3完.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)

証言記録東日本大震災 
福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 3/3


【NHK総合】2012年9月30日(日)放送

本田さんが推薦した町の北部にある高台です。
東側が開け風の流れをつかめる場所でした。

三春町53 三春町54

高台の頂上には入浴施設があり、森林が風を遮る事もありません。
この入浴施設には震災翌日から
炊き出しのボランティアをしていた本田さんの娘千春さんが働いていました。
電話で依頼を受けた千春さんは、倉庫に向かいます。
手にしたのは高さ2mの上りの支柱とビニールひもでした。

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その時作った吹き流しがいまも残っています。

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この木に設置した時強い風が吹いていました。


Q:写真を撮った時っていうのはどっちからどっちに風が吹いていたんですか?
千春:あちら(原発のある東)からこちらにですね、
   だからこの上のひもの部分はもっと、もうまっすぐ左に吹いていました、なびいていましたね。

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恐れていた原発方向からの風でした。
千春さんはこの写真をカメラごと町役場に持ち込みました。

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町議会議長 本田一安さん:
ヨウ素剤を飲ませるという事は、一つはやっぱり勇気のいる事ですから、
初めての試みですので。
それで、「風がこちらに吹いているよ」という、そういう何か証がなければダメだろうと思いまして、
それを写真を撮って、こちらの方にきちんと届けて
データとしておく、ということで写真を撮らせたんですよね。


町では住民全員に薬に対する理解を促すため、7つある自治会の役員に協力を求めました。
薬の配布を原発周辺以外の町で行うのは、初めてのケースでした。

薬を飲まなくてもよい40歳以上の町民や、飲む量の少ない子どもを持つ世帯が慌てないよう、
自治会役員を通じて、ヨウ素剤の効能と放射能汚染の可能性を周知してもらう事にしたのです。

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町で作ったヨウ素剤服用の手引きです。対象年齢や薬を飲んではいけない人、
服用上の注意など詳しい情報を書き添えました。
服用の指示は薬を手渡す時、現場で行う事にしました。

周知を万全にするため防災無線も最大限に活用していました。
三春では各家庭に無線の受信機が設置してあります。
「薬を受け取ったらすぐ服用するように」と繰り返し放送したのです。

テレビやインターネットの情報だけに頼らず、
自分でつかんだ情報をもとに薬の服用を決断した三春町。
初めて薬を目にしてから4日目の午後1時。
配布が始まります。

その時撮影された写真です。

三春町16

保健師や看護師の立ち会いのもと町内8カ所で配布が行われました。
住民の安全を最優先に考えた決断でした。

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看護師 竹之内さん:
やっぱりいつもとは違うすごく緊張した面持ちで、
「やっぱり飲んだ方がいいんだよね」
「飲んだ方がいいの」とかっていう声はあったかなと思います。

Q:なんて答えた?

竹之内:
必ず飲んで下さいって。
魔法の薬ではないけど、ヨウ素の吸収を抑えるためには大事な薬だから
特に子どもには絶対に飲ませてという話はしました。

多くの町民はすぐに薬の服用を行いました。
4歳の息子を育てるこの家では、今が最適のタイミングか家族で話し合ったうえ、
飲む決断を下します。

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お母さん:
すごくあの混乱の中でそれを配るという事で、
いろんなことを短い時間でなさってたと思うんですけれども、
町民に悪影響になる事をわざわざその大変なさなかにやるはずはないと思いましたし、
町に対してのそこは、やはり、より国に対して近しい環境で暮らしてきたので、
そういう、町の責任をもっている方への信頼感っていうのはあったから、
そこで飲もうというふうに思ったんですが。
まあ、でもそれを飲むっていう状況は誰にも経験してほしくないなって思いますね。


