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Fri
データ
http://www.h7.dion.ne.jp/~touhyou/houshaedu/sinzou_toride.pdf
(↓クリックすると大きく見る事が出来ます)
">取手11


診断名
">取手12


診断名の中から増えている二つの病名をグラフにしてみました
川崎病(既往症、冠動脈瘤含む)とQT延長(疑いも含む)の年度推移
取手14
(平成20年度はひとりの子どもが川崎病既往症 QT延長症候群の両方を診断されています)

川崎病とQT症候群とはどのような病気なのでしょうか?
調べてみました。

[31]川崎病のはなし
-こどもの心筋梗塞-

国立循環器病研究センター
元小児科部長 越後 茂之
小児循環器科医長 津田 悦子

こどもを襲う“川崎病” 心筋梗塞までひき起す
<一部抜粋>

川崎病はどんな病気?

1967年に川崎富作博士が、
手足の指先から皮膚がむける症状を伴う小児の「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として発表された症候群が、
新しい病気であることがわかり、博士の名前をとって川崎病という病名になりました。

この病気は世界各地で報告されていて、
とくに日本人、日系アメリカ人、韓国人などアジア系の人々に多くみられます。開発途上国ではまれです。
原因はまだはっきりしていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけに
それを防ごうとする免疫反応がおこり、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。

血液の中には白血球という体を守る働きをする細胞があります。
細菌などが侵入すると、それが刺激になって白血球が増え、血管の壁(血管壁)に集まってきます。
この状態が血管炎で、炎症が強すぎると白血球から出る酵素によって血管壁は傷んでしまいます。
もともとは細菌などの侵入に対応して体を守るための反応なのに、
反応が大きすぎる場合、自分自身の組織が破壊されてしまうことになるのです。

赤ちゃんまで心筋梗塞に

心臓を養っている冠状動脈(冠動脈)の血管壁の構造が、この反応によって破壊されてもろくなり、
もろくなった部分が拡大して瘤(こぶ)となることがあります。
これが川崎病による冠動脈障害
で、後遺症と呼ばれています。
注意してほしいのは、冠動脈障害が原因になって、この動脈がつまり、心筋梗塞がおこる場合があることです。
心筋梗塞は動脈硬化からくる成人病(生活習慣病)ですが、
こどもでも川崎病による冠動脈障害が原因となっておこる場合がある
のです。

麻疹(はしか)風疹は一度かかると抗体(そのウイルスを防ぐたんぱく)ができ、
二度感染することはありません。
しかし、川崎病の場合はかかった子の2~3%に再発がみられます。
うつる病気ではありませんが、兄弟でかかる場合が1~2%あります。

全国調査では1982年と1986年の流行をのぞき、
1980年代後半から90年代は毎年6,000人ぐらいのこどもがかかっていました。
99年に7,000人、2000年には8,000人としだいに増える傾向にあります。
1歳をピークとして、主に4歳以下の乳幼児がかかり、男子が女子の約1.5倍です。
冠動脈に大きなこぶができる巨大瘤(冠動脈径8ミリ以上)をもつ患者が毎年約0.5%、200人に1人います。
川崎病による死亡率は、最近では約0.05%、2,000人に1人となっています。

川崎病は2つの疾患をもっています。
急性熱性疾患(急性期)と冠動脈障害を主とした心疾患(後遺症)です。まず急性期について説明しましょう。

急性期の症状は

この病気は特徴的な症状から診断します。次にあげる6つの主な症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病(定型の川崎病)と診断します。症状はそろわないものの、他の病気ではないと判断された場合は「非定型の川崎病」とされています。

主な症状は

5日以上続く発熱(38度以上)
発疹
両方の目が赤くなる(両側眼球結膜充血)
唇が赤くなったり、苺舌がみられる
病気の初期に手足がはれたり、手のひらや足底が赤くなったりする
熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)がある
片側の首のリンパ節がはれる

熱が下がってから爪の先から皮膚がむけてくる
主要症状のほかに、BCG接種部位が赤くなっている、関節の痛み、下痢、腹部膨満などがあります。
全身の血管炎のため、その他のいろいろな症状が出ることがあります。
小児期に急に発熱する他の病気に比べ重症で、日ごろ元気だった子が急にぐったりしてしまいます。
これらの症状は同時に出るわけではありません。それぞれの症状の程度もかなり個人差があります。
このため診断のむずかしいことが少なくないのです。

血液検査では、白血球・CRP(炎症反応)・肝細胞逸脱酵素が上昇し、
ナトリウム、アルブミンが低下し、回復期に血小板が上昇します。


急性期はふつう1~2週間で回復しますが、症状の強い場合は1か月以上続くこともあります。
ごくまれですが敗血症のようになったり、心臓の筋肉に炎症がおきる心筋炎のため心不全となり、
死にいたる場合もありますからあなどれません。

