【ペイフォワード環境情報教室】「そういう共通点がありますので、 今回の福島の調査と山下先生方のチームのチェルノブイリ調査は 比べる事が可能だと僕は思っています」松崎道幸先生2/22(文字起こし)

<本日のテーマ>
2013年2月13日に公表された福島県県民健康調査の結果を受けて

【ペイフォワード環境情報教室】松崎道幸先生

2013年2月22日



北海道深川市立病院の松崎道幸先生をお招きして
福島県健康管理調査についてのご意見を伺いました。


sawada:
この2月に福島県県民健康調査の結果が出まして、
3名に甲状腺の癌という事、また7名に疑いがあるという事が出まして、
各報道機関が健康管理調査の側の
基本的には「チェルノブイリのような例にはならないであろう」、と。
「期間的には発症が早すぎる」といった形のものだけを丸のみで発表しているところがございますが、
これについて松崎先生、ご見解を頂けますか?

松崎:
そうですね、えっと、
福島の子どもたちを詳しく調べた結果、
3万8000人の子どもたちから、
甲状腺がんが確定が3人と、疑い例が7人出たという事で、
最大を見ると、残り7人の方が全部甲状腺がんだと仮定すると
3800人に一人甲状腺に癌があるという結果になるわけですね。

実は、山下先生方が言っておられる一番は
「こんなに早い時期にこんなに甲状腺がんが出来る筈はない」と。
それからもうひとつは、
「今まで子どもたちの甲状腺を虫歯のように詳しく調べた研究調査結果はない」と
言うふうにおっしゃっているんですね。
で、僕はあの、実は今回の福島調査と同じような、比較できるような調査はあると思っています。
しかもそれはチェルノブイリ、山下先生方のチームがなさった、甲状腺の超音波検診の調査な訳です。
実はチェルノブイリの事故から数年経ってから、
チェルノブイリの子どもたちにどんどん甲状腺がんが現れてきたというショッキングな事態が起きたために、
1991年から94年までですね、日本財団の支援を受けて
山下先生方のチームがチェルノブイリ周辺の子どもさん達の甲状腺検診をしたんですね。
対象は5万5000人ぐらいの子どもさんを超音波の機械で検査して、
直径が5mm以上のしこりをもっている子どもさんを選びだして、細胞診検査などをした結果、
5万5000人から平均の直径が15~6mmぐらいの甲状腺がんが見つかったと


その時は5万5000人から4名甲状腺がんが見つかったという事が、
山下先生方のチームが書いた論文で公表されている訳です。
公表されたのは1995年ですね。

ですから、「原発事故の被災地で行った調査である」と。
それから、普通手で触ってもはっきりと、甲状腺に異常がなさそうな子どもさん達を対象に超音波検査をしたと。
それから、超音波検査の感度も直径が5mm以上のものを拾い上げて検査を行ったということで、
そういう共通点がありますので、
今回の福島の調査と、山下先生がたのチームがなさったチェルノブイリ調査は
比べる事が可能だと僕は思っています。


結局、その中でも、チェルノブイリ周辺と言っても、
ゴメリ地区のような放射能汚染度の高いような地区では
数千名ぐらいから2名甲状腺がんが出ていると、大体4500人に一人ぐらいという割合なんですね。
それから、汚染度の少ないところでも一万人に一人位という率で甲状腺がんが発見されたんですね。

一方、福島では3万8000人から確定例が3人、強い疑い例が7名ですから、
確定例だけですと、1万3000人ぐらいに1人、
疑い例も含めますと、3800人に一人という事で、
これは原発事故から数年経ったチェルノブイリと同じか、それ以上の頻度で
福島の子どもたちの甲状腺に癌が起きているという事になるわけです


で、問題は、原発事故と放射線被曝と関係なく日本の子どもの甲状腺には、
「それぐらいは前から甲状腺がんが出来ているものだ」という、
ま、可能性もない訳じゃないんですね。
ですから今回、
福島のデータが本当は日本のほかの地域ではどうなのか?という、比較調査は必ず必要だと思います。
実際に青森で何千人かを対象に同じような検査をするとかという話がありますので、
その結果も待ちたいし、それから、もっと離れた西日本でどうなのか?という、
そういう調査結果も踏まえて、
福島の事態が本当に放射線と関係があるのかないのかというのを判断する材料にして、
冷静に判断していきたいと思っているんですね。

それが普通の考え方であって、
今の時点で「福島の甲状腺がんは被ばくとは関係ないんだ」というふうに断定するのは、
全く科学的ではないと思います。



sawada:
そうですね、特にこれを否定するものとしてよく例が上がるんですけれども、
高齢者、60歳を超えた場合の甲状腺に異常をもっている方は大変に多くて、
「一般的である」というような表現が出ますけれども、
今回比較しているのは小児と、ま、18歳以下という事になりますと、
世の中一般的には百万人に一人、等と、大変低いものであるというのが通常ということですね。


