【ペイフォワード環境情報教室】121206小出裕章先生Vol.010
今回の選挙の争点でもある原発についてのご意見を伺いました。
sawada:
12月に総選挙という形になりましたが、今回、原発というのを一つの争点にしているという中でですね、
ずっと40年間原発について「反原発」という形を取られている小出先生の方に、
何故原発がダメなのか?という事についてお話を頂けますか?
原発とは何でダメなのか?脱原発という物の真の意味っていうんですかね、
小出:
私は実は「脱原発」という言葉は使わない。
わたしは、「反原発」ですので、その根拠を聞いていただければいいと思います。
要するに、今「脱原発」を言っている政党や人々がいるわけですけれども、
そういう人たちに対して原子力を推進しようとする人たちの主張というのは、
「そんな事を言っても現実味がないのに空想の事を言っている」という、
そういう批判を仕掛けてきているように私には見えるのですね。
わたしはでも「それでいい」、「それでいい」というかですね、
原発を止めるというのは別に新たな代替案を出さなくても、もう充分いいと思っているのです。
もう、「原発なんか代替案があろうとなかろうとやってはいけない」というのが私の立場ですので、
推進側からの批判はもう、一蹴すればいいというふうに私は思っています。
代替案なんて、議論なんかする前に、まずは止めるという事を私は主張したいし、
私自身は原子力は即刻全て廃止するべきだと思っています。
何故かと言えば、原子力に手を染めてしまうと、
どうしても放射性物質を生みださざるを得ないのです。
原子力発電所の現場では、それを取り扱う事によって被ばくという事が起きてしまうわけですが、
その被ばくを負うのは電力会社の社員ではなくて、
下請け、孫請け、さらにはもっとずっと重層化された
…本当に底辺の労働者たちが被ばくを強制されてきましたし、
今現在でもそうなっています。
何とか原子力発電所を安全に運転しなければいけないわけで、日常的な被ばくももちろん生じてしまう。
しかし機械ですから時には「事故を起こす」ということで、
今回の福島第一原子力発電所の事故が起きてしまっているわけですが、
このような事故が起きるという事は、私自身はもちろんずっと危惧をしてきて、
「大きな事故が起きる前に原子力は止めなければいけない」と言ってきた訳ですが、
原子力を推進してきた人自身も、こういう危険があるという事は承知していて、
「都会で電気を使うのに原子力発電所だけは過疎地に押し付ける」というような事もやってきました。
さらにもし、事故が全く起きないで原子力発電所がその寿命を迎えたとしても、
原子力発電所自身が、今度は放射能の塊となってしまっていて、
その始末をどうしていいかわかりません。
そして、ウランを燃やしてできてしまった核分裂生成物という放射能を、
私たちには無毒化する術がありませんので、
それをこれから10万年、あるいは100万年という長さにわたって、
「私たちの子どもたちの世代に押し付けていくしかない」という、そういうものなのです。
もう、どこを取っても自分の責任では成し様がない、
全て弱い人たちにしわ寄せを押しつけなければ出来ないというようなものな訳です。
それだけを考えても「原子力にだけには手を染めてはいけない」と私は思いますし、
「即刻廃絶」してほしいと思います。
sawada:
そうですね、本当に世代間倫理という事もあるんでしょうけれど、
この、無毒化できないというのは、原子力が始まった時から、長い歴史の中で過去60年ですか、
ずーっと、最新の英知を持って進められてきたけど、なかなか出来ないと。
しばらく、これからもできる見込みがないと。
この状況であるにもかかわらず、まだ推進の立場にある国がある、
恥ずかしながらまだ日本という国が今そういう国になっていますけれども、
これはどういう、もうこのエゴというのはいかがなもんなんでしょうね?
小出:
人類が一番初めに原子炉をつくったのは1942年で、
米国が原爆をつくろうとして、その「原爆材料のプルトニウムが欲しい」という事で原子炉をつくりました。
すでに70年経っていて、その原子炉をつくった当時から、
「つくってしまう放射性物質を何とか無毒化できなければ大変なことになる」という事は分かっていて、
無毒化のための研究が続いてきたのですが、
残念ながらいまだに厚くて高い壁を越えられないのです。
70年間研究して越えられない壁というものは、超える事が大変困難だと思わなければいけません。
当初から「原子力発電所はトイレのないマンション」と言われてきましたが、
どんなに豪勢なマンションでもトイレがなければ住む事は出来ないのです。
そんなマンションをつくってしまうという事自身が間違いな訳で、
限りなく早く、やはり抜け出すしかないと私は思います。
sawada:
そんな中、今私どもは広島・長崎を経て、さらに今回福島第一原発という大きな事故を抱えた訳ですけれども、
そこから1年9カ月経って、なんとなくこの、世の中の風潮として、
「忘れてしまっているんじゃないか」と、
この放射能による健康被害について、認知が甘いところがあると思うんですけれども、
この点はいかがですか?
