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12.15
Sat
2012年12月14日
報道するラジオ 「小出裕章さんに聞く 原発事故、放射能・・・」



13分38秒から~
使用済み核燃料

水野:
はい、では次のご質問に行かせて下さい。
今度はラジオネーム玉ねぎちゃんというかたでございます。
「原発を止めてしまうと直ちに電気が足りなくなって、経済に影響すると言っている人もいますが」
というメールを頂きました。

この原発を止めた場合ですが、使用済み核燃料の処分地や処分方法が決まらない現状で、
核燃料サイクルの計画を断念すれば、使用済み燃料や高レベルの放射性廃棄物の行き場が無い。
だから、核燃料サイクルを今放棄するのは無責任だという考え方もありますよね。
どう思われるでしょうか、

という事なんです。いかがでしょうか?
小出さんは、今すぐ原発も核燃料サイクルも止めた場合に、
使用済み核燃料はどうするべきだと思われますか?

小出:どうしようもないのです。

水野:どうしようもない。

小出:
はい。
要するに私たちは原子力というものをやってしまったわけですが、
やってしまうと核分裂生成物という放射性物質が出来てしまうのです。
避けようが無く出来てしまうし、それを無毒化する手段というものを私たちは持っていないのです。
そのため原子力発電というのは当初から「トイレの無いマンション」と呼ばれてきました。
リスナーの方の中にも結構豪華なマンションにお住まいの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、
「トイレが無ければマンションには住めない」のです。
「そんなマンションはつくってはいけない」はずだったのですが、
「いつかはトイレが出来る」というふうに期待してしまって今日まで来たのですけれども、

水野:
今おっしゃった「トイレ」という一つの比喩が核燃料サイクル、
ぐるぐる回していく、そういうものだと思っていいんですか?

小出:
核燃料サイクルというものはですね、ん……
説明をしようと思うと大変な時間がかかるのですが、
生み出した放射性物質のうちの、ごくごく一部のプルトニウムというものを取り出して、
それをまた原子力発電所の燃料にしようとする、そういう計画が核燃料サイクルでした。
でもそれはもう全く夢の夢で、もう出来ないのです。
それはもう、政府の方も断念していて、
高速増殖炉という原子炉、もんじゅという原子炉があって、
核燃料サイクルの要(かなめ)だったんですけれども、
それがもう機能しないので、いずれにしてももうそれは止めるという事を政府自身がもう決めているのです。
ですから核燃料サイクルが実現出来るなんていう事は、もう、「もともとない」のです。
後は、「生み出してしまった放射能をどうするか?」という事だけが今残っていて、
大変申し訳ありませんが「私も実は分からない」のです。

しかし、もしこれから原子力をやってしまえば、
どうしていいか分からないゴミがどんどん、どんどん増えてしまうという、
そういう事になってしまうわけですから、
一刻も早くそういう選択は止めて、
少なくてもこれまでにつくってしまった放射能、それだけを何とかしなければいけないという、
その深刻な課題に向き合うべきだと私は思います。


水野:
でもこの核のゴミというものは、とにかく今あるわけで、
で、それを「何とかしなければならない」という事はいずれにしてもありますよね。

小出:そうなんです。

水野:具体的に、どこにどうするんですか?

小出:
日本の国はそれをどこか国内で埋め捨てにしようとして、
地方の財政が困窮したところに行って「お前のところに埋め捨てさせろ」と言って、
これまで20年位に渡って探してきたのですけれども、
どこの自治体も「それだけは嫌だ」と言って、受け入れることを拒んできました。
結局日本国内に埋め捨てる場所もないままここまで来てしまいまして、
今日本の国はそれをもう
「モンゴルに持って行って埋め捨てにしよう」というような計画まで出してくるということになっています。
私は大変恥ずかしい国だと思います。

水野:「埋め捨てる」っておっしゃいましたが、これは地面の中に眠らせるっていう意味ですか?

