fc2ブログ
12.10
Mon
堤未果 x 下地真樹 「震災がれきの処理の現状について」
2012.12.05



J-WAVE・JAM THE WORLD
■CUTTING EDGE
 『震災がれきの処理の現状について』



今日、大阪市は
岩手県の震災がれきおよそ100トンを試験焼却した焼却灰の放射性物質の濃度が
大阪府の基準を大幅に下回り、安全性が確認できたとして、
此花区にある人工の島夢島の最終処分場で埋め立てを始めました。

また群馬県前橋市の市長や新潟市の市長が、震災がれきの受け入れや試験焼却に関して発言をするなど、
気になる動きが出ているこの震災がれきの処理問題。
これについて、阪南大准教授の下地真樹さんに伺います。

堤:
今日から大阪市が先月末に燃やした震災がれきの灰の埋め立てを始めたんですけれども、
まず、この大阪市の対応をどんなふうにご覧になっていますか?

下地:そうですね、一連の動きを見ていて大変乱暴だと思っています。

堤:乱暴

下地:
はい、行政の言う安全性というのは、たとえば、
「放射能はフィルターで全部とれます」だとか、
「いくら埋めても外には拡散しないで、基本的にはじっとしている」であるとか、
かなり楽観的な想定シナリオに寄与した安全性なんですね。
で、これについて市民からも沢山疑問の声ですね、具体的な質問が寄せられているのですが、
そうしたものに答えないまま安全性を宣言しているというというので、不安は増すばかりだと思います。

堤:下地さんは、実際に大阪の議会と直接Q&Aというのはやったんでしょうか?

下地:
議会というか、僕自身は大阪市、大阪府環境省のそれぞれと、
結構長い時間やりとりはさせてもらっています。

堤:
で、どうですか?その安全性についての納得のいく答えというのは
その時でているんでしょうか?

下地:
それはないですね。
主張を重ねていった時に最後に出てくるのが「学者の先生方に検討してもらったので」という事で、
ブラックボックスに行きあたるんですね。
その大本の議論が災害廃棄物安全評価検討会という環境省が設置した会議があるんですが、
その議事録がいま隠されているっていう問題があります。

堤:隠されている。

下地:
議事録が存在しない会が4回ほどありまして、
ちょうど薬害エイズの時にも似たような問題がありましたよね?
エイズ検討会議の議事録が出てこないという、
あれに似たような事が今回の震災がれきでもあります。

堤:
そうすると環境省の災害廃棄物安全評価検討会というものが存在していて、
そこの安全評価の結果に沿って安全性があるという事が言われているんだけども、
そこの議事録自体が出てこないと。

下地:そうですね、「録音自体をしていません」というふうに今環境省は説明しています。

堤:また記録も残っていないという事ですか?

下地:
そうですね。
8回、9回、10回、11回という4回分なんですけれども、それが出てこないですね。

堤:
4回分出てこない。
そうするとこれは「どういった形でその安全性の評価をされているのか」という事も
分からないという事なのでしょうか?

下地:
そうですね、行政からの説明は一応大枠はあるんですけれども、
さまざまな疑問が浮かびますから、僕を含めて多くの人が質問をするんですけど、
説明しきれなくなると学者の先生の権威に頼るんですね、その担当者が。
ところがそれが、結局ブラックボックスに入ってしまっているので、
現在のところ確認する手段がないという状態だと理解しています。

堤:なるほど、
これ、がれきの焼却灰の放射性物質の濃度を調べたところ、
安全性が大阪府の基準を大幅に下回ったという発表がありましたけれど、
これについてはいかがですか?

下地:
安全性については、そもそも濃度の規制だけを今環境省は考えていて、
これこれの濃度よりも薄ければ、燃やしても埋めても大丈夫だという、
基本的にはそういう考え方なんですね。

堤:基準値があるっていう事ですね。

下地:
はい、ところが今回の事故で大変な量の放射性物質が関東・東北に出てしまいました。
それを、できるだけ被ばくを減らすために閉じ込めて管理する必要があるんですけど、
そういった発想が基本的に欠けているというのが、かなり問題だと思います。


一部分だけを取り出してそこだけを見ると「危険性が小さい」というふうに、
もちろん見せれば見せられる訳ですけども、
今後こういった「放射性廃棄物をどのように管理していくのか」という方向性の問題としては、
「薄めてばら撒く」という事になっていて、大変危険だと思います。


堤:
ちなみに下地さん、これ放射性物質の話になっていますけれども、
たとえばアスベストとか、六価クロムとか、
たとえば東京なんかだとそっちの別の有害物質もすでに検出されているんですね。
そのあたりに関してはこの大阪府の政策というのはどうなっているんでしょう?