配布が終わりに近づいた午後5時ごろ、
保健福祉課長の工藤さんのもとに県の職員から一本の電話ががかかってきました。

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工藤浩之さん 保健福祉課長(当時):
「誰の指示で配っているんですか」って言うものですから、
「いや、町の責任で町長の指示で動いています」って言ったら、
「これは国とか県の対策本部からの連絡があって、しじがあってはじめて配れる薬なんだよ」と
「お医者さんの立ち会がないと配れない薬なのに、それをどうして配ってるんだ」って言うんで、
「いや、国・県は指示系統がめちゃくちゃじゃないですか」と
「あとお医者さんの指示とおっしゃったけど、よく読んでいくと医療関係者、
各避難所には医療関係者を配置しなさいとは書いてあるので、医師には限定してないはずだ」と、
「医師には特定していないはずです」というふうなことで、やっぱり反論させてもらいました。
で、地域医療課の一担当職員だったものですから、
「回収を指示します」って強い口調でおっしゃったので、
「指示となると知事命かなんかのはずです」と。
「あなたは知事の権限を持っているんですか」というふうに反論させてもらったところ、
彼は「いや、こういう緊急事態ですから、私の一存で回収を指示します」とおっしゃったんですね。
「であれば私は聞けません」というふうに反論させてもらって、
あとは押し問答です。
「回収しろ」「回収できません」「もう飲ませてあるんで回収できません」って、
あとは一方的に「回収して下さい」と言ったまま向こうの方から電話を切っちゃいましたので、
もうそのまま続行しました。


配布は午後6時に終了。
最終的に3303世帯中95%が薬を手にしました。
予報通り夕方からは雨模様となりました。

町の人の中には薬を飲まないと判断したけーすもありました。
3人の娘と話し合った時、短大生の長女から「薬を飲みたくない」と言われた母親です。

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お母さん:
(長女が)「私は飲まない」って「副作用があるならいい」って言ったので、
まぁ、「飲め」とも言えないし、「そうか」って。
その流れで、真ん中の子(18歳)も「じゃあ私も飲まない」ってなった時に、
じゃあ下の子(4歳)に、「この子だけ飲ませた方がいいんだろうか、どうなんだろう?」って、
「じゃあ今は飲まないでおこうって、これは取っておこうね」って。
という話になったんです。
今思えばすごく公開しています。
ええ。
あのタイミングで配ってもらって、
「本当はあの時に飲んだ方が良かったんだなぁ」って、
それはもう、後から、後からというかだんだんいろんな情報を見たり聞いたりして、
「ああ、すごくいいタイミングだったんだな」というのが分かったので、
あの時飲まなかったのは、親としてすごく…本当にそれはすごく後悔して、
それがもう分かってからは、それ以上の被ばくをしないようになるべく、
「どうやって防御するか」っていう事を考えて。

ヨウ素剤配布後町が把握した副作用は二件。
いずれも低度の軽いものでした。

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原発事故から1年2カ月経った今年5月、
東京電力は放射性物質の放出量を事故後初めて公開します。
それによると、放射性ヨウ素131の放出量はある時点で桁違いに急増していました。
全500ぺタベクレルのうち、半分近い200ペタベクレルが一時期に放出されていたのです。
その汚染は3月15日と16日の二日に集中していました。
三春町の人達が飲んだヨウ素剤が、効果をもっていた時期と重なっていたのです。

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深谷茂さん 副町長(当時):
要するに国なり上部機関の正しい情報、本当に我々が知りたい情報が出ているのか?ということが、
先ず不信感が一つそこにありますよね。
ですからそれに対して自分たちが町民を守る以外にないのではないかと
それが優先したという事だと思います。
国なり県なりの指示を待っていたんでは、15日のタイミングは逃してしまいますよね。
結果的に15日はドンピシャだったと思うんです。


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竹之内千智さん 看護職員・保健師:
これがやっぱり最善の状況だってその時は思ったし、
それを判断する情報は県からも国からも無かったので、
「間違っているとも言えないんじゃないか」っていう思いは、奥底にはありましたよね。
「私たちのこと本当に責められる?」っていうのは。


後日つくられた放射性物質の拡散シュミレーションです。
15日朝、南に吹いていた風は夕方三春の北に抜け飯舘方向に深刻な爪痕を残しました。
結果的に三春の汚染は国の服用基準より低かったと指摘されています。

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深谷茂さん 副町長(当時):
あの日の風向きと雨の時間がうちだったかもしれないと思っています、未だに。
これは、たまたまですよね。
そういう事だと思うんですよ。
だから飯舘はたまたまあの時にあの時間帯に雨で叩かれたということで、
あれがうちだけに限らず、あの風の回り具合と雨という事で、
どの町村がそういう状況になったかというのはその時のたまたまな、
たまたまって言ったら失礼かもしれないですけれども、
そこに尽きるんじゃないかと思いますけどね。

住民のため行政にしかできない事を突き詰めて考えて、迅速に実行に移した三春町。
突然の災害に見舞われた時、錯そうする情報の中でなにを信じ、どう行動するべきなのか、
その問いは今も私たちに突きつけられています。



