5完.「放射線の影響が過小評価される訳・ヨウ素剤・緊急被ばく医療体制の現実」崎山比早子氏11/24(内容書き出し)

2012年11月24日「フクシマ・アクション・プロジェクト決起集会」より
動画はこちら↓
1.「という事は、線量が低い方が癌を引き起こしやすい、ということなんです」
崎山比早子氏11/24(内容書き出し)


この日の崎山先生の講演はこのブログでは5編になりました。
これで最後です。

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放射線の影響が過小評価される理由

国会事故調が明らかにした事


こういう事は前置きで、国会事故調で調べた時に、
こういう事が分かっているのに、どうして放射線の影響というものが過小評価されるのか?
ということなんです、と思います。

まず放射線被害の事で国会事故調で明らかになったことは、
東電の内部資料を見て分かった事なんです。

崎山41

東電にとって一番の大きいリスクというのは、「原子炉の長期間の停止」という事で
あとは裁判に負けること。
それは東電にとってのリスクなんですね。

私たちにとってのリスクというのは
原発の事故が起こって放射能が飛散して、それを浴びて被ばくする。
それが一般市民が考える一番のリスクですね、原発事故の。


ところが東電
事故を起こさないようにするために、規制が強くなれば、
事故を起こさないようにするために、原子力発電所を長期間止めて工事をしなきゃいけない。
それが東電にとっての一番のリスク。
後、裁判に負けるという事、それも非常に大きなリスク。
で、そういうことが、自分のリスクを減らすため
「それじゃあ何をすればいいのか」っていうと、
規制を緩めるという事です。

それから東電は、原子力安全委員会にも、原子力安全保安院にも、
いろいろなところに働きかけて、規制を緩めるという事を非常に一生懸命やっている。
それは東電の内部資料、あるいは電気事業者連合、電事連というふうに言っていますけれど、
電事連の内部資料で分かっている。

そして放射線に関してもそうなんですね。
放射線の規制。規制というのはどういうところがやるかというと、国際放射線防護委員会ですね。
ICRPという、皆さんご存じと思いますけれども、
ICRPが勧告を出す。
そしてその勧告に従って、各国は防護基準というのを決めるわけです。
ですからICRPが規制を緩めれば、各国の防護基準というのは緩くなるわけです。
だから、ICRPに働きかけるという事を一生懸命やったということなんです。

崎山42

ICRPにはどういうふうに働きかけるか?というと、
日本ではICRPの委員が8人いるわけですけれども、その委員を通じて働きかけるんですね。
で、この資料を見ますと、
2007年勧告というものが出たんですけれども、
その勧告に電力会社の主張が全て反映されているというふうに書いてありますね。

ICRPの委員だって、タダじゃそんな事をやらないと思うんですけれども、
ICRPの委員の国際会議に出る旅費、それを全て電事連が出しているという事なんです。
ですからその電事連がお金を出したくて金を出したんじゃない訳ですから、
その会議のいろいろな情報というのを電事連のほうに流している
という事が言えると思うんですね。

そういう事でICRPの基準を緩めるという事を一生懸命やっているということがわかった。

崎山43

その他にこれは東電の武藤副社長、元副社長ですけれども、
「悪い研究者に乗っ取られて研究が悪い方向に行かないように、その動向を監視しておくこと」
というのを言っているんですね。

ですから研究費の配分とか、
自分たちに不都合なような研究をやっているグループにお金が行かないようにする
という事をずっと考えていた。

ま、それから非がん性の疾患というものも認めるとですね、規制がもっと強くなる。
だからそういうことにならないように、
研究に「非がん性の疾患がない」という事が研究に出てくれば嬉しいわけ。
そういう事がいろいろと東電は画策をしている
訳なんです。

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こういうことが、東電もそうですし、文部科学省も、経済産業省も
原子力発電を推進したいというふうな人たちにとって、
低線量の放射線にリスクがあるという事をみんなが知るという事が非常に不都合なことである
ということが、圧力として続いたわけです。
それが研究者にもずっと圧力としてかかっている。
だから、100ミリシーベルト以下でもリスクがあるという、
今日ご紹介しましたのはほんの一部ですが、
リスクがあるというデータがあるにも関わらず、そういうのを一般の市民の人に専門家が説明しない

それはこういう背景があるからだという事が
国会事故調の調査で明らかになったという事です。



原発事故とヨウ素剤

それから話題がちょっと変わってヨウ素剤の事なんですが、
ヨウ素剤は配られなかった、あるいは配られても服用指示が出なかった。
それはどういうことか?という事なんです。

