「もしもあなたの町が放射能汚染されたなら 千葉県柏市の場合」
2013年2月1日
福島県からすると千葉県は、
一つ南が茨城県で、その茨城県の南の件だからずいぶん離れているんです。
平野:
離れていますよね、どちらかというと東京都に近いですよね。
しかし原発事故直後からいろいろとこのあたりは…放射能雲が流れたという話がありましたけれども、
なかなかその実態というのは僕らはね、継続的に知らない状況ですよね。
上田:今日はこのテーマで前半後半含めてお送りします。
ーーー
03:59~
水野:
柏という町はどういう位置にありますかと言いますと、
福島第一原発から離れること200kmです。
200kmも離れているんですが、先程平野さんがおっしゃったように、
ホットスポットと呼ばれている地域なんですね。
東京から電車で行ったら40分ぐらいですか、3~40分というところ。
ものすごく人が多いベッドタウンなんですね。
上田:東京に通勤で通いやすい場所ですよね。
水野:
いろんな線も乗り入れていて、本当に多くの人達が行きかっている大きな町なんです。
ただ、そこのところの放射能汚染、
最新の数字で言いますと、柏市役所が測定しているものですけれども、
おとといで、0.461マイクロシーベルト/hという数字が出ています。
これ、どういうふうに読みとったらいいか?ですけれども、
たとえば大阪、このあたりではね、普通のところで見ると、大体0.01とか、0,02とか、
桁がですね、0.0いくつというのが大体普通なんですよ、こっちの西日本だと。
その事を考えますと、現在でも、もともとも値の、
柏で10倍から20倍ぐらいの値が出ていると考えるのが妥当かと思います。
「200kmも離れているのにか!?」と思うのですけれど、
日本の200kmってどんな感じになっているのかな・って、大阪で考えてみたんですよ。
今稼働しております大飯原発を中心に200kmの半径を地図で見てみますと、
平野さん、ここに地図がありますから見て下さい。
そうしますとですね、西は岡山県倉敷市が200km地点ですわ。
上田:えーっ!西がですか
平野:高松がちょうどかかるところですね。
水野:
そうか、四国で言うと高松までかかりますね。
だから淡路島はすっぽり入ります。
平野:入りますね。
水野:東でいうと、長野県飯田市が200km。あんなところまで200kmなんですね。
上田:岐阜県も当然入っている訳ですね。
水野:
そうです、岐阜県も入りますね。
京都府、滋賀県はもちろんのこと、奈良県、三重県も入り、岐阜県も入り、
だから名古屋も入るんですよ。
上田:えーーっ!!
水野:
で、大阪市内というのはまだ、100kmという、というようなところですから、
もちろんのこと大阪府内全部入ってしまう。
ま、この番組をお聞きのみなさんは、「誰の町にも起こり得る事だ」という意味合いがあるわけですね。
そんな思いで今日聞いていただけたらと思うんです。
その柏市で先日原発被害に関する講演会がありました。
で、普通とは違ってですね、原子量を利用するという事に対して、
反対する側と、いや推進しようという側、両方の側がゲストになって話をするという、
これは非常に珍しい。
なかなか実現しない事を市民団体が一生懸命になって主催して実現したという、
非常に価値のある、私は画期的なイベントだったかと思います。
それを柏市で「健康被害についてどう考えるべきなのか?」という事を論点に
賛否それぞれの立場から話を聞く試みに、
市民文化会館という、大きな会館の大ホールでしたけれども、
ものすごい行列が1時間前からもう出来ているんですね。
上田:みなさんやっぱり関心が高いんですね。
水野:びっくりしました。
先ずその公演の模様を今日の番組前半は聞いていただこうと思います。
先ずですね、「柏市の状況をどう見るか?」というテーマについて、お二人の意見を聞いていただきます。
先ずは原子力を利用する立場で研究を進めてこられました、
独立行政法人日本原子力研究開発機構の小林泰彦さんの声です。
小林:
柏市の市のホームページに出ている数字などいろいろ見て考えたんですけれども、
いま私自身が、皆さんに「こうしたらいいですよ」っていうつもりで言ってもしょうがないので、
自分だったらどうするか?という事で考えると、
私だったら、もう全然気になりません。小さい子もそれでいいと思う。
もし、自分の家族がいてもそれは気にならない。
それは学問上の確信があります。
被ばく線量の測定と公開ということ、
これは今非常に市もやられているし、詳しい情報が出ている。
ただしこれから気を付けるべきことは、「どこが何ベクレル汚れている」っていうことよりも、
そうではなくて、「今住んでいる人がどれ位のシーベルトで放射線を受けているのか」ということ、
これを基準にし一人一人考えるのがいいかと思いますね。
公共施設などは非常に低くなっていますから、全く問題ないだろうと思います。
それから、通学路などで、もしところどころマイクロスポットと呼ばれているような所があったとしても、
そこをまたぎ越す時間、時間にすれば非常に短いので、
それから受ける線量というのは微々たるもの。
それよりも長い時間を過ごす子どもさんの寝室の窓のサンとか、屋根のトイであるとか、
そういう所の掃除の徹底でもう少し下げる事が出来れば、多分そっちの方が有効なのかな?