小出:
福島第一原子力発電所の事故を受けて、
今現在はおよそ1000平方kmに及ぶ範囲、
琵琶湖が1.5個入ってしまう位のかなり、ま、それだけでも広いのですが、
その地域が国によって強制避難という事で、10万人を超えるような人たちが故郷を奪われてしまってます。
でも、本当の事を言えば、約2万平方kmという広さのところを
日本の法律にしたがって放射線管理区域に指定しなければいけない程の汚染を受けてしまっているのです。
しかし2万平方kmというのは、本州の1割にも達するような広大なところですので、
それをもう「無人にする事は出来ない」と、日本の政府は考えました。
そのため、汚染地域に人々を見捨ててしまったわけで、
そこで人々は今でも被ばくをしながら生活をしています。
私はそんな事は「到底許せない」と思いますが、
捨てられてしまった人たちから見れば、そこから独力で逃げることすらが出来ない。
そこで住む事以外に選択がないのであれば、
「何とか忘れてしまいたい」ともちろん思うだろうと思います。
そのため政府としては「一刻も早くこの汚染を忘れさせる」という、
そういう宣伝というか、やり方に出てきているわけで、
マスコミも含めて福島第一原子力発電所の報道は
どんどん少なくなってきてしまっているという事になっています。
私たちはもう一度しっかりと事実を見つめなければいけないと思います。
sawada:
本当に今回の福島の件を受けて、そういう事に気付いて次に唯一起こせる行動というのが、
ま、大きく力が持てるというのがまさに選挙のひとつでしょうから、
今回の選挙の影響というのは本当に重要かと思いますね。
小出:
はい、私自身はできるだけ政治には関わらないようにしてきましたけれども、
もちろん政治は大変重要な事ですから、
みなさんそれぞれの場所でご自分にできる事を考えて頂きたいと思います。
sawada:ありがとうございました。
今回の選挙の争点でもある原発についてのご意見を伺いました。
sawada:
12月に総選挙という形になりましたが、今回、原発というのを一つの争点にしているという中でですね、
ずっと40年間原発について「反原発」という形を取られている小出先生の方に、
何故原発がダメなのか?という事についてお話を頂けますか?
原発とは何でダメなのか?脱原発という物の真の意味っていうんですかね、
小出:
私は実は「脱原発」という言葉は使わない。
わたしは、「反原発」ですので、その根拠を聞いていただければいいと思います。
要するに、今「脱原発」を言っている政党や人々がいるわけですけれども、
そういう人たちに対して原子力を推進しようとする人たちの主張というのは、
「そんな事を言っても現実味がないのに空想の事を言っている」という、
そういう批判を仕掛けてきているように私には見えるのですね。
わたしはでも「それでいい」、「それでいい」というかですね、
原発を止めるというのは別に新たな代替案を出さなくても、もう充分いいと思っているのです。
もう、「原発なんか代替案があろうとなかろうとやってはいけない」というのが私の立場ですので、
推進側からの批判はもう、一蹴すればいいというふうに私は思っています。
代替案なんて、議論なんかする前に、まずは止めるという事を私は主張したいし、
私自身は原子力は即刻全て廃止するべきだと思っています。
何故かと言えば、原子力に手を染めてしまうと、
どうしても放射性物質を生みださざるを得ないのです。
原子力発電所の現場では、それを取り扱う事によって被ばくという事が起きてしまうわけですが、
その被ばくを負うのは電力会社の社員ではなくて、
下請け、孫請け、さらにはもっとずっと重層化された
…本当に底辺の労働者たちが被ばくを強制されてきましたし、
今現在でもそうなっています。
何とか原子力発電所を安全に運転しなければいけないわけで、日常的な被ばくももちろん生じてしまう。
しかし機械ですから時には「事故を起こす」ということで、
今回の福島第一原子力発電所の事故が起きてしまっているわけですが、
このような事故が起きるという事は、私自身はもちろんずっと危惧をしてきて、
「大きな事故が起きる前に原子力は止めなければいけない」と言ってきた訳ですが、
原子力を推進してきた人自身も、こういう危険があるという事は承知していて、
「都会で電気を使うのに原子力発電所だけは過疎地に押し付ける」というような事もやってきました。
さらにもし、事故が全く起きないで原子力発電所がその寿命を迎えたとしても、
原子力発電所自身が、今度は放射能の塊となってしまっていて、