下地:
全て指摘されている、水銀、ヒ素、アスベスト、六価クロムなど全部問題だと思いますが、
特にアスベストは試験焼却用の100トンを検査した結果、
結構な量のアスベストが検出されているんですね。
ところが、アスベストを扱う作業場の基準値に照らして基準値内であると

そういう、なんというか要するに私たちの生活環境の基準値ではない、
より危険な環境の基準値より下回っているという事で「安全だ」と言う評価を出して、
試験焼却を強行してしまったんですね。


堤:なるほど、先程の基準値というのは民間の処理場という事ですか?

下地:
アスベストというのは基本的に燃やしちゃダメですよね。
で、産業廃棄物の専門業者が処理をしますが、そういう処理をする場所の基準値があるんですね。
作業員の方がやっている場所。
で、今回のように一般の焼却炉で燃やすという事はもともと想定されていない訳です。
それで、「じゃあ基準値どうしようか」っていう時に、
そういう危険な環境の基準値をそのまま使っているわけですね。
「それより少ない」という事だけで、
「安全だ」と言われてしまうのは大変に危険だというふうに思います。

堤:
なるほど、
ちなみにそういう有害物質がバグフィルターで防げるという事を行政は発表していますけれど、
これについてはいかがですか?

下地:
放射能についてバグフィルターで捕れるかどうか?については、
その放射能がどのような形で焼却炉の中に存在するのか?

よく言われますように、ガスであるのか、固体であるのか。
固体であるにしてもどういう大きさであるのか?という事が詳しくは分からないので、
やはり環境省の想定は楽観的だと思います。
でまた、アスベストについてはバグフィルターでは無理ですね。
ですからかなり負担だというふうに僕は思っています。

堤:これは大阪の府民の反対というのは今はどういった空気なんでしょうか?

下地:
先ず反対している人はかなり、もちろん強く反対しているんですね。
行政との直接のやりとりを経て、
「やっぱりこれはデタラメである」というふうにみなさん確信を深めていると。
一方で大阪市はこのがれきの問題の広報に力を入れていないので、
いまだに多くの市民が「知らなかった」っていう反応をされる方も結構多いんです。

堤:がれきを受け入れて燃やしたという事すら知らないと。

下地:
そうです。
そういう話はちょっと聞いた事はあるけど、実際にこういう日程でやるとか、
あるいは来年の2月から毎日燃やすことになる。
一応予定ではそうなっているという事も知らないというような人も結構いますね。

堤:きちっと周知されていないという事ですね。

下地:はいそうです。

堤:
よくですね、行政側が
「がれきの広域処理をしっかりしないと被災地の復興が進まない」という事をよく言いますけれども、
これについてはいかがですか?

下地:
むしろ、「震災がれきの広域処理にこだわる事で足を引っ張っている」と僕は思っているんですね。
それは第一に輸送費などをはじめとして多くの費用がかかります。
これが他の必要な事の財源を圧迫しています。
二つ目は関連しますけれど、
もともと環境省の基準が甘いので、
現在、処理を進めている被災地は結構危険にさらされているわけです。

放射能についても。その他についても

堤:被災地でがれき作業に関わっている作業員の方にも危険があると。

下地:
そうですね、作業員もそうですし、近隣の住民の方も正直心配です
ですから輸送費などをかけずに、本来安全投資をですね、しっかりやるべきところを、
彼らは「安全だ」という事で広域処理をしていますので、
ま、輸送費に無駄遣いをしてしまっていると、
いろんな意味で被災地の復興の足を引っ張っていると思います。

堤:
そうすると被災地で作業をされている方なんかも、
この危険性については知らないという事が多いんでしょうか?

下地:
知っているかもしれませんけれど、
阪神大震災の時もそうですが、
たとえばアスベストの被害というのは、やっぱり20年ぐらいたってから、
最近チョロチョロ出てきているという感じです。
ですからそういう長期間にわたる危険性については、
国が自信を持って「安全」と言っている中で、
「危険ではないか」という自分の不安を、はっきりと意思表示して
対処を求めるという事はなかなか難しいと思います。

堤:
ちょうど今日アスベストの、国に対して賠償責任があるという判決が出ましたけれども、
やっぱりあれも本当に30年経ってからですから、こういう事には時間がかかるという事ですね