という気がしています。
水野:
今の小林さんの主張は
この柏市の現状で、小さな子どもさんが暮らし続けても問題ではないんだというお話ですね。
それは100ミリシーベルトという一つの数字を出されているんですけれども、
100ミリシーベルト以上になればですね、
これは甲状腺がんになるリスクが高まるというふうに科学的な証明がなされているんだけれども、
100ミリシーベルト以下ではそこのところはまだ分からない領域であるんだということですね。
ですから「科学的に考えていけばですね、今の柏市の状況でも気にすることはない」
という主張をしていらっしゃる訳です。
上田:「分からないところは大丈夫」という判断でいいんですかね?
水野:「大丈夫かどうかという事を言えない」という事ですね。
上田:あー、はいはい。
水野:
大丈夫かどうかを今、言えない状況であると。
だからもっと研究が進まないと、「そこは言えない」んだと。
だからそこは政策的な考え方で「どう判断するか」であると。
「科学的な問題としてはそこは論じることがこれ以上は出来ない」というお立場ですね。
で、この方は放射線生物学、
放射線が生物にあたった時に何が起こるか?というのを研究して、
ま、放射線の利用についての研究を進めてきている方なんですけれども、
今回は「自分の家族がここに住んだらどうするか」という立場で私は話をしますという事での主張でした。
じゃあ、今度はですね、京都大学原子炉研究所助教の小出裕章さんの声を聞いて下さい。
小出:
この柏を含めて広い地域が1平方mあたり4万ベクレルを超えて汚れています。
そういう所に私は「普通の人が住むという事自体に反対」です。
出来る事ならばみなさん逃げて欲しいと思いますし、
本当であればその法律を作った日本国政府が責任を持って、皆さんをコミュニティーごと、
どこかできちっと生活できるようにするということが私は必要だと思っています。
いま大地を汚している主犯人はセシウム134と137という放射性物質ですが、
1平方mあたり4万ベクレルのところにいれば、1年間で1ミリシーベルトになると思います。
避けることができません。
それだけでももう、ようするに法律が決めている限度を超えて被ばくをしてしまうという事になる訳です。
そして今、小林さんが言って下さったように、
そうではなくて局所的に汚染しているところもあちこちにあります。
そういう所をきちっと調べて、子ども達が接するような場所からはそういう汚染を除くという作業を、
これからもずっと続けなければいけませんけれども
環境中で放射性物質は移動していますので、
ある場所を綺麗にしたと思ってもまたそこがしばらくしたら汚れてくるという可能性もありますので、
これから長い期間にわたってそういう作業を続けていって、
出来る限り子どもを被ばくから守るというような事をしていっていただきたいと思っています。
水野:
はい。
小出さんの主張は
「100ミリシーベルト以下の低い線量の被曝にも健康への危険は存在するんだ」という主張ですね。
で、小出さんは
「放射性物質はゼロでない限り、1でも2でも、あればそれだけの危険度はあるんだ」という考え方な訳です。
こうした小出さんと、先程紹介した小林さん、
100ミリシーベルト以下では健康的な危険があるという事は、疫学的なデータでは証明されていないという、
このお二人がですね、論戦を繰り広げる場面がありますので、
そこを次は聞いていただこうと思うんです。
ただですね、その中に出てくる言葉で「疫学」という言葉が出てくるんですね。
で、これって、言葉の意味そのもので言うと、
「人間の集団を対象に統計を取って、その原因は何なのかという事を探る方法論」な訳ですけれども、
この疫学というものの限界という事についてのお二人の見解が出てきます。
で、はっきりいうて、専門用語が出てくるので、
わたしは「なんのこっちゃわからへん」というふうになりました。
みなさんもそうお感じになるかもしれません。
ただ、「専門家同士が議論するとこうなる」という場面でね、
まぁ、本当になかなか聞く機会がないんですよね。
住民にしたら、「私らはここにいて大丈夫なのかどうなのか」を聞きたいのですけれども、
「専門家同士が科学的な見地から攻めて話をしていくっていうとこうなる」っていうのをですね、
ぜひ聞いていただきたいと思います。
4分ちょっとございますけれども、滅多にない議論だと思いますので、お聴きください。
ーー
お二人のご意見にはかなり差があるように思うんですけれども、
それに関しましてご意見がありましたら小林さん、いかがでしょうか?
小林:
まぁ、ご意見っていう事ではないんですけれども、
小出さんがお示しになった資料には科学的な間違いが多々ありますしね。
まぁでも、「細かいこと」だと思われるかもしれない。
専門的には私は非常に気になります。
たとえば、ICRPがハムに値切ったという表現は、あれはおかしいですね。
DDREFのことをおっしゃっているんだと思います。
瞬時の被ばくに対して、緩慢な被ばくは2分の1から10分の1ぐらいの影響になるだろうという事は、
さまざまな科学的実験事実です。
そのなかで、一番用心深いところを取って2分の1をとるとか、
DDREFの値をとるというのが国際的な合意だというふうに思っています。
小出:
えー、いいですか?
