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<手抜き除染>“隔離”ではなく“拡散”「意味がない」以上に「やってはならない事をやってしまっている」小出裕章ジャーナル2/2ラジオフォーラム(内容書き出し)

小出裕章ジャーナル
2013年2月2日 ラジオフォーラム


http://f12.voiceblog.jp/data/ki-ko/1359851514.mp3
湯浅誠(活動家、社会運動家)さん



湯浅:
早速リスナーの方からこんな質問が寄せられているんですね。
「福島第一原発周辺の除染作業で、取り除いた土や枝葉、
洗浄に使った水の一部を現場周辺の川などに捨てる手抜き除染が横行している事が明らかになりましたが、
これは地元住民たちにどのような影響があるのでしょうか?」というご質問なんですけれども、
ま、これは連日ニュースになっていましたが、
先ずそもそも、「除染という事の中身と意味」というのを、
先ずその手抜き云々の前に確認していきたいんですけれども、

小出:はい、ありがとうございます。それが大切なことだと思います。

湯浅:そもそも「除染とはなに?」っていところからお願いしてもよろしいでしょうか?

小出:
はい。
「除染」とは文字通り汚れを除くと書くのですけれども、汚れの正体は放射能な訳で、
放射能を消すという事は人間には出来ないのです。
つまり汚れを除くという事は基本的に出来ない事なのです。
で、私たちに出来る事は、
今ここにある汚染を隣の場所に移すであるとか、
集めてとにかく隔離をするとか、
そういう事が唯一出来る事なのです。


それで、人々の被曝を減らそうというわけですから、
人々が生活している場所にある放射性物質を、
「とにかく集めて生活の環境から隔離をする」という事が、今言われている「除染」という事の中身です。

湯浅:
具体的にはですね、地域の中には家もあれば、川もあれば、山もあれば、林もあれば…だと思うんですけど、
その除染作業というのは具体的に何をやることを指すんですか?

小出:
え…w、
みなさんもちょっと想像していただきたいのですが、
今現在の汚染というのは湯浅さんが今おっしゃって下さったように、もう全てが汚れてしまっている。
家も道路も、いわゆるビジネス街があればそこも、そして山も畑も田んぼも林も…
とにかくもう、みんなが汚れてしまっているわけで、
その汚れの全てをどこかに集めて隔離するという事はもともとできないのです。
何か日本の政府は、除染をすれば人々が今汚れている場所に帰れるかのように宣伝をしているわけですが、
実際にはそんな事は到底できないのです。

でもそれでも被ばくを少しでも減らしたいということであれば、
汚れてしまった屋根を掃除するとか、
人々が歩きまわる道路、あるいは庭先ですとか、
そういうところの汚染だけは少しでも集めて隔離をしようという事をやってきたわけです。
でも、非常に限定された効果しか、まずはありませんので、
「除染によって綺麗になるというふうにまずは私は思わない方がいい」と思います。


湯浅:
報道なんかでも出ていましたが、小学校の土を剥ぎとって校庭の片隅に集めるとか、
屋根を洗浄機で、水で洗浄するとか、
ま、そういった事だけれども、これは要するに屋根の上にあった放射能を地上におろす。
あるいは、校庭の前面に薄く広がっていたのを固めて校庭の隅にもって行く。という、
いわば「移染」ですよね。

小出:そうですね、汚れを移動させるという意味の「移染」が正しい言葉使いだと思います。

湯浅:ということであって、それによって別に減らせる訳じゃないんだと。

小出:そうです。

湯浅:残念ながら人間の力では放射能を減らすという事は出来ないんだと

小出:はい、おっしゃる通りです。

湯浅:
そうなりますと、「手抜き除染」と、わりと衝撃をもって受け止められたりしたわけですが、
これは結局どういう影響を及ぼすことになりますか?
除染そのものの意味がそうだという事になると、w

小出:
基本的に「除染」というものは出来ないで「移染」でしかない。というのは、
いま湯浅さんが話して下さった通りなのです。
ただしそうではあっても、少しでも人々の被曝を減らすべきだという意味では、私もそうだと思いますし、
小学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、
子どもたちが集中的に時を過ごす場所の土は、
私は「必ず剥ぎとらなければいけない」と思っています。


そして問題は、「それをどこかに、隔離をきちんとしなければいけない」という事な訳ですけれども、
「手抜き除染」というのは隔離をするのではなくて、
むしろその汚染を広げてしまうというような事をやってきてしまったという事です。

