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12.15
Sat
2012年12月14日
報道するラジオ 「小出裕章さんに聞く 原発事故、放射能・・・」


22:34~
核融合

水野:
はい、次はラジオネームたねまきさんという方からのご質問なんですけれど、
復興予算の中から核融合研究費というものが160億円以上執行済みだという報道を見ました。
この、熱核融合、レーザー核融合推進ってなんですか?
なんですか?

小出:
今私たちは原子力というものに手を染めています。
それはウランを核分裂させてエネルギーを取り出そうという試みですけれども、
ウランを核分裂させたものは原爆です。
ですから、原爆に使った技術をエネルギーを取り出すために使おうとしているのが、
現在やっている原子力発電所です。
では、核融合というのは何か?と言うと、水爆です。

原爆はウランの核分裂だったのですけれども、
水爆というのは水素、あるいはリチウムというような特殊な元素があるのですけれども、
そういうものを分裂させるのではなくて、
今度は融合させてエネルギーを取り出すという爆弾が水爆だったのですけれども、
それを地球のどこかで実現させて、水爆のエネルギーを取りだそうという試みが核融合というもので、
熱核融合、あるいはレーザー核融合、
あるいは常温核融合というようないろんな事は言われてきましたけれども、

言われてきただけで、全く実現の見通しがありません
少なくても「21世紀中に核融合が地球上のどこかで実現できる」と思っている科学者は
だれ一人いないと私は思います。


水野:はぁー。

小出:
この日本という国で、原子力発電所の事故が起きて、人々が大変困難な状況に突き落とされている中で、
そのための復興予算というのはもう本当に必要なお金の筈なんですけれども、
そんなお金を「核融合研究に使う」なんていう事は、私は「犯罪」とでも呼ぶべきだと思います。


平野:先生、これ、国立大学の専門学部で核融合を専門的に研究しているところが結構多いですよね。

小出:はい。あります。

水野:へぇ~

小出:あんまり多くはないですけれども、

平野:多くはないんですか?大阪大学なんかそうですよね。

小出:
はい、大阪大学はレーザー核融合というものをずっと研究を続けてきているのですけれども、
レーザー核融合というものは、これまでやってきた核融合研究の中ではむしろ異端なのです。
いわゆる正統派の核融合研究というのはトカマクという形の核融合反応を実現しようとしていまして、
現在はイーターという、国際的な核融合の実験装置をつくろうとして、
EUと、後は米国・ロシア・日本・韓国・インド・中国というような、
EUプラス6カ国が集まって、熱核融合反応炉というものをつくろうとしているのです。
そのために、核融合研究のほとんどの勢力はそこに集まっていて、何とかしようとしているのですが、
それすらが今聞いていただいたように21世紀中に実現出来るという見込みはほとんどありません。

で、大阪大学のレーザー核融合はそれよりももっと、もっと実現の可能性が低いという、
そういうものです。



海洋汚染

水野:
じゃ、最後に短くお答えいただきたいんですが、
ラジオネームトンビさんという方は、

福島第一原発事故に於いての海洋汚染について教えて下さい。
海の放射能ってね、希釈されていく、薄くなっていくと言われていますけれど、
今どうなんでしょうか?

小出:
はい、もちろん海も汚れています。
先ずは空気中に大量の放射能が出て、
地球全部にもう福島第一原子力発電所から放出された放射能が、
大気中にばら撒かれて広がってしまっています。
そして、ばら撒かれた放射能の一部は陸に落ちて、いわゆる個体として今、大地を汚してしまっていて、
それによって福島周辺の人達が被ばくを続けているという状況にあるわけです。
ですから気体と個体というものはもうすでにどうしようもない状態であるわけですし、

あとは液体として海に流れて言っているものが、今、汚染を広げているのです。
福島、あるいは宮城、岩手もそうですけれども、
がれきが太平洋を流れて米国にたどり着いた、
カナダにたどり着いたと、もうすでになっている訳ですけれども、
放射能も同じように何カ月、あるいは何年という単位でを経ながら、
太平洋全体に広がっていくわけです。
そして陸上であれば、たとえば野菜はそこで採れるわけですけれども、
海というのは魚が泳いでいるわけで、
たとえば福島周辺で汚染された魚も、宮城、岩手、北海道、あるいはまた、茨城、千葉というふうに、
どんどん泳いで行ってしまっているわけで、
汚染はこれからどんどん、どんどん広がって行ってしまうし、

今現在私が陸上で心配しているのはセシウムという放射性物質だけ
ま、「だけ」というのは言いすぎかもしれないけれども、
主要にはセシウムだと私は思っていますが、

海の汚染の場合には今度はストロンチウムという、
セシウムに比べてまた毒性の強い放射性物質に対しても注意が必要になるだろうと思います。
ただストロンチウムの測定は大変難しいので
これからどこまで測定してデータが公表されてくるのかという、その事自身も心配です。


ストロンチウム

水野:ストロンチウムの毒性を一言で教えていただくと、どのようなものでしょう?