その始末をどうしていいかわかりません。
そして、ウランを燃やしてできてしまった核分裂生成物という放射能を、
私たちには無毒化する術がありませんので、
それをこれから10万年、あるいは100万年という長さにわたって、
「私たちの子どもたちの世代に押し付けていくしかない」という、そういうものなのです。
もう、どこを取っても自分の責任では成し様がない、
全て弱い人たちにしわ寄せを押しつけなければ出来ないというようなものな訳です。
それだけを考えても「原子力にだけには手を染めてはいけない」と私は思いますし、
「即刻廃絶」してほしいと思います。
sawada:
そうですね、本当に世代間倫理という事もあるんでしょうけれど、
この、無毒化できないというのは、原子力が始まった時から、長い歴史の中で過去60年ですか、
ずーっと、最新の英知を持って進められてきたけど、なかなか出来ないと。
しばらく、これからもできる見込みがないと。
この状況であるにもかかわらず、まだ推進の立場にある国がある、
恥ずかしながらまだ日本という国が今そういう国になっていますけれども、
これはどういう、もうこのエゴというのはいかがなもんなんでしょうね?
小出:
人類が一番初めに原子炉をつくったのは1942年で、
米国が原爆をつくろうとして、その「原爆材料のプルトニウムが欲しい」という事で原子炉をつくりました。
すでに70年経っていて、その原子炉をつくった当時から、
「つくってしまう放射性物質を何とか無毒化できなければ大変なことになる」という事は分かっていて、
無毒化のための研究が続いてきたのですが、
残念ながらいまだに厚くて高い壁を越えられないのです。
70年間研究して越えられない壁というものは、超える事が大変困難だと思わなければいけません。
当初から「原子力発電所はトイレのないマンション」と言われてきましたが、
どんなに豪勢なマンションでもトイレがなければ住む事は出来ないのです。
そんなマンションをつくってしまうという事自身が間違いな訳で、
限りなく早く、やはり抜け出すしかないと私は思います。
sawada:
そんな中、今私どもは広島・長崎を経て、さらに今回福島第一原発という大きな事故を抱えた訳ですけれども、
そこから1年9カ月経って、なんとなくこの、世の中の風潮として、
「忘れてしまっているんじゃないか」と、
この放射能による健康被害について、認知が甘いところがあると思うんですけれども、
この点はいかがですか?
小出:
福島第一原子力発電所の事故を受けて、
今現在はおよそ1000平方kmに及ぶ範囲、
琵琶湖が1.5個入ってしまう位のかなり、ま、それだけでも広いのですが、
その地域が国によって強制避難という事で、10万人を超えるような人たちが故郷を奪われてしまってます。
でも、本当の事を言えば、約2万平方kmという広さのところを
日本の法律にしたがって放射線管理区域に指定しなければいけない程の汚染を受けてしまっているのです。
しかし2万平方kmというのは、本州の1割にも達するような広大なところですので、
それをもう「無人にする事は出来ない」と、日本の政府は考えました。
そのため、汚染地域に人々を見捨ててしまったわけで、
そこで人々は今でも被ばくをしながら生活をしています。
私はそんな事は「到底許せない」と思いますが、
捨てられてしまった人たちから見れば、そこから独力で逃げることすらが出来ない。
そこで住む事以外に選択がないのであれば、
「何とか忘れてしまいたい」ともちろん思うだろうと思います。
そのため政府としては「一刻も早くこの汚染を忘れさせる」という、
そういう宣伝というか、やり方に出てきているわけで、
マスコミも含めて福島第一原子力発電所の報道は
どんどん少なくなってきてしまっているという事になっています。
私たちはもう一度しっかりと事実を見つめなければいけないと思います。
sawada:
本当に今回の福島の件を受けて、そういう事に気付いて次に唯一起こせる行動というのが、
ま、大きく力が持てるというのがまさに選挙のひとつでしょうから、
今回の選挙の影響というのは本当に重要かと思いますね。
小出:
はい、私自身はできるだけ政治には関わらないようにしてきましたけれども、
もちろん政治は大変重要な事ですから、
みなさんそれぞれの場所でご自分にできる事を考えて頂きたいと思います。
sawada:ありがとうございました。
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