湯浅:ばら撒いてしまったという事ですね。

小出:はい、そうです。

湯浅:川に流したりして、

小出:
水で流し足りですね、川に落としてみたりですね、
むしろ「隔離」ではなくて「拡散」をさせてしまっている訳で、
「意味がない」こと以上に「やってはならない事をやってしまっている」という事です。

湯浅:
なるほど。
ま、ようするに「除染」は「移染」だけれども、
手抜き除染」というのはいわば「拡染」ですね。
放射能を拡散しちゃっているんだという事ですね。

集めた落ち葉を川にながしちゃうとかですね、ということになると、
川を伝ってそれが広がっていく訳ですが、


小出:
そうです。
汚染が広がっていく訳ですから、
もともと汚染が無かった、下流の方にですね、汚染が無かった場所があるとすれば、
そちらの方に汚染が移っていってしまう訳ですし、
最終的には海にまた汚染が流れてしまうという事になってしまいます。


湯浅:そうすると、途中で川から水を引いている水田の稲なんかにも、影響が出る恐れは

小出:
もちろんですね、
汚れたものを新たに川に落とし込んだわけですから、
その分だけの汚染はその水を使っている地域に、汚染としてまた上乗せされてしまうという事になります。

湯浅:それの人体に対する影響というのは、何らかの形で確認できるものなんですかね。

小出:
事故直後に枝野さんがしきりに「直ちには影響が出ません」というような事をおっしゃっていた訳ですが、
「直ちに出ない」という事は、その裏を言えば、
長期に渡った時を考えれば影響が表れるでしょう」という意味なんですね。
その意味というのは、私は基本的には「癌」だと思っていますが、
あらゆる被ばくは危険ですし、特に、すでに科学的に証明されているという意味では
「癌が増えてくる」という形の影響が出てくると思います。


湯浅:
先程おっしゃった「移染先」ですよね。
今は校庭の片隅にあったり、自治体の中の仮置き場にあったり、
そういうところにあるわけですが、そこの放射能が高くなってしまっている訳で、
これを、じゃあ、人間の力で減らせない以上は、
どこかに持っていって集約して、影響を低く抑えなきゃいけないということになるわけですが、
これについては、…


小出:
わたしはその放射能のお守をするという仕事を40年やってきているのですが、
その私の原則から言うと、
放射能は出来る限りまとめて、集中的に管理をするというのが正しいと思いますし、
あちこちに手抜き除染のような形でばらまくのはもう基本的に間違えているし、
集めたものもどこかに集中的に責任をもって管理できる場所に集めるべきだとわたしは思います。

で、その場所という事なのですけれども、
今日本の政府の方は各県に一つずつでも置き場を作って、
中間貯蔵とかという言葉で埋め捨てにしてしまおうとしているわけですが、
汚染というものの正体は、
もともと東京電力の福島第一原子力発電所の原子炉の中にあった放射性物質な訳で、
東京電力のれっきとした所有物なのですから、
東京電力に返すというのが私は原理的に良いだろうと思います。
で、本当の事を言えば福島第一原子力発電所の敷地の中に返すのが良いのですが、
今あの場所は、多数の労働者が放射能を相手に戦争を戦っている場所ですので、
その場所に新たな放射能を持ち込むという事は多分出来ないと思います。
で、私の提案は福島第二原子力発電所という、広大な敷地がすぐ南にありますので、
そこを放射能のゴミ捨て場にするという事の方が正しいだろうと思います。
それぞれの県で引き受けてしまうのではなくて、東京電力に返すというような方策を探って欲しい
です。

湯浅:かなりの量にのぼると思うんですが、その、福島第二原発の敷地で吸収できる…

小出:
分かりません、それはもうどこまで丹念に集めるかという事なのですけれども、
福島第二原子力発電所の敷地はかなり広大な敷地ですし、
東京電力はまた、「福島第二原子力発電所を再稼働させる」というような事を言っている訳ですね。
周辺の何10万、何100万の人達にこれだけの苦難を押しつけながら、
自分だけは無傷で、また原子力発電所を再稼働させるというふうな事は、私は正しいと思いませんので、
先ずは福島第二原子力発電所を放射能のゴミ捨て場にする。

それでも足りなければ、また次の手段を考えるというやり方がいいと思います。

湯浅:なるほど。小出さん、ありがとうございました。

小出:いいえ、ありがとうございました。



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