えーっと学問的な誤りと言われてしまうと私としても言わなきゃいけないのですが、
DDREFという係数がありまして、
低線量で低線量率で被爆をした時には、
高線量、高線量率で被爆をした時の危険度よりもどれだけ少ないかというような事を表す係数です。
それをICRPは「2」という係数を使っていまして、
高線量の時よりも低線量は2分の1になるというような係数を使っているのです。
そして、今それは慎重な過程だとおっしゃったけれども、
先程聞いていただいた、ベイグという米国の委員会では1.5です。
確か小林さんの資料にもあったと思います。
むしろベイグの方がずっと厳しく見ているわけですし、
私は先ほど原爆被爆者たちの実際の疫学データ、人間の物を見ていただきましたけれども、
人間の疫学データはむしろ低線量の方が危険度が大きいということも示しているのです。
ですから簡単にDDREFという係数を使って、低線量のリスクを値切るということは、
私は正しくないと思っています。
小林:
それは値切っているんではなくて、
えーっとじゃあ、先程今おっしゃった原爆被爆者データのところでお聞きしたいと思いますけれども、
低線量ほど1シーベルトあたりの過剰相対リスクが大きくなる。
この時のコントロールは何ですか?
小出:
これは原爆という非常に特殊な集団を取っているのであって、
コントロールがどこまで正しいかというのは、それこそまた議論が起きてしまう、ということなんですね。
小林:
そのとおり。
だから、コントロールの取り方によって、逆に線量が低くなるほど
シーベルトあたりの過剰相対リスクが低くなるという結果も導ける。
つまり、どうにでも出せるという意味で、
本当に何が起きているのかという議論をするにはあまりふさわしくないと。
小出:
ですから、疫学というものは今小林さんがおっしゃってくれたけれど、統計学に基づいているわけだし、
どれだけの候補を集めるかという事で違ってしまう訳で、大変難しい学問だと思いますけれども、
やり方によっていろんな結論が出てきてしまうという、まだそういう段階にある訳ですね。
小林:それで私だったらこういう特定の見方だけを出すような扱い方はしないで、
小出:もちろんだからいろんな
小林:
医学データは結論が出せない状態である、
まぁ、ハッキリ言えばゼロから100ミリシーベルトの間は言いたい放題ですね。
何を言ってもいい領域になっている、
しかもゼロと言っても、場所によって人によって違うわけで、
そこでこれ以上本当の事を知りたいと思ったらやはり、
メカニズムの研究で一つずつ解明していくしかないのかなぁと考えて、
そういうふうに今大勢の人が努力していますよという話を今日させていただきました。
小出:そうですね、ですから疫学だけでは証明できないという
小林:そうです
小出:
範囲が必ずある訳で、そこでは実験もしなければいけないし、
モデルもつくらなければいけないという事になっている訳です。
ただしそれを全部踏まえた上でデイルにしてもICRPにしても、
低線量でも危険は直線的に存在し続けると考えるのが、科学的に妥当だと言っている。
小林:
そうですよね、それは全てのリスクについてそうですよね。、
絶対に安全という事は誰にも証明できない訳です。
小出:そうですね。
小林:
リスクはある。ただしその大きさをどうやって定量的に調べようか、
把握しようかという所が努力すべきところだと思います。
小出:そうですね。
ーー
水野:さぁ、いかがでしたか?
上田:
随分と専門的な言葉も多かったですし、
なーんかやっぱり、どんどん、どんどん言葉が難しくなっていく気がするんですよね。
水野:
住民の思いと科学者同士の議論というのは
やっぱりこういう溝がどうしても出来やすいのかなと思いますね。
平野:
私も大変興味深かったですね、
一つ言える事は「リスクに対してどういうスタンスを取るのか?」という
水野:
そこですね。
つまり低い線量の被曝のリスクをどう考えるか?というところには非常に幅がある。
読みとりをどうとるか?っていうところですね。
小出先生は「やはりリスクがあると考えるべきだ」とお考えだし、
「あるかどうか分からないじゃないですか」っていうのが小林さんのお考えという事になる。
平野:そうですねぇ
水野:
その時に、じゃあそこに住んでいる人間はですよ、
小さい子どもも住んでいるんです。
「どうしたらいいのか」って、本当に悩みが深まるわけですけど、
私がビックリしましたのはこの議論を聞いてもですね、会場のみなさんがね
「うん、うん」とか、「いや、いや」とかね、首を振ってたりしてね、
分かって聞いていらっしゃる方が非常に多い。
という事は「この2年本当に苦しんで、勉強し続けてこられた方達が多いんだな」
というのを、その会場では感じました。
さぁ、結局この柏市で、住民はどうしたらいいの?