小出:
これまでの計画で言えば
「300mから1000mの深い穴を掘って、そこに埋めてしまおう」という案が、
日本の国がつくった唯一の案として、もうすでに法律で決められています。
ただし埋め捨てにして、ずっとそこにいて欲しいわけですけれども、
そこにいて欲しい時間の長さが、10万年から100万年という長さなのです。

水野:無害になるまで、

小出:
はい、無害にはならないのですけれども、
もともとはウランという物を掘り出してきて、今原子力に使っているのですけれども、
「ウランが持っている放射能と同じレベルに減るまでには10万年から100万年」といっているのです。
でもそんな事が出来る道理が無いわけで、
今年の9月に日本の学術会議という、学者の国会のような機関があるのですが、
その機関が「それはやはり正しくない」と、
「埋め捨てにしてしまってはもう取り返しがつかないので、何十年、何百年かは分からないけれども、
私たちの目の黒いところで監視できるような形で保管をするしかない」という提言を出したところです。

水野:どうやって保管するんですか?

小出:
え…それもよく分からないのですが、建屋を建てる、
あるいは、比較的浅い地下に保管の施設をつくって、
そこに核分裂生成物、ま、放射能のかたまりを、とにかく入れて、環境に漏れてこないように、
ずーっと監視をし続けるという事しか、多分出来ないと思います。

平野:これも、地震列島を考えれば非常に危険ですよね。

小出:そうです。
日本という国は世界の1割2割の地震が起きるという、そういう地震国なわけで、
地上に「大丈夫だろう」と思う建物をつくったとしても、
それすらがやられてしまうという危険はあるわけですから、
どんな事をやっても「完璧だ」という手段はもう無いのです。
だから、大変困った状況に今、私たちは追い詰められているわけで、
「これ以上毒物をつくらない」という事をまずは決断しなければいけないと思います。


再処理

水野:
ん…、これ、再処理をしない。やめたら、・・・なんていうんですか、
再処理をしてもしなくても毒物はずっとあるわけですよね?

小出:そうです。

水野:
だけど、再処理を諦めてしまうと、余計困ったことになるというのは、
「やり様が見つからない」という意味なんですか?

小出:
「再処理」というのはですね、
なんか皆さん再処理をすると放射能が消えてくれるかというふうに受け取られている感じが、

水野:なんか、そういうイメージがあるんですよ。

小出:
かもしれませんが、
「再処理」という作業は出来てしまった放射能の中から、
プルトニウムという原爆材料を取りだすという、ただそれだけのためだし、
それ以外の事は何もできないのです。
で、プルトニウムという物質を取りだしてしまうと、
それは今聞いていただいたように原爆材料なのです。
それを日本の国は「高速増殖炉という原子炉で燃やすんだ」
「燃料にするんだ」と言ってきたのですけれども、
その高速増殖炉は全然動かないのですから、取り出す事自身に全く意味がありませんし、
取り出してしまうと原爆材料を抱え込んでしまって、それもまたどうしていいか分からないという事で、
国際的に非難も受けている訳です。
ですからまずは「再処理なんかしてはいけない」のです。
再処理なんかすればするだけ、また余計な困難を抱えてしまうという事になります。





つづくーー




ー関連ブログー

東京新聞独自の調査で判明
「核燃料プール 数年で満杯 6割が運転不可に」


「最終処分方法白紙に戻す(学術学会)・福島第一計器次々壊れる」
小出裕章氏9/13たねまきジャーナル(内容書き出し・参考あり)


<2.放射性廃棄物>「国民の意識の成熟が問われる問題」
田坂広志氏11/2自由報道協会記者会見(内容書き出し)


<5.核武装>「『プルトニウムを減らすために大間を稼働しなければいけない』は詭弁」
田坂広志氏11/2自由報道協会記者会見(内容書き出し)


<アメリカの属国>「だから再処理工場という、超軍事的な工場も認めてもらえた」
小出裕章氏インタビュー11/29岩上安身氏


”リサイクル”という呼び名に騙されちゃいけないー核燃料リサイクルー



ーー再処理をするという事ーー


たねまきJ
「福一4号機解体による粉じん・伊方原発再稼働の懸念・六ヶ所村再処理工場から放出される放射能」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)7/12

<一部抜粋>
千葉:
六ヶ所再処理工場から放出される放射能の量を調べてみて驚いております。
なんと、年間で大気中にクリプトン85というのが、33京ベクレル。
トリチウム、炭素、ヨウ素、セシウムなどなどが出ていると推定されております。
これらの放出量は生物に対して何の影響もないのでしょうか?