小出:
ストロンチウムというのはカルシウムと同じような化学的な挙動を取りますので、骨に蓄積してしまいます。
それで一度骨に蓄積してしまいますと、もう排泄する事もなくて、
ずっと体内にとどまってしまうという事になりますので、
生物学的な毒性という事を考えれば、セシウムの何倍も危険が高いという放射性物質です。

水野:
あの、いろいろと教えていただいてありがとうございました。
また、リスナーの方々からのご質問をまだまだお寄せいただいておりますので、
このような機会にこの番組でまたお答えいただきたいと思います。
本当にどうもありがとうございました。

小出:ありがとうございました。


ーーおしまい





ー核融合とは?ー

<ひどすぎる!>復興予算が核融合研究に9/16東京新聞&小出先生の解説


たねまきJ「玄海1号定期検査入り・給食の基準40Bq・核融合の将来性」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)12/1

<上記ブログより一部抜粋・>

小出:
はい、
この技術は途方もなく難し過ぎて、実現しないと私は思います。
現在、唯一現実可能だと思われている核融合は、D-T核融合というのですが、
水素の中の重水素と三重水素を核融合させようとする、そういう技術です。
そして、
「核分裂反応は核分裂性物という放射能を生むけれども、核融合反応は放射性物質を生まない」という、
そういう、なんか宣伝が広くいきわたってきましたが、
燃料に使う三重水素自身が放射能です。
ですから、反応を起こす前から放射性物質を取り扱うという技術ですので、
わたしは、決してやるべきではないと思っています。
そのうえで、D-T核融合を起こしてしまうと、大量の中性子が出てきてしまいますので、
核融合炉という、ま、それも鋼鉄を中心としたもので出来るのですけれども、
それが膨大な放射能の塊になってしまうのです。
並大抵な技術ではありませんし、おそらく実現もしないし、
やるとまた、大変な放射能汚染を引き起こすだろうと私は思います。
(ブログ内には核融合関係の簡単な説明もあり)


たねまきJ「トリチウム・雪・福島講演」小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)2/2
<一部抜粋>

小出:
そのために核融合が出来れば「クリーン」だと言ってきたのですね。
ところがその核融合というのは、実はトリチウムを燃料にするんです。
自然界にあったものの何百倍というようなもののトリチウムを、
毎年毎年、燃料に使うという様な技術が核融合という技術でして、
なんか、皆さんは夢のエネルギー源だと思われているかもしれませんけれども、
そんな事をやったら、もう、地球が放射能まみれになってしまうと私危惧してきました。


千葉:えっ、じゃ核融合をやるためには大量のトリチウムを作らなければいけない訳ですよね。
小出:そうです。それが燃料なんです。
千葉:ええええぇぇぇ!!!
まず、そのトリチウムありきで核融合が行われるということなんですね。

小出:
まずは、てんかする前にはトリチウムを集めておかなければいけませんし、
一度核融合をてんかした後は自分でトリチウムをどんどん、どんどん生み出しながら、
それを燃料にするという、そういうシステムにしなければいけないのですが、
水素というのは閉じ込める事が大変難しいので、多分大量に漏れてくる事になりますし、
核融合という事をやれば、トリチウムが最大の放射能の被ばく源になるだろうと私は思います。

千葉:そうですよね、環境に出たら水と同じだから回収する事は全然出来ないという事なんですものね。

小出:そうです、はい。

藤田:トリチウムというのはかなりの有毒物質であるという事は間違いがないんですよね。

小出:
放射性物質というのは山ほどあるのですけれども、
放射性物質の中の毒性でいうとあまり高くはないのです。
ただし、他の放射性物質は閉じ込める技術がさまざまにあるのですけれども、
トリチウムは水素ですので、水になってしまう。
そうすると、もう、水の中からいくら放射性物質を取り除いて、綺麗にしたつもりでも、
水そのものが、要するにトリチウムで汚れているわけですから、
閉じ込めようがないのです。
ですから、六ヶ所再処理工場というのが、今、動くか動かないかの瀬戸際にあるのですけれども、
トリチウムに関する限りは、全量放出するという事になります。