そこのところをお二人がお話になっております。
次は、まずは小林さん、そして小出さんと聞いていただきましょう。
ーー
小出:
子どもを中心としてこの地域から逃げる事が正いと私は思います。
ただし、さっきもそれも聞いていただいたけれども、
逃げるという事その事自身が猛烈な苦難を伴ってしまうので、容易なことではありません。
それで今、いま現在人々がこの地域で生きているわけだし、
子どもたちも生きている訳です。
私は何度も言いましたけれども、「子どもだけはとにかく被ばくから守りたい」と言っているわけで、
子どもが集中的に時を過ごす場所、学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、
地域の公園であるとか、あるいは人々が住んでいる、ま、ご自宅でもいいけれども、
子どもたちが泥んこになって遊ぶような場所の土はまずは剥いで欲しいと思っています。
ただ剥いだところで放射性物質が無くなるわけではありませんので、
それを今度はどこにどうするか?という困難な課題がまた持ちあがってくるという。
でもやって欲しいと私は願っていますし、
それから内部被ばくを避けるためには、学校給食であるとか、
子どもがとにかく食べるものに関しては注意をして、
行政ももちろん一緒になって、子どもたちに放射能汚染の極力少ないものを回すという、
そういう対策をとって欲しいと思います。
小林:
私は少し違いますね、
基本的には良いんですけれども、放射線のリスクの事だけを考えるとそうかもしれないけど、
残念ながら、現実にはもっといろいろ、普段見えていないリスクがあって、
そちらの大きいリスクを忘れてっ目の前の小さな放射線の事だけにとらわれると。
その「えーっ」とおっしゃった方はね、大きい小さいを比べる物差しが、違うんですね。
それは科学的なデータで比べないと、感覚で言っていてもしょうがないと思います。
ま、専門家はそういう事のために助言をするために役割があるんだろうと思います。
たとえば、もし自分が住んでいたとしたら、
給食だったら、今の流通しているものの放射性物質の内部被ばくのリスクよりも、
圧倒的に食中毒の事を気を付けてほしい。
小さいお子さんを持っているお母さんはそうじゃないですか?
あるいは市のお金があれば、通学路で大きな車がビュンビュン通るところを
ひょっとしたら引っ掛けられそうになりながら行く。
私が伝えたかった事はこの場でどうしたらいいのかという事で、
「汚されてしまってけしからん」と腹立つというのは当たり前ですよね。
完全に元通りにして欲しいという気持ちは当たり前です。自分だってそう思います。
でもそれが無理な場合に、じゃあどうするのか?っていう時に、
一番自分と子どもにとってベストな方法をさがす。
で、どれがベストなのか?
比べても分かりにくいところをはかるための知恵が科学なんだろうと、
そういう事になると思います。
ーー
水野:
お二人を紹介する順序を私が最初間違えました、大変申し訳ないです。
最初に発言なさったのが小出さんです。
小出さんの主張はこの柏市などの広い範囲で
「子どもたちはここに住むべきではない」と、「逃げて欲しい」とおっしゃいました。
でも、逃げるという事には、いろんな意味でのしんどさがありますね、
経済的にも、そして家庭がバラバラになる場合もありますし、
上田:仕事もね、しなきゃいけないですしね。
水野:
そうですね、ええ。
そうした家族が一緒にいられるかどうかというようないろんな精神面もあるので、
「逃げない」というのであれば、どうやって子どもに安全な、より安全な食べ物を食べてもらうか、
「行政もいろいろと工夫をするべきだ」と。
あるいは除染も子どもたちがいるところを中心に
「やり続けなければいけない」というお考えです。
上田:続けなきゃいけないんですね。
水野:ええ。
一回やってもまた元に戻ってしまうものだから、
ながーーーい間「やり続けなければいけない」というお考えで、
そして次にご発言なさったのが小林さんです。
小林さんの考え方は、「子どもの安全」という事でいけば、
確立から言って、「目の前の小さなリスク」とおっしゃる、その放射能のリスクよりも、
食べ物だったら、たとえば「食中毒に気を付ける」。
あるいは子どもがいつも通る道の「交通事故に気を付ける」と、
そういう考え方が必要ですよというふうにおっしゃったわけです。
上田:はい、なんか…
水野:大分違いますね。
上田:別の話をもってこられているような気持になってしまうんですけれどもね。
水野:うん、リスクの話ですよね。
上田:そうですよね。
水野:
会場からはですね、この後、小林さんの考え方に対しては、
じゃあ、「リスクっていうのは食中毒や交通事故のリスクはどこの地域にもあるわけだから、
その上に放射能のリスクをわれわれがかぶらなければいけないんですか」と、
「リスクが上乗せされるという事にはなりませんか?」
というご意見も確かに出ていました。
ま、こんなふうにですね、一つの現象を全く違う捉え方をするお二人の講演会。
この後、この講演会を主催なさった柏市の住民の方と繋いでお話を実際に聞こうと思います。
ーーつづく
<後半・柳沢さん>
「本当に見えないのが罪です」千葉県柏市の場合~報道するラジオ2/1(内容書き出し)