ーーー終わりーーー



1.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)


2.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)



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中村佳代子原子力規制委員「ヨウ素剤配布服用は汚染検査の後でいい」
検討チーム会合12/3OurPlanetTV(内容書き出し)




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コメント

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No title

こんにちは。

三連発で終わりですね。触発されるべき良い記事でした。

三春町長やヨー素配布に関係した町の皆さんは誇って良いと思います、こういう行政を持っている自らを。振り返って今度も呼んだら四の五のと言わずに飛んで来いよ>>ウチの自治体(笑)

あらゆるヨウ素を言い立ててしまえば後出しジャンケンみたいなもので
す。国や国に近くなれば慣れほどダメになる。良く聴く話でしょう、中国では上に行けば行くほど賢くて出来るのが出てくるけど日本ではアホなのが出てくるって・・悲しい現実。

「ヨウ素剤配布服用は汚染検査の後でいい」なんてことをいうオンナの原子力規制委員たちはゴミ捨て場行きです。自らを恥じる精神は図手にその成長過程段階から身につけていなかったはずです。

もういい加減によしませんか、高い学歴になればなるほど頭の良い優秀なのになっていくなんて天孫降臨みたいな神話は、国家教育では自分だけが主セ競争に勝ち上がってうまい飯を食って高い酒を飲んで高級車に運転手付で乗って、そこから転げ落ちたくないから嘘付いてもしがみつくのだけを育てている、試験受かる勉強なんて現実社会に出ると実際の経験過程でほぼ使い物にならない日々のチェックを課せられて今日はは良くても明日は転げ落ちるんです。

さて政権交代以前に民主党が主張していた地方分権、小沢たちにも言わせればそれは数万人規模の自治体に財源も権限も移して国は外交や防衛だけにしていくという、気味悪い連中が間に地方政府みたいなのを噛ませるとか詐欺師みたいなことを言い立てているけど、それはもって否なるもの。それを恐れた国家勢力が潰しにかかるのは当たり前で野田達が裏切って売り渡したのが今度の暗黒選挙での自公政権復活でした。

原発の再起動も再編成の新規建設も、地方自治と強く深く結びついています。人民の生活を第一に考えればそれは住民自治しかありませんから、もう一度初心に返って取り組んで欲しいという日本の自治体の貴重に経験です。

では。

新年のごあいさつ

きーこさんへ

新年、明けましておめでとう。
今年もきーこさんのブログ楽しみにしています。

三春町のヨウ素剤の配布による危機管理は見事なものですね。
福島県内各市町村の放射線被爆の実態を正確に把握して
三春町のヨウ素剤服用した人々との比較を行うと
放射線が人体、この場合は子供の甲状腺に及ぼした影響が
浮き彫りになると思います。
症状として甲状腺障害が現れるのが、3年~5年がピークに
なると思いますので、どれだけの子供たちが福島原発事故で
身体に影響があったのかを徹底調査する必要があると思います。

しかし、国や県は、その情報を徹底して隠蔽、改ざんするものと考えられます。IAEAが福島に乗り出してくるのもこうした情報を国際的に
隠蔽するためだろうと察します。
福島県立医大の山下が行った人体実験を絶対に許してはいけないと思いますが、敵は原子力発電所の大事故そのものを過去のこととして扱って完全に情報を隠蔽してくると考えられます。

被害にあった福島の人々が自民党安倍政権を受け入れているのですから、子供がどんな死に方をしても泣き寝入りしてしまうかもしれませんが・・・


きーこさんの応援団のつもりですので、
本年もコメントで時々参加しますのでよろしくね。

ありがとうございました

いつも精力的に貴重な情報を発信してくださり本当にありがとうございます。今回の三春町を取り上げた番組自体、うかつにも全く気がついていませんでした。削除される前に視聴できて本当に良かったです。この記事に触発されて、私も自分のブログに「三春町の4日間(安定ヨウ素剤配付・自治体の決断」という文章を書きました。
 http://kimbara.hatenablog.com/entry/2013/01/06/133739
ブログにも書きましたが、昨年の4月、私の家内が応援保健師として派遣されていたのが三春町でした。「保健師としての葛藤」が語られるシーンは人ごととは思えませんでした。それにしても、三春町の経験は、実に多くのことを私たちに教えてくれると思いました。