千葉:うわぁ~







ー海のストロンチウムー

ストロンチウムはそのまま垂れ流し状態(セシウムのように捕捉できない)

たねまきJ「藤村官房長官発言・福島第一高濃度ストロンチウム汚染水漏れ・リスナーの質問」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)4/5


小出:
セシウム137とほとんど等しい量が出来るというのがストロンチウム90という放射性物質でして、
人体に対する危険度でいえば、セシウムの何倍かは高いと言われている猛毒の放射性物質です。
ただし、揮発性があまりないために、福島第一原子力発電所の事故でも、
セシウムは大量に大気中に出てきたのですが、ストロンチウムは大気中には出てこなかったのです。
多分割合でいえば1000分の1ぐらいしか大気中には出てこなかったと思います。
ただ逆に、水には溶けやすいし、なかなか自ら捕捉しにくいという性質を持っていますので、
水をいま、浄化系というのを通して、セシウムは捕まえているのですけれども、
ストロンチウムはほとんど浄化もできないまま汚染水の中に残り続けてきてしまっているのです。

それが、ま、漏れてしまったということで、
これからどんどん深刻な問題になってくるとおもいます。

千葉:
えーっ、今回、その、大部分が海に流れ出したという事なんですけれども、
量が12トンという事で、どんな影響が考えられますか?

小出:
えっと、実は今、マスコミといいますかね、今日の報道では
その「12トンが漏れたから大変だ」という事になっているんですね。
もちろんわたしはそれは大変だと思いますし
循環冷却という事をやることの困難さも、今回の事が示したと思うのですけれども、
実はもう、毎日漏れているのです。


白血病や骨の癌の原因(骨に溜まったら出ていかない)

「議院運営委員会での田中氏の発言・ストロンチウム」
8/2たねまきJ小出裕章氏(内容書き出し)


小出:
骨というのはカルシウムでできているんですね。
ストロンチウムはカルシウムと同じ挙動を取りますので、骨に溜まってしまいます。
そうすると、もう、抜けていかないのです。

千葉:そのままずーっと溜まり続けるんですか?

小出:
長い間骨に溜まってしまうというそういう性質を持っているので、
被曝をずっとしてしまうということになります。
一方セシウムという放射性物質はカリウムという元素と同じような挙動を取りまして、
骨に溜まるのではなくて、全身に行き渡るというような性質を持っています。
そして私たちはもう、常日頃カリウムを大量に摂取していて、
カリウムはどんどん代謝していますし、
セシウムも人間の代謝機能で排泄されていくという、そういう性質を持っています。
今、一般の成人は70日待っていればセシウムは半分に減ってくれるだろうというのが、
基本的な科学の認識ですけれども、
ま、多くても少なくてもその程度で減っていってくれるというものなのです。
でもストロンチウムの場合は一度骨に溜まってしまうと、
何十年も減ってくれないという、そういう性質を持っているが為に、
ストロンチウムは危険なのです。


二木:骨に溜まるとどうなっていくんでしょうか?

小出:骨の癌、つまり白血病とかですね、そういうふうな物を引き起こしてしまうということになります。


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comment 1
コメント
私、実はトリチウムがすごく怖いんです。

タンパク質の立体構造が、水素結合で維持されていると学んだことがあります。
そしたら、その水素がβ崩壊してヘリウムになったら、たんぱく質の立体構造が、グニャグニャになってしまうのではないかしら?と、心配しています。
それ以上に、タンパク質にも糖にも脂質にも水素はいっぱい含まれている。
放射能のエネルギーとしては小さいかもしれませんが、私たちの体に有る水素の量と働きを思うと、トリチウム、メチャンコ嫌です。

きーこ様、トリチウムを語る小出先生を取り上げて下さって、ありがとう。
核融合なら良いという訳ではないことが、はっきりわかりました。
六ヶ所村も、稼働したらダメだということも。
やっぱり核と生命は、相性が悪いですね。
ナウ | 2012.12.15 22:55 | 編集
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