<対談>小林 泰彦VS小出裕章1/19千葉県柏市「東葛から問う」・千葉の汚染(内容書き出し)
2013年2月1日
福島県からすると千葉県は、
一つ南が茨城県で、その茨城県の南の件だからずいぶん離れているんです。
平野:
離れていますよね、どちらかというと東京都に近いですよね。
しかし原発事故直後からいろいろとこのあたりは…放射能雲が流れたという話がありましたけれども、
なかなかその実態というのは僕らはね、継続的に知らない状況ですよね。
上田:今日はこのテーマで前半後半含めてお送りします。
ーーー
03:59~
水野:
柏という町はどういう位置にありますかと言いますと、
福島第一原発から離れること200kmです。
200kmも離れているんですが、先程平野さんがおっしゃったように、
ホットスポットと呼ばれている地域なんですね。
東京から電車で行ったら40分ぐらいですか、3~40分というところ。
ものすごく人が多いベッドタウンなんですね。
上田:東京に通勤で通いやすい場所ですよね。
水野:
いろんな線も乗り入れていて、本当に多くの人達が行きかっている大きな町なんです。
ただ、そこのところの放射能汚染、
最新の数字で言いますと、柏市役所が測定しているものですけれども、
おとといで、0.461マイクロシーベルト/hという数字が出ています。
これ、どういうふうに読みとったらいいか?ですけれども、
たとえば大阪、このあたりではね、普通のところで見ると、大体0.01とか、0,02とか、
桁がですね、0.0いくつというのが大体普通なんですよ、こっちの西日本だと。
その事を考えますと、現在でも、もともとも値の、
柏で10倍から20倍ぐらいの値が出ていると考えるのが妥当かと思います。
「200kmも離れているのにか!?」と思うのですけれど、
日本の200kmってどんな感じになっているのかな・って、大阪で考えてみたんですよ。
今稼働しております大飯原発を中心に200kmの半径を地図で見てみますと、
平野さん、ここに地図がありますから見て下さい。
そうしますとですね、西は岡山県倉敷市が200km地点ですわ。
上田:えーっ!西がですか
平野:高松がちょうどかかるところですね。
水野:
そうか、四国で言うと高松までかかりますね。
だから淡路島はすっぽり入ります。
平野:入りますね。
水野:東でいうと、長野県飯田市が200km。あんなところまで200kmなんですね。
上田:岐阜県も当然入っている訳ですね。
水野:
そうです、岐阜県も入りますね。
京都府、滋賀県はもちろんのこと、奈良県、三重県も入り、岐阜県も入り、
だから名古屋も入るんですよ。
上田:えーーっ!!
水野:
で、大阪市内というのはまだ、100kmという、というようなところですから、
もちろんのこと大阪府内全部入ってしまう。
ま、この番組をお聞きのみなさんは、「誰の町にも起こり得る事だ」という意味合いがあるわけですね。
そんな思いで今日聞いていただけたらと思うんです。
その柏市で先日原発被害に関する講演会がありました。
で、普通とは違ってですね、原子量を利用するという事に対して、
反対する側と、いや推進しようという側、両方の側がゲストになって話をするという、
これは非常に珍しい。
なかなか実現しない事を市民団体が一生懸命になって主催して実現したという、
非常に価値のある、私は画期的なイベントだったかと思います。
それを柏市で「健康被害についてどう考えるべきなのか?」という事を論点に
賛否それぞれの立場から話を聞く試みに、
市民文化会館という、大きな会館の大ホールでしたけれども、
ものすごい行列が1時間前からもう出来ているんですね。
上田:みなさんやっぱり関心が高いんですね。
水野:びっくりしました。
先ずその公演の模様を今日の番組前半は聞いていただこうと思います。
先ずですね、「柏市の状況をどう見るか?」というテーマについて、お二人の意見を聞いていただきます。
先ずは原子力を利用する立場で研究を進めてこられました、
独立行政法人日本原子力研究開発機構の小林泰彦さんの声です。
小林:
柏市の市のホームページに出ている数字などいろいろ見て考えたんですけれども、
いま私自身が、皆さんに「こうしたらいいですよ」っていうつもりで言ってもしょうがないので、
自分だったらどうするか?という事で考えると、
私だったら、もう全然気になりません。小さい子もそれでいいと思う。
もし、自分の家族がいてもそれは気にならない。
それは学問上の確信があります。
被ばく線量の測定と公開ということ、
これは今非常に市もやられているし、詳しい情報が出ている。
ただしこれから気を付けるべきことは、「どこが何ベクレル汚れている」っていうことよりも、
そうではなくて、「今住んでいる人がどれ位のシーベルトで放射線を受けているのか」ということ、
これを基準にし一人一人考えるのがいいかと思いますね。
公共施設などは非常に低くなっていますから、全く問題ないだろうと思います。
それから、通学路などで、もしところどころマイクロスポットと呼ばれているような所があったとしても、
そこをまたぎ越す時間、時間にすれば非常に短いので、
それから受ける線量というのは微々たるもの。
それよりも長い時間を過ごす子どもさんの寝室の窓のサンとか、屋根のトイであるとか、
そういう所の掃除の徹底でもう少し下げる事が出来れば、多分そっちの方が有効なのかな?
