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02.19
Tue
“核のゴミ”はどこへ~検証・使用済み核燃料~
NHKスペシャル 2013.2.10。

動画はこちら↓
<3の1・日本の場合>“核のゴミ”はどこへ~検証・使用済み核燃料~(内容書き出し・動画)



伊東:あの、原発をもっている他の国というのはどうなっているんですか?

根元:
はい、こちらをご覧ください。

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世界で原発を動かしているのは35の国と地域です。
このうち、処分場の場所が決まっているのはフィンランドとスウェーデンの2ヶ所しかありません。

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このように、世界のどの国も苦労をしているのです。
この問題と各国はどのように向き合っているのか?
候補地選びが難航しているイギリス、
そして、日本とは別の方法で処分場探しをしているスイスを取材しました。

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世界は“核のゴミ”とどう向き合っているか
21:53


イギリス

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イギリス中部のカンブリア州
5年前経済効果を期待し、処分場建設をめぐる協議を国と始めました。
カンブリア州では20年前にも国が処分場の建設に向けて動いた事がありました。

国の機関がここでボーリング調査をしていたんです。

もともと原子力施設があるカンブリア州。
調査は極秘に行われ、住民に一切知らされていませんでした。2238
これを知った住民が強く反対し、計画はとん挫したのです。


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住民:
国の機関は地域とはかかわりを持たず、自治体にもなにも伝えていませんでした。
何をしているのか住民に言わないなんて、理解できませんよ。

2008年、政府はその反省を踏まえ、住民との向き合い方を抜本的に変えました。
その中心となったのがパートナーシップ(parthnership)と呼ばれる話し合いの場です。
カンブリア州で開かれたパートナーシップです。

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国側は住民の意見を聞いたうえで、全ての疑問に答えます。
日本のNUMOに当たるNDA(原子力廃止措置期間)の職員が、
処分場のリスクについても詳しく伝えていました。

参加者:処分場から放射能が漏れださないのか心配です。

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アラン・エリス NDA:
その可能性は否定できません。
ですから様々な可能性を想定し、人や環境への悪影響を皆さんに伝えるようにしています。
住民のみなさんは、自分で判断したいと望んでいます。
そのためには情報が必要です。
良い情報であれ、悪い情報であれ、オープンにすれば信頼を得られるようになると信じています。



5年をかけて話し合ってきたカンブリア州。
調査を受け入れるか判断する段階になりました。
そして先月議会が結論を出しました。


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カンブリア州議会は地下の処分施設に対し反対の議決を下しました。

賛成と反対は3対7
「地元の地層が処分場にに適しているのか」など不安が消えないという声が勝りました。


アラン・エリス NDA:
住民の信頼は増していると感じていましたが、まだまだ足りなかったようです。
残念ではありますが決どんが出た以上、前に進んでいくしかないのです。



スイス

地元の合意を得る前にまず国が候補地を選ぶのがスイスです。
最終処分に関する世界有数の研究施設。

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ここを運営するのが報差性廃棄物管理協同組合NAGRAです。
政府はNAGRAが全国で行った調査を基に処分場に適した候補地を選びました。
地震がほとんどなく、地下水の影響も少ないとされる北部も3つの地域。
いずれもスイス最大の都市チューリッヒから数10kmです。

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フランツ・シュニーダー副長官 スイスエネルギー庁:
処分場をつくるのは政府の責任です。
国民には国内のどの地域がより安全性が高いのか、きちんと示す必要があると考えています。

政府主導の候補地指定には地元住民の反発も伴います。

参加者:調査のために候補地を選んだという事ですが、私はこのやり方には納得できません。
NAGA担当者:わたしたちは、科学的な観点から提案をしています。

スイス政府は地元が処分場を受け入れるまで、具体的な地域振興策を提示しない事にしています。
お金ではなく、あくまで科学的な判断に納得してもらう事が大切だと考えているからです。



フランツ・シュニーダー副長官 スイスエネルギー庁:
将来的に自治体や住民が経済的利益を求める事はあるでしょう。
しかし、初めからお金で解決するのはよくありません。
政府の判断が疑いの目で見られてしまうからです。


地域の代表として説明会にsなんかしていたマルティンオットーさんは、
候補地の近くで酪農を営んでいます。

処分場が出来れば何らかの影響を受けるのではと、当時は政府の姿勢に反発していました。
しかし、福島第一原発の事故を機に考えが変わったと言います。
核のゴミを一刻でも早く処分するためにどこかが引き受けなければならないと考えるようになりました。

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私たちは福島の原発事故から教訓を得たのです。
この問題に対する意識が高まり責任を感じました。
自分たちが関わっていくのは当然のことだと思っています。


住民の合意が得られるまでの間、使用済み核燃料をどう安全に保管するのか?
スイスがとっているのが、乾式貯蔵という方法です。

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プールで冷やした使用済み核燃料を鉄の容器に移して保管しているのです。
完全に密封されているため、プールに置き続けるよりも安全性が高いとされています。

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ワルター・ヘープ CEO:
この施設は停電しても大きな危険はありません。
容器が放射線を遮蔽しているので、電力は必要ないのです。

スイス政府はこの施設で40年保管し、最終処分場が出来るまでの間しのぐ考えです。

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トーマス・エルンスト CEO NAGRA:
何万年もの安全を100%保証することなど誰にもできません。
可能な限りの対策をとっている事や、
安全性を確保するために最善の努力を尽くす事を国民に分かる安く説明する。
それが、何よりも大事だと私たちは考えています。


”核のゴミ”とどう向き合うか
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伊東:日本だけではなくて、世界のどの国も模索しているんですね。

根元:
そうですね、今見てきた二つの国は、時に失敗し、
行きつ戻りつを繰り返しながら処分場探しというのを続けていました。
実はこの、最終処分場の実現までにかかる期間というのがですね、
日本を含む多くの国が30年かかると見ているんですね。

伊東:今から30年ですか。

根元:
そうです。
住民の合意を得るための期間、それから処分場の建設の期間を考えると、
もう、待ったなしの状況なんです。

伊東:
ん…、なかなか解決の糸口が見えてこない中で、
スイスで最後に見た乾式貯蔵というのは、
日本のようにプールで保管するよりも安全のような気がしましたが


根元:
そうですね、
停電して電気が無くなっても、冷やす事が出来ますので、より安全な貯蔵方法だと言えます。
実は日本でも一部の原発にすでに導入されていまして、
今年中に青森県のむつ市に大型の施設が完成する予定なんです。

伊東:そうなんですね、

根元:
ただ日本の場合、使用済み核燃料というのは全て再処理するのがルールになっていまして、
スイスのように、そのままゴミとして捨てる事が出来ないんですね。
これが核のゴミの処分を進まなくしている一つの要因にもなっているんです。




ーーーつづく


<3の3・なぜ再処理>“核のゴミ”はどこへ~検証・使用済み核燃料~(内容書き出し)



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