この病気の特徴は、急性期の1、2週間を過ぎた後に、心臓に栄養を与えている冠動脈に瘤ができる場合があることです。炎症が大変強い時は、わきの下や足の付け根の血管に瘤ができることもあります。


一番の気がかりは心筋梗塞


川崎病にかかった後どうなるか、その予後に影響するのは心筋梗塞の発症です
冠動脈障害だけであれば、心臓のポンプ機能に影響はありません。
巨大瘤では発症後10年で約60%、15年で約70%の患者さんに冠動脈に狭窄や閉塞が見つかっています。
血管が閉塞した3人のうち2人は無症状で冠動脈造影検査で閉塞がわかりました。
これらを無症候性心筋梗塞といいます。
3人に1人に心筋梗塞の症状がみられ、このうち約20%が亡くなっています。

一口に心筋梗塞といっても、予後は梗塞の範囲、つまりどれだけの範囲が障害を受けたかによって異なります。
広い範囲の心筋梗塞では心室機能が低下します。
狭い範囲で、軽度の心機能の低下であれば日常生活に影響はありません。
冠動脈の1本がつまっても、他の血管から新しい血管が伸びてきて、血液を補ってくれることもあります。
しかし、数回、心筋梗塞をおこし、ポンプ機能が低下して心不全になり、
ごくまれですが心臓移植が必要となる場合もあります。



QT延長症候群(-えんちょうしょうこうぐん,long QT syndrome; LQTS)
心臓の収縮後の再分極の遅延がおき、
心室頻拍(Torsades de Pointes:TDP、心室性不整脈の一種)のリスクを増大させる
まれな先天的な心臓疾患です。
これらの症状は、動悸、失神や心室細動による突然死につながる可能性があります。
症状は、条件のサブタイプに応じて、様々な刺激によって誘発される可能性があります。
またQT延長は、特定の薬の投与後に発生する可能性があります。
後天性QT延長症候群...薬剤性など。よくある例としては抗ヒスタミン薬とマクロライドの併用など。


家族性突然死症候群 (QT延長症候群)

1. 家族性突然死症候群(QT延長症候群)とは

突然、脈が乱れて立ち眩みや意識を失う発作が起こる遺伝性の病気です。
意識を失う発作が止まらない場合は死亡することがあります。
しかし、発作がないときは自覚症状は全くありません。
また、検査をしても心電図のQTといわれる波形の部分が正常に比べて長い以外は異常が見つかりません(図1)。
このような心電図の特徴からこの病気は「QT延長症候群」と呼ばれています。
図1
621.jpg

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
日本では「QT延長症候群」は数100家系存在すると考えられていますが実態は不明です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

現在では2つの原因が考えられています。
1つは心臓の細胞にあるチャンネルと呼ばれるトンネルの異常です。
心臓が規則正しく脈を打つには、心臓の中で命令が正しく伝えられることが重要です。
命令を正しく伝えるため、心臓の細胞はチャンネルというトンネルを使って
ナトリウムやカリウムなどのイオンを出し入れします

「QT延長症候群」の患者さんでは、
このチャンネルが正常に働かなくなり、命令が正しく伝えられなくなります。
脈の乱れが起きやすくなるのはこのためです。
チャンネルに異常が起こる原因はチャンネルを作る際に使った設計図の誤り、すなわち遺伝子の異常です。
現在では4種類のチャンネルに遺伝子の異常が見つかっています。
これら遺伝子の異常は遺伝子診断で診断することができます。
しかし、この4種類のチャンネルの遺伝子に異常が見つからない患者さんも多く、
他の種類のチャンネルにも異常があるのではないかと考えられます。

もう1つは心臓に命令をする神経の異常です。
この神経は交感神経と呼ばれ背骨の横に左右1本ずつあります。
交感神経の役割は心臓に脈を打つように命令することです。
正常では左右の交感神経から心臓へ送られる命令はバランスが保たれています。
「QT延長症候群」の患者さんでは、左側の交感神経の働きが右側より勝っておりバランスが崩れています。
しかし、なぜこのような交感神経のアンバランスが起こるかはわかっていません。




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コメント
お友達の息子さんが1ヶ月前、川崎病と診断されました。放射能のせいかねと話していたばかりだったので、このデータに驚きました。やっぱりそうかと裏づけがとれた思いです。
1986年の流行の際は、従兄弟が川崎病になりました。

潜在的患者さんを考えると、かなり多いのではないでしょうか。

お子さんをお持ちの方に、こんな病気があるということを知ってもらう必要がありますね。
j | 2013.01.12 06:05 | 編集
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| 2013.01.12 21:51 | 編集
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