という気がしています。
水野:
今の小林さんの主張は
この柏市の現状で、小さな子どもさんが暮らし続けても問題ではないんだというお話ですね。
それは100ミリシーベルトという一つの数字を出されているんですけれども、
100ミリシーベルト以上になればですね、
これは甲状腺がんになるリスクが高まるというふうに科学的な証明がなされているんだけれども、
100ミリシーベルト以下ではそこのところはまだ分からない領域であるんだということですね。
ですから「科学的に考えていけばですね、今の柏市の状況でも気にすることはない」
という主張をしていらっしゃる訳です。
上田:「分からないところは大丈夫」という判断でいいんですかね?
水野:「大丈夫かどうかという事を言えない」という事ですね。
上田:あー、はいはい。
水野:
大丈夫かどうかを今、言えない状況であると。
だからもっと研究が進まないと、「そこは言えない」んだと。
だからそこは政策的な考え方で「どう判断するか」であると。
「科学的な問題としてはそこは論じることがこれ以上は出来ない」というお立場ですね。
で、この方は放射線生物学、
放射線が生物にあたった時に何が起こるか?というのを研究して、
ま、放射線の利用についての研究を進めてきている方なんですけれども、
今回は「自分の家族がここに住んだらどうするか」という立場で私は話をしますという事での主張でした。
じゃあ、今度はですね、京都大学原子炉研究所助教の小出裕章さんの声を聞いて下さい。
小出:
この柏を含めて広い地域が1平方mあたり4万ベクレルを超えて汚れています。
そういう所に私は「普通の人が住むという事自体に反対」です。
出来る事ならばみなさん逃げて欲しいと思いますし、
本当であればその法律を作った日本国政府が責任を持って、皆さんをコミュニティーごと、
どこかできちっと生活できるようにするということが私は必要だと思っています。
いま大地を汚している主犯人はセシウム134と137という放射性物質ですが、
1平方mあたり4万ベクレルのところにいれば、1年間で1ミリシーベルトになると思います。
避けることができません。
それだけでももう、ようするに法律が決めている限度を超えて被ばくをしてしまうという事になる訳です。
そして今、小林さんが言って下さったように、
そうではなくて局所的に汚染しているところもあちこちにあります。
そういう所をきちっと調べて、子ども達が接するような場所からはそういう汚染を除くという作業を、
これからもずっと続けなければいけませんけれども
環境中で放射性物質は移動していますので、
ある場所を綺麗にしたと思ってもまたそこがしばらくしたら汚れてくるという可能性もありますので、
これから長い期間にわたってそういう作業を続けていって、
出来る限り子どもを被ばくから守るというような事をしていっていただきたいと思っています。
水野:
はい。
小出さんの主張は
「100ミリシーベルト以下の低い線量の被曝にも健康への危険は存在するんだ」という主張ですね。
で、小出さんは
「放射性物質はゼロでない限り、1でも2でも、あればそれだけの危険度はあるんだ」という考え方な訳です。
こうした小出さんと、先程紹介した小林さん、
100ミリシーベルト以下では健康的な危険があるという事は、疫学的なデータでは証明されていないという、
このお二人がですね、論戦を繰り広げる場面がありますので、
そこを次は聞いていただこうと思うんです。
ただですね、その中に出てくる言葉で「疫学」という言葉が出てくるんですね。
で、これって、言葉の意味そのもので言うと、
「人間の集団を対象に統計を取って、その原因は何なのかという事を探る方法論」な訳ですけれども、
この疫学というものの限界という事についてのお二人の見解が出てきます。
で、はっきりいうて、専門用語が出てくるので、
わたしは「なんのこっちゃわからへん」というふうになりました。
みなさんもそうお感じになるかもしれません。
ただ、「専門家同士が議論するとこうなる」という場面でね、
まぁ、本当になかなか聞く機会がないんですよね。
住民にしたら、「私らはここにいて大丈夫なのかどうなのか」を聞きたいのですけれども、
「専門家同士が科学的な見地から攻めて話をしていくっていうとこうなる」っていうのをですね、
ぜひ聞いていただきたいと思います。
4分ちょっとございますけれども、滅多にない議論だと思いますので、お聴きください。
ーー
お二人のご意見にはかなり差があるように思うんですけれども、
それに関しましてご意見がありましたら小林さん、いかがでしょうか?
小林:
まぁ、ご意見っていう事ではないんですけれども、
小出さんがお示しになった資料には科学的な間違いが多々ありますしね。
まぁでも、「細かいこと」だと思われるかもしれない。
専門的には私は非常に気になります。
たとえば、ICRPがハムに値切ったという表現は、あれはおかしいですね。
DDREFのことをおっしゃっているんだと思います。
瞬時の被ばくに対して、緩慢な被ばくは2分の1から10分の1ぐらいの影響になるだろうという事は、
さまざまな科学的実験事実です。
そのなかで、一番用心深いところを取って2分の1をとるとか、
DDREFの値をとるというのが国際的な合意だというふうに思っています。
小出:
えー、いいですか?