下地:
そうですね、
で、今回の政策を決めた人達は明らかにもうその責任を取らない訳です。

堤:30年後はもういませんからね。

下地:いませんからね。だから本当にひどいと思っています。


「世田谷区千歳清掃工場・7月女川瓦礫焼却中止」アスベスト&水銀

光が丘清掃工場工場からもアスベスト7/25







ーーーそして、逮捕されてしまったーーー


「がれき反対」無許可デモで大阪駅業務妨害 阪南大准教授ら逮捕
産経ニュース 2012.12.9 17:03

東日本大震災で発生したがれきの受け入れに抗議するデモ行進をJR大阪駅構内で無断で行い、
駅側の警告に応じなかったとして、大阪府警警備部などは9日、威力業務妨害と不退去の容疑で、
阪南大准教授の下地真樹容疑者(40)=大阪市西区新町=ら2人を逮捕した。
下地容疑者は黙秘しているという。

府警によると、
下地容疑者らはハンドマイクを手に演説をしながら約40人の参加者を先導。
構内を約250メートルにわたり行進した。


逮捕容疑は10月17日午後2時40分ごろから約1時間半にわたり、
JR大阪駅(大阪市北区)で「がれき反対」とシュプレヒコールを上げながら練り歩いたり、
ビラを配布したりして駅側の業務を妨害したとしている。




その時の写真 放射能メモより http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-1023.html
20121209190035dcds.jpg

どう見ても不当逮捕としか思えない。




2012年11月21日
ヘレン・カルディコット医学博士来日会見(大阪)大阪の母&モジモジ先生質疑応答11/21

2012年11月13日 説明会
「彼らが支払うべきコストを私たちの身体で、そして、私たちの未来で支払うというのが
放射能をばらまく政策です」大阪・此花区瓦礫試験焼却住民説明会
11/13モジモジ先生質疑(内容書き出し)


2012年8月31日関電前
<がれき広域処理>正確な報道をしないメディアと大阪府警・機動隊「無用の暴力」


2012年8月30日の説明会
大阪市がれき広域処理説明会8/30モジモジ先生質疑(動画・内容書き出し)






関連記事
comment 4
コメント
モジモジ先生を取り上げてくださって有難う、
大阪市の酷さを全国に人にわかって貰いたい。
瓦礫を何としてでも進めようとする人たちが組んで、本当のことを分かって言わなければいけないと、自分の信念に従って人々のために、代弁してくれた前途ある有為な若い学者を、何の理由もなく見せしめ、瓦礫焼却での論客を閉じ込めるという、市長・府知事の意を汲んだような逮捕、愕然としました。

今大阪で起こっていることは、全国で起こりえることです。権力を握ったものが、自分の欲望で権力を玩具にする時、どこでも貴方の町で起こります。そして、注意しないと基本的人権ですら、無いことになる未来になります。
子供達は将来福一への要員として徴兵されたり、監視社会になったり、今この選挙がとても分岐点になっています。

大阪の獄はとても冷たく、零下になると聞いています。そこで黙秘権です座っている若者は、貴方の私の子供達の未来になります。
そこまでファッショの動きが来ているような気がします。
どうしようもないから、めんどくさいでは、子供達が危ない。日本に住めなくなるかもしれない。
皆考えて、想像して、彼のことを支援して欲しいです。
真実を知り、言わずを得ない人、学者魂です。

きーこさん、モジモジ先生を書いてくださって、有難う。
etchan | 2012.12.10 15:52 | 編集
きーこ様
ジュリーや太郎君の記事で、心が温まっていたのですが、もじもじ先生逮捕の記事で、冷や水を浴びせられました。

権力を持っている側と、持たない側への扱い方の差異が、本当にショックです。
しかし、醜悪な現実でもちゃんと見ないといけませんよね。
でないと、醜悪な現実に飲み込まれてしまう。ちゃんと見て、考えれば、道は拓けますものね。
まずは、誰に権力を付託するのか、今度の選挙、しっかり見極めたいと思います。

辛い記事でしたが、きーこ様、情報をありがとうございます。
ナウ | 2012.12.10 20:58 | 編集
きーこさん、いつもご苦労様です。
もじもじ先生の逮捕は不当としか思えません。
先生を助けるために、何か運動(署名活動等)があるんでしょうか?
大阪市のことですから、署名が集まったとしても無視されると思いますが。。。

政府、警察、裁判所が癒着した国では基本的人権は守られません。
前の方もコメントされてますが、今回の選挙は日本の将来を決めることになる重要なものだと思ってます。

雪 | 2012.12.11 02:14 | 編集
UP ありがとうです♥♥
ミッタソ | 2012.12.11 08:31 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top