小出:
もちろん影響はあります。
ありますけれども、クリプトン85、炭素14、トリチウムというような放射性物質は、
捕捉しようとするとなかなか手間がかかるというそういう放射性物質でして、
六ヶ所再処理工場はそれらを何の手だても取らずに全量放出するとしています。
ですから大量に出てしまうということになっているのです。
で、今ご指摘がありましたけれども33京ベクレルという量を六ヶ所再処理工場は出すと言っています。


「100000年後の安全」飯田哲也講演会(内容書き出し)7/9より抜粋
飯田哲也:
六ヶ所の再処理工場で処理をすればあたかも
魔法のようにゴミがなくなるかのように一般の人で誤解している人が多いのでびっくりした

六ヶ所再処理工場を動かすと、ゴミが無茶苦茶散らばって増えるんですね
まず、そのことを皆さん知らなければいけないです
何にたとえたらいいかな・・
家の中で、マヨネーズでもケチャップでもいいので
ケチャップが入っている物をぶち切って部屋の中にバーンとぶちまけるような状態
ですね
そうすると、それをもう一回すくってケチャップのかたまりの部分は少なくなるけど
家じゅうに散らかった毒入りケチャップ、それをふき取ったペーパータオル
そんな物もみんな汚れてしまう

六ヶ所から出てくる核のゴミは使用済み燃料の数100倍、数1000倍の量が
同じような危険性のゴミが広がって行く



肥田舜太郎医師2007年の講演(低線量内部被曝と原発について)
より抜粋
肥田舜太郎:
六ヶ所再処理工場は、原発1基1年分以上もの放射能を、1日で環境に出すといわれています。
本格稼動したら、三陸沿岸の漁業に深刻な悪影響が出るでしょう。



坂本龍一が語る環境問題。六ヶ所村(内容書き出し)
より、一部抜粋
坂本龍一:
そのプルトニウムを作ると、
その工場からは普通の原発の一年で出すくらいの放射能が一日で出てきちゃうんです。
それくらい放射能の危険度が高い訳です。
で、それはどこに出しちゃうかって言うとあの、・・・高い煙突を作って・・こう

伊藤:えっ!そうなの?

坂本:
高い煙突。そこがおかしいんだけど、わざわざ高いの作って出しちゃう。
それから、青森の沖の海に4Kのパイプを作って海に流しちゃう。太平洋に…

伊藤:へぇー。すごいね。

坂本:
だから、その辺の海岸じゃないところがちょっと、もう笑わせるんだけど。
でも、結局さ、このぼくたちの地球なんて惑星は大気は循環しているし水も循環してるから、
どこに出したって全部まわっちゃうんだよね。
だから、そんな姑息なことやってる。
だけども、そんな危険なものがあるんだけど、ほとんど知らないじゃない。
ぼくも知らなかったし、みんなも知らないじゃない。



青森での講演会。再処理工場とは? 小出裕章氏(内容書き出し)より、一部抜粋
小出裕章:
みなさんどうやって取り出します?プルトニウム

瀬戸物の中に混然一体として含まれているのですから、
ナイフで削ったってとれないし トンカチで割ったってとりだせない つまむ事も出来ない
どうするかといえば、その瀬戸物をドロドロに溶かすというのです。

みなさん家庭でお茶碗とかお皿とか瀬戸物はいっぱい使っていると思うけれども
それを溶かすって出来ますか?
想像できないですよね。瀬戸物を溶かすなんてまずできない。
でも、再処理工場ではそれをやらなければ仕事にならないのです。

そのために原子力発電所から運ばれてきた使用済み燃料は
まずは、燃料棒を、被覆管をズタズタにちょん切って

その被覆管というものはようやくにして放射能を閉じ込めていたのですけれども、
その被覆管をズタズタにちょん切ってペレットをボロボロと取り出すんですね。

でも、さっき聞いていただいたように、
核分裂生成物という物は200種類ぐらいの放射能の集合体でして、
中には気体になりやすい放射能があります。
ですから被覆管をちょん切った時にその時に気体になりやすい放射能は溢れて出てくるのですね。
それをどうするのかというと、敷地の中ですぐそこで外に出したら大変なので、
高さ150メートルの煙突を作って その煙突の先から捨てるから・・・・・・・・・・





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