えーっと学問的な誤りと言われてしまうと私としても言わなきゃいけないのですが、
DDREFという係数がありまして、
低線量で低線量率で被爆をした時には、
高線量、高線量率で被爆をした時の危険度よりもどれだけ少ないかというような事を表す係数です。
それをICRPは「2」という係数を使っていまして、
高線量の時よりも低線量は2分の1になるというような係数を使っているのです。
そして、今それは慎重な過程だとおっしゃったけれども、
先程聞いていただいた、ベイグという米国の委員会では1.5です。
確か小林さんの資料にもあったと思います。
むしろベイグの方がずっと厳しく見ているわけですし、
私は先ほど原爆被爆者たちの実際の疫学データ、人間の物を見ていただきましたけれども、
人間の疫学データはむしろ低線量の方が危険度が大きいということも示しているのです。
ですから簡単にDDREFという係数を使って、低線量のリスクを値切るということは、
私は正しくないと思っています。
小林:
それは値切っているんではなくて、
えーっとじゃあ、先程今おっしゃった原爆被爆者データのところでお聞きしたいと思いますけれども、
低線量ほど1シーベルトあたりの過剰相対リスクが大きくなる。
この時のコントロールは何ですか?
小出:
これは原爆という非常に特殊な集団を取っているのであって、
コントロールがどこまで正しいかというのは、それこそまた議論が起きてしまう、ということなんですね。
小林:
そのとおり。
だから、コントロールの取り方によって、逆に線量が低くなるほど
シーベルトあたりの過剰相対リスクが低くなるという結果も導ける。
つまり、どうにでも出せるという意味で、
本当に何が起きているのかという議論をするにはあまりふさわしくないと。
小出:
ですから、疫学というものは今小林さんがおっしゃってくれたけれど、統計学に基づいているわけだし、
どれだけの候補を集めるかという事で違ってしまう訳で、大変難しい学問だと思いますけれども、
やり方によっていろんな結論が出てきてしまうという、まだそういう段階にある訳ですね。
小林:それで私だったらこういう特定の見方だけを出すような扱い方はしないで、
小出:もちろんだからいろんな
小林:
医学データは結論が出せない状態である、
まぁ、ハッキリ言えばゼロから100ミリシーベルトの間は言いたい放題ですね。
何を言ってもいい領域になっている、
しかもゼロと言っても、場所によって人によって違うわけで、
そこでこれ以上本当の事を知りたいと思ったらやはり、
メカニズムの研究で一つずつ解明していくしかないのかなぁと考えて、
そういうふうに今大勢の人が努力していますよという話を今日させていただきました。
小出:そうですね、ですから疫学だけでは証明できないという
小林:そうです
小出:
範囲が必ずある訳で、そこでは実験もしなければいけないし、
モデルもつくらなければいけないという事になっている訳です。
ただしそれを全部踏まえた上でデイルにしてもICRPにしても、
低線量でも危険は直線的に存在し続けると考えるのが、科学的に妥当だと言っている。
小林:
そうですよね、それは全てのリスクについてそうですよね。、
絶対に安全という事は誰にも証明できない訳です。
小出:そうですね。
小林:
リスクはある。ただしその大きさをどうやって定量的に調べようか、
把握しようかという所が努力すべきところだと思います。
小出:そうですね。
ーー
水野:さぁ、いかがでしたか?
上田:
随分と専門的な言葉も多かったですし、
なーんかやっぱり、どんどん、どんどん言葉が難しくなっていく気がするんですよね。
水野:
住民の思いと科学者同士の議論というのは
やっぱりこういう溝がどうしても出来やすいのかなと思いますね。
平野:
私も大変興味深かったですね、
一つ言える事は「リスクに対してどういうスタンスを取るのか?」という
水野:
そこですね。
つまり低い線量の被曝のリスクをどう考えるか?というところには非常に幅がある。
読みとりをどうとるか?っていうところですね。
小出先生は「やはりリスクがあると考えるべきだ」とお考えだし、
「あるかどうか分からないじゃないですか」っていうのが小林さんのお考えという事になる。
平野:そうですねぇ
水野:
その時に、じゃあそこに住んでいる人間はですよ、
小さい子どもも住んでいるんです。
「どうしたらいいのか」って、本当に悩みが深まるわけですけど、
私がビックリしましたのはこの議論を聞いてもですね、会場のみなさんがね
「うん、うん」とか、「いや、いや」とかね、首を振ってたりしてね、
分かって聞いていらっしゃる方が非常に多い。
という事は「この2年本当に苦しんで、勉強し続けてこられた方達が多いんだな」
というのを、その会場では感じました。
さぁ、結局この柏市で、住民はどうしたらいいの?