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ヨウ素剤を飲むというのはヨウ素を、放射性ヨウ素が甲状腺に溜まるのを防ぐためなんですね。
で、甲状腺にヨウ素がどうしてたまるか?といいますと、
甲状腺というのは甲状腺ホルモンをつくっている器官です。
甲状腺ホルモンをつくるためには、ヨウ素じゃないとダメなんです。
ヨウ素がないと甲状腺ホルモンがつくれないので、甲状腺は血液の中からヨウ素をどんどん取り込みます。
どの時に放射性であるか放射性でないか、
それは科学的な性質が同じですから、ヨウ素を取り込んでしまうのです。
その取り込まれる前に、ヨウ素剤を飲んで、
ヨウ素剤というのは安定ヨウ素、放射性ではないヨウ素です。
安定ヨウ素を飲んでおいて、血液の中の安定ヨウ素の量をはねておくと、
放射性ヨウ素の相対的な濃度が下がりますから、甲状腺に取り込まれるのを防ぐことができる。

ところがこれもタイミングが重要で、
放射性ヨウ素が身体の中に入っちゃってからヨウ素剤を飲んでもダメなんです。

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だから、身体の中に入る前、24時間から同時ぐらいまでに飲んでおけば
90%以上の取り込みを押さえることができる。

で、飲まれちゃって24時間以降ですとほとんど阻害効果がないという事で、阻止効果がないという事で、
ヨウ素剤を飲むというのはタイミングが非常に重要。
で、理想的に言えば、自分で、各家庭で持っていて、「危ない」と思ったら飲む。
そういうふうに体制を整えておく。
いつも防災訓練をやる時にですね

ヨウ素剤の効用と飲むタイミングというのを住民の皆さんに周知させておいて、
それでたとえばサイレンが鳴ったら飲む。

というようなことを徹底させておけばよかった。
そういうことをしないと、ヨウ素剤というものは持っていてもしょうがないということになります。

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で、実際に配られてちゃんと服用したのは三春町ですね。
それから後、大熊とか、双葉、富岡町のみなさんは、
全体としては、全体に徹底しては飲んではいないですけれども、
一部の人は飲んだと。
いわき市とか楢葉町とか浪江町は配布はしたんですけれども飲んではいない。
服用指示というのが出なかった。
それで飲まなかったんですね。
服用指示が出なくてものませるというようにちゃんと決定したのが三春町だった


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で、こういうふうにですね、何故飲むという事を徹底しなかったのか?というのは、
原子力安全委員会は本当は服用指示を出したわけです。
ですけれど、服用指示は、ま、出したことは出したんですけれども、
原子力対策本部までいった。
そのFAXはいったんですが、その各市町村の長のところまでは届かなかったんですね。

届かなかったのを、
原子力安全委員会はそれを徹底して届いたか届かなかったかというのを確かめなかった。
ただ送りっぱなしだった
そのFAXは混乱の中でどこかに埋もれてしまって、町長さんは服用指示を出さなかった。

こういう原子力安全委員会からそういう服用指示が出なかった場合には、
防災訓練のマニュアルがあるんですけれども、
そこに、福島県知事が服用指示を出すという事が決められている
ですから、本当に来なかったなら、県知事が出せばよかったんです。
ところが県知事は出さなかった

私たちがヒアリングをした時にですね、
県知事さんに「どうして服用指示を出さなかったんですか?」と伺ったらですね、
ご自分が指令するとは思っていなかったんじゃないかな、
ちゃんと認識していらっしゃらなかったんじゃないかなと思うんですね。
それでひたすら「国が服用指示を出すというのをひたすら待っていた
そういうふうにおっしゃったんです。

ですから、やっぱりこれはもう、福島県知事に責任があるというふうに私は思います。

あと、配布しても服用指示を出さなかったというのは、各市町村がですね、
副作用をすごく恐れたっていうところがあるんです。
これは、原子力安全委員会が持っていたヨウ素剤検討委員会というのがあるんですが、
そこでヨウ素剤の副作用をすごく強調したんです。


ヨウ素剤って本当に副作用があるんですけど、ほとんどない
で、チェルノブイリの事故の時にポーランドでは1050万人の子どもにヨウ素剤を飲ませた。
でも、副作用の報告はないんです。
大人の人は何人か、気分が悪くなったとか、そういうような事はありますけれども、
子どもの副作用の報告はなかった。

ですから、たとえば気持ちが悪くなったとか吐き気がしたとか、そういう事があったとしても、
ヨウ素剤を次に飲まなければいいんです、後遺症は残らないです。

ですから、甲状腺がんになるかならないかっていう瀬戸際だったら、
ちょっとぐらいたとえば副作用があったとしても、
そっちを選択する方が私は賢明じゃないかなというふうに思うんです。


ヨウ素剤アレルギーなんかの人がいますから、
そういう人はちょっと気をつけなければいけないんですけれども、
甲状腺機能低下症とか、甲状腺機能疱疹症とかというような病気を持っていらっしゃる方は
そういう方は、普段から主治医の先生と相談して、
そういう時にはどうしたらいいか?という事を相談しておいた方がいいと思うんですが、
一時的に症状が増悪したとしても、それを飲まなければもっとひどいということを、
で、そういう事でヨウ素剤についてはこれからどういうふうに、

どうなるか分からないですね、いまの事故の経過がですね。
これからずっと放射能が出てこなければいいんですけれども、
また放出されるような事があったとしたら、「どうなるか」という事を考えるとですね、
常に防災訓練の時にヨウ素剤を傍に置いておいて、
「いつ飲むか」という事を周知徹底しておくという事は非常に重要だというふうに思います


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その次の要領と書いてありますがそれは後からご覧になって頂ければと思います。



緊急被ばく医療体制の現実

後もうひとつ重要なのは、緊急被ばく医療体制です。

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これは事故が起こった時に病院がありますね、
初期被ばく医療機関、二次被ばく医療機関、三次被ばく医療機関と3段階になっています。

初期被ばく医療機関で処置ができない人を二次にまわして、二次で出来ない人を三次にまわす。
そういうふうになっています。
三次の被ばく医療機関は日本は放医研ですね。
二次医療は広島大学、

これはチェルノブイリの時の写真ですけれども、

崎山51

モスクワの大学病院で300人ぐらい入院されているんですね、
で、この方たちは非常に重症だったとおもいますね。
隔離されていますから、骨髄機能なんかも低下してしまっていて、
もうほとんど消防士の人たちは全部亡くなっています。

こういうふうに大事故が起こった場合には、
急性の処置を取らなければならない人がワッ!と出てくる可能性があるんです。
で、日本でその体制があるか?という事
なんですけど、

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東日本では、まあ、放医研ですね。重傷者は8人入院ができる。
で、それほどではない人は10人
合わせて18人ぐらいしか入院できない。

西日本でも、広島大学とかそのぐらいしか入院できないですね。
重傷者が沢山出た場合はどうするんだろう?という問題が一つあります。


それからもうひとつは一時被ばく医療機関

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それが原発とどういう関係にあるか?
だいたい10km圏内にあるのが23%
10~20km圏内はもう、35%ですね。
で、30kmまで行くと6%という位にあるんですけれど、
大体、この30km圏内64%ですね、

この間の事故の時でもお分かりと思うんですけれども、
一次被ばく医療機関なんかは普通の、日常の診療もやっているわけですよね。
入院患者さんもいるわけです。
で、避難という場合に寝たきりの人を運ばなければいけない。
これで60人ぐらい亡くなったわけですね。
点滴したり、吸引しなければ、時間的に何時間おきに吸引しなければならない
そういう人達は入院している病院があるわけです。
そういう病院もこういう被ばく用機関に認定されるわけです。
その入院患者さんや外来患者さんを診療するだけでも大変。
その人たちを移動させるだけでも手いっぱい。
で、その中で何人か亡くなるというような事は全く余裕がないわけです。

そこへアクシデントで被ばく者が来たらどうなりますか?
もうほとんど何もできないです。
こういう状態で今の医療機関というものがあるということです。



福島の第一原発の事故以降、全国で被ばく医療機関の指定とかがかわったとか、
30キロ圏以外のところに新たに入れた、そういうことは一切ないです。
まだ、このまんまです。


こういう事で大変なんですけど。
それで、こういうところに入院出来ますか?っていうアンケートですけれど、

崎山54

一次も二次も一人か二人ぐらいしか受け入れられない。
これを受け入れたとしても非常に不安で貧しいというか、そういう所で、原発は再稼動されてしまっている。

これ、もし事故が起こった時に、どうするんだろうと、他のところもそうです。
ですから、原発自身に対してももちろんものすごく大事ですけれども、
そういう周りのですね、何かがいざあった時の準備というものがまるっきり出来ていない。


それで原発は動いているという事が実際にある
これが現実だという事をみなさんもよく理解しておいていただければと思います
どうもありがとうございました。

崎山55



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原子力規制委員会中村佳代子委員のもとで「緊急被ばく医療に関する検討チーム会合」が開かれています。
第二回のヨウ素剤に関する部分です。
中村佳代子原子力規制委員「ヨウ素剤配布服用は汚染検査の後でいい」
検討チーム会合12/3OurPlanetTV(内容書き出し)


中村佳代子サンという人じゃなくて、崎山先生のような方が原子力規制委員だったらと、
強引に規制委員のメンバーを決めた野田佳彦を怨みます。



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崎山比早子氏講演会in猪苗代
http://www.youtube.com/watch?v=8pjQGZrKUQM
12年12月3日(月)