するというような位置づけは、とてももう、
とてつもない大きいサイズになると思うんですけれども、
そういった形が解決方法としてあるのか、
もしくは、ある程度は漏れるのは仕方がないという事で、
エリアで全てをマネジメントするような位置づけのもの、大きなものをつくるというイメージのものなのか、
何か解決方法はあるのでしょうか?

小出:
当面は多分ないと思います。
ただし今現在福島第一発電所の敷地の中10万トンを超える汚染水がすでに溜まってしまっています。
先程から聞いていただいているようにコンクリートの構造物の中に溜まっている訳で、
今現在もどんどんと漏れて行っている筈だと私は思っています。
ですからそうやってコンクリートの構造物に溜まっている10万トンを超えている汚染水を、
まずは少しでも安全なところに移さなければいけないと思います。
それで私はその手段として、巨大なタンカーを連れてきて、
ま、10万トンとか20万トンというタンカーがあるわけですから、
そのタンカーの中にとにかく汚染水を汲みださなければいけないという提案を
去年の3月からしているのですが、

Sawada:そうですね

小出:
残念ながらそれを日本の国も東京電力もやってくれないというそういう状況のまま
汚染が環境に流れて行ってしまっているという状況が続いている
そういう手段を取らない限りは何をやってもダメだと思います。

Sawada:
そうですか、
そういった意味で先生のご提案があったタンカーに取り出すといった事を何故しないのかというのは
これは費用面でしょうか、技術面でしょうか?

小出:
いくつも理由はあると思います。
たとえば、タンカーに汚染水を入れてしまいますと、そのタンカーは2度と使えなくなります。
それからタンカーという船の乗組員は放射線に従事するという、
そういう許可を得ていない乗組員の人達ですから、
その乗組員の人達も、もちろん被ばくをするようになるわけで、
放射線業務に従事するという、そういう登録をしたりする必要もあると思います。
そしてタンカーというのはもちろん海の上に浮かんでいる訳で、
海の上にそういう膨大な汚染水をですね、移すという事は、
多分国際的な問題を引き起こすだろうと思います。
私は当然そうなので、それを突破するのは政治の力だという事で、
政治家の方にも何としてもそれをやってほしいと進言しまして、
何人かの政治家の方は「やる」と私に答えたのですけれども、
残念ながらいまだに実現していないという状況です。

Sawada:
そうですか、わかりました。
続きましてもう一点、今回福島第一原発の現状といった中で、まだ非常事態宣言というのが出されたなかで、
これは、ついつい私も生活していると忘れがちなんですけれども、
まだまだ放射能が1号棟2号棟3号棟から出ているという危険性がまだあるかと思います。
それによって作業がずいぶん遅れているという事もあると思うんですけれども、
こちらの現況と今後の見通しというのはどうなってくるでしょうか?

小出:
もちろん原子炉そのものは破壊されてしまっている訳で、
もともとは放射性物質は放射線管理区域の中に閉じ込めるというのが原則でそうしてきたわけですが、
もう、放射線管理区域もなにも、全て壁もなにも吹き飛んでしまっている訳で、
放射性物質が環境に出てきてしまうという事自身はもう全く防ぎようがありません。
で、これからもずっと続くわけですが、
ただし、去年3月11日に事故が起きて大量の放射性物質が噴出してきたのはほとんど半月です。
それ以降は放射能が噴出してくる量はがた減りしてきていまして、
今現在環境に漏れてきている量は、事故直後に比べれば、多分100万分の1とか1億分の1とかですね、
その程度のものになっている筈だと私は思います。
ですから、噴出してきていないとは、もちろん私は言いませんし、噴出してきているのですけれども、
周辺の方々はその放射能を気にするよりは、
すでに3月11日から半月の間に噴出してきてしまって、今現在大地を汚している汚染。
それに注意を集中したほうがいいと私は思います。

Sawada:
そうなると1号棟2号棟3号棟、そういった形で今も継続はしているものの、
優先順位としては、もうすでに降り注いだものの方だろうというなかで、
後もう1点、先生がよくご指摘されているのが4号棟。
こちらはプールの方になりますけれども、
こちらの方も今回台風が直撃しながらも、地震も幾度かありながらも、
まだ何とか持ちこたえていただいているという状況でありますけれど、
今後の見通しというのはこちらはどうなんでしょうか?

小出:
・・・よくわかりません。
もともと原子炉建屋というのはそれなりに強固に設計されていたはずなのですが、
その原子炉建屋自身も、事故の進行の中で水素爆発というものが起きて、
建屋そのものが破壊されてしまっているのですね。
それで、4号機の場合は特に原子炉建屋のうちで、
最上階のオペレーションフロアーというのも吹き飛びましたし、
さらにその下に使用済み燃料プールが埋め込まれている階があるのですが、
その階がすでに爆発で破壊されてしまっていて、
使用済み燃料プールは宙づりのような状態になっているのです。
東京電力ももちろんその事を知って、耐震補強工事をやったと言っていますけれども、
それも私から見ると不十分な形でしか行われていませんし、
すでに壁すらが吹き飛んでいる構造物があって、そこに埋め込まれている使用済み燃料プールが
いったいいつまで、どういう条件であれば耐えられるのか?という事は、
私は専門でもありませんのでよく分かりません。
ただ、今現在も福島原発の周辺は毎日のように余震が起きている訳で、
大きな余震が起きて本当に大丈夫なのか?という事に関しては私は心配していますし、
私に様々なアドバイスを下さっている建築関係の方々の中にも、
「大変心配だ」という事をおっしゃっている方々がいらっしゃいます。

Sawada:
そうですか、そうしますと心配な事だけが続くんですけれども、
なかなか解決方法というのは、もちろん、
一番いい方法というのは、なかなかすぐには無いんでしょうけれども、
4号棟はどうすれば

小出:
解決と言えばですね、今現在使用済み燃料プールの底に沈んでいる使用済み燃料を、
出来る限り早く安全な場所に移すという事なのです。
ただしそれをやろうとすると、大変な準備が必要になります。
まず使用済み燃料をプールの水面から空中に引き出すためには、そのままでは引き出せませんので、
巨大なキャスクと呼ぶ100トンを超えるような容器を、まずプールの底に沈めて、
その中に使用済み燃料を入れて、蓋をして、
そのキャスクごと空中につり上げるという事をやらなければいけないのですが、
そのためには巨大なクレーンが必要になりますし、
巨大なクレーンを設置するためには頑丈な建物がそこになければいけませんので、
これから東京電力は、原子炉建屋を覆うような巨大な構造物をまず建てて、
その上に巨大なクレーンを設置して、
それから作業を始めようとしているのですが、
その作業が始められるようになるまでには
来年の12月までかかるというのが東京電力の説明になっています。
で・・・多分私はそうだろうし、
ひょっとしたらそれも間に合わないで、むしろもっと後にずれこんでしまうかもしれないと思っています。
結構困難で難しい作業を作業者の人達が被曝をしながらこれからやらなければいけません。

Sawada:
そうですか、ありがとうございます。
そうしますとなかなか厳しい状況ですけれども、今後もこういった形で先生の方からご解説を頂きながら
私も注視して意識をもってやっていきたいと思っております。

小出:ありがとうございます。はい、よろしくお願いします。




第一回はこちら↓
第一回目・インターネットラジオ「ペイフォワード環境情報教室」
小出裕章先生 10/13(内容書き出し)





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コメント
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| 2012.10.22 03:29 | 編集
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