松崎:
そうですね、
甲状腺がんというのは僕自身は3つにタイプを分けています。

一つ目は、被曝と関係なく、大人になればだんだん甲状腺に癌が出来てくると、
知らないうちに持っている方も2割3割居らっしゃるという、そういう甲状腺がんで、
このタイプの、被曝と関係ない甲状腺がんは、
非常に進行もゆっくりで、命取りになることもあんまりなくて、穏やかな癌だというふうに言われています。

二つ目のタイプは、
別の病気のために喉に放射線を外から外部照射して、
その結果、元の病気は治まったけれども、後で甲状腺の癌が出来たというタイプ。
これは外部照射による被曝で甲状腺がんが出来るというタイプですね。

三つ目は今回のように、
原子力発電所の事故で放射性の粉じんを吸収したり、外から外部被ばくを、
外部被ばくと内部被ばく両方で起きる甲状腺がんで、
特に子どもさんに多くて、小さくてもリンパ節に転移することが多くて、
最初のタイプ、1型の甲状腺がんとは違って、治療も大変だし、いろいろな合併症も多くなるという事なので、
甲状腺がんとはそういう3つのタイプに分けて考えないといけないと思っています。

で、原発事故に関する甲状腺がんはそういうふうに3番目の形だと。
それから、もともとあんまり転移もしないし進行もしないし、命取りにもならないというのが
最初の1型の甲状腺がんであるというふうに整理して考えないと、
なかなか問題の本質がつかめないんじゃないかと僕は思います。

sawada:
そうですか、そうした時今回みたいな形で
分かる部分と分からない部分がもちろんあるというのが前提なんでしょうけれども、
どのような対応をしていけばいいと思われますか?

松崎:
最初にご紹介した山下先生方のチェルノブイリでの調査の論文の最後にこういう表現があるんですね。

放射線の感受性が高い小児は初期の急性被ばくならびにその後の持続的低線量被ばくにより、
直接的、あるいは間接的に甲状腺が障害される可能性がある、
本研究は今後の調査解析に寄与する重要な基礎データとなるだろう。
そして、腫瘍及び免疫異常を伴う小児の甲状腺がんが、
放射性降下物によりもたらされたものであろう事を示唆している。

放射性降下物はホールアウトという表現ですけれども、
結局、山下先生方のチームが
原発事故による放射線被曝で小さな子どもに甲状腺がんが起こる事があるんだ」という、
気をつけろ」という警告を世界に発したと。
しかも、初期のヨウ素131に被曝だけじゃなくて、
その後の持続的な低線量被ばくも子どもさん達に甲状腺がんを引き起こす原因になっているようだ
というふうに結論を付けている訳ですね。
ですからそれを考えますと、甲状腺、今回の事態はやはり、山下先生の論文の結論を、
やはり、活かしてですね、十分に注意して対応すべきだと思います。
結局、チェルノブイリの周辺と福島の中通りは似たような地表汚染度になっていますので、
慢性の持続的な被ばくが続いている限りはやはり、
チェルノブイリと同じような甲状腺がんの激動というものが起こる可能性は十分にあると僕は思っています。
ですので、これからでも避難とか移住とかを真剣にやはり考える時に来ているんじゃないかと思います。
いずれにしても、
分かっている筈のデータを私たちにしっかり知らせていただきたいというのは、政府に対する要望ですね。
つまりただオウム返しのように「被ばくとは関係ないんだ」という、
そういうふうに言うだけでやはりその「本当かな?」という疑問を非常に抱きますし、
せめて今回不幸にして見つかった患者さんが、
どういう汚染度のところにいらっしゃるのか?とか、年齢とか、そういうことを知らせて、
そして、いろんな方の考えとかを集めて、
「どうするのが子どもたちにとって最善の事なのか」をやっぱりみんなで考える必要があると思います。

政府の情報管理が秘密主義になってきているなと僕は思います。


sawada:ありがとうございました。


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↓第10回「県民健康管理調査」検討委員会2013.2.13 記者会見より

<甲状腺がん>
「今回の調査結果で過去に書かれた論文・発表が、かなり覆される可能性がありますが…?」
山下俊一氏質疑応答2/13(文字起こし)


<甲状腺がんの頻度>
「超音波検診」と「潜在癌」鈴木眞一氏質疑応答2/13(文字起こし)


新たに2人甲状腺がん7人に疑い「放射能の影響は否定」福島県立医大鈴木眞一教授2/13



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