そこのところをお二人がお話になっております。
次は、まずは小林さん、そして小出さんと聞いていただきましょう。
ーー
小出:
子どもを中心としてこの地域から逃げる事が正いと私は思います。
ただし、さっきもそれも聞いていただいたけれども、
逃げるという事その事自身が猛烈な苦難を伴ってしまうので、容易なことではありません。
それで今、いま現在人々がこの地域で生きているわけだし、
子どもたちも生きている訳です。
私は何度も言いましたけれども、「子どもだけはとにかく被ばくから守りたい」と言っているわけで、
子どもが集中的に時を過ごす場所、学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、
地域の公園であるとか、あるいは人々が住んでいる、ま、ご自宅でもいいけれども、
子どもたちが泥んこになって遊ぶような場所の土はまずは剥いで欲しいと思っています。
ただ剥いだところで放射性物質が無くなるわけではありませんので、
それを今度はどこにどうするか?という困難な課題がまた持ちあがってくるという。
でもやって欲しいと私は願っていますし、
それから内部被ばくを避けるためには、学校給食であるとか、
子どもがとにかく食べるものに関しては注意をして、
行政ももちろん一緒になって、子どもたちに放射能汚染の極力少ないものを回すという、
そういう対策をとって欲しいと思います。
小林:
私は少し違いますね、
基本的には良いんですけれども、放射線のリスクの事だけを考えるとそうかもしれないけど、
残念ながら、現実にはもっといろいろ、普段見えていないリスクがあって、
そちらの大きいリスクを忘れてっ目の前の小さな放射線の事だけにとらわれると。
その「えーっ」とおっしゃった方はね、大きい小さいを比べる物差しが、違うんですね。
それは科学的なデータで比べないと、感覚で言っていてもしょうがないと思います。
ま、専門家はそういう事のために助言をするために役割があるんだろうと思います。
たとえば、もし自分が住んでいたとしたら、
給食だったら、今の流通しているものの放射性物質の内部被ばくのリスクよりも、
圧倒的に食中毒の事を気を付けてほしい。
小さいお子さんを持っているお母さんはそうじゃないですか?
あるいは市のお金があれば、通学路で大きな車がビュンビュン通るところを
ひょっとしたら引っ掛けられそうになりながら行く。
私が伝えたかった事はこの場でどうしたらいいのかという事で、
「汚されてしまってけしからん」と腹立つというのは当たり前ですよね。
完全に元通りにして欲しいという気持ちは当たり前です。自分だってそう思います。
でもそれが無理な場合に、じゃあどうするのか?っていう時に、
一番自分と子どもにとってベストな方法をさがす。
で、どれがベストなのか?
比べても分かりにくいところをはかるための知恵が科学なんだろうと、
そういう事になると思います。
ーー
水野:
お二人を紹介する順序を私が最初間違えました、大変申し訳ないです。
最初に発言なさったのが小出さんです。
小出さんの主張はこの柏市などの広い範囲で
「子どもたちはここに住むべきではない」と、「逃げて欲しい」とおっしゃいました。
でも、逃げるという事には、いろんな意味でのしんどさがありますね、
経済的にも、そして家庭がバラバラになる場合もありますし、
上田:仕事もね、しなきゃいけないですしね。
水野:
そうですね、ええ。
そうした家族が一緒にいられるかどうかというようないろんな精神面もあるので、
「逃げない」というのであれば、どうやって子どもに安全な、より安全な食べ物を食べてもらうか、
「行政もいろいろと工夫をするべきだ」と。
あるいは除染も子どもたちがいるところを中心に
「やり続けなければいけない」というお考えです。
上田:続けなきゃいけないんですね。
水野:ええ。
一回やってもまた元に戻ってしまうものだから、
ながーーーい間「やり続けなければいけない」というお考えで、
そして次にご発言なさったのが小林さんです。
小林さんの考え方は、「子どもの安全」という事でいけば、
確立から言って、「目の前の小さなリスク」とおっしゃる、その放射能のリスクよりも、
食べ物だったら、たとえば「食中毒に気を付ける」。
あるいは子どもがいつも通る道の「交通事故に気を付ける」と、
そういう考え方が必要ですよというふうにおっしゃったわけです。
上田:はい、なんか…
水野:大分違いますね。
上田:別の話をもってこられているような気持になってしまうんですけれどもね。
水野:うん、リスクの話ですよね。
上田:そうですよね。
水野:
会場からはですね、この後、小林さんの考え方に対しては、
じゃあ、「リスクっていうのは食中毒や交通事故のリスクはどこの地域にもあるわけだから、
その上に放射能のリスクをわれわれがかぶらなければいけないんですか」と、
「リスクが上乗せされるという事にはなりませんか?」
というご意見も確かに出ていました。
ま、こんなふうにですね、一つの現象を全く違う捉え方をするお二人の講演会。
この後、この講演会を主催なさった柏市の住民の方と繋いでお話を実際に聞こうと思います。
ーーつづく
<後半・柳沢さん>
「本当に見えないのが罪です」千葉県柏市の場合~報道するラジオ2/1(内容書き出し)
<対談>小林 泰彦VS小出裕章1/19千葉県柏市「東葛から問う」・千葉の汚染